Koosis 先生の古典解析9

Koosis 先生の古典解析9
Quasi-analitic
pp.38-40
擬解析的
Carleman-Ostrowski の基準
定義: I を空でない開区間、 {M n } を正数列、 f ( x) Î C ¥ ( I ) とする。
このとき、 f に依存する C > 0 、 r > 0 が存在して
f (n) (l ) £ C r n M n , n = 0,1, , "l Î I
が成り立つとき f Î CI ({M n }) という記号を使う。
定義: "f Î CI ({M n }) に対してある l0 が存在して、
f (n) (l0 ) = 0 n = 0,1,
が成立するとき、
(
定義
 f (l ) = 0 "l Î I
CI ({M n }) は quasi analytic といわれる。
f が解析的ならこの条件はいつでも満たされている。)
CI ({M n }) において、 r > 0 の関数
T (r ) = sup (n log r - log M n )
n³0
は Ostrowski 基準と呼ばれる。これは
T (r ) ³ - log M 0 を満たす
r の増加関数である。
しばらく次の仮定をおく(あとで取り除く)。
仮定 A すべての n ³ 0 で M n ³ 1
Ostrowski 基準 T (r ) の増大速度がかなり速いと quasi analytic となる。
¥
定理 13
ò
1
T (r )
dr = ¥  CI ({M n })
r2
証明) f Î CI ({M n }) とすると、ある
すべての n ³ 0 、すべての l Î I
は
quasi analytic
C > 0 とある r > 0 があって、
に対して f (n) (l ) £ C r n M n
ある l0 Î I が存在して、 f (n) (l0 ) = 0 n = 0,1,
が成り立つ。
とせよ。 l0 がある有限区間
J Í I の端点になっている場合、 f (l ) = 0 , l Î J を示せば、そのような J を
I の中でうごかしていけば I に含まれる l 全体で f (l ) = 0 となる。さらに、
l  al + b, a ¹ 0 なる変換を行うことによって、J = [0,1] , l0 = 1 として一般性
を失わない。すなわち、 f (n) (1) = 0 n = 0,1, とおき、
f (l ) = 0 , l Î [0,1] を示
1
す。 Âz > -1 なる半平面で、 F ( z ) = ò l z f (l ) dl とおく。この積分が絶対収束
0
していることから F ( z ) は Âz > -1 という半平面で解析的である。また、
1
¥
f (l ) £ CM 0 より F (iy ) £ ò f (l ) dl £ CM 0 であるから、 ò
0
¥
となる 。いま、 ò
-¥
log- F (iy )
1+ y 2
矛盾してしまう。
ところで、定理12とは
-¥
log + F (iy )
1+ y 2
dy < ¥
dy = ¥ がいえたとしよう。これは、定理12に
定理 12. f  z  を恒等的にはゼロでない関数で z  0 で連続、z  0 で解
析的な関数で、z  0 において


仮定すると
log  f  t 

1 t2
z   とするとき、log f  z   O  z  を

dt   


log  f  t 
1 t2
dt  
この黄色で書かれた仮定は重要で、定理12の証明を読み直すと“ f ( z ) = 0 と
なる z は孤立点をなすので、 f (iy ) ¹ 0 となる y をえらぶことができる。そこ
で、 f (iy0 ) ¹ 0 なる y0 > 0 を一つ固定する。”というくだりで黄色の仮定を使
っていた。すなわち、
¥
ò
-¥
log + F (iy )
1+ y 2
¥
dy < ¥
ò
-¥
log- F (iy )
1+ y 2
dy = ¥  F ( z ) = 0 z  0
で成り立たねばならないことになる。そして、 F ( z ) は Âz > -1 という半平面で
解析的であったからさらに広い範囲 z  1 で、 F ( z ) = 0 が結論される。とく
1
に F (k ) = ò l k f (l ) dl = 0 、 k ³ 0 となっている。このことから任意の多項式
0
1
p (l ) について、 ò p (l ) f (l ) dl = 0 となる。閉区間で連続な関数は多項式で一
0
様近似されるというワイエルストラスの多項式近似の定理により、。
1
p (l )  f (l ) としてやると ò f 2 (l )dl = 0 が言えて、f (l ) = 0 a.e.となる。f (l)
0
の連続性から f (l ) = 0 , "l Î [0,1] が結論される。すなわち定理13の証明を完
¥
結するためには、 ò
-¥
log- F (iy )
1+ y 2
dy = ¥ を示せばよいことがわかった。部分積分
と f (n) (1) = 0 n = 0,1, の仮定を使うと、
1
1
1
1
1
1
l iy+1
F (iy ) = ò l f (l ) dl =
f (l ) l iy+1 f '(l ) dl = l iy+1 f '(l ) dl
ò
ò
iy +1
iy +1 0
iy +1 0
0
0
iy
1
(-1)
n
l iy+n f ( ) (l ) dl が得ら
これをくりかえすことにより、 F (iy ) =
ò
iy
iy
n
+
1
+

(
) (
)0
n
れる。そこで、 y ¹ 0 のとき、 F (iy ) £
y
n
ò
0
ærö
(l ) dl £ C ççç ÷÷÷÷ M n を得る。対
èç y ø
n
1
1
f
( n)
æ
ö
y
数をとると、 log F (iy ) £ log C -çççn log - log M n ÷÷÷ となる。左辺は n に無関係で
÷ø
çè
r
あるから
¥
と
ò
-¥
¥
ò
r
æ yö
log F (iy ) £ log C - T ççç ÷÷÷ が得られる。両辺を 1 + y 2 で割り積分する
çè r ÷ø
log F (iy )
1+ y
2
T ( y / r)
dy を得る。ところが定理の仮定は、
1+ y 2
-¥
¥
dy £ p log C - ò
¥
T ( y / r)
1 T (r )
dy = ò 2 dr = ¥ を意味し、 T (r ) ³ - log M 0 から
y2
r 1 r
T ( y / r)
ò 1+ y 2 dy ³ -p log M 0 であるから
y £r
¥
の右辺は -¥ となり、 ò
-¥
¥
あったことから ò
-¥
log F (iy )
1+ y2
log- F (iy )
1+ y 2
¥
ò
-¥
log F (iy )
1+ y 2
T ( y / r)
dy
1+ y 2
-¥
¥
dy £ p log C - ò
¥
dy = -¥ となる。 ò
-¥
log + F (iy )
1+ y 2
dy < ¥ で
dy = ¥ でなければならない。証明終わり▆