日本うつ病学会双極性障害ガイドライン(私見による改編) 2015 年 1 月

日本うつ病学会双極性障害ガイドライン(私見による改編)
2015年1月3日 土曜日
2.大うつ病エピソード
◯気分安定薬
ア.リチウム(適応外)は大うつ病エピソードの急性期の治療薬として有効で
あったという。但し、最近の大規模プラセボ対照RCTの結果によれば、600~
800mg/dayのリチウムは、プラセボと効果の面で有意差を認めなかったとい
う報告もある。
イ.ラモトリギン200mg/dayは、大うつ病エピソードの急性期の治療薬として
有効であったという報告がある。一方、プラセボとの間に有意差を認めな
かったという報告がある。ところがHRSD得点が25点以上の中等症から重症
の場合の症例群に対しては、プラセボと比較して有効であったという報告も
ある。
ラモトリギンの投与により、スチーブンス・ジョンソン症候群やライエル症
候群などの副作用が出現する。これは使用開始推奨用量よりも多かった症例
と急速に増量を行った症例、並びにバルプロ酸との併用症例に高頻度に認め
られた。それ故に用い方に注意が必要と考えられる。
ウ.カルバマゼピンについては、大うつ病エピソードに対する有効性を示す報
告は、小規模のRCTが1つあるのみである。
◯非定型抗精神病薬
ア.クエチアピン300mg/dayまたは600mg/dayはいずれもプラセボと比較し
て。大うつ病エピソードの急性期の治療薬として有効であったという。が
300mg/dayと600mg/dayとの間に有意差は認めなかった。また、最近の大規模
プラセボ対照RCTの結果によれば、300mg/dayのクエアチピンは、600~
1800mg/dayのリチウムやプラセボと比較して。大うつ病エピソードの急性期
の治療薬として有効であった。
イ.オランザピン5mg~20mg/dayは、プラセボと比較して。大うつ病エピソー
ドに対して有効であった。さらに、オランザピンとfluoxetine(プロザック)
のOFC治療とオランザピンの単独治療は、いずれもプラセボと比較して。有効
であったが、OFCによる治療の方がより有効であった。
ウ.アリピプラゾールは、大うつ病エピソードの治療薬として単独では無効で
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ある。
◯抗うつ薬
躁転のリスクは、メタ解析の結果では、SSRIに関しては2~3%で、プラセボ
との間に有意差を認めなかった。三環系抗うつ薬に関しては、11.2%である
という報告がある。
双極Ⅱ型障害では、fluoxetineとベンファラキシン(エフェクサー)が有効
であり、尚且つ、小規模であるが、軽躁転のリスクが低いとの報告がある。
しかし、他の抗うつ薬は慎重に使用するべきである。
◯気分安定薬と抗うつ薬の併用
気分安定薬の単独治療と比較して、効果において有意差は認めなかった。
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