高浜市立小中学校第三者評価

高浜市教育委員会
教育長 岸上
善徳
様
高浜市立小学校・中学校
第三者評価報告書
平成 27年 3 月11日(水)
第三者評価委員会
委 員 長 木岡
一明
副委員長
伊澤
光二
委
員 南部
初世
委
員 小出
禎子
委
員 高桑
雄司
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【総論】
委員長 木 岡
一 明
1.はじめに
(1)昨年度の振り返り
昨年度は、①高浜市教育基本構想との全般的な関係について、②授業づくりを中心とした人材育成つ
いて、③児童生徒の自治能力の育成について、④ミドル・リーダーの育成について、の4つの側面から
成果と課題を明らかにした。そして、今後の全市的な課題を、①各校の主題研究等の重点的な取り組み
について、②学校マネジメントへの理解について、③学校評価のあり方について、④大規模校のマネジ
メント・モデルについて、⑤長期化する勤務時間について、⑥その他、の6つの側面から指摘した。
①高浜市教育基本構想との全般的な関係については、教育基本構想推進委員会の異校種間連携推進委
員会や学校防災検討委員会の尽力によって、学校間連携への積極的な取り組みが各校で進められ、授業
交流はもとより、生活科・総合的な学習の時間を通じた高浜カリキュラムの開発と実践、地域協働的な
避難訓練の企画・実施など、しだいに成果が表れてきていることを成果とした。
②授業づくりを中心とした人材育成ついては、多くの学校では、授業あるいは学習のスタンダードづ
くりや学年学級経営案、自己評価表などを通じて、授業や学級経営等の指導上の共通確認事項が明確に
されつつあること、そうした目標管理的な実践が、月別重点目標などによって児童生徒の日常にも波及
してきていること、授業参観シートを採り入れる学校も増え、四役等による参観メモの作成や授業者へ
のフィードバックも広がってきていること、それらによって、市内全体として授業づくりを柱とした学
校活性化の取り組みがみられるようになったことを成果とした。
③児童生徒の自治能力の育成については、愛校心を強化する働きかけをはじめ、清掃やボランティア、
キャリア教育なども、児童生徒の自主性や主体性の発露となって、その効果がしだいに表れてきている
こと、部活動等でめざましい対外成績をあげていることを成果とした。
④ミドル・リーダーの育成については、分掌主任等への登用や学習会の組織化等によってしだいに学
校の中心的な役割を担う教職員が育ってきていることを成果とした。
そして、これらの成果を基盤に、今後、いっそう教育基本構想の実現に向けた各校の積極的な取り組
みの展開を期待した。その一方、見直しや深まりを強く求める課題もあげた。
①各校の主題研究等の重点的な取り組みについては、普段の授業の中で無理なく実践できるあり方が
さらに探究されていくこと、主題研究のキーワードになっている自主性や自律性、自発性や主体性など
の言葉の異同を子どもたちの実際の姿に照らして検討すること、授業者によるどの程度のかかわりで、
どの程度の学びが生まれるのかが明らかになっていくこと、授業者によるどの程度のかかわりでどの程
度の学びが生まれるのかが明らかとなる構造的な見取り図が必要であること、校種間異動する教職員に
対して校種の違いによる指導や運営のあり方の違い等についての準備指導を行うこと、予算とのリンク
を明示的にした施策を打っていくこと、を求めた。
②学校マネジメントへの理解については、先にゴール(中期目標)を定め逆算して短期目標や具体的
取り組みを定めていくという思考の徹底による評価シートの見直し、教育の全体構想図についての見直
しと活用、高浜市で取り組まれてきた教育改革の経緯や教育基本構想、マネジメントについての理解を
促すマネジメント研修を企画・実施、が必要であることを課題とした。
③学校評価のあり方については、評価シート作成を教頭だけの仕事にせず四役をはじめ各分掌主任、
さらには教職員全体で協議しながら作成すること、年度当初に作成された評価シートを長期休業中に教
職員の協議を経て修正できるよう工夫すること、予算の計画的執行とリンクさせながら評価シートを活
用すること、「入り込み指導」の際に教務主任や校務主任、事務職員へのヒアリングができるよう時間
設定を工夫すること、少なくとも学校関係者評価委員会(学校評議員会)には四役はもとより事務職員
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も同席すること、「入り込み指導」の内容や第三者評価でのヒアリング結果などを全教職員に適切にフ
ィードバックされていく仕組みの確立、を求めた。
④大規模校のマネジメント・モデルについては、抜本的な解決は今後の研究課題ではあるが、各校に
は学校規模に応じて四役の役割分担のあり方や校務分掌の工夫、教育委員会には主幹教諭の配置の検討
を行うことを求めた。
⑤長期化する勤務時間については、個々の教職員の自覚的な健康管理や節度ある行動を促すとともに、
勤務時間中にできるだけ処理できるよう教職員の空き時間確保、そのため各校には、中学校における部
活動の位置づけの再検討による部活動時間の見直し、教育委員会には、スクールソーシャルワーカー等
の配置のための予算確保や少人数指導の効果検証の上で、スクールソーシャルワーカー等の配置、少人
数指導要員の専科教員等への転用を検討することを求めた。併せて、社会通念から、勤務中の服装や授
業に相応しい服装を徹底すること、また少なくとも四役は名刺を持つことを常態することを求めた。
⑥その他については、優れた代替教職員の確保に向けて、サポートティーチャーやスクール・アシス
タントをその有効な候補に位置づけて計画的に配置していくこと、公開授業の参観や異校種での授業参
観を促進するために、参観時間を保障していく工夫、教室不足への対処、少人数指導やティーム・ティ
ーチングの見直しを求めた。さらに、施設・設備の老朽化や整備への細心の注意、そのための予算要望
を学校から果たしていくこと、教育委員会には、その要望に応えられるよう予算確保に向けて市長部局
への積極的な働きかけ、を求めた。
(2)昨年度成果の継承と発展
①高浜市教育基本構想との全般的な関係については、昨年度の取り組みを基盤として、今年度も学校
間連携への積極的な取り組みが各校で進められ、授業交流はいっそう積極的に進められ、生活科・総合
的な学習の時間を通じた高浜カリキュラムは、小学校間で一定の共有が果たされた。ただし、保育園・
幼稚園・小学校間の連携に比して、小学校と中学校との間の連携、とりわけ授業交流にはなお弱さがあ
るといわねばならず、各校において、授業を観に出かけられる時間の確保が課題となっていることが窺
える。また、保育園や幼稚園の場合、園長が小学校の学校評議員になる例が広がり、それによって小学
校の授業を観る機会を得て授業をみあうことの意味や意義が理解され、そのことが各園の職員にフィー
ドバックされていることもあげられる。同様に、教務主任あるいは校務主任は、校区内の小学校または
中学校で学校評議員になっており、保育園や幼稚園と同様の効果が期待できるはずであるが、うまくフ
ィードバックされていないことが考えられる。
一方、地域の事情により学校間で程度の差があるものの、避難所マニュアルに沿って地域協働的な避
難訓練の企画・実施は広がりを見せている。
ただ、高浜版指導法の開発に関わり、教育委員会教育センターグループにおける位置づけの不明確さ
もあって、各校での取り組みは未調整のところが多く見られる。昨年度の指摘事項とも重なるが、主題
研究のキーワードになっている自主性や自律性、自発性や主体性などの言葉の異同を子どもたちの実際
の姿に照らして検討すること、授業者によるどの程度のかかわりでどの程度の学びが生まれるのかが明
らかとなる構造的な見取り図を描くことを求めたい。そのためにまず、協働的な学びや意志決定学習、
あるいは関わり合いのある授業、主体的な学び、協調学習、読み聞かせや音読など、各校で様々に取り
組まれている指導の共通点や相違点を整理し、いかなる指導法がいかなる成果(児童生徒の学びの姿と
獲得する学力)を生み出すのかの整理と確認を期待したい。
②授業づくりを中心とした人材育成ついても、昨年度の取り組みを基礎によく展開できており、その
成果は教育論文の応募数にも表れている。また教職員との面談において、学校の重点目標の理解と浸透・
具体化をはかろうとする校長も増え、人材育成が重点目標の達成とリンクしてきている学校も増えてき
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ている。しかしなお、学校によっては、各論で指摘するように、なお検討の余地を残している。特に、
昨年度の指摘事項と重なるが、公開授業や研究授業だけでなく、普段の授業においても、主題研の成果
を活かそうとする努力と姿勢を期待したい。また、一部の学校ではすでに取り組まれているところであ
るが、学校の中期目標や短期目標が学年・学級経営にも一貫していくよう、先にゴール(中期目標)を
定め逆算して短期目標や具体的取り組みを定めていくという思考をいっそう徹底していくことを求め
たい。それによって、学校全体の評価シートを下敷きにした各分掌評価シートや学年・学級経営評価シ
ートが確立・汎化していくことを期待したい。
③児童生徒の自治能力の育成については、昨年度に引き続きよく取り組まれている。通学路で挨拶を
してくれる児童生徒も増えてきている。こうした成果を基盤に、話形にしたがった発言様式からステッ
プアップし、自分の考えを自分なりに表現できる指導や考えの深まりを促す指導に重点が置かれること
を期待したい。また、部活動についても、時間的なメリハリをつけ指導者も生徒も余裕のある生活を送
れるよう節度を求めたい。
④ミドル・リーダーの育成についても、昨年度来の取り組みが継続し、中心的な役割を担う教職員が
育ってきている。ただし、そうした教職員が一人で課題を抱え込んでいる例も見られることから、相談
体制や分担関係が円滑に組まれることを期待したい。そのためにも、昨年度の指摘事項である、高浜市
で取り組まれてきた教育改革の経緯や教育基本構想、マネジメントについての理解を促すマネジメント
研修の実現を求めたい。
なお、大規模校のマネジメント・モデルについては、抜本的な解決が今後の課題となっている点は変
わらないが、各校とも、一定の工夫がなされてきている。ぜひ、教育委員会には主幹教諭の配置を強く
要請するよう求めたい。また、来年度から、学校事務の共同実施が学校間連携の推進を目的に実施され、
学校事務の高度化をめざしていくことになる。この点からも、各校における事務職員の役割や分担事項
を、四役との関係調整の上、明確になるとともに、市内で共通した校内事務分掌と共同事務分掌を確立
するよう求めたい。
(3)継続する課題
以上のように、発展的に取り組まれてきたものがある一方で、昨年度の指摘事項が解決できていない
点もいくつか残っている。
学校評価のあり方については、上述した課題を指摘した。しかし、なお教頭だけが評価シート作成を
担い、校長や他の四役との協議の痕跡が見られない学校も見受けられる。多くの学校が、自己評価の結
果を裏付ける根拠資料を整えるようになってきたにも関わらず、学校によっては断片的なまとめ方しか
できておらず、その評価は印象評価といわざるをえないものもある。特に、昨年度、評価シートに予算
執行過程が反映されるように求めたが、予算計上に留まっていたり、それさえも断片的であったりする
学校もある。改めて、学校評価シート作成に際しては、年度当初に、四役をはじめ各分掌主任、さらに
は教職員全体で協議しながら作成すること、さらに、作成された評価シートを長期休業中に教職員の協
議を経て修正できるよう工夫すること、予算の計画的執行とリンクさせながら評価シートを活用するこ
と、「入り込み指導」の際に教務主任や校務主任、事務職員へのヒアリングができるよう時間設定を工
夫すること、少なくとも学校関係者評価委員会には四役はもとより事務職員も同席し、各担当の事項に
ついては、自ら説明に努めること、「入り込み指導」の内容や第三者評価でのヒアリング結果などを全
教職員に適切にフィードバックされていく仕組みを確立すること、を求めたい。
服務事項に関しては、特に長期化する勤務時間の削減を求め、学校においても工夫がなされていると
ころであるが、なお目立った効果が窺われない。この点については、昨年度も指摘したところであるが、
個々の教職員の自覚的な健康管理や節度ある行動が基本となる。ただ、特別な支援を要する児童生徒の
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増加や保護者対応に関わって、教育委員会には、スクールソーシャルワーカー等の配置のための予算確
保や少人数指導の効果検証の上で、スクールソーシャルワーカー等の配置、少人数指導要員の専科教員
等への転用を検討することを重ねて求めたい。なお、昨年度来、勤務中の服装や授業に相応しい服装を
徹底することを求めてきたが、なお学校によって、また個人によって、自制的な対応が求められるとこ
ろである。学校でのパソコンの私的使用など言語道断であり、公務員としての自覚を促す責任が管理職
にはあろう。なお、四役が名刺を持つことが当たり前になったのは好ましい。そのことが他の職員にも
広がっていくことを期待したい。
優れた代替教職員の確保に向けて、サポートティーチャーやスクール・アシスタントをその有効な候
補に位置づけて計画的に配置していくこと、教室不足への対処、少人数指導やティーム・ティーチング
の見直し、施設・設備の老朽化や整備への細心の注意については、検討が進んでいるところであるが、
なお引き続き配慮を求めたい。
2.今年度の第三者評価の視点
以上の振り返りを踏まえ、今年度の評価視点を以下の三点に定めた。
(1)教育基本構想推進への貢献
高浜市の教育基本構想が第二ステージに入り、各校においても構想を具体化していく時期を迎えてい
る。そこで、各校においてどのような取り組みがなされ、いかなる成果や課題があるのか。各校の特徴
的な取り組みについて評価する。
(2)目標の系統性と評価指標・根拠(エビデンス)のわかりやすさ
各校ともに学校評価シートの様式が確立されてきた。その様式は、学校間でフレーム取りの若干の異
なりがあるが、基本的には目標管理の視点から、中期目標→短期(年度)目標→具体的取組→予想され
る変化・反応→評価指標→評価→更新策という流れで、系統的に取組を位置づけ、評価の適切性を根拠
(エビデンス)をもって明らかにするものである。では、実際には、各校において、目標の系統性がど
の程度確立され、重点的な各取組に対して適切な評価指標と妥当な根拠(エビデンス)が示されている
のかについて評価する。
(3)主題研究の取り組みと人材育成の適切さ
学校づくりの主柱は、授業開発である。これによって、個々の教職員の指導法や児童生徒・教材への
理解が深まり、教職員集団としても協働性を高め、課題に応じた学校全体の組織力・教育力の強化が果
たせる。併せて、教育基本構想が掲げる高浜版指導法の開発に連なっていく。では、どのように取り組
まれ、どのような成果が生み出されているのかについて評価する。
3.評価結果から窺える問題の所在
以上の評価視点に沿った各校ごとの評価結果は、各論においてまとめた。ここでは、総論として、各
校にかなり共通して窺える問題点(更なる工夫や配慮が必要な事項)や今後の学校評価のあり方につい
て提起する。
(1)評価指標と評価基準について
評価指標は、重点的な目標の達成に向けて学校が何に取り組むかの具体的な手立てに対して、最終的
にそれが達成できたかどうかを自己評価するための「目安」である。それは、取組指標と成果指標に分
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けられる。取組指標は、いつまでにどのようなことをするのかを示すものであり、成果指標は、昨年度
までの(あるいは年度初めの)実態や現状と比較してどのように変わることを目指すのかを示すものであ
る。したがって、各校が掲げている評価指標が、次の一手を打つ根拠を引き出す情報として機能してい
るかどうかを見直す必要がある。PDCA サイクルを回すうえで重要なのは、中期目標を達成していくた
めの次なる取り組みの根拠(なぜその取り組みをしなければならないのか、何を達成しようとしてその
取り組みをするのか)であり、それが明らかでないならば、思いつきや経験による主観的な評価といわ
ねばならない。
ただし、取り組みが行われたことと成果との因果関係は実証しにくいものであるため、たとえば、
「こ
のような取り組みをしたので、学力がこれだけ向上した」といった単純な言い方はできないが、学力を
示す指標となる「点数」だけを評価指標とするのでは、実際の「点数」が次の取り組みの参考となる情
報とはならない。まずは取組指標を見直してその達成状況が把握できるようなものを工夫するとともに、
「新たな指標の開発」をするための分掌を新設することや、個々の教職員が意識して「様々な事例」(成
功事例、失敗事例など具体的な事実)を収集して、自己評価や学校関係者評価の際に説得力のある説明
ができるようにする情報管理の仕組みが求められる。なお、多くの学校で用いられているアンケート結
果は、現状を表す指標(たいていは実行度)としては機能しているが、次の一手を考える直接的な情報
ではないことが多く、取り組みの有効性や妥当性、目標達成への影響度合いが判断できるアンケート項
目の検討が必要である。
一方、評価基準は、評価規準で示された姿・状況の程度を明示するための指標を、数値(1・2・3)
や記号(A・B・C)、文章表記で示したものである。そのため、ただ数値や記号を記載しただけでは、
次の一手を考える材料にならない。ただ、よかったか悪かったかの判断が示されているだけである。し
たがって、評価基準には、各重点的な取り組みに対して評価観点を定め、その評価観点に沿って達成さ
れた姿・状況を具体的に文章表記した評価規準が必要となる。
たとえば、
「学校改善」というのに対して目標がいくつか決められる。
「児童生徒の学力を高める」
「教
職員の情報共有を増やす」
「教職員の指導力を高める」等々で、さらに「児童生徒の学力を高める」は「語
彙数を増やす」
「計算力を高める」
「判断力を高める」のように細分化し、いくつもの評価観点を作り、
これらの評価観点を具体的に文章化したものが評価規準となる。これに対し、それぞれの「規準」をど
れだけ達成したかを測るのが評価基準であり、
「分数の計算力を高める」というものさし(規準)に対し、
それが5分間に50題か、100題か、という「目盛り」を与えるのが「基準」である。
各校ごとについては、各論で必要に応じて指摘しているので、検討を求めたい。
(2)学校関係者評価の流れ
来年度から、学校評議員会を学校関係者評価委員会に代用してきたことを改め、文部科学省の「学校
評価ガイドライン【平成22年改訂】
」に沿ったものにすることになっている。この変更に伴って、学校関
係者評価の進め方や委員会の開き方が問題となる。
学校評議員会の場合は、おおよそ、①教頭が進行役あるいは主たる説明役を担い、②評議員から日頃
の感想や見解も含めた意見を広く聴き、③メモ程度の記録を残して、④学校だよりなどで概要を保護者
等に広報する、という形式であった。
学校関係者評価委員会では、①進行役は委員長が務め、説明は領域ごとに主担当の教職員(管理職を
含む)が行い、②委員が、日頃の観察やインタビュー、授業参観等での情報を元に、当日の学校の自己
評価(中間評価あるいは総括評価)の結果説明を聴いて、学校の自己評価の適切さについての意見を述
べる(納得できるかどうかを判断する)
、というかたちになり、③最終的に、委員長が評価報告書をとり
まとめ、④その報告書を、教育委員会には必ず自己評価報告書と併せて提出することになる。
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したがって、毎回の学校関係者評価委員会では、どういう流れで会の進行を行い、誰がどの領域を説
明し、誰が議事録をとるのかが問題となる。特に議事録は、評価報告書をとりまとめる際に重要な資料
となるため、議事録のとり方や、学校関係者評価報告書の様式をあらかじめ決めておく必要がある。
少なくとも、今年度も、いくつかの学校で見られた、評議員から一方的な自説が長々と述べられたり、
教頭だけがもっぱら説明する、あるいは予算執行に関する説明がなされなかったりするといった進行の
あり方は改められる必要がある。また、委員長選任についても、その役割の大きさからして、適任者が
選ばれるよう配慮が必要である。
いずれにせよ、来年度は、上記の流れが円滑に進むよう、実際の開かれ方を元に問題の整理と解決策
の検討を行いながら、無理のないあり方を検討することにしたい。
なお、学校評議員会は学校関係者評価委員会となるが、学校評議員は継続して置かれるので、必要に
応じて、個別に事案を諮っていくことになる。その有効な活用のあり方についても検討していくことに
したい。
(3)学校評価システムと幼稚園・保育園の関係
教育基本構想の具体化が進んでいる異校種間連携事業の展開からして、保幼小連携のあり方も評価対
象として重要な位置を占めてきている。それに伴って、保育園や幼稚園の動きを学校評価システムにい
かに位置づけるかが問題となる。当面は、各小学校の学校関係者評価委員に保育園・幼稚園関係者を位
置づけ、小学校の学校関係者評価委員会において、必要に応じて資料提供も受けながら情報交流を図る
ことから始めることにしたい。
(4)スクール・アシスタントの位置づけ
特別な支援を必要とする児童生徒が少なくないことは、入り込み指導においても確認している。した
がって、スクール・アシスタントの需要が高いことはよく理解できる。ただ、それだけに特別支援学級
よりも、通常学級へのサポートがより必要であるように受け止められる。スクール・アシスタントの効
果的な配置について、よりいっそうの配慮と工夫を期待したい。また、その活用についても評価対象に
位置づけていくことにする。
(5)異動や交代による引き継ぎの円滑化
来年度は大幅な異動が見込まれる。また、それに伴って、校務分掌も大きな組み替えが行われること
になると思われる。学校評価の流れはもとより、授業や生徒指導、その他の教務事項についても、これ
までの効果的な取り組みや段取りが後継者に適切に伝わり、円滑に引き継がれていくよう配慮を期待し
たい。
(6)開かれたコミュニケーション関係の構築
学校評価シートが教頭だけで作成されていることの問題を上述したが、それは四役はもとより各分掌
等のリーダーとの協議が不充分であることから生じていると思料される。また、学校によっては地域と
の関わりが一方的である例が見られる。これも、不充分なコミュニケーションの結果である。学校評価
は、関係する人々による本音の論議や協議があってこそ、充実したものとなるし組織的な評価となる。
事務処理上のトラブルも、コミュニケーションがうまく図られていないことに起因する。
様々な問題や突発的な問題を抱え、充分な時間が得られていない状況があることは承知しているが、
日常的な関わりにおいて、積極的にコミュニケーションが促進されていくよう期待したい。
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