CONSULTING for INTERNATIONAL FINANCIAL INFORMATION ☆SPECIAL REPORT（ファンドウォッチャー）米バイオファンドに危機説が浮上 [email protected] ＜No.9427＞ 2003. 8. 12 (火) ―― ＳＥＣ提出資料がキッカケ＝情報開示路線に一石 8 月以降、軟調な展開を続けているナスダック市場に関連して、1 つの小型株ファンドのポートフォリオ疑惑がヘッジファンド業界で関心を集めている。これは 8 月 4 日にＮＹポストが Durus Capital Management のポートフォリオの中身に関して報じたことがキッカケで、バイオセクターに特化する同ファンドが保有していたとされる Aksys（AKSY）、 Esperion Therapeutics（NAICS）が急落する状況下、運用資産 7 億ドルの同ファンドの経営危機説が囁かれていると言うもの。かつて同紙が詐欺疑惑を報じた Lancer ファンドは、米証券取引委員会（ＳＥＣ）が先月取引停止を決めたばかり。今回の Durus の件は「一部バイオ関連銘柄が話題になった程度」（ＮＹ筋）で済みそうだが、足もと、ＳＥＣがヘッジファンドの情報開示を検討している状況だけに、禍根を残す一例ともなりそうだ。米タブロイド紙報道で危機説＝7 億ドルのバイオファンド話題に 8 月 4 日、米保守系タブロイド紙・ＮＹポストで DURUS GOOF REMINDS US WHY HEDGE FUNDS NEED POLICING との記事が掲載された。ここに登場する米ノーウォーク籍の Durus Capital Management とは運用資産 7 億ドルで、バイオ株に特化したいわゆる「セクターファンド」と位置づけられる小型ファンドだ。同記事では、Durus が保有するとされる 2 つの銘柄が急落する曲がり角に差し掛かり「同ファンドのポートフォリオが軌道修正に迫られている」と報道。同紙は昨年末、Lancer ファンドの詐欺疑惑を報じており、ここは先月にＳＥＣの取引停止処分を受けたばかり。「タブロイド紙と言えども最近は侮れない」（前出・ＮＹ筋）との声もあり、今回の報道を受け、7 月末にＳＥＣへの提出資料で明らかになった同社保有銘柄が米ヘッジファンド業界でも話題になっていたようだ。その保有 2 銘柄とは、Aksys と Esperion Therapeutics というナスダック銘柄。 Aksys は 7 月中旬に 15.85 ドルで 52 週高値を記録したが、報道が出る直前から下落を続け、わずか半月の間に 7.60 ドルへと▲52％の急落を記録。また Esperion Therapeutics も同様に、7 月末に 21.17 ドルで 52 週高値を記録したが、この 10 営業日で 14.22 ドルへと▲32％の下落を記録している。もともとナスダック総合指数に比べ、ナスダックのバイオ関連銘柄の上昇幅は 1.5 倍を超える堅調ぶりだったが、 8 月に入ってからの下落局面でも調整幅が際だっているのも現状だ。市場への影響は個別銘柄のみ＝SEC の情報開示路線に一石？同紙では、Durus が保有する 2 銘柄は先月末に 10 億ドルを超えたものの、今回の急落で半減したと報じている。Durus のポートフォリオの 73％を占めたとされる 2 銘柄が急落したため「不適切かつ不注意な運用」（同紙）により、わずか短期間のモメントの変化が直撃した格好にあるようだ。なお、かつて同紙が報じた Lancer ファンドは、ＳＥＣが先月に取引停止を決めたばかりだが「米モルガン・スタンレーも自己勘定で投資したほどの著名ファンド」（ＮＹ筋）だった。もちろん Lancer は防衛・航空宇宙産業に特化したセクターファンドのため、今回の Durus の一件を同列に論じ参考；米バイオ株指数とナスダックの推移（6 ヶ月）ることはできない。しかし、「98 年のＬＴＣＭ危機もそうだったが、危ナスダック・バイオテックインデック機が起こるまでワシントンが一切コントロールできないのは問題」（ＮＹポスト紙）との指摘もある。現在、ＳＥＣではヘッジファンドの一般投資家への普及に伴い、情報開示策を検討する状況にある。改革を進めるドナルドソン委員長の路線に伴い、今後の改革にナスダック総合指数向け一石を投じるケースとなりそうだ（了） ※本レポートは情報提供のみを目的に作成されたもので、投資・運用に当たっての最終的な判断は、お客様の責任に委ねられます。全ての著作権は株式会社マネーアンドマネードットコムに帰属します。記事・図表の無断転載を禁止します。 Money and money dot com Ltd. Tel: 03-3523-0321 Fax: 03-3523-0320