"花のソコが知りたい!" vol.2 ユーフォルビア編

品質カイゼン室
○ユーフォルビアとは
トウダイクサ科ユーフォルビア属の植物の総称
サボテン似、ダイヤモンドフロストみたいな可憐なもの、またクリスマスで代表的なポインセチアもユーフォルビアの仲間に
入ります。(下図参照)
Euphorbia leucocephala
Euphorbia susannae
Euphorbia pulcherrima
ユーフォルビア属の特徴は茎葉を傷つけたときに白い液体(ユーフォルビン)を分泌することです。
この白い液体、炭化水素系のテルペン類を含み植物によって強弱はありますが有毒です。
(ちなみにオキシペタルムはガガイモ科なのでユーフォルビアには属しません。)
古代メキシコ文明では胃薬として用いられたとの説もあり、毒をもって毒を制していたのですね。
触ると手がかぶれるので気をつけてください。
多種多様なユーフォルビア、その中でも今回はユーフォルビア・フルゲンスに注目します。
ユーフォルビア・フルゲンス
スカーレット
プ ル ー ム
英名(Scarlet Plume)緋色の羽飾り
○メキシコ出身ユーフォルビア・フルゲンス
11 月から出荷が始まるユーフォルビア・フルゲンス
実は熱帯メキシコ原産の植物なのです。
そんなユーフォルビア・フルゲンスの日本の産地は JA グリーン長野
JA グリーン長野の全国シェアは 95%その 80%以上が大田花きに出荷されています。
○栽培方法
長野県 PR キャラクター 「アルクマ」
©長野県アルクマ
ユーフォルビアの栽培管理で重要なのは温度管理
4
5
6
育苗
定植
遮光・摘心
収穫
温度管理
母株維持
7
8
9
10
遮光:先端成長促進
短日処理
11
12
1
2
3
加温機利用 15~18℃
母株の越冬
メキシコ原産のユーフォルビア栽培では温室内を15~18℃に保ちます。
夏場は遮光することで地温の上昇を抑え、苗の活着や先端成長の促進をさせます。また、冬場は加温機で温度管
理が実施されています。
非常にデリケートな植物なのです。
○短日植物であるユーフォルビアにとって遮光は命!
11 月の出荷に向け 9 月から日照時間が 9 時間になるように遮光作業をします。
ユーフォルビアの花に似ている器官を苞(苞葉)といい、花を守る器官を指します。
短日植物は日照時間が 12 時間未満でないと花を形成しません。ユーフォルビアに赤い苞を形成させるためには
守るべき花が必要。だからこそ遮光が不可欠なのです。(ポインセチアも同様です。)
2 ヶ月間、毎日欠かさず遮光し、日照時間を調整することで美しいユーフォルビア・フルゲンスが咲くのです。
○ユーフォルビア・フルゲンスの花言葉は『協力を得る』
燃油費が高騰している中の温度管理や 1 日も欠かせない遮光作業など多くの苦労をかけて作られた『ユーフォルビア・フ
ルゲンス』。栽培戸数が少ないため(JA グリーン長野管内栽培戸数 3 戸)希少性が高く、JA も産地守りに必死な状況です。多く
の協力を得て開花するユーフォルビア・フルゲンス、協力について考えさせられる花ですね。
参考文献:JA 長野 「いい JA ん!信州」 http://www.iijan.or.jp/oishii/products/etc/post-1204.php
大田花き ShowCASE http://www.otakaki.co.jp/showcase2/2012/20121127
画像提供:JA グリーン長野
日持ち試験
メキシコ出身で主に JA グリーン長野で栽培されているユーフォルビア・フルゲンス。
ポインセチアの仲間で切口からユーフォルビンを含む白い液体がにじみ出てきます。
茎上部、葉を取った瞬間からにじみ出てきます。
JA グリーン長野様からの情報によりますと、切り戻しを行い、切口をよく洗い流してから水に活け、
2日に1度水を取り替えると長持ちするとのこと。
そこで、水のみ・切花栄養剤のみ・切口洗浄・湯上げの4つの方法で日持ちを比べてみました。
※水以外の区分は全て切花栄養剤に活けています。
・ 実験環境
実験環境は一般財団法人日本花普及センターが設定する以下の条件で実施しました。
温度
湿度
照度
日長
25 度
60%
蛍光灯下で 1000Lux 程度
12 時間
※活け水は継ぎ足しのみ
・ 切り戻し
左図は下から 2cm あたりをナイフで切ったものです。
茎内部に白いものが見えますね。
下の方の茎は白い液体が固まってしまっているのが確
認出来ました。
実験の際は下から 5cm 辺りをナイフで切りました。
・結果
初日の様子(12.10)
8 日目(12.18)
水
水
切花栄養剤
切花栄養剤
切口洗浄
切口洗浄
湯揚げ
湯揚げ
・ 開花段階
つぼみ
苞葉の展開
雌花①
雌花②
展開
雄花
枯死
展開
展開
・ まとめ
今回の実験開始8日目の結果として、葉の黄化・離脱、またつぼみの咲き方の観点から
水よりも切花栄養剤を使用した方が日持ちするとの結果が見受けられました。
今回、水の区分では葉の黄化が早く、茎からの離脱が激しかったため
初日に比べ 8 日目の写真では下葉が少なくなっています。
また、水の区分では水下がりも観察されつぼみの枯死体も多く観察されました。
切花栄養剤は花に栄養を与え、活け水を清潔に保つことが出来ます。
JA グリーン長野様からの管理アドバイスでは 2 日に 1 度の水の取替えが良いとあり、
活け水の清潔さが重要であると考えられます。
今回の実験環境下では(終日 26 度設定)では 9 日から 10 日間の日持ち結果となりました。
ユーフォルビア・フルゲンス出荷期間は 11 月末から 1 月中旬までであり、気温の低い冬季環境下の玄関やリビングなどで
は 1 ヶ月日持ちすると言われています。
これからの季節、上品な姿のユーフォルビア・フルゲンスを用いて
クリスマスやお正月のお飾りを楽しむのはいかがでしょうか。
株式会社 大田花き
品質カイゼン室