2006年09月11日号 【金】 上値重い ◆海外情勢 金現物の640ドルから上の水準では当業者売りが積み上がっているという。チャート (日足)は不完全ながらダイヤモンドフォーメーションを形成しており、下抜けという下 振れリスクの高い形状にある。ニューヨーク金に640ドル以上の大量売りをこなして上 昇していくだけの力はなさそうだ。原油価格とは逆相関を続けているかのような展開とな っていたが、大きな流れでみれば、最終的には同調する習性がある。 ◆内部要因 ノルウェーの年金基金撤退時は650ドル以上、そしてフランスの年金基金参入時が6 00ドル以下。現在の金価格はこのレンジに閉じ込められている。ノルウェー退職者年金 基金は総資産2,400億ドルと世界最大規模の年金基金の一つ。今年前半までの金価格 上昇をリードしてきた年金基金はすでに積み増していない。カルパスが商品先物市場への 参入を検討していると仄めかしている10月半ばまでは期待できない。 ◆総合分析 東京金は、チャート上は保合いから上放れを目指す展開となってきているようにみえた が、ドル建ての戻り待ちでの実需の売りの多さが行く手をふさいでいる。傍らでは住友金 属鉱山や同和鉱業といったNYMEXを見てよく動く鉱山系株価が地合いを悪化させてい る。また、原油価格の軟化が続くと比価から金も修正安を余儀なくされるのではないか。 2006年09月11日号 【白金】 金に比べて割高 ◆海外情勢 ニューヨーク白金は上値抵抗線を突破したことで買い人気が増した形であるが、買い遅 れていた実需筋のスポット買いが誘い出され、それが東京白金の上昇と結び付けられて持 て囃されたという。この実需筋は北米系の自動車触媒業者とみられているが、数量ベース では決して多いわけではなく、その後の価格上昇局面では買ってきてはいないようで、期 待はずれから週末には下落した。香港・中国系は全く買いの手を出さず安値を待ち続けて いる模様。 ◆内部要因 ニューヨーク白金と金の比価をみると、2.04倍(7日)とやや白金が割高になって いる。最近の高値は5月の1,347ドル、安値は6月の1,095ドル、中値は1,2 21ドルとなっている。今は買い方の勢力圏にあるものの、実需筋が動かないとなると、 再度、1,300ドルに挑戦するには材料不足といえる。ここは日柄整理も重要なポイン トだ。 ◆総合分析 東京白金は9月に入ってからも上昇を続けたが、その強気は一般大衆とファンド勢の買 いによるものである。しかも、そうした手は期先での取組に集約されている。欧州系ファ ンド勢の期先買いの多くはロールオーバー主体であり、欧州系ファンド勢の買い値平均は 日毎上昇している。押し目らしい押し目が無かったため、一部買い遅れの手が反応したが、 実勢が味方していない。 2006年09月11日号 【ガソリン】 目先は戻り売りだが ◆海外情勢 東京ガソリンはニューヨーク原油相場に連動する展開であり、国内要因より、原油の動 きが優先されているのが現状である。その原油は 70 ドルを割り込み、更に下げる可能性が 強い。これは、高値まで押し上げた材料である中東緊張と、ハリケーンによるダメージが 共に後退したためである。大型資金が米国の株、債券市場へ資金をシフトしたのも、原油、 金の騰勢が弱くなったからだ。 ◆内部要因 9月2日現在の全国ガソリン在庫が減少へ転じた。これは8月後半にかけての気温上昇 で販売量が増えたことを反映している。在庫の増加が現物市場の弱材料であったので、重 石が外れた印象を受ける。業転市況が引き締まれば先物市場の期近の基調が引き締まり、 サポート要因になるだろう。 ◆総合分析 原油の高値からの調整安が続いているが、弱材料の織り込みが一巡して、そろそろ反転 上昇の時期が接近しているとの見方が出ている。ファンド筋も下値で買い玉を仕込むチャ ンスを狙っているので、外資証券系の動向に注目したい。突っ込んだら買いと考えて良さ そうだ。 2006年09月11日号 【コーン】 生産予想の見方はまちまちだが ◆海外市場 注目材料は現地時間12日に米農務省が発表する2006年の米国トウモロコシ生産予 想だ。主要な民間会社の事前予想は、①アレンデール社108億8700万bus(単収 150.9bus)、②FCストーン社108億8700万bus(同151.0bus)、 ③インフォーマ社110億6800万bus(同153.5bus) ・・・で、アレンデー ル社とFCストーン社は米農務省8月予想109億7600万bus(同152.2bu s)を下回り、インフォーマ社は同予想を上回った。他の事前予想を総合すると、9月の 生産予想は下方修正される可能性は高いが、それでも豊作の範疇にあり、アレンデール社 やFCストーン社並の予想なら強材料にはなるまい。問題は、インフォーマ社並の予想が 出た時で、シカゴトウモロコシは一度下押すことが考えられる。 ◆国内市場 東京トウモロコシ先限は1万9000円が下値抵抗線と目される動きを続けている。基 本的にシカゴの動きに追随しようが、問題は為替相場だ。為替相場は1ドル115円を突 破すれば112円にトライする局面になるとの見方があるだけに、シカゴだけでなく円ド ル相場から目を離すのは危険といえる。 2006年09月11日号 【ゴム】 売り圧力が強い ◆ファンダメンタルズ 【産地】産地での供給は順調に推移している模様。産地での原料価格は連日値下がりし、 60.00バーツを大きく割り込んできている。一時は売り手主導の原料マーケットであ ったが、中国からの買い付けに対するデフォルトも出ている様で現在は買い手市場となっ ている。週末現在、原料は54.75バーツ、オファーは10月積185.0セント(円 換算約225.1円)で取引されている。 【在庫】8月20日現在、全国生ゴム営業倉庫在庫は779トン増の10,235トン。 7月中旬以来の10,000トン台回復となった。 ◆展開予想 今週の東京ゴム市場は原料安などを背景に続落となった。週始め4日には240.0円 を割り込んだことから地合いが悪化。制限安の展開となりその後も産地需給の緩和などを 背景に反発する事も無く続落となった。東京市場では連日の値下がりにより地合い、チャ ート共に非常に弱い環境下にあり、多少戻っても翌日には売りこまれ、売り圧力が非常に 強い展開続いている。 今週は制限安2回を含む20.0円以上の値下がりとなっているが、要因の一つとして は産地での原料価格の下落がある。8月末に70.00バーツを割り込んで以降、どの市 場よりも早いペースで値下がりを続けている。東京、シンガポール市場共に原料価格と比 較すると割高である為に売り込まれており、それが更にテクニカルの弱基調に拍車をかけ る展開となっている。大きく値を切り下げている東京市場だが、テクニカル的にも売られ すぎの状態にあり目先は下値警戒感が非常に強い。外部要因で下押しした時や原料価格の 下げ止まりが見えた時は買い拾いたい。押し目買いで対処。 (海外事業部) 2006年09月11日号 【為替】 円高のサインは? ◆チャート分析 この1年、11日~月末の値動きをみると、円高4回、円安8回で円安確率は67%。 最近の円の安値は7月117円57銭、8月117円48銭、9月は7日時点で117円 46銭…とやや切り上げ傾向だ。今月は20日がFOMC(米連邦公開市場委員会)、その 辺から流れが変わるか。 ◆内部要因 FRB(米連邦準備制度理事会)の地区連銀経済報告によると、7月中旬から8月の米 国景気は拡大基調を維持したが、12地区のうち5地区から成長鈍化が報告された。個人 消費は大半の地区で低調な伸びとなった。欧州委員会はユーロ圏の今年の経済成長見通し を2.5%増(従来2.1%増、昨年1.3%増)に上方修正した。設備投資を中心とす る内需拡大が寄与。日本の8月末外貨準備高が8,787億ドルとなり、6ヵ月連続で過 去最高を更新。 ◆総合分析 小浮動場面が続いているが、117円台が抵抗線になりつつある。いつレンジから抜け 出すかがポイント。昨年12月以降の中値は115円21銭、これを抜くとドル安・円高 のサインとみて良いだろう。調整期が長かった分、かなりのエネルギーが蓄積されている と思われる。114~116円。
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