14.税金・役所との関係

14.税金・役所との関係
14 税金・役所との関係
事例14-1 追加納税額の削減交渉
関連情報
1.企
業
の
業
種
金融業
2.問 題 の あ っ た 時 期
2000~2003 年頃
3.体験の際の職種・職務
支店長
4.場 所 ( 州 又 は 都 市 )
ジャカルタ
A.困難事例の概要
毎年税査察があり、これは数年度前の納税分を対象として行われる。査察が終
了すると税額が最終確定するはずだが、一旦査察が終了したものも再査察が行わ
れたこともあった。査察では相当のふっかけ追加納税を要求され、これに反論す
るために会計事務所に委託して反論を準備して、
追加納税額の削減交渉を行った。
B.対処概要
追加納税額の削減交渉を行ったが、税務署の追加納税理由が明確でなく、交渉
には時間がかかった。交渉が長引くと会計事務所への手数料もかさむので、適当
なところで妥協して、追加納税を行った。通常、税務署が最初要求した追加納税
額の 10 分の1程度が最終追加納税額であった。
C.教訓(知っておくべき情報・知識など)
以前に徹底して税務署と議論(約1年)した結果、会計事務所へ支払う手数料
の方が高かったという笑い話があったので、適当なところで妥協することにして
いる。ただし、年々このようなハラスメントは改善されており、特に 2002 年に導
入された大口納税者への専用窓口ができて担当者が任命されてからはかなり良く
なってきている。
273
14 税金・役所との関係
事例14-2 所得税納税に関する問題
関連情報
1.企
業
の
業
種
金融業
2.問 題 の あ っ た 時 期
2000~2003 年
3.体験の際の職種・職務
支店長
4.場 所 ( 州 又 は 都 市 )
ジャカルタ
A.困難事例の概要
所得税の納税は、前年所得をベースに毎月行うルールになっている。当期所得
が前年より低いと、
当然税金の過払いが生じてリファンドを要求することになる。
税務署はリファンド(返金)についてはともかく渋く、理由説明やリファンドの
実行が遅れるなど、問題が多い。だいたい毎月納税事務を行うことも効率性から
問題がある。
B.対処概要
できるだけリファンド要求を少なくするために、納税額確定、納税事務につい
てかなりの注意を払って行っている。
C.教訓(知っておくべき情報・知識など)
この制度は、事務負担が多い。せいぜい半年に一度とすべきであろう。できる
だけ早く税金を払わせたいという環境は分からないでもないが、現状は他国と比
較して大幅な改善が必要だと考えられる。
274
14 税金・役所との関係
事例14-3 Import VAT に関する大損害
関連情報
1.企
業
の
業
種
製造業
2.問 題 の あ っ た 時 期
1995~2000 年頃
3.体験の際の職種・職務
現地法人の役員
4.場 所 ( 州 又 は 都 市 )
ブカシ県 チカラン
A.困難事例の概要
会社は 1995 年に設立。工場の設備(約数千万米ドル)を海外から 1996~1997
年の間に輸入し、Import VAT(付加価値税 Value Add Tax) 10%(約数百万米ドル)
を支払った。
その後 1997~1998 年クリスモン(通貨危機 Krismon:krisis moneter)
が発生した。
B.対処概要
クリスモン以前の対米ドルのルピア交換レートは 1,900 前後であったが、1998
年のクリスモン後は 7,000~17,000、すなわち平均値で約 4 分の1に暴落した。
通常 Import VAT は償還されるものの、特に金額が大きな場合は、1年以上経過し
てからでないと償還されないので、本件に関してはまともにクリスモンの影響を
受け、大損害を被る結果となった。すなわち、(米ドルに換算して)当然償還され
るべき金額の 4 分の1しか償還されず、Import VAT 支払いから償還されるまでの
金利も大きく、新規企業の立上げに大変な痛手となり、その後の財務内容に大き
な影響を与えた。
C.教訓(知っておくべき情報・知識など)
1.VAT 償還は事業計画に大きく影響する。当初から予算に組み入れておくべき。
(クリスモンがない場合でも金利負担、キャッシュフローへの影響が大きい。
)
275
14 税金・役所との関係
2.これは政府間交渉になるが、インドネシア政府に対し Import VAT の撤廃、も
しくは早期償還を要請したい。
(更に透明なる償還手続きを要請したい。
)
VAT 償還について
輸入資機材には Import VAT(10%)が課税され、償還請求により後で戻ってくる
が、この際(特に新会社の場合)以下の負担がかかる。
1.キャッシュフロー:設備投資(輸入資機材)の大きな企業では 10%の VAT は
高額となり償還時期が半年、1 年先となるとこの間のキャッシュフローに直接
影響する。
2.額が変動:ルピアと米ドルの交換レートは常に変動しており、VAT を支払い
償還されるまでの半年~1 年の間に為替ロスが生じる。
(通貨危機の場合は 4 分
の1、5 分の 1 に下がったためにダメージは大きかった)
。
3.赤字企業、償還請求をする企業(特に償還額が納税額よりも多い企業)は必
ずといってよいほど税務調査があり、税の不透明性の名の下に余分な費用がか
かる。VAT 10%が全額そのまま返還されることはない。
276
14 税金・役所との関係
事例14-4 突然の個人所得税の請求
関連情報
1.企
業
の
業
種
製造業
2.問 題 の あ っ た 時 期
1999 年 11 月頃
3.体験の際の職種・職務
現地法人の社長
4.場 所 ( 州 又 は 都 市 )
セラン県
A.困難事例の概要
インドネシア人役員より「日本人駐在員の個人所得税の請求が来ましたが、多
大な金額です。
」という報告があった。確かに驚くほどの金額であった。請求され
た駐在員は創業時から製造部長として駐在していた。税務署からの請求は「イン
ドネシアでの所得だけではなく、日本での所得も含めて課税するので過去にさか
のぼって、今回納税せよ。
」というものであった。インドネシアの税制は累進課税
で、日本人の所得レベルだとほとんどが最高の税率(35%)を適用され、過去に
さかのぼるため大きな金額になっていた。
B.対処概要
工業団地内の日系企業各社に問い合わせてみると、やはりそのような請求が来
ていることが分かった。ただし納税者番号を登録した人が対象になっていること
も分かった。
それまでの所得税は役職による「みなし所得」に対して課税されていた。すな
わち会社役員なら年間所得いくら、部長ならいくら、というようなガイドライン
があって、その線に従って納税していた。
工業団地内の日系企業の1社が「自分のところは創業時から、全世界所得に対
して納税している。
」
という話が出てきた。
この会社は世界各地に進出していて
「所
得税は本来すべての所得に対して課税されるのが国際ルールである。
」
とのことで
277
14 税金・役所との関係
あった。日本の親会社に相談してみると、やはり所得税は日本での所得も含めて
支払うのが国際ルールであることが分かった。したがって、結果的には税務署の
請求どおり納税した。
C.教訓(知っておくべき情報・知識など)
1.工業団地内の日系企業とは、常に相談ができるように日ごろから付き合いを
密にしておくほうが良い。
できれば毎月1回程度の情報連絡会を持つのが良い。
2.インドネシア人は役員でも官庁に弱い。何か言われるとすぐに従う傾向が強
い。駐在員の日本での所得が、どうして税務署で調べられたか不思議であった
が、その役員に聞いたところ「税務署から要求があったので、日本の親会社の
経理に依頼して取り寄せて提出した。
」とのこと。その役員には、会社外に提出
する資料はすべて社長の許可を取るよう言い聞かせた。
3.今回のように国のルールがどうなっているのか、分かりにくいケースがよく
ある。自分の会社だけでは判断できないので、誰に相談したらよいか、相談先
をできるだけたくさん作っておいたほうがよい。
(参考資料)
14 税金・役所との関係
14.2 税金 (2) 納税者登録番号
(NPWP:Nomor Pokok Wajib Pajak)
278
14 税金・役所との関係
事例14-5
税金還付時に例年より多額の手数料を
要求された
関連情報
1.企
業
の
業
種
製造業
2.問 題 の あ っ た 時 期
2002 年頃
3.体験の際の職種・職務
現地法人社長
4.場 所 ( 州 又 は 都 市 )
西ジャワ州
A.困難事例の概要
業績が悪く前年度を下回る売上げ・利益であったため、予納していた税金の還
付を依頼したら、手数料として還付額の 13%程を要求された。通常 1~3%程度と
聞いていたので驚いて理由を尋ねたところ、
「通常は還付まで 3 年以上かかるが、
早く還付することで還付金を預金することが可能になり、利子が入るから損はし
ないだろう。
」ということであった。
B.対処概要
本社に相談したところ、3 年も放置しておくとキャッシュフローが悪化するの
で、手数料が高くても早く還付させるように、との指示があり 10%まで手数料の
引下げ交渉をした上で還付処理した。しかし支払いは米ドルだったにもかかわら
ず、還付はルピアであった。
(当時、米ドル-ルピアの為替レートが大きく変動し
ていたので、有利なドルの支払いを渋られた。
)
C.教訓(知っておくべき情報・知識など)
前年よりも売上げ・利益が減少しそうな状況の場合は、来年度の予納額通達前
に税務署役人と交渉し、減額してもらう。
「コストダウンが厳しく、思った以上に
売上・利益が伸びそうにない。
」という理由で交渉すると小額に変更してくれるの
279
14 税金・役所との関係
で、税金支払い後の還付請求時に交渉するより、はるかに少ない金額で済み、被
害が少なくなる。前年比増の売上げ・利益が予想される場合は全く必要なし。
280
14 税金・役所との関係
事例14-6 EPTE(保税加工区)権利抹消処理
関連情報
1.企
業
の
職
種
製造業
2.問 題 の あ っ た 時 期
2004 年 3 月~2005 年 9 月頃
3.体験の際の職種・職務
現地法人社長
4.場 所 ( 州 又 は 都 市 )
西ジャワ州
A.困難事例の概要
会社の大きな方針転換を受けて、従来持っていた輸出企業に対する税法上の特
権、EPTE(保税加工区)の権利を抹消すべく、その手続きを行った。しかし関税
当局(税務署)よりなんの音沙汰もないまま、長期間が過ぎ去った。ある日突然、
申請手続き後六ヵ月以上経過してから、
「売上の約二ヵ月分に相当する金額をペナ
ルティーとして払え。
」という書類が税務コンサルタント経由で送られてきた。し
かもその書類には「不服があれば三日以内に資料をそろえて税務署あてに連絡せ
よ。
」とあった。これには過去三年間のデータを調べる必要があり、三日以内で調
査し資料をそろえることは、事実上不可能である。
B.対処概要
従来税務署との折衝は、すべて税務コンサルタントに一任していたが、今回は
社長自らが税務コンサルタント及び自社のスタッフを引き連れ、税務署に乗り込
んで、次の通り強力に折衝した。
1.税務署の数字は全く理解ができない。計算の根拠を示してもらいたい。そう
でなければ議論さえできない。
(税務署は渋々計算の根拠を説明してくれた。
)
2.計算の根拠は常識では考えられない論法で、我々としては全く受け入れられ
ないと反論した。資料は提出するが、三日以内では提出できないので、最低で
も二十日は欲しいと強く要請した。しかし担当官は頑として我々の要求を受け
281
14 税金・役所との関係
付けず、
「三日以内に出せ。
」と言う。
(我々が抹消手続をしてから半年以上も何
の音沙汰もなく、突然資料がきてから三日以内に返事せよとは理不尽だと言っ
て詰め寄るが、
「ぬかに釘」であった。
)
3.最後の手段として、税務署長に直談判し了解を得た。その後の折衝でも担当
官との間で話が暗礁に乗り上げると、所長に直談判し、それなりに満足いく結
論を得た。当然ながら、こちらも十分な理論武装と資料をそろえて折衝に臨ん
だことは言うまでもない。
C.教訓(知っておくべき情報・知識など)
1.EPTE に関する法律、政令等、規則を熟知しておく必要がある。
2.税務署との折衝はコンサルタント任せにせず、会社最高責任者(社長を推奨
する)自らが折衝することが望ましい。
3.担当官との折衝がうまくいかない場合は、気後れすることなく上層部へ話を
持ち上げ、別の次元から折衝することも必要である。
4.一番大切なことは、会社は常日頃から法律に従い、規則に従って正確な帳簿
を作っておくようにすることである。
(参考資料)
14 税金・役所との関係 14.1 関税 (2)EPTE
282
14 税金・役所との関係
事例14-7
労働事務所との関係作り
関連情報
1.企
業
の
業
種
製造業
2.問 題 の あ っ た 時 期
2004 年頃
3.体験の際の職種・職務
現地法人の社長
4.場 所 ( 州 又 は 都 市 )
ブカシ県
A.困難事例の概要
工場の立地する地域を管轄する労働事務所の担当官にいろいろ相談したいのだ
が、わいろを要求されることが危ぐされる。
B.対処概要
C.教訓(知っておくべき情報・知識など)
1.労働組合との労働協約は、労働事務所に登録しておく必要があるが、こう
いった機会をとらえて、事前に労働事務所と相談を行うことによって、担当
官ともコミュニケーションを図ることができる。
2.最近ではわいろを要求されるケースはなく、従業員や労働組合との労働問
題に対処するためにも、日頃から労働事務所と連絡を密にしておくほうが良
い。
3.特に突発的なストライキが起こった場合、まず問題となることだが、その
ストライキが合法的なものか、そうでないものかを確認することが大切であ
り、非合法なストライキの場合、労働事務所が法律に基づき対処してくれる
ようになっている。
283
14 税金・役所との関係
事例14-8 建築許可をめぐる行政の許認可
関連情報
1.企
業
の
業
種
製造業
2.問 題 の あ っ た 時 期
2004 年 11 月~2005 年 1 月頃
3.体験の際の職種・職務
総務担当
4.場 所 ( 州 又 は 都 市 )
タンゲラン市
A.困難事例の概要
工場敷地内に新たに建設する自家発電設備の認可をめぐり、行政の各階層から
様々な要求を受けた。
B.対処概要
発電設備に関しては、環境基準への適合性の審査は州(Propinsi)が、設備そ
のものの建築基準(建屋の強度など)への適合性の審査は市(Kota)が実施し、
州→市の順に認可を受けて工事を始めることになっている。
州の審査の過程で、環境面について地元の行政・住民代表へのヒアリングも実
施された上で認可が得られているにもかかわらず、市への申請の段階で「環境問
題に対する一部住民の懸念」を理由になかなか許可が下りなかった。
地方の行政組織は、市長-郡長(Kecamatan の長[Camat])-村長(Kelurahan
の長[Lura])となっているが、建築の許認可権を持つ市長(実際は許可局長)か
らは、
「地元住民の合意」の証として、郡長/村長が署名した住民代表の合意書を
取るように求められた。
郡長/村長との協議を踏まえ、当社自らが地域住民と交渉して代表者の合意を
得た上で、行政の指導に従った手続きを進めようとしたが、村長/郡長/許可局
長のそれぞれの段階で署名の前に様々な要求を受けた。
284
14 税金・役所との関係
C.教訓(知っておくべき情報・知識など)
1.主要な行政窓口とは、日頃からコミュニケーションを密にしておくべきであ
る。また事業活動がもたらしているインドネシア並びに地元経済への貢献(雇
用、納税などを含む)等について、地元行政との勉強会を企画するなど、日ご
ろから相互理解(地方の役人に対する啓発活動)を進める努力も重要である。
2.プロジェクトの実施に際しては、行政の関係各位に対し十分な配慮をしてい
くべきである。
(当社のつまずきの一因は、州の審査を州任せにし過ぎ、郡長・
村長に対して、州からの情報提供が不足していたことを把握できていなかった
ことにもあった。
)
3.経営と企業の社会貢献双方についてバランスの良い判断が可能で、会社の顔
として行政、地元と渡り合える優秀なインドネシア人スタッフが必要である。
285
14 税金・役所との関係
事例14-9
廃棄物処理の承認印をもらうのに
特別費を請求された
関連情報
1.企
業
の
業
種
製造業
2.問 題 の あ っ た 時 期
2001 年 7 月頃
3.体験の際の職種・職務
現地法人社長
4.場 所 ( 州 又 は 都 市 )
西ジャワ州
A.困難事例の概要
エプテ(EPTE:輸出加工認定工場)のため、日本から輸入した金属材料の端材
やスクラップを処理する際には、
関税局から承認の印を得ることが必要であるが、
ある時手数料として突然高額な金額を要求された。あまりにも高かったためこれ
を拒否し、交渉していたが結局支払いに応じた。
B.対処概要
約 3 ヵ月ごとに担当官が異動するのを知っていたため、その役人が異動する月
までスクラップを処分せず我慢し、
「次の役人と交渉する。
」と言って、その役人
には「一切支払わない。
」と告げたら手数料を下げてきた。スクラップ置場も一杯
になって保管しきれなくなったため支払に応じた。
C.教訓(知っておくべき情報・知識など)
要求に対し弱腰の対応をしたり、すぐに要求をのむ会社と思われたりすると、
要求される金額がどんどん大きくなるので焦った交渉は禁物である。
できれば押しが強く、交渉が上手いマネージャーを雇っておくと非常に良い。
ほかの交渉事についても何にでも使える。
286
14 税金・役所との関係
(参考)
後から他社の状況を確認したら、大体同じような金額だったが、ある会社だけ
は 3 倍以上の金額を要求されていた。要求に対し、全く交渉せずそのまま支払い
をしていたので、役人交代時に「この会社はいくらでも出す。
」との「引継ぎ(?)」
がなされていると聞いた。
(参考資料) (1)14 税金・役所との関係 14.1 関税 (2)EPTE
287
14 税金・役所との関係
14 税金・役所との関係 関連資料
14.1
関税(Bea Masuk)
(1)保税関係(PKB、PDKB)
保税地区とは、主として輸出目的で物品や材料の加工、組立て、設計管理、イ
ンドネシア関税領域(Daerah Pabean Indonesia Lainnya:DPIL)内の他地域から搬
入された物品や材料の選別、予備検査、最終検査、梱包などが行われる特定の地
域のことです。
保税地区での製造工程に必要な物品や原材料の輸入には、輸入税納入猶予など
の一定の優遇措置が採られ、
物品税や付加価値税(Pajak Pertambahan Nilai:PPN,
Value Added Tax:V.A.T)、奢侈品販売税、所得税(第 22 条)が免除されます。
国内投資(PMDN)企業や PMA/PMDN 以外の有限会社、
法的地位を有する協同組合な
どと同じく、
外国投資(PMA)も保税地区管理者及び税地区内操業者として認可を得
ることができます。
保税地区管理者(Penyelenggara Kawasan Berikat:PKB)とは、他者のために保
税地区内に施設やインフラを所有、管理、運営、提供し、契約に基づいて操業す
る有限会社、法的地位を有する協同組合、財団法人を指します。
一方、保税地区内操業者(Pengusaha Didalam Kawasn Berikat:PDKB)とは、保
税地区内で物品や原材料の加工を行う有限会社や協同組合を指します。
ジャカルタ(政府直轄のチャクン、マルンダ、タンジュンプリオク)、ビンタン
島、バタン島に保税地区管理者(PKB)が存在します。
インドネシア全体に多くの PKB が PDKB として、すなわち「ハブ」としても操業
しています。PKB 及び PDKB の認可は、税関総局が発行します。
(出典)http://www.asean.or.jp/invest/guide/indonesia/1-04.html
(アセアンセンター)
288
14 税金・役所との関係
保税地区内の製造企業は、以下のような奨励措置が受けられます。
a.生産工程で使用される原材料を含めた資本財や設備の輸入に対する輸入税、物
品税、所得税(第 22 条)
、奢侈品付加価値税の免除
b.最終輸出製品の 5%まで(価格で)
、又は最終製品以外の輸出品の 100%までの
国内市場への(通常の輸入手続による)転用許可
c.生産工程での使用が可能な原材料を 5%までしか含まないスクラップ又は廃棄
物のインドネシア国内での販売許可
d.自社製品をさらに加工するため、会社所有の機械及び設備を保税地区外の下請
会社に 2 年以内に限り貸与することに対する許可
e.さらに加工するために保税地区の企業と地区外の下請会社の間で引き渡された
製品、または地区内の企業間ならびに他のルートで引き渡された製品について
の奢侈品付加価値税と販売税の免除
(出典) http://www.asean.or.jp/invest/guide/indonesia/1-03.html
保税区内の優遇措置
保税区域内に立地した企業は、特定製品の輸出実績、又は他の保税地区の工場
向け供給実績の 25%を限度として、
あるいは特定下請企業製品は 50%を限度とし
て、正規の輸入手続を踏んだうえで国内向けに販売可能。さらに製品を国内の保
税区域内の他企業に全量供給可能。この際輸入手続は不要で、付加価値税などが
免除。また、保税区域内の企業から区域外の下請工場に加工に出す場合、加工後
製品を引き取る場合ともに、付加価値税などが免除。
(出典) 国際機関アセアンセンター「インドネシア投資ガイド」
(2)EPTE(エプテ)
EPTE:Entrepot Produksi untuk Tujuan Ekspor の略 輸出加工認定工場
認定されると、輸出品に必要な部品及び原材料を輸入する場合、輸入の際に賦
課されるすべての税が免税となる。現在はPKB(保税地区管理企業)/PDKB(保税
地区内企業)に変更された。
289
14 税金・役所との関係
14.2
税金(Pajak)
(1)所得税(Pajak Penghasilan:PPh)
○ 最低賃金と所得税
最低賃金にかかる所得税の政府負担
2003 年 7 月から、政府が負担する所得税は、最低賃金を基に算出するのではな
く、一律で 100 万ルピア(月額)まで支払われる正規従業員あるいは臨時従業員
(いずれも国内就労者)が対象。なお、政府負担分を超える所得については、引
き続き雇用主が源泉徴収する。
正規従業員が(給与-職業経費+年金掛け金+非課税所得)×税率。臨時従業
員の場合は、財務大臣が別に定めた非課税所得を控除して計算する。
(出典)http://www3.jetro.go.jp/jetro-file/search-text.do?url=010012700304
(2)納税者登録番号(NPWP:Nomor Pokok Wajib Pajak)
インドネシアに 1 年間に 183 日以上、滞在している外国人に対して取得が義務
づけられている番号で、税務当局はこの番号に基づき租税を行う。故意に NPWP
登録を怠ると、禁固 6 年未満の刑罰と本来の税金の 4 倍に上る追徴金が課せられ
る。
(出典) http://www.jakartashimbun.com/pages/20010412top.html
290