2006年10月10日号 【金】 戻り売り 海外情勢 米国金融市場では債券

2006年10月10日号
【金】
戻り売り
◆海外情勢
米国金融市場では債券買いの投機資金が急増しており、利下げ織り込み過多となってき
ている。債券高が株価の見せかけの割安感を増幅しており、折からの米国中間選挙相場ム
ードもニューヨークダウ工業株30種平均の高値更新に拍車をかけた。これに乗っていっ
ているのがマクロ系ファンドであり、原油をはじめとする商品安が利下げを促すという発
想に繋がっている。
◆内部要因
ラマダン(断食月)により欧州銀行系でのイスラム系資金が一時休止しており、香港は
再開しているものの、中国、インドなど短期ホットマネーの流入が国慶節連休明けとなる
ことから下げ足も急激なものとなっている。日柄で整理を促すことができる猶予があり、
オプションプレーヤーや短期プレーヤーらが資金流入の間隙を縫って下値トライをガイド
していく可能性が高い。
◆総合分析
東京金は下値模索が続いている。チャート上は6月15日の安値2,079円が下値目
標となっているが、これを下回らない限り達成感が得られないような印象が強い。ニュー
ヨークはすでに9月15日の安値576ドルを割り込んできたが、連動している北米鉱山
株指数などのチャート特性からみると、10月中旬~下旬まで売られる可能性がある。下
値は540~550ドルか。
2006年10月10日号
【白金】
まだ下値を探る時期
◆海外情勢
ニューヨーク白金が崩落したが、金との比較では高値圏での滞空時間が長かったこと、
さらにその保合いを一旦上抜いて出来高をつくってからの大幅下落とあって早期の地合い
回復は難しいようだ。ダウ工業株30種平均が史上最高値を更新したが、企業収益発表は
投資家が期待するより悪いものと予想されるほか、債券も織り込み過多で横ばいに近くな
るとみられる。このため、株価の反落も近いのではないか。
◆内部要因
ニューヨーク市場のファンドなど大口投機玉のポジションは多少のロングの整理局面に
あるものの、依然として大幅買い越しを維持した状態にあり、スモールトレーダーの買い
越しが増加していることも嫌気される。今回の下げは、米国触媒メーカーの買いと香港勢
の買いに一度支えられて押し上げられたかにみえた後の急落とあって始末が悪い。東京市
場では買い玉を投げさせられた欧州系投資銀行がドテン売りに。
◆総合分析
ニューヨーク白金市場を舞台にしたマクロ系ファンドの大量商品売りや、ラマダン・国
慶節入りの間隙を短気資金に付け狙われて下値模索が先となっている。チャート上の下値
は4,000円割れに伴い、3,850円付近となる。下げが加速してきているが、まだ
コツンとしたものが感じられず、今月後半あたりまで下値を探る展開が続くのではないか。
2006年10月10日号
【灯油】
原油の下げで下値見えず
◆海外情勢
ニューヨーク原油期近は60ドル攻防から後退し、57ドル、55ドルへと下値目標を
引き下げる下降トレンドを示している。下げ相場を食い止めようとOPECが自主減産措
置を非公式合意で決めたが、その効果への疑問から下げ足を止めることが出来るかどうか
疑問である。戻りを売られて下げれば、灯油も連動して急落する。
◆内部要因
石油連盟発表の9月30日現在の灯油全国在庫は前週比 14 万 4654 キロリットル増の 514
万 7117 万キロリットルと過去最高水準に達し、その圧迫感から現物市況の基調も弱く、期
近限月にも影響し、原油安を反映しやすい地合となっている。期先限月の実需の買い玉も
手仕舞先行して下げが止まりそうにない。
◆総合分析
ニューヨーク原油主導の下げが続いている。急落した後は急反発するが、前の高値を超
えられず、水準は次第に切り下がってきた。下支えとなっていたアジア市場の堅調と輸出
需要の増加も原油安の影響で強材料とならず、原油の下げが止まるのを待つ状況となって
いる。戻り売り方針で臨むしかなさそうだ。
2006年10月10日号
【コーン】
押目待ちに押目なしの様相
◆海外市場
シカゴトウモロコシは、想像以上のスピードで上昇、3ドル乗せを意識出来る水準まで
高騰している。ここにきて目立っているのが、小麦相場の急騰。小麦は世界的な減産と消
費旺盛を移して需給がひっ迫、ファンド筋のターゲットになって大幅高を演じている。小
麦が高騰すると飼料用小麦の出回りが少なくなり、飼料業者は価格の安いトウモロコシを
代替品として使用する。そのため、トウモロコシの飼料用消費の増大が期待出来るため、
2006~07年度の米国トウモロコシ需給を一層ひっ迫させることになろう。現地時間
12日に米農務省は需給予想を発表するが、ここで仮に生産量が上方修正されても好調な
需要環境を見ると下げ余地は小さい。
◆国内市場
東京トウモロコシ先限はアッサリと2万1000円の大台を突破した。①シカゴトウモ
ロコシ相場は強材料が豊富、②為替相場は円安傾向、③海上運賃が高止まり・・・のほか
無視出来ないのは、マネーの流れだ。これまで、金や石油が安くなるとトウモロコシも連
動安を演じてきたが、今は、影響を受けずにシカゴ高に追随するようになってきた。米農
務省予想を控えて高値警戒感が出てきそうだが、押目買い意欲が強く、『押目待ちに押目な
し』を地で行く相場展開になりそうだ。
2006年10月10日号
【ゴム】
他商品につれるも底堅い
◆ファンダメンタルズ
【産地】産地での供給は回復模様。セントラルマーケットの集荷量も増加しており、現在
逼迫感は無いようだが、東京市場の上昇も手伝って価格は底堅く推移している。週末現在、
原料は61.12バーツ、オファーは11月積191.0セント(円換算約234.9円)
で取引されている。
【在庫】9月20日現在、全国生ゴム営業倉庫在庫は158トン減の10,216トン。
10,000トンはキープしているものの減少に転じた。
◆展開予想
今週の東京ゴム市場は堅調に推移し上値の目標であった226.0円の窓を埋める展開
となった。週始め月曜日には先週末の地合いを引き継ぎ大きく値を戻し、その後は原油や
貴金属の続落につれて安寄りするも反発し底堅さを証明することとなった。226.0円
の上値目標を達成したことから、目先は利食い売りなどに押されてもいい場面ではあるが、
期近が堅調に推移しており、当先の順ザヤ幅が縮小しているため先限は売られにくい環境
にある。
200.6円を安値とし上昇相場へと転じている定期市場だが、依然として戻り売り人
気は強い。一方で一般玉の買戻しや TSR 市場の高止まりを受け、期近の上昇幅が期先を上
回り、前述の順ザヤ幅の縮小を招いている。しかし、期近限月には現物を渡すと考えられ
る売り玉が建っており玉整理一巡後は当先のサヤが拡大するものと考えられる。サヤの状
況を考えると先限は買い玉を建てやすい環境にあり、また、外部要因にも左右されず強い
相場を展開している。深押しは買い拾いたい。押し目買いで対処。
(海外事業部)
2006年10月10日号
【為替】
急激な変化に注意
◆チャート分析
この1年、10日から月末の値動きをみると、円高6回、円安6回でイーブン。9月2
9日以降、118円台を示現する日が多くなっており、今年2~3月の119円台に接近
している。このところの株高がドルをも押し上げる展開となっているが、今年4~5月の
ようなドル安・円高があるから注意が必要だろう。
◆内部要因
バーナンキFRB(米連邦準備制度理事会)議長が「住宅部門は大幅な修正局面にあり、
下半期のGDP(国内総生産)を1%押し下げる見通し」と述べたが、最近の原油安でイ
ンフレ感が後退、利上げの必要もないことから株式市場はダウ工業株30種平均が史上最
高値更新という展開。また、グリアOECD(経済協力開発機構)事務総長は「世界経済
は成長を続けるが、原油価格、経常収支の不均衡、住宅バブルの終えん、貿易保護主義へ
の回帰…など4つのリスクがある」と述べた。
◆総合分析
原油安⇒資源国通貨安⇒ドル高(円安)という流れである。シカゴ通貨先物市場のファ
ンド筋はユーロ買い・日本円売りのポジションとなっており、ドル高・円安を暗示してい
るのかどうか。12~13日は日銀の金融政策決定会合が開かれるが、ここでは現行路線
が継続されよう。115~117円。