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(芸術・メディアコース4)(PDF:20KB)

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2009 年度「基礎演習B」レポート課題(所定様式)
氏 名
課題を選択したコース
匿名
芸術・メディアコース
※コース内で課題が複数ある場合は、選択した課題の小番号(または図書名)を右に明記しなさい。→(
1
)
DEATH NOTE
私がこの作品で最も深く考えさせられたのは、死刑存続の必要性である。
「DEATH NOTE」とは週刊少年ジャンプで連載さ
れたダークファンタジーミステリー漫画であり、作中に登場するデスノートは名前を書いた相手を死に追いやることができ
る架空の殺人ノートである。そのノートを偶然拾った主人公は世の中のために犯罪者の名前をノートに書き始め、法で裁か
れることの無い犯罪者を次々と葬っていく。一方警察側は、自分のエゴで犯罪者を裁く「キラ」の存在に気付いた世界一の
探偵 L が、正体不明の大量殺人犯であるキラを悪と見なし、捜索を開始する。この作品はフィクションであるが現代の社会
を風刺する部分が多く存在し、現実問題と照らし合わせながら読むと非常に面白い。私はこのノートの効果が、死刑を象徴
しているように感じられた。よってこれらの共通点と引き起こされる問題を通して、死刑制度が必要かどうか論じたい。
私は死刑の存続、廃止についてはっきりとした結論を出すことは出来ないと考える。たしかに世の中には重い罪でも罰金
のみで釈放されたり、時効で罪に問われなくなったりと、刑罰が不公平で甘すぎるという意識を持つ人もいる。とくに凶悪
犯罪の犠牲となった被害者の遺族は精神的負担が大きく、加害者側の死を要求するケースも決して少なくはない。もし物語
のようにデスノートやキラのような存在があれば、法で裁かれない犯罪者も死をもって裁かれ、救われる人物がいるはずで
ある。現在日本で死刑存置派が死刑廃止派を大きく上回る 1 ように、作中でもキラを支持する者が多い。しかし、とくに本
作においてこの思想が危険なのは、冤罪の可能性が完全に払拭されていないまま、判決が下されることである。個人の感覚
で善悪を判断し死刑を執行していた本作の主人公の過ちは明白であるが、たとえ多くの裁判官が入念に審議を繰り返して
も、常に間違いのない判決を下すことは不可能に近い。元最高裁判事である団藤重光氏 ()は『死刑廃止論』で、たとえ冤
罪の可能性が1パーセント以下であっても、その可能性を残したまま最高裁で死刑判決を言い渡すのは、とても心が痛んだ
と述べている。また、死刑の存在は拡大自殺を引き起こす原因でもある。拡大自殺とは、他人や国家などの力を借りて自己
を死に追い込む行為のことで、確実に死刑になるために進んで凶悪犯罪を起こす者もいる。この方法は結果的に自分の手を
汚さずに自殺できる。デスノート特別編では多くの自殺志願者がキラに自分の名前をノートに書くよう訴えかけるシーンが
描写されており、主人公自身も大量殺人の重圧に耐え切れず、結果的にノートに自分の名前を書き自殺する。このように死
刑制度の存在が原因となって起こる犯罪もあり、死刑を存続するべきか廃止するべきかは、非常に難しい問題である。
私にとってデスノートは、死刑制度の必要性について考えるきっかけを得ることができた貴重な漫画である。たしかに殺
人ノートや死神などフィクションならではの世界観と現実問題を比較するだけでは、この問題を満足に理解することは出来
ない。しかし私はこの漫画を読むことで大きな影響を受けた。単なる推理漫画としても評価の高いこの作品であるが、情勢
や国民の死刑に対する現実的な意見などの描写、またそれを風刺するようなストーリーの展開もこの作品の面白いところで
ある。法律は人々を平等に扱うための基盤として重要な役割を担っている。しかし法律を作っているのが同じ人間である以
上、完全に正当化することもできない。今の段階で私に死刑存廃問題について結論を出すことはできないが、今後この問題
を取り扱う機会があるとすれば、そのときはデスノートを読んで感じたことも踏まえて考えたい。
脚注
1.内閣府 2005 年度『基本的法制度に関する世論調査』の調査結果よると、死刑制度に関して「どんな場合でも死刑は廃
止すべきである」と答えた者の割合が 6.0%、
「場合によっては死刑もやむを得ない」と答えた者の割合が 81.4%となって
いる。
(2010 年 1 月 4 日) http://www8.cao.go.jp/survey/h16/h16-houseido/2-2.html
参考文献
団藤重光(2000)『死刑廃止論』有斐閣
菊田幸一(2004)『Q&A 死刑問題の基礎知識』明石書店
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