の設計コンセプト

市民サービスセンター(仮称)の設計コンセプト
設計業務にあたっては、基本理念・基本方針に基づく5つのコンセプトを揚げ、下関市の新たなシンボルとなる庁舎づくりをめざしました。
基本理念 人と環境に優しい安全・安心な庁舎
基本方針 1)市民から親しまれる庁舎 2)人と環境に優しい庁舎 3)安全・安心な庁舎
1. 市民サービス向上を実現するまちづくり拠点施設
3. 市民に愛されるすべての人にやさしい施設
■ 低層部に窓口部門を集約・連携して配置
■ 市民に末永く愛される施設
■ 周囲への溶け込み
1,2 階に市民の利用頻度の高い部門を集約・連携して配
下関の新たなランドマークとなる施設として「関門景観
低層部は水平ラインを強調した横連窓の開放的な構成と
置し、窓口手続きや相談機能を強化します。主なものと
計画」に基づき周辺の景観や下関市の風土に調和するデ
し、道路を往来する人々への圧迫感を軽減し、内部を訪
して、各種証明書の発行や届出の窓口、市税に関する窓口、
ザインとし、下関市民に永く愛される施設づくりを行い
れた方々には開かれた庁舎としての印象を与える計画と
保険、福祉関係の窓口を配置します。
ます。
します。また最上階においてはガラスのカーテンウォー
ルを採用し、空に溶け込み建物全体の圧迫感を軽減する
なおエスカレーターの設置により 1 階と 2 階の連携を強
■ 歴史的建築物との調和
化しますので、ストレスのない円滑な移動が可能です。
また 3 階には保健所の各種機能に加え、新たに保健セン
としての意匠を踏襲するデザインとして、レンガ調タイ
ター機能を整備します。
■「憩い」
・
「交流」
・
「協働」
をキーワードとした
スペースの設置
計画とします。
高層部については既存本庁舎に見られるモダニズム建築
ルの腰壁とコンクリートフレームによるデザインとしま
す。低層部については周辺の複数の歴史的建築物から引
低層部窓口配置イメージ
市民と行政が協働できる空間を確保するため、1階には広
用した色彩を用いたタイルを採用し、地域の歴史や文化
を表現するとともに、行き交う人々が親しみと賑わいを
感じられる景観を生み出すデザインとします。
いエントランスホールを、また4階にはレストスペースを
■ 全ての人にやさしい施設
ユニバーサルデザインを基本とし、移動が少なく明快な
動線計画、床の段差をなくしたバリアフリー計画、ピク
トサインを充実させ、多言語にも対応したサイン誘導計
画等、すべての人に親切でわかりやすい施設とします。
整備します。市民の憩いの場や交流の場として活用する
ことができます。
■ 開かれた議会施設の整備
全ての市民に開かれた議会施設を構築するため、議場傍
聴席については車椅子専用スペース、難聴者支援設備、
キッズルームなどを整備し、どなたでも気兼ねなく傍聴
できるような施設整備を進めます。
また議場だけでなく、4 つの委員会室すべてについても傍
聴することが可能となります。
開かれた議会施設(議場イメージ)
2. 防災拠点となる安全安心な施設
■ 耐震性能に優れた庁舎
建築基準法上必要とされる耐震機能の 1.5 倍を設計目標と
し、制振構造の採用により十分な耐震性能を確保します。
人命の安全確保に加え、大地震後も構造躯体はもとより、
仕上げ材についても、災害応急対策活動、避難場所として
十分な機能確保が図られる計画とします。
■ 防災拠点としての庁舎
停電や断水時に備え、72 時間運転可能な非常用発電機や
受水槽を設置します。また下水ラインが分断された場合の
災害用排水槽を設け、万一の災害時にも防災拠点として機
能維持可能な計画とします。
災害時など多目的に使用できるエントランスホール
下関の景観に調和する外観
市民サービスセンター(仮称) 設計コンセプト(1)
4. 地球環境にやさしい施設
■設計概要
■ 環境共生を実現する
「エコ庁舎」
建築概要
地球規模の課題である「環境負荷低減」に積極的に取り組み、下関市
建物名称 市民サービスセンター(仮称)
用 途 市庁舎
建設場所 下関市南部町 1 番 1 号
敷地面積 14,274.62 ㎡
用途地域 商業地域(防火地域)
のまちづくり拠点施設として、周辺地域や地球環境にやさしい施設づ
くりを行います。
以下の 6 つの項目に係る最新の環境技術を導入し、LCCO2 ( ライフサ
イクル CO2 ) の大幅な低減を図り、市民を先導する「エコ庁舎」を実
現します。
高効率照明
屋上緑化
電気設備概要
受変電設備 本線‐予備線2回線受電、屋内キュービクル、三相3線 6600V
自家発電設備 ガスタービンエンジン、使用燃料(軽油)、運転時間(72時間)
直流電源設備 蓄電池(MSE 型鉛蓄電池)、負荷(非常照明10分間、受変電制御用)
幹線設備 動力幹線(三相3線 200V)、電灯幹線(単相3線 200 / 100V)、直流電源(DC 100V)
電灯設備 高効率型・LED器具の採用
1)周辺環境への配慮
①敷地内緑化
②屋上緑化
③透水性舗装・保水性舗装
2)熱負荷の低減
④外壁・屋根の高断熱化
⑤開口部の高断熱化
⑥バルコニー・庇による日射遮断
⑦全熱交換器による換気
機械設備概要
【空気調和設備】
熱源設備 氷蓄熱空冷スクリューヒートポンプチラーユニット
(1台)、吸収式冷温水機(2台)
空調方式 空調機+ファンコイルユニット方式、空冷ヒートポンプ(個別空調)方式、輻射式床冷暖房
自動制御設備 中央監視設備
高断熱ガラス
自然換気窓
エコマテリアル
3)省エネ・省資源
④
屋外機置場
委員会室
議 場
⑤
⑥
4)自然エネルギー利用
⑫自然通風・自然採光
⑬自然エネルギー発電
⑭雨水利用
④
②④
委員会室
⑤
会派控室
議会関係諸室
執務室
執務室
執務室
執務室
⑦∼⑪
売店等
執務室
⑦∼⑪
⑫
レストスペース
⑤
⑫
6)生産と廃棄に関わる配慮
⑰エコマテリアル
⑱循環型製品・再生材料
⑫
電気室
機械設備的要素
⑪高効率空調機器による省エネ
⑮躯体の長寿命化
⑯フレキシビリティの確保
【給排水衛生設備】
給水設備 上水:加圧給水方式、上水受水槽:28m3、雑用水:加圧給水方式、雑用水受水槽:120m(地下ピッ
3
ト躯体利用)
給湯設備 貯湯式電気温水器
ガス設備 都市ガス13A
雨水利用設備 砂ろ過方式
消火設備 屋内消火栓設備、連結送水管、窒素消火設備
⑬
電気設備的要素
⑧LED 照明器具による省エネ
⑨高効率変圧器
⑩ビル管理システムの導入
5)建物の長寿命化・更新性への配慮
建築面積 3,644.88 ㎡
延べ面積 18,174.37 ㎡
構造規模 鉄骨造 10 階(最高の高さ 45m)
制振構造(高層棟) 耐震構造(低層棟)
市民サービスセンター(仮称)
執務室
⑦∼⑪
執務室
執務室
⑦∼⑪
執務室
⑦∼⑪
執務室
執務室
⑦∼⑪
①③
執務室
配管ピット
⑥
高層棟
⑫
立体駐車場
①
本庁舎(本館棟)
⑦∼⑪
配管ピット
雨水槽
⑭
低層棟
環境配慮断面イメージ
エントランス
5. 経済性に優れ将来変化に対応できる施設
■ ライフサイクルコストの縮減
適材適所の材料選定を行い、
メンテナンスの容易な計画とす
市民広場
■ フレキシビリティに富んだ計画
社会ニーズや行政需要の変化に柔軟に対応できるように、
ることで LCC(ライフサイクルコスト)を縮減する計画としま
十分なフレキシビリティを有する施設計画とします。
(オープ
す。
(外装に高耐候性塗装・磁器質タイルの採用、内装に汎用
ンカウンター、OAフロア、乾式間仕切壁採用等)
製品の採用等)
執務室イメージ
発注者 下関市 / 設計者 株式会社 梓設計 九州支社
市民サービスセンター(仮称) 設計コンセプト(2)