2015 年 3 月 20 日 ERP/業務ソフトウェアの導入実態調査結果 2014 ~自社開発からパッケージへの移行が進む、SaaS の利用は CRM・SFA が先行~ 【調査要綱】 矢野経済研究所では、次の調査要綱にて ERP や業務ソフトウェアにおける自社開発システムと SaaS の利用意向 について、国内の民間企業等に対して法人アンケート調査を実施した。 1.調査期間:2014 年 7 月~10 月 2.調査対象:日本国内の民間企業及び地方自治体等 617 社・団体 3.調査方法:郵送アンケート調査 <ERP(Enterprise Resource Planning)とは> ERP とは、財務会計、人事給与、販売管理、生産管理など基幹業務データを統合する情報システムを構築する ための基幹業務管理パッケージソフトウェアを指す。 【調査結果サマリー】 自社開発システムからパッケージソフトウェア利用への移行が進む 国内の民間企業及び地方自治体等への法人アンケート調査結果によると、現在の自社開発システムの 利用率は、販売管理システムが 51.1%、生産管理・SCM システム(加工組立製造業)56.0%、同(プロセ ス製造業)56.3%で、これらの業務分野ではまだ 5 割以上の企業が自社開発システムを利用している。 また、システム更新及び導入予定のある企業のうち、次回のシステム導入形態を自社開発システムと回 答した比率は、販売管理システムが 28.7%、生産管理・SCM システム(加工組立製造業)22.6%となり、 現在の利用率からは 20~30 ポイント減という結果になった。パッケージソフトウェアの機能向上や業種・ 業務に対応したテンプレートの提供によってパッケージソフトウェアの利用が促進されており、今後自社 開発システムからパッケージソフトウェア利用への移行がさらに進むと推測する。 CRM・SFA では SaaS が優先的に利用されるが、それ以外の分野のクラウド化の進展は遅い 現在 SaaS(Software as a Service、以下 SaaS)の利用率が最も高い業務分野は CRM・SFA で 12.9%と なった。システム更新及び導入予定のある企業のうち、次回のシステム導入形態が SaaS と回答した比率 は、財務・会計システムが 5.1%で現在の利用率 2.4%からは微増に留まったが、CRM・SFA は 29.0%で、 現状より 16.1 ポイント増と大きく伸びている。CRM・SFA は外資系大手ベンダーを筆頭に有力な SaaS ベ ンダーが市場を牽引しているため、パッケージソフトウェアではなく SaaS が優先的に利用される見通しで ある。他の業務分野ではユーザ企業の SaaS 利用意向はあまり強くないため、クラウド化は緩やかに進ん でいくと推測する。 ◆ 資料体裁 資料名:ERP/業務ソフトウェアの導入実態 2015-会計、人事、販売、SCM、CRM- 発刊日:2015 年 3 月 10 日 体 裁:A4 判 220 頁 定 価:150,000 円(本体価格) 株式会社 矢野経済研究所 所在地:東京都中野区本町2-46-2 代表取締役社長:水越 孝 設 立:1958年3月 年間レポート発刊:約250タイトル URL: http://www.yano.co.jp/ 本件に関するお問合せ先(当社 HP からも承っております http://www.yano.co.jp/) ㈱矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム TEL:03-5371-6912 E-mail:[email protected] 本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。 本資料内容を転載引用等されるにあたっては、上記広報チーム迄お問合せ下さい。 Copyright © 2015 Yano Research Institute Ltd. 2015 年 3 月 20 日 【 調査結果の概要 】 1.自社開発システムの利用率と次回更新時の利用意向について 2014 年 7 月から 10 月にかけて、国内の民間企業及び地方自治体等に対して、ERP/業務ソフトウェアの システム導入状況に関する郵送アンケート調査を実施し、617 件の回答を得た。5 つの業務分野別に、自 社開発システムや SaaS(ASP を含む)の利用状況をまとめたのが、図表 1 と図表 2 である。 まず、現在の自社開発システムの利用率は、財務・会計システムが 14.9%、人事・給与システム 9.7%、 販売管理システム 51.1%、生産管理・SCM システム(加工組立製造業)で 56.0%、生産管理・SCM シス テム(プロセス製造業)56.3%となった。会計や人事などのバックオフィス系システムは企業による業務内 容の差が小さいためパッケージソフトウェアを適用しやすいが、販売管理システムや生産管理・SCM シス テムは自社独自の業務プロセスを反映させるニーズが強いため、まだ 5 割以上の企業が自社開発システ ムを利用している。 また、システム更新及び導入予定のある企業の内、次回システム導入形態が自社開発システムと回答 した比率は、財務・会計システム 5.7%、人事・給与システム 4.9%、販売管理システム 28.7%、生産管理・ SCM システム(加工組立製造業)22.6%、生産管理・SCM システム(プロセス製造業)33.3%となった。 どの分野でも自社開発システムの利用意向は低くなっているが、特に販売管理システムや生産管理・ SCM システムで大きく低下している。これらの分野でもパッケージソフトウェアの機能向上や業種・業務に 細かく対応したテンプレートの提供によってパッケージソフトウェアの利用が促進されており、今後自社開 発からパッケージソフトウェアへの移行がさらに進むと考える。生産管理・SCM システムは、加工組立製造 業向けとプロセス製造業向けの 2 タイプがあるが、加工組立製造業は管理対象が物品であり業務機能も 類似していることから、プロセス製造業よりパッケージソフトウェアを利用しやすく、次回の自社開発システ ムの導入予定比率が低くなったとみる。 図表 1. 自社開発システム利用率と次回システム更新時の自社開発導入予定率 (単位:%、社数) 財務・会計 自社開発システム利用率 システム導入企業数 次回自社開発システム導入予定 システム更新及び導入予定のある 企業数 人事・給与 販売管理 生産管理・SCM 加工組立 プロセス 製造業 製造業 CRM・SFA 14.9% 9.7% 51.1% 56.0% 56.3% 41.7% 592 569 470 100 80 139 5.7% 4.9% 28.7% 22.6% 33.3% 18.8% 158 123 150 31 21 69 % 100.0 自社開発システム利用率 次回自社開発システム導入予定 80.0 60.0 56.3 56.0 51.1 41.7 40.0 20.0 28.7 14.9 5.7 9.7 22.6 18.8 4.9 0.0 財務・会計 33.3 人事・給与 販売管理 生産管理・SCM 加工組立製造業 プロセス製造業 CRM・SFA 矢野経済研究所作成 注 1.調査期間:2014 年 7 月~10 月、調査対象:国内の民間企業及び地方自治体等 617 社・団体。そのうち、各業務分 野のシステムを現在導入している企業と次回更新及び導入予定のある企業(社数は上記表内に記載)が、該当する業務分 野のシステムそれぞれに回答している、調査方法:郵送アンケート調査。 Copyright © 2015 Yano Research Institute Ltd. 2015 年 3 月 20 日 2. SaaS(ASP を含む)の利用率と次回更新時の利用意向について 5 つの業務分野別に、SaaS(Software as a Service、以下 SaaS)の利用状況を図表 2 にまとめた。 SaaS の利用率は全般的に低く、財務・会計システム 2.4%、人事・給与システム 1.9%に留まり、最も利用 率が高いのは CRM・SFA で 12.9%となった。CRM・SFA 市場では、セールスフォース・ドットコムに代表さ れる有力な企業が SaaS を提供しているため、他の分野に先駆けてクラウド化が進んだが、財務・会計シス テムや人事・給与システムではまだ SaaS の利用率は低く、パッケージソフトウェアの利用が主流である。 また、システム更新及び導入予定のある企業のうち、次回システム導入形態で SaaS と回答した比率は、 財務・会計システム 5.1%、人事・給与システム 8.1%と、現在の利用率よりは高いが大きな伸びはみられ ない。生産管理・SCM システムでは現在の利用率、次回の導入予定ともに回答率は 0%となっている。こ のように、クラウドの利用は拡大するが、他の業務分野ではユーザ企業の利用意向はあまり強くないため、 成長スピードは緩やかに進んでいくと推測する。また、ERP 市場では、SaaS の種類がまだ少なく特に有力 なベンダーもいないため、クラウド化が遅れているが、今後魅力的なサービスが登場すればクラウドの利 用意欲は高まると考える。 一方で、CRM・SFA は次回に SaaS を利用するという回答率が 29.0%と際立って高い比率となった。こ の分野ではクラウドの利用が標準となっているためサービスの種類や内容も充実している。また、企業全 体ではなく、部門単位での新規導入やスモールスタートにも適しており、ERP よりは導入規模の自由度が 高いことも、クラウドの利用を後押ししていると考える。今後とも、CRM・SFA においては SaaS がもっとも優 先的に利用されていく見通しである。 図表 2. SaaS(ASP を含む)利用率と次回システム更新時の SaaS 導入予定率 (単位:%、社数) 財務・会計 人事・給与 販売管理 生産管理・SCM 加工組立 プロセス 製造業 製造業 CRM・SFA SaaS(ASPを含む)利用率 2.4% 1.9% 2.1% 0.0% 0.0% 12.9% システム導入企業数 592 569 470 100 80 139 次回SaaS(ASPを含む)導入予定 5.1% 8.1% 7.3% 0.0% 0.0% 29.0% システム更新及び導入予定のある 企業数 158 123 150 31 21 69 % 100.0 次回ASP/SaaS導入予定 ASP/SaaS利用率 80.0 60.0 40.0 29.0 20.0 2.4 5.1 8.1 1.9 2.1 0.0 財務・会計 人事・給与 12.9 7.3 販売管理 0.0 0.0 0.0 0.0 生産管理・SCM 加工組立製造業 プロセス製造業 CRM・SFA 矢野経済研究所作成 注 2.調査期間:2014 年 7 月~10 月、調査対象:国内の民間企業及び地方自治体等 617 社・団体。そのうち、各業務分 野のシステムを現在導入している企業と次回更新及び導入予定のある企業(社数は上記表内に記載)が、該当する業務分 野のシステムそれぞれに回答している、調査方法:郵送アンケート調査。 注 3.SaaS(Software as a Service)には、ASP(Application Service Provider)利用を含む。 Copyright © 2015 Yano Research Institute Ltd.
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