お お 京都市都市緑化協会 た しゅうさく 太田 周 作 1 9 4 1年、高知県室戸市生まれ。京都大学付属古曽部園芸場にて 研修後、大阪市立天王寺公園植物温室に勤務。園芸業、造園業 自営の後、総合園芸商社を経て大阪テクノ・ホルティ園芸専門 学校教授となる。現在は㈶京都市都市緑化協会にて花と緑の普 及員、みどりの相談員に就任。樹木医。緑花文化士。 お み 園芸研究家 や す お 臣 康雄 愛知県生まれ。三重大学農学部農学科を卒業後、タキイ種苗㈱ に入社、タキイ研究農場で野菜育種に従事。退職後、宮崎大学 農学部フィールドセンター客員教授を経て、現在ニチレイ農業 コンサルタント(海外での野菜栽培指導) 。 また、10a の畑で 有機野菜栽培を楽しみながら、地域の市民農園で有機野菜栽培 の栽培指導ボランティア活動をしている。趣味は登山、スキー、 魚釣り、絵手紙など。 か み か ど 園芸研究家 て つ や 上門 徹 也 このコーナーでは、園芸作業中によく感じる疑問点、難しい点、 つまずきやすい点などを中心に、Q&A方式でやさしく解説します。 鹿児島県生まれ。宮崎大学農学部卒業。昭和36年タキイ種苗㈱ に入社、タキイ研究農場に配属となり、キュウリ、ピーマンな ど果菜類の育種に従事。定年退職後は趣味の野菜栽培をしなが ら、現在は地産地消の直売事業に携わっている。 植物の特性をよく知り、ワンランク上の園芸を目指しましょう。 また、植え付け時期は湿気の多い梅雨時、気温 の高すぎる盛夏、寒くなってゆく晩秋から冬は避 けてください。 多肉植物を植え付け後、水をやって管理したところ、 しばらくして根元から腐ってきました。 どのように植え付ければよかったのでしょうか。 本来、多肉植物とは植物体の地上部の一 部または全体に水や養分を貯蔵し、肥厚 したものをいいます。しかし、園芸上は この中からサボテン科の植物を別格として除き、 その他の科の多肉植物を総称して﹁多肉植物﹂と 呼んでいます。 そのため、一口に多肉植物といっても、系統的 にも形態的にもさまざまで、性質も多岐にわたり、 栽培方法もひとくくりにはできません。また、ア メリカにのみ自生するサボテンとは異なり、世界 各地に分布しています。 ただし、園芸的に見て観賞価値が高く、栽培さ れたり流通しているものの多くはアフリカ原産で す。 ご質問の件ですが、一般的な多肉植物の栽培方 法としてお答えしますと、植え付け後の水やりが 原因で腐ったものと考えられます。多肉植物は体 の中に多くの水分を蓄えていて、根は少なく、ま た、植え付ける時には砂を多く含んだ土を用いま す。そのため、鉢から抜いて移し替える場合、根 土は崩れてほとんどの土は落ちてしまい、根に傷 がつきます。水分が多いと、この傷口から病原菌 が入り、次々と伝染して植物全体を腐らせてしま います。 植え替えるには、まず1カ月前から水をやらず に土を乾かせておき、抜き取ったら傷のついた根 を切り取って植え付けます。植え付け後は1カ月 ほど水を1滴も与えません。 カランコエ・ブロスフェルディアナ(紅 弁慶) :ベンケイソウ科/原産地マダガス カル 冬に水をやりすぎ、根腐れした。 アデニウム・オベスム(砂漠のバラ) :キョ ユーフォルビア・ミリー(ハナキリン) : ウチクトウ科/原産地東アフリカ トウダイグサ科/原産地マダガスカル 冬の寒さで枯死。枝の一部は生きている 鉢が大きすぎ、多湿になり枯死。 ので、この部分を取り、挿し木ができる。 2008. 10. はなとやさい 55 ネギは周年にわた って料理の薬味や 鍋に欠かせない野 菜ですが、赤い斑点が出た ものは食べる気がしません。 これはネギのさび病です。 一般にネギやニンニクに よくみられ、タマネギ、ニ ラでも発生します。さび病 それが次第に膨らみ、やがて表皮が破 は春と秋にやや低温で雨が 多い場合や、肥切れして草勢が衰えた れて赤褐色のさび色の粉︵夏胞子︶を い時には葉が枯死します。さらに、被 飛散します。空気感染し、発病が激し 場合に発病が多くなります。 はじめは葉に小さい紡錘形の盛り上 がった赤褐色の病斑が多数出てきます。 害植物体上で冬胞子や夏胞子を形成し て冬を越し、翌春胞子を飛散して伝染 14 エダマメの粒の太りが悪いのですが、 どういう原因が考えられますか? エダマメを栽培してみると、 生育途中は簡単に育つように 思えるのですが、いざ収穫し さや てみると意外と満足を得られないこと があります。それは、①思ったほど莢 のつきが少ない。②莢はついているが、 一粒莢や二粒莢が多い。③莢の形は正 常に見えるが、粒が太っていない扁平 なものが多い。④害虫によって若い莢 の粒の部分が吸汁され、黒く変色し、 り、蕾や花への日当たりも弱くなりま 粒が太っていないなどです。 まず、基本的な原因としては、マメ 類に出やすい過繁茂が考えられます。 す。そのため開花や受粉が十分に行わ 頼らざるを得ません。開花初期から2 しょう。虫害を少なくするには農薬に めに当たる時期に追肥を行うとよいで は元肥のチッソ分を少なくし、着莢始 以上のことを改善するには適期栽培 を心掛け、株間を十分広くとり、肥料 くなります。 より受精が悪くなり、着莢や肥大が悪 次の原因は、開花期が梅雨期の最も 不良な天候と重なる場合です。多雨に ります。 いと着莢数が減り、粒の肥大も悪くな なったと考えられます。逆に草勢が弱 つぼみ 元肥のチッソ成分が多いか、追肥が早 れなくなり、莢つきや粒の肥大が悪く 葉が繁りすぎたため、風通しが悪くな すぎたことなどによって着莢前から枝 とりたてのエダマメ は格別のおいしさ。 します。 00∼600倍 収穫 日前まで3回 以内︶などです。 エダマメの花。元肥の チッソ成分過多や早期 の追肥が開花や受粉に 影響を及ぼす。 対策としては、被害株を集めて、圃 場外に持ち出し処分することです。ま た、できれば発病前から予防的に、発 病してしまったら早期に次の薬剤を散 布することで防除効果が望めます。 アミスター フロアブル︵2000 倍 収穫3日前まで4回以内︶、 ラリ ネギのさび病。(写真:駒田旦) ー水和剤︵2000倍 収穫7日前ま で3回以内︶ 、バイレトン水和剤5︵4 2 0 ネギに赤い斑点のようなものが出るのですが、 何かの病気でしょうか? ∼3回の薬剤散布が必要でしょう。 〔お詫びと訂正〕先月号56頁掲載のQ3の中で「キャベツの苗立枯病の発生初期にウイスペクト水和剤5での薬剤防除が可能」とありましたが、 種子粉衣で用いるのが正しい使用方法となります。お詫びして訂正いたします。 2008. 10. はなとやさい 56 家庭菜園でも人気のネギ。発病した場合、早期の薬剤散布が大切。 株間を広くとることは良莢・多収のポイントの1つ。
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