2005年2月14日号 ダブルボトム形成 ◆海外情勢 ニューヨーク市場の金価格はファンド勢のポジションが乗り換えも含め縮小、特にイラ ク選挙の一応の成功でブッシュ米大統領の旗色が良いことが投機玉のアンチ・ブッシュ部 分の気勢を削ぐ要因となってきた。足元では G7 前後の荒れた為替市場の動きや IMF 売却の 話題で、更に420セント以下まで売り込まれてきている。ドル建て金価格はニューヨー ク時間のファンド主導の展開に対して、アジア時間では比較的底堅く推移している。引き 続き、インド、中国などを含むアジアの需要増や、鉱山会社のヘッジ縮小傾向は安値での 支援材料となっている。 ◆内部要因 東京金は円安を追い風にダブルボトムを形成している。ドルの対極にあるユーロ、金と もに現状は日柄消化の時間帯にあるとみられる。ドル・円では、シカゴ通貨先物市場にお けるドル・円でのファンド勢の取り組みが、G7前を境にスクエアへと向かってきている ため、円安が進展してきている。まだ円安が続く可能性が高く、東京金は強気が良いと思 われる。 ◆総合分析 ドバイ・メタル&コモディティーズセンターが公表した 2004 年度の統計資料によると、 年間平均金価格が前年平均から 12%上昇したにもかかわらず、ドバイでの金消費は前年比 10%増の 100 トンとなった模様。増加の主因はドバイ市場がインド、スイス、サウジアラ ビア、シンガポール、イタリア、パキスタン、マレーシア、英国をはじめとする世界91 カ国とのビジネスパートナーを確立しているためという。 2005年2月14日号 供給不安はない ◆海外情勢 東京白金は海外金融系といった大口投機家の参入によってパワーゲーム化してきたが8 日の商いでは海外金融系が買い玉をほぼ全量整理売りしたことで冷静さを取り戻している。 チャート上は2,800円を再び割り込むことになるのか、それとも短期的な上昇にとど まらず再び支えられて上昇へ向うのか、重要な分岐にあるといえる。しかし、次第に期近 の弱さが目立ちはじめている。 ◆内部要因 重要なスポット市場でのバイヤーである中国勢が国内宝飾向け需要後退と小売価格抑制 から買い値を上げてこないうえ、旧正月という時期も重なり、東京白金では海外投機資金 の買いが市場価格を支えてきた。しかし、欧州でのディーゼル車導入と触媒需要拡大に対 し、米国自動車産業がディーゼル化を急いでいない。また、原油高で燃料電池などは家庭 用など小型量産型の生産体制が整備されるにつれ、高コストでかつ耐久性の高いプラチナ は部品交換など販売後のメンテナンスビジネスで収益を生まないとして敬遠されている。 ◆総合分析 プラチナに供給不安はない。ユーロ下落によりランドも沈静化しているが相対的に高値 は続いている。しかし、南アフリカ鉱山の生産ペースに目立った落ち込みはない。開発も 進んでおり、ノーサムプラチナム社は南アフリカ東部で新規開発調査を行なっているが、 25億ランドの見積もりに対し、プロジェクトの資本コストを圧縮して早期生産を目指し ている。 2005年2月14日号 【ガソリン】 突っ込み買い方針を堅持 ◆需給動向 ガソリン生産を絞るのが元売の目的である。価格を維持するためであり、決算対策も兼 ねている。大手元売は1月から自主減産体制へ移行しており、他社も追随している。この ほか、出荷調整、現物買い上げ、先物市場での現受けと打つ手はすべて打っていると言う 印象を受ける。特に原油相場が調整段階へ移っているだけに、価格を支える方策が必要と なる。また、硫黄含有率規制(サルファーフリー)の影響で生産ペースが落ちている点も 強材料となっている。 ◆内部要因 ガソリンのこの時期の供給問題で見過ごせないのが主要消費地における降雪である。寒 冷地では降雪対策がとられているが、都市部での突然の降雪はローリー輸送をマヒさせる ために供給不足の事態を招きかねない。意外なポイントだが、今年のように暖冬から一転 して気温が急速に低下すると、こうした心配が出て来る。相場展開は原油次第とはいえ、 いつ噴き上げてもおかしくない環境にある。 ◆総合分析 サルファーフリーでガソリンの製品輸入はストップしている。これも元売にとっては心 理的な供給不安材料である。このほか、外資系ファンドの動静も気になる。これまで相場 を煽ってきた経緯や、高値掴みの買い玉が残っていることを考えると、再び相場を煽る可 能性が強い。基本的に強気スタンスで。 2005年2月14日号 【コーン】 ファンドの出方次第では思わぬ高騰も ◆海外市場 現地時間9日に米農務省は2004∼05年度の米国産トウモロコシ需給予想を発表し た。輸出需要が下方修正され、その分期末在庫が上方修正されたため、供給過剰を再確認 する格好になった。供給量が多過ぎるため、市場の一部では、『フェブラリーブレークが3 月まで続く』との見方があるが、注目したいのは農務省レポートを前にしても、膨大に膨 れ上がったファンド筋の売り越しが余り減らなかったことだ。いくら、ファンダメンタル ズが悪いといっても、天候相場を前にポジションを偏らないように調整するのがセオリー で、ポジション調整がスムーズに行かないと、キッカケ次第で、一段高を形成する場面が あってもおかしくない。ファンダメンタルズは悪いの一語だが、ファンド筋の出方次第で テクニカルな波乱があってもおかしくない環境だ。 ◆国内市場 東京トウモロコシ期先は1万4000円台前半で揉合っている。シカゴ次第で、再び1 万4000円を割り込む恐れはあるものの、農務省の需給予想で目先の弱材料が出尽くし たと判断することが出来よう。このような状況で、注意したいのは、為替相場が円安に振 れてきたことだ。円安は輸入コストを上げるだけではなく、心理面で、市場に買い安心感 を与える効果があるので、今後の動向から目が離せない。ここはじっくり腰を落着かせて、 一段安を買い拾いたい。 2005年2月14日号 ファンド買いにより続伸 Okachi ◆ファンダメンタルズ 【産地】産地は、9日から中国が旧正月入りしていることもあり、例年同様市場は閑散状態。 ただ、オファーは総体的に堅調に推移している模様。週末現在、USS43.50バーツ、 オファー3月積128セント(円換算約144.3円)で取引されている。 ◆展開予想 地合いの強さからファンド筋の新規買いが進行し、大幅続伸。今週は中国が旧正月を迎え ていることで、ファンダメンタルズの材料は乏しい中、罫線の強さや為替が105円台の円 安に傾いたことを反映し、序盤はファンド筋の踏みを中心に買い優勢で推移した。その後も 東京市場はテクニカル買いが支配する格好で、取組を伴って上昇。更に、一部ファンド筋が 先限で大量の新規買いを入れ、建玉を途転させて来た為、一気に投機筋の買いも膨らみ、昨 年10月18日以来となる146.2円の高値をつけた。先週に続き、出来高、取組高とも に増加し一層先高感を漂わせる相場展開を見せた。 産地は14日から中国の旧正月も明け始め、産地も徐々に荷動きが活発化してくるものと 思うが、減産期を控える中現物価格もジリジリ値を上げてきている。ただし、今の所供給面 での逼迫感は聞かれず、ある程度の国内在庫を抱える中国もすぐに買い付けに動くかどうか はまだ不透明な状況。 国内は最近の急激な上昇を見て、買われ過ぎの状況から高値警戒感も台頭している。しか し、買い転換したファンド筋が更に強気の姿勢を見せるようであれば、150円台も視野に 入ってくる。ただ、ここ最近の荒い値動きも考慮し、安易に値に付いて行く事は控えたい。 押し目買いで対処。(海外事業部) 2005年2月14日号 ドル高は一過性 ◆チャート分析 今月の値動きを9日現在でみると、円の高値は1日の103円53銭、安値は9日の1 05円87銭、変動幅は2円34銭。前月の同時期は営業日が少ないにもかかわらず2円 61銭に達した。月間5円弱動く経験則からみれば目先はまだ円安の流れかもしれない。 ◆内部要因 G7(先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議)の共同声明では、「為替政策は柔軟性が望 ましい」と前回と同じ表現にとどまり、中国人民元に関する記述はなかった。これは人民 切り上げを迫れば中国経済が減速して世界経済を直撃するリスクがあるためだ。これで切 り上げ論はしばらく後退するのではないか。ドルを売り込んでいた向きは誤算だったとい うことになる。16 日は米国上院でグリーンスパンFRB(米連邦準備制度理事会)議長の 議会証言が行われる。 ◆総合分析 このところ金には逆風が吹いているのとは対照的にドルは追い風に乗っている。①イス ラエル・パレスチナの和平への流れ、②イラクの民主化へ向けた動き、③米国の利上げお よび雇用改善…などがドル買いにつながっている。だが、双子の赤字改善は難しく、今の ドル高は一過性だろう。103∼105円の動き。
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