その背中の痛み、骨折ではありませんか

その背中の痛み、骨折ではありませんか?
∼椎体骨折(脊椎圧迫骨折)の症状と治療法∼
骨がスカスカになり、
もろくなってしまう骨粗しょう症は、
閉経後の女性に多く
「椎体骨折」の最たる原因とな
ります。
放置しておくと日常生活にさまざまな影響を及ぼし、
寝たきりの原因になることもある
「椎体骨折」の症状と
治療法について、
BKPという治療法の日本における薬事承認取得に医学専門家としてたずさわり、
BKP治
療の安全な使用と普及に努力されている浜松医科大学整形外科診療助教の戸川大輔先生に伺いました。
浜松医科大学
整形外科 診療助教
日本脊椎脊髄病学会認定
脊椎脊髄外科指導医
同学会 評議員
戸川 大輔 先生
椎体骨折の治療法
保存的療法
・コルセットやギプスを装着する。
・鎮痛薬や骨粗しょう症治療薬
の使用
(薬物療法)
。
外科療法
・従来の手術
背中を切開し、金属の器具で骨
折椎体の上下を固定。
・経皮後弯矯正術(BKP)
背中の小さな切開創からバルー
ンを骨折した椎体内に差し込み、
膨らませてできたスペースに骨セ
メントを充てんする手術。
脊椎圧迫骨折に
関する様々な情報を
チェックできる
日常のちょっとした動作でもおこる骨折
椎体骨折とは、
背骨
(脊椎)
が押しつぶされるように変形してしまう骨折で、
主な原因は骨粗しょう症です。
この骨折は、
物を持と
うとしたときや、
段差につまずいたときなど、
日常のちょっとした動作で起こることがあります。
主な症状は背中の痛みで、立ったり座ったり、動こうとしたときなど、背骨に負荷がかかったときに痛みを感じます。治療せずに
放置しておくと、痛みで身体を動かすことがおっくうになり、外出も減って生活の質を大きく低下させる原因ともなりかねません。
ま
た、背中が曲がることで腹部が圧迫され、充分な食事をとることができなくなったり、逆流性食道炎になることもあります。背中の
急な痛みを感じた場合は、
まずはかかりつけ医に相談しましょう。
ただ、椎体骨折はX線検査だけでは正確な診断が難しい場合も
あり、
痛みが続く場合は診断に有効なMRI検査なども行える脊椎専門医への紹介を受けてください。
身体への負担が比較的少ない注目の新治療法BKP(バルーンカイフォプラスティー)
椎体骨折の治療は、
骨粗しょう症の薬や鎮痛薬などを使う薬物療法、
コルセットの装着といった保存療法が基本ですが、
骨折
が治癒せず痛みが続く場合には手術を検討します。
従来の手術は、
骨折した椎体の上下とともに金属の器具で骨折椎体を固定する手術法がありますが、
新しい手術法として注目
されているのが「経皮的後弯矯正術
(BKP)
(
」2011年1月より公的保険適用)
です。
BKP治療は、
骨折してつぶれた椎体に小さなバルーンを入れて膨らませ、
形成されたスペースに骨セメントを充てんするという方
法で、
背中2カ所を5㎜ほど切開するだけなので出血も少なく、
入院期間も短い、
身体への負担が比較的少ない手術です。つぶれ
た骨を元の形に近づけ、
早期に痛みをやわらげる効果が期待でき、
手術後すぐに
「痛みがなくなった」
という患者さんもいます。
ただ、
椎体の変形が著しい場合などは、
BKP治療ではなく他の方法を選択することもあります。
また、
他の手術と同様に麻酔や手術自体のリスクはありますので、
担当医の説明をよく聞いて検討してくださ
い。最初の椎体骨折を予防し、
骨折の連鎖を招かないためには、
地域での診療連携によって骨粗しょう
症の治療を継続することが重要です。
(症状、新しい治療法、病院検索システムを含む)
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