セーシェル - ICEP

産油国開発支援協力人材交流事業
ICEP 国際セミナー2012 セーシェル
平成 24 年 12 月 5 日(水)
場所 ホテルオークラ東京
講演記録集
一般財団法人 石油開発情報センター
はじめに
本書は、国の補助金の交付を受けて(財)石油開発情報センターが行う平成
24 年度産油国開発支援協力事業の一環として、平成 24 年 12 月 5 日(水)に開
催した「ICEP 国際セミナー2012 セーシェル」の講演記録です。
セーシェル共和国は、現在、探鉱開発会社 2 社による探鉱作業が進められて
おり、東アフリカの一角を占める探鉱有望国として注目されています。当セン
ターは平成 23 年 11 月に、同国に関心を有する石油開発会社等総勢 10 名から成
るミッションを同国に派遣、政府要人多数と意見交換するとともに、情報収集
しました。そして、この度、同国国営石油会社ペトロ・セーシェル会長ほか計 3
名によるセミナー講演が実現したものです。
本セミナーには(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)、ICEP 会員
会社など石油開発関係者 51 名のご参加をいただき、活発な質疑応答を交えた盛
況なセミナーとなりました。開催にあたり、経済産業省と JOGMEC に多大なご協
力をいただきました。厚く御礼申し上げます。
なお、当センターでは、引き続き各国の石油開発関連情報を皆様に提供して
行く所存でございますので、一層のご協力をお願い申し上げます。
平成 25 年 1 月
一般財団法人
石油開発情報センター
目次
ページ
1. セミナープログラム ··········································································································· 1
2. 講師略歴 ··························································································································· 2
3. 講演記録··································································································································5
(1) 開会の挨拶 (財)石油開発情報センター会長 寒河井 正 ································· 6
(2) 講演及び質疑応答
講演1 『セーシェルの石油・天然ガス政策と展望』 ················································ 7
Ambassador Barry Faure (PetroSeychelles 会長)
講演2 『セーシェルの地質概要と探鉱機会』 ························································ 19
Mr. Patrick Joseph (PetroSeychelles 探鉱部長)
講演 3 『石油・天然ガス上流部門の法制及びモデル契約』 ····························· 35
Mr. Eddy Belle (PetroSeychelles 最高経営責任者)
(3) 閉会の挨拶 (財)石油開発情報センター理事長 鈴木 孔 ···························· 47
4.
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
資料集
講演1資料 『セーシェルの石油・天然ガス政策と展望』 ·········································· 49
講演2資料 『セーシェルの地質概要と探鉱機会』 ····················································· 62
講演3資料 『石油・天然ガス上流部門の法制及びモデル契約』 ···························· 91
セーシェル共和国一覧表 ·································································································105
石油開発概観 ······················································································································106
5. 会場写真 ······················································································································· 108
6. 参加者リスト ··················································································································· 113
1.セミナープログラム
セーシェルセミナープログラム(実績)
日時
平成 24 年 12 月 5 日(水)14:00~20:00
ホテル オークラ東京 (港区虎ノ門 2-10-4)
場所
〔セ ミ ナ ー〕
別館 2階 「メイプル I」
〔意見交換会〕
別館 2階 「メイプル II」
逐次通訳 1 名
14:00~14:10
14:10~14:55
開会の挨拶
(財)石油開発情報センター会長
寒河井正
講演 1:『セーシェルの石油・天然ガス政策と展望』
Ambassador Barry Faure (PetroSeychelles 会長)
セミナー
14:55~15:05
質疑応答
15:05~15:30
コーヒーブレイク
15:30~16:30
講演 2:『セーシェルの地質概要と探鉱機会』
Mr. Patrick Joseph (PetroSeychelles 探鉱部長)
16:30~16:45
質疑応答
講演 3:『セーシェルの石油・天然ガス上流部門の法制とモデル契
16:45~17:30
約』
Mr. Eddy Belle (PetroSeychelles 最高経営責任者)
意見交換会
17:30~17:45
質疑応答
17:45~17:55
閉会の挨拶
18:00~20:00
懇談
(財)石油開発情報センター理事長 鈴木孔
-1-
2.講師略歴
バリー・フォーレ
ペトロセーシェル会長
姓
:
FAURE(フォーレ)
名
:
BARRY (バリー)
生年月日 :
1964 年
学歴
1982 年 セーシェル短期大学 卒業
1989 年 ハバナ大学(キューバ)社会政治学部
職歴
:
7 月 27 日
略歴
(48 歳)
卒業
:
2012 年 3 月
PetroSeychelles
2010 年 6 月
大統領府国務大臣
2006 年 4 月
欧州共同体大使(ベルギー、オランダ、ルクセンブルグ、スペイン、
ポルトガル、アンドラ大使兼轄)
2002 – 2005
経済企画庁長官
1999 – 2002
産業省
国際ビジネス庁長官
1995 – 1999
産業省
投資通商局局長
1992 – 1995
外務省次官
会長
-2-
パトリック・ジョセフ ペトロセーシェル
姓
:
Joseph(ジョセフ)
名
:
Patrick(パトリック)
生年月日 :
婚姻
:
学歴
:
探鉱部長 略
1967 年 12 月 5 日
既婚(子 2 人)
1985 – 1987
セーシェル工科大学
1989–1991
英国サザンプトン 大学(地球物理学)
1997–1998
英国リード大学
地球物理学修士課程
職歴 :
2012
ペトロセーシェル(PetroSeychelles)探鉱部長
2005-2012
セーシェル石油会社
探鉱部長
2001-2004
セーシェル国営石油 (Seychelles National Oil Company Ltd )
取締役
1999-2001
セーシェル国営石油 (Seychelles National Oil Company Ltd)
資源管理部部長
1991-1999
セーシェル国営石油 (Seychelles National Oil Company Ltd)
物理探鉱部
(Seychelles Petroleum Company)
-3-
エディー・ベル ペトロセーシェル CEO 略歴
姓
:
BELLE
名
:
EDDY (エディ)
生年月日 :
婚姻
:
学歴
:
(ベル))
1955 年 8 月 26 日
既婚(子 3 人)
1975-1978
英国 LANCASTER 大学(化学専攻)
1979-1980
英国 Leceister 大学大学院
1985-1987
テキサス大学地質学修士課程
職歴 :
2012
ペトロセーシェル(PetroSeychelles)最高経営責任者
2005-2012
セーシェル石油会社(Seychelles Petroleum Company)
次席最高経営責任者
1992-2001
セーシェル国営石油
(Seychelles National Oil Company Ltd)
専務取締役
1987-1992
セーシェル国営石油
(Seychelles National Oil Company Ltd)
チーフジオロジスト
1980-1985
国民青年学校
教師
-4-
3.講演記録
3.講演記録
<司会:長谷川業務部担当部長>
長らくお待たせいたしました。まだお越しになってない方もいらっしゃるよう
ですが、定刻になりましたので、ICEP セーシェルセミナーを始めさせていただ
きます。
本日はお忙しい中、多数お集まりいただきまして、ありがとうございます。こ
こには企業の皆様方のほか、私どもが日ごろお世話になっております経済産業
省、外務省、JOGMEC からもご臨席いただいております。またセーシェル共和
国の松本典文名誉総領事にもお越しいただいております。ありがとうございま
す。私は石油情報開発センターの長谷川です。本日の司会をつとめさせていた
だきますので、どうぞよろしくお願い致します。
さて、本日のセミナーにはセーシェルからフォーレ・ペトロセーシェル会長を
はじめ3名の方にお越しいただいております。ご案内のとおりセーシェルは石
油、天然ガスのポテンシャルを有する東アフリカ地域の一角を占め、外国石油
会社の探鉱活動が続いています。また現在、2013 年のライセンスラウンドを控
え、法制度の見直しが行われています。講師の方々にはこうした現況と日本企
業の上流部門への参入の機会について講演していただきます。どうぞご期待下
さい。
それではお手元の資料をご確認いただきましてプログラムにそってすすめてま
いります。尚、セミナー開始にあたりまして、主催者から一つお願いがござい
ます。地震などの緊急時にはホテルの指示にしたがって冷静に行動されるよう
お願い致します。
それではまず、私ども石油開発情報センター(ICEP)の会長、寒河井から開催
のご挨拶を申し上げます。
-5-
(1)開会の挨拶
石油開発情報センター会長
寒河井
正
ただいまご紹介いただきました寒河井でございます。本日は ICEP 主催のセー
シェルセミナーにご参加いただきましてありがとうございます。
最初に、ご講演のためにセーシェルから遠路来日していただきましたペトロセ
ーシェルのバリー・フォーレ会長、エディ・ベル CEO 並びにパトリック・ジョ
セフ探鉱部長にお礼を申し上げるとともに、皆様を心から歓迎致します。
また当センターが推進しています産油国石油開発協力事業について平素より教
えをたまわっております経済産業省、外務省、及び JOGMEC 並びに関係機関
の皆様、当センター会員の皆様にこの場をおかりしまして、厚く御礼を申し上
げます。
さて、セーシェルには昨年 11 月、当センターが主催しましてミッションを派遣
しました。最初、候補地としてセーシェルの国名を聞きましたとき、私はえっ
と思いました。私の当初の知識ではセーシェルは石油産業のない観光の国では
ないかと、正直思っていました。そこでセンター内の担当者に問い合わせまし
たところ、セーシェルから少しはなれた南西海洋、すなわちアフリカ東海岸、
特にモザンビークの近くで大ガス田が次々見つかっているということで、私も
納得したという次第です。
ミッションの際はペトロセーシェルの方々に大変お世話になったと聞いており
ます。ここで私からもお礼を申し上げるとともに、本日は私のような理解不足
のものにも目を開かせるようなプレゼンにより今後、日本企業がセーシェルに
て石油開発事業に参加し成功をおさめることができますよう期待して私のご挨
拶と致します。ありがとうございます。
<司会>
会長、ありがとうございました。それでは最初のご講演、アンバサダー・バリ
ーフォーレ・ペトロセーシェル会長による「セーシェルの石油、天然ガス政策
と展望」についてのご講演をたまわりたいと思います。会長、どうぞよろしく
お願い致します。
-6-
(2)講演及び質疑応答
[講演-1]
アンバサダー・バリー・フォーレ
ペトロセーシェル会長
ICEP 寒河井会長、鈴木理事長、松本名誉総領事、日本政府の皆様、ICEP のメ
ンバーの皆様、JOGMEC の皆様、石油会社の代表の皆様、今日この場をお借り
いたしましてセーシェルの石油とガスの状況、その見通し、将来の展望につい
てお話いただく機会を得たことを非常にうれしく思っております。
まず ICEP の皆様方にお礼を申し上げたいと思います。今回のこのセミナーの
準備にあたって非常にご尽力をしていただきました。とくに日本でもベストの
うちの一つに入るこの素晴らしいホテルの素晴らしい会場でセミナーを開く準
備をしていただき本当に感謝をしたいと思っております。
まず、先ほど寒河井会長もおっしゃいましたように、セーシェルについてそれ
ほど詳しくない方のためにまずセーシェルとはどういったところなのかという
ことをお話したいと思っております。それから私どもセーシェルが持っており
ます石油、ガスについてのポリシー、政策についてお話したうえで、実際に現
在どういった政策を実行し、また将来の石油、ガスの展望、我々がどのように
考えているのか、そういったことについて今日はお話をしていこうと思ってお
ります。
日本の永遠のアイドルであります松田聖子が「セーシェルの夕陽」という歌を
歌ったと私はお聞きいたしました。20 年、30 年前の話であるのですけれども。
それ以来、日本の多くの観光客がセーシェルを訪問しました。まずセーシェル
といえば、1番に観光地、観光の国で知られております。セーシェルは現在発
展しつつある小さな島国であります。
まず、その位置ですが、インド洋の南西部にありまして、赤道より若干南に下
がったところ、それと同時に所謂マスカリンの海嶺、これはその弓状になって
いるところなのですけれども、この北西の一番端に位置しています。まず私ど
もセーシェルには 115 をこえる島がありまして、そしてその総面積が 455 ㎢に
なっております。また、実に 1,330,000 ㎢の広大な EEZ(排他的経済水域)を
有する、そういった国であります。
-7-
私どもの国、セーシェルを特徴づける重要な特徴がいくつかあるわけでありま
すが、まず、海の真ん中にある島国としては花崗岩でなりたっている唯一の国
であるという点で、非常にユニークな島となっております。熱帯の気候で、年
間を通じて非常に安定した気候になっております。サイクロンもなければ台風
もありません。非常に広い面積を持った排他的経済水域を有しておりまして海
洋資源が非常に豊富でありますので、非常に漁業が盛んであるという状況です。
これまで非常に多くの日本の漁船がセーシェルにおいても活動をしたというこ
とがありました。
セーシェルは非常にユニークな、そして非常に静かな環境、恵まれた環境を持
っておりまして、実際に私どもの領土の 50%以上がナショナルパークというこ
とで保護されております。これは先ほど申し上げましたようにセーシェルとい
えば観光立国、観光の国だということは確立されていることであります。
私どもセーシェルには南西インド洋地域において一番水深の深い港があるわけ
です。そこには非常に良好な通信設備もそろっておりますし、光ファイバーの
海底ケーブルも備えられております。私どものセーシェル国際空港からは毎日
多くの定期便が中東に飛んでおりますし、またアフリカ諸国にも定期便が飛ん
でいるわけであります。近々、アブダビ経由で香港への便も就航する予定にな
っております。
また例えばマラリアですとか黄熱病のような熱帯地域特有の伝染病、そういっ
たものもセーシェルにはまったくございません。人口ですが、私どもの国は人
間の数がゾウガメの数より少ないのです。セーシェルには二つ世界遺産がある
のですが、ひとつはヴァレ・ド・メ自然保護区、もうひとつはアルダブラとい
うところです。実際、人間の数が 8 万 7 千人なのですが、15 万頭をこえるゾウ
ガメが私どものアルダブラ環礁というところに生息していまして、非常にたく
さんのゾウガメがすんでいる、それよりもセーシェルの人口は少ないのです。
またセーシェルでは盛んにカーニバルが行われていまして毎年 2 月から 3 月く
らいの時期にかけてカーニバルを行うわけです。ぜひ松本名誉総領事にもお願
いしたいのですが、また ICEP、JOGMEC の方にぜひカーニバルに来ていただ
く、松田聖子さんもぜひ連れてカーニバルに来ていただければと思っておりま
す。松田聖子がゾウガメのうえに座って、セーシェルの名物のヤシの実を持っ
て「セーシェルの夕陽」を歌うということを想像なさってみて下さい。ジャー
ナリストの方、今日はいらっしゃらないですよね。
-8-
では石油セクターの話に移りたいと思います。現在、石油、ガスの生産はセー
シェルでは行われておりません。また製油所も存在しないわけであります。私
どもの会社、ペトロセーシェルですけれども、これは政府の機関ということで
上流の分野を見ている、そういった機関であります。私どもペトロセーシェル
が設立されたのは、ほんの最近のことでありまして、セーシェル・ペトロリア
ム(SEYPEC)という会社が別にあるのですが、そこは下流を担当しているの
ですが、そこから分離をするという形でペトロセーシェルが設立されたわけで
あります。
ではこれから石油および天然ガスに関する政策についてお話をいたします。ま
ずセーシェルは海台の上にある島ですけれども、そこで花崗岩が露出している
状況でありますので、それがセーシェルを非常にユニークな存在にしています。
つまりそれによって海洋によって囲まれた大きなマイクロコンチネントが存在
しているということが示されているわけであります。
おもに 1960 年代のはじめの段階でさまざまな海洋調査がインド洋において行
われたわけであります。またその後、それに続いて多くの地球物理学的、また
地質学的な調査が今度は石油会社によって行われたわけですけれども、その結
果、先ほど申し上げましたマイクロコンチネント(微小大陸)上にかなり分厚
い堆積が存在していることがわかったというわけです。
ところが私どもの国は非常に小さな国であります。ですから私どもが持ってい
るキャパシティも限られているわけですので、現在のところ私どもセーシェル
では独自で多額のお金をかけて、たくさんの人材を投入することによって石油
の探鉱、開発をしていくということが我々だけではできない、という状況にな
っております。
そういったことで私どもは、外国の会社にぜひセーシェルに来ていただこうと
いう目的で必要な法制度を整備したわけであります。それについては私の同僚
がまた後で、プレゼンで詳しくお話をしていきます。
石油の探鉱目的のために、セーシェルの EEZ(排他的経済水域)全体が経度 10
分×緯度 20 分、それぞれ約 680 ㎢が長方形の区画に分割されています。
1977 年に非常に活発に探鉱を始めて以来、次のようなデータを政府が保有する
ことになりました。まず 2D 震探データですけれども 55,380 ㎞、ポテンシャル
-9-
フィールドデータが 72,297 ㎞、掘削された試掘井が4坑ということであります。
つまり所謂オイルプロビンスに必要な要素はすべてそろっている、とこのデー
タが示していることになります。この詳細については私どもの探鉱部長が後で
プレゼンをいたしますのでその時にご説明いたします。
セーシェルはグリーンエネルギーということで、それを促進しようとしている
わけです。矛盾している状況ではありますが、私どもはエネルギーのほとんど
100%を化石燃料に依存しているという状況であります。特に石油はセーシェル
にとっては非常に重要な商品となっています。これは日本でも同じ状況である
と思います。
実際セーシェルのエネルギー源ということであれば、我々は石油に 100%依存し
ております。実際に私ども国内の石油の総消費量、これは 2011 年の数字ですけ
れども 133,070 トン(MT)になっております。そのうち 50%以上が発電に使
われている状況であります。この表にも示されているとおり国内の石油の消費
がどんどん増えているという状況であります。
ここにもありますように国際的な石油の価格が高くなっているという状況を鑑
みまして、私どもセーシェル政府といたしましては、私どもの排他的経済水域
の中で石油の開発をより促進していこうとコミットしてきたわけです。つまり
そこで石油が発見されますと私どものエネルギーの供給の安定性の確保につな
がるだけでなく、私どもが国として必要としている収入が国家に入ってくると
いうことになるわけです。そういった目的をもちまして政府といたしましては
財政的な、同時に法制度に関するインセンティブを用意して、非常に優秀な技
術を持ち、しかも健全な財政状態を持っている石油会社の方たちに、ぜひ当国
に来ていただいて石油の探鉱、また炭化水素の利用開発、これを私どもの EEZ
の中でやっていただきたい、そういったことを促進しようとしているわけであ
ります。
では私どもの主な政策目的はどういったものかという話であります。第一に、
それは私どもセーシェルの EEZ 内で石油の探鉱をさらに進めていく目的で、実
際に石油会社の皆さんに投資していただけることができるような財政的、法制
度的なインセンティブを用意してそれを用いることによって探鉱を加速し、で
きるだけ早い商業的な石油の発見につなげていこうということです。
二番目の目的ですが、今石油価格が非常に乱高下していること、特にインドや
- 10 -
中国からの需要が非常に伸びていることを鑑みて、我々のエネルギー安全保障
を確保していこうというのが二番目の目的になっています。
三番目の目的は海外からの直接投資を誘致するということであります。
四番目は能力開発、技術移転を促進するということです。
五番目の目的は、安全、環境、投資について最小限のリスクで、経済的なメリ
ットを最大限にしていこうということです。
六番目の目的ですけれども、セーシェルにおける石油関連の活動におけるすべ
ての面についてのデータベース、そのデータベースをシステマティックに作り
上げていこうというものであります。
私どもの一番優先順位が高い政策目的は、皆様方のような国際的な石油会社の
間で、セーシェルにおける石油の探鉱についての関心を高めていただくことで
あります。まさにそれこそが政府によって作られた私どもペトロセーシェルの
役割であります。
ではここで法的な枠組みについて申し上げます。これに関しては私どもペトロ
セーシェルの CEO がこの後で時間を割いて詳細に説明しますので、私からは詳
細の説明は省きたいと思います。
まず 1976 年の Petroleum Mining Act、石油鉱業法ですけれども、それにより
ましてセーシェルに自然の状態で存在しているすべての石油に関しては国に所
有権があるということが明記されております。
その法律に基づきまして、まず政府としては、まず一番目のこととして非独占
的なライセンスを会社にあたえて、石油の探鉱、オペレーションをやっていた
だくことができるということになっております。
それから二つ目ですけれども、政府として石油会社と Petroleum Agreement、
石油契約を結ぶことによって、会社が独占的な権利をもってその契約の中で指
定された鉱区で石油の探鉱、開発、それから生産が可能になるということであ
ります。
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現在セーシェルにおきましては二つの会社が探鉱活動を行っております。一つ
はロンドンに上場されております AFREN という会社、もう一つはオーストラ
リアで上場されております WHL という会社でありまして、その 2 社とも掘削
をするという義務を負う会社という状況になっております。
まず AFREN ですけれども、3D 震探データをとる、これは今月末から始めてい
くことになっております。また WHL も実際に掘削に入る前に震探をすること
になっております。
ではセーシェルの石油とガスの将来の見通しについてお話いたします。ほんの
数年前までは、この東アフリカ、それからインド洋の西側の地域ですけれども、
炭化水素がない地域であるという印象を皆さん持っていたわけであります。そ
の理由はひとえに、やはりこの地域における地質がよく理解されていなかった
ということに起因するのではないかと思っております。
ところが最近、相次いで発見が行われております。具体的にはウガンダ、モザ
ンビーク沖合、それからタンザニア、最近ではケニアの陸上でも発見されてお
りますので、そういった発見が相次いだために認識が変わってまいりました。
それを受けて石油会社の皆さんが本当にこの地域に注目しているという状況に
なっておりまして、その結果、東アフリカおよびインド洋の西側の地域が所謂
ホットスポットになっている。つまり石油の探鉱、また、やがてすぐに生産が
始まるだろうということで、ホットスポットになっている状況であります。
2011 年ですけれども Fugro という会社、JOGMEC の皆さんご存知の会社だと
思うのですけれども、その会社が 2D 震探 20,000km の Multi-client data を取
得しました。そしてそれ以降、他の物理探鉱会社もさらに Multi-client data を
得ようということで関心を示してきております。
今年の 4 月ですけれども米国地質調査所 USGS が初めて、長いこと忘れられて
いたこの地域の炭化水素ポテンシャルの評価をおこなってそれを発表いたしま
した。この米国地質調査所の発表と先ほど申し上げました近隣諸国の相次ぐ発
見がありましたため、いくつかの会社が非常に高い関心をセーシェルに示す、
あるいはセーシェルを最近訪問する、といった形で大きな関心が広がっている
状況であります。
- 12 -
実際、これまでセーシェルといたしましては、いくつかの石油会社に対してデ
ータあるいは情報を、私どもの炭化水素ポテンシャルについてのデータを供給
してきた経緯はあったのですけれども、最近は新規の石油契約(Petroleum
Agreement)を全く出していない、出すことができない状態になっておりまし
た。
その理由は、2012 年の中頃から政府として、法的な枠組みあるいは財政的なし
くみについて再検討しようということになったわけです。東アフリカにおいて
いろんな活動が増えているということに鑑みて、私どもの制度を近代化しよう
と、そういった作業に着手したわけであります。
そのようなことに関して、私どもは国際的なパートナーの助けを得て作業をし
てまいりました。そいった国際的なパートナーといいますのは具体的にいえば
世界銀行、IMF、Commonwealth Secretariat(英連邦事務局)、それからア
メリカ政府であります。そういったところとパートナーを組んで作業をしてき
ました。
今日ここで皆様方にぜひお伝えしたいことでありますが、その作業がほとんど
終わりに近づいております。そして、近々、その結果を政府が取り入れ、現在
私どもが持っております法的な枠組み、財政的な制度を改正していくというこ
とになるだろう。それによってさらに将来の石油の探鉱開発に備えていくとい
う状況であります。
ですから、これは今日の午後の臨時ニュースということで、本日お集まりの皆
さんにお話しをしているわけです。
まず世界に先駆けて日本、今日この場所において私どもが発表しているわけで、
それがこの臨時ニュースであります。
まず来年 4 月までに、私どもオープン・ファイル・システムという新制度を私
どもが導入して開始いたします。日本の皆さんも実際にこの区域、この鉱区で
あると決めていただいて、その鉱区に対して探鉱、開発、生産ライセンスを申
請することが可能となります。
寒河井会長はじめ ICEP が、皆さんには秘密ということで伏せていたことなの
です。劇的に本日セミナーで発表するということで、ICEP が注意深く準備をし
- 13 -
てきてくださったわけです。そういった意味で ICEP には大変感謝を致してお
ります。ありがとうございました。
いまお話しましたので、この時点において皆さんは、新しいシステムについて
知ったことになったわけです。
もう一度申し上げますと、来年 4 月の段階において、いかなる日本の企業の皆
さんも、これは JOGMEC さんも含めて日本の企業の方すべてですが、セーシ
ェルの EEZ の中のどの場所に対してでも、石油の探鉱、掘削、そして生産を行
うことについてのライセンスの申請をしていただけることになるということで
あります。
ここでちょっと申し上げなくてはならないのは、オープン・ファイル・システ
ムという言葉ですが、これは所謂ライセンシング・ラウンド(入札ラウンド)とは
違ったものであります。
まず、来年 4 月の段階で外国石油会社の人たちは、実際にセーシェルのどのブ
ロックに対してでも探鉱し、掘削をし、やがては生産をしていくということの
ライセンスの申請をしていただくことができるようになるということでありま
す。
そういった外国石油企業が我々のライセンスを申請した段階で、我々ペトロセ
ーシェルとしては、そのことを公表する義務があります。つまり公表すること
をもってして他の外国企業も、そのブロックのライセンスに対して申請をする
ことを可能にしなければならないということになります。
つまり、外国企業の一社がそういった形で最初に申請をしていただく、そして
それから3か月時間をとりまして、その3か月の間であれば、他のどの外国企
業も、そこで探鉱をする申請ができるようにするということになるわけです。
これが我々のほうでオープン・ファイル・システムとよんでいるものでありま
す。当然、それに関して私どもは今後、外国の企業に、当然日本の企業を含め
てですけれども、様々な情報を提供していくということです。
そういったお知らせをするという意味も含めて、今後世界的にロードショーを
行っていくということになりますが、今日、言わば最初のロードショーの形で、
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皆様にお話をしているわけであります。
実際のプロセスについてですが、これは JOGMEC の方とも今朝お話をいたし
ましたし、昨日は資源エネルギー庁の浦田企画官ともお話をしたわけでありま
すけれども、ライセンスに先立つ前の段階で、例えば JOGMEC がセーシェル
で地震探査を行いたいということであれば、入札(bidding)手続きなしで、震
探を実施することが出来ると、そのようなプロセスであることはすでにお話を
したところであります。その結果、来年の 9 月までに、新規の Petroleum
Agreement に調印できることを私どもは期待しております。
私の講演を終える前にいくつかの点をもう一度、ハイライトという形で強調し
ていきたいと思います。
まずセーシェルはフロンティア的なエリアであるということ、そして今まで入
手できたデータから確認できることは、実際にうまく機能している石油システ
ムがすでに存在をしていて、そしてこの地域がオイルプロビンスになるために
必要なすべての要素はそろっている。具体的には根源岩、貯留岩、シール、構
造、そういったものが全部そろっているということが確認されていることであ
ります。
それと二番目の点ですけれども、大量のデータがすでにそろっているというこ
と、それと非常に興味深いリード(構造)もマッピングされているということ
であります。
三番目として、石油が発見された段階で、その石油が私どもの経済、国として
の目的にどのような影響を与えるのか、その重要性について政府はよく認識を
しております。そのために必要な法的枠組みを整備して、私どもの排他的経済
水域の中での探鉱、そしてやがては生産を、より容易にしていこうと考えてお
ります。
四番目の点ですが会社の方たちが既存のライセンスに対してファームインする
という機会もあるわけであります。また同時に、先ほど申し上げましたオープ
ン・ファイル・システムに参加していただく機会もあるということであります。
最後に、これは先ほども申し上げましたようにセーシェルというのは観光の国
であると、それと同時に政治的にも非常に安定している国であります。またそ
- 15 -
こで操業していただくということについても物理的にも非常に良好な、楽しく
仕事ができる環境が一年中そろっているということであります。
ここで私のプレゼンを終わりたいと思います。寒河井会長、ありがとうござい
ました。何かあればよろこんでご質問をお受けしたいと思っておりますのでお
願い致します。ご清聴ありがとうございました。
<司会>
フォーレ会長ありがとうございました。セーシェルの石油政策の概要に加えて、
最後の結論の部分でしょうか、セーシェルの魅力についても触れていただきま
した。そして新しく、劇的なというご発言だったと思いますけれどもオープン・
ファイル・システムの概要についてもご説明をいただきました。ありがとうご
ざいました。
それではフロアの皆様からご意見、あるいはご質問をお受けしたいと思います。
ご質問にあたりご所属とお名前をお聞かせのうえコメントいただけたらと思い
ます。どうぞよろしくお願いします。 いかがでございましょうか。
質疑応答
<会長>
最初の質問はなぜ私が松田聖子を知っているのか?という質問ではないかと思
うのですが。(笑)
<ICEP 鈴木理事長>
ICEP の鈴木です。フォーレ会長、素晴らしいプレゼンテーションをありがとう
ございました。質問は 2 点あります。
一点目、非常にユニークといいましょうか、オープン・ファイル・ビッド・シ
ステムについてです。冒頭、セーシェルのポリシーの中に国際石油会社等をア
トラクトするというご発言があったと思いますけれども、この観点からしてオ
ープンファイルビッディングですか、これは海外企業をアトラクトすることに
なるとお考えでしょうか。
- 16 -
<フォーレ会長>
アリガトウ。私が思いますというより、自信をもって言えることですけれども、
このシステムはうまく機能すると確信をしております。また同時に個人的な見
方というものでも、このご質問にお答えしたいと思います。
まず私がペトロセーシェルの会長を拝命してからまだ数か月しか時間がたたな
いのですが、私は CEO のエディ・ベルさんとずっと緊密に仕事をしてきました。
実際に多くの国際石油会社の方がセーシェルでの探鉱に関心を表明しているこ
ともあって、我々としては制度の見直し作業を急ぐ重要性についてあまり分か
っていませんでした。
つまり具体的に言いますと、私どもは新しい法的な枠組みを再検討する、当然、
法的なものだけでなく財政的なものを見直すという作業をしてきたわけであり
ます。ということで、ここしばらく、新規契約、あるいはライセンスを発行し
ていなかった時期があったのです。その間、いろいろな制度の見直し作業の中
で、私ども世銀ですとか IMF ですね、そこからいろいろガイダンスを受けて作
業をしてまいりました。
その間、私たちは唯一、ライセンシングラウンド、そういったことばかり話を
してきたわけであります。そもそもの予定ですと、今年の初めにライセンシン
グラウンドを行う計画になっておりました。ところが先ほど申し上げました国
際的な我々のパートナー機関からは、やはりその前に私どもの法的な枠組みを
見直したほうがよいのではないかというプレッシャーがかかってきたわけであ
ります。
しかしながら、我々は、そういったことをすると、我々に対してとかく関心を
示してくれた多くの企業に対して、お断わりしなくてはならないということに
なってしまうと、ずっとそういうふうに言ってきたわけであります。
ですから言ってみれば妥協案として、国際的なパートナーの彼らの要望を見据
えて、我々をこれ以上がっかりさせないように、妥協案として、このオープン・
ファイル・システムをしたらどうかと、パ-トナーも賛成してくれました。こ
のシステムはより多目的でよりフレキシブルな制度といえるものです。
<鈴木理事長>
どうもありがとうございます。二番目の質問はペトロセーシェル、どこかのス
- 17 -
ライドにナショナル・オイル・カンパニーという表記がありましたけれどもペ
トロセーシェルは今後いわゆるレギュレーターとしての活動のみで今後もずっ
といかれるのですか、それともいわゆるオイルカンパニー、世界に数多くある
ナショナル・オイル・カンパニーというのは操業部門を持っているところもあ
るのですが、そういう道を目指さないのでしょうか。
<フォーレ会長>
いい質問です。ペトロセーシェルとしては、石油の探鉱、そしてやがては生産
ということにつながっていくわけですけれども、現在のところそういった活動
に対してのコーディネーション、それからアドバイスを与える、管理、監督を
する、そういった活動を推進していく、そういった役割をペトロセーシェルと
しては現在持っているわけです。
今後、石油が発見されて生産が始まるということになれば、政府の中に、日本
のような形ですけれども、レギュレーターとしての役割をはたす部門を政府の
中に作っていく必要性が出てくると思います。政府の中にレギュレーターの部
門ができてくると、それを受けてペトロセーシェルとしては今後日本でいう
JOGMEC のような役割を持っていくようになるのではないかと思います。
<司会>
他にございますでしょうか。それではフォーレ会長、ありがとうございました。
ここでコーヒーブレイクを 20 分間程度いれさせていただきます。引き続きまし
て第2部に入りますので、どうぞよろしくお願いいたします。第2部は、3 時半
から進めさせていただきます。どうぞよろしくご協力ください。
・・・・・コーヒーブレイク・・・・・
<司会>
それでは第2部に入ります。ジョセフ探鉱部長に「セーシェルの地質概要と探
鉱機会」についてご講演をいただきます。ジョセフ部長、よろしくお願いしま
す。
- 18 -
[講演-2]
パトリック・ジョセフ探鉱部長
会長、理事長、ICEP の皆さん、日本の政府の方、JOGMEC の皆さま方、石油
会社の皆様、今日、私どもが皆様方の前でセーシェルの地質学的な特徴、また
我が国における探鉱機会についてお話をさせていただくことは非常に嬉しいこ
と、喜びであると思っております。
まず、地質の概略についてお話していきたいと思っております。最初に私ども
の露頭についてどういったものがあるのかというところからお話をはじめまし
て、それから現在利用できるデータ、坑井データ、また物理探査のデータベー
スをもとにして、例えば地下の地質についてどういったことが知られているか
お話をしていきたいと思っております。
その後に、地質構造的な発達史についてお話をしていきたいと思っております。
実際、現在使っている地質構造的なモデルを利用して得られるデータからお話
をしていきたいと思っております。その後で、Petroleum System(石油システ
ム)はどうなっているのかということの話しをしていきたいと思います。それ
に基づいて、現在、石油の集積を実現させていくために必要な様々な要素、例
えば具体的にいえば根源岩ですとか、貯留岩、シール、トラップのスタイル、
熟成度、炭化水素生成のタイミングについて我々がどういったデータを持って
いるかお話をしていきたいと思っております。
その後で皆様方にとって、私どもの探鉱活動に参加をしていただく際に、既存
のライセンスにファームインをしていただくオプションを含め、どのような探
鉱機会があるのかということもお話をしていきたいと思います。また同時にオ
ープン・コントラクト・エリアについてもお話をしていきたいと思います。
その前に、先ほどフォーレ会長からもお話があったことの復習になるのですが、
我々の国の状況についてあまり詳しくない方のためにご説明させていただきた
いと思います。まずこれは、ご覧いただけるようにセーシェル・バンクですが、
これはマスカリン・プラトー(海台)の北西の端に位置しております。ここに
弓型の構造が描いてありますけれども、これは海底の弓型のものでして、南の
ほうに伸びていく他のバンクもあることがここに示されております。このマス
カリン海台ですけれども、まず北東方向にはカールズバーグ海嶺と接しており
ます。そして北西方向にはソマリ堆積盆、それから南西方向にはマスカリン堆
- 19 -
積盆がそれぞれ位置しています。
では実際に露頭の地質というのは、非常にシンプルな花崗岩からなっているも
のであります。
これは先ほど、会長の説明にもありましたようにこういった状況になっている
ためにセーシェルは海の中にある島国としては非常にユニークな存在になって
いるわけであります。
この事実があったがために、特に 60 年代後半に多くのジオサイエンティストの
方たちがセーシェルにやってきて地球物理学的な調査を行ったということがあ
ったわけです。
これは花崗岩ですけれども、年代が特定されておりまして 7 億 5 千万年前の先
カンブリア時代のものであることがわかっております。後で詳細にお話します
けれども、現在わかっていることは、大昔ですけれども所謂ゴンドワナ超大陸
の一部であった微小大陸(マイクロコンチネント)のピークにあたるのが我々
の島であるということが現在わかっております。
では、私どもが持っている地下地質の知識ですけれども、あまり数は多くない
のですが、限られた坑井データ及び地球物理学的なデータベースですね、これ
はいくつかの違った年代のデータになるのですけれども、そういったものに基
づいております。
今示しましたこの浅い海のところですけれども、現在セーシェルでは4つの坑
井が掘削されています。そのうちの 3 つが 80 年代初めに Amoco によって掘削
された坑井でありまして、これに示しているところですが、それぞれすべて炭
化水素の徴候を見ております。これについては、あとで詳細にお話します。4 番
目の坑井ですけれども Enterprise Oil が 95 年に掘削したものなのですが、これ
はドライ・ホールでありました。
今示しているスライドですけれども、これは 4 つの坑井でわかった層序を合成
したものでありまして、これは震探のデータに基づいているのと同時に以前、
大陸としてくっついていた(Conjugate Margins)時の要素を考慮して作ったデ
ータであります。
- 20 -
ここにご覧いただけるように、実際にセーシェルの沖合においては非常に分厚
い一連の堆積が見られるということになっております。そして古い堆積の年代
がいつであったのか、これはまだわからないわけですけれども、こういった坑
井は三畳紀のセクションも入っております。そして二畳紀堆積物が再堆積した
証拠も見つかっている状況であります。
マダガスカルは二畳紀には海の中であったことが知られていますので、まだ発
見されておりませんが、良好な石油を生む二畳紀の海成根源岩があるのではな
いかということが考えられています。
これは最近の AFREN によります震探のデータですが、それによりますとこの
特徴は岩塩ダイアピルであると解釈できるという可能性があるということです。
実際の分布はまだわかっていませんけれども東アフリカですとかマダガスカル
との類似性に比べてみれば、これはジュラ紀であるというのが合理的な判断で
あると思っております。
第三紀ですけれども、これはほとんど分厚い大陸棚の炭酸塩岩が支配的な存在
になっております。これは Deccan Volcanics(インドで見られるデカン火山岩
類)上にあるというものであります。
ジオサイエンティストの方であればお分かりになると思うのですけれど、こう
いった構造になっているために震探のデータをとるのが非常に難しくなってい
る状況です。非常に強い海底のマルチプル(多重反射波)ですね、そのエネル
ギー吸収によって、良好なデータをとるのが非常に難しくなっております。つ
まり第三紀以前に起きたイベントのイメージをつくるのが非常に難しくなって
おりまして、ここにも示してありますように、ほとんどの年代の震探データに
見られる問題であります。
とは申しましてもかなりの多くのボリュームのオープンファイルの 2D 震探デ
ータがあるわけです。合計で約 23,000km になる分量であります。またすべて
のデータに対するフィールドテープが残っています。近代的な技術を使ってデ
ータの再処理をしてくださる方がいれば、そういった方にはフィールドテープ
のデータがあるということを、ここで申し添えておきたいと思います。
当然、近代的なデータの必要性というのは明らかでありましたので 2010 年に
Fugro Multi Client Services が約 20,000km を収録したわけであります。つま
- 21 -
り近代的な大きなオフセットの High Fold(高重合)データ、20,000km を取得
いたしました。それがカバーしているのはピンクの色で示しているところです
けれどセーシェル・バンクとその周辺の深海部のところであります。こういっ
たデータですけれど、これは Multi‐Client Basis で購入していただけるデータ
となっております。
さらにデータのクオリティということに関しては、かなり改善されております。
とくに新しいデータにおいては非常にクオリティが上がってきております。特
に今お示ししましたように第三紀より前、Pre-Tertiary の地層ですけれども、
Gas Escape(ガスの逸散)もはっきり見られます。そういった意味で非常にデ
ータの質は向上してきているわけであります。ですから地質を考えれば非常に
震探データをとるのは難しいということは、先ほど話しましたけれども、それ
でもこのような形で非常にいいデータをとることができる見通しがあるという
ことであります。
良好な兆候を示すフィールドデータもとられておりまして、今お見せしている
のがブーゲー(Bouguer)重力異常マップであります。これはバンクのところです
が、真ん中のところに非常に深いアノマリー、異常の様子が見えております。
実際、そのバンクのところですが、これは可能性としては、完成しなかった
(failed)リフト構造であるかもしれないと。それを考えればまだセーシェルの
沖合で、テストされていない堆積盆の可能性があるのではないかということも
考えられるわけであります。
磁力データもありますので、それを使うことによって実際の構造の傾向、それ
と基盤岩の構成を明らかにするということが可能になるということも考えてお
ります。
ですから実際に震探データに関心のある方は、フィールドデータをそういった
形で見ていただきたいと、是非お勧めします。
グローバルなスパンプロジェクト、これは地球深部に対する震探プログラムで
すが、セーシェルにおいては 3 つの測線が実施されております。このデータは
ION から購入していただくことができるわけでありまして、そのデータを使う
ことによって、いわゆる堆積盆の形状に加えて大陸の地殻の範囲を明確にする
ことができると思っております。
- 22 -
こういったデータをもとにして言えることは、現在私どもが持っております地
質構造的な発達についての我々の現在の理解が正しいものであるとことが、こ
のデータによって裏付けられていることが分かるわけでありまして、それにつ
いては次のスライドで詳しくお話したいと思います。
これは二畳紀の図ですけれどもセーシェルはゴンドワナ大陸の真ん中に位置し
ております。インドとマダガスカルに挟まれたような形でセーシェルはあるわ
けですけれども、この拡大図を見ていただければわかると思うのですが、セー
シェルはマイクロコンチネント、この濃い色で書いているところがマイクロコ
ンチネントであります。
だいたい 2 億 2 千 5 百万年前にいわゆるリフティング、分裂がおこって、その
結果ゴンドワナの東と西が分かれた、そういった動きが始まりました。これか
らそれぞれの時期のスナップショットをお見せしたいと思います。構造地質学
的な動きですね、それらの段階をお見せしたいと思います。やがてはそういっ
た動きが終わった後、セーシェルのマイクロコンチネントの位置が決まったと
いうことになったわけです。
最初にお見せするのが初期の白亜紀の状況でありまして、これはゴンドワナの
東と西が分離したあとで、セーシェルがインド及びマダガスカルとともに南の
ほうに動いていったという状況であります。デイビー・フラクチャー・ゾーン
(Davie Fracture Zone)がソマリ堆積盆を開いたという状況であります。
これは先ほどの絵の中にも示されておりますが Amoco の坑井ですね、セーシェ
ルの西側の大陸棚にある坑井ですけれども、そこでリフトと大陸移動の分裂、
移動といった一連の流れの証拠が示されております。
では 2 番目のスナップショットですけれども、これは白亜紀後期の状況であり
まして 2 番目に起こった分裂ですね、それによってセーシェルとインドがマダ
ガスカルから分離して、その結果、マスカリン堆積盆が開かれた、そういった
分裂です。
この 2 番目の分裂は、白亜紀の中頃、だいたい 1 億年前に起こったとなってお
りますが、これが非常に急速に起こったと信じられておりまして、だいたい
8,500 万年くらい前、いわゆる海底部がそこに介在するようにできてきたと、そ
ういった状況になりました。分裂はセーシェルの南、南東部の大陸棚に沿った
ところで起こったものなのですが、変形されていない progradational wedge、
- 23 -
前進する堆積作用でできた楔形構造によって特徴づけられているわけで、6000
mくらいの厚さで堆積しているものであります。
このような形で、非常に短い大陸分裂のサイクルの中で急速に堆積したという
ことを考えれば、この地質構造ですが、ストライク・スリップ(横ずれ)ある
いはトランスフォーム・ムーブメント(transform movement)、そういった動き
に支配されて起きたのではないかと考えられているわけであります。
それに加えまして、この地質構造的なイベントに関連して、反時計まわりの動
きがありまして、それによってセーシェルが現在の方向にむけられたというこ
とです。
最後の 3 番目のスナップショットですが、これは暁新世のものでありまして、
インドがセーシェルから分離していくという過程であります。その結果、アラ
ビア堆積盆が開かれたわけであります。その後もインド大陸が継続して北方向
へ移動していきまして、最終的にユーラシアと衝突してヒマラヤを形成してお
ります。
そういったことでセーシェルのマイクロコンチネントがインド洋においてどの
ような形で分離、移動して現在の位置に来たのかということがおわかりいただ
けたと思います。
今お話しした3つの段階ですが、分裂と大陸移動の動き、この3つの段階が起
こった結果、あるいは可能性としては4つあるのかもしれませんけれども、そ
ういった数の Exploration Provinces(探鉱対象域)がセーシェルで作られたと
いうことになったわけです。
重力データを見ると、それによって failed rift graben うまく形成されなかった
リフトの地溝がわかるわけです。これは海台の中央部に位置するわけですが、
先ほど言いましたように、まだ探鉱されていないものです。
2 番目ですが、これは中生代の前半におこった回転するような形の断層ブロック
ですが、これはセーシェル、マダガスカル、インドが東アフリカから分離した
ことに伴ってできたものです。
3 番目ですが、これは中生代の後半のプロビンスでありまして、マダガスカルが
- 24 -
セーシェルおよびインドから分かれたことに関連するものであります。これは
先ほど申し上げたものになりますが第三紀のプロビンスのところですけれども、
非常に前進的な楔形構造(前出)の作用ができているということがおわかりい
ただけると思います。
最後に第三紀のプロビンスになるわけですけれども、最後の分裂の図ですね、
つまりこれはインド、セーシェルが分かれた分裂ですけれども、これに関して
は第三紀の炭酸塩岩が、一番古い堆積岩あるいは基盤岩の上を覆っているとい
う状況になっております。
セーシェルはフロンティア・エリアでありまして、現在のところ商業ベースで
の炭化水素発見はなされておりません。ところがサクセスフルな炭化水素の集
積に必要な要素というのは全部存在しております。
これから具体的にお話をしていこうと思っておりますけれども、まずソースロ
ック(根源岩)のお話をいたします。
まず Amoco の坑井において、いくつかの根源岩が同定されております。三畳紀
後期からジュラ紀中頃のセクションにおいて分かっております。
実際にこれら根源岩の重要性をよりよく理解していただくために、まずタール
ボールのことを理解していただくことが非常に重要になっております。いくつ
かのセーシェルの島にタールボールが流れ着いているわけでありまして、こう
いったタールボールが回収されて分析されております。その結果それらのター
ルボールはローカルソース由来のものであるということがわかってまいりまし
た。
実際にそのタールボールを分析することによってセーシェルの油のファミリー
が二つあることがわかったわけであります。最初のファミリーは三畳紀後期か
らジュラ紀初期にかけての時代のものであります。2 番目のファミリーは、白亜
紀後期のものでありまして、インド・ボンベイハイの油と非常に類似性があり
ます。
最近、坑井のサイドウォール・コアからの炭化水素とタールボールとの相関関
係を試みる作業がされてまいりました。その結果わかったことですけども、バ
イオマーカーの集合体、アセンブラ G の中に非常に良好な相関関係があるとわ
- 25 -
かったわけです。つまり考えられることは、タールボールの炭化水素はローカ
ルな根源岩から来たものであって、実際にわかっている既知の根源岩、坑井の
根源岩との相関関係が考えられるのではないかということです。
中生代前半、ゴンドワナ大陸の東側と西側が分裂したときに、非常に大きな囲
われた形の海の環境が存在したということが分かっています。その海の環境の
中で非常に広範囲の、また非常に良い根源岩が発達したということが示されて
いるわけであります。
それらの根源岩から、例えばマダガスカル・Tsimiroro のヘビーオイル、それか
らタンザニア・ソンゴソンゴのガス田、また他の油徴・ガス徴等が生み出され
ているという事が考えられているわけでありまして、セーシェルにも続く地域
において、そういったものが、その根源岩から作りだされたという事が考えら
れております。
では次に貯留岩の話にうつります。坑井のなかでいくつかの貯留岩が同定され
ております。いくつかの DST テストが行われました。その結果わかったことな
のですけれども、非常に良好なフローレート(産出量)がありましたので、こ
れは貯留岩の中の浸透率が非常にいいものであるということを示していると思
っております。このような貯留岩ですけれども実際に 3D 震探から分かったもの
であります。
シールですけれども、これは大陸移動してきたためにできた地域的な海成頁岩
と、局部的な河川、デルタ由来の頁岩互層、その両方があるということです。
これは坑井データでその存在が証明されています。それと最近の震探解釈によ
って、そういったことが推定されてきたということであります。
またいくつかのトラップ・メカニズムも存在しております。まずこれは、いわ
ゆる tilted fault blocks、傾動した断層ブロックから、ピンチアウト(尖滅)、さ
らにはサンゴ形成に至るまで、様々なものが存在をしているわけであります。
これらのいろいろ違ったトラップ・メカニズムをマッピングしてみた結果、さ
まざまなプロスペクトやリードが得られたわけであります。それらのリードあ
るいはプロスペクトですけれども新しい探鉱がなされるにつれ、数がさらに増
えていくということになるわけであります。
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これらのリードのうちのいくつかには非常に大きなものがありまして、可能性
としては非常に大きなボリュームの炭化水素を持っているものがあるというこ
とが考えられています。先ほど示しましたものが、そのうちの大きなもののひ
とつです。
今度は熟成している、実際機能している石油システムの証拠ですけれども、こ
れはお話しました様々なものから結論が得られているわけです。
具体的に言いますと、タールボール、坑井での油ガス徴、そういったものが地
化学的な異常値や、DHI(Direct Hydrocarbon Indicator)、これは震探から得
られるものですが、そういったデータから、熟成している、機能している石油
システムがあるという証拠になっております。
先ほど申し上げましたように、3 本の Amoco 坑井ですでに炭化水素の徴候を見
ているわけであります。それらをまとめたものが緑色のスポットで書いてある
ところです。
この表ですけれども、ここにはいろいろ違った、3 つの油徴が示されておりまし
て、それらの坑井では、いわゆるマイグラント・オイル(移動してきた石油)
の徴候であるヘッド・スペース・ガスがあるということが示されているわけで
あります。
このリース・バンク(Reith Bank)では DST(ドリル・ステム・テスト)にお
いて 0.7ppm のベンゼンがあるということもわかっておりますので、これをもっ
てして非常に集油の場所に近いところにあることが考えられるわけであります。
さらに 1983 年に震探と一緒に Amoco がガス・スニファー・サーベイ(ガス直
接探知)を行いました。それによりましても非常に興味深い異常が検出されて
います。いまここに示しているものですが、そういった異常値が示されており
ます。
さらに 1991 年に Enterprise Oil が行った調査においても新しいデータがでてき
ているわけでありまして、空中蛍光探査(airborne fluorescence survey) とよば
れるもので、これは太陽の光を使って海面に反射させて、その反射をみて決め
るものですけれども、非常に興味深い異常値が出ております。
- 27 -
先に Amoco が掘った坑井の上を飛んで蛍光探査を行ったわけですけれども、今
示しました区域で異常が認められたと、さらにそれから普遍して考えると、そ
こから北と南のほうにも異常が見られるという結論に達したわけであります。
そういった形で異常が出ているということは、その場所において集油があるの
ではないかと考えられるわけであります。
さらに最近ですが、ペトロセーシェルが Infoterra という会社に委託をして、サ
テライト・シープ・サーベイ(satellite seep survey)というものを行いました。
それによって非常に面白いシープ(炭化水素の浸み出し)の異常が検出されま
した。皆さんが我々のデータセンターに来ていただければ、このデータをお見
せできると思っております。
今お見せしているのが震探の DHI(前出)で、これがガス・チムニー(gas
chimneys)、フラット・スポット(flat spots)、これはフェーズ・リバーサル(phase
reversal)です。
ケモシンセティック・リーフのビルドアップ(chemosynthetic buildups)、こ
れは個性的なサンゴ礁の形成ですけれども、こういった形で DHI が見られると
いうわけであります。
あくまでもこれはサンプルで、すべてを今日お見せすることはできないのです
けれども、証拠としてそういったデータがあるということです。
このようなデータが示すところは、セーシェルにおいては石油とガスが生成さ
れ、トラップされているということで、それが発見されるのを待つばかりだと、
願わくは日本の会社に発見されるのを待つばかりだという状況です。
堆積盆のモデリングの作業が最近、Geotrack という会社によって行われました。
その結果が示すところによれば、地下の熱で根源岩が熟成したと、それが起こ
ったのがインド・デカンの火山活動(Volcanic event)、時期的には白亜紀と第
三紀との境界に起こったわけであります。またその前後にもかなり大きな熱の
イベントがあったということも同定されております。
実際に地質構造的な発達から、はっきりわかることは、構造のほとんどは実際
に石油の生成および移動に先立つ形で作られたのではないかということであり
- 28 -
ます。
さまざまな熱の事象が起こったということを表にしました。これがそのヒーテ
ィング・イベントのリストであります。
まずマリオン・イベント(Marion event)がおこったタイミングですね、それ
からリース・バンクのピークの熟成がおこったタイミングをここに示していま
す。
まずリース・バンクですけれども、ピークの熟成と高い炭化水素生成率が起こ
ったマリオン・イベントというのは白亜紀の初期ですけれども、まず深い根源
岩についてはその時期に起こったということ、それから浅いところにある根源
岩のピーク・マチュリティ―(熟成ピーク)とハイ・ジェネレーション(高い
炭化水素生成)が起こったのは白亜紀と第三紀の境界時期に生じたデカン・イ
ベント(Deccan event)の時であるということです。
実際、一番古い根源岩から生じた炭化水素の生成はおそらくマリオン・イベン
トの前だったのではないかと思われております。
つまり通常の埋没作用の結果、そうなったのではないかと考えられているので
あります。
さらに構造トラップの形成は、それぞれのサーマル・イベント(熱の影響を受
けた時期)に先立つ段階で起こったということであります。
実際にそれぞれ擬似坑井において検証したものがあるのですが、時間がありま
せんので詳細の説明は省きますけれども、どの擬似坑井においてもはっきりわ
かることは、実際に炭化水素の生成が起こる前に構造ができたということであ
ります。
そうなると、なぜセーシェルでいわゆるコマーシャルな形での炭化水素がまだ
発見されていないのかと疑問に思われると思うのです。
新しい震探によって得られたデータを解釈していってわかったことですが、す
でに掘削された4本の坑井のどれをとっても、妥当なテストがなされていなか
ったということがわかったわけであります。
- 29 -
具体的にいいますと、まずオーエン・バンク1号井(Owen Bank 1)、これはクロ
ージャーを示さない構造で掘削されたということであります。
それからリース・バンク1号井(Reith Bank 1)に関しては、これはトップシール
が完全に浸食されてしまっていたということ、それからシーガル1号井(Seagull
shoals 1)に関してはターゲット(想定貯留岩)に届かなかった、つまり掘削上
問題があったために途中で廃坑されてしまったわけで、ターゲットには届かな
かったということであります。
そして4番目の坑井、コンスタント・バンク1号井(Constant Bank 1)ですけれ
ども、これもターゲットには届かなかったわけであります。実際に予期されて
いたよりも炭酸塩岩が分厚かったわけで、それをずっと掘っていたわけですけ
れども、その結果、ターゲットには結局届かずじまいだったということであり
ます。
そうするとこれはどういったことを意味するのか、ということになるわけです。
最近 WHL がモデリングの作業を行いました。その結果、実際にセーシェルで
の既知の根源岩からは4兆バーレルの石油が生成されたことが分かったわけで
あります。
仮定の話ですが、そのうちの 0.1%だけでもトラップされていれば、実際に何十
億バーレルの石油がセーシェルで発見されるのを待っているという状況にある
ということであります。セーシェルの EEZ、排他的経済水域の中で発見される
のを待っている状況であります。
これは誇大な話ではありません。指摘しておきたいことは、この調査は独立系
コンサルタント会社である PDF 社に委託したもので、ペトロセーシェルまたは
セーシェルで操業する会社が作った数字ではないということです。
以上に基づいて、次は探鉱機会についての話です。
具体的にどういった探鉱機会がセーシェルにはあるのかということですが、最
初のオプションとして考えられるのは、既存のライセンスにファームインする
ということであります。
- 30 -
これは現在のセーシェルの鉱区図を示しております。まず WHL は黄色ですね、
それから Afren、これは紫で示されているわけであります。
実際に WHL ですけれども試掘のフェーズに入っております。つまり試掘する
ことをコミットしたという段階に入ったということです。
WHL は現在ファームアウトをオファーしている状況であります。たくさんの数
のリードが出てきております。量的にも興味深い数字が出てきているリードで
あります。
いくつかのリードはエレファント(巨大)級と分類づけられるように大きなも
のもあるわけでありまして、その中で一番大きな構造は 10 億バーレルくらいを
持っているのではないかと、ですから震探データを考慮すると、この地域全部
の合計で 20 億バーレルくらいあるのではないかと考えられているわけでありま
す。
もう一つの会社、Afren という会社ですけれども、その Afren 社も同様のフェ
ーズに入っております。試掘をコミットしている状況です。Afren はファームア
ウトオファーを積極的にはしていない状況ですけれども、Afren と一緒に仕事を
する可能性はあると思っております。
現在、Afren は二つのエリアで 3D 震探を行う準備を整えている状況であります。
今、お見せしている写真は震探の船ですけれども、ポラーカス(Polarcus)という
会社が持っている船で、今セーシェルに向けて航行しているところで、日曜日
に入港する予定になっております。私どもがセーシェルに帰るのが土曜日です
ので、そのすぐ後にこの船が着くと、そういったスケジュールであります。
先ほど、会長からもお話いたしましたように現在、ペトロセーシェルは来年の
初めに鉱区公開(プロモーションラウンド)を行うという計画を持っておりま
して、それによってセーシェルの排他的経済水域において、より多くの新しい
投資を呼び込もうと考えているのであります。
今、ここに黄色でお示ししているのが 19 の新規のコントラクト・エリアです。
セーシェルにおいて皆様に炭化水素の探鉱をしていただく新しいコントラク
ト・エリアが公開されるということであります。
- 31 -
将来的には、大陸棚延長部(extended continental shelf)のエリアも探鉱対象
になるということであります。今示しましたこのエリアはセーシェルとモーリ
シャスが領有権を主張しているわけですけれども、現在、共同でここを開発で
きるようにするための法的、また財務的な制度が検討されつつあるという状況
です。その話し合いの結果については石油会社の皆さんに、今後、情報提供し
ていきたいと思っております。
本日はご清聴ありがとうございました。ビジネスでも観光でも結構ですので、
是非セーシェルに来ていただきたい、ご招待したいと思います。ありがとうご
ざいました。
<司会>
ジョセフ探鉱部長、どうもありがとうございました。地質と探鉱状況について
興味深いご説明をいただきました。さらに新しいラウンドというよりもオープ
ン・ファイル・ビディングの説明までしていただきました。ありがとうござい
ました。
質疑応答
<司会>
それではここでフロアの皆様からご意見あるいはご質問を受けたいと思います。
どうぞよろしくお願い致します。
<ICEP 中水氏>
ICEP の中水と申します。ジョセフ探鉱部長、どうもありがとうございました。
二つ質問したいと思います。一つは、最初の基盤岩の分離というのが東アフリ
カ、あるいはマダガスカル、インドと分離されたという話がありましたが、そ
の資料は入手可能なのでしょうか。
二つ目は、ソースロック(根源岩)のコリレーション(対比)の話がございま
したが、Amoco 坑井の対比データは入手可能でしょうか。
<ジョセフ探鉱部長>
まず基盤岩には二つの定義がありまして、一つは花崗岩であります。その情報
- 32 -
がございますので、具体的にどういった情報がほしいと伝えていただければ、
われわれは分析もしておりますので、ご提供できると思います。
ただエコノミック・ベースメント(経済上の基盤岩)に関しましては、申し訳
ありませんが、情報は持ち合わせておりません。
それと根源岩との相関関係についてですけれども、スライドでいくつかの地化
学サンプルをお見せしたわけですけれども、それらの根源岩について、相関性
についてのデータが入っている CD があります。それをお渡しできると思いま
すし、もしさらに調査が必要だということであれば紙ベースのデータを持って
おりますので、ご提供できると思います。これは Geomark というところが分析
したデータであります。
<司会>
よろしいでしょうか。ほかにございますでしょうか。
<奥井氏>
奥井と申します。出光という民間の石油会社に勤めておりますジオロジストで
す。実は私の大学の指導教官が毎年アフリカに調査に行っておりまして、セー
シェルの話を聞き、セーシェルが気になっておりました。今日はセーシェルの
詳しい話を聞かせていただきまして非常にうれしく思っております。30 年ぶり
に詳しい話を聞きました。
二つ質問があります。一つ目は、先ほど見せていただいたベースン・モデルで
は、埋没深度の熟成度から見ますと深いソースロックはガスを作っているので
はないかと思ったのですが、ガスの可能性はありますでしょうか。
<ジョセフ氏>
温度によって変わってくると思いますが、それらの温度についてご説明したわ
けですけれども、実際に、白亜紀中期にかけて、浅いところのものよりも深い
ところのほうがガスの可能性が高いと思いますが、いずれにしても温度によっ
て変わってきますので、順番にもよりますけれども、その間のところを見た場
合にはガスの可能性があるのではないかと思ったわけです。
坑井の中の温度ですね、具体的に示したのが 0.4、1.2 と 1.5 ですので、それに
よって変わってくるのではないかと思っております。
- 33 -
<奥井氏>
ありがとうございます。2 番目の質問は、先ほど伺ったお話ですとセーシェル
ズ・バンクの西側が地質的に面白いと思ったのですが、そこは Afren 社が権益
を保持しているということで、権益比率と、本当にファームアウトの可能性が
ないのかということをお伺いしたいと思います。
<ジョセフ氏>
これは先ほどお見せした鉱区図です。Afren の鉱区はここですけども、坑井位置
は 3 坑とも Afren エリアの外側なんですね、ですから興味のある方はそこに入
って来ることができるところです。
実際に Afren がファームアウトするかどうか、我々はその可能性については言
う立場にないという状況でありまして、実際、会社が自分たちの探鉱プログラ
ムを持ってやっておりますので、やはり財政的なインプットが必要だと考えれ
ばファームアウトの必要性が出てくるわけですが、現在、Afren がファームアウ
トするかどうか、私の方からお話をする立場ではございません。
<奥井氏>
では確認ですが、Afren は今、100%の権益を持っているのでしょうか
<ジョセフ氏>
保有する鉱区はそうです。オペレーターということで権益の 100%を持っている
という状況であります。
私もセーシェルズ・バンクの西側が面白いということには同意致します。
<司会>
他にいかがでしょうか。よろしいでしょうか。ジョセフ探鉱部長、ありがとう
ございました。
それでは最後、第 3 部になりますが、ベル CEO によります「セーシェルの石油
天然ガス上流部門の法制とモデル契約」についてご講演いただきます。ベル CEO
お願いします。
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[講演-3]
エディ・ベル
ペトロセーシェル最高経営責任者
ICEP 会長、ICEP の皆さん、日本政府の代表の皆様方、JOGMEC の皆さん、
それから石油会社の皆さん、今日はこの場をお借りしましてセーシェルにおけ
る炭化水素資源について、その探鉱、その利用について私どもがどういった法
的な、また契約的な枠組みを持っているのかということを、手短かにお話しし
たいと思っております。そういった話ができることは、私の非常な喜びとする
ものであります。
今日の最後のプレゼンテーションで、こういった法律的なこと、契約的なこと
を、数字を含めてお話をしていくわけですが、あと 30 分程お付き合いいただけ
ればと思います。
まずセーシェルの石油の探鉱、開発、生産についてですけれども、これは比較
的短い法律、1976 年の Petroleum Mining Act、石油鉱業法と呼ばれているもの
によって統治されているものであります。
この法律ですけれども、国際石油会社による石油探鉱の投資をできるだけ良い
形でおこなっていこうと、そういった法律的な環境を作ることが、この法律の
目的であります。
まず、セーシェルの領域内にある石油は国の所有物であるということが定めら
れております。
この法律にもとづいて政府は、会社に対して、non-exclusive、非排他的な探鉱
のみのライセンスを発行する。それに基づいて石油会社が石油の探鉱を行うこ
とができるということです。
二つ目として、ペトロリアム・アグリーメント、石油契約を石油会社と結ぶ。
それに基づいて石油会社が優先権、独占権をもって契約した鉱区で石油の探鉱、
開発、生産を行うことができるということが石油鉱業法で定められております。
まず Exploration License についてお話を致します。この探鉱ライセンスという
ものですけれども、これは非独占的なものでありまして、このライセンスをと
った会社はライセンスによってカバーされているエリアにおいてのみ探鉱活動
- 35 -
を行うことができるということになっております。
会社は、セーシェルの他のエリアにおいて、さらに鉱区(acreages)をカバーする
ために複数のライセンスについて申請することも可能です。
探鉱ライセンスの条件については、当該会社との交渉によって決まることにな
っております。この当該ライセンスの期間は 2 年間になっておりますが、当事
者間の合意に基づいて更新できるようになっております。
通常、この探鉱ライセンスはマルチ・クライアント・サーベイを行う会社に出
されるということになっております。例えば日本の会社、例えば JOGMEC の
皆さんが震探を行いたい、マルチ・クライアント・サーベイを行うという場合
には、このライセンスについて申請をしていただくということになります。
では、次に Petroleum Agreement、石油契約とよばれるものであります。法律
に基づきまして、政府は石油会社と石油契約を結ぶことができるというふうに
なっております。石油契約に基づいて当該石油会社はセーシェルの領域の中に
おいて石油の探鉱、開発、また生産をする独占的な権利を得ることができると
いうふうになっております。
いかなる石油契約に関しても、契約条件については政府とその当該の石油会社
との交渉によって決まることになっています。そういった交渉の際に、政府が
どのような考えで交渉していくかということはその時点で存在をするモデル・
ペトロリアム・アグリーメント(モデル契約)の中に反映されています。
実際に政府がそういった探鉱の開発、石油の生産を監督、統治をする際に使う
法的な枠組みをその時点のモデル契約に規定することが石油鉱業法で定められ
ています。
このモデル契約の法的な位置づけですけれども、これは交渉に使う文書である
と、ネゴシエイティング・インスツルメント、交渉用文書であるという位置づ
けであります。ですからそれを持ってして、政府が意味のある交渉を行うその
能力をなんら制限するものではない、ということになるわけであります。
ではそのモデル契約についてお話致します。契約の交渉において、どのような
概念の契約の枠組みかですとか、交渉に臨みたいとかという政府の考えかたに
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関しては、これはモデル契約の中に反映されております。
このモデル契約ですけれども、これは皆さんの要求に応じて、ペトロセーシェ
ルから皆様方に配布することが可能になっております。
実際にこのモデル契約ですけれども、これは石油鉱業法の一部を成しておりま
して、その目的は、その石油鉱物法自体の目的を達成するものであります。
従いまして外国から資本を導入し、また技術も導入するということがこのモデ
ル契約の根本的な構成要素になっているわけであります。
その石油契約に含めるべき鉱区の面積と場所ですけれども、これは交渉によっ
て定められるものであります。
契約期間は次の二つのフェーズに分けられております。第1フェーズが探鉱段
階ですけれども、これは 10 年間になっていまして、現在それが 5 年、3 年、2
年という 3 つの期間に分けられております。
現行はそういった形であるのですが、先週、ワークショップが開催され、そこ
でそれを 9 年に変更するということが決定されました。
つまり 9 年の内訳は 3 年、3 年、3 年の 9 年になりました。なぜそういうふうに
したのかその理由ですけれども、過去には、探鉱期間を 2 年、2 年、6 年とした
時期もあるわけです。けれどもこの 2 年というのは、実際に震探を行い、処理
し、それを解釈し、最終的にプロスペクトを見つけていくには短すぎるという
ことになりましたので、全体の期間を 9 年にして、それを 3 年、3 年、3 年にす
るという決定が先週なされたわけであります。
契約期間の第2フェーズは開発及び生産段階であります。第2フェーズが始ま
るのが、当該会社によってその油田の商業的な採算性が決定された日からとい
うことになります。そして 28 年間継続するということであります。つまり具体
的には契約発効日から 28 年間ということになります。
然しながら、例えば探鉱開始後8年目、9年目に発見があったという場合には、
契約期間は 5 年間延長され 33 年間に拡張されることになります。
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さらにこのモデル契約の中には、いわゆる放棄に関する条項もあります。現在
の制度においては探鉱フェーズの 5 年目の最後の段階で鉱区面積の 50%が放棄
されるということになっております。さらにそれに続いて 7 年目、10 年目に追
加して放棄されることになっております。
但し、先週行われたワークショップで決定がなされまして、その放棄の仕組み
を変更するということになりました。今後は 3 年目に 40%放棄をすると、さら
に 3 年たった段階、つまり 6 年目にさらに 30%放棄して、そしてまったくコマ
ーシャルな発見がなされないということであれば、最終的に残り 30%も放棄す
るということで、そういった変更をするということが決定されたわけでありま
す。
また、探鉱している最中に、会社として鉱区の一部について自主的に放棄をす
ることも認められています。
モデル契約の中でワークプログラムの規定も入っております。このワークプロ
グラムの枠組みについては、石油契約の付則ということで作られております。
実際のワークプログラムに関しては交渉の際に合意をしていくというものであ
ります。
このワークプログラムの制度ですけれども、作業義務が会社のほうにありまし
て、その石油会社は、交渉した結果合意したワークプログラムについてはそれ
を実行していくための固いコミットメントをすることが求められています。そ
して定期的に政府あるいは政府が指定した機関に対して定期的に報告を行うこ
とになっております。
政府としては探鉱の段階においては油井の掘削に大きな重点をおいております
ので、ワークプログラムに関してもそういった政府の志向を強調するような形
で優先順位がつけられるということになるわけであります。
もうひとつモデル契約の条項としてあるのが石油の発見であります。その石油
が発見されたということになった場合ですけれども、当該発見が商業的な意味
があるものであるかどうかの判断は当該会社にまかされます。
但し、それに関して政府と当該会社との間に見解の相違がある場合には、それ
を解決する手段が備えられております。それには政府による独立的な評価も含
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まれているわけですけれども、その手順に従って迅速で公平な解決策が保証さ
れています。
現在の制度に基づいて申し上げますと、会社としてこれはコマーシャルでない
と、ところが政府が独立的な評価をした結果、これはコマーシャルの意味があ
ると、見解の相違があった場合には、会社としてはそのディスカバリーを放棄
することになります。
ところが先週のワークショップで決定された変更ですけれども、それによりま
すと、その当該会社は探鉱フェーズが終了するまで、すべての発見について会
社が保持するということが許されることになりました。
もしその探鉱段階の最後において、会社が依然としてコマーシャルとしては考
えないという見解を持っているのであればそれはもう放棄しなければならない
と決定されています。
これまでの経験から言いますと最初の発見がマージナル(限界的)なものであっ
たとしても、他のマージナルなフィールドがあれば、それらをまとめてコマー
シャルなものとすることができるわけであります。
このモデル契約でうたわれていることですけれども、実際に油田自体がコマー
シャルなものであると会社が決定した場合は6か月以内に開発計画をつくって
政府に提出する。政府がそれを検討する、ということになっております。
現在のモデル契約では天然ガスの開発についての完全なフレームワークという
のは記載されておりません。そのかわり、もし天然ガスデポジットが商業量で
発見された場合には、その開発及び利用についての諸条件は政府と当該の会社
との間の交渉によって解決されることになります。
もしその会社が開発を行いたいという希望を持っている場合ですけれども、そ
の交渉によって決まるという事になっております。
現在政府は天然ガスに関するモデルコントラクトを作っている最中でありまし
て、願わくは、来年の初めくらいに天然ガスのモデルコントラクトが出来上が
ってくることになっております。
- 39 -
次は、財政的な制度であります。このモデル契約の中にはフィスカルパッケー
ジも含まれております。この財政的な制度ですけれども、実際に国際石油会社
にとって魅力的な投資環境を作るということを目的に、その制度が作られてお
ります。
その条件ですけれども、きわめてはっきりとした率直なものであります。近代
的な石油税制に基づいて、非常にフレキシブルな、柔軟なものになっておりま
して、考えられるすべてのシナリオ、探鉱、開発、生産に関するあらゆるシナ
リオに対応できるような条件になっております。
その条件の重要な要素に関しては、これはそのモデル契約によって確立してい
る枠組みの中で交渉して決定することになっております。
端的に言えば、あくまでも我々がもっている契約タイプは、利権契約(コンセ
ッション)に基づく概念でありまして、生産物分与契約(プロダクション・シ
ェアリング)の概念に基づくものは、我々は持ってはおりません。
政府の考え方としては実際に非常に柔軟でフレキシブルな、あらゆる変化に対
応できるような経済的、財政的な制度を持っていこうということであります。
そういった制度を持つことによって小型でマージナルな油田の開発をより促進
できるというふうに考えておりますし、またきわめて利益の高い油田が開発さ
れた場合には、実際にそのリスクをとる投資家と政府の間で公平な利益の分割
をしようということをそこで考えていると、そういった内容のものとなってお
ります。
実際の財政的、経済的な条件ですけれども、そういったことを考慮して政府の
取り分(ガバメント・テイク)のレベルに関しては非常に柔軟であり、累進的
に増えていくものとなっております。実際の政府取り分の金額については、そ
れぞれ個別のオペレーションの利益率に基づいて決定されていくということに
なっております。
ではこの財政的なパッケージですけれども、ここに示しております3つの主な
収入のシェアリングのメカニズムに基づいております。
ここにまとめたものが書いてあるのですけれども、生産されたそれぞれ毎月の
石油の市場価格にもとづいて 5%のロイヤルティが課せられます。
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ところが 5%であったのが、先週 10%に変更されました。
これは可能性としては限界油田の場合には 5%に下げる可能性があるのですが、
同じような実情の国にあわせてそういった改定、10%という改定をしました。
では 2 番目の収入のシェアリングですけれども石油所得税というものでありま
して、35%の税率ということになっております。これは 2008 年石油所得税法に
基づいて税金が支払われるということになります。
では 3 番目ですけれどもこれは石油付加利益税(Petroleum Additional Profits
Tax)、PAPT とよばれるものですけれども、これは資源を貸し出すことに対す
る税金(resource rent tax)で、キャッシュフローに課せられる税金です。
現在、PAPT に関してはふたつの段階から成り立っております。最初のレベルで
すけれども、これは当該会社が投資利益率の閾値、基準値を達成したときに支
払が生じるというものであります。2 番目のレベルですけれども税金控除後の利
益率がさらに高いものなったという場合に支払われる税金というのが 2 番目の
レベルになっております。
この PAPT の税金ですけれども、これは油田ごとにリング・フェンス(分別会計)
されており、キャッシュフローに基づいて US ドル建てで計算されることにな
っております。
これまでは投資利益率が何%に達したら税金の支払いが生じるかというこのパ
ーセンテージと、その段階で税率が何%になるのかということは石油契約の交
渉のときに、交渉をして決定していたわけですけれどもそれが変更されました。
変更された新しい PAPT の制度ですけれども次のようになっております。1 番
目のレベル 1 は利益率が 12.5%、それを達成したときに支払が発生するという
ことでその際の税率は 25%になります。
2 番目のレベル 2 ですけれども、これは利益率が 20%を超えたとき第 2 段階目
の支払が生じるわけですが、その際の税率については交渉で決定するというも
のであります。ですから変更された新しい制度によりますと唯一、交渉で決ま
るものは第 2 段階目の税率だけということになります。
もうひとつ条項があるのですが、これは紛争の解決です。このモデル契約のフ
- 41 -
レームワークの中には、もし紛争がおこった場合にそれを解決する条項が設定
されています。
まず紛争がおこった場合ですけれども当事者はまず協議をして、それから交渉
することによって紛争の解決を図るものとするということになっております。
しかしながらそういった協議、交渉を経てもそれが解決されない場合は6か月
以内にそれぞれの当事者が次に定める行動をとることができるようになってお
ります。
最初に、投資紛争解決国際センター(ICSID)にその紛争をあげるということ
であります。これは「国家と他の国の国民との紛争の解決に関する条約」第 36
条に基づいて ICSID にその判断をあおぐというものであります。
もし当事者のどちらかが ICSID による仲裁ではだめだということになれば次の
方法としてとることができるのは、いわゆるアドホックの形の仲裁の審判を設
け る と いう こと で あり ま す。 こ れは 1976 年 の 国 連 国 際商 取引 法 委員 会
(UNCITRAL)の仲裁ルールに基づいてその臨時の仲裁の審判を行うというこ
とであります。
石油契約の準拠法ですけれども、石油契約の準拠法はセーシェルの法律になり
ます。
しかしながら、先ほど申し上げました通り、契約条項にもとづいて、仲裁の審
判が行われる場合には、国際社会が使っていて国際的な仲裁の審判が使ってい
るのと同じ法の精神、公平性、それから公正を確保して行うということを定め
た条項が盛り込まれております。
では今度は国営石油会社、ナショナル・オイル・カンパニーであります。1984
年に政府は国営石油会社を設立致しました。それが現在のペトロセーシェルで
あります。
その目的はこの国にある石油のポテンシャルについてそれを探鉱し、そしてさ
らに開発に関する様々な活動を行うことのための能力を強化していく目的であ
るわけです。
ペトロセーシェルですけれども、これは 1972 年の会社法にもとづいて設立され
- 42 -
ております。ですから現在、大臣あるいは内閣に与えられている権限に関して、
これは 1976 年の石油鉱業法に基づいて与えられている権限に関してはペトロ
セーシェルが設立されたことによって、そういった権限が阻害されるというこ
とはありません。
つまりそこで想定されていることはその法律に基づいて政府になりかわってペ
トロセーシェルが実際にその技術的な知見を石油会社としてさらに高め、そし
て政府に代わって責任の多くのものを実際に運用してそれを管理していく、そ
ういった経験をつけていくということになっております。
最後になりましたけれども、モデル契約をここに映しております。様々な条項
が、特に技術的な条項がたくさん盛り込まれているわけですけれども、今日の
午後皆様方に CD をお渡しいたしますが、その中にこれがすべて入っておりま
す。
ひとつここで特筆しておきたい、特に申し上げたいことがあるのですが、今映
しました 16 の A という条項ですが、これは国の参加についてのオプショナルな
条文であります。
ここで申し上げたいことは当面の間、セーシェルの政府と石油会社が結ぶいか
なる石油契約の中でも国の参加というものはうたわないということであります。
国としては参加しない、いかなる契約の中でも国として参加はしないというこ
とですが、だからといって未来永劫、国がまったく参加をしないということを
言っているわけではありません。
その可能性をまったく排除しているわけではないということもありまして、も
しペトロセーシェルにおいてキャパシティが十分つくということが達成された
暁には会社と一緒に国も参加する可能性は当然残してあるということでありま
す。
私のプレゼンは以上であります。
<司会>
ベル CEO、どうもありがとうございました。法制等、モデル契約について現状
と変更点についてわかりやすくご説明いただきました。ありがとうございまし
た。
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それではフロアの皆さんからコメント、あるいはご意見を承りたいと思います。
どうぞよろしくお願い致します。
質疑応答
<千場氏>
非常にわかりやすい説明、ありがとうございました。私、出光オイルアンドガ
スの千場と申します。どうぞよろしくお願いします。
マージナル・フィールドについてちょっとお聞きしたいのですが、フィジカル・
レジームのロイヤリティ及び PAPT に関してマージナル・フィールドというの
が関わってくると理解しています。
マージナル・フィールド、例えば PAPT の場合、先ほどトリガーとして ROR が
12.5%を超えたときに PAPT が 25%というお話がありました。
これは私の最初の質問ですが、たとえば ROR が 12.4%であった場合にはマージ
ナル・フィールドと理解されて PAPT は課せられないと理解してよろしいでし
ょうか。
<ベル CEO:>
その通りです。まずこのマージナル・フィールドに関してですが、まさに 12.4%
の場合には払わなくていいと言ったのは、その通りであります。あくまでも我々
の PAPT というのは、その当該の油田からどのような利益が出ているのかと、
リターンに基づいて払っていただくのが PAPT ですから、本当の意味でマージ
ナル・フィールドの場合には PAPT は払う必要がない、おそらくそういったこ
とになる可能性は非常に高いと思っております。
ただしロイヤリティですけれども、ロイヤリティというのは実際にずっと上が
っていくのではなくて低減するというものです。これに関してはなぜロイヤリ
ティというものを我々が課すということをしているかと言いますと、他の国、
特に利権契約をもとにして開発している他の国の状況を見てみますと、例えば
石油が出ている、生産していると、しかしながら 5 年たたないと税金として国
に収益として入ってこないというケースがあるわけです。
- 44 -
ですからやはり国民の目からしたら、せっかく石油が出ているのに税収が全然
入ってこないじゃないかということになります。そういったことを鑑みて我々
はロイヤリティというものを課すということをしているわけであります。ただ
し、マージナル・フィールドに関しては、当然マージナル・フィールドという
ことで規模が小さい、経済的になりたっていないということでマージナル・フ
ィールドにそういった税金を課せば、そういったマージナル・フィールドは成
り立っていかないということは十分わかっています。その解決策として先程も
言いましたように今回の改正で 10%にしたのですが、マージナル・フィールド
については可能性として5%に減ずるということを決めております。
軽減方法ですが、まず大臣、省の同意を得てそれをする、あるいは閾値を決め
て、例えば 2500 万バーレルまでは 5%、それを超えてしまえば 10%にするとい
う形も考えられるわけです。
ですからマージナル・フィールドについての問題はおっしゃった通りで、我々
もわかっております。そういった意味でロイヤリティを 5%に軽減すると。さき
ほど言いましたように PAPT に関してはマージナル・フィールドの場合にはほ
とんど関係ないと思っていただいて結構です。
<千場氏>
私のふたつ目に聞きたいことまで答えていただきまして、ありがとうございま
した。大変参考になりました。
<司会>
ほかにございますでしょうか。
<鈴木理事長>
ICEP 鈴木です。先ほどのジョセフ探鉱部長のプレゼンとも絡むかもしれません
が、いわゆるライセンシーが活動して得た技術的データ等々の所属、オーナー
シップというのは、私の想像では国に提出義務があるのではないかと思います
けれども、そういうことは契約で規定されているのでしょうか。
<ベル CEO:>
まずいかなる会社でもセーシェルに来てデータをとるということは可能になる
のですけれども、あくまでもそれは石油契約に基づいてのことです。の石油契
- 45 -
約の中で技術的データ等は政府に帰属するということが定められていますので、
それに基づいて政府に帰属するということになります。
但し、コンフィデンシャリティ期間というのが定められておりますので、契約
で定められている期間の間は、政府は第三者に対してそういったデータを開示
してはならないということになっているわけであります。
その契約に定められた期間が過ぎてしまえば、政府としてそういったデータは
開示することができるということになっているわけですので、先ほどジョセフ
さんのプレゼンテーションでも「いくつかのラインについては今日、ちょっと
お話ができない」、そういったくだりがあったと思うのですけれども、それはあ
くまでもコンフィデンシャリティの期間に該当するために開示できないと、そ
ういった意味で言われたわけであります。
コンフィデンシャリティ期間が過ぎてしまうと、例えば今日 Amoco のデータで
すとか Enterprise のデータというふうにお話ししましたけど、そういったデー
タに関してはコンフィデンシャリティの期間が過ぎてしまっているので開示し
たということであります。
<鈴木氏>
どうもありがとうございました。今度も私の2番目の質問に対する答えも先に
仰っていただけました。ちなみにコンフィデンシャル・ピリオドって具体的に
何年とかイメージがございますか。
<ベル CEO:>
例えば Fugro のマルチクライアントサービスの場合ですけれども、活動期間中
ということで非常に長い期間になっているのですけれども、通常はそこまで長
いことはなくて、だいたい 5 年目までということになります。だいたい2番目
の質問が予想できましたので、それで答えたわけであります。
<司会>
他にご質問等ないようでございます。それではベル CEO、ありがとうございま
した。
では、先ほどベル CEO のほうからもございましたが、情報提供について事務局
から1,2ご連絡事項がございます。
- 46 -
これがペトロセーシェルから預かっております CD でございます。20 部ほどい
ただいております。この CD の中には今日いただきました3つのプレゼンテー
ションはじめ技術データ、データカタログ、法制度、モデル契約、そしてコン
タクトポイント等々の情報が入っております。
受付のところに 20 部ほど置いておきます。数に限りがございますので、恐縮で
すが、1社1枚ということで、どうぞご協力いただきたいと思います。また、
ご希望の皆様方には名刺あるいは E メールアドレスの書かれたものをご用意い
ただき、受付にお渡しくださいますようお願いします。
2点目のアナウンスでございます。フォーレ会長からご案内がありましたよう
に来年の4月には新しいオープン・ファイル・システムが導入されるというお
話であります。事務局は皆様から預かりした名刺のコピー・E メールアドレス
をペトロセーシェルのほうにお渡しします。新しいオープン・ファイル・シス
テムが導入されたときには、皆様方の E メールアドレス先にその情報が提供さ
れるよう手配する旨をフォーレ会長から約束していただきました。
それでは最後になりますが、私ども ICEP 理事長より閉会のご挨拶をさせてい
ただきます。理事長、よろしくお願い致します。
(3)閉会の挨拶
石油開発情報センター理事長
鈴木
孔
ICEP の鈴木でございます。閉会にあたりまして一言、ご挨拶致します。今日は
3 時間近く長い間ご清聴いただきまして、まことにありがとうございました。特
にセーシェルからお越しになったフォーレ会長、ベル CEO、ジョセフ探鉱部長、
遠路はるばる日本までお越しいただきまして、貴重なプレゼンテーションをい
ただきました。まことにありがとうございます。
実は、セーシェルの方々は 30 時間くらいかけてセーシェルから東京までいらっ
しゃったと聞いております。たぶんまだ時差ボケの解消しない前にこのような
プレゼンテーションをされたと思いますので、ご苦労がいろいろあったかと推
察しております。プレゼンテーションに関して、私の感想を若干述べさせてい
ただきます。
- 47 -
まず、フォーレ会長から非常にホットなフレッシュなビックニュースをここで
ご披露いただきまして非常にうれしく思いました。
セーシェルと言いますと会長も仰いましたとおり、我々日本人にとっては南国
のリゾートというイメージしか正直言ってなかったわけですけれども、今日の
プレゼンテーションをお聞きして今後、石油開発に関しても新しいエマージン
グ・プロデューシング・カントリーになっていくのかなと思っております。
特に地質をはじめとする技術的なお話とペトロリアム・アグリーメントのお話
に関しまして詳細なご説明をいただきました。
これを端緒にしてセーシェルと日本の石油開発会社の間がより一層緊密な関係
が構築されることを切に希望するものであります。
最後になりますけれども、プレゼンテーションの中で何回かセーシェルの位置
を示す地図が出てまいりました。セーシェルの人口は 87,000 人しかいないとい
うこともお聞きしました。ということは仮に油田が発見されても国内需要とい
うのは知れたものということになりますし、ということは日本へも輸出が可能
になるのかなと思います。
そのような視点から見ますと、地図を見て思ったのですが、気づいたのは、当
たり前なのですけれども、ホルムズ海峡を通らなくてもいい、という大きなメ
リットを持っているお国かなというふうに思いました。
よっていろいろな会社はもちろんですけれども、その他の外国の会社も大いに
セーシェルに、石油開発に参入していただき日本への原油の供給源のひとつに
なっていただけたらありがたいなと思う次第であります。簡単ですが、私のご
挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。
<司会>
理事長ありがとうございました。皆様、長時間にわたりご清聴ありがとうござ
いました。飲み物とお食事の用意ができております。どうぞお時間のゆるすか
ぎり、ご歓談くださいますようお願い申し上げます。今日はどうもありがとう
ございました。
- 48 -
4.資料集
資料 4-(1)
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資料 4-(2)
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- 65 -
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- 68 -
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- 84 -
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- 88 -
- 89 -
- 90 -
資料 4-(3)
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- 92 -
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- 96 -
- 97 -
- 98 -
- 99 -
- 100 -
- 101 -
- 102 -
- 103 -
- 104 -
資料 4-(4)
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資料 4-(5)
セーシェルの石油探鉱概観
2012.11
鉱区
海域 Area A・B・C
ドバイ East African Exploration(Opr、英 Afren 子会社)75%、
マダガスカル Avana Petroleum 社 25%(11 月加 Vanoil が Avana
社株式の買収で合意)
海域 Area1~6
米 Petroquest(Opr、豪 WHL 子会社)100%
(Opr;オペレーター)
2012 年 8 月の鉱区公開を予定したが、テクニカルレポートの完成および法制見直しのため
2013 年第 1 四半期に延期
Afren は Area C 鉱区放棄を決定(2012 年 8 月)
WHL は探鉱第 2 期として Area 3~6 を放棄し、2 坑から 1 坑試掘に変更を交渉中の模様。
ファームアウト希望。
2011 年ドバイ Black Marlin を英 Afren が買収し、
子会社 East African の保有鉱区を取得。
豪 WHL が豪 SEYCO を買収(2011 年 3 月)し、子会社 Petroquest の保有鉱区を取得。
最大 Creole 構造は原始埋蔵量 54 億バレル。
石油地質
セーシェル群島はソマリア、マダガスカルに分布するものと同じと考えられる花崗岩で出
来ている。群島の西半部には二畳紀・石炭紀の堆積岩があり、後期ジュラ紀にアフリカ大
陸からマダガスカル島と同時に分離する前は同島の北部延長に相当と推定されている。中
期白亜紀にインドと共にマダガスカル島から分離し、さらに後期白亜紀から第三紀初期に
インドがセーシェルから分離していった。
それぞれの分離運動時に出来たリフトグラーベンに堆積が始まり、第三紀以降は群島の周
囲に陸棚石灰岩が発達した。
根源岩は中期ジュラ紀~前期白亜紀と考えられているが、試掘井の岩石分析ではそれより
古い三畳紀にも高い有機炭素含有を示す部分がある。また、白亜紀・第三紀境界のインド
デカン高原火山活動に関連した地温上昇は有機物熟成に好影響を与えたと考えられている。
アフリカ大陸からの分離前にカルー系以降の三畳紀~ジュラ紀が発達していれば石油シス
テムが存在する可能性あり。大陸移動で正断層系の拡張構造が予想されるが、現に試掘に
よりガス徴が認められているので集油ガス構造存在の可能性あり。
- 106 -
貯留岩はリフト形成時の粗粒砕屑物(砂岩)と石灰岩で、孔隙率 20%(?)
。
探鉱
Afren が 2008 年に 15 千 km と 2011 年に 3700km の2D 震探実施、3D 震探計画中
2011 年 5 月 WHL が2D 震探 2 万 km 実施。
国営 SEYPEC/蘭 Fugro/香港 Geomahakarsa が海域調査(重磁力・2D 震探 17 千 km)を
2010 年に開始。Fugro が 2010 年 11 月から2D震探 7 千kmを開始。
英 Enterprise が 1995 年に試掘し、ガス徴。
米 Amoco が 1980、81 年に 3 坑掘削したが不成功。
その他
2012 年 5 月 国 営 石 油 Seychelles Petroleum Company ( SEYPEC ) が 上 流 担 当
PetroSeychelles と下流担当 SEYPEC に分離
政府は外資 WHL と Afren の株式を各々6%・0.5%保有し探鉱促進
家庭用・交通機関用燃料の LPG、航空燃料、潤滑油等製品全量を輸入
以上
- 107 -
5.会場写真
ICEP 会長 開会の挨拶
バリー・フォーレ ペトロセーシェル会長
- 108 -
パトリック・ジョセフ 探鉱部長
エディ・ベル
- 109 -
CEO
エディ・ベル
CEO
ICEP 理事長 閉会の挨拶
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意見交換会 (1)
意見交換会 (2)
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意見交換会 (3)
意見交換会 (4)
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6.参加者リスト
ICEP 国際セミナー(セーシェル)参加者
会社・ 組織名
役職名
常務取締役
氏名
千場 清司
出光オイルアンドガス開発㈱
技術室 上席主任技師(地化学)
奥井 明彦
国際石油開発帝石㈱
アメリカ・アフリカ事業本部 アフリカユニット
コスモ石油㈱
石油開発部 技術グループ シニアジオロジスト
佐々木 亮
顧問
服部 昌樹
井合 穣
石油資源開発㈱
中東・アフリカ・欧州事業本部 事業開発部 新規事業グループ
石野 亜里沙
常務取締役
大西 正純
営業企画部 調査役
養老 民雄
㈱ピージーエス・ジャパン
ビジネス・ディベロップメント・マネージャー
坂本 真也
ペトロサミット石油開発㈱
技術部 部長
三井石油開発㈱
技術部 フェロー
輸石アイン㈱
専務取締役 営業管理部長
IHS Energy
東京代表
プラッツ
特派員(東京)
熊谷 岳大
外務省
アフリカ部アフリカ第二課 外務事務官
田中 英徳
名誉総領事
松本 典文
一般財団法人石油開発情報 センター
工藤 朋子
元ICEP理事長
田中 義久
㈱地球科学総合研究所
長谷川 和良
原田 敏夫
遠藤 勝由
ジェームズ・ヘザリントン
セーシェル共和国名誉総領事館
安達 博文
個人
中村 安孝
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ICEP 国際セミナー(セーシェル)参加者
会社・組織名
役職名
理事 石油開発技術本部長
独立行政法人石油天然ガス・
金属鉱物資源機構
辻 喜弘
石油開発技術本部 探査部長
横井 研一
石油開発技術本部 探査部 海外探査課長
佐藤 隆一
石油開発技術本部 探査部 海外探査課 担当調査役
矢口 良一
石油開発技術本部 探査部 海外探査課 担当調査役
橋本 恵三
石油開発技術本部 探査部 海外探査課 担当調査役
山根 一修
石油開発技術本部 探査部 海外探査課
山根 規人
石油開発推進本部 企画調整部 企画課 課長
石油開発推進本部 企画調整部 企画課 調査役
石油開発推進本部 企画調整部 企画課
植木 俊一
石油開発推進本部 企画調整部 管理課 調査役
高橋 敏行
石油開発推進本部 企画調整部 管理課
西川 修平
統括部 業務課
川部 理枝
バリー・フォーレ
最高経営責任者
エディ・ベル
探鉱部長
一般財団法人石油開発情報
センター
岡部 博
山﨑 健太郎
会長
ペトロセーシェル
氏名
パトリック・ジョセフ
会長
寒河井 正
理事長
鈴木 孔
事務局長
今 英樹
参事
田巻 輝夫
研究部部長
中水 勝
研究部次長
新井 都生
研究部主任
井口 義朗
研究部主任
下村 章
研究部主任
大鷲 昇一
研究部主任
加藤 邦弘
研究部主任
向井 良彰
研究部主任
水野 学
研究部主任
熊谷 誠
研究部主任
石田 公信
研究部主任
中神 康一
研究部副主任
豊島 克己
研究部研究員
古川 稔子
業務部部長
長谷川 仁
業務部主任
塩原 学
業務部主任
渡辺 雄や
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