宗教哲学・神学 - 筑波大学哲学・思想専攻

「宗教学通論」ハンドアウト(12)
「宗教学通論」授業用ハンドアウト(12):宗教哲学・神学
参考文献(教科書以外のもの。◎は HP にアップされているものであることを示す)
○小山宙丸・田丸徳善・峰島旭雄(編著)『宗教の哲学』東京:北樹出版、1989 年
○藤田富雄『宗教哲学』東京:大明堂、1966 年
○ジョン・ヒック『宗教の哲学』東京:勁草書房、1994 年
◎藤田富雄「宗教哲学」、小口偉一・堀一郎(監修)
『宗教学辞典』東京:東京大学出版会、1973 年、pp.329-335
所収
○佐々木亮「宗教哲学の現状と課題」、石田慶和・薗田坦(編)『宗教学を学ぶ人のために』京都:世界
思想社、1989 年、pp.47-69 所収
◎ Paul J. Griffiths: Comparative Philosophy of Religion, in: Ch. Taliaferro, P. Draper and Ph. L. Quinn ( eds.): A
Commpanion to Philosophy of Religion (second edition), Malden(USA)/Oxford(UK): Wiley-Blachwell
2010, pp.718-723, esp. pp.718-719(授業 HP の「宗教哲学」の項目内に資料がアップされている)
○竹村牧男『入門 哲学としての仏教』東京:講談社(講談社現代新書)、2009 年
○嶋田義仁「訳者あとがき」、A・M・ルギラ『アフリカの宗教』東京:青土社、2004 年、pp.165-170
○ Albert Schweitzer, Die Religionsphilosophie Kant's von der Kritik der reinen Vernunft bis zur Religion
innerhalb der Grenzen der blossen Vernunft, Freiburg i.B.: J.C.B.Mohr(Paul Siebeck), 1899
○ Georg Picht: Kants Religionsphilosophie, Stuttgart: Klett-Cotta, 1985
○量義治『宗教哲学としてのカント哲学』東京:勁草書房、1990 年
○武藤一雄「カントの宗教論について」、同著『神学的・宗教哲学的論集Ⅱ』東京:創文社、1986 年、pp.25-52
所収
◎氣多雅子「宗教哲学」、星野英紀他(編)『宗教学事典』東京:丸善株式会社、2010 年、pp.166-169 所
収
◎杉村靖彦「宗教・神学・哲学」、星野英紀他(編)
『宗教学事典』東京:丸善株式会社、2010 年、pp.154-157
所収
◎田島信之「神学」、小口偉一・堀一郎(監修)
『宗教学辞典』東京:東京大学出版会、1973 年、pp.397-402
所収
1
岸本による宗教研究の4領域における「宗教哲学」および「神学」
2
「宗教の哲学」(philosophy of religion)に関する 2 つの解釈
3
「(宗教的)哲学」と「神の死の神学」
4
「宗教哲学」の諸テーマ
5
教科書における宗教哲学的・神学的テーマ
*
メモ
.
.
2.1 「宗教を哲学する」
.
2.2 「宗教が哲学する」
.
岸本による宗教研究の4領域における「宗教哲学」および「神学」
「宗教哲学」=複数の宗教(実定宗教 positive religions)を対象とする主観的・規範的
研究(Immanuel Kant, John Hick?)
しかし、実際の学問の世界において「宗教哲学」と称されているものは、このタイプに
限定されておらず、極めて多様である。
1
-1-
「宗教学通論」ハンドアウト(12)
.
2 「宗教の哲学」(philosophy of religion)に関する 2 つの解釈
「の」や「of」がもつ 2 つの機能に応じて、この学問も 2 通りに考えることができる。
.
(1)objective genitive(所有格/属格):目的語を示す──宗教を哲学する
.
(2)subjective genitive(所有格/属格):主語を示す──宗教が哲学する
.
2.1 「宗教を哲学する」
○ここでの「宗教」:「実定宗教」ではなく、「宗教一般」、「宗教そのもの」
○しかしながら、「宗教」とは何かという哲学的な問いを、複数の具体的な宗教(実定
宗教)を前提にして問い進める。岸本英夫による 4 領域の 1 つとしての「宗教哲学」に、
ほぼ該当する。(ただし、「宗教を哲学する宗教哲学」がこれに限定されるわけではない。
このことについては後述。)このような「宗教哲学」は、18 世紀末から 19 世紀の初頭に
かけて成立したものであり、Religionsphilosophie, Philosophie der Religion という言葉もそ
の頃に使用され始めた。
○「法を哲学する」=「法哲学」、「科学を哲学する」=「科学哲学」、「芸術を哲学す
る」=「芸術哲学」……。─→「○○哲学」の一つとして、「哲学」の一分野。
○藤田富雄:「構成的宗教哲学 constructive philosophy of religion」。これを展開する哲学
者がコミットする宗教伝統に強く影響される形で「あるべき宗教」を構成することになり、
後出の「宗教が哲学する宗教哲学」とほぼ同じ。(藤田富雄「宗教哲学」小口偉一・堀一
郎(監修)『宗教学辞典』東京:東京大学出版会、1973 年、pp.329-335 所収。)
○しかしながら、「宗教を哲学する宗教哲学」が、自分のコミットする宗教伝統からの
み「あるべき宗教」の構成するとは限らないし、そもそもこのタイプの宗教哲学が「ある
べき宗教」の構成にのみ携わるとは限らない。後で見るように、「宗教を哲学する宗教哲
学」は現代において、さまざまな研究テーマを論じつつ展開している。具体的には、「4
「宗教哲学」の諸テーマ」や「5 教科書における宗教哲学的・神学的テーマ」に挙げた
テーマを参照。
.
2.2 「宗教が哲学する」
この場合の「宗教」はさまざまに考えられる。
(1)宗教そのもの、宗教それ自体(「実定宗教」ではない)
(2)宗教的個人(何らかの具体的な宗教伝統内で生きている個人)
(3)具体的な宗教伝統(キリスト教、仏教、イスラーム、儒教……)
2.2.1「宗教それ自体が哲学する宗教哲学」
○佐々木亮「宗教哲学の現状と課題」(石田慶和・薗田坦(編)『宗教学を学ぶ人のため
に』京都:世界思想社、1989 年、pp.47-69 所収)。佐々木は、これが「宗教それ自体が自
己を釈き明かす」という事態を指し示すと考え、神、仏、聖なるものを「釈き明かし」の
主体としている。
2.2.2「宗教的個人が哲学する宗教哲学」
○既に触れたように、藤田富雄が「宗教が哲学する宗教哲学」をこのようなものに限定し
てみている。彼は、これが「宗教的哲学 religious philosophy」と名づけられるべきもので、
「感傷的な自己陶酔におわり勝ちな、研究者自身の体験物語」になる傾向があると、波多
野精一(1877-1950)の文章を引いて批判している。
○人間が「ホモ・レリギオースス」であるならば、すべての哲学がこれであろう。
2.2.3「各宗教伝統が哲学する宗教哲学」
○ Paul J. Griffiths: Comparative Philosophy of Religion, in: Ch. Taliaferro, P. Draper and Ph. L.
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「宗教学通論」ハンドアウト(12)
Quinn (eds.): A Commpanion to Philosophy of Religion (second edition), Malden(USA)/Oxford
(UK): Wiley-Blachwell 2010, pp.718-723, esp. pp.718-719.
○哲学する「宗教伝統」は限定されている(K・ヤスパース(1883-1969)のいう「軸の
時代」に由来する宗教伝統)。
○これら高度に知性的な神学や教学を展開することになった宗教は、自分自身で哲学的な
問いを立て、それに答えようと取り組んでいる。
○これらの哲学の問いは「宗教とは何か」「あるべき宗教とは何か」といった問いに限定
されない。
具体例
1)キリスト教:Theodicy(神義論/弁神論)
2)仏教:「輪廻」(サムサーラ samsara)と「無我」(anatman, anattan)とは如何にして両立
するか。
キリスト教哲学、仏教哲学、イスラーム哲学、……にほかならず、それぞれ「○○神学」、
「○○教学」ということもできる。
しかし、特定の文化圏・宗教伝統に閉ざされた何か特殊な「哲学」ではない。例えば、1)
の問題はユダヤ教やイスラームの哲学、さらにはヒンドゥー教の一神論的な教派の哲学に
も開かれた問いであり、共同の探究が可能であるし、部分的には現実に行われている。ま
た、時間論や空間論、永遠論は、多くの宗教伝統との共同に開かれた問題となりうる。
─→「(比較)宗教哲学」、「比較神学」へ
○その他の問題(1):仏教の場合
竹村牧男『入門 哲学としての仏教』講談社現代新書、2009 年:序「仏教はとても斬新
な哲学である」、第一章「存在について」、第二章「言語について」、第三章「心について」、
第四章「自然について」、第五章「絶対者について」、第六章「関係について」、第七章「時
間について」
○その他の問題(2):諸宗教全般について
「4「宗教哲学」の諸テーマ」における Part I: Philosophical Issues in the Religions of the World
(1~7)、Part II: Philosophical Theology and Philosophy of Religion in Western History( 8~13)、
Part IV: The Concept of God(25~41)、Part V: The Justification of Religious Belief(42~46)。
注意事項
(1)Part II 以降の問題の大半は、キリスト教(あるいはユダヤ教、イスラームなど唯一神
教)の伝統に由来する哲学問題ではある。この分野はこれまでキリスト教中心。
(2)Part I: Philosophical Issues in the Religions of the World に挙げられているのは、「4
African Religions from a Philosophical Point of View」を除けば、すべて、「軸の時代」に由
来する宗教伝統(ヒックの post-axial religions)。この事態は先に述べたことを裏づけてい
ると言える。
「4 African Religions from a Philosophical Point of View」について言えば、アフリカの多
様な諸宗教を「アフリカ宗教」という一つの宗教、しかもキリスト教などの「世界宗教」
と並ぶ宗教、「唯一神的な至高存在への信仰」を中心とする宗教として論じようとする近
年の傾向を反映していると考えられる。嶋田義仁「訳者あとがき」、A・M・ルギラ『ア
フリカの宗教』東京:青土社、2004 年、pp.165-170.
.
「(宗教的)哲学」と「神の死の神学」
ここでは、波多野精一を引いて藤田富雄が批判していた「宗教的哲学」と異なるタイプ
の哲学を念頭に置いている。実定宗教との関係は希薄であるが、それを「宗教的なもの」
3
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「宗教学通論」ハンドアウト(12)
と切り離すことができないような「哲学」とでも言うべきもの。したがって、「宗教的哲
学」と呼んでもよいが、取り立てて「宗教的」と呼ばれることがないこともある(それゆ
.
え、「(宗教的)哲学」としてみた)。
また、これは、ニヒリズムの果て、あらゆる価値の根拠・神が否定された後の探究を含
むので、
「神の死の神学」を含めてもよいと思われる。
(神なきゆえに、
「哲学」と「神学」
の境界線が消失する。)
(1-a)「宗教 religio」という概念が存在しなかった古代ギリシャの哲学(ソクラテス、プ
ラトン、アリストテレス)
(1-b)カントの『単なる理性の限界内における宗教』(1793 年)は「宗教を哲学する宗教
哲学」の一つのタイプに数えられるが、彼の哲学全体を一つの「宗教哲学」と見ることが
できると考える研究者がいる。また、カントの道徳哲学における「定言命法」の理論の背
景に宗教的なるものが潜んでいると解することも可能であろう。実際、多くのユダヤ人研
究者が、「定言命法」の内に「十戒 Dekalog」を読み取り、彼の哲学全体を宗教的なもの
として理解している。さらに、世界を絶対精神の自己展開と捉え、宗教と哲学とが内容的
に一致すると見るヘーゲル哲学も、その全体が「宗教哲学」であると言える。 .....
(2)「哲学」探究は「宗教」に極まるとする「哲学」
。「第四編は余が、かねて哲学の終結
........
と考えている宗教について余の考を述べたものである」
(西田幾多郎『善の研究』1911(明
治 44)年、岩波文庫版 1979 年版 p.3、傍点引用者。なお、ここで「善」とは、広く「人
生の問題」
(同 p.4)を意味している)。西田幾多郎(1870-1945)のほか、田辺元(1885-1962)、
西谷啓治(1900-1990)など、
「京都学派」の哲学、あるいは「絶対無の哲学」も含まれる。
(3)「ニヒリズム」の果ての哲学。F・ニーチェ(1844-1900)による「神の死」の宣告に
よって、すべての価値の根拠の自明性が崩壊するなかで「哲学」も「神学」も、直接「神」
や「超越」を語ることはできず、隠喩に満ちた屈折した語り方をせざるをえない。しかも、
その営みは近代とその理性自身を徹底的に審問し究明するという作業と重なってくる。哲
学の領域では、M・ハイデガー(1889-1976)や E・レヴィナス(1906-1995)などの哲学
がその卓越した例。そこでは、「宗教哲学」という概念は「哲学」と言う概念のうちに解
消されてしまう(氣多雅子「宗教哲学」星野英紀 他(編)『宗教学事典』東京:丸善株式
会社、2010 年、pp.166-169 所収、を参照)。このような状況下で、なおも語り出す「哲学」
の言葉がかつての「宗教」の言葉(に近似するもの)であることも注目に値する(ハイデ
ガー「最後の神」、レヴィナス「存在に汚されない神」、H・ヨーナス(1903-1993)「アウ
シュヴィッツ以降の神」、J・デリダ(1930-2004)「自己自身にとってすら秘密であるよう
な秘密」としての「宗教なき宗教」など)。
(杉村靖彦「宗教・神学・哲学」星野英紀他(編)
『宗教学事典』東京:丸善株式会社、2010 年、pp.154-157 所収、を参照)
*(1-b)は(2)に、(2)は(3)に数え入れた方がよいのかもしれない。
4 「宗教哲学」の諸テーマ
Charles Taliaferro, Paul Draper and Philip L. Quinn (eds), A Companion to Philosophy of
Religion (Second Editin), Malden(USA)/ Oxford(UK): Wiley-Blackwell, 2010.(以下は、
その目次の各項目のタイトル)
Part I: Philosophical Issues in the Religions of the World
1 Hinduism、2 Buddhism、3 Chinese Confucianism and Daoism
4 African Religions from a Philosophical Point of View
5 Judaism、6 Christianty、7 Philosophy in the Islamic Context
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「宗教学通論」ハンドアウト(12)
Part II: Philosophical Theology and Philosophy of Religion in Western History
8 Ancient Philosophical Theology
9 The Christian Contribution to Medieval Philosophical Theology
10 The Islamic Contribution to Medieval Philosophical Theology
11 The Jewish Contribution to Medieval Philosophical Theology
12 Early Modern Philosophical Theology on the Continent
13 Early Modern Philosophical Theology in Great Britain
14 The Emergence of Modern Philosophy of Religion
Part III: Philosophy of Religion and Religious Philosophy in the Twentieth Century
15 American Pragamatism、16 Personalism、17 Process Theology
18 Phenomenology and Existentialism、19 Wittgenstein、20 Thomism、21 Natural Theology
22 The Reformed Tradition、23 The Jewish Tradition、24 The Christian Tradition
Part IV: The Concept of God
25 Perfect Being Theology、26 Holiness、27 Omnipotence、28 Omniscience、29 Omnipresence
30 Goodness、31 Simplicity、32 Eternity、33 Necessity、34 Incorporeality、35 Beauty
36 Divine Action、37 Creation and Conservation、38 Immutability and Impassibility
39 Providence、40 Pantheism、41 Religious Language
Part V: The Justification of Religious Belief
42 Ontological Arguments、43 Cosmological Arguments、44 Teleological and Design Arguments
45 Moral Arguments、46 Arguments from Consciousness and Free Will
47 Miracles、48 Religious Experience、49 Cumulative Cases、50 Pragmatic Arguments
51 Tradition、52 Fideism
Part VI: Challenges to Theistc Belief
53 The Presumption of Atheism、54 The Verificationist Challenge、55 Theism and Incoherence
56 Foreknowledge and Human Freedom、57 The problem of No Best World
58 The Logical Problem of Evil、59 The Evidential Problem of Evil、60 Divine Hiddenness
61 Naturalistica Explanations of Theistic Belief
Part VII: Religion and Science
62 Historical Perspectives on Religion and Science
63 Theism and Physical Cosmology、64 Theism and Evolutionary Biology
65 Theism and the Scientific Undersatanding of the Mind、66 Theism and Technology
Part VIII: Religion and Values
67 The Ethics of Religious Commitment、68 Divine Command Ethics、69 Natural Law Ethics
70 Religion, Law, and Politics、71 Theism and Toleration、72 Sin and Original Sin
73 Atonement, Justification, and Sanctification、74 Resurrection, Heaven, and Hell
75 Reincarnation and Karma
Part IX: Current Trends and New Directions
76 Theological Realism and Antirealism、77 Wittegensteinian Philosophy of Religion
78 Continental Philosophy of Religion、79 Reformed Epistemology、80 Evidentialism
81 Feminism、82 Philosophical Reflexion on Revelation and Scripture
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「宗教学通論」ハンドアウト(12)
83 Philosophical Reflexion on Mysticism
84 Religious Pluralism、85 Comparative Philosophy of Religion
5 教科書における宗教哲学的・神学的テーマ
教科書(棚次正和・山中弘(共編)『宗教学入門』東京:ミネルヴァ書房、2005 年)
第三章
宗教現象を読み解く(Ⅰ)──「体験」の視点から──
「宗教経験」pp.157-158、「神話」pp.158-159、「超越と内在」pp.166-167、「自然」pp.167-169
「絶対者と人間」pp.170-172、「宗教間対話」pp.172-173、
第五章
「体験と言語」pp.176-178
宗教学を学ぶ人のための基本文献:宗教哲学・神学 pp.226-233
I・カント『たんなる理性の限界内の宗教』p.226、R・オットー『聖なるもの』p.227
M・シェーラー『人間における永遠なるもの』pp.227-228、M・ブーバー『我と汝・対話』pp.228-229
H・ベルグソン『宗教と道徳の二源泉』pp.229-230、西田幾多郎『場所的論理と宗教的世界観』p.230
西谷啓治『宗教とは何か』pp.230-231、P・ティリッヒ『信仰の本質と動態』pp.231-232
J・ヒック『宗教の哲学』pp.232-233
メモ
藤田富雄は「宗教哲学」を、(1)「宗教の哲学的基礎づけとしての宗教哲学」、 (2)「宗
教の批判としての宗教哲学」、(3)「宗教学的宗教哲学」に分類している。イスラーム研
究者の小田淑子も、最近、「宗教学的宗教哲学」を主張しているが、藤田のそれと同じタ
イプの哲学を念頭に置いているかどうかは、藤田のそれに関する研究も含めて、さらなる
研究を要する。
なお、藤田富雄が挙げている「宗教批判としての宗教哲学」や「宗教学的宗教哲学」と
いう「宗教哲学」の類型、さらにまた、「宗教学の基礎づけとしての宗教哲学」という類
型などについては、この講義では考察することができなかった。これらについては、今後
の課題としたい。
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