モバイルゲームにおける顧客のサービス継続の要因分析 氏名 ○彌永浩太郎(Kotaro Iyanaga)、山口真一(Shinichi Yamaguchi)、坂口洋英 (Hirohide Sakaguchi)、田中辰雄(Tatsuo Tanaka) Keywords:広告効果、継続意思、モバイルゲーム、ユーザー、計量分析 1 目的 本研究の目的は広告による消費者行動への影響を評価することである。消費者はある財もしく はサービスを購買する前に情報の探索を行い、期待形成が行われ、行動を選択する。そして購買 後に財、サービスの評価を行う。この購買後の評価を行う際の基準は、購買前に得られた情報に よって形成されている。広告は口コミやテレビ広告など様々な形態が存在し、それぞれの情報量 や伝達方法が異なり、消費者の評価形成に異なる影響を与えることが想定される。本研究は購買 後の行動に与える影響を広告の形態ごとに評価する。 2 方法 本研究はゲームエイジ総研が2014年8月から2015年8月の期間で実施した、モバイル ゲームのユーザーに関するアンケートデータを用いて計量分析を行った。今回採用したモバイル ゲームは12作品であり、広告の形態は、ストアの説明文、ストアのアイコン、ゲーム内広告・ プッシュ通知、雑誌、ストアのレビュー、ストアのスクリーンショット、口コミ、交通広告、テ レビ広告の以上9種類である。またユーザーは各月に新しく各ゲームを始めた人に限定し、購買 後の評価として翌月以降も継続してゲームを続ける意思を持っているかどうかの継続意思を採用 した。この継続意思を被説明変数、説明変数に性別、年齢、広告の形態をそれぞれ採用したロジ ット分析をゲームごとに行った。 3 結果 調査分析の結果12作品の内11作品で、アイコンとスクリーンショットが継続意思に対して 有意に正となった。それに対しゲーム内広告・プッシュ通知、レビュー、口コミ、交通広告の4 形態はほとんどのゲームに対して有意な結果にならなかった。 4 結論 以上により、モバイルゲームの継続意思に対してアイコンとスクリーンショットの2つの広告 形態が正の影響を与えていることがわかる。アイコンとスクリーンショットは比較的情報量の少 ない広告媒体であるため、これらの広告をきっかけに始める人はライトユーザーであることが考 えられる。こうしたライトユーザーは利用後の評価基準は比較的低く、基準を上回ると強く継続 意思をもつことが想定される。また企業側にとって、その少ない情報量の中に提供するゲームの セールスポイントなどを最大限盛り込むことや定期的に内容を更新することが重要である。 【主要参考文献】 石崎徹. "ブランドに対する消費者意識と購買後における広告への消費者意識." 消費者行動研究 5.2 (1998): 91102. Spreng, Richard A., Scott B. MacKenzie, and Richard W. Olshavsky. “A Reexamination of the Determinants of Consumer Satisfaction”. Journal of Marketing 60.3 (1996): 15–32
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