西 宮 市 新 病 院 基 本 計 画 平成 25 年(2013 年)10 月 西 宮 市 目 次 Ⅰ. はじめに ................................................................................................ 1 1. 新病院の役割 ....................................................................................... 1 2. 施設の整備 ........................................................................................... 2 3. 経営形態の変更と経営健全化 ................................................................ 2 Ⅱ. 新病院基本計画 ...................................................................................... 3 1. 新病院の名称、基本理念と基本方針 ...................................................... 3 (1) 名称 ................................................................................................ 3 (2) 基本理念・基本方針 ......................................................................... 3 2. 診療科と特色 ....................................................................................... 5 (1) 診療科 ............................................................................................. 5 (2) 新病院における診療での特色 ............................................................ 7 3. 病床数と病棟構成 ............................................................................... 10 4. 部門別計画 ......................................................................................... 11 (1) 外来部門 ........................................................................................ 11 (2) 病棟部門 ........................................................................................ 16 (3) 救急部門 ........................................................................................ 21 (4) 手術・中央材料部門 ....................................................................... 25 (5) 内視鏡部門 .................................................................................... 29 (6) 薬剤部門 ........................................................................................ 31 (7) 放射線部門 .................................................................................... 34 (8) 臨床検査部門 ................................................................................. 37 (9) 病理検査部門 ................................................................................. 42 (10) リハビリテーション部門 .............................................................. 44 (11) 栄養給食部門 ............................................................................... 47 (12) 臨床工学部門 ............................................................................... 51 (13) 医療安全部門 ............................................................................... 53 (14) 地域医療連携部門 ........................................................................ 55 (15) 医事部門 ...................................................................................... 57 (16) 管理部門 ...................................................................................... 60 (17) 医療情報部門 ............................................................................... 65 (18) その他サービス部門 ..................................................................... 67 (参考) 階層図・平面図 ......................................................................... 68 5. 業務委託計画 ..................................................................................... 73 (1) 基本方針 ........................................................................................ 73 (2) 業務委託の検討範囲 ....................................................................... 73 (3) 現在の主要な委託業務 .................................................................... 73 6. 医療情報システム計画 ........................................................................ 75 (1) 医療情報システムの基本的な考え方 ................................................ 75 (2) 現行システムの課題と対策 ............................................................. 75 (3) 新たな医療情報システム導入に向けての基本方針 ............................ 76 (4) 新たなシステム導入範囲 ................................................................ 76 7. 建物・設備・機器整備計画 ................................................................. 79 (1) 建築の基本的な考え方 .................................................................... 79 (2) 建築計画 ........................................................................................ 81 (3) 構造・設備の条件 .......................................................................... 82 (4) 医療機器購入計画 .......................................................................... 84 (5) 事業コスト .................................................................................... 85 (6) 整備手法とスケジュール ................................................................ 86 8. 病院事業収支計画 ............................................................................... 88 (1) 収支計画の前提 .............................................................................. 88 (2) 収支計画 ........................................................................................ 90 9. 新病院に向けての準備(現病院の経営健全化) ................................... 91 (1) 経営形態の変更 .............................................................................. 91 (2) 経営健全化 .................................................................................... 91 巻末 <用語集> 本文中、「*」が付記されている語句について解説文を記載 Ⅰ. はじめに 西宮市新病院基本計画(以下「基本計画」という。)は、平成 24 年 3 月に策定した西宮市新病院基本構想(以下「基本構想」という。)を 指針として策定する。基本構想では、地域医療の充実を図るために移 転 ・ 新 築 後 の 西 宮 市 立 中 央 病 院 ( 以 下 「 新 病 院 」 と い う 。) が 何 に 取 り組むべきかを記している。以下、基本構想において示した新病院の 方 向 性 及 び 移 転 整 備 前 の 現 病 院 ( 以 下 「 現 病 院 」 と い う 。) で の 経 営 の改善に向けた取組みについて記載する。 1. 新病院の役割 (1) 救急医療 2 次救急 * 輪番制当番日*以外での独自受入れなどにより対応を一層強 化する。 1 次救急 * 医 師 会 、 保 健 所、 応 急診 療 所 と の 連 携を 緊 密に し 、 1 次 救 急 体制を補完する。 (2) がん診療 5 大がん(肺・胃・肝 ・大腸・乳腺)、膵が ん、前立腺がん等への 対応を重点化し、市外へのがん患者流出率を下げる。 (3) 災害・広域的呼吸器感染症 * 対策 「西宮市地域防災計画」に基づき、災害時の拠点施設としての機能 を果たす。新型インフルエンザなど、広域的呼吸器感染症に対応する。 1 2. 施設の整備 現在の施設は、竣工後 38 年が経過しており、老朽化するとともに、災 害 時 の 拠 点 施 設 と し て の 機 能 を 果 た す た め に 耐 震 化 が 必 要 で あ る 。 これ ら を 解 決 す る た め に 、 津 門 大 塚 町 ( ア サ ヒ ビ ー ル 西 宮 工 場 跡 地 ) へ の移 転・新築を実施する。 3. 経営形態の変更と経営健全化 経営の健全化を図るため、現病院の取組みは、以下のとおりとする。 (1) 経営形態の変更 機動的かつ柔軟性のある経営が行えるよう、地方公営企業法の全部 適用(以下「全部適用」という。)へと経営形態を変更する。 (2) 経営健全化 施設の再整 備にかか る 負担に耐え られるだ け の経営体質 を備えるた め、収支の改善に早期に取り組む。 基本計画は、基本構想が示す方向性を具体化したものであり、新病 院の設計・施工の基本となるものである。基本構想・基本計画が画餅 に帰さぬよう、基本計画では実現性を重要視し、診療機能、部門別の 運用・施設計画、情報システムの整備計画、事業収支計画など、多岐 にわたる詳細計画を策定している。 ここに策定した基本計画は、 「地域医療への貢献」 「市財政に必要以 上に頼らぬ経営状態」、そして「実現性」、この 3 つを兼ね備えたもの であり、地域に貢献する病院として再生する新病院の状態を示してい る。 2 Ⅱ. 新病院基本計画 1. 新病院の名称、基本理念と基本方針 新病院は、現病院がそのまま移転するのではなく、新たな病院として 再生するものである。したがって、 「名称」及び「基本理念・基本方針」 についても見直すこととする。 (1) 名称 名称については、 「 中央」という表現を使用しない方向で検討する。 (2) 基本理念・基本方針 これまで以上に地域医療に貢献する病院としていくため、新病院の 基本理念・基本方針を以下のように定める。 ① 基本理念(見直し) 西宮市立中央病院(名称変更予定)は、信頼のある医療を提供し、 市民の期待に応えるとともに、地域医療の発展に貢献します。 ② 5 つの基本方針 (ア) 医療の質の向上 医療従事者の資質の向上やチーム医療の実践などにより医療の 質の向上に努めます。 (イ) 医療安全の徹底 安心して治療を受けていただけるよう医療安全の徹底を図りま す。 (ウ) 患者中心の医療の提供 患者の権利を守るとともに、患者のQOL *(クオリティ・オブ・ ライフ)を重視した医療を提供します。 3 (エ) 地域医療連携の推進 地域の医療機関等と連携を図り、地域完結型医療の推進に向け た取組に貢献します。 (オ) 健全な経営基盤の確立 良質な医療を継続的に提供していくため、経営の効率化を図り、 健全な経営基盤を確立します。 4 2. 診療科と特色 (1) 診療科 新病院開院 時に開設 を 予定する診 療科は、 内 科、外科、 整形外科、 小児科、皮膚科、泌尿器科、放射線科、麻酔科の 8 つとする。また、 今後の医療環境の変化などには柔軟に対応していく。 なお、内科及び外科については、新病院開院時までに臓器別等の標 榜について検討する。 ① 内科 呼 吸 器、 消 化器 、 循環器 、 内分 泌 など の 疾患に 対 する 内 科診 療 を 提供する。治療のみならず、悪性腫瘍 * の患者に対する緩和ケア * 診 療を提供する。 <重点分野(特色)> ・ 悪 性 腫 瘍 へ の 対応 強 化… 肺 、 消 化 器 の悪 性 腫瘍 の 対 応 件 数 を 増 加させる。 ・ 救 急 医 療 へ の対 応 強 化… 呼 吸 器 、 消化 器 の 救急 疾 患 の 対 応件 数 を増加させる。 ・ 緩 和 ケ ア 診 療の 実 施 …悪 性 腫 瘍 患 者に 対 す る緩 和 ケ ア 診 療を 提 供する。 ② 外科 肺 、 消化 器 、乳 腺 の悪性 腫 瘍に 対 する 外 科的治 療 を中 心 とし た 診 療を提供する。また、急性疾患への対応、鼠径ヘルニア * 、虫垂炎 * などに対する外科的治療も行う。 <重点分野(特色)> ・ 悪 性 腫 瘍 へ の 対応 強 化… 肺 、 消 化 器 、乳 腺 の悪 性 腫 瘍 に お け る 手術件数を増加させる。 ・ 低侵襲手術*への対応強化…腹腔鏡手術*などの件数を増加さ せる。 5 ③ 整形外科 関 節 領域 、 手・ 指 の領域 、 脊椎 領 域、 外 傷の領 域 と整 形 外科 領 域 の疾患全般に対応する。 <重点分野(特色)> ・ 救 急 疾 患 へ の 対 応 強 化… 骨 折 ( 各 部 位 ) へ の対 応 件 数 を 増 加 さ せる。 ・ 入 院 手 術 へ の 対 応 強 化… 脊 椎 、 手 ・ 指 、 関 節領 域 に お け る 手 術 件数を増加させる。 ④ 小児科 小児科疾患全般に対応する。 <重点分野(特色)> ・ 救 急 医 療 へ の対 応 強 化… 2 次 救 急 施設 と し て救 急 か ら の 入院 症 例を増加させる。 ⑤ 皮膚科 皮膚科疾患全般に対応する。 <重点分野(特色)> ・ 悪性腫瘍への対応強化…悪性腫瘍への対応件数を増加させる。 ・ 入 院 治 療 ・ 手術 へ の 対応 強 化 … 入 院治 療 ・ 手術 の 対 応 件 数を 増 加させる。 ⑥ 泌尿器科 泌尿器科疾患全般に対応する。 <重点分野(特色)> ・ 悪 性 腫 瘍 へ の対 応 強 化… 前 立 腺 な どの 悪 性 腫瘍 の 対 応 件 数を 増 加させる。 ・ 入 院 手 術 へ の対 応 強 化… 特 に 前 立 腺肥 大 症 への レ ー ザ ー 治療 の 対応件数を増加させる。 6 ⑦ 放射線科 画像撮影診断、低侵襲治療(IVR * )、放射線 治療を提供する。 <重点分野(特色)> ・ 地 域 医 療 連 携の 推 進 …画 像 診 断 の 紹介 件 数 をさ ら に 増 加 させ 、 地域の画像診断センターとしての役割を担う。 ・ 放 射 線 治 療 の強 化 … 放射 線 治 療 装 置を 整 備 し、 精 度 向 上 と件 数 増加を両立させる。 ・ 救 急 対 応 の 充実 … 救 急診 療 に お け る画 像 診 断の 体 制 を 整 備する。 ⑧ 麻酔科 手 術 室に お ける 麻 酔対応 を 行う と とも に 、緩和 ケ アへ の 協力 、 ペ インクリニック * 等に対応する。 <重点分野(特色)> ・ 手 術 へ の 対 応強 化 … 手術 件 数 の 増 加に 伴 い 、麻 酔 件 数 を 増加 さ せる。 ・ 緩 和 ケ ア へ の対 応 強 化… 緩 和 ケ ア 病棟 の 設 置に 伴 い 、 対 応件 数 を増加させる。 (2) 新病院における診療での特色 ① 救急医療の強化 (ア) 小児科救急対応病院群輪番制当番日の増加 現在の当番日は週2日となっているが、新病院開院当初は最低 週 3 日、開院後は体制の整備を進め、対応日数を更に増やす。 (イ) 内科・外科 2 次救急対応日(夜間)の増加 阪 神 南 医 療 圏 * 内 の 2 次 救 急 医 療 体 制の 維持 に 貢 献 す る とと も に、体制の整備を進め、輪番制当番日以外での独自受入れの拡充 に努める。 7 (ウ) 救急部の設置 救急診療の質(効率性含む)の向上を図るため、救急部を設置 する。時間内救急のトリアージ * 及び初期対応には、救急部が対応 することを想定する。 ② 悪性腫瘍への対応 (ア) 集学的治療の実施 悪性腫瘍に対する集学的治療(手術、化学療法、放射線治療) を行うために必要な体制、施設・機器を確保するとともに、対応 件数の増加を図る。 (イ) 緩和ケア診療の強化 悪性腫瘍の治療のみならず、専従の医師を確保し、緩和ケア診 療の拡充を図る。 ③ 小児病棟の設置 (ア) 小児救急、小児医療の充実 小児救急対応の強化に伴い、小児の入院患者数の増加が見込ま れるため、小児科は専用病棟を設ける。 ④ 緩和ケア病棟の設置 緩 和 ケア 病 棟を 設 置し、 治 癒が 困 難と な ったが ん 患者 な どへ の 対 応を強化する。 ⑤ ハイケアユニット(HCU * )の設置 重 症 患者 ( 救急 疾 患、術 後 の患 者 )が 増 加する こ とを 想 定し 、 重 症患者の管理に適したハイケアユニットを設置する。 ⑥ 広域的呼吸器感染症への対応 広 域 的呼 吸 器感 染症 患者 の 受入 れ を想 定し た施 設 構造 を 検討 する。 8 ⑦ 大規模災害に対応するための診療機能整備 自 然 災害 や 大規 模 な事故 に 対応 可 能な 建 物設備 構 造、 各 室の ゾ ー ニングとする。 ※ これらの機能の充実を 図るため、検診機能は 縮小(人間ドック事業 からの撤退)する。 9 3. 病床数と病棟構成 新病院の病床数及び病棟構成は下表記載のとおりとする。一般病棟 は、効率的な看護配置(7 対 1 看護体制)を考慮し、42 床としている。 また、小児救急患者への対応充実などを考慮し、新たに小児病棟(20 床)を設置するほか、終末期のがん患者の診療も見据えた緩和ケア病 棟(20 床)の設置、重症患者への対応充実を見据えたハイケアユニッ ト(8 床)の設置を検討する。 病棟構成 病 棟 病床数 内科病棟① 42床 内科 内科病棟② 42床 内科、麻酔科 外科系病棟① 42床 外科 外科系病棟② 42床 外科、整形外科、泌尿器科 混合病棟 41床 内科、外科、皮膚科、整形外科 小児病棟 20床 小児科 緩和ケア病棟 20床 内科、外科、泌尿器科、麻酔科 ハイケアユニット (HCU) 計 診療科 8床 257床 10 内科、外科、整形外科 4. 部門別計画 前 述 する 新 病院 の機 能・ 役 割を 発 揮す るに あた り 、各 部 門で はど の よ う な運 用、 施 設の 整備 が 必要 とさ れ るか を部 門 別計 画と し てと りま と め た。 新施 設 の整 備( 設 計・ 施工 ) は、 以下 に 記載 する 各 部門 の計 画を踏まえ、行っていくこととする。 (1) 外来部門 ① 方針(部門運営の基本的な考え方) (ア) 急 性 期 医 療 を 中 心 と し た 専 門 性 の 高 い 医 療 を 提 供 す る こ と を 基 本 とし、患者が安心して受診できるようにする。 (イ) 患 者 の 待 ち 時 間 の 短 縮 及 び 医 療 者 と 患 者 と の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の時間を確保するためにも、予約受診による診察を基本として運 営する。 (ウ) 院内の案内表示をわかりやすく工夫するとともに、外来待ち時間中 もストレスを感じさせることのないようアメニティなどに配慮す る。 (エ) 効率的な外来診療を行えるよう、診療面で必要な部門( 臨 床 検 査 ・ 放射線・救急・内視鏡・リハビリテーション・病棟等)との連携 を行う。 (オ) 入院手続、診療所への逆紹介などをスムーズに行えるよう、地域医 療連携部門、医事部門などとの緊密な連携を図る。 ② 運営計画 (ア) 診療科目(開院時の予定) 内科(緩和ケア内科含む)、外科、整形外科、小児科、皮膚科、泌 尿器科、放射線科、麻酔科 (イ) 診察時間 平日:月∼金曜日 診察 9:00∼15:00(※午後は主に専門外来) 11 (ウ) 診察受付 ブロック受付を基本とし、外科系部門、内科系部門などで分割 する。 <初診・紹介予約> 初診・紹介予約の患者 は、正面玄関近くの初 診・紹介予約受 付にて手続し、その後、各診療ブロック受付へ移動する。 <再診> 患者は再診受付機にて 手続を行い、各診療ブ ロック受付へ移 動する。 (エ) 診察 予約診察を中心として診察を行う。 各診療科による一般診 察のほか、セカンドオ ピニオン外来、 緩和ケア相談にも対応する。 (オ) 処置 各ブロックに処置室スペースを必要数設ける。 中央処置室を設け、点滴などに対応する(CPR*対応は救 急外来の初療スペースを活用する。)。 (カ) 採血・採尿・採痰 採血・採尿スペースを設けて、一元的な管理・対応を行う。 採血業務は、看護師の みならず、臨床検査技 師の応援も得て 対応する。 採痰は、専用の採痰スペース(ブース等)により実施する。 (キ) 外来化学療法 外来化学療法室を設け、通院による抗がん剤治療に対応する。 (ク) 検査予約オーダー、入院前説明 入院前の検査予約、入 院前説明などを外来の 専用スペースに て行う。 12 ③ 施設計画 (ア) 必要諸室 <外来受付・診察・処置など> ブ ロ ッ ク 別 受 付 、 ブ ロッ ク 別 待 合 室 、 診 察 室( 20 室 : 放 射 線 科 診断・治療にかかわる 2 室を含む)、処置室、相談室(医事部門 と 兼 用 )、 検 査 予 約 セ ン タ ー 兼 入 院 前 説 明 室 、 ト イ レ ( お む つ 交 換可)、授乳室、中央処置室(6~8 ベッド程度)、リネン庫、汚物 処理室、ストレッチャー置場、車椅子置場、など <採血・採尿室、採痰ブースなど> 採血室、採尿トイレ、採痰ブース <外来化学療法室など> 外来化学療法治療室、診察・処置室、抗がん剤調製室 (イ) 諸室条件 <外来受付> 患者にとって分かりや すい受診受付となるよ う、配置や表示 などに配慮する。 ブロック単位の待合室 を設置し、診察室、待 合室、廊下スペ ースを分離する(原則、中待合は設置しない。)。 患者呼び出し用の待合表示板などを整備する。 外来患者が利用するト イレを十分な数設置す る。車椅子患者 等が利用する多目的トイレについても設置する。 <検査予約センター兼入院前説明室> 患者の入院前検査の予約、入院前の説明などが行える部屋(あ るいはブース)を 3 室程度整備する。 電子カルテを利用でき るよう、インフラ整備 を行う(電子カ ルテを用いて予約オーダーを行うため。)。 <診察・処置など> 安全性を確保しながら 診察・処置が行えるよ う、診察スペー スは充分に確保する。 13 車椅子利用などを考慮 し、廊下や待合などは 、十分な広さを 確保する。また診察室 なども車椅子やストレ ッチャーでの出 入が可能な幅を確保する。 診察室はプライバシー 確保のため、遮音性に 配慮し、また、 明るい雰囲気作りのために採光にも考慮するとともに、医 師・看護師の連絡が行いやすい構造とする。 感染症患者の受診を想定し、内科及び小児科には陰圧式*の 診察室を整備する。 セカンドオピニオンや緩和ケアは患者 1 人当たりの相談時間 が一定時間必要になる こと、相談内容には患 者プライバシー にかかわる内容が含まれることから、プライバシーに配慮し、 落ち着いて話ができる 空間を確保する(相談 室又は診察室の 活用を想定する。)。 フットケアをはじめ専門外来に適応する診察室を設置する。 手洗い場、器具の洗浄 ・消毒スペースを確保 するとともに、 効率的な配置とする。 診察室、処置室付近に は、診療材料などを保 管するためのス ペースを確保する。 中央処置室では、職員が効率的に動けるよう、1 ベッド当た りのスペースは充分に確保する。 中央処置室は、中央配 管によるガス供給・吸 引ができること とする。 <採血・採尿、採痰ブース> 採血及び採尿の専用受付を設置する。 採痰ブース等を設置する。 <外来化学療法室> 集学的ながん治療の実 施を想定し、放射線治 療やがん相談室 との動線を考慮する。 トイレは感染防止の観点から専用トイレとする。 手洗い用の洗面台を設置する。 14 外来化学療法室には抗 がん剤調製室(薬剤師 配置)が含まれ る。薬剤師、医薬品の 効率的な移動を可能と するため、薬剤 部門との動線を考慮する。 ④ 部門配置・動線 外来診療スペースは、低層階に設ける。 各診察受付から各検査 部門への動線を分かり やすくすること とし、かつ患者が移動しやすい動線を確保する。 スタッフ通路の設置な どにより患者とスタッ フの動線をでき る限り分離する(待合 室と搬送用廊下の区別 もできる限り行 う。)。 患者の利便性、職員の業務の効率性を両立させる動線とする。 患者にとって分かりやすい諸室、廊下等の配置とする。また、 院内サイン表示等も設 置し、患者がストレス なく院内を移動 できるような工夫を行う。 待合室は、スタッフの目の届く位置への設置を基本とする。 ⑤ 位置関係 隣接 医事部門 動線考慮 上下 会計計算カウンター 患者窓口カウンター (入退院、初診受付) 相談室 ※ 患者相談室では、セカン ドオピニオン・緩和ケア 相談への対応も行う。 医療安全部門 地域連携室 救急外来 外来部門 内視鏡 診察室 放射線部門 処置室 臨床検査(生理) 採血室・採尿トイレ 臨床検査(検体) 外来化学療法室 薬剤部門 検査予約センター兼 入院前説明室 15 ※隣接 … 同一フロアに配置されていること ※上下 … できる限り直上直下の位置関係を検討すること ※動線考慮 … 患者・職員の移動を効率的に行える位置関係にあ ること(距離が近い、EVを使った場合には短時 間で移動できる等) ⑥ その他留意点 外来待合スペースは、 自然光の採光、壁・天 井などの色彩、 照明などに工夫を凝ら し、患者が落ち着いて 過ごせる場所と する。 患者が利用しやすい施 設とするため、ユニバ ーサルデザイン を取り入れる。 感染の防止を図るため 、適度な換気など、空 気の清浄が行え る施設とする。 患者に配慮し、バリア フリーの構造、滑らな い床、転倒して も安全な床などを取り入れる。 災害時の対応を想定し 、外来スペースが患者 収容施設として 機能できるよう、広さ、設備(医療ガスの配管等)、各種器材 (ベッド等)の保管庫などを整備する。 小児科外来は、感染症 の小児外来患者に対す る診察前後の対 応を想定したつくりとする。 小児の点滴スペースは、成人とは別に設置する。 看護師を中心として対 応する専門外来(主に 午後診察)は、 フットケア外来、ストマ * 外来、リンパ浮腫 * 外来、糖尿病療 養指導外来を想定する。 (2) 病棟部門 ① 方針(部門運営の基本的な考え方) (ア) 患者の視点に立った安全かつ快適な療養環境(清潔感、広さ、プラ イバシーの保護等に配慮)を整備する。 16 (イ) 患者の病態に応じた適切な医療を提供できる施設とする。 (ウ) 医療事故・院内感染の防止につながる施設とする。 (エ) 効率的な職員配置、物品配置となるよう動線、スペースなどに配慮 した施設とする。 (オ) 関連他部門と効率的な連携(日常のやりとり、チーム医療)を図る ことができるよう動線、スペース、部門配置を工夫する。 ② 運営計画 (ア) 病床数及び看護師配置 病棟種類 一般病棟(5病棟) 病床数 看護師配置 209 床(42 床×4 病棟) 7対1 (41 床×1 病棟) 小児病棟 20 床 〃 緩和ケア病棟 20 床 〃 8床 4対1 HCU ※ 急性期看護補助体制加算 1(25 対 1)の算定も検討する。 (イ) 処置対応など 患者の容体に応じ、ベ ッドサイド・病棟の処 置スペースなど で処置対応を図る。 (ウ) 薬剤業務 ミキシング業務*…基本的には薬剤師が病棟にて行う運用と する。 (エ) 配膳 配膳方式は、中央配膳とし、温冷配膳車による搬送を行う。 デイルーム*は食事に対応できる施設にするとともに、温冷 配膳車を置くスペースも確保する。 病棟内に下膳車を保管するスペースを確保する。 (オ) 物品管理 薬剤…薬局からの払出 を基本とし、病棟での 薬剤ストックは 最低限とする。 17 診療材料…診療材料は 使用量に基づくストッ クとし、必要最 低限に抑える。 ③ 施設計画 (ア) 必要諸室 <一般病棟> 病室(感染症患者対応の病室を含む)、デイルーム(食堂)、シャ ワー室、介護用浴室(2 病棟に 1 つ)、観察室、患者処置室、患 者 説 明 室 ( 相 談 室 )、 病 棟 指 導 室 、 ス タ ッ フ ス テ ー シ ョ ン 、 カ ン ファレンス * 室(兼面談室)、休憩室、機材室、汚物処理室、倉庫、 車いす・ストレッチャー置き場、薬剤・物品保管スペース、など <小児病棟> 一般病棟に必要な諸室(介護用浴室を除く)に加え、プレイルー ムの設置などを検討する。 <緩和ケア病棟> 病 室 、 デ イ ル ー ム ( 食 堂 )、 家 族 控 室 、 ミ ニ キ ッ チ ン 、 ス タ ッ フ ス テ ー シ ョ ン 、 患 者 処 置 室 、 患 者 説 明 室 ( 相 談 室 )、 薬 剤 ・ 物 品 保管スペース、カンファレンス室(兼面談室) <HCU> HCU病室、スタッフステーション、患者説明室、家族控室、薬 剤保管調剤室、医療器材室、汚物処理室 (イ) 諸室条件 <病棟全体:各病棟共通> 照明、廊下と壁の色彩 、病棟内の騒音に配慮 し、安らげる病 棟施設とする。 病棟内の死角、スタッ フステーションから病 室までの移動距 離などに配慮し、入院患者の安全性を高める施設とする。 転倒・転落による事故防止に配慮した床とする。 18 デイルーム(食堂)は インターネット環境な どの整備を検討 する。 <病室:各病棟共通> 病室の 1 床当たりの床面積は 8 ㎡以上とする。 病室は 4 床部屋及び個室(重症個室、特別室を含む)を基本 とする。 病室の扉は全てスライ ドドアとし、ベッド搬 送が容易な幅と する。 日当たり等の環境によ って空調を調節できる ように検討する。 どの病室においても、 一定の重症度・看護度 の高い患者を収 容することができるよ う、病室の配管、コン セントの位置等 についても配慮する。 個室の場合、トイレ、 洗面台は室内設置とす る。ユニットバ ス(トイレ・シャワー 付き)の設置可否は、 今後の検討課題 とする。 大部屋の場合、トイレ の設置は室外(大部屋 入口の隣など)、 洗面台の設置は室内を基本とする。 トイレは、車いす、点 滴を使用する患者の利 用を考慮し、十 分なスペースをとる。 <病室:一般病棟> 感染症対策用(呼吸器疾患)の病室は 2 室程度設け、陰圧式 とする。 <病室:小児病棟> 一時的に増える感染症 の患者収容などを考慮 した個室の数、 病室配置とする。 小児病棟に関しては 4 床部屋ではなく、個室、2 床部屋、3 床部屋を中心とする。 医師・看護師が室内の 状況を把握しやすいよ う、病室の窓を 大きくする。 19 <病室:緩和ケア病棟> 一般病棟以上に病室は広くし、個室割合を高くする。 病棟に 1 つ、介護用浴室を設置することも検討する。 精神的に安らぐ空間と なるよう、壁や天井、 ドアの配色など に配慮する。 <病室:HCU> 術後患者の回復スペー ス、救急患者の受入れ スペース(主に 時間外)を想定し、効 率的な空間(病床配置 )とする。時間 外の救急患者はHCU で一旦受入れることを 想定する。ただ し、感染症患者の場合 は、直接病棟(個室・ 感染に対応する ベッド)に入ることとする。 HCUは感染症患者の 重篤な状態に対応でき るよう、一定数 の個室(陰圧式を含む)を設置する。 <スタッフステーション:各病棟共通> スタッフステーション は病棟内の見渡しが良 く、かつ病室ま での移動を迅速に行える場所に設置する。 スタッフが業務を効率的に行うためのスペースを確保する。 スタッフステーション に隣接し、重症患者や 不穏状態の患者 の観察室(2 床程度)を設置する。 ④ 部門配置・動線 関連する各部門からの 移動を考慮し、エレベ ーター、非常階 段などは効率的な配置とする。 清潔・不潔の動線は別に確保する。 20 ⑤ 位置関係 動線考慮 隣接 上下 放射線部門 緩和ケア病棟 小児病棟 一般病棟 リハビリテーション 部門 薬剤部門 臨床検査部門 成人・小児救急ともに時間外の 入院はHCUを活用する HCU 手術部門 救急部門 ⑥ その他留意点 病棟のセキュリティを 確保するための工夫を 行う(エレベー ターから病棟への動線 は必ずスタッフステー ションを経由す る、病棟入口にはドアを配置するなど)。 (3) 救急部門 ① 方針(部門運営の基本的な考え方) (ア) 時間内救急は、救急部(成人中心)が対応し、時間外及び休日対応 については、複数医師の当直体制による対応とする。 (イ) 成人・小児分野ともに 2 次救急患者を中心に、救急医療を提供す る。 (ウ) 3 次救急 * 患者は、迅速に 3 次救急医療機関へ転送できるよう、よ り一層連携を深める。 21 ② 運営計画 (ア) 救急部の設置 日勤帯は、救急担当医 師によるトリアージ及 び初期対応を行 う。専門性を有する治 療を必要とする患者の 場合は、各診療 科の専門医師の支援を受ける。 日勤帯の救急疾患に関 し、臨床検査部門並び に放射線部門に 対する検査オーダー*や各診療科に対する依頼は、当該救急 担当医師の権限とする。 (イ) 救急外来における当直・日直対応 内科・外科救急…週 1~2 回の輪番対応を維持するとともに、 輪番制当番日以外の2次救急対応日(夜間)を増加する。 小児救急…週 3 回(現状週 2 回)の輪番対応を実施する(新 病院開院後は週 4 回以上の輪番対応を目標として、体制整備 を進めていく。)。 (ウ) 24 時間の検査体制の整備 臨床検査部門、放射線 部門、薬剤部門につい ても輪番制当番 日に合わせた当直体制を組むこととする。 (エ) 応急診療所との連携 輪番制当番日において は、応急診療所からの 紹介患者をスム ーズに受入れる。 (オ) 夜間入院患者への対応 夜間帯に救急受診し、 入院が必要となった患 者はHCUで受 入れることとし、夜間帯の一般病棟への移動は極力行わない。 ただし、小児の感染症 患者など、HCUへの 入室が不適当と 考えられる場合には、小児病棟へ直接入室する運用とする。 (カ) 災害発生時の対応 災害時等に発生する患 者に対応することがで きるよう、スタ ッフへの研修・教育を実施する。 22 ③ 施設計画 (ア) 必要諸室 <救急入口> 救急車進入口、時間外救急外来入口(自力来院患者用)、風除室 <初療スペース(救急車搬送患者が主に利用すると想定)> 洗浄室、初療室(トリアージ・初期対応を行う)、救急(処置用) ベッド <受付・医事会計> 受診手続及び会計精算を行う窓口 <患者用スペース> 説明室(1 室)、患者待合スペース <診察室> 救急外来診察室(最低 3 室)、点滴ブース <職員関連スペース> スタッフステーション、医師執務室、器材庫、薬品庫、リネン庫、 汚物処理室、仮眠室、休憩室 (イ) 諸室条件 <救急入口> 救急車進入口、救急外来入口は別に設ける。 救急外来入口は 1 箇所とし、救急部門のセキュリティを確保 するため、部外者の出 入をチェックする監視 カメラ等の機器 を設置する。 救急外来入口付近には、専用の玄関口・受付を設置する。 <初療スペース> 救急部門の中で職員が 常時観察可能な場所( スタッフステー ション・初療室付近)に、救急ベッドを設置する。 洗浄室は、全身洗浄及びデブリードマン*を行えるようスペ ースを確保する。 23 初療室は、救急車から のベッド搬送をスムー ズに行えるよう 動線を確保する。迅速 に初期診療・処置を行 えるよう十分な スペースを確保する。 初療室には、重症者へ の対応又は死後処置な どを想定し、個 室エリアを確保する。 <診察室、患者用スペース> 感染症対策として、感染症用診察室(1 室)及び待合室を設 置する。 患者・家族用の説明室 は、プライバシーに配 慮した構造とす る。 <職員関連スペース> スタッフステーションはオープンな構造とする。 スタッフステーション は救急外来診察室や初 療室と隣接し、 薬品庫及び器材庫も隣接した場所に設置する。 救急部門職員用の休憩 室を救急部門内又は救 急部門に隣接し て設置する。 ④ 部門配置・動線 (ア) 救急外来は、正面玄関とは異なる入口とする。救急車の進入経路も 一般患者の動線を避けて配置する。 (イ) 放射線部門と近接した配置とする。 (ウ) 内視鏡部門と近接した配置とする。 (エ) 臨床検査部門と近接した配置とする。 (オ) 手術室及びHCUとは上下の階層での縦動線(エレベーター)を確 保する。 24 ⑤ 位置関係 隣接 動線考慮 上下 HCU 手術部門 救急部門 外来部門 臨床検査部門 内視鏡部門 放射線部門 (4) 手術・中央材料部門 ① 方針(部門運営の基本的な考え方) (ア) 患 者 に 応 じ た 高 度 な 手 術 を 提 供 す る と と も に 、 手 術 室 の 安 全 性 と 効率性を確保する。 (イ) 患 者 本 位 の 医 療 サ ー ビ ス の 提 供 を 念 頭 に 、 術 前 の 患 者 説 明 、 家 族 への経過説明等を十分に行い、患者及び家族との信頼関係を築く。 (ウ) 救急搬送患者等の緊急手術に対応する。 ② 運営計画 (ア) 手術室 <手術件数(8診療科)> 予定手術件数を約 2,100 件/年(入院患者に対する手術)とす る。 <手術室の数> 6室 <患者の入室、退室> 入院患者の手術部門へ の入室は、ベッド搬送 、車イス又は歩 行とする。 25 日帰り手術患者と入院 中の患者との出入口な どの動線を分け る。 術後患者の麻酔の覚醒 は原則として手術室内 で行う。覚醒に 時間がかかる場合は、HCUにて対応する。 <職員の入室> 入室時には帽子、マスクを着用し、術衣等の更衣を行う。 入室は、一足制 * を基本とする。 <感染管理> 清潔管理を徹底し、院内感染防止や手術の安全性を確保する。 (イ) 中央材料室・洗浄室・滅菌室 <手術機材のセット等> 手術に必要な器材をセットし、手術室へ提供する。 <洗浄・滅菌業務> 術後、再利用する器材などを洗浄・滅菌処理する。 <器材・材料の管理> 手術に必要な器材・材料を保管・管理する。 できる限り無駄(デッ ドストック等)が出な いよう、定期的 に棚卸を実施する。 ③ 施設計画 (ア) 必要諸室 <手術室> 手術室、手術ホール、患者更衣室、患者トイレ、患者待合室、家 族待機室、患者・家族説明室、手洗いコーナー、器材庫(医療機 器 管 理 含 む )、 ポ ー タ ブ ル X 線 装 置 置 場 、 薬 剤 保 管 室 ( 薬 品 庫 、 麻 薬 管 理 庫 )、 手 術 管 理 室 、 麻 酔 科 医 室 、 休 憩 室 、 ス タ ッ フ 更 衣 室(男女)、スタッフシャワー室(男女)、カンファレンス室 <中央材料・滅菌部門> 仕分・洗浄室、滅菌室、既滅菌室、組立・包装室、検収室、保管 庫、執務室 26 (イ) 諸室条件 手術室は全て、複数の 診療科で使用可能なも のとすることを 基本とし、ポータブル X線装置の搬入・利用 も容易に行える 入口の幅・スペースを確保する。 将来、ロボット手術な どを利用する可能性も 想定した手術室 のスペースを確保する(1 室当たりのスペースが大きくなり すぎる場合は、いくつ かの部屋に限定してス ペースを広くす る。)。 手術室のうち 1 室はバイオクリーンルーム * とする。また、 バイオクリーンルーム は整形外科の手術(手 術器材の展開) を想定したスペースを有することとする。 手術部位を動画撮影で きる術野カメラを無影 灯に設置するこ とにより、手術の進捗 状況を別室(医局等) からモニターで 確認するなどの運用を想定したインフラ整備を行う。 手術室内にインターフ ォンを設置し、病理検 査部門と手術部 門のコミュニケーションを円滑に図れるようにする。 外来手術を含む小手術に対応する手術室 1 室を確保する。 医療ガスの提供は、中央配管方式とする。 感染症に対応した手術室を整備する。 患者の術前不安の緩和 につながるよう、廊下 や手術室の環境 を整備する。 家族の待ち時間におけ る不安に配慮し、明る く清潔な家族待 機室を設ける。 放射線部門での撮影画像を参照できる設備構造とする。 情報システムの効率的 ・効果的な活用を踏ま えた、システム 配備のためのインフラ整備を行う。 器材を保管するための専用室を設ける。 天井は空気の清浄度を 保つためHEPAフィ ルターを活用す る。 手術室での手洗いは滅菌水ではなく、水道水で行う。 27 ④ 部門配置・動線 手術室は、病棟からの 患者搬送動線、業務効 率を考慮し、病 棟部分の下層階に配置する。 入院患者の手術室移動 (或いは術後の病棟移 動)に関して、一 般の見舞客と異なる動線を確保する。 術後の患者搬送を安全 かつ迅速に行うため、 手術室とHCU は隣接させ、患者移動 を効率的なものとでき るよう、動線に ついても考慮する。 外来手術患者と入院中の手術患者の動線を分ける。 中央材料滅菌室は、手 術滅菌器材の供給・回 収が効率的に行 える配置とする。 救急患者への迅速な対 応を可能とするため、 救急部門から手 術室までの効率的な動線を確保する。 感染防止に配慮した配置、動線とする。 術中迅速検査 * に対応するため、病理検査部門と隣接させる。 病理検査室へは手術室より専用通路での接続とする。 患者移動をスムーズに 行えるように手術ホー ル回りの器材庫 などの配置を工夫する。 ⑤ 位置関係 動線考慮 隣接 上下 臨床工学部門 HCU 中央材料滅菌室 病棟 手術部門 救急部門 病理検査部門 臨床検査部門 28 ⑥ その他留意点 患者認証システム等により、患者の取り違い事故を防ぐ。 病理検査部門における 効率的な連携を図るた め、術中迅速標 本を手術室から映像で 確認しながら協議でき るなど、映像や 音声モニターでコミュ ニケーションが取れる ような仕組みを 想定し、施設面でのインフラ整備を行う。 (5) 内視鏡部門 ① 方針(部門運営の基本的な考え方) (ア) 内 視 鏡 検 査 件 数 が 増 加 す る こ と を 想 定 し 、 そ れ に 対 応 す る 検 査 室 及び機器の整備を図り、専門的な検査・治療を提供する。 (イ) 患 者 説 明 を 十 分 に 行 い 、 患 者 の 検 査 に 対 す る 理 解 を 深 め る と と も に、検査時には患者のプライバシーに十分に配慮する。 (ウ) 救急輪番制当番日に内視鏡的処置が行えるようにする。 ② 運営計画 (ア) 対応する検査の範囲 上部・下部内視鏡検査(超音波内視鏡検査) 平日(午前・午後) ※ 2 室稼働 透視撮影装置を利用す る内視鏡検査は、放射 線部門にて対応 する。 ※ 膀胱鏡検査は泌尿器科 外来で行うが、透視が 必要なものは放 射線部門にて対応する。 (イ) プローブ * 等洗浄業務 内視鏡室及び放射線部 門にて使用したプロー ブ、その他器材 等の洗浄を行う。 29 ③ 施設計画 (ア) 必要諸室 受付、患者更衣室、前処置室、前室(服用スペース)、内視鏡検査 室(2 室)、回復室(4 ベッド程度)、洗浄室、患者用説明室、スタ ッフ更衣室、患者用トイレ、待合スペース、器材保管スペース (イ) 諸室条件 患者のプライバシーに 配慮した前処置室、回 復室等の整備を 図る。 感染防止に配慮した施設、設備構造とする。 前室(服用スペース)、前処置室、待合スペ ース、回復室は、 充分なスペースを確保する。 検査対応にあたって必要な配管設備(酸素など)を整える。 内視鏡検査室は、換気・消臭性能の良い施設とする。 内視鏡検査件数が増加する可能性を想定し、2 室から 3 室に 拡張できるスペースを確保する。 前処置室及び回復室にはリクライニングシートを設ける。 (ウ) 主な医療機器 上部内視鏡装置、下部内視鏡装置、超音波内視鏡装置、気管支鏡 装置、洗浄機、リクライニングシート ④ 部門配置・動線 透視撮影装置などを利 用する内視鏡検査を考 慮し、放射線部 門と隣接した構造とす る(特に洗浄室と透視 下内視鏡を行う 部屋)。 患者への説明と内視鏡 検査は医師が行うため 、外来に近接し た配置とする。 内視鏡生検により採取 された組織は病理検査 部門に搬送する 必要があるため、病理検査部門までの動線に配慮する。 30 ⑤ 位置関係 隣接 動線考慮 上下 外来部門 内視鏡 救急外来 放射線部門 病理検査部門 (6) 薬剤部門 ① 方針(部門運営の基本的な考え方) (ア) 副 作 用 ・ 相 互 作 用 ・ 重 複 投 与 の チ ェ ッ ク な ど を 通 じ 、 安 全 で 、 質 の高い調剤を行う。 (イ) 病棟薬剤師の配置により、病棟における薬剤使用リスクを軽減し、 薬剤師の専門性を活かした業務対応を図る。 (ウ) か か り つ け 薬 局 と の 連 携 に よ り 、 服 薬 指 導 等 を 通 じ て 把 握 し た 副 作用など患者情報の共有化を図り、在宅医療を支援する。 (エ) チ ー ム 医 療 に 積 極 的 に 参 画 し 、 病 院 全 体 の 医 療 の 質 向 上 に 貢 献 す る。 (オ) 薬 剤 師 と し て の 専 門 知 識 向 上 に 努 め る と と も に 、 薬 学 教 育 に 協 力 する。 (カ) 院内の医薬品を管理し、良質で安全な医薬品を効率的に提供する。 31 ② 運営計画 (ア) 調剤業務 調剤、外来服薬指導、製剤、内服・外用薬品管理、保険薬局疑 義照会、医師・看護師問合せ対応、医薬品情報等の収集・伝達等 を行う。 (イ) 注射薬に関する業務 注射調剤、注射薬在庫管理・出庫等を行う。 (ウ) 調製業務 抗がん剤(外来化学療法室)・TPN * 調製、レジメン * 管理、オ ーダチェックを行う。 (エ) 窓口に関する業務 院 内 処 方 対 応 、 薬 品 鑑 別 ( 持 参 薬 確 認 等 )、 検 査 薬 ・ D M 器 材 * の払出(※外来部門との調整必要)を行う。 (オ) 病棟に関する業務 服薬指導、病棟常駐による各種業務を行う。 (カ) 管理業務 麻薬・向精神薬・毒薬等管理、治験 * 業務等を行う。 (キ) その他業務 チーム医療への参画、薬学生(長期実務実習、早期体験学習等) への教育・指導を行う。 ③ 施設計画 (ア) 必要諸室 <調剤・製剤> 調剤室、注射室、一般製剤室、無菌製剤室、カート置き場、処方 監査スペース、薬剤払出スペース等 <注射薬調製> TPN調製室、抗がん剤調製室 <医薬品管理> DI室 * 、麻薬管理室、物品・医薬品倉庫、書類保管庫 32 <外来等> 投 薬 窓 口 ( 救 急 用 薬 局 窓 口 を 兼 ね る )、 持 参 薬 確 認 コ ー ナ ー 又 は 相談室 <病棟> スタッフステーション内の薬剤師常駐スペース <治験> 治験管理室、カンファレンス室(2 室)、治験薬保管庫 <スタッフ関連> 執務室、カンファレンス室、当直室等 (イ) 諸室条件 調剤室は、全自動錠剤 分包機、全自動散剤分 包機、薬品棚、 保冷庫、調剤台、麻薬 金庫等を設置し、医薬 品の搬入払出業 務を行うことができるスペースを確保する。 医薬品倉庫は、医薬品 の適切な管理ができる よう空調設備を 整備するものとする。 注射室は、注射薬の個 人セット、処置薬の管 理・供給を行う ことができるスペースを確保する。 TPN調製室にはパスボックス、クリーンベンチを設置する。 また、抗がん剤調製室には安全キャビネットを設置する。 TPN調製室は陽圧、 抗がん剤調製室は陰圧 とし、適切な空 気清浄度を確保する。 麻薬管理室は、セキュリティに配慮した構造とする。 薬剤カートを管理できる十分なスペースを確保する。 治験管理室は、関係書 類の管理や資料の保管 等を行うスペー スを確保し、治験薬保管棚及び管理用冷蔵庫を設置する。 カンファレンス室は、機密が保てる場所とする。 各病棟のスタッフステ ーション内に、可能な 限り独立性を有 した薬剤師の常駐スペースを確保する。 麻薬金庫は重量を考慮し、設置場所に配慮する。 33 ④ 部門配置・動線 (ア) 薬 剤 部 門 諸 室 は 、 で き る 限 り 人 員 が 分 散 し な い よ う 、 同 一 階 に 集 約する。 (イ) 病 棟 へ の 薬 品 搬 送 を 考 慮 し 、 業 務 用 エ レ ベ ー タ ー と 近 接 し た 配 置 とする。 (ウ) 救急用薬局窓口は救急外来に隣接した配置とする。 (エ) 物品搬送の動線は、患者動線と交錯しないようにする。 (オ) 外来化学療法室は、薬剤部門の近くに配置する。 ⑤ 位置関係 動線考慮 隣接 上下 持参薬確認コーナー 外来用薬局窓口 (救急用窓口) 治験管理室 業務用エレベーター 薬剤室等(倉庫含む) 外来化学療法室 (7) 放射線部門 ① 方針(部門運営の基本的な考え方) (ア) 精度の高い画像診断を行い、3D画像などの診療支援を提供する。 (イ) が ん に 対 す る 放 射 線 治 療 の 体 制 を 整 備 し 、 集 学 的 が ん 治 療 の 一 翼 を担う。 (ウ) 放射線情報システムを有効に活用し、業務効率の向上を図る。 (エ) 院 外 か ら の 紹 介 ( 画 像 診 断 に か か わ る ) に も 積 極 的 に 対 応 し 、 医 療資源(機器・スタッフ)の有効活用を図るとともに、地域医療 連携に貢献する。 (オ) 放 射 線 機 器 は 一 元 的 な 配 置 と し 、 人 員 を 効 率 的 に 配 置 で き る 状 態 とするとともに職員の生産性を高める。 34 ② 運営計画 (ア) 画像診断業務 CT * 、MRI * 、一般撮影装置、X線TV装置、RI検査装 置、マンモグラフィ、 血管造影装置、エコー 診断装置等を用 いた画像撮影、診断業務を行う。 (イ) IVR(放射線診断技術の治療への応用)への対応 画像誘導下でIVRによる低侵襲治療を行う。 (ウ) 放射線治療 放射線治療機器(リニアック * )を用いて、がん治療を行う。 (エ) 放射線情報システムを用いた正確かつ効率的な業務運用 放射線情報システム(RIS*)を活用した撮影予約などに より、高精度化と効率 化、待ち時間の短縮な ど患者サービス の向上を図る。 画像情報システム(PACS*)を活用し、救急部門、外来 部門、各治療部門、病 棟等に画像データをオ ンラインで提供 し、診療の効率性を向上させる。 (オ) その他 CT撮影及び一般撮影に関しては、24 時間体制とし、当直技 師を置く。 画像情報は、院内共通の画像サーバで一括管理する。 地域の医療機関の紹介 予約は、地域医療連携 室を経由して行 う(地域の医療機関が より利用しやすくなる よう、将来はネ ットワークを通じて画像をやりとりする。)。 ③ 施設計画 (ア) 必要諸室 <画像診断・IVR> 受付、待合室、一般撮影室、透視撮影室、血管撮影室(血管造影 室 )、 C T 撮 影 室 、 M R I 撮 影 室 、 マ ン モ グ ラ フ ィ 撮 影 室 、 R I 撮影室、各種操作室、患者更衣室、患者トイレ、放射線医師用診 35 察室、読影室、機械室、医療器材室、放射線情報システム管理室、 患者説明室、前室、観察室、スタッフ室、当直室、カンファレン ス室、物品管理スペース(造影剤・アイソトープ * 用)、器材庫(エ コーなど収容) <放射線治療> 受 付 、 待合 室、 放 射線治 療 室 、シ ミュ レ ーター * 室 、 操作 室 、 治 療計画室、工作室、器材庫、放射線治療医師用診察室、患者更衣 室、スタッフ室、カンファレンス室、物品管理スペース (イ) 諸室条件 待合室や検査室等は、 患者にとって快適かつ プライバシーの 確保された検査環境として整備する。 放射線管理区域、サー バ室のセキュリティを 確保するため、 個人識別による入室管理などの対策を行う。 放射線管理区域として の管理が必要であるた め、安全性に配 慮した配置・設備構造とし、諸室を集約する。 大型機械の増設等、将 来の拡張の可能性も見 越した機器の配 置、スペースの確保を行う。 放射線情報システム管 理室は、ワークステー ション、情報処 理、遠隔診断の機能も備える。 (ウ) 必要機器 胸部・腹部用X線装置、多目的用X線装置、ポータブルX線装置、 乳房用X線装置、X線テレビ装置、多目的用X線テレビ装置、R Iシンチレーションシステム * 、血管造影装置、CT、MRI、画 像 ワ ー ク ス テ ー シ ョ ン * 、 高 エ ネ ル ギ ー X 線 治 療 装 置 (リ ニ ア ッ ク 等)、治療計画装置、画像処理装置、遠隔診断用装置、エコー診断 装置(IVRに活用) 36 ④ 部門配置・動線 診断部門の各諸室は一 元的に配置し、効率的 な人員配置、業 務運用を行えるようにする。 外来からの動線は、患 者にとってわかりやす く、かつ移動し やすいものとする。 救急患者の緊急検査に対応できる部門配置とする。 入院患者の利用も想定 し、病棟からの動線も 効率的なものと する。 透視撮影装置は、内視 鏡部門との連携をとる ことを想定した 配置とする。 ⑤ 位置関係 隣接 動線考慮 上下 外来部門 救急外来 放射線診断 内視鏡 放射線治療 病棟部門 (8) 臨床検査部門 【臨床検査部門(検体検査)】 ① 方針(部門運営の基本的な考え方) (ア) 精密で正確、迅速な検査を行う。 (イ) 検査の質を確保するため、院外検査を含めた精度管理の充実を図る。 (ウ) 各種チーム医療等にも積極的に参加し、検査部門としての役割を十 分に発揮する。 37 (エ) 部門内の定期的なローテーションの実施により、柔軟な業務体制を 構築する。 ② 運営計画 (ア) 検体検査業務 <一般検査> 尿・糞便検査、迅速検査、その他一般検査を行う。 <血液検査> 血液一般検査、凝固系検査等を行う。 <生化学検査> 生化学検査(血液ガス関係、糖質関係、脂質関係、電解質関係) を行う。 <細菌検査> 細 菌 培 養同 定 検査 、 薬剤 感 受 性検 査 、抗 酸 菌検 査 * 、 迅速 検 査 等を行う。 <免疫・血清検査> 各種ウイルス抗体検査、輸血関連検査、免疫学的検査、内分泌 学的検査、腫瘍関連検査等を行う。 <輸血検査> 血液型検査、不規則同種抗体検査 * 、交差適合試験 * 等 を 行 う 。 (イ) 採血業務 外来部門(採血室)で の採血業務に外来看護 師とともに対応 する。 (ウ) 管理業務 輸血用血液製剤を管理する。 ③ 施設計画 (ア) 必要諸室 検査受付、執務室、生化学検査室、免疫血清室、一般検査室、血 液検査室、細菌検査室、細菌検査前室、細菌検査洗浄室、輸血検 38 査室、冷蔵室、病原微生物検査室、当直室、カンファレンス室、 医療器材室、毒劇物室 (イ) 諸室条件 検体受付、当直室、生化学検査室、免疫血清室、血液検査室、 一般検査室、輸血検査 室については、ワンフ ロアとして整備 する。 細菌検査室、細菌検査洗浄室は隣接して設置する。 細菌検査室、細菌検査 洗浄室については独立 した換気、陰圧 室と自動ドアで区切られた前室を整備する。 特殊な機器を使用する ため、給排水の整備、 特に純水の供給 ができる設備を整える。 特殊な機器を使用する ため、電源設備(LA N配線なども含 む)に配慮するととも に機器の発熱に考慮し た空調設備とす る。 ④ 部門配置・動線 (ア) 外来採血室、採尿室と隣接した配置とする。 (イ) 検 体 検 査 エ リ ア ( 生 化 学 検 査 室 ほ か ) は 、 ト イ レ パ ス ボ ッ ク ス か ら提出できるような配置とする。 (ウ) 輸 血 血 液 製 剤 の 受 け 渡 し の た め に 、 検 体 受 付 と は 別 に 病 棟 と の 動 線を考慮した入口を設ける。 (エ) 共通検査の多い病理検査部門との動線を考慮する。 (オ) 救急部門との動線を考慮する。 39 ⑤ 位置関係 隣接 動線考慮 上下 病棟 病理検査部門 検体検査 外来部門 生理検査 外来採血室・採尿室 救急部門 【臨床検査部門(生理検査)】 ① 方針(部門運営の基本的な考え方) (ア) 技術習得体制の整備、診断精度の向上、効率的な検査を行う。 (イ) 原 則 と し て 予 約 制 で の 運 用 と す る が 、 緊 急 の 予 約 外 の 検 査 に も 対 応できる柔軟な体制整備に努める。 ② 運営計画 (ア) 循環機能検査 心電図検査、エルゴメーター(運動負荷心電図)検査 * 、ホルタ ー心電図検査 * 等を行う。 (イ) 超音波検査 心エコー、腹部エコー、頸動脈エコー、下肢血管エコー、乳腺 エコー、甲状腺エコー等を行う。 ※前立腺エコーは、外来にて対応 (ウ) 呼吸機能検査 肺活量検査、肺拡散能力検査 * 等を行う。 (エ) 脳波検査 覚醒脳波検査、睡眠脳波検査等を行う。 40 (オ) 脈波検査 血圧脈波検査等を行う。 ③ 施設計画 (ア) 必要諸室 受付、待合室、心電図・血圧脈波検査室、呼吸機能検査室、超音 波検査室(2 ブース)、心臓・血管超音波検査室(1 ブース)、脳波 検査室、超音波所見室、執務室、リネン庫 (イ) 諸室条件 各検査ブースは患者のプライバシーに配慮した構造とする。 心電図室は、負荷心電図室を 1 ブース設け、処置ベッド 2 台 及び検査装置を設置し 、血圧脈波検査は、心 電図室内にて対 応する。 心電図室には隣接して 、エルゴメーター検査 装置及びホルタ ー解析装置を置くスペースを確保する。 超音波検査室及び心臓・血管超音波検査室は 3 ブース設け、 各々に処置ベッド・検 査装置を設置する(超 音波検査室は、 将来拡張する可能性を考慮した施設整備を行う。)。 呼吸機能検査室を設け、心電図室に隣接して設ける。 脳波検査室はシールド ルームとし、操作室、 記録室及びシャ ワー付き洗面台を設ける。 超音波検査室、脳波検 査室、肺機能検査室は ベッド患者が搬 入できるスペースを確保する。 ④ 部門配置・動線 検体検査エリア及び生理検査エリアは、職員の効率的な配置、 患者の移動の観点から隣接させる。 生理検査の各ブースに ついては、中央集約化 することで人員 配置の効率性にも配慮する。 41 ⑤ 位置関係 P40 検体検査の位置関係図を参照。 (9) 病理検査部門 ① 方針(部門運営の基本的な考え方) (ア) 組織診断、細胞診断を的確に行い、適切な診断に導く。 (イ) 術 中 迅 速 病 理 診 断 、 細 胞 診 断 を 的 確 に 行 い 、 手 術 の 質 の 向 上 に 寄 与する。 (ウ) 病 理 解 剖 に よ り 得 た 情 報 を 、 地 域 医 療 機 関 も 含 め た 症 例 検 討 会 で 検討することにより、診療の質の向上に寄与する。 ② 運営計画 (ア) 組織診断、細胞診断の実施 針生検、内視鏡検査により採取した組織等に対する標本作 製・診断業務を行う。 針・綿棒で採取した細胞及び尿・痰に対する診断を行う。 (イ) 術中迅速病理診断・細胞診断の実施 より適切な手術方法の選択やがんなどに侵された臓器の切除 範囲を確定するため、手術中に病理診断を行う。 (ウ) 病理解剖の実施 死因の解明や診断の妥 当性などを検証するた め、死亡した患 者の解剖を行う。 ③ 施設計画 (ア) 必要諸室 <病理診断> 術中迅速標本作製室、ホルマリン固定・切り出し室、標本作製室 ( 検 体 処 理 )、 受 付 、 細 胞 診 検 鏡 室 、 標 本 整 理 ・ 保 管 室 、 病 理 医 検鏡室等 42 <病理解剖> 剖検室、備品・薬品保管室、剖検臓器保管庫、更衣室 (イ) 諸室条件 術中迅速標本作製室、 ホルマリン固定・切り 出し室、標本作 製室においては、病原 体や有機物質(ホルマ リン、キシレン * など)に対する排気、排水に十分配慮した施設とする。 上述の諸室は、分離し た状態(壁、ドア等に よる仕切りがあ る状態)であり、かつ隣接した位置関係とする。 術中迅速標本作製室にはクリオスタット*をはじめとした機 器等の配置を考慮した スペースを確保する。 また室温は常時 20℃に保てるようにする(個別空調の設置など)。 標本や臓器等を保管するための十分なスペースを確保する (特に病理標本室のスペースを確保する。)。 病理解剖室の床や壁は、水洗いによる清掃が可能なものとし、 排水に十分配慮する。 また、排水溝は詰まり による匂いを防 ぐため、清掃が行いやすいつくりとする。 病理診断を行う部屋及 び病理解剖室は感染症 対策に十分配慮 したつくり(独立した空調・排気設備の設置等)とする。 病理解剖室は、バイオハザード * に対応した施設構造とする。 ④ 部門配置・動線 術中迅速診断への対応 を考慮し、病理検査部 門と手術室は隣 接した位置関係とする。 病理解剖室は、霊安室と隣接した位置関係とする。 43 ⑤ 位置関係 動線考慮 隣接 上下 手術部門 病理検査部門 臨床検査部門 病理解剖室 霊安室 (10) リハビリテーション部門 ① 方針(部門運営の基本的な考え方) (ア) 全 て の 療 法 に 関 し 、 医 師 か ら の 依 頼 に 速 や か に 対 応 し 、 最 先 端 か つ質の高いリハビリテーションを提供する。 (イ) 入 院 患 者 に 対 す る 急 性 期 リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン を 強 化 し 、 患 者 の 早 期退院、社会復帰を支援する。 (ウ) 術 後 患 者 等 に つ い て は 土 曜 日 等 の リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン を 提 供 す る ことで、早期の機能回復に努める。 (エ) 急 性 期 を 脱 し 、 回 復 期 リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン が 必 要 に な っ た 患 者 に 対しては、関連医療機関、在宅サービス、福祉施設などと迅速な 連携を図る。 (オ) 病 態 に 応 じ た リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン の 提 供 を 行 う こ と を 念 頭 に 、 診 療報酬上の施設基準を取得する。 (カ) 患 者 と の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン に 配 慮 し 、 心 の こ も っ た リ ハ ビ リ テ ーションの提供を通じて、心身ともに患者をサポートする。 44 ② 運営計画 (ア) 理学療法 筋力、関節可動域、協調性など身体の運動機能障害に対して、 物理療法(電気、水、 温熱、マッサージ)や 運動療法等を用 いて、寝返る、坐る、 立つ、歩くなど日常生 活の基本動作能 力の回復を図る。また 、呼吸器疾患や糖尿病 、がん関連疾患 の理学療法、運動指導も行う。 (イ) 作業療法 日常生活動作(食事、排泄、更衣、整容、入 浴、家事、仕事) などに困難をきたす患 者に対して、身体機能 、高次脳機能、 精神機能など様々な面 からのリハビリテーシ ョンを提供する。 (ウ) 言語聴覚療法 言葉によるコミュニケ ーションや食事の際の 飲み込みが困難 な患者に対して、評価、訓練、助言を行う。 失語症、構音障害、音 声障害、言語発達遅滞 、広汎性発達障 害など、小児から高齢 者まで幅広く対応する 。また、食事の 際にむせるなど飲み込 みの問題(摂食・嚥下 障害)がある患 者に対しては、専門的な検査を行う。 ③ 施設計画 (ア) 必要諸室 受付、患者更衣室、診察室、理学療法エリア、作業療法・日常生 活動作(ADL * )訓練エリア(キッチン、浴室、トイレ、和室、木 工 室 等 )、 義 肢 装 具 装着 エ リ ア 、 水 治 療 法 室 * 、 言 語 療 法 室 、 動 作 分析・評価室、リハビリ器具倉庫、リネン庫、執務室、カンファ レンス室 (イ) 諸室条件 機能面はもちろん、心 の癒しなど精神面にも 配慮した施設と する。 45 訓練スペース(理学療 法、作業療法などを行 うエリア)及び 言語療法室は、患者数を勘案し必要なスペースを確保する。 安全性の観点から、ど の場所からも各諸室が 見渡せるように 配慮する(執務室から も訓練スペースを視認 しやすいように する。)。 車いす、歩行器、杖を 利用した歩行者がスム ーズに交差でき る程度の広さが確保された廊下・訓練スペースとする。 必要な機器、器具等は 、訓練スペース全体が 見渡せるように 配置する。 ホットパック・牽引療 法エリアについては患 者のプライバシ ーに考慮した配置とし、余裕をもった面積を確保する。 言語療法室は、言語療法、摂食・嚥下機能訓練*のための個 室を設け、患者のプライバシーに配慮した構造とする。 ④ 部門配置・動線 入院患者の利用が多く なることを想定し、患 者のプライバシ ー保護の観点から、病 棟からリハビリテーシ ョン部門への動 線は、外来患者の動線と区別する。 整形外科外来に近接し た配置とし、医師及び 患者動線の短縮 を図る(ただし、スペ ース確保の条件を最優 先とし、別階層 のフロアとなる事も想定される。)。 46 ⑤ 位置関係 隣接 動線考慮 上下 病棟 リハビリテーション 部門 外来部門(整形外来) ⑥ その他留意点 リハビリテーション部 門の付近には、多機能 トイレを設置す る。 (11) 栄養給食部門 ① 方針(部門運営の基本的な考え方) (ア) 治 療 の 一 環 及 び 患 者 サ ー ビ ス で あ る こ と を 念 頭 に 食 事 の 提 供 を 行 う。 (イ) 患者の病態・アレルギー等を考慮した個別食にも適切に対応する。 (ウ) 選 択 メ ニ ュ ー な ど 、 食 事 の バ リ エ ー シ ョ ン を 増 や し 、 食 事 に 対 す る患者の満足度を向上させる。 (エ) H A C C P * ( 食 品 高 度 衛 生 管 理 手 法 )、 大 量 調 理 施 設 衛 生 管 理 マ ニュアル(厚生労働省)に準じた衛生管理を実施する。 (オ) 入 院 患 者 、 外 来 患者 に 対 す る 栄 養 指 導 ( 個 人 、 集 団 )、 N S T * 活 動などに積極的に関与していく。 47 ② 運営計画 (ア) 給食(献立作成・調理・配膳) 院内調理、中央配膳方式とする。 献立作成、給食材料の調達(契約から検収まで)、調理、配膳・ 下膳、食器洗浄を行う 。なお、配膳・下膳の うち栄養給食部 門が対応する範囲は、 栄養給食部門‐病棟間 の搬入・搬出ま でとする。 適時適温の配膳を行う。 (イ) 栄養管理指導、NST活動 管理栄養士を中心として栄養管理計画書を作成する。 管理栄養士による個別及び集団栄養食事指導を行う。 管理栄養士はNST活動へ参加する。 ③ 施設計画 (ア) 必要諸室 執 務 室 ( ミ ニ キ ッ チ ン ・ 検 食 用 ス ペ ー ス 含 む )、 ス タ ッ フ ト イ レ 、 委託スタッフ控室、検収前室、手洗い 場 、食 器・食 材 保 管・調 理 ・ 食器洗浄スペース、配膳車プール室、下膳車スペ ー ス 、栄 養 相 談 ・ 指導室、備蓄倉庫 (イ) 諸室条件 備蓄倉庫には、災害に備え、入院患者に対する 3 日分程度の 食糧を備蓄し、設置場 所については、津波被 害等も想定した 配置を検討する。 清潔・準清潔・不潔区 域を明確に分けるなど 、食品の衛生管 理に十分に配慮した諸 室の配置とするととも に、食材保管・ 調理室など部屋によっ ては清潔を保ちやすい 設備構造を取り 入れる。 48 検収前室は食材搬入口 と調理スペースの間に 設置し、調理ス ペースを区切る壁は視 認性の良いもの(ガラ ス張り等)とす る。 清掃可能なグリーストラップ*を設置する(厨房内・外のい ずれに設置するかは要検討事項)。 食材保管のためのスペ ースは、食材の他、栄 養剤等の保管も 想定するため、一定の広さを確保する。 手洗い場近くには、シューズの履き替えスペースを設置する。 下膳車スペースでは、下膳車の洗浄、ゴミの分別等を行う。 調理室内は、室温・湿 度を適切に保つことが できる設備構造 とする。 食材搬入口など外から 室内への入口は、エア カーテン等によ り、外から室内に異物が入ることを防ぐ。 栄養相談・指導室は、 患者のプライバシー確 保に配慮する一 方、職員の安全面に配 慮したつくりとする( 擦りガラス等に より、面談室の状況が分かるようにするなど)。 栄養相談・指導室は 2 室前後設置することを検討する。 ④ 部門配置・動線 (ア) 給食 栄養給食部門は低層階 に設置し、病棟配膳の ための専用エレ ベーター(1 台)を設置する(配膳時間の短縮化のため、 エ レベーターは配膳車 2 台を収容できるスペースを有するとと もに清掃しやすいものを検討する。)。 食材搬入口、前室、検 収スペース、下処理室 へと流れる動線 を確保するとともに、ゴミ置場への搬出動線を確保する。 食材搬入経路及びゴミ出し経路はそれぞれに確保する。 給食ゴミと医療廃棄物の廃棄場所は明確に区分する。 49 清潔を保つため、不潔 物を扱う可能性が高い 部門(検体検査 部門、清掃関連、リネ ン庫等)とは動線も含 めて交差しない ようにする。 調理スペース、配膳車 プール室と配膳用エレ ベーターは効率 の良い配置、動線を確保する。 下膳車と配膳車の動線は交差しないように配慮する。 衛生管理・感染予防の ため、他部門スタッフ と接触しない部 門配置とする。 (イ) 栄養相談・指導室 患者、職員の移動を考 慮し、外来部門及び栄 養給食部門と近 い位置関係とする。 ⑤ 位置関係 隣接 動線考慮 上下 病棟 外来部門 栄養給食部門 栄養相談・指導室 ⑥ その他留意点 調理室等への入退室に ついては、フットスイ ッチ等によるド アの開閉を検討する。 50 厨房内と執務室の連絡 を行えるよう、インタ ーフォン等の設 置を検討する。 食材洗浄への電解水の 利用等を想定し、当該 設備の整備を検 討する。 (12) 臨床工学部門 ① 方針(部門運営の基本的な考え方) (ア) 機器は集中管理方式とする。 (イ) 医療機器使用・管理に係る情報の収集及び提供を通じて、医療機器 の適正な使用の普及に努める。 (ウ) 医 療 機 器 操 作 の 研 修 を 通 じ て 医 療 機 器 を 安 全 に 使 用 す る た め の サ ポートを徹底し、医療安全の確保に努める。 (エ) 効率的な機器管理、故障・修理履歴の管理を行うとともに、適切な 保守計画に基づきメンテナンスを行う。 ② 運営計画 (ア) 医療機器の管理・保守点検業務 院内各所で使用する医 療機器(人工呼吸器、 輸液ポンプ、シ リンジポンプ*、吸引器等)を集中管理し、機器の管理、保 守点検(点検記録を含む)、修理を行う。 機器の日常的なトラブ ルの原因調査及び一時 的な対処を行う。 (イ) 医療機器の操作の介助 手術室、病棟での機器 の準備、使用補助、使 用後の点検など に対応する。 (ウ) 研修 医師・看護師等を中心に医療機器に関する研修を適宜行う。 51 ③ 施設計画 (ア) 必要諸室 執務室、医療機器保管庫 (イ) 諸室条件 医療機器保管庫には、機器保管スペースのほかに、貸し出し、 返却及び点検のスペースをそれぞれ確保する。 ④ 部門配置・動線 手術部門と近接した配置とする。 各病棟への医療機器の 搬送を考慮し、業務用 エレベーターと 近接した配置とする。 医療機器保管庫は、点 検時のアラーム音など を考慮し、病棟 以外に配置する。 ⑤ 位置関係 隣接 上下 病棟 手術室 臨床工学部門 HCU 52 動線考慮 (13) 医療安全部門 ① 方針(部門運営の基本的な考え方) (ア) 医療安全・感染管理に関する組織的且つ横断的な取組を行い、全て の職員が安全な医療の提供の重要性を認識し、日々の診療業務が 遂行できるよう、安全管理に関する教育・啓発を徹底する。 (イ) インシデント * 等の発生に際しては早期に情報を把握し、適切な方 法を用いて周知し、職員全員で共有できるよう対応する。 (ウ) 医療事故の防止に向けて、「リスクの把握」「要因の分析」「改善策 の構築」「取組の評価」といった一連のプロセスを徹底する。 (エ) 医療安全等に係わる患者相談窓口を設置し、相談内容を医療安全対 策に反映する。 ② 運営計画 (ア) 医療安全管理者業務 医療安全・感染管理に関する情報提供を行う。 各部署を定期的に巡回 し、医療安全・感染管 理に対する状況 把握を行い、予防に役立てる。 医療安全測定データの収集と分析を行い、予防策を検討する。 医療安全・感染管理に関する業務改善の提言・指導を行う。 (イ) 職員研修 医療安全対策・感染管理に関する研修を行う。 トレーニングセンター 等を活用し、診療技術 (救急処置等) の習得や向上に向けたトレーニングの場を設ける。 (ウ) 医療安全にかかわる相談業務(医療ADR * による対応を含む) 医療安全管理者又は感 染管理者が状況に応じ てメディエーシ ョン(対話促進型)による医療紛争の解決を図る。 (エ) トレーニングセンターの運営 トレーニングセンターの運営を行う。 53 ③ 施設計画 (ア) 必要諸室 執務室(書類保管スペース含む)、相談室(医事部門と兼用) (イ) 諸室条件 相談室は、院内医療メディエーター * を加えた 3 者での医療 紛争解決を図る場として適切なスペース、設備(椅子、机等) を有し、また、緊急通報用の設備も確保する。 相談室は、プライバシーに配慮したつくりとする。 ④ 部門配置・動線 執務室は相談室に近接した配置とする。 ⑤ 位置関係 隣接 動線考慮 上下 外来正面玄関 相談室 医療安全(執務室) 医事部門 ⑥ その他留意点 トレーニングセンター は、多目的室と兼用す る(トレーニン グを行わない時間帯は 、会議をはじめとして 多目的な用途で 活用できる施設とする。)。 54 (14) 地域医療連携部門 ① 方針(部門運営の基本的な考え方) (ア) 地域医療支援病院の認定取得に向けて、紹介率・逆紹介率向上に努 める。 (イ) 転院や在宅支援などの後方支援の充実を図り、地域全体の効率的な 医療提供体制の構築に寄与する。 (ウ) 地域医療機関との症例検討会や講演会、研修会などの支援体制を整 備する。 (エ) 患者及びその家族からの相談等に適切に対応し、不安の緩和・安心 の提供に努める。 (オ) 入退院の調整とともにベッドコントロールの支援を行い、効率の良 い病床運用(病床稼働率の向上)に寄与する。 ② 運営計画 (ア) 前方支援(地域医療機関からの紹介患者の受入れ等)業務 外来診察、検査予約受 付に係る調整業務をは じめ、紹介経由 の入院受付など、地域 医療機関からの患者受 入れに係る支援 を行う。 (イ) 後方支援(退院支援・調整等)業務 患者・家族と面談を行 い、転院、在宅医療に 向けた情報を提 供し、院内職員、関係 先機関との連絡調整等 に係る支援を行 う。 (ウ) 医療福祉相談業務 医事部門と連携し、医療相談や医療費支払等の経済的な相談、 各種制度の紹介などを行う。 (エ) がん相談支援業務 緩和ケア病床を有する医療機関として、患者・家族へのがん情 報の提供及び相談支援 並びに地域の医療機関 との連携を行う。 55 (オ) 広報等業務 院外向け広報誌(開業医・患者向け)の作成(支援)を行う。 合同カンファレンス(地域症例検討会)等の各種研修の実施、 企画運営を行う。 地域の医療機関等への 訪問を含め、地域連携 に係る密な情報 交換を行う。 (カ) ベッドコントロール支援業務 病棟部門(看護部)と 連携し、ベッドコント ロール業務を行 う。 ③ 施設計画 (ア) 必要諸室 執務室、相談室(医事部門と兼用) (イ) 諸室条件 執務室には、診療予約 業務及び入退院時の説 明、受付・案内 等を行うことができるスペースを設ける。 相談室は、患者及び家 族が収容できる程度の スペースを確保 する。 相談室の入口は、車椅子が入れる幅を確保する。 相談室は職員の安全性 にも配慮し、ドアを擦 りガラスのもの とし、2 箇所に設ける。 ④ 部門配置・動線 地域医療連携部門及び 相談室は外来の正面玄 関付近に設置し、 来院患者・家族から分 かりやすいところへ配 置する。また、 医事部門とも近接した配置とする。 地域医療連携部門と相談室は隣接した配置とする。 相談室には、一般外来患者と区分けした待合スペースを設け、 プライバシーに配慮した構造とする。 56 ⑤ 位置関係 隣接 動線考慮 上下 外来正面玄関 相談室 地域医療連携部門 医事部門 ⑥ その他留意点 がん相談支援に関連し 、がんにかかわる情報 を検索・収集で きるコーナーの設置を検討する。 (15) 医事部門 ① 方針(部門運営の基本的な考え方) (ア) 施 設 基 準 取 得 を は じ め と し た 各 種 診 療 報 酬 の 適 切 な 算 定 に 努 め 、 医業収益確保に貢献する。 (イ) 患 者 と 接 す る 機 会 が 多 い 部 門 で あ る こ と を 意 識 し 、 気 持 ち よ く 受 診できる環境づくりを心がける。 (ウ) 受 付 や 会 計 、 入 院 案 内 等 の 業 務 の 効 率 化 を 図 り 、 患 者 を 待 た せ な い運用や待ち時間のストレスを軽減するような工夫を図る。 (エ) 診 療 報 酬 制 度 * を は じ め 各 種 制 度 見 直 し に 迅 速 に 対 応 で き る 専 門 性を有したスタッフの育成や配置を行う。 (オ) 各 種 収 入 に 関 す る 情 報 管 理 の 徹 底 を 図 り 、 経 営 判 断 を 行 う た め の フィードバックに努める。 57 ② 運営計画 (ア) 総合案内業務 患者・家族等、来院者 の総合的案内及び面会 手続に係る事務 を行う。 初診受付、入院受付等を行う。 再診患者については、ブロック受付を行う。 (イ) 会計業務 医事会計システムの管理、点数マスタ等の更新を行う。 診療費計算業務(入院 分の診療報酬の計算に ついては、当院 採用の職員にて対応)を行う。 診療費請求及び管理業務を行う。 レセプト処理日等の調整管理業務を行う。 請求書作成等請求に係る業務全般を行う。 (ウ) 会計窓口業務 自動支払機で取り扱う ことができない診療費 の計算・請求を 行う。 領収書の発行及び交付を行う。 (エ) その他 次に掲げる業務を行う。 医事相談業務(地域医療連携室と連携して対応) 医事統計 * 作成及び報告に関する業務 証明書受付業務 未収金管理・回収業務 各種関係機関への届け出業務 病院内職員に対する診療報酬に係る研修・勉強会等の開催 58 ③ 施設計画 (ア) 必要諸室 執務室、書類保管室(カルテ含む)、患者窓口カウンター、会計計 算カウンター、相談室(各種相談兼用 3 室以上)、委託スタッフ控 室 (イ) 諸室条件 患者窓口用の受付カウ ンター等については、 車いすの患者を 考慮して設定する。 相談室は、外来部門、 医療安全部門、地域医 療連携部門と兼 用する。がん相談、医 療安全にかかわる相談 、セカンドオピ ニオン、緩和ケア相談等に対応できる施設とする。 相談室は、患者や家族等のプライバシーに配慮して設定する。 相談室は職員の安全性 にも配慮し、ドアを擦 りガラスのもの とし、2 箇所に設ける。 (ウ) 主な必要機器 自動支払機、再診受付機 ④ 部門配置・動線 医事部門は、正面玄関から分かりやすい場所に設置する。 執務室は中央受付や患 者窓口カウンター、会 計計算カウンタ ーと隣接させる。 個人情報を扱うことか ら、セキュリティ管理 に留意した設備 とする。 相談室は執務室に隣接 する必要性はないが、 近隣な配置とす る。 相談室は、外来部門、 医療安全部門、地域医 療連携部門と共 用することが想定され るため、これら部門と の位置関係を近 接なものとする。 59 ⑤ 位置関係 隣接 動線考慮 上下 正面入り口 医療安全部門 会計計算カウンター 患者窓口カウンター (入退院、初診受付) 相談室 執務室 地域医療連携部門 (16) 管理部門 【管理部門(物品管理を除く)】 ① 方針(部門運営の基本的な考え方) (ア) 「人事・労務」 「契約」 「会計」 「総務(広報含む)」 「施設管理」 「危 機 管 理 業 務 」 な ど の 管 理 業 務 、「 企 画 立 案 」「 人 材 育 成 」 な ど の 経 営改善にかかわる業務に対応する。 (イ) 他職種とのコミュニケーションを図り、各種改善活動を推進する。 (ウ) 自 立 的 経 営 の 実 現 に 向 け て 、 改 善 意 欲 を 持 っ た 自 立 意 識 の 高 い 職 員を育成する。 ② 運営計画 (ア) 人事労務管理業務 労務管理、給与計算・ 支払い、採用手続、人 事評価、福利厚 生にかかわる業務などを行う。 (イ) 契約業務 委託業務をはじめとした契約管理業務などを行う。 (ウ) 会計業務 毎月の入出金管理、決算業務などを行う。 60 (エ) 総務業務 予算の素案を作成する。 各種庶務に対応する。 (オ) 広報業務 ホームページ更新、広 報誌(院内報など)の 発行にかかわる 業務を行う。 (カ) 施設管理 施設管理業務委託の管理、設備修繕の対応などを行う。 (キ) 危機管理業務 防災にかかわる準備・ 訓練、その他セキュリ ティ管理にかか わる業務などを行う。 (ク) 各種統計分析・企画立案・実行支援 診療情報、収入・支出 にかかわる各種データ を用いた経営分 析、企画立案、実行支援などを行う。 病院経営・医療政策に かかわる情報の収集及 び該当部門への 情報提供を行う。 (ケ) サービスの向上にかかわる業務 患者満足度調査などの企画を立案し、実施する。 クリニカルインディケーター*等の作成と評価支援、開示な どを行う。 (コ) 人材採用・育成 職員の研修参加を支援 する制度(研修費の補 助など)を構築 する。 採用計画、人材育成計画を策定する。 61 ③ 施設計画 (ア) 必要諸室 <管理部門エリア> 事業管理者室、院長室、副院長室、事務局長室、看護部長室、看 護 部 執 務 室 、 応 接 室 、 医 局 ( 研 修 医 室 含 む )、 執 務 室 、 診 療 情 報 管理室、クラークセンター * 、図書室(職員専用) <その他エリア> 警備員室兼防災センター、電話交換室、書類保管室、スタッフ更 衣 室 、 ス タ ッ フ 休 憩 室 ( 病 棟 ・ 低 層 階 )、 講 義 室 ・ 会 議 室 、 当 直 室・仮眠室、機械室・電気室、ボランティア室、公用車車庫、霊 安室 (イ) 諸室条件 事務手続を効率的に行えるようレイアウトを工夫する。 管理部門スペースは、 関係者のみが入室でき るようセキュリ ティを確保する。 書類保管室は、他部門 の書類保管も想定した スペースを確保 する。 診療情報管理室にはカ ルテを一時的に保管す るスペースなど を確保する。 各病棟(あるいは 2 病棟に 1 つ)にスタッフ休憩室を設ける。 低層階に職員が集まり 、食事や休息を取るこ とができる休憩 室を設ける。 講義室は、パーテーションで区切れるようにする。 講義室には、トレーニ ングセンターとして器 材を展開、保管 できるスペースを確保する。 院内の会議開催頻度を 考慮して、必要な数の 会議室(多目的 室を含む)を設置する。 スタッフ更衣室近くに は、洗面台など身だし なみを整えるス ペースや小休止を可能とするスペースを確保する。 62 職員が図書の閲覧又は 自主学習のために利用 できる図書室を 設置する。 ④ 部門配置・動線 管理部門は、集約して配置する。 診療情報管理室は、医局近くに設置する。 図書室は、医局に隣接した配置とする。 クラークセンターは、図書室に近接した位置を検討する。 ⑤ 位置関係 動線考慮 隣接 上下 医事事務室 書類保管室 (カルテ含む) 診療情報管理室 クラークセンター 医局 図書室 【管理部門(物品管理)】 ① 方針(部門運営の基本的な考え方) (ア) 効 率 的 な 物 品 搬 送 、 各 部 門 に お け る 在 庫 の 適 正 化 ( デ ッ ド ス ト ッ クの防止)、購入費の抑制(購入価格の適正化)を行う。 (イ) 院内の物品在庫量を抑制するため、院外SPD * を活用した物品管 理を基本とする。 63 ② 運営計画 (ア) 物品の管理 診療材料、消耗品、印 刷物、その他備品など の契約、発注、 在庫管理、支払い対応 を行う。ただし、医薬 品は契約及び支 払い対応のみ行う。 情報システムも活用し 、診療現場での使用量 ・購入量、各現 場の在庫量などを適切 に把握し、購入や在庫 にムダが出ない ようにする。 (イ) 各部門における物品保管・管理 各現場での物品使用量に基づき、在庫量を決める。 定期的に棚卸業務を行 うことによって、在庫 量を正確に把握 し、デッドストックを防止する。 消費期限が近付いてい る物品については、他 部署への通知な どにより使用先を探し、廃棄を防ぐ。 (ウ) 物品搬送 病棟への物品搬送は、 院外SPD業者(又は 各納入卸)が直 接、現場に納品する運用を基本とする。 (エ) 物品購入 使用量や在庫状況、休 日の期間などを考慮し 、必要数量の物 品購入を行う。 物品の購入単価は、価 格交渉などを行い、適 正価格での購入 となるように努める。 ③ 施設計画 (ア) 必要諸室 防災備蓄倉庫、多目的倉庫 (イ) 諸室条件 災害に備えて、一定量 の在庫を保有するため のスペースを確 保する。備蓄倉庫は津 波被害などを想定し、 上層階に配置す る。 64 物品管理部門の執務室は、管理部門に含む。 (17) 医療情報部門 ① 方針(部門運営の基本的な考え方) (ア) 電 子 カ ル テ を 中 心 と し た 医 療 情 報 シ ス テ ム を 整 備 し 、 医 療 の 質 の 向上、健全経営に向けた取組を支援する。 (イ) 医療情報システムを 24 時間 365 日稼働させるための保守体制(オ ンコール * 可)を確保する。 (ウ) 個人情報セキュリティの強化を図る。 ② 運営計画 (ア) 医療情報システムの効率的活用・保守管理 運用管理及び稼働状況の監視業務を行う。 システム間の連携、調整にかかわる業務を行う。 システムに関するトラ ブルや故障等に対応す る(ヘルプデス クとしての役割)。 情報システムに関する 職員研修会の開催やト レーニングを行 う。 (イ) 医療情報システムに蓄積されたデータの 2 次的活用 クリニカルインディケ ーター、経営分析(原 価計算を含む) に用いるためのデータ出力、加工を行う。 (ウ) 医療情報システムの更新など システム構築の企画、立案、渉外を行う。 (エ) その他 ITを活用した警備・ 監視システムを構築す るなど、病院利 用者の安全性を高める。 ③ 施設計画 (ア) 必要諸室 執務室、サーバ室 65 (イ) 諸室条件 災害対策や情報管理セ キュリティを考慮した 部門配置、設備 構造とする。 執務室は職員及び委託 スタッフが働けるスペ ースを確保する。 サーバは中央管理する こととし、保守対応ス タッフが作業対 応するためのスペースを確保する。 サーバ室は空調管理が可能な施設とする。 ④ 部門配置・動線 医事部門、管理部門との連携を考慮した配置とする。 災害対策(特にデータ のバックアップ等)や 情報管理セキュ リティを考慮した部門配置、設備構造とする。 ⑤ 位置関係 隣接 動線考慮 上下 管理部門 医療情報部門 医事部門 サーバー室 ⑥ その他留意点 電子カルテの研修又は 画像を用いたカンファ レンス等の対応 を想定し、多目的室に は院内LANなどのイ ンフラを整備す る。 66 (18) その他サービス部門 ① 方針(部門運営の基本的な考え方) (ア) 患者・職員の利便性、快適性を高めることを念頭に、施設・アメニ ティ等の充実を図る。 (イ) 患者・職員へのサービスにつながる施設の企画、運営管理は、基本 的には管理部門が行うこととする。 ② 施設計画 (ア) 必要諸室 売店、食堂・喫茶(患者用、職員用)、自動販売機コーナー、テレ ビカードコーナー、院内保育所、トレーニングセンター、器材庫 (トレーニング器材用)、コインロッカー (イ) 諸室条件 売店は、患者及び職員 が必要とする多様な品 揃えを確保でき るものとし、コンビニエンスストアの誘致も検討する。 食堂・喫茶に関して、1 つの委託事業者が効率良くサービス を提供できるよう、患者用、職員用を同じ場所に設置する(た だし、食事スペースは患者と職員が混在しないよう工夫す る。)。 ③ 部門配置・動線 売店、食堂・喫茶等は 、患者が利用しやすい 場所に、適切な スペースを確保し、設置する。 ④ その他留意点 院内保育所の運営を検討する。 院内ボランティアを配置する。 コンシェルジュ(患者 への案内や説明等のお もてなしを行う スタッフ)の導入を検討する。 67 (参考) 階層図・平面図 (1)∼ (18)に 記 載 し た 各 部 門 の 位 置 関 係 を 階 層 図 ・ 平 面 図 と し て 表した場合、以下のとおりとなる。なお、図面はイメージであり、 実際の階層・位置関係等は基本設計において検討し、決定する。 ① 階層図 68 ② 平面図 (ア) 1 階フロア 病棟フロア ※特に供給部門との動線を考慮 すること 薬剤関連 臨床検査 部門(検体) 診察室 臨床検査 部門(生理) リハビリテー ション部門 栄養相談 指導室 持参薬確認コーナー 外来化学療法室 外来用薬局窓口 1F 薬剤室等 (倉庫含む) 栄養給食 部門 放射線部門 (治療) 治験管理室 その他 サービス部門 (講堂・会議室 など) 霊安室 病理解剖室 隣接 69 上下 動線考慮 (イ) 2 階フロア 2F 医事部門 外来部門 会計計算 カウンター 処置室 患者窓口カウ ンター(入退院、 初診受付) 執務室 救急部門 予約センター 兼入院前 説明室 内視鏡 部門 診察室 外来化学 療法室 採血室・ 採尿 トイレ 相談室 放射線 部門(画像 診断) 臨床検査 部門(検体) 書類保管庫 医療安全 部門 地域医療 連携室 持参薬確認 コーナー 外来用薬局 窓口(救急 用窓口) リハビリテー ション部門 調剤部門倉庫 隣接 70 栄養相談指 導室 栄養給食 部門 上下 臨床検査 部門(生理) 動線考慮 (ウ) 3 階フロア 緩和ケア 病棟 3F 小児病棟 一般病棟 クラークセン ター 臨床工学 部門 医局 図書室 医療情報部門 (サーバー室 含む) 診療情報 管理室 手術室 HCU 病理検査 部門 中央材料室 管理部門 診療関連 内視鏡 部門 臨床検査 部門(検体) 隣接 71 上下 救急部門 放射線 部門 動線考慮 (エ) 4∼7 階フロア 72 5. 業務委託計画 病 院 運営 の 質の 確保 、効 率 的な 病 院経 営の 実践 な どを 意 図し て、 新 病院においても引き続き、業務委託を行う。 (1) 基本方針 ① 民間事業者の専門的な知識、技術を活用し、業務の質を保つ。 ② 業 務委 託 によ り 、病 院 職 員が 本 来の 業 務に 専 念 しや す い環 境 をつく り、診療面での質の向上に間接的に貢献する。 ③ 適正な価格帯での業務委託を進めることにより、費用を削減する。 (2) 業務委託の検討範囲 現病院において既に委託している業務は、新病院においても引き続 き委託していくことを基本とする。ただし、以下の 2 点については今 後留意することとする。 患者・職員からの評価 も含め、質の評価を行 い、委託業務の 質を確保するための工夫を行う。 保険請求業務など収入 の確保につながる医事 業務は、病院職 員自らで対応する範囲を広げていく。 (3) 現在の主要な委託業務 ① 施設管理に係る業務 (ア) 施設総合管理(院内の清掃、警備、設備運転管理及び施設営繕等) (イ) 各種医療機器の保守 (ウ) 各種機械設備の保守(空調、ボイラー、EV等) ② 医事に係る業務 (ア) 医事関係(各種受付・料金計算窓口、診療報酬請求関連業務等) (イ) 医療情報システム保守 73 ③ 特殊検査等に係る業務 (ア) 一部検査業務(血液検査等) ④ 廃棄物処理等に係る業務 (ア) 感染性廃棄物処理 (イ) 塵芥、その他各種廃棄物の処理 ⑤ 患者給食に係る業務 (ア) 患者給食(食材調達含む) 74 6. 医療情報システム計画 (1) 医療情報システムの基本的な考え方 医療情報システム(電子カルテをはじめとする各部門システム等) については、新病院の機能や設備、構造に合わせて仕様を策定し、移 転の際に新た なシステ ムを導入する ことが本 来は望ましい 。しかし 、 移転よりも先に現行システムの保守期限(平成 26 年 12 月)が到来 する上に、保守契約の延長や予備となる機器の確保などの対応も極め て困難であるため、現病院において新たなシステムの導入を行う必要 がある。 そこで、以下の 3 点を念頭に、新しい医療情報システムの導入に向 けて準備を行う。 現行システムにおける課題を解決すること。 新病院においても、継続して運用すること。 診療への影響を最小限 にするための導入スケ ジュールを作成 すること。 (2) 現行システムの課題と対策 近年のIT技術の進歩は目覚しく、導入後、一定の年数が経過して いる現行システムは、相対的に性能の劣化が見られる。また、システ ム導入やデータ連携の不十分な部門があるほか、更新や保守にかかる コストの高さなど様々な課題がある。 そのため、現病院でのシステム導入は、これらの課題を解決し、よ り高度な医療を提供する新病院の体制へも対応できるよう、以下のよ うな対策を行う。 ① 業務効率や情報精度の面 (ア) 業務効率の向上を図るべく、定期的なシステムの最適化の実施、端 末台数の十分な確保を行う。 (イ) 情報の精度を高めるため、システム未導入部門への新規導入及び部 門間のデータ連携の強化を検討する。 75 ② 病院経営の面 (ア) シ ス テ ム 導 入 時 の コ ス ト の み な ら ず 、 新 病 院 へ の 移 設 も 含 め た ラ イフサイクルコスト * の抑制に努める。検討にあたっては、業者間 の競争原理を働かせ、価格交渉を行う。 (イ) 経 営 の 健 全 化 に 資 す る よ う 、 日 々 の デ ー タ 収 集 、 蓄 積 デ ー タ の 二 次利用などがより効率的に行えるようなシステムの導入を検討す る。 ③ 院内体制の面 (ア) シ ス テ ム 業 者 へ 依 存 す る の で は な く 、 医 療 情 報 シ ス テ ム 全 体 の 最 適化を図り、管理・運用及び交渉を行っていくための人員、体制 を確保し、専門的なスキル及びノウハウの育成と継承を行う。 (3) 新たな医療情報システム導入に向けての基本方針 新たな医療情報システムの導入にあたっては、現行システムの課題 解決及び新病院の機能を踏まえ、以下 6 つの基本方針を設定する。 ① 患者サービスの向上に資するシステムであること。 ② 医療の質の向上に資するシステムであること。 ③ 経営の健全化に資するシステムであること。 ④ 品質特性(品質を構成する要素)の質を確保すること。 ⑤ システム導入・保守コストの適正化を図ること。 ⑥ 診療への影響を最小限にするスケジュールとすること。 (4) 新たなシステム導入範囲 医療情報システムの更新範囲については、(3)の基本方針に基づき、 平成 25 年度に検討を行う。 76 参考:現在のシステム状況 外来/病棟 オーダリング・電子カルテ・看護支援 (※1) 臨床検査科 医事課 検体検査システム 医事会計システム ※2 細菌検査システム 診断書作成支援システム 輸血検査システム 採血業務支援システム 外来患者案内システム 採血表示照合システム レセプトチェックシステム DPCコーディング支援システム 看護部 看護勤務管理システム オートラベラ HW DPC分析システム レセプト発行用プリンタ HW 地域医療連携室 地域医療連携支援システム 放射線科 放射線情報システム(RIS) HW 診察券発行機 HW 自動再来受付機 医用画像管理システム(PACS) 放射線レポートシステム 健康管理センター 健診システム HW 薬剤部 OCR用スキャナ 栄養管理室 調剤支援システム 給食システム 薬剤管理指導システム 栄養指導システム 薬袋管理システム 薬剤情報システム 薬品在庫管理システム 総務課 抗がん剤調製支援システム 経営支援システム(原価計算等) HW 薬袋用プリンタ 物流システム(SPD) HW 自動錠剤分包機 HW アンプルピッカー 財務会計システム ※1) オーダリング・電子カルテ・看護支援 の内容 ※2) 医事会計システムの内容 ・患者基本オーダ ・入院基本オーダ ・予約オーダ ・処方オーダ ・注射オーダ ・検体検査オーダ ・結果参照 ・画像オーダ ・生理検査オーダ ・内視鏡オーダ ・病理オーダ ・輸血オーダ ・処置オーダ ・手術申込オーダ ・病名オーダ ・基本業務(新患登録、受付等) ・会計業務(会計、会計カード等) ・入院管理業務(入退院、定期請求等) ・収入金管理業務(入金登録、料金サマリ等) ・受付状況照会(会計済、未会計等) ・運用管理業務(遡及処理、DB整理等) ・システム管理業務(患者削除処理等) ・オーダ取込業務・紹介管理業務 ・レセプト業務(レセプト作成等) ・レセプト電算業務(医科) ・食事オーダ ・レジメンオーダ ・栄養指導オーダ ・クリニカルパス ・カルテ入力支援 ・文書作成支援 ・診療支援(セット、ベッドマップ等) ・指示出し指示受け ・経過表 ・文書管理(紹介状等スキャン含む) ・各種照会一覧、帳票出力 ・ベッドコントロール ・看護支援システム ・看護必要度システム ・チーム医療支援 77 ※HW = ハードウェア 78 7. 建物・設備・機器整備計画 (1) 建築の基本的な考え方 新病院では、患者にとってはもちろんのこと、職員にとっても利便 性、快適性が追求されたものであることが望まれる。また、このこと に加え、安定した病院経営を行うための経済性や災害時に緊急対応で きる機能などが求められる。新病院の基本理念に掲げる「市民の期待 に応える病院」となるため、以下のような方針のもと、新病院の建築 を進めることとする。 ① 患者の利便性、安全性、快適性の確保 (ア) 外 来 ・ 病 棟 な ど 、 患 者 が 利 用 す る エ リ ア は 、 全 体 的 に 明 る く ゆ と りのある空間を作り、落ち着いた雰囲気で快適に過ごすことがで きるように配慮する。 (イ) ユ ニ バ ー サ ル デ ザ イ ン を 取 り 入 れ 、 患 者 の 安 全 性 ・ 利 便 性 を 高 め る。 (ウ) 緑を多くするなど、患者が安らぎを感じる施設とする。 ② 患者の状態に応じた効果的、かつ効率的な治療の提供 (ア) 各 施 設 の 関 連 性 に 応 じ て 、 動 線 の 考 慮 や 近 接 な ど 配 置 を 工 夫 し 、 患者の状態に応じた治療を効果的、かつ効率的に提供できるよう にする。 ③ 職員が働きやすい施設 (ア) 職 員 が 働 く ス ペ ー ス は 、 円 滑 に 業 務 を 行 う た め に 必 要 な 広 さ を 確 保するとともに、職員の動線を考慮した施設の配置とする。 (イ) 食堂・休憩室などを充実させ、快適な職場環境をつくる。 79 ④ 経済性に配慮した施設 (ア) 建 設 に か か る 初 期 費 用 の 抑 制 、 エ ネ ル ギ ー 効 率 の 良 い 建 物 と す る ことによる維持費用の抑制など、ライフサイクルコストを低減さ せるための工夫を行う。 (イ) 健 全 な 病 院 経 営 を 持 続 す る た め 、 必 要 な 資 源 へ の 投 資 は 行 う が 、 過大投資は避ける。 ⑤ 災害に強い施設 (ア) 大 規 模 地 震 な ど の 災 害 時 に お い て も 、 病 院 機 能 を 継 続 で き る 施 設 構造とする。 (イ) 災 害 時 に は 、 ト リ ア ー ジ 及 び 処 置 な ど の た め に 必 要 な ス ペ ー ス を 即座に確保できるような施設構造とする。 ⑥ 将来の医療の変化に対応できる施設 (ア) 最 新 医 療 機 器 の 導 入 な ど に 対 応 す る た め の ス ペ ー ス の 確 保 、 間 仕 切りの変更などによるスペースの変更、配管を含めた改修など、 医療機能の変化に柔軟に対応できる施設とする。 80 (2) 建築計画 ① 移転先 新病院の移転先は、アサヒビール西宮工場跡地(津門大塚町)を予 定する。西宮市が計画する同工場跡地活用案は、以下のとおりである。 《土地利用ゾーニング案》 JR神戸線 多目的・ 防災公園 民間開発事業地 自主管理緑地 中央病院 名神高速道路 中央体育館 共用駐車場 阪神国道駅 西宮 消防署 N ② 移転先の法規制 《現在の内容と西宮市が予定している変更内容の概要》 移転先 アサヒビール西宮工場跡地(津門大塚町)・西側街区 現 在 変 更 予 定 市街化区域 区域区分 用途地域 工業地域 近隣商業地域 容積率 200%(一部300%) 300% 建ぺい率 60% 80% 高度地区 第5種高度地区 (一部、第7種・第10種高度地区) 第5種高度地区部分は 第7種高度地区 81 ③ 施設規模 新病院の敷地面積及び延べ床面積は、下表のとおりとする。なお、 延べ床面積は、1 床当たり 80 ㎡を予定したものである。 また、移転先にあっては、体育館との共用駐車場の設置を予定し ている た め 、 新 病 院 の敷 地 面 積 に は 駐 車 場 部分 は 含 ま れ て い な い 。 敷地面積 10,000 ㎡ 延べ床面積 20,560 ㎡ (80㎡×257床) (3) 構造・設備の条件 ① 耐震安全性 大規模地震などの災害 時においても医療機能 が継続提供できるよ う、新病院の耐震性能は、 「官庁施設の総合耐震計画基準」に規定さ れ る 耐震 性 の分 類Ⅰ 類と す る。 天 井下 地や 建具 等 の非 構 造部 位に つ いては「A類」、配管・ダクト等の設備部材については「甲類」とし、 耐震性能に配慮する。 ② 構造方式 大規模地震などによる 構造体損傷、医療機器 の転倒被害などを最 小 限 にと ど める こと がで き るよ う 、構 造方 式は 「 免震 構 造」 を基 本 とする。 ③ 設備計画 (ア) 電気設備 医療の安全性を確保するとともに、経済性、環境面にも配慮し た設備を整える。 受変電設備は安定的に 電源が確保できるもの とし、各部門に 対して安定的に電力を供給する。 82 非常時(地震、津波を 含む)においても電源 を確保し、安定 した電力供給を継続する。 コージェネレーション*システム及び太陽光発電の活用など を検討する。 (イ) 空気調和設備 主熱源は、経済性、環 境面、災害時対応、自 由度、使い勝手 を考慮のうえ、検討する。 熱源システムは災害時 に必要となる機能を想 定し、安全性の 高いシステムとする。 各部門の特性に見合っ た空調管理(空気清浄 度、室温、陽陰 圧制御 * など)を行う。 (ウ) 給排水衛生設備 災害時を想定し、給水 確保のための貯水槽、 排水を一時的に 貯留するための排水貯留槽などの設置を検討する。 雑用水に中水道システ ムを活用するなど、経 済性・環境面に 配慮した給排水設備を検討する。 (エ) 防災・保安・セキュリティ関連設備 災害に強く、安全性の高い建物となるよう、以下のような点に 配慮する。 建物内の防災・保安状 態を一元管理するため に、電気・空気 調和・防災設備等の運 転と保安の状態監視を 行う中央監視設 備を整備する。 緊急連絡設備や監視カ メラ設備の設置など、 安全性に配慮し た施設整備を行う。 内装仕上げ材もできる 限り不燃化し、出火・ 延焼の防止が図 れる施設(耐火性の高い施設)とする。 法令を遵守し、防災設 備を整えるとともに、 患者の安全を確 保するための避難経路などにも配慮した施設とする。 83 敷地及び道路は、緊急 時の消防活動を想定し 、消防車両の進 入経路などに配慮したものとする。 災害時対応を考慮し、 外来部門における医療 ガスの配管など にも配慮する。 (オ) 昇降機・搬送設備 病院内における人・物品等の昇降量及び用途を適切に把握し、 外来用、患者用、寝台用、物品搬送用などの用途に合わせて効率 的に整備する。 エレベーターは、一般用、業務用(入院患者など)、給食専用 を設置する。 必要に応じてエスカレーターの設置を検討する。 ④ 津波対策 津波による浸水を想定 し、電気室・機械室、 非常用電源設備 など電気系統設備を 2 階以上に設置することを検討する。 低層階が津波による被 害を受けた場合におい ても、救急診療 を継続して提供できる ようにするため、診療 を提供する部門 を 2 階以上に設置することを検討する。 (4) 医療機器購入計画 新病院では、診療の量的変化は大きなものとなるが、緩和ケア診療 を大幅に強化する部分を除き、診療内容そのものに関しては大きな変 化はないと予測される。よって、新病院において必要となる機器に関 し、同一機器の新規更新などは予測されるが、活用している機器の範 囲は現病院と基本的には同じと考え、機器の購入を進めていくことと する。 84 【参考:主な高額医療機器】 部門 資産名称 数量 放射線部門 リニアック(放射線治療機器) 1 放射線部門 MRI(全身用磁気共鳴診断装置) 1 放射線部門 マルチスライスⅩ線CT装置 1 放射線部門 RIシンチレーションカメラシステム 1 放射線部門 血管連続撮影装置 1 放射線部門 X線TV装置 一式 - 放射線部門 デジタルX線透視撮影装置 一式 - 放射線部門 マンモグラフィ(乳房X線撮影装置) 1 放射線部門 X線撮影装置 - 臨床検査部門 生化学自動分析装置一式 - 臨床検査部門 超音波画像診断装置一式 - 内視鏡部門 内視鏡システム 2 内視鏡部門 小腸内視鏡システム一式 1 中央材料部門 ステラッド低温プラズマ滅菌システム 1 中央材料部門 ガス減菌器 1 手術部門 ホルミウムレーザー 1 管理部門 空気感染隔離ユニットシステム一式 1 管理部門 陰圧式エアーテント一式 1 手術部門 手術用顕微鏡一式 - (5) 事業コスト 新病院建築にかかる事業コストは以下のとおりである。 ① 建築費(平米単価) 新病院建築の平米単価は免震構造を含み 30 万円以内を見込む。 ② 全体の事業費 (単位:億円) 用地費 建築費 (※1) 機器等 (※2) 18.1 72.8 30.7 合計 121.6 ※1 「建築費」には、設計、盛土などの費用を含む。 ※2 「機器等」には、医療情報システム関係経費などを含む。 85 (6) 整備手法とスケジュール ① 整備手法 新病院の整備手法に関しては、基本構想においてPFI方式は採 用しないこととしており、設計・施工分離方式あるいは設計・施工 一括方式のいずれかの方式を採用するものとし、平成 25 年度中に 決定する。 ② 整備スケジュール 移転先の用地取得を平成 26 年度上半期とし て、改めて新病院の 整備スケジュールを検討した結果、基本構想で掲げたスケジュール を改め、以下のとおりとする。 項 目 H25 H26 H27 H28 H29 基本計画 用地取得 ● ● ※1 ※2 設 計 施 工 開 院 ※1 債務負担行為の設定 ※2 取得 ( 注 )こ の ス ケ ジ ュ ー ル は 、整 備 手 法 と し て「 設 計・施 工 分 離 方 式 」を 採用した場合の標準的な工期を参考として作成したものである。 86 87 8. 病院事業収支計画 (1) 収支計画の前提 ① 収入について (ア) 入院診療単価 より高度、かつ急性期の診療に対応することを踏まえ、各診療 科の診療単価を下表のように設定する。 《新病院での診療単価》 診療科 ※ (単位:円) 入院診療単価 外来診療単価 内 科 42,058 12,000 外 科 66,551 20,000 整形外科 53,713 9,000 小児科 48,380 6,610 皮膚科 37,219 4,784 泌尿器科 62,869 15,000 放射線科 ― 18,428 麻酔科 44,021 5,251 緩和ケア 46,000 ― 総 計 50,110 11,795 各診療科の入院診療単価には、7 対1看護体制加算及び 25 対 1 急 性 期 看 護 補 助 体 制 加 算 に よ る 増 収 効 果 を 見 込 む 。 (イ) その他医業収益 救急医療確保経費に係る一般会計からの繰入金等を見込む。 他 方 、 入 院 診 療 ・ 外 来診 療 の 強 化 を 優 先 す るた め 、 人 間 ド ッ ク 事 業 は 行 わ な い こ と とし 、 新 病 院 で は 当 該 事業 に よ る 収 入 は 見 込 まないこととする。 88 ② 費用について 新 病院 に おい ては 、材 料 費、 減 価償 却費 が大 き く変 動 する と見 込 む 。 また 、 給与 費に つい て は、 全 部適 用へ の移 行 に伴 い 、新 たな 給 与制度の導入を想定する。 (ア) 給与費 診療の高度化、急性期診療への対応を見据え、常勤職員数は増 加を見込む。一方で、給与水準の適正化及び職員の新陳代謝等に 伴う平均年齢の低下により、給与費の低減を見込む。 (イ) 材料費 材料費は医業収益の増減に応じて変化する変動費である。平成 24 年度の医業収益に占める材料費割合は、新病院においても維持 していくことを想定する。 (ウ) 減価償却費 建設事業費などの影響により、新病院における減価償却費は大 幅に増加する。特に、開院時に購入する医療機器の影響が大きい と考えられるが、開院時から 7 年後(平成 36 年度)には当該医療 機器の減価償却が終了するため、平準化すると想定する。 89 (2) 収支計画 新病院の収支計画は下表のとおりであり、医療機器の減価償却が終了す る平成 36 年度以降に経常損益が黒字化すると想定する。 1.収益的収支 H29 5,935,685 5,338,617 3,544,630 1,317,804 476,183 597,068 164 7,948 560,742 28,214 0 6,972,211 6,444,836 3,133,636 1,049,164 998,559 116,233 1,124,590 22,654 518,648 152,296 168,206 198,146 8,727 8,727 0 ▲1,106,219 ▲1,027,799 ▲1,036,526 H30 5,935,013 5,338,617 3,544,630 1,317,804 476,183 596,396 164 7,948 560,070 28,214 0 6,455,212 5,939,393 3,123,615 1,049,164 998,559 745,401 0 22,654 507,092 150,881 158,068 198,143 8,727 8,727 0 ▲600,776 ▲511,472 ▲520,199 H31 6,176,208 5,582,160 3,760,454 1,337,525 484,181 594,048 164 7,948 557,722 28,214 0 6,574,573 6,058,030 3,183,317 1,097,026 1,007,382 747,651 0 22,654 507,816 145,937 158,198 203,681 8,727 8,727 0 ▲475,870 ▲389,638 ▲398,365 H32 6,440,972 5,849,291 3,997,182 1,359,156 492,953 591,681 164 7,948 555,355 28,214 0 6,625,377 6,137,849 3,282,499 1,149,523 1,017,219 665,954 0 22,654 478,801 140,767 128,259 209,775 8,727 8,727 0 ▲288,558 ▲175,678 ▲184,405 H33 6,438,156 5,849,291 3,997,182 1,359,156 492,953 588,865 164 7,948 552,539 28,214 0 6,583,377 6,140,099 3,282,499 1,149,523 1,017,219 635,917 32,287 22,654 434,551 134,992 89,784 209,775 8,727 8,727 0 ▲290,808 ▲136,494 ▲145,221 H34 6,436,037 5,849,291 3,997,182 1,359,156 492,953 586,746 164 7,948 550,420 28,214 0 6,618,267 6,253,445 3,282,499 1,149,523 1,056,202 742,567 0 22,654 356,095 130,818 11,767 213,510 8,727 8,727 0 ▲404,154 ▲173,503 ▲182,230 H35 6,433,313 5,849,291 3,997,182 1,359,156 492,953 584,022 164 7,948 547,696 28,214 0 6,589,139 6,229,695 3,282,499 1,149,523 1,056,202 718,817 0 22,654 350,717 125,439 11,768 213,510 8,727 8,727 0 ▲380,404 ▲147,099 ▲155,826 H36 6,430,145 5,849,291 3,997,182 1,359,156 492,953 580,854 164 7,948 544,528 28,214 0 6,359,413 6,006,225 3,282,499 1,149,523 1,056,202 485,347 10,000 22,654 344,461 119,183 11,768 213,510 8,727 8,727 0 ▲156,934 79,459 70,732 H37 6,427,965 5,849,291 3,997,182 1,359,156 492,953 578,674 164 7,948 542,348 28,214 0 6,325,029 5,968,948 3,282,499 1,149,523 1,056,202 429,292 28,778 22,654 347,354 114,915 18,929 213,510 8,727 8,727 0 ▲119,657 111,663 102,936 (単位:千円) H38 6,425,779 5,849,291 3,997,182 1,359,156 492,953 576,488 164 7,948 540,162 28,214 0 6,383,978 6,025,003 3,282,499 1,149,523 1,056,202 485,347 28,778 22,654 350,248 110,648 26,090 213,510 8,727 8,727 0 ▲175,712 50,528 41,801 372,503 383,270 507,484 609,808 612,767 572,104 574,759 577,847 579,935 582,016 110,124 0 110,124 0 0 219,303 15,000 189,581 14,722 0 ▲109,179 444,329 0 444,329 0 0 921,728 15,000 857,514 49,214 0 ▲477,399 446,922 0 446,922 0 0 974,572 15,000 862,211 97,361 0 ▲527,650 415,831 0 415,831 0 0 948,340 15,000 769,716 163,624 0 ▲532,509 1,111,047 638,000 473,047 0 0 1,092,473 15,000 867,833 209,640 0 18,574 178,657 0 178,657 0 0 507,221 15,000 277,787 214,434 0 ▲328,564 260,813 0 260,813 0 0 675,371 15,000 440,803 219,568 0 ▲414,558 675,337 411,070 264,267 0 0 1,092,024 426,070 446,386 219,568 0 ▲416,687 676,861 411,070 265,791 0 0 1,095,707 426,070 450,069 219,568 0 ▲418,846 728,642 411,070 317,572 0 0 1,200,677 426,070 555,039 219,568 0 ▲472,035 資金収支(①+②) 263,324 ▲94,129 ▲20,166 77,299 631,341 243,540 160,201 161,160 161,089 109,981 資金収支積上 263,324 169,195 149,029 226,328 857,669 1,101,209 1,261,410 1,422,570 1,583,659 1,693,640 款 項 目 節 病院事業収益 医業収益 入院収益 外来収益 その他医業収益 医業外収益 受取利息及び配当金 補助金 一般会計補助金 その他医業外収益 特別利益 病院事業費用 医業費用 給与費 材料費 経費 減価償却費 資産減耗費 研究研修費 医業外費用 支払利息及び企業債取扱諸費 繰延勘定償却 雑支出 特別損失 過年度損益修正損 その他特別損失 医業損益 経常損益 純損益 償却前利益…① 2.資本的収支 資本的収入 企業債 出資金 国庫補助金等収入 他会計からの長期借入金 資本的支出 建設改良費 企業債償還金 他会計長期借入金返還金 退職給与金 資本的収入に不足する金額…② ※ 病 床 利 用 率 は 、 平 成 29 年 度 及 び 平 成 30 年 度 を 75% 、 平 成 31 年 度 を 80% 、 平 成 32 年 度 以 降 を 85% と し て い ま す 。 ※ 入 院 収 益 に は 、 7 対 1 看 護 体 制 加 算 、 25 対 1 急 性 期 看 護 補 助 体 制 加 算 及 び HCUの影響額を見込んでいます。 90 9. 新病院に向けての準備(現病院の経営健全化) (1) 経営形態の変更 《全部適用移行へのスケジュール》 H25.10 11 12 H26.1 2 3 議案 全部適用への移行 選任作業 事業管理者の選任 事務長の採用 4 5 6 移行 選任 採用準備 給与制度 制度の構築 契約制度 他病院の情報収集 新給与制度実施 事業管理者への権限委譲 (2) 経営健全化 ① 収益の向上 (ア) 急性期病院への特化 高度な医療サービスを集中的に提供する。 ⇒ 入院期間の短縮(診療単価の上昇、在院日数の短縮) 退院に向けた情報提供や調整を行う。 ⇒ 他の医療機関や介護施設との連携強化(逆紹介率の上昇) 新規入院患者の獲得を図る。 ⇒ 紹介患者、救 急患 者の受入れ体制の 強化 (紹介率の上昇、 救急患者の増加) (イ) 7 対 1 看護体制への移行 急性期の患者に対する手厚い看護を行うためには、現在の 10 対 1 看護体制から 7 対 1 看護体制への移行が必要である。そのために は、看護師の増員が不可欠であり、看護師確保に向けて次のよう な取組を継続し、又は実施を検討する。 91 <既に実施しているもの> 看護師の就職に係る総 合情報サイトを利用し た募集情報の掲 載 近畿圏以外での開催も含めた就職説明会への参加 大学、看護専門学校への訪問 学生を対象とした修学資金の貸付制度の創設 <今後実施を検討しているもの> 年間を通じての募集と採用試験の実施 2 交代制勤務の導入 看護師住宅入居料の減免 など (ウ) 研修体制の充実等 <既に実施しているもの> 医療従事者のスキルア ップのための研修制度 等への財政的支 援 認定看護師などの資格取得に向けた支援 事務部門の診療報酬に係る研修の実施 <今後実施を検討しているもの> 資格取得に係る費用の貸付制度の創設 (エ) 医事部門の強化 <診療情報管理室の機能強化> 診療報酬制度や現在の収益の状況の分析 医師・看護師を含めた チームを構成し、診療 報酬に係る検討 を行い、報告会の実施 <地域医療連携室の機能強化> 他の医療機関などとの連携強化 紹介率・逆紹介率の上昇に向けた取組の実施 救急隊との情報交換 92 ② 費用の削減 (ア) 給与水準の適正化 新病院での経常収支の 黒字化を目指すため、 全部適用への移 行に伴う新たな給与制 度の導入により、給与 水準の適正化を 図る。更には医業収益 の向上により、給与費 比率の適正化を 図る。 (イ) 契約業務の見直し <既に実施しているもの> 診療材料、医療機器に係る他病院の購入価格の情報を収集し、 価格交渉の材料としている。 <今後検討するもの> 病院経営にとって望ましい機動的で効率的な契約制度の検討 ⇒ 全部適用移行後に導入 93 <用語集> ●アルファベットの用語 * アルファベット順 用語 内容 A 日 常 生 活 動 作 ( A D ADLとは Activities of Daily Living の略。 L)訓練 「日常生活動作」のこと。障害者の生活の質の向上を目 標として、日常活動の自立度を高めるために行われる訓 練のこと。 医療ADR ADRとは Alternative Dispute Resolution の略。 「裁判外紛争解決」のこと。中立的な第三者を交え、当 事者が話し合い、裁判同様の重みを持って紛争を処理す る仕組み。 医療ADRとは、医療紛争に関して、この仕組みを活用 すること。 C CPR Cardiopulmonary Resuscitation の略。 「心肺蘇生法」のこと。心肺蘇生とは、心肺が停止した 人の呼吸や循環機能を維持する目的で心臓マッサージや 人工呼吸を行い、救命の可能性を高める応急手当のこと。 CT Computed Tomography の略。 「コンピューター断層撮影」のこと。X線により人体を 輪切りにした横断面の画像撮影を行う。特に骨や肺の描 出に優れている反面、頭蓋骨で覆われた脳内などの撮影 には不向き。 D DI室 DIとは Drug Information の略。 「薬品情報」のこと。DI室とは、医薬品の一般的事項 と安全性に関する事項を収集、整理、保管する場所。 DM器材 DMとは Diabetes Mellitus の略。 「糖尿病」のこと。DM器材とは、インスリン注射など、 糖尿病治療に用いられる器材のこと。 H HACCP Hazard Analysis and Critical Control Point の略。 「食品高度衛生管理手法」のこと。食品の原料の受入れ から製造・出荷までの全ての工程において、危害の発生 を防止するための重要ポイントを継続的に監視・記録す る衛生管理手法。 1 用語 HCU 内容 High Care Unit の略。 「準集中治療室」のこと。高度治療室ともいう。ICU (集中治療室)と一般病棟の中間に位置し、緊急入院や 術後の患者を収容する。 I IVR Interventional Radiology の略。 「放射線診断技術の治療的応用」のこと。 「血管内治療」 とも呼ばれる。X線、超音波、CTなどの透視画像を見 ながら体内にカテーテルや針を入れ、症例に応じた治療 を行う。手術を必要としないため、身体に与える負担が 少なく、入院期間も短縮できるなど優れた特徴を持つ。 M MRI Magnetic Resonance Imaging の略。 「核磁気共鳴画像法」のこと。磁場と電波を用いて体内 の断層画像を撮影する装置。縦切りや斜めなど自由な角 度から撮影が可能で、CTが苦手とする脳や脊椎といっ た部位の撮影に優れている。 他にも、CTと異なり磁気を用いるため、造影剤が不要 な点、放射線被爆しない点、体内に金属やペースメーカ ーを留置している人は撮影できない点などが特徴的であ る。 N NST Nutrition Support Team の略。 「栄養サポートチーム」のこと。個々の症例や患者の病 態に応じた栄養管理・指導を実施するチームのことで、 医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、臨床検査技師など の多職種から構成される。 P PACS Picture Archiving and Communication System の略。 「総合医療画像管理システム」のこと。 Q QOL Quality Of Life の略。 「生活の質」のこと。医療処置により生命を維持するだ けでなく、患者一人一人が望む人間らしい生活を出来る だけ提供することが重要という考えに基づく。 R R I シ ン チ レ ー シ ョ RIとは Radio Isotope の略。 ンシステム 「放射性同位体」のこと。 (→項目「アイソトープ」参照) シンチレーションシステムとは、 「検出器移動型イメージ ング装置」のことで、RIで目印をつけた放射性医薬品 を患者に投与し、体内のRIを検出して画像を撮影する。 2 用語 RIS 内容 Radiology Information System の略。 「放射線科情報システム」のこと。主に放射線機器によ る検査、治療の予約から検査結果までの管理を行う。 S 院外SPD SPDとは、Supply Processing and Distribution の略。 物流を一元管理するシステムのこと。院外SPDとは、 各部門で診療等に使う材料について、病院内に在庫を持 たず、病院外(業者)倉庫で供給加工作業を行う仕組み のこと。 T TPN Total Parenteral Nutrition の略。 「経静脈高栄養療法」 「完全静脈栄養」のこと。経口又は 腸管で栄養摂取ができない場合に、生命維持に必要な栄 養を静脈から投与する方法。 ●アルファベット以外の用語 * 50 音順 用語 あ アイソトープ (isotope) 内容 「同位元素」のこと。 原子番号は同じだが質量が異なる。安定同位体と、放射 線を発する不安定同位体(放射性同位体、ラジオアイソ トープともいう)とがある。 悪性腫瘍 「がん」「悪性新生物」のこと。 遺伝子の損傷などで変異した細胞のかたまり。良性腫瘍 と異なり、際限のない自己増殖、周囲への浸潤と体の各 部への転移、正常組織からの栄養奪取などが特徴的で、 重要な組織の機能を破壊し、身体を衰弱させ、生命を致 命的な状況に陥らせる。 医事統計 医療に関する統計の総称。 1 次救急 入院治療の必要がなく、帰宅可能な軽症患者に対する救 急医療。整備は市町村の責務とされている。 一足制 スタッフが靴の履替えなく入室すること。 手術室については、靴を履き替えない場合と感染危険度 に違いがないとされる。患者や機材を出し入れする時間 が短縮できるなどのメリットがある。 3 用語 内容 医療圏 病床の整備を図るため都道府県が設定する地域区分。 1 次から 3 次までの 3 段階がある。1 次医療圏は初期診 断・治療を担う。2 次医療圏は、特殊な医療以外の、一 般的な入院治療に主に対応する。3 次医療圏は、1 次・ 2 次医療圏で対応することが困難な、専門的又は高度な 医療を行う。 陰圧式 「陰圧」とは、内部の気圧が外部より低い状態。 陰圧式の部屋は空気が室外に漏れ出さないため、ウイル スをはじめとする病原体の拡散を予防でき、隔離が必要 な病室、診察室などに用いられる。 インシデント 重大事件に発展する可能性のあった事件のこと。 (incident) 患者に傷害を及ぼすまでには至らなかったが、日常診療 の現場でヒヤリとしたり、ハッとした経験のことをい う。 院内医療メディエータ 「医療対話促進者」のこと。 ー 院内での苦情や事故後の初期対応の際に、患者側と医療 側の対話の橋渡しをする役割のこと。院内スタッフであ るため、その活動は示談交渉のなかの対話促進の部分を 担うことが中心となり、法律的な解決には関わらない。 エルゴメーター検査 「エルゴメーター」とは、車輪の速度や回転数を調整で きる固定式自転車などの器具のこと。 エルゴメーター検査では、胸に電極を付けたまま自転車 型検査装置のペダルをこぎ、意図的に体に負荷をかけた 状態で心臓の異常を測定する。 嚥下機能訓練 「嚥下」とは、飲み込みのこと。 咀嚼した飲食物を口腔から咽頭、食道を経て胃へ輸送す る生理機能。嚥下障害となれば、誤嚥が起きやすく、生 命維持が困難となる。 嚥下機能訓練とは、嚥下障害に対する訓練。食物を介さ ないで行う間接訓練と、食物を介する直接訓練がある。 4 用語 内容 オンコール 勤務形態の一種で、急患時の対応役として待機するこ (on call) と。 当直が院内に拘束されるのに対し、オンコールは自宅な ど院外で待機していても良い。ただし、いつでも出勤要 請に応えられるよう、連絡の取れる状態でいる必要があ る。 か カンファレンス (conference) 会議や協議のこと。 医療機関においては、よりよい治療を実現するために全 ての医療職が集まり、患者の症例、治療方針を議論、検 討する場のこと。 また、単に患者の治療について相談し合うだけではな く、経験豊富な医師から若い医師へ経験知を伝える重要 な場でもある。 緩和ケア 生命を脅かす疾患に直面した患者に対して、身体的、心 理的、社会的、スピリチュアルな苦痛を防ぎ、和らげる ことで、可能な限り質の高い療養生活を送れるようにす る行為。 がん患者に対しては、がんの進行度や治療状況とは関係 なくケアの対象とし、多職種からなるチーム体制によ り、苦痛を和らげるための支援を行う。 画像ワークステーショ 「ワークステーション」とは、一般向けのパソコンより ン 高性能なコンピューターのこと。 画像ワークステーションは、医療現場で診断画像情報を 管理、処理するコンピューターのこと。 キシレン 芳香をもつ無色透明、可燃性の液体。切片標本を包埋(固 (xylene) 定)する際の溶剤に用いられる。 クラークセンター 「クラーク」とは、医師が行う診断書作成等の事務作業 を補助するスタッフ(医師事務作業補助員)のこと。 クラークセンターとは、クラークが待機、作業する場所 のこと。 クリオスタット クライオスタットともいう。 (cryostat) 低温を保持する容器、冷却槽。医療においては、病理診 断に用いる組織標本を作製する機器をさす。 5 用語 内容 クリニカルインディケ 「医療の指標」のことで、病院の様々な機能を適切な指 ーター 標を用いて表したもの。これを分析し、その改善を促す (clinical indicators) ことにより、医療サービスの質の向上を図る。 グリーストラップ 「排水浄化装置」のこと。 (grease trap) 検査オーダー 医師が行う検査の依頼のこと。紙で行うほか、電子カル テの導入が進んでいる施設では、コンピューターを活用 して検査部門へ依頼を行う。 広域的呼吸器感染症 SARS(サーズ)や新型インフルエンザなど、近年新 たに出現した呼吸器感染症。 強い感染力と毒性を有するが、治療法などが不明のケー スも多く、集団感染を防ぐための対策が必要。 交差適合試験 輸血検査(輸血に伴う副作用を防止するために行う検 査)の一種で、最終確認に行われるもの。 輸血用血液と患者の血液を反応させ、実際に副作用を起 こさないか反応を見る。 抗酸菌検査 痰の中の結核菌を調べるための検査、喀痰検査のこと。 結核菌は他の細菌とは異なる抗酸菌に分類される。 コージェネレーション 1 種類のエネルギーから、電気と熱など 2 種類以上のエ (cogeneration) ネルギーを取り出し、効率的に活用すること。 代表的な例では、発電時に発生した廃熱のエネルギーを 利用して、給湯や冷暖房なども同時に行う。 さ 3 次救急 2 次救急まででは対応できない重篤な患者に対する救 急医療。 複数診療科にわたる特に高度な処置が必要であり、「救 命救急センター」や「高度救命救急センター」が対応す る。 シミュレーター室 「シミュレーター」とは、放射線治療の前に、最適な照 射位置や範囲を決めるために用いられるX線撮影装置 のこと。 シミュレーター室ではこれらの撮影や、体に印を付けた り固定具を作成するなどの治療の準備を行う。 6 用語 内容 シリンジポンプ 設定された輸液量を自動的に注入する輸液ポンプの一 (syringe pump) 種。投与量により精確さが必要な点滴静脈注射を行うた めの医療器具。 「点滴静脈内注射」とは、いわゆる「点滴」のことで、 緩やかに持続的に、ごく少量ずつ薬液を投与する場合に 用いられる。 診療報酬制度 医療機関が、保険診療の際に医療行為等の対価として請 求する報酬。 診療報酬の額は、診療報酬点数表によって、個々の診療 行為ごとに定められており、点数表は 2 年に一度改定さ れる。 術中迅速検査 手術中すぐに病理組織学的な診断が必要なときに行わ れる検査。 腫瘍の良性・悪性の診断、切除範囲の決定、術式の変更、 病変部の取り残し確認などのために行われる。通常の組 織検査と異なり、10∼15 分程度で結果を出す。 ストマ 「人工肛門」のこと。 (stoma) 様々な疾患により、排泄経路の変更が必要となり、手術 によって腹部の外側に人工的に造設された排泄孔をさ す。排泄は自分の意思でコントロールできず、排泄物が 徐々に放出されるため、特殊な袋で受け止めて捨てる作 業が必要になる。 鼠径ヘルニア 鼠径部(そけいぶ:腹部に接する腿の付け根)のヘルニ ア。 体内にあるべき腹膜や腸の一部が皮膚の下に脱出した 状態で、治療は外科手術が基本となる。 た 治験 新薬開発のための臨床試験のこと。 新薬の効果、安全性を調べるために、医療機関や製薬会 社の連携のもと、実際に人が被験者となって試験を行 う。 虫垂炎 「虫垂」とは、右下腹部にある盲腸から出ている細長い 器官(腸管)。 虫垂炎はこれが細菌性の炎症を起こしたもので、「盲腸 (炎)」とも呼ばれる。治療法は投薬と外科手術がある が、病状が進行している場合は外科手術が行われる。 7 用語 内容 低侵襲手術 侵襲(手術などに伴う痛み、発熱や出血)の少ない手術 のこと。 代表的な手術として、内視鏡手術、腹腔鏡手術、血管内 手術(IVR)等が挙げられる。 デイルーム 食堂など、病室とは別に設置された病棟内の共有スペー スのこと。 デブリードマン 「壊死組織除去」のこと。 (debridement) 挫傷創や感染創における感染組織、壊死組織や、それに 伴う異物を外科的に除去し、他の組織への影響を防ぐ。 トリアージ 集団災害などで多数の傷病者を同時に扱う際に、容態や 緊急度、救命の可能性に応じて治療の優先順位をつける こと。 「選別する」という意味の「トリアージュ」(仏語)に 由来。 な 2 次救急 入院治療や手術を必要とする重篤患者に対する救急医 療。都道府県が定めた医療圏域(2 次医療圏)ごとに整 備する。 は 肺拡散能力検査 肺に取り込んだ酸素や二酸化炭素を、肺胞から毛細血管 内の赤血球へと運搬し拡散する能力を調べる検査のこ と。一酸化炭素など赤血球に結合しやすい気体を用いて 検査する。 バイオクリーンルーム 「無菌室」のこと。 (bio clean room) 生物的に無菌もしくは微生物の数が少ない実験室のこ と。空調設備で制御される。 バイオハザード 「生物災害」「生物学的危機」のこと。 (biohazard) 広義では生物全般がもたらす危険性、災害を意味する。 医療現場では、研究室や検査室で病原微生物を取り扱う 際の感染や、院外への病原体の流出、院内感染などがあ る。 不規則同種抗体検査 「不規則性抗体スクリーニング」ともいう。 輸血検査(輸血に伴う副作用を防止する為に行う検査) の一種。他人の血液成分を拒絶する物質(不規則性抗体) の有無を調べるため、事前に行われる。 8 用語 内容 腹腔鏡手術 腹部に小さな穴を数ヶ所開け、 「腹腔」 (腹の中、胃や腸 など臓器が詰まっている空間)に「腹腔鏡」(カメラや 電気メス、鉗子の付いた器具)を挿入し、モニターを見 て行う手術のこと。 従来の開腹手術に比べて傷や出血が小さく、術後の回復 が早い。 プローブ 「探触子」のこと。 (probe) 超音波検査の際に、患者の体に直接触れて超音波の送受 信を行う器具。 ペインクリニック 「疼痛外来」、痛みを軽減する治療を行う診療科。痛み (pain clinic) の生じる原因、部位は多種多様であるが、全ての痛みの 緩和を目的とする。 治療では主に、局所麻酔を使った神経ブロック注射を行 うが、その他に向精神薬や漢方薬、鍼灸、低反応性レー ザー、理学療法、手術療法なども併用する。 ホルター心電図検査 「24 時間心電図」ともいう。 300g 程度の記録器を通常 24 時間装着し、日常生活中の 心電図を連続記録する。短時間の心電図検査では対応で きない狭心症などの診断に用いられる。 ま ミキシング業務 (mixing) 「調製」、薬剤を混ぜること。 主な例として高カロリー輸液や抗がん剤の調剤が挙げ られる。 水治療法室 「水治療法」とは、水の浮力、圧力、抵抗や、温冷水を 用いて患部の血流の改善や痛みの緩和を図る療法のこ と。 水治療法室には治療用のタンクやプールが設置される。 や 陽陰圧制御 「陰圧」(→項目「陰圧式」参照) 「陽圧」とは、内部の圧力が外部より高い状態。陰圧式 と同様に、外部からの異物や菌の侵入を防ぐ。陽陰圧制 御とは無菌室の汚染防止のための空調管理技術をさす。 ら ライフサイクルコスト (life cycle cost) 「生涯費用」のこと。LCCとも言う。 製品やサービス、施設、建造物などを製造あるいは利用 する際、その企画、研究開発から設計、生産、構築、更 には調達、運用・保全、廃却に至るまで、全ての段階に わたって発生する総コストのこと。 9 用語 内容 リニアック 「直線加速器」のことで、マイクロ波を用いて真空中の (linac) 電子を直線的に加速する装置。 高エネルギーのX線を発生し、様々な角度から照射でき ることに加え、コンピューター制御によりがん病巣への 精密な照射ができるため、副作用も軽い。現在の放射線 治療の主流を占めている。 輪番制当番日 休日・夜間等に救急患者の受入れを行う担当日のこと。 地域ごとに複数の病院で対応日の順番を決める「病院群 輪番制」という仕組みに基づく。 リンパ浮腫 がん治療の後遺症の一種。抗がん剤の投与、リンパ節の 切除、放射線治療などによりリンパの流れが滞って生じ るむくみのこと。 レジメン 主にがん治療において、薬の種類や量、組合わせや投与 (regimen) 方法などを時系列で示した治療計画書のこと。 活用によって、医療事故の防止、治療の標準化や業務の 効率化につながる。 10
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