Good News No.51 ∼ ちょっと良い話・面白いこと ∼ 11月24日( 月) 曇り 古来、日本人は土地本来の木でできた森を神と崇め慈しんできた。「 鎮守の森」 だ。「 鎮守の森」 は、ク ス、ツバキ、カシ、シイなど古来日本にあった照葉樹( 広葉常緑樹) の森である。鎮守の森は我々の生活 を守る防災の森としても注目されている。1995年の阪神淡路大震災で、最も被害が大きかった長田区 にある大国公園の木々は、火災の延焼をくい止め、人々の命を救うのに一役かった。関東大震災でも、 旧岩崎庭園に植わっていたたくさんの木々が炎をとめ、多くの人命が救われた。土地本来の木は、地中 深く根をはり、大きく成長し、防災にも役立つ。 餌求め高速滑走オナガガモ 11月25日( 火) 雨 水の都ベネチアは、毎年多くの観光客で賑わう一方で、日々大量に発生するゴミの処理問題に悩まさ れている。市では5年前から女性化学者カティア・ バスティオリさんと共にゴミ処理問題の研究を行って きた。カティアさんは、80年代、100%自然に戻り燃やしても有害物質を出さない生分解性のプラスチ ック、バイオプラスチックの技術開発に成功した。これを使って、食器や農業用シート、エコタイヤ、そし て最大のヒット商品であるレジ袋など、いろいろな製品を生み出した。91年に仲間たちと会社を設立、 開発から営業活動まですべて自分たちで行っている。市では、予算を投じ、バイオプラスチックのゴミ袋 を全市民に配って、生ゴミを分別回収することにした。生ゴミから作った堆肥は販売する予定だ。 真黄色に染まりて気づく木のあるを 11月26( 水) 快晴 杉や檜の人工林が広がる三重県海山町。速水亨さんは、この町で、林業と環境の両立を目指してい る。江戸時代から代々檜の森を育ててきた速水家の9代目。2000年、速水さんの森は、国際的な環境 NGO 森林管理協議会( FCS) の56項目の審査を終え、日本で初めて認証を受けた。間伐や枝打ち、林 道、排水システムの整備など、長年きちんと森を管理してきたことが認められた。動植物も周りの自然林 をはるかに上回る326種類が確認された。速水さんは、ずっと先の世代が結果を享受できるよう、未来 へ森を繋げていこうとしている。 武蔵野の雑木紅葉や車窓より 11月27日( 木) 曇り 大根は胃を丈夫にし、消化を促進し、咳を止め、痰を出しやすくするほか、利尿の働きもある。中国で は糖尿病で口渇があるときに、おろし汁を飲む方法も利用されている。ただし生で食べるとその性は 「 寒」 、煮て食べると「 平」 となるので注意が必要。胃下垂、胃拡張など胃が冷えやすい人の場合は生で は食べず、胃に熱を持っていて口内炎を起こしているような場合は生で食べる。ただし胃が冷えやすい 人でも肉類のように体を温める作用の強いものと一緒に生の大根を食べることはさしつかえない。 うららかな陽差しに透ける冬紅葉 11月28日( 金) 曇り カナダ国境に近い米メーン州のベノグスコット川。この川にサケを呼び戻そうと、環境保護団体、電力 会社、連邦・ 州政府、サケ漁を生業にしていた先住民の5者による4年ごしの話し合いの結果、2基の発 電用ダムを撤去する合意が得られた。ダムの撤去で電力会社は1.8万キロワットの発電能力を失い、 州・ 連邦政府、環境団体、先住民族が2010年までにダムを2500万ドルで買い取ることで、5者が痛み を分け合うことが基本。具体的には電力会社は同じ水系の他の発電所を増強し、失う電力の90%を補 う。州と連邦政府は所有地を払い下げて支払金の主な財源とする。不足分は環境団体と先住民が募金 活動でまかなう。一方先住民は発電所増強に伴う貯水面積の増加で約4ヘクタールの保留地を失う。環 境団体は電力会社が他の川の休眠中の発電所を再稼働させる計画に対する差し止め訴訟をとりさげる。 関係者は、この「 5方1両損」 の合意を創造的な妥協と胸をはっている。 崖上の寺の鐘鳴る秋深し 11月29日( 土) 雨 高齢者施設を舞台に老人たちの恋愛模様が描かれる、渡辺淳一氏の小説「 エ・ アロール」 が25万部 のベストセラーになり、話題になっている。「 整形外科には廃用性萎縮という用語がある。骨折してギブ スを付けていると筋力などが急速に落ちるように、使わなければ衰えることを言う。精神も同じ。世間の 目を気にして自ら老け込むのでなく、恋愛でもボランティアの仕事でも積極的にかかわっていくべきだ」 と渡辺氏は言う。 楓紅葉添えし弁当「ままごとや」 11月30日(日) 雨 大気汚染物質の排出が少ない新燃料として期待されているジメチルエーテル(DME)の製造実証プラン トが北海道白糠町に完成した。DMEは、軽油と似た性質だが、硫黄や窒素を含まず、ススもほとんど出 ない。クリーンエネルギーのエースとされる水素は、まだ実用化までの課題が多く、DME が繋ぎ役とし て注目されている。フロンの代替品として化粧品や塗料などのスプレー噴射剤にもすでに使われている が、圧縮すると自己着火しやすいなど軽油と似た特徴を生かし、ディーゼルエンジンなどの代替燃料と して期待できる。 渓流沿い紅葉の下の柿旨し Good News No.52 ∼ ちょっと良い話・面白いこと ∼ 12月1日( 月) 雨 クリスティーン・ ブライデンさんは8年前46歳の時にアルツハイマー病と診断された。仕事を辞め、不 安の中、アルツハイマー病患者からみた世界を執筆。5年前に出版。そのころポールさんと出会い結婚。 現在、国際痴呆症支援ネットワークの理事等を務め、痴呆症の患者の声を代弁している。アルツハイマ ー患者は、記憶だけでなく、時間や場所の観念や言葉の障害がある。聴覚や視覚にも変化が起き、刺 激的な音や色、光に耐えられなくなることがある。集中しなければ何もできなくなり、不安の中で暮らし ている。このような異常な環境下で異常な反応を示すのは正常なことだし、すべてを失っても愛を感じる ことはできる、痴呆症の人が尊厳をもって生きられるようにしてほしいと、クリスティーヌさんは訴える。 著書「 私は誰になっていくの?」 ( かもがわ出版) 年月の加速するごと十二月 12月2日( 火) 快晴 昨年71歳で急逝したグラフィックデザイナー田中一光さんは、生涯5000点に及ぶデザインを残し、 常に日本のグラフィックデザイン界の中心に位置してきた。奈良に生まれ京都で学び、琳派のデザイン から大きな影響を受け、日本独自の美的感覚をシンプルな形と明快な色彩でモダンに表現し、国内のみ ならず海外からも高く評価された。ポスターやブックデザイン、ロゴマーク、包装紙、パッケージデザイン など、デザインのあらゆる分野で活躍。過剰デザインに対抗し、シンプルな商品を生み出した「 無印良 品」 のアートディレクターも務めた。晩年は茶の湯に傾倒し、「 茶とは本来質素が豪華に引け目感じるこ となく、貧しさの中に秘めた知性なり感性が誇りになりうる別の価値体系」 と述べ、少ない資源で豊かに 暮らす茶の湯の精神を世界に発信しようとした。 一光のポスターのような日本晴れ 12月3( 水) 曇り 米誌Smi t honi an( 10月号) によれば、アフリカのガボンは野生生物の宝庫だ。2001年来の調査で、 カエルだけで新たに73の新種が確認された。赤道直下のガボンの南西部は、ガボンコンプレックスと 呼ばれる地域で、熱帯雨林が海岸線まで到達し、象やチンパンジー、野牛が砂浜を歩き回り、カバが海 で泳いでいることもある。こんな自然が残っているのは、ガボンの政情が安定し、経済的に恵まれてい るからだ。イギリス系の石油会社シェル・ ガボンが40年以上も前から石油を採掘しており、その利権の 見返りに環境保護を支援し、密猟者などの侵入を防いでいる。 小春日や飼い主の顔犬に似る 12月4日( 木) 晴れ 米国ミネソタ州リーチレイク居住地で暮らす先住民アニシナベ族のデニス・ バンクスさんは、欲望を満 たすことだけを考えがちなアメリカの食のあり方に疑問を持ち続けてきた。アニシナベ族は何千年も前 から、食べ物は大地からの恵みとして常に感謝を忘れずに暮らしてきた。糖楓の樹液をとる時にも、木 に貴重なたばこを捧げ、神に許しを請う。バンクスさんは、地元でとれた自然食品をインターネットなどを 通じて販売することにより、食のあり方について問題提起している。 白壁に銀杏紅葉の照り返し 12月5日( 金) 曇り・ 時雨 2003年8月14日のニューヨーク大停電の日、意外なことに、多くのニューヨーカーたちは、真暗で暑 い夜を楽しんだそうだ。マジソンアベニューの高級ブティックでハンサムな男性店員にトイレを貸しても らい、水を飲ませてもらって、元気になって家路を歩いた妊婦。道路にバーベキュー道具を出して、夜通 しパーティーを楽しんだ人々。キャンドルライトの中で、顔をつきあわせて、多くのことを語り合った恋人 たち。アイスクリームや寿司やは、無料で食べ物を放出。ニューヨークは安全だった。 残る紅葉少なく なりて時雨かな 12月6日( 土) 曇り 冬の鍋物に欠かせない白菜は、よく煮て食べると消化がよく、体の中の余分な熱を冷まし、大小の便 の通りをよくする。口が渇いて食欲不振のとき、咳があって痰が出るとき、胸がすっきりしないときにも効 く。白菜の生汁を絞ったものを飲むと二日酔いでのどが渇くときに有効で、軽いやけどにはこれを塗ると よい。 裏庭に埋めし葱堀り夕支度 12月7日(日) 晴れ 塩化ビニルを焼却炉で普通に燃やすとダイオキシンを生じ、塩化水素を発生し炉を傷める。だが電子 レンジで加熱すると、塩素が効率的に抜けることが分かった。塩ビは他のプラスチックより格段に熱くな るからだ。他のプラスッチクと混在していても有効なため、厄介な分別をしないで、廃プラスチックから塩 素を抜き、これを製鉄所で使うコークスや燃料の石油、石炭の代わりに使える。 ストーブの前ですする朝のコーヒー Good News No.53 ∼ ちょっと良い話・面白いこと ∼ 12月8日( 月) 曇り 2003年7月、ソウルで、コンクリートに覆われた清渓川( チョンゲチョン) を復元するという、大胆な工 事が始まった。王宮を巡り、市民の暮らしに彩りを添えていたチョンゲチョンは、70年代後半にすっかり 覆われ、その上に高架道路が建設された。川の復元は、1日10万台の車が通行する幹線道路を壊して 行われる。このプロジェクトは、イ・ ミン新市長が選挙の公約に挙げたもので、都市の経済性より環境を 優先することを意味する。緑と水を回復すると同時に、石橋など文化的遺跡、伝統行事など歴史や文化 も復元し、ソウルのアイデンティティの回復をはかる。 かいつぶり小型高速潜水艇 12月9日( 火) 晴れ 咀嚼は、単に食べ物を呑み込みやすくするだけでなく、全身の健康ともかかわっている。咀嚼によって 分泌される唾液の消化酵素は、栄養摂取を容易にし、抗菌作用により口の中を清潔に保つ。噛むとき口 は無意識にかなり精緻な働きをしている。右側、左側を交互に使って食べ物を砕き、すりつぶす間に唾 液が混ぜ合わされ、舌が食道に送り込む。あごは、やや横にずれながら元の位置に戻る運動を繰り返 す。こうしたこまやかな働きは、脳の働きを活性化する。左右偏りなく噛むことも大切だ。 年の瀬の陽差しおだやか墓磨く 12月10( 水) 晴れ 枝廣淳子さんは通訳者。レスター・ ブラウン氏へのボランティアでのサポートをきっかけに環境問 題に精通、最近は「 環境なら枝廣」 と指名されることが多くなり、日本の各地から、そして世界から届 くワクワクする情報や取り組みを「 ひとりじめするのはもったいない!」 と、1999年11月より、環境 メールニュースを配信し始めた。1つ書けば、2∼3つ書きたいことが増え、かなりの頻度で配信。人 や情報や取り組みのネットワークがどんどん広がっている。 枝廣淳子HP http://www.ne.jp/asahi/home/enviro/ 境内に人影少なし冬日和 12月11日( 木) 曇り後雨 5500∼4000年前三内丸山( 青森市) の縄文人は、八甲田山系から続くゆるやかな台地に定住集落 を設け、狩猟・ 採集の傍ら栗の林を栽培していた。新潟糸魚川産の翡翠が見つかり、何百キロも離れた 地域とも交易していたことも分かった。20メートル以上と推定される木の柱を6本持つ高楼がそびえて いた集落は、壮大なものだったにちがいない。 しとしとと物皆眠れと冬の雨 12月12日( 金) 雨 知っているといつか役に立つ車椅子の調節の仕方。膝はシートから3cmほど前に出るのが望ましい。 足置きに足を置いた状態で膝、足首は直角になるよう足置きの高さを調節。幅は体の横に手のひらが 差し込めるくらい。背もたれは背中の丸みに合わせる。空気布団を敷いて、空気を少し抜いて体の凹凸 にあわせると、体が前にずれるのがさらに防げる。体がずれてしまったときは、被介護者の体を少し前 に倒し、腕を組ませ、介護者の腕を被介護者の背後から脇の下から差し込み、被介護者の腕の上で組 み、てこの原理を利用して手前にひくと、あまり力を入れず被介護者の体を動かすことができる。しかし、 車椅子に座っているのは3時間が限度。ときどきベッドに移動し、姿勢を変える必要がある。 足早に道行く 人の息白く 12月13日( 土) 晴れ パセリは中国でははしかを直す食べ物として有名。はしかで発熱したとき、判断を誤って解熱剤を与え たり、風邪や寒さに当てると発疹が遅れて治療が困難になる場合がある。このような場合パセリは発汗 させ、発疹を促し、はしかを早く直す。魚や肉の毒を消す作用もあり、消化・ 吸収不良を直す働きもある ので、添え野菜のパセリは残さず食べた方がよい。食欲のないときには、生のパセリの芳香のある揮 発性油には食欲を出す効果がある。 ひたひたと冷気寄せ来る冬の夜 12月14日(日) 晴れ ミカンほどの大きさで重さ165グラムの小型パソコンが開発された。パソコン本体のみだが、パソコン の画面やキーボード、マウスをつなげば、文書作成やインターネットの閲覧など一通りのことができる。 OS( 基本ソフト) をはじめ、パソコンを制御する半導体CPU( 中央演算処理装置) などすべてが純国産。 1辺5センチの立方体に収め、来春発売予定。価格は20万円を割る見込み。 短日やパソコン相手に日が暮れる Good News No.54 ∼ ちょっと良い話・面白いこと ∼ 12月15日( 月) 晴れ 一年の中でもっとも夜の長い冬至の12月22日夜8時から10時、電気を消してスローな夜を過ごそう という呼びかけがある。半年前の夏至の夜、環境NGO の呼びかで行われた「 100 万人のキャンドルナイ ト」 には、全国で500万人( 環境省の推定) が参加し、東京タワーや全国のランドマークの照明も消えた。 「 100万人のキャンドルナイト」 には公式イベントはない。「 2時間電気を消す」 というコンセプトだけを共有 し、あとはそれぞれが自由に好きなことをする。たとえば自分で好きなキャンドルを用意して家族や友達 と過ごしたり、キャンドルナイトのイベントをやっているカフェに行ったり。スローな時間の中で、様々な 考えをもつ人がキャンドルのリレーでつながって、新しい文化を創造しようという試みである。詳しくは、 http://www.candle-night.org/index.html オリオンの頭上にきらめく 寒夜かな 12月16日( 火) 曇り後晴れ 西本智美さん( 33歳) は、ロシア・ ボリショイ交響楽団ミレニウムの首席指揮者。母親が自宅で音楽を 教えていて、小さいときから音楽会に連れていってもらった。指揮者に興味を持ち、大学は作曲科を選 択。在学中から副指揮者のアルバイトをし、サンクトペテルブルクの音楽院に留学。98年京都交響楽団 を指揮して日本デビュー。99年、期待される若手音楽家に贈られる「 出光音楽賞」 を受賞。さらにサンク トペテルブルク・ フィルの室内管弦楽団を指揮した演奏会が絶賛され、「 ロシア聖スタニスラフ勲章」 を受 賞。2002年より現職。日本とロシアを往復しながら、ハードスケジュールをこなす。ミレニウムは設立 10年足らずの若いオーケストラだが、メンバーは皆すばらしい腕の演奏家で、先に光が見える。「 先に まだまだ階段があっても、光が見えれば昇ることができると思う」 と言う。 シクラメン華やかな顔うつむかせ 12月17( 水) 曇り 市川市では、市の職員の採用試験の受験資格を、これまでの「 28歳まで高卒以上」 から「 59歳まで 中卒以上」 に大幅に緩和したところ、30人の募集に対して5350人が受験。22歳から41歳までの38 人が合格した。29歳以上は半数。市川市では、「 優秀な即戦力をそろえることができた。幅広い社会経 験を生かして行政サービスを充実させたい」 と言っている。 夕暮れの池に浮かぶ影枯尾花 12月18日( 木) 快晴 2001年グッドデザイン賞を受賞した” e-chair” は、佐々木敏光さんが自分の子供たちのためにデザイ ンした椅子。座面は4段階、足をのせる部分は3段階に調節でき、一人座りができるようになった子供か ら大人まで座ることができる。ベルトとストッパーが着脱可能で、外した状態で前に倒すと木馬にもなる。 素材はメープル材。色はナチュラル。 向かい家の陰に入るまで日向ぼこ 12月19日( 金) 晴れ アマゾン河口のベレーン郊外には「 アマゾン群馬の森」 がある。400ヘクタールの原生林と140ヘクタ ールの再生林から成るこの森は、かつて群馬県から移住した日系人と群馬県の人々が、森林保護活動 のため買い取ったもの。92年にリオデジャネイロで行われた国連環境開発会議( 地球サミット) により熱 帯雨林の重要性に気づき、日本人移住者を温かく受け入れてくれた国ブラジルと生活の基盤を作ってく れたアマゾンに恩返しの意味を含めて、県人会の一人がこのプロジェクトを思いついた。県人会でまか ないきれない資金は、群馬県内の企業や学校の生徒たちからの寄付でまかなうことができた。98年に 「 森を売らない、切らない、貸さない」 の条件で、土地を購入、環境教育拠点としての設備も整え、来年か ら環境教育プロジェクトが始まる。 冬晴れや遙か秩父の山並み見ゆ 12月20日( 土) 晴れ バーモント州バール市の「 ファーマーズ・ ダイナー」 食堂は、一見どこにでもありそうな食堂だが、ちょ っと長居すれば、並みの食堂でないということに気づく。ミキサーと牛乳入れの中の牛乳は、有機の認 証を受けている。オムレツに使う卵も地元産。マフィンやパイの材料のベリー類や小麦粉も、地元のベリ ー畑や小麦畑から届いた。フレンチフライは食堂でじゃがいもを切って作り、ハンバーガー用の肉も牛 肉も地元の農家が育てた肉をここで挽肉にする。メニューのカバーには食材を提供する農家の人達の 写真がある。ビニール製のランチョンマットは、現代の食品流通制度のあり方に対して過激な意見を持 った人達の人名録といった感じ。“ Think locally. Act neignborly.” という店主のマーフィーさんの言葉もあ る。マーフィーさんは食材購入予算の 70%を食堂から半径80 キロ以内で栽培された食品の仕入れに充 てており、今後この割合をさらに高めようとしている。大部分の食堂がシスコ社のような巨大企業から食 材を調達している中で、この試みはちょっとした革命なのだ。 お揃いのフリースで散歩老夫婦 12月21日(日) 晴れ これまで捨てられていたサケの頭が活用されている。フカヒレの軟骨やサケの頭の部分に含まれる ネバネバした物質には、糖質の一種のコンドロイチン硫酸が含まれている。この物質は私たちの体に多 量に存在している物質で、あらゆる組織の働きを円滑に進める「 潤滑油」 として働いているが、加齢と共 に製造能力が低下し、老化現象が起こる。コンドロイチンを摂取すれば老化防止になるし、腰痛などの 間接の炎症を抑える働きもある。サケの軟骨の問題は臭いだったが、これを除く技術が開発された。粉 末が製品化され、化粧品や菓子に使われている。 冬木立透けて景色の広がりぬ Good News No.55 ∼ ちょっと良い話・面白いこと ∼ 12月22日( 月) 冬至 晴れ アフガニスタンで医療事業、水源確保事業を続けるペシャワール会の用水路事業が正念場を迎えて いる。取水源のクナール川は、河川幅が1km以上の大河だが、雪の連山から解け出す水の季節変動 が激しく、夏と冬の水位差が3.5メートル。洪水のような雪解け水が押し寄せる前に取水口の工事を仕 上げないと、工期を1年延ばすことになる。この工事は十数万人の干魃難民が帰農できるか否かの鍵。 ここで採用されている工法は、現地の人々が独力でも維持できる伝統的なもの。取水口とトンネルを除 けば、水路はすべて石と土、植林で工事する。「 平和とは消極的なものではない。戦争以上に忍耐と努 力、強さが要る」 とペシャワール会の中村哲医師は言う。 ペシャワール会 HP: http://www1m.mesh.ne.jp/~peshawar/ キャンドルの光温か冬至の夜 12月23日( 火) 天皇誕生日 晴れ 日本I BMの研究所で働く浅川智恵子さんは、ネット上の文字情報を読み上げる「 ホームページ・ リーダ ー」 の開発者。97年に日本で発売。英語をはじめ、11カ国版が作られた大ヒット商品。このソフトのおか げで視聴覚障害を抱える人にもインターネット情報が簡単に手に入るようになった。自身も視覚障害の ある浅川さんは、「 自分の障害を最大限に生かして研究を進めるのが使命」 と考え、ハンディキャップを 強みに変え、I T業界で働く女性を支援する米国の団体WI TI の「 殿堂」 入りを贈られた。 青き光まとい華やぐ冬ケヤキ 12月24( 水) クリスマスイブ 晴れ 英国版 Vogue によると、ベルリンは今ヨーロッパで最高にアートな都市。1989年の東西ドイツ統一後、 連邦政府が莫大な開発資金を注ぎ込んだ成果でもあるが、「 ベルリンの壁」 がなくなり、近代ベルリンの 豊かな歴史が息を吹き返したとも言える。もともと20世紀のベルリンは西欧文化の一つの中心で、 1920年代にはワイマール共和国による「 民主主義の実験」 があり、そこからバウハウスのモダニズム が生まれ、ナチスの暗い時代を予感する中で頽廃的なキャバレー文化が生まれた。ナチスと東西冷戦 の時代には封印されていた混沌のエネルギーが、今解放された。リーバイスの高級ラインを担当する マネージャーに言わせれば、「 浮ついたところがなく、純粋にクリエイティブ」 なのが、今のベルリン。 どの顔も聖夜樹に見とれ良き世かな 12月25日( 木) クリスマス 晴れ 日経ウーマンのウーマン・ オブ・ ザ・ イヤーの第一位に選ばれたのは、唐木幸子さん。「 遺伝子解析用 DNAコンピュータ」 の開発チームを率いたゲノム分野の研究者である。この研究は世界初の実用化につ ながるものだという。オリンパス入社後初参加した新装置を作るプロジェクトチームは、事業化しても収 益が合わないとして解散された。独りで研究を続け、上司の後押しもあり、ジョンズホプキンズ大学に留 学。その後40歳で678gの超未熟児を出産。この体験を応募してカネボウヒューマンドキュメンタリ大賞 を受賞。職場復帰に不安を抱きながらも、1年間の育児休暇をとる。しかし後で振り返ると、この期間に 本当に自分がやらなければいけないテーマを整理できた。復帰後、DNA コンピュータ開発の国家プロジ ェクトに参加。研究者としての手腕に加え、プラス評価して成果を出すよう導くリーダーとしての能力にも 定評がある。 グルジアの男声合唱響く聖夜 12月26日( 金) 晴れ 中国には昔から百合病と呼ばれる病気があった。現在のノイローゼにあたる病気で、この百合病には ユリ根がとてもよく効いた。ユリ根は、不定愁訴、不眠、ヒステリーに有効。神経衰弱や更年期の不定愁 訴には、ユリ根とハチミツをよく蒸して、就寝前に食べるとよい。もう一つの効用は、肺を潤し、咳を止め る作用。ユリ根とナシを刻んで、糖を混ぜ、蒸したものを冷えてから食べると、咳に効く。 湯豆腐や独りの食事も身について 12月27日( 土) 晴れ Environmental Defense は、1967年にニューヨークで設立された環境NGOで、会員数は30万人以上。 当初の「 対決型」 「 告発型」 から「 協働型」 にアプローチを転換し、企業に働きかけ、企業も収益が上がる ような提案をして成功を収めている。たとえば、マクドナルドに働きかけ、包装の無駄を見直す目的でプ ロジェクト・ チームを結成。環境に大きな利益をもたらす包装を実現すると同時に、マクドナルド側も大き なコスト削減を達成し、悪化した企業イメージの回復に寄与した。マクドナルドのこの成功によりファース トフード業界では簡易包装化の流れが生まれ、他の企業も追随するという動きが生まれた。 メルヘンの町に変えしは夜の雪 12月28日(日) 晴れ デンマークは、オイルショックを転機にエネルギー政策を転換し、石油危機の前2%だったエネルギー 自給率が、2001年には137%になった。国家が始めた北海油田の開発と、市民が始めた自然エネルギ ーの活用の両方によるものだ。自然エネルギーは、国内のエネルギー需要の11%をまかなっている。 風力発電、バイオガスコージェネ(発電+余熱で地域暖房)、麦わら地域暖房、燃えるゴミによるゴミ発電 など資源を実にうまく利用し、環境税、補助金により、ビジネスとして成り立つようになっている。 ミレナリオ少女の頃の我想う Good News No.56 ∼ ちょっと良い話・面白いこと ∼ 12月29日( 月) 晴れ 岸谷美穂さん( 28歳) はイラク戦争中もイラクで医療を中心とした支援を続けた。砲撃の音を聞くと、テ レビのニュースで空爆の場所を確認し、現場に駆けつけ避難民や負傷者の支援をした。支援の現場に 行きたいという思いでピース・ ウィズ・ ジャパンに飛び込んだのが2000年。東チモールで1カ月研修を 受けた後、経験豊富な先輩とクルド人自治区に入ったが、3カ月で先輩は別の紛争地に。その後は独り で自治区内の4つの事務所を渡り歩き、約100人の現地スタッフをまとめた。一方的指示は止め、現地 スタッフと話し合って方針決定するスタイルにして、スタッフから信頼が得られるようになった。今後は援 助の必要性そのものをなくす支援をしたいと、現在は紛争解決について英国の大学院で研究している。 暖かな晴天うれしや大掃除 12月30日( 火) 晴れ 神田サオリさんはボディーアートのペインター。まるで刺青のような、中近東の民族装飾のような、 「 和」 でありながらどこかオリエンタルな匂いのする世界を紡ぎ出す。その中では着物の少女や人魚、花 びら、海のあぶくなどが渾然一体となってゆらゆらと漂っている。幼少期をドバイ、イラクで過ごし、日本 的な美しさに憧れを持った。帰国して日本の学校では自己主張できないと知って萎縮したが、美大に入 り、絵を描くことで自分を表現できるようになって解放された。体のカーブが好きで、人と会話をしながら ボディーや服に描いていくというスタイルで、日本や海外の各地で手描きパフォーマンスを続けている。 早朝の畑一面霜白し 12月31( 水) 晴れ GNHとは国民総幸福量(Gross National Happiness)という概念。人口約60万人のブータンにはGNH の概念が根付いている。国民全体の生活水準は先進国に比べればかなり低いが、国民は敬虔な仏教 徒で、国王を始めとする指導者たちもしっかりとした哲学、方針をもって国を運営している。乞食やホー ムレスはほとんどおらず、発展途上国独特の悲壮感は全くない。ネパールで起きたヒマラヤの自然破壊 をブータンでも繰り返してはいけないという意識はかなり強く、森林伐採は厳しく管理されている。高山 植物や昆虫の宝庫である山々に研究で入りたいという申請は数多いが、許可が下りた例はない。日本 はブータンに「 援助」 をしているが、我々がブータンの人々から学ぶべきことも多くある。 年賀客思い浮かべて節馳作る 2004年 1月1日( 木) 晴れ 太陽系の第3の惑星地球。豊かな水と太陽に恵まれ、3000万種の生物が生きる奇跡の惑星。地球 上の生物の誕生と進化には宇宙が深く関わっているという。生命の素材となる物質は、太陽系の外側の 宇宙空間の濃密な分子雲の中で生じた可能性が強い。ここは彗星の故郷で、40億年前、この地を出発 した彗星によって地球に生命の素が伝えられ、海中で生命が誕生したと考えられる。その後生物は急激 に進化。27億年前の海ではシアノバクテリアが大発生し、光合成により酸素を大量に作り出し、陸上生 物が誕生した。10億年前初めて多細胞の生物が現れ始め、5億年前のカンブリア期には1万種に増え た。月の岩石を分析した結果天体衝突は4億年前から増えていることが分かった。これは地球上の生命 の種が増えた曲線と一致する。天体の衝突が生命の環境への柔軟性を高め、知性を高めたと考えられ る。6千万年前の天体衝突は恐竜を絶滅させたが、同時にほ乳類の大繁殖をもたらした。 確かなる時の歩みよ去年今年 1月2日( 金) 晴れ 英誌 Economist(03.12.20)は、” a Mary for all” ( 皆のマリア様) を掲げて和解と協調を促そうとしている。 マリアは神意にしたがって身ごもった。キリストを通じてでなく、「 原罪」 を犯すことなく、直接神の言葉を 聞き、無条件で従う「 智恵」 を持っていた唯一の人間。だからイスラムでもマリアは「 最も尊敬される女 性」 で、イスラムのマリア信仰はカトリックのマリア信仰に非常によく似ているという。争うために智恵を 絞る男たちと違って、争わない智恵で身ごもったマリアこそ「 信仰の違いを超えて敬愛できる対象」 と、同 誌は考える。 母の雑煮一族味わうお正月 1月3日( 土) 晴れ 神田愛さんは、2001年シーズン以来3年連続で名門サンフランシスコ49er sのチアリーダーを務め、 日本人として初めて2004年のオールスター戦にも出場することになった。NFL のオールスター戦 Pro Ball は2月8日にハワイで開かれるが、これに参加できるチアリーダーは、各チーム1名のみ。チアリー ダーにとってもPro Ball は夢の供宴なのだ。高校時代にチアリーディングの楽しさを知り、短大時代に日 本一の栄冠を獲得。社会人のXリーグに所属後、渡米。アメリカでは試合の無いときは地域のボランティ ア活動に忙しい。お金にならないが、充実した毎日だ。 水色の空に今年の幸祈る 1月4日(日) 晴れ New Scientist(03.11.29)によれば、音楽が時代や民族、言語の壁を越えて万人の心に響くのは、私た ちの生理的なリズムと関係があるという。心臓の鼓動や深呼吸のパターンは人類すべてに共通で、音 楽にはそれが反映されている。音楽は絶え間なく変化する音の連なりだが、私たちの感情( 驚き、怒り、 喜び) は本能的に変化を察知するようチューニングされている。だから人は誰でも、一定の音の変化、 つまり音楽に対して、共通のパターンで反応するらしい。 クリムトの「接吻」で始まる新暦 Good News No.57 ∼ ちょっと良い話・面白いこと ∼ 1月5日( 月) 晴れ フランス東部の小さな町ノジャンで昨年11月末「 放射性廃棄物政策――欧州的視野での国家のシン ポジウム」 が開かれ、欧州議会議員、EU官僚、反核団体代表など100人余りが地元自治体の議員と席 を並べた。放射性廃棄物の処分場建設基準に関するEU指令の採択を前にして意見を交わすため、市 民団体「 対論欧州」 が企画したものだ。対論欧州は同様の集会を年に10∼20回開催し、「 選ばれた議 員と市民が常に話し合い、協力し合う参加型民主主義」 の実現を図っている。このような努力は、国家の 枠を超えて人々の「 欧州市民」 の意識を醸成することにつながる。 初春や花瓶のひなげし咲きそろう 1月6日( 火) 晴れ 「 オートカラーアウォード2004」 ( 日本流行色協会) で、2004年に流行しそうな車の色はベージュ系 が受賞の多くを占めた。情報技術の発達などで車のハイテク化が進む一方で、車の色には「 ほっとでき る色」 を求める人々が増えているとも言えそうだ。 持ち寄りの女正月賑やかに 1月7( 水) 晴れ 小寒 哲学者の梅原猛氏は、EUにならい、東アジアに「 AU」 という共同体の創設を提唱する。EUにはキリ スト教という共通基盤があるが、アジアには共通の宗教はないので、「 稲作文化」 を共通基盤とする。小 麦文化は自然支配が強いが、稲作は水を必要とし、水と水を蓄える森を大切にし、自然を大切にする。 また稲作は労働集約的で、村の団結を必要とする。「 文化は無から創造できない。人々が作ってきた文 化や価値や原理を大切にすればするほど、革新も大胆にできる」 と同氏は言う。 なずな粥誓い新たにダイエット 1月8日( 木) 晴れ ヒデこと中田英寿さんは、半年前東ハトの執行役員に加わった。新社長が指示待ちでなく、自分で考 え、絶えず挑戦し、工夫し、リスクをとる象徴としてヒデに要請した結果だ。商品のパッケージを変えると か新商品の発売などに、メールなどで意見を述べる。「 企業はチームと同じで、監督の戦術を理解し、一 人一人がすべきことを意識すれば強くなる」 とヒデは言う。サッカー選手に経営などできる訳がないとい う人も多いが、「 問題を理解しているのに、行動しない人が日本には多い。必要なのは自分でやってみ ること」 と述べる。 厳寒の赤い大地や寒に入る 1月9日( 金) 晴れ 日本のコンビニがアジアに進出している。ファミリーマートは台湾、韓国、タイに出店。上海出店も間近。 ローソンは上海に150店余り。ミニストップは韓国とフィリピンに出店。セブンイレブンは世界中に2万5 千店余り。日本のセブンイレブンは1万超と世界最多の店舗数を誇り、近く北京に出店予定。日本のコン ビニがアジアで受けている理由の一つは、おでんやおにぎりなど和製のファーストフードがアジアで人 気を呼んでいることだ。 寒風の中をいそいそ初ジムに 1月10日( 土) 晴れ 室内でも速く乾き、臭いが残らない衣類が人気だ。「 日中の外出が多い」 「 花粉や塵の付着が気にな る」 という理由で、室内で洗濯物を干す人が増えているという背景がある。丸紅が昨春から発売している 「 部屋干しシリーズ」 は、素材自体は新しくないが部屋干しを強調して売り出したところ予想外の売れ行 きを見せている。東レとシキボウはが昨年秋商標登録した「 早乾」 は、両社が独自開発したもので、綿と ポリエステルを混ぜ、水分蒸発を速める構造にしたもの。 ひなげしの花びらはらはら冬の午後 1月11日(日) 曇り 畑美奈栄さん( 64歳) がネパールに移り住んで15年になる。離婚後着付教師をしていたが、自分の人 生に疑問を持ちネパールに旅行。熱に苦しむ幼い娘を背負う母に出会い、薬を所望されるが何もできな かった。帰途日本人鍼灸師に出会い、「 10本の指ともぐさがあれば病は治せる」 と聞いた。帰国後鍼灸 学校で3年間学び、卒業式の翌日ネパールへ。施術した患者は約20万人に達する。首都カトマンズに 鍼灸学校を建て、80人近い鍼灸師の育成も行ってきた。現在、首都の西南20キロ、もぐさの原料ヨモ ギが自生するチャランケル村にもぐさ工場を建設中。資金2000万円は日本大使館の援助と友人のカ ンパでまかなった。工場で働くのは地元の女性や障害者。「 もぐさ作りの技術を伝え、自立の手助けにも したい」 と語る。 すじ雲のどこまで続く 寒の空 Good News No.58 ∼ ちょっと良い話・面白いこと ∼ 1月12日( 月) 成人の日 曇り 村尾伸尚さんは、元大蔵省のキャリア官僚。出向先の三重県で、税金不払い運動に出会ったのを契 機に、官僚のまま納税者の立場に立った市民団体“ WhyNot” を立ち上げ、その後北川知事の後の三 重県知事に立候補。有権者と一緒に公約を作ろうと100日で450回の集会をこなすが、落選し、新たな 組織を立ち上げた。「 経済大国を追い求めた日本は生産者に軸足を置いてきた。消費者・ 納税者と組ん だ第三の風を起こす改革の種火を育みたい」 と言う。 頼もしや弓引く 眼差し新成人 1月13日( 火) 雨のち晴れ 英国版 Vogure は2004年は、昨年の60年代ブームが去り、50年代ファッションがブームになると予 測する。ヘアースタイルはストレートに代わってパーマが主役。フットウェアは、アシックスのカンフー・ シューズ” Tai Chi” 。小物では、太いチェーンを使い、風景画をプリントしたプラダのバッグ。はやらない 色は黒とシルバー。はやるのは明るい色とゴールド。昨年から続く流行色はカフェオレあるいはカフェラ テの色。 一片の雲も無き空風冴ゆる 1月14日( 水) 晴れ 今年8月13日にアテネ五輪が開幕する。招致委員会を率いたのは、ジアンナ・ アンゲロプロス-ダス カラキさん。IOC が開催地変更をほのめかしたとき、急きょ組織委員会に担ぎ出され、カリスマ的指導力 で体制を建て直した。もともと法律家だが、女性の地位を高めるため政治家に転身。アテネ市会議員の 後国会議員に2回当選。その後海運業界の大物と結婚し、政界を引退。3児の母親のかたわら、夫の会 社経営に尽力。大金持ちでスタイル抜群で、ギリシャ社交界の華でもある。オリンピックを成功させた次 の目標は大統領かという憶測もある。 寒空にトンビの一羽凧のごと 1月15日( 木) 晴れ バイオリニスト川畠成道さんは、8歳の時初めての海外旅行で米国滞在中、風邪薬の副作用で倒れ、 生死をさまよい、一命はとりとめたものの視覚障害が残った。治療が一段落したとき、「 過去はひとまず 終わった。これから君の人生が始まる」 と祖父に励まされ、10歳の時バイオリン教師の父にバイオリン を習い始めた。バイオリンを習うようになって、自分も家族も目的ができて救われた。猛練習をして、中 学1年の時日本学生音楽コンクールで優勝。桐朋学園音楽高校・ 大学に進むが、師事した江藤俊哉氏 から「 自分の音を探せ」 と言われ、英国王立学院に留学。様々な国から様々な生徒が集まり様々な音楽 を演奏する同院で、「 自分は自分」 と悟り、自分の音が見つかった。同院を首席で卒業し、史上2人目の スペシャル・ アーティスト・ ステイタスの称号を授与され、98年日本でデビュー。演奏会、CD とも大成功 を収める。「 目が見えなくなったことを良かったとは言えないが、これが自分の人生だと思う」 と語る。 バレリーナという名の花誕生日 1月16日( 金) 晴れ 大阪大学碓井建夫教授の研究グループは、ごみ焼却後の排ガスを水に吹き込んでダイオキシンを除 去することに成功した。これまで、ごみ焼却を高温で行い、排ガスは急冷却してからフィルターを通すと いう処理で、ダイオキシン削減がはかられてきたが、設備が高価であまり普及していない。同研究グル ープは、排ガス中に残存する微細な浮遊カーボン系物質がダイオキシン類生成の主原因であることを 突き止め、この炭素系微粒子を水で除去することを考案。水に排ガスを吹き込む実験でダイオキシン類 95%以上減少という好成績を得、さらに水中のダイオキシン類を95%以上除去する簡易な方法も確立し た。今回開発された装置は従来のものに比べ仕組みが簡単なことから、ダイオキシン削減設備の低価 格化と普及が期待される。 冬の夜電車待つ身に風染みる 1月17日( 土) 曇り 日本の住宅寿命は平均して約 25 年。イギリスやアメリカの半分∼3分の1程度しかない。大量の資源 が建築資材として使われ、解体後の建設廃棄物も大きな問題となっている。このようななかで、古民家 再生ネットワークは、古民家を再生して使いたいという人々と、手入れや相続などの理由で古民家を維 持しにくくなった人をつなぎ、古民家の増改築、改修、解体、移築等を行っている。同ネットワークの建築 家平井憲一氏は、「 長い年月風雪に耐え、人々を守り抜いてきた生命力と、キズつき汚れても、なお失 われない木の温もりは、経済性と合理性を求める新しい建築では得ることが出来ない」 と語る。 竹灯籠1.17震災忌 1月18日(日) 晴れ 埼玉県三富新田。一農家ごとに屋敷地、農地、平地林が続く細長い区画が連なる。300年ほど前、川 越藩主柳沢吉保の命によって開拓された。元々関東ローム層に覆われた痩せた土地だったが、自然を 上手に活かし実り豊かな土地に変えてきた。そのカギとなるのは、開拓当初にクヌギやコナラを植林し た平地林。農家は毎年、年が明けると平地林の落ち葉を集め、家畜の糞と混ぜて発酵させ、堆肥を作る。 この堆肥を農地にすきこみ、痩せていた三富新田の土は、豊かな土へと変わった。さらに落ち葉は、三 富新田を代表する農作物・ サツマイモの栽培にも欠かせない。寒さに弱いサツマイモを守るために種芋 の下に落ち葉を敷き、その発酵熱で寒さを防ぐと同時に発芽を促す。これによって秋、霜の降りる前に サツマイモを収穫することができるようになった。 池の端に薄氷張りて風冷たし Good News No.59 ∼ ちょっと良い話・面白いこと ∼ 1月19日( 月) 雨のち晴れ カーシェアリングとは、車を共同で所有・ 利用すること。自動車交通量の減少、排ガス抑制、駐車スペ ースの負担減少に役立ち、環境対策に大きな効果があると同時に、利用者の経済的負担を軽減する。 横浜市南部の丘陵地に広がる汐見台団地では、建て替えにあたって、豊かな緑を維持するために、カ ーシェアリング方式を採用することにした。これまで国内では数箇所でカーシェアリングの実験が行わ れ、車 1 台に対して20 名程度の共有であれば、利用に支障がないという実験結果がでている。従って、 カーシェアリングの車 1 台に対して19 台分、約 800 ㎡の駐車場スペースをアスファルトから緑地に変え ることが可能になる。 冬木立沈む夕陽にくっきりと 1月20日( 火) 晴れ 英誌 New Scientist (03.12.03)は、未来の飛行機を予測。翼は、形状記憶の新素材やエレクトロニクス 技術の進化で、目的に応じて形を変える翼が登場しそう。折り畳み式の翼やスライド式の翼の開発が米 国防総省国防担当事業局( DARPA) を中心に進んでいる。空港周辺の住民を悩ます騒音を減らすため に構想されているのは、紙飛行機のような三角形の巨大な翼に胴体部分を一体化させた「 空飛ぶ翼」 。 NASA とボーイング社はこのタイプで800人乗りの超大型次世代機の構想をあたためている。地上から の管制なしで飛ぶシステムや無人操縦飛行機も開発されているが、当面は軍事用のみ。 ヒヨドリ二羽平行移動仲良きかな 1月21日( 水) 曇り 服飾デザイナーの山本寛斎さんの最近の主な仕事はイベント「 スーパーショー」 の制作。伝統芸能、 音楽、ファッションを盛り込み、大勢の人が動く大スペクタルショーを世界各地で開いてきた。服を作って いたころはお金のことは他人任せだったが、現在自ら資金集めをする。大変だが本当に訴えたいことだ け残るようになった。しかし採算は気にしない。メンバーの熱意とそれを結集するアイデアがあればビジ ネスは成り立つと思うから。イベントを通して色々な地域・ 国の人々とコミュニケーションでき、こちらの 熱意が伝わると、予想外の成果もたくさんあった。戦後の日本人はお金儲けを必死でやって、それ以外 の幸せにはあまりエネルギーを向けてこなかった。もうそういう時代は終わりにきていると語る。 ウグイスのはや来て鳴くや屋敷林 1月22日( 木) 大寒 晴れ チリの首都サンティアゴは植民地時代の建物が多く残る旧市街を持つ美しい町だが、年間5%の割合 で増え続けるゴミの増加に悩まされている。そこで市の環境委員会は、環境面と経済面の両方からゴミ の減量化・ リサイクルに乗り出した。ゴミの85%は野菜くずなどの有機ゴミであることに注目し、有機ゴ ミを堆肥化。生ゴミを細かく砕いてかき混ぜ、空気を入れ替え、ときどき湿気を与え、90日ほどかけると、 生ゴミはおよそ5分の1の量の堆肥に生まれ変わる。これにより処理コストもゴミも削減できた。さらに、 この堆肥を街の緑化に利用。これまでは市を囲む森から大量に腐葉土を採取し、腐葉土のなくなった森 は、土が風や雨に直接さらされ、浸食され、森が徐々に死んでいた。ゴミ減量化は、腐葉土の採取を減 らし、森を救うことにもなった。 凛とした朝の空気や本格の冬 1月23日( 金) 晴れ 「 マレーシア日本国際工科大学」 が今年6月にクアラルンプールに開校する。日本から大学教員や企 業の退職技術者が教授として派遣され、主に日本語で講義する。生徒はASEAN諸国やインドから広く 募集し、日本の効率的な生産技術や経営スタイルを習得させ、製造業の人材を育成する。日本の協力 大学連合との間で単位の相互認定をし、大学後半を日本の大学で学ぶ制度も検討中。ASEAN諸国は 日本の支援で技術力を向上させ自国産業の競争力を強化、日本側はアジアから優秀な学生を確保でき るメリットがある。 ストーブの熱蓄えていざ出陣 1月24日( 土) 曇り 民俗学者の柳田国男氏によれば、椿の群生が日本列島の北にまで分布しているのは、古代の人々 が武器や農具と共に、椿の種や小枝を携えて移住したから。若狭地方に残る八百比丘尼伝説によれば、 禁断の霊肉、人魚の肉を食べて800歳まで生きた八百比丘尼は、杉や銀杏などと共に椿の木を全国に 植えて回った。椿は長寿の象徴だった。東大寺の修二会( お水取り) では、連行衆たちが椿の造花を作り、 二月堂の本尊十一面観音に供える。古代の宮中においては、正月の儀式に邪気を払い長寿を寿ぐ霊木 として、とりわけ椿の枝が珍重された。 冬枯れの茂みまあるく鴨眠る 1月25日(日) 晴れ 日本海に面した酒田市は冬の寒さで知られるが、「 太陽の家」 と名付けられた山形県酒田市の公民館 は、太陽熱を効率的に活用した省エネ住宅。より多くの太陽光を取り込めるよう南側に大きな窓があり、 さらに、いったん取り込んだ熱を逃がさないよう様々の工夫がある。窓は2重で、しかも内側の窓は2枚 のガラスを重ねた合計3重の窓ガラス。熱を効率良く吸収するために黒く塗られた床。コンクリートと断 熱材、合わせて30センチの厚みがある床。ほかにもソーラー発電や、ソーラー温水器などを組み合わ せることで、消費電力は通常の4分の1にまで抑えられている。この建物を設計した地元の建築家井山 武司さんは、冬の日照が短く、寒さが厳しい土地柄だからこそ、少ない太陽光を上手に活かして冬を乗 り切る省エネ住宅に挑戦し続けていきたいと語る。 愛らしやキンクロハジロの冠毛 Good News No.60 ∼ ちょっと良い話・面白いこと ∼ 1月26日( 月) 晴れ 鹿児島県川辺町では、町のごみ焼却場から出る焼却灰に大量のダイオキシンが含まれていることが 分かり、役場職員を中心に対策プロジェクトを結成。ナトリウムと特殊な触媒を焼却灰に混ぜ合わせて、 ダイオキシンを作る塩素を取り除き、無害化する施設が昨年完成。従来の高温で焼く方法に比べると、 施設の建設・ 維持コストが安く、エネルギー消費も少ない。一方それまで3つだったごみ分別を17へ細 分化。その結果、燃えるごみは以前の半分近く、燃えないごみは9割以上も少なくなった。そのため焼却 炉の稼動は週2日になり、残りの週3日野積みにされてきた焼却灰を処理。さらに地元企業の協力を得 て無害化した焼却灰を活用して、レンガを製造し、役場や小学校の玄関、商店街の歩道に利用してい る。 山寺の名木ひっそり冬桜 1月27日( 火) 晴れ 西アフリカのマリ共和国は、国土の70%がサハラ砂漠に覆われ、毎年約 2 万ヘクタールの森林が失 われている。環境先進国デンマークで自然エネルギーのノウハウを学んだイブラヒム・ トゴラさんは、母 国マリに環境NGOマリ・ フォルケセンターを設立した。アフリカ人自身の手による緑豊かな祖国の再生 を目指し、バイオガスシステムの建設や、ディーゼル燃料になるジャトルファの植林、各施設へのソーラ ーパネルの設置など、自然エネルギー技術の普及に奔走している。先進国が資金援助してくれるが、 村民にも費用を負担してもらう。そうすると施設を大切にしてくれるからだ。自らの手で暮らしを変え、自 信を取り戻すこと。これがイブラヒムさんの夢だ。 冬うららソバツル草の長く伸び 1月28日( 水) 晴れ [家計にも地球にも優しい省エネの勧め] 電気ポット: 長時間使用しないときは、プラグを抜く。 炊飯器: 長時間保温にしないで、冷凍して電子レンジでチン。 皿洗い: 給湯器の湯で手洗いするより、食器洗い機で洗う。 自動車: アイドリング、急発進、急加速を控え、タイヤの空気圧を適正に保つ。 電球: 白熱電球より蛍光ランプの方が省エネ。 野菜の下ごしらえ: ガスコンロで沸かして茹でるより、電子レンジの方が省エネ。 設定温度: 夏の冷房は28度、冬の暖房は20度に。冷蔵庫、給湯器は季節ごとに設定温度を調整。 テレビ、ビデオ、エアコン: 使わない時は主電源を切るか、プラグを抜いて待機消費電力を省エネ。 電気カーペット: 断熱マットなど敷き、部屋の広さにあわせ、人のいない部分はスイッチオフ。 炬燵: 厚い上掛け布団ですきま風を防ぎ、敷き布団で床への放熱を防ぐ。 エアコンフィルター・ 照明器具・ 換気扇: 掃除してエネルギー効率をアップ。 テレビ画面: こまめに掃除し、明るさの設定を下げる。 高きより町を眺める寒ガラス 1月29日( 木) 晴れ 早春に花を咲かせる梅は、中国では「 初花」 と呼ばれ、雪景色の中に咲く姿が愛されてきた。寒風の なか、ほんのり香りを漂わせ、凛と咲くその気高さに大陸への憧れを重ねたのか、「 万葉集」 では萩に次 いで多く詠まれている。万葉の時代、梅といえば白梅だった。やわらかな明るさをもつ「 白」 への美意識 は万葉ならではのもの。 枯れ色の景色の中に寒紅梅 1月30日( 金) 晴れ 光触媒チタンボールが注目されている。ボール表面に形成されたチタニア皮膜の光触媒により、光エ ネルギーと反応すると光化学反応を起こし、接触した有機物に対し強力な酸化力を発揮し、環境汚染物 質や臭い、カビ、細菌類などの有機物質を強力に酸化分解し、水と炭酸ガスに変える。つまり光エネル ギーと酸化チタンの効果により、人間にとって有害な物質( 悪臭、汚れ、細菌、カビ等) を酸化分解して浄 化してくれる。 鳥の声空に響くや春近し 1月31日( 土) 晴れ 埼玉県桶川市には、100年前の民家を利用したふるさと館があり、その一角にうどんやがある。働い ているのは地元の60歳以上の男女。元ビジネスマンや消防士の男性がうどんを打ち、女性が給仕する。 室内もレトロの雰囲気に仕上げ、ふるさとの家庭の味を楽しむことができる。 夕空の日毎明るく春隣 2月1日(日) 晴れ 「 スパルタスロン」 はギリシャのアテネからスパルタまでの245.3キロを36時間以内で走り抜く過酷 なロードレース。世界中から毎年約200人の出場があるが、完走率は4割程度と低い。コースは山岳部 を含み、高低差は約1200メートル。昼夜の寒暖差も激しい。昨年9月26、27日に行われたスパルタス ロン2003の女子の部で熊本市のママさんランナー、坂本明子さん( 49) が、29時間7分44秒で初優 勝した。坂本さんは、若い頃短距離走者だったが、目立った結果を残さず、出産後体調が悪いときに夫 に勧められ一緒に走るようになり、走る楽しみを再発見した。03年4月の「 さくら道国際ネイチャーラン」 ( 名古屋市∼金沢市、250キロ) で27時間31分の大会新( 女子) で優勝するなど、国内のウルトラマラ ソンでも実績十分だった。 シリウスの孤高というべき光かな Good News No.61 ∼ ちょっと良い話・面白いこと ∼ 2月2日( 月) 曇りのち雨 飲み水のすべてを地下水に頼る沖縄・ 宮古島で、化学肥料による地下水汚染が指摘された。県立宮 古農林高校の「 環境班」 クラブは、カルシウムを多く含む宮古島の土に合った有機肥料を作ろうと、先輩 から後輩へと受け継ぎながら6代にわたって、カルシウムからリンを切り離す力を持つ微生物の研究を 続けた。1期生は島の土から100 種類もの微生物を培養し、その中から優れた分解能力を持つものを見 つけだした。2期生、3期生は作物の生育実験を行い、微生物を含んだ有機肥料を入れると化学肥料を 半分にまで減らしても同じ生育が得られることを実証した。4期生、5期生は、街路樹の剪定によって出 る大量の木くずや、家畜の糞尿など、島の廃棄物を利用することを考え出し、実用化への可能性を開い た。6期生は、先輩たちが作り上げた有機肥料を農家に使ってもらう活動をした。 久々の雨にいよいよ春近し 2月3日( 火) 節分 曇り 全国一のチューリップ球根の産地・ 富山県では、球根に栄養を行き渡らせるために、毎年400トン以上 に及ぶチューリップの花が刈り取られゴミとして捨てられている。このチューリップの花の活用を研究し てきた富山県農業技術センターは、めしべの周りの花粉が詰まった葯に含まれる抗菌成分が、稲の立 ち枯れ病などを引き起こす細菌や食中毒の元となる大腸菌にも効果があることを発見し、これを利用す る方法を研究している。 ロウバイのまあるき蕾どこか似る 2月4日( 水) 立春 晴れ 早春の山の辺の道に芽吹く小さな蕨。「 早蕨( さわらび) 」 と呼ばれる蕨の若芽は、古くから食用にされ てきた。蕨はまた、万葉の時代には神聖な存在とされた。蕨やゼンマイ、裏白など、先端が渦を巻く姿に、 万葉びとは生命の永遠を託した。これを文様化した「 蕨手紋」 は古墳などにも描かれているが、ギリシャ にも同様の文様がある。 気がつけばうっすら緑の柳の芽 2月5日( 木) 晴れ 未来バンクは、組合員からの出資を、同じ組合員に低利( 3%) で融資する事業組合。融資先を環境・ 市民事業・ 福祉目的の3つに限定し、社会的有用性の高い事業にのみ融資を行っている。これまでに、 太陽光パネルなどの環境グッズの購入や、NGO・ NPOに対する事業融資を行ってきた。環境に良い融 資の仕組みを作ろうと、1994年設立。2003年現在、組合員約340名、 出資金総額は約 1 億 1,600 万 円 に達し、融資累計額は約 4 億 8,100 万円となっている。職員はすべて正業をほかに持つボランティア。 また、地域に経済力を持たせることが環境問題の解決につながるという考えのもと、市民事業の支援も 行っている。 紅白の梅咲き揃ふ角の家 2月6日( 金) 晴れ ハリウッドでは「 ミス・ サンシャイン」 と親しまれている陽気なカオリ・ ナラ・ ターナーさんは、メーキャ ップ・ アーチスト。戦後進駐軍向けの慰問ショーの人気ダンサーだったが、もっとうまくなりたくてニュ ーヨークにダンス留学。32歳の時、香港でメーキャップ・ アーチストのビル・ ターナー氏に出会い、一 ヶ月半後にスティーブ・ マックィーンの仲人で結婚。結婚後もラスベガスでダンサーとして活躍。自慢 のジャンプで着地に失敗して靱帯断裂。夫の手伝いなどしていたが、49歳のとき、『 フラッシュダン ス』 で、主人公の代役で踊った4人のダンサーにボディー・ メークを行い、同一人物にみせて脚光を浴 びる。58歳の時、最愛の夫を亡くし、失意の中、アカデミー賞を受賞した夫に恥ずかしくないメーキャ ップ・ アーチストになろうと決心。『 アメリカン・ ビューティー』 『 アリー・ my ラブ』 など手がけ、名だたるハ リウッドのスターから「 メイクはカオリ」 と指名を受けるトップアーチストになった。70歳の今、過去を振 り返り、「 ショックはラッキーの始まり」 と語る。まだまだ夢はいっぱい。 春浅き風の冷たさ丘下る 2月8日( 土) 晴れ 英誌 Weekly Telegraph (1.27)によれば、ロンドンは今ヨーロッパで一番の観光スポット。調査会社 Mintel が各国の都市を訪れた海外旅行者の数( 2002 年実績) を調べたところ、ロンドンが 1,160 万人で、 2位のパリは 900 万人に満たなかった。以下ローマ、ダブリンと続く。ロンドンの魅力は「 新旧が入り混 じった折衷的なところ」 だそうだ。パリは古いだけということになるらしい。「 パリにない活気」 「 イギリス 人は親切」 という意見もある。ロンドンを訪れる外国人で一番多いのはアメリカ人で、次はフランス人。 早春の海に白点ヨットらし 2月9日(日) 晴れ ゴールデングローブ主演女優賞を受賞したシャーリーズ・ セロンは、受賞対象作” Monster” で、客 の男7人を次々と殺害した罪で死刑判決を受け処刑された売春婦を演じた。南アフリカ共和国の生ま れで、父はフランス系、母はドイツ系。シャーリーズが15歳のとき、母は暴力的で酒癖の悪い父を撃 ち殺した( 正当防衛が認められた) 。バレリーナを目指したが、南アでは仕事がなく、14歳でモデルに 転向。モデルとして欧州各地を転々とする生活に疲れ、バレエに復帰しようと決意してニューヨークに 渡るが、膝を怪我して断念。やむなくハリウッドに行き、偶然に芸能エージェントに拾われた。映画デ ビューは98年の「 トゥー・ デイズ」 。 富士望む夕陽の丘の余寒かな Good News No.62 ∼ ちょっと良い話・面白いこと ∼ 2月9日( 月) 晴れ 「 統合医療」 が注目されている。米国のアンドルー・ ワイル博士が提唱した、漢方薬やツボのマッサー ジ、鍼灸など伝統的な代替医療と西洋医療を組み合わせた医療だ。病気の原因を明らかにし、それを 取り除く近代西洋医療だけでは治せない症状もある事が次第に明らかになってきた中で、人間の「 治る 力」 に注目し、体のバランスを取り戻させて治癒力を高めるものである。患者の自覚症状を重視し、患者 と医師が力を合わせて治療する医療でもある。米国では、慢性疾患を予防し、医療費削減するものとし て、巨額の国家予算を投じて研究が進められている。 クロッカス今年も顔出し母喜ぶ 2月10日( 火) 晴れ 多摩動物園では、動物の排泄物 1,060 トンの処理費用が年間3千万円にも達するため、これを発 酵させてバイオガスを作る試みを始める。製造される燃料は、バイオガスを生成装置や園内のバス の燃料に利用され、化石燃料の節約になると同時に、バスに乗る子供たちの環境教育にも役立つ。 また副産物として産出される肥料は、動物の餌の植物の栽培に利用される。 半月の中空にあり猫の恋 2月11日( 水) 建国記念日 晴れ 福島県二本松市の岳温泉では10軒の旅館が、生ごみのリサイクルに取り組んでいる。生ごみをもと に堆肥を作り、その堆肥で無農薬の野菜を育て、できた野菜を旅館で提供する。きっかけは、燃えるご みの処理費用が2倍に値上がりしたこと。旅館組合から堆肥作りを依頼された畜産農場は、試行錯誤の 末、牛糞や藁に混ぜる生ごみの割合を約2割にすれば満足のいく堆肥ができることが分かった。旅館で は、無農薬栽培に取り組んでいる地元の農家にその堆肥を使って契約栽培で野菜を作ってもらい、料理 に「 一旬一品」 と銘打って、生ごみから育った四季折々の新鮮な野菜を客に味わってもらっている。 小さきは小鉢の中の白魚の目 2月12日( 木) 晴れ 北京在住の Chun Shu は、高校を中退し、20歳で” Beijing Doll” で華々しくデビューした人気作家。父 親は人民解放軍の将校だが、彼女自身は、押しつけがましい社会に反発し、思い切り自己表現したいと いう若者のシンボル的存在。「 70年代に生まれた人は金儲けに夢中。でも80年代に生まれた人は、ど うやったら自分の個性に合った道を選べるか考えている」 と言う。 茎紅きほうれん草のサラダ盛る 2月13日( 金) 晴れ 刺身に欠かせない山葵( わさび) は、1年中採取できるが、寒い今が旬。長野県安曇野の大王農場で は全国の10%の山葵を産出する。山葵の味は水の履歴書とも言われる。安曇野では豊富なわき水と 土地に恵まれ、平地式と呼ばれる方法で栽培している。山葵は捨てるところがない。ひげ根も花も天ぷ らとして、茎は山葵海苔やわさび漬けとして利用する。 薄氷(うすらい)の光る池の面朝の道 2月14日( 土) 晴れ時々曇り 水やりの失敗のない鉢が開発された。土の代わりに特殊なスポンジを使い、この中に市販の鉢から 抜いた植物を入れる。さらにこれを中鉢の中に入れる。中鉢の底には発泡スチロールが付けられてお り、外鉢に水を入れた中に浮かせる。水がなくなると、中鉢が沈み、水やりの合図となるので、水やりを 忘れずに済む。スポンジが適量の水を吸収するから、水をやりすぎることもない。水を外に流さないの で、肥料の節約にもなる。 猫柳土手を越えれば遊園地 2月15日(日) 晴れ りそなホールディングスの会長に就任した細谷英二さんは、元 JR 東日本副社長。経営や組織の改革 の基本は、内向きの論理を捨て、外からの目線で考えることだという。組織人が嫌がるのは過去を否定 することで、皆従来の延長線上でやりたがる。過去を否定して組織を変えていくために、若手を思いきっ て使っている。 水温む地元にも川のある風景 Good News No.63 ∼ ちょっと良い話・面白いこと ∼ 2月16日( 月) 晴れ 鳥取砂丘の管理事務所の音田研二郎さんは、自らホームページを立ち上げ、四季折々の砂丘の自 然の営みを伝えている。春、砂丘では多くの生き物が活動を始める。梅雨期には、水を通しにくい地層 の上にできた小さな池にアマガエルが姿を現す。夏、砂の表面温度は60度。葉を丸くして水分の蒸発を 防ぐハマゴウ。砂地に茎を放射線状に伸ばして養分を吸い上げるハマベノギク。秋、毎秒5∼6メートル の風が吹く時だけ現れる不思議な「 風紋」 が砂丘を彩る。音田さんは5年前から、砂丘に親しむ機会の少 ない地元の子供たちを集め、砂丘を楽しむ活動を主催している。砂丘の風を利用して凧揚げをした子供 たちは、「 体言葉」 を通じて自然の大切さを学び、将来大切なふるさとの財産を守っていくことに協力して くれると考えている。 小鳥らの鳴く 音弾むや春の萌ゆ 2月17日( 火) 晴れ アジアで箸を使う国々の中でも、家族それぞれが決まった自分の箸で食事するのは、日本だけ。千利 休が考案した茶道具の一つ「 利休箸」 は、杉を手で削り箸にしつらえ、茶懐石に添え、使い終わったら捨 てるものだった。これを真似して酒樽や桶を作って残った杉や檜の端材を加工し一般向けの割り箸が作 られた。江戸時代後半、江戸や京大阪に溢れるようになった蕎麦屋、寿司屋、鰻屋などもこれを使い始 め、一気に普及した。現在は中国からのものを中心に90%が輸入品。消費量は1人当たり年に200膳。 今どき珍しい無垢の木製品を一度使っただけで捨ててしまうのはもったいないと、王子製紙が割り箸を 回収し紙の原料として再利用始めたが、まだまだ微量。 通り過ぎ匂ひに振り向く 沈丁花 2月18日( 水) 晴れ 石神井に住む壇晴子さんは、魚をどっさり買い込んで余ったときは干物を作る。西高東低の気圧配置 の冬の東京は、からりと晴れて冷たい北風が吹く。この風が干物作りに最適。魚を開き、エラとワタを取 り除いて、塩水につける。塩水は7%ぐらいがよい。つけ込む時間は30分から1時間。取り出して真水 でさっと洗って水気を拭いて干す。ザルに並べても、洗濯バサミでぶら下げてもよいが、ファスナー付き の干物専用籠というものもある。干す時間は数時間から丸一日。無添加天日干し自家製干物の出来上 がり。 南仏のミモザ祭りの便りあり 2月19日( 木) 晴れ 海が汚れると、海底には酸素が無くなって生物が住めなくなり、ヘドロがたまってますます汚れてしま う。そうした汚れた海にイガイなどの二枚貝を海に入れると、汚染の原因となる植物プランクトンを食べ、 海水は透き通るが、糞が底にたまってやはりヘドロになってしまう。徳島大学の研究グループは、貝が 出す糞を食べるナマコに注目し、5年前、徳島港に生物が住めるマンションのような構造物を沈めた。現 在、構造物の周りには、かつてはほとんど見られなかった多様な生物が見られるようになった。海が本 来持っている浄化能力を活かす新しい試みに期待が寄せられている。 桜草増えてずらりと鉢並ぶ 2月20日( 金) 曇りのち晴れ かつて有機肥料として有効利用されていたアオサは、化学肥料への移行によって利用されることが なくなり、海の富栄養化の原因となっている。東京湾の三番瀬では、漁師と農家とゴミを考えるグループ が集まって、「 東京湾アオサプロジェクト」 を立ち上げ、アオサを回収し、肥料・ 飼料化にする循環型社会 のモデル作りに挑戦している。アオサは、回収後チョッパーとよばれる機械に投入し裁断し、ベルトコン ベアを使用して攪拌機に流し込み、米ヌカやくず大豆などを混ぜて保管する。数日経つと 70℃ほどにま で温度が上がり、醗酵飼料ができる。海洋微生物が醗酵菌となるので、菌を加える必要はない。醗酵飼 料とすれば、かなりの期間保存が可能になる。 紅帽子脱げば銀色猫柳 2月21日( 土) 晴れ 鰯類は世界の漁獲高の20%を占める。大衆的な魚で、塩漬け、煮干し、干物、オリーブ油漬けなど加 工法も多い。鰯に多く含まれる脂肪は、不飽和脂肪酸が多く、動脈硬化を防ぎ、コレステロールを低下さ せる。また、EPA( エイコサペンタエン酸) は、血液の凝固を防ぎ、脳血栓などを予防する。つまり成人病 予防になる成分がたくさん含まれている。ただし不飽和脂肪酸が酸化してしまうと効果がないばかりか、 有害。鮮度には注意。 けやき芽吹く印象派の絵のやうに 2月22日(日) 晴れ 糸をセットしてボタンを押せば数十分で縫い目ナシのニットの服が丸ごと編み上がる編み機を開発し た島正博さんは、故郷和歌山市でこの機械を作っている。工業用編み機の世界シェアは65%を占める。 24歳のとき従業員30人の町工場を設立。3年後、指から甲、手首まで一気に編める機械を開発。発明 の秘訣は、壁にぶつかった時、越えられない理由を探すのではなく、どうすれば壁に穴をあけられるか を考えることだと言う。 バンの首揺れて舟漕ぐ櫓のごとし Good News No.64 ∼ ちょっと良い話・面白いこと ∼ 2月23日( 月) 晴れ アフリカ北東部紅海に面するジブチ共和国は、国土の99.5%が岩石や土で覆われた砂漠地帯。食料 自給率は3%。東京農業大学「 沙漠に緑を育てる会」 は、1991年からの砂漠緑化プロジェクトを続けて きた。かつて巨額を投じて設置された大型スプリンクラーは、EUの援助が終わるとジブチ国民は維持 できなくなり、廃物となってしまった。この失敗を踏まえ、東京農大チームが生み出したのが、「 ストーン マルチ工法」 。人頭大の石で地表を多い、石の間に種子を播く。昼間は土壌面からの水分の蒸発を抑制 し、夜間は石の表面に結露を生じさせ、土壌に水分を与える。昼夜の気温格差が大きい乾燥地帯では、 昼間熱せられた石が夜間になると急激に冷やされるため、石の表面に結露が生じることを利用したもの。 石は山羊やラクダの食害を防ぐのにも役立つ。ストーンマルチ農法はこの地の気候をうまく利用した、 誰にでもできる農法なのだ。石は砂漠に無数に転がっている。 突風の鳴り物入りで春到来 2月24日( 火) 晴れ 日本舞踊坂東流師匠の坂東冨三仙( ふみのり) こと板橋光さんは、どう見ても101歳とは思えない。掃 除洗濯は朝のうちに終える。髪を結い化粧を済ませないと家の外に出ない。明治女の心意気だ。踊りを 教える傍ら、自分も踊りを習っている。お師匠さんは、30歳年下。光さんは50台から60台の頃、物忘 れがひどく気になった。それが第一次の老化の実感期。いつの間にか気にならなくなって、100歳の誕 生日を祝ってもらった頃から、第二次の老化を実感している。踊りの足が上がらないし、腰を落とすこと もできない。「 でもそれもこれも人生の通り道」 と考えている。 そよぐ風頬に優しや春の夕 2月25日( 水) 晴れ 北海道北見市では、下水処理の際に出るガスをエネルギーとして有効利用する取り組みを20年前か ら続けてきた。毎日、市の下水処理場に集まる5万トンの汚水には、微生物や有機物がたくさん含まれ ており、微生物が有機物を分解する過程で、燃えやすいメタンを含んだガスが発生する。人間が食べ物 を消化する様子に似ていることから、「 消化ガス」 と呼ばれるこのガスは、LPG・ 液化石油ガスに混ぜら れ、都市ガスとして家庭に送られる。しかし、2008年から都市ガスの規格が変わり、火力の強い天然 ガスを使うことが決まったため、熱量が低い消化ガスを再利用することができなくなる。そこで市は、地 元の北見工業大学と共同で研究を行い、二酸化炭素を取り除き、メタンの量を増やせば、消化ガスが天 然ガスとほぼ同じ熱量を持つことをつきとめた。また、独自の方法でメタンの濃度を100パーセントに近 づけることにも成功し、今後の再利用が期待される。 木々芽吹く 公園もはや春模様 2月26日( 木) 晴れ 紅型とは沖縄古来の型染め技法。染色の「 色挿し」 とぼかし作業の「 隈とり」 により多彩な色調を生み 出す。その歴史は15世紀にさかのぼり、海外交易を通じて中国、印度、ジャワなどから染色技術を取り 入れ、琉球王朝の繁栄下で技法を完成させた。文様は竜、鳳凰、幾何学模様など中国風や、枝垂れ桜、 菖蒲、藤など日本風など、琉球には無い風物が図案化され、他国文化を旺盛に吸収しようとする琉球の 民の進取性と、それを独自の技法へ発展させた独創性が見られる。 みどりごのやはらかきほほ桃の咲く 2月27日( 金) 晴れ 小松製作所は、昨期赤字から黒字に転換した。海外の需要、特に2008年の北京オリンピックへ向け て大型インフラ整備を控えた中国での需要は年率 70%の勢いで増大していることが大きい。「 企業は痛 みを乗り越えないと成長しない」 とは、社長の弁。 落ちてなお美しく 在る椿かな 2月28日( 土) 晴れ 鹿毛哲郎さんは、筑紫平野で40年余りシクラメンを栽培している。32歳の時オランダの農家で研修。 自動温度調節装置や散水施設を使った技術を学んだ。マニュアルに基づいて水や肥料をやり、遺伝の 法則に従って受粉させ、期待通りの花を咲かせた。花をコントロールできると思った。そのうち思うような 花が咲かなくなり、行き詰まると、花を見つめ、花に問いかけるようになった。50歳になってさらに花に 対し謙虚になったら花の声が聞こえるようになった。マニュアルを捨て、それぞれの花自身の意見に沿 った手入れをし、黄色のシクラメンを生み出すことができた。 口の中春の苦みや蕗のたう 2月29日(日) 曇りのち晴れ 年間2万トンのカキを生産している広島県では、年間10万トンのカキ殻がごみになる。カキいかだの うきとして使われる発砲スチロールは年間500トンが廃棄され、海水によって腐食したいかだの竹は、 年間5000トンが焼却処分される。県の漁協では、県内の企業4社に協力を依頼し、これらのリサイクル を研究してきた。カキ殻は高温で熱して純度の高い炭酸カルシウムのパウダーにし、竹は蒸し焼きにし て竹炭にする。これらは海の水質浄化剤として使える。発砲スチロールは、溶かして体積を小さくすると 保管がしやすくなり、運搬コストも大幅に下げられる。さらに、カキ殻・ 竹・ 発泡スチロールを熱する炉を 合体して、カキ殻の炉だけを燃焼させ、その余熱で他の2つの炉の処理を行うなど、様々なアイディア が実を結びつつある。 いぬふぐり小さき青の点々と Good News No.65 ∼ ちょっと良い話・面白いこと ∼ 3月1日( 月) 雨のち曇り 過疎化と高齢化が進む長野県小川村では、地元のおばあちゃんが作る「 おやき」 が年商7億円を稼ぎ 出す。この村の権田市郎さんが、お年寄りにでもできることはないかと考えて、地元で昔から作られてい るおやき作りを思いついた。お年寄りが歩いて通えるよう、工場はあちこちに分散させた。働きたい時に 働き、昼寝もおしゃべりも自由。休憩室には布団と枕が常備され、食事のあとはたっぷり昼寝ができる。 手作りのおやきが評判を呼び、年間10万人の人がこの村を訪れるようになった。人に合わせた働き方 に魅力を感じ、若者も働きたいとやってきた。権田さんは具に使う野菜も村のお年寄りに作ってもらおう と計画している。 春寒や手袋取り出し外出す 3月2日( 火) 曇り 早春芽を出す食用の草は「 春菜」 とか「 若菜」 と呼ばれる。雪解けを待たずに顔を出すフキノトウ。野原 や土手などで葱の匂いがするのはノビル。セリ、ナズナ、ヨメナ、ツクシ、タンポポ、コゴミ、タラの芽など 春菜には苦みがある。「 春には苦みを盛れ」 と昔から言われる。苦みの成分が、冬の間にたまった脂肪 を流し、味覚を刺激して気分を引き締めて一年の活動をスタートさせる。万葉の時代には、野に若菜摘 みに出かけ、不老不死を願って食べた。冬眠から目覚めた熊も最初にフキノトウを食べるとか。 愛娘遠く にありて雛飾る 3月3日( 水) 雛祭り 晴れ 和歌山県中部の南部川村は、温暖な気候と多雨を利用して梅の栽培が盛んで、国内のおよそ6割の 梅干しを生産している。梅干しをつくる過程でできる「 梅酢」 は塩分や有機物を多量に含み、捨てること が禁止されており、この処理が長年の課題だった。地元の梅加工業者が、梅酢を有効利用しようと4年 に及ぶ研究を重ね、梅酢を活用する方法を確立した。開発された装置により、梅酢から様々な有機酸を 含む水が取り出され、健康飲料や化粧水への活用が期待されている。一方、水分が蒸発した後の梅酢 は濃縮梅酢と梅塩の2つに分けられる。濃縮梅酢に炭酸カルシウムを加えてできるのがクエン酸カルシ ウムで、骨密度の上昇や更年期障害の改善などの効用がある。梅塩は、有機酸やミネラルを多く含ん でいるので、普通の塩よりも血圧に及ぼす影響が小さい。 大粒の苺ほおばる雛祭り 3月4日( 木) 曇りときどき雨 京阪神1400万人の水がめである琵琶湖では、水質が環境基準を下回る状態が続く中、自然の力を利 用した水質浄化法が注目されている。6年前、滋賀県と大阪府が協力して琵琶湖畔に「 琵琶湖・ 淀川水 質浄化共同実験センター」 を設立した。琵琶湖に流れ込む川の水を引き込み、自然の条件に近い形で 実験ができる、全国でも珍しいこの実験センターでは、クレソン栽培や赤玉土を利用した水質浄化の研 究が進められている。クレソンの根は水質悪化の原因となる浮遊物質を65%以上、赤玉土はリンを 85%以上取り除く。さらに、生分解性ポリエステルの吸着剤を使って汚染の原因となる窒素やリンを取 り除く方法の研究も始まり、実用化にむけ、実験の成果が期待される。 春の香を味わいながら桜餅 3月5日( 金) 曇りのち晴れ 東大寺のお水取りで奈良の春は始まるが、お水取りを彩るのは和紙で作られた「 糊こぼし」 と呼ばれ る椿の花である。茶の湯では椿の一輪挿しを侘び、寂( さび) の表現に用いるが、万葉人が愛したのは 「 つらつら椿」 、すなわち奥山に点々と連なる藪椿の花だった。日本には2000種の椿があるが、椿の原 種はヤブツバキ( ヤマツバキ) 。学名は「 カメリア・ ジャポニカ」 。日本に来た宣教師のカメリアが欧州に持 ち帰り、19世紀には一大ブームになった。デュマは「 椿姫」 を書き、ベルディが歌劇に仕立てた。 白椿たとえてみればバーグマン 3月6日( 土) 雨のち曇り 小山道夫さんは、ベトナム中部の古都フエでストリートチルドレンの支援を行っている。1992年、初め て訪れたベトナム・ ホーチミンで、十数人のストレートチルドレンに囲まれた。翌年勤めていた小学校を 退職し、フエ師範大学の日本語講師としての新しい生活を始めるとともに、フエ市人民委員会に提供し てもらった土地に、日本の教員時代の仲間などの支援で「 子どもの家」 を建て、ストリートチルドレンの保 護活動を始めた。当初は家と食べ物を与える支援を行っていたが、現在は子どもたちにコンピューター やミシンの技術を教え、JICA と日系企業の協力で近くに作られたオートバイ修理工場で、修理技術を教 えるなど、自立支援を行っている。 公園に車椅子多し春めく日 3月7日(日) 晴れ時々曇り 奈良には馬酔木の木が多い。堀辰雄の「 大和路」 にも浄瑠璃寺の馬酔木のことが書かれている。浄瑠 璃時の100mほどの参道の右側に続く木には白い花房がずっしりと垂れる。これが桜に先駈けて春の 訪れを告げるアセビの花だ。葉に有毒な成分が含まれ、馬が食べると中毒症状を起こすため「 馬酔木」 と書かれるが、一つ一つの花はスズランのような釣鐘の形をしていて、愛らしい。その小さな花が集ま って房をなし、房は幾層にも重なる。高さ5m近くに伸びたこずえ越しに輝く青空からその大きく白い房 が垂れる。ガクのあたりが黄色がかったものやほんのりとワイン色を帯びたものもある。奈良公園の飛 火野の奧にある、ささやきの小径には、アセビの純林がある。鐘状の白い花がトンネルアーチのように 茂っていて、澄んだ空気と木洩れ日が幻想的な空間を醸し出す。 強東風や洗濯物も宙返り Good News No.66 ∼ ちょっと良い話・面白いこと ∼ 3月8日( 月) 晴れ 神鋼電機は、長年の航空・ 宇宙分野の技術を生かし、日本の風況に最適、かつ低価格な小型風力発 電装置「 そよ風くん」 の発売し、注目されている。本体価格20∼30万円台と低価格で、市街地でも設置 スペースさえ確保できれば利用できる。発売発表以来の問い合わせの半分は一般家庭から。残りの半 分は、学校などの公共施設と、I SOに熱心に取り組む企業がほぼ同数。同社では、より発電量を増やす べく、太陽光発電とのハイブリッド化を検討中。 良きことのありそな予感風光る 3月9日( 火) 晴れ時々曇り 整理整頓が得意の市場ゆりこさんは、台所回りの小物の整理にカラー輪ゴムを使う。箸、箸置き、コ ースター、ナプキン、レンゲなど、揃えて出そうと探すけどなかなか見つからないことも多い。まとめて おけば見つけやすいし、カラー輪ゴムなら見た目も可愛い。 春の夕ほんのり浮かぶ富士の影 3月10日( 水) 晴れ 英誌 Economist(2.21)によれば、インドに光が射してきた。過去半世紀にわたってインドの成長を阻ん できたのは、「 カシミール紛争に代表される隣国パキスタンとの紛争」 と「 市場経済の導入に対する根強 い抵抗」 だった。対テロ戦争でパキスタンがアメリカ側についてこともあって、印パ両国の対話が少しず つ始まっている。市場経済については、インターネットの普及で世界の通信インフラが一変し、欧米企業 が顧客サービスなどのバック・ オフィス業務を次々にインドに移してきた。英語が国語だったという強み もある。こうした分野だけで2008年までに400万人分の雇用が見込まれる。だが人口増加の大きいイ ンドでは、さらに製造業の数を増やす必要がある。そのためには外国企業の誘致が不可欠。 花の下お揃いの服姉妹 3月11日( 木) 晴れ 南米・ エクアドルの北西に位置するビルサ生物保護区は、過剰な伐採によって森林が危機に瀕してい る。森林を再生させるため、京都議定書で認められている温室効果ガスの排出権取引が導入された。 排出量の削減を目指す先進国が植林事業に出資し、森林の二酸化炭素吸収量を自国の削減量として換 算、排出量と相殺する仕組み。利害の一致する先進国とのパートナーシップの下の植林は、5年間で 275ヘクタールに及ぶ。排出規制が強まると共に、国家や企業間の取引は今後世界的に広がると予測 されている。 ひゅうひゅうと風音聞きつつ花想ふ 3月12日( 金) 曇り 「 身土不二」 とは「 身体( 身) と環境( 土) とは不可分( 不二) である」 という事。「 身体と大地は一元一体で あり、人間も環境の産物で、暑い地域や季節には陰性の作物がとれ、逆に寒い地域や季節には陽性の 作物がとれる。暮らす土地において季節の物( 旬の物) を常食する事で身体は環境に調和する」 というも のである。俗に住んでいる所の一里四方の物を食べて暮らせば健康でいられると言われる。 芽柳のいよいよ青く 花近し 3月13日( 土) 晴れ キャベツの原産地はヨーロッパ。地中海沿岸に自生していたアブラナ科の野草が原種。古くから栽培 され、古代ギリシャやローマでは、酒の酔いを醒ます効能があるとされた。江戸時代に日本に伝わり、 広く栽培されるようになり、現在は大根に次いで多く栽培される野菜になった。キャベツは茎が短く、太 陽の当たる外側の方が葉の成長が早く、玉になる。千切りキャベツは銀座煉瓦亭が発祥の地。日露戦 争で人手が足りなくなってそれまで茹でていたキャベツを生のまま出したところ好評で、その後もこれを 出すようになった。 菜の花の黄色に染まらず紋白蝶 3月14日(日) 晴れ 愛媛県の宇和海は、南北65キロに及ぶリアス式海岸で、入り組んだ湾を利用して養殖が古くから盛ん に行われてきた。最近養殖による海の富栄養価で赤潮が頻発するようになった。対策としてコンブに注 目して、「 宇和海で昆布を育てる会」 が発足したのは1年前。コンブは海の汚れの原因となるチッソやリ ンを吸収して育つ。しかし北の産物であるコンプは温度が高くなると枯れて海を汚してしまうので、夏の 前に刈り取り、アワビの餌にすることにした。さらにさらにアワビが出すフンをエサとするナマコも一緒に 育て、海を汚さない養殖が可能になった。宇和島の人々は少しでも海に負担をかけずに海と暮らしてい こうとしている。 助けられ助ける命山笑う Good News No.67 ∼ ちょっと良い話・面白いこと ∼ 3月15日( 月) 曇り 中米・ グアテマラでは、燃料や電気を一切消費せず、農作業に役立つマシンが注目されている。非営 利団体「 マヤ・ ペダル」 は、古自転車のリサイクル部品を再利用して、ペダル稼働式機械を開発。製粉機、 脱穀機、ミキサーなどの機器が製造され、作業効率が10倍アップされた。マシンの設計・ 製造は、カナ ダ人とマヤ人のボランティアが行っている。低コストで、部品も単純なものばかりなので、故障も自分で 直せる。クリーンエネルギーで、環境にもやさしい。 宵闇に浮かぶ数多の白木蓮 3月16日( 火) 晴れ 水彩画家安野光雅さんは、子供の頃から絵が好きで、いつのまにか絵描きになった。学校で習っ たことも、誰かに教えられたこともない。絵を描くには、テクニックも必要だが、その前に何を描 きたいか、描きたいものを持っていることが必要。それには美しいものに感動したり、美しいもの を紡ぎだしたりする感性がなくてはならない。安野さんの原風景は、故郷津和野の景色。原風景に 似た風景を目にすると心が動かされると言う。 春風邪や頭の中も薄霞 3月17日( 水) 晴れ キユーピーはマヨネーズなどの製造過程で発生する卵殻を 100%再資源化しているが、用途を学用 品分野に拡げ、黒板用チョークの原料としての供給を開始した。卵殻を洗浄、殺菌して粉末化し、天然の 糊と混ぜられてチョークを作る。天然素材を使用したチョークの製品化は初めて。「 コッコチョーク」 と呼 ばれるこのチョークは、20ミクロンと粉末粒子が大きい( 通常のチョークは数ミクロン) ため、黒板で字を 消す時に粉が飛散しにくい。通常のチョークの原料は、硫酸カルシウムか、鉱物由来の炭酸カルシウム だが、卵殻は天然の炭酸カルシウムなので、体にやさしく、その粉はそのまま学校菜園や花壇の土壌 改良剤となる。 傲慢なマスコミの仕打ち春寒し 3月18日( 木) 曇りのち雨 トランプの発祥地はインドや中国という説があるが、古代インドで使われていた占い用具のタロットが ジプシーによって西洋に伝えられた。14世紀後半ヨーロッパ全土に広がり、カードの図柄や枚数なども 変わっていく。スートと呼ばれるトランプのマークは、フランス国王シャルル7世がデザインしたと言われ る。スペードは剣の変形で王侯・ 騎士、ハートは聖杯で僧職、ダイヤは貨幣で商人、クラブは棍棒で農民 を表した。ジョーカーが加わったのは19世紀後半で、大道芸人や愚か者の象徴。日本にトランプが伝え られたのは室町時代末期。鉄砲と共にポルトガルから伝えられた。 震えるか冷き雨に花咲かず 3月19日( 金) 曇り 92歳の日野原重明医師は、75歳以上の老人を「 新老人」 と呼び、新老人に社会の力になってもらう 運動を2000年から行っている。最近の研究によれば、食事のカロリーを制限すると、かなり健やかに 長生きすることが証明されている。さらに身体的にも精神的にも、社会的にも良い環境で生活すると、老 いても輝いて生きることができることが、報告されている。同氏によれば、幸福とは求めるものでなく、結 果として与えられるもの。人をゆるす愛の心が大切。戦時中の体験から言えるのは、人をゆるし助け合 う生き方により苦難に耐えることができること。これを孫や曾孫に伝えるのが新老人の使命だと言う。 妹の大きな牡丹餅舌鼓 3月20日( 土) 雨 The Journal of Neuroscience (2003)に発表された論文によれば、脳細胞は何歳になっても成長する。 脳は使えば使うほど、機能を高めることが可能なのだ。ボケない脳をつくるためには、( 1) 運動により、 脳の血流を増やし、脳細胞に酸素や栄養を与える。( 2) 寝ている間の脳では目覚めている間の情報が 整理される。しっかり睡眠をとることにより、覚えたことをしっかり記憶する。( 3) 勉強をすると神経細胞 の突起が伸び、枝分かれし、脳細胞が増える。また勉強をする意欲が脳を活発化する。( 4) 脳の栄養の ためにはブドウ糖、アミノ酸、脂肪酸を多く摂る。青魚に多い脂肪酸DHA、EPAには学習能力を高める 働きがある。脳の血管を若返らせるには、イチョウの若葉やL―カルニチンが有効。 清しきや二分咲きの花に春の雪 3月21日(日) 晴れ 海苔は、地味な存在ながら散らすだけで料理の格を上げる。飛鳥時代には海苔は不老長寿の妙薬と して珍重された。江戸時代に現在の形、板状の乾し海苔が登場する。これが売り出されたのが浅草寺 の門前だったことから、乾し海苔を総称して「 浅草海苔」 と呼ばれるようになった。千葉県船橋市では、今 では数少ない天日干しの海苔を作っている。海苔が乾くときの「 パチパチ」 という音を「 海苔が鳴く」 と言 い、鳴き終わると乾し海苔が完成する。 海苔鳴く や浜の干場の昼下がり Good News No.68 ∼ ちょっと良い話・面白いこと ∼ 3月22日( 月) 雨 春の語源は、「 万物『 発る』 候なればいうという」 ( 大言海) という節が有力で、そのほかに、「 草木の芽 が『 張る』 意、また田畑を『 墾る( はる) 』 意、気候の『 晴る』 意からとも」 ( 広辞苑) という説もある。『 春』 とい う漢字は、「 三人の日」 と書くが、草を表す「 艸」 、芽と根がでる意味の「 屯」 、そしてお日様の「 日」 が組み 合わさって出来た漢字。英語で『 春』 は、spr i ng。春は「 芽が出る」 時であることから( ランダムハウス) 。 うっすらと芽吹く 林に花コブシ 3月23日( 火) 曇り 英誌 New Scientist(2.21)によれば、遺伝子レベルででは人もチンパンジーも大差ない。違いは、ゲノ ムの種類や数ではなく、その働き方にあるらしい。ゲノムには遺伝子を作るものと遺伝子の発現の仕方 をコントロールするものがあり、後者については人とチンバンジーでかなり違う。一方、人のゲノムは突 然変異を起こしやすく、これが人類の強み。遺伝子が次々に複製を作り、その過程で突然変異を繰り返 していけば、それだけ環境の変化に対応しやすい。 やはらかな雨にけぶるや春の山 3月24日( 水) 雨 緩速濾過法とは、1829年に英国の James Simpson が開発した砂濾過法で、戦後、アメリカの影響と 水道水需要の急増により、塩素を使う急速濾過法に大きく転換されるまでは、日本でも上水道のほとん どが緩速濾過法を採用していた。原水は細かい径の砂層により一日3∼6メートルとごく遅い速度で濾 過する。砂層の表面に微生物の粘質膜ができ、この微生物膜の働きで濁りや細菌、藻類、油やアンモニ ア性窒素、有機物や異臭味、鉄やマンガンまでもが効果的に除去され、美味しくて安全性の高い水をつ くることができる。微生物の膜は表面から20∼30 ㎝下層の砂にまで及び、病原菌も除去される。 菜の花の黄色冴ゆるや雨の中 3月25日( 木) 曇り 明治40年生まれの藤木菊江さん( 97歳) は、今でも毎日台所に立つ。料理が好きで、戦前は料理教 室の助手などした。戦後、一流の料理人に学び、料理学校の副校長を務め、「 料理を愛する人」 の育成 に努めた。今でも自分で食べる分は自分で作る。一日3食の献立を考えると忙しくてボケる暇もない。歯 はすべて自分の歯。歯磨きは欠かしたことがない。美味しく食べるためだから毎食後念入りに5分以上 かけて磨く。食事は盛りつけも大事と、美しい盛りつけにも心がけている。 水色もどこか暖か春の海 3月26日( 金) 晴れ スペインを代表するフラメンコダンサー・ 振付家、アイーダ・ ゴメスさんは、12歳でスペイン王立芸術 高等学校を主席で卒業し、スペイン国立バレエ団に入団。プリンシパル・ ダンサーになり、世界各地の劇 場で活躍したが、背中の痛みなどで退団。医者からもう踊れないと宣言されたが、5年間のリハビリの 後復帰。新しい踊り、新しい芸術を生みだしてきた。「 人生はあらゆることに意味がある」 と言う。 花の下永久に眠れる異邦人 3月27日( 土) 晴れ 天然の昆布は北の海でしか採れない。主な産地は利尻・ 日高・ 羅臼。北海道では古来から乾燥昆布 が保存食として利用されていた。8世紀には朝廷への献上品として歴史に登場する。室町時代には船で 北海道から敦賀へ、そして京都へと運ばれた。江戸時代には「 北前船」 で昆布が運ばれ、江戸時代中期 に西回り航路ができると、天下の台所・ 大阪まで運ばれるようになった。現在では昆布の全生産量の半 分は大阪に陸揚げされ、加工される。醤油が普及していた大阪で発達したのが佃煮昆布や塩昆布。昆 布は正月料理など、おめでたいときに使われてきた。ミネラルが豊富に含まれるがノンカロリーで、成人 病、高血圧、便秘等への効果や美容食として最近注目を集めている。長寿県・ 沖縄の一世帯あたりの昆 布消費量は全国平均の2倍。野菜の種類の限られる沖縄では野菜代わりに重宝され、日常的に使われ ている。 墓地の中シート広げて花見客 3月28日(日) 晴れ 梅原猛さんの書の書き方はいったって簡単。花の字を書くときは花になり、鳥の字を書くときは鳥にな り、風の字を書くときは風になり、月の字を書くときは月になった気分で字を書く。漢字はもともと象形文 字。字の中にそのものの形が宿り、心が宿っている。だから煩わしい規則にとらわれず、そのものの心 になって字を書けばよい。梅原さんが風という字を書くときは、いつの間にか風になり、空を飛んでいる 気がするそうだ。 三日月の見つめる桜今満開 Good News No.69 ∼ ちょっと良い話・面白いこと ∼ 3月29日( 月) 晴れ インドの女性建築家リバティー・ カーマトさんが目指すのは、「 自然に還ることのできるエコロジー建 物」 。大学を卒業後、スラムの再生プロジェクトに参加して、一見汚い、土と廃材だけのスラムの建物が、 伝統的な智恵に裏付けられた、機能的に優れた建物であることに気付いた。政府が勧める焼き煉瓦は、 製造過程で山の木を大量に使い、環境破壊につながる。自然乾燥させて作った日干しレンガを積み上 げた建物は、家を壊せば次の日からでもその場所で畑ができる。カーマトさんによれば、日干し煉瓦で も屋根をしっかりするなど構造に工夫を加えれば、耐久性に問題がない。カートマさんが設計した日干 し煉瓦を積み上げ、泥を上塗りして造ったリゾートホテルは、大地に包まれているような安らぎが感じら れ、欧米の雑誌で紹介され評判をよんだ。 さはさはと風戯れる大桜 3月30日( 火) 曇りのち雨 作家村上龍さんは、「 サバイバルの勇気を与えるものを書きたい」 と言う。「 13歳のハローワーク」 は、 子供たちが希望を持つための処方箋。「 好きで好きでしょうがないこと」 を職業として考えるために、好奇 心の対象別に514種の仕事・ 職業を紹介するもの。自分に向いたぴったりの仕事は誰にでもあるはず という考えに基づき、ぴったりの仕事を自分で探すための本。「 何も好きなことがない」 という子たちのた めのページもある。 老桜威厳と気品に圧倒され 3月31日( 水) 晴れのち曇り 京都の友禅職人だった森本喜久男さんは、「 幻の黄金の糸」 と呼ばれた「 クメールシルク」 の伝統を再 生させようと奮闘している。カンボジアのシルクは、丈夫で美しく、繊細で華やかとされたが、20余年続 いた内戦で途絶えかけている。1996年、カンボジアに「 クメール伝統織物研究所」 を設立。伝統の残る 村を探し歩き、生き残ったお年寄りの経験や知識を元に試行錯誤を繰り返す。研究所には、内戦で家族 を失った貧しい女性たちを中心に300人以上のスタッフが働いている。2001年に「 伝統の森再生計 画」 を発足し、荒地を開墾し、桑畑を作り、赤い染料に使う巣を採るため、ラックカイガラムシを寄生させ るグアバの森を育てている。2003年7月に始めた養蚕で、伝統の森から生糸を作ることができるよう になった。クメールシルクの伝統を知らない若い村人たちとともに、新たな伝統を生み出そうとしてい る。 青空と柳・ 桜の協奏曲 4月1日( 木) 晴れのち曇りのち雨 4月1日はエイプリル・フール。日本では万愚節とも言うが、フランスではポワソンダブリル(Poison d'avril・ 4月の魚) と呼び、魚をかたどった魚肉のムースを食べたり、魚を象ったチョコレートが菓子屋の 店頭に飾られる。「 4月の魚」 の呼び名の起源には色々な説がある。魚はサバ( maquereau) を指し、サバ はあまり利口ではなく4 月になると簡単に釣ることができるからという説。4月になると太陽が魚座をは なれるからという説。サバには誘拐者、俗語で「 淫売宿の主人・ ひも」 という意味もあり、4月は人をだま す者が多いからという説。16世紀に国王シャルル9世が1年の始まりを4月1日から1 月1 日に変え、新 年に贈り物を交わす習わしがあった人々が4月1日に見せかけの贈り物をしたからという説。poisson は 元々は passion=「 キリストの受難」 を意味し、キリストが保守派の祭司長たちに愚弄されたことを忘れ ないために騒いだり、嘘をついたりしたという説。フランスでは魚の産卵期の 4 月 1 日から釣りが禁止に なるからという説などなど。 ユーモアはすばらしき智恵万愚節 4月2日( 金) 雨のち晴れ 浜本裕子さんは、4年前まで広告会社のクリエイティブティレクターだった。59歳で退職し、今度は外 でやる仕事をしたいと、ハローワークを覗いていたら、都立技術専門学校園芸科の案内を見つけた。高 校入試の問題集を買い猛勉強。見事に試験に合格。卒業後食品メーカーの緑地管理の仕事についたが、 2年半勤めて辞め、「 植木屋」 として独立。トラックを運転するために車の免許を取得。造園技能検定試 験2級にも合格した。「 挑戦するのがおもしろい。挑戦して新しい自分を発見している。興味があったら やってみればいい」 と言う。 4月にはやはりまっ紅なチューリップ 4月3日( 土) 晴れ 古くから日本人に親しまれてきた味噌。その種類は全国に千数百。大豆を発酵させる麹の種類によっ て、米味噌、豆味噌、麦味噌の3種類に大別される。味噌の起源は古代中国といわれるが、昔は高級官 僚の給料として支給されるくらい庶民には手の届かない贅沢品だった。味噌が日本に根付いていく背景 には3人の武将の活躍があった。名武将のもとに味噌あり。武田信玄の「 信州味噌」 、伊達政宗の「 仙台 味噌」 、徳川家康の「 八丁味噌」 。戦の際の兵糧として味噌を利用し、現在も続く代表的な味噌ができた。 庶民に広まっていくと、味噌は家単位で作られるようになる。それぞれの家庭で原料の配合や仕込み法 が違い、その家独自の味があった。自画自賛を意味する「 手前味噌」 という言葉は自分の家の味噌の味 が一番ということから転じた言葉。 チンチンと都電発車す春うらら 4月4日(日) 雨 信州伊那谷の要地を臨む高遠城は、武田信玄の命により築城され、江戸時代には内藤氏の居城で、 700余年にわたり、伊那谷の政治・ 文化の要所として栄えてきた。明治の廃藩置県で城は民間に払い 下げられ、旧藩士らが馬場にあった桜を本丸跡に移植した。現在1500本あまりにもなった桜は、小彼 岸桜の変種。こぶりで赤みを帯びる可憐な花。満開になると城跡全体が桜色に染まり、そのかなたには 残雪を頂く中央アルプスや南アルプスが望める。 飛鳥山今も庶民の花見の宴 Good News No.70 ∼ ちょっと良い話・面白いこと ∼ 4月5日( 月) 晴れ 9歳のジョン君は1型糖尿病。不足するインシュリンを補うために、カロリー計算をし、毎日何度も適量 のインスリンを自分で注射する。緊急時に糖尿病患者であることが分かるよう、I Dプレートのブレスレッ トを常に身につけている。このブレスレットが人目に触れるのが嫌でたまらなかったジョン君だが、昨年 ニュージーランドで同じようにI Dプレートをつける警官に出会い、そんな気持ちががらりと変わった。警 官は自分のプレスレットを示して、「 僕も同じのをつけているよ。だけど、僕は強くて逞しい。このブレスレ ットは、君が生きるために全力で闘っている勇気を示すものなんだ」 と言ったのだ。その後、ジョン君は 自分のプレスレットを誇らしげに身につけるようになった。 咲き初めし朝の枝垂れのすがすがし 4月6日( 火) 晴れ 長野県小布施町にある創業250年の「 桝一」 を蘇らせたのは、「 台風娘」 のあだ名を持つ米国女性セ ーラさん。10年前に入社し、半世紀前にすたれてしまった木桶仕込みの再開を説得。木桶仕込みは、 扱いに手間がかかるが、味に深みがでるのだ。木桶職人を探し出し、木桶仕込みの技術を持つ大杜氏 に頼み込み、2000年に特別容器入り「 白金」 を限定発売し、完売。「 何かやろうとしたとき、やらないた めの理由はたくさん浮かぶが、大切なのは、どうやったらできるか智恵を出すこと。やる価値があれば、 理由は一つしかなくても挑戦しなければつまらない。熱意と忍耐強さがあれば、たいていのことはでき る」 と語り、町の人が自慢したくなる町づくりに奔走している。 月満ちて花盛りなり京の宵 4月7日( 水) 晴れのち曇りのち雨 岐阜県の北西部の根尾村は、四方を山岳に囲まれ、中央に根尾川が流れる。天然記念物「 根尾谷の 薄墨桜」 は、樹齢約1500年、幹周9.2mの巨木。毎年4 月頃には、東西24mもある枝に見事な花を一 面に咲かせる。薄墨桜は、桜の全種 300 余種の内でも名花とされる品種で、蕾のときは薄いピンク、満 開に至っては白色、散りぎわには特異な淡い墨色を帯びてくる。根尾の薄墨桜は1400余年前、継体天 皇が、難を逃れて根尾に18年居住し、京へ帰るとき、その記念として植えたと伝えられる。「 身の代と遺 す桜は薄住よ 千代に其の名を栄盛へ止むる」 という一首をさくらに添えた。大正初期の大雪で衰えを 見せたが、昭和24年起死回生の名手前田利行翁が238本の山桜の根接ぎに成功。昭和34年の伊勢 湾台風は、この老木に多大な被害を与えた。昭和42年この地を訪れた作家宇野千代女史の訴えにより、 知事が保護に乗り出し、岐阜大堀武義教授の診断により柵を作り根を守り、支柱を増やして枝を守り、白 いカビを削って幹を守ることなど指示。不死鳥のごとく蘇った老桜は、今年も満開の季節を迎えている。 花びらの上へ下へと蝶のごと 4月8日( 木) 雨のち晴れ 4月の誕生石はダイヤモンド。ダイヤモンドの語源は、「 アダマス( adamas) : 征服できない」 。ダイヤモ ンドは自然鉱物の中で最も硬い。15世紀、結婚に反対された宝石職人が「 ダイヤモンドが加工できた ら」 と無理難題を出され、石よりも固い意志の力で「 ダイヤモンドをダイヤモンドで磨く方法」 を見つけ、ダ イヤモンドを輝かせた。ダイヤモンドの石言葉は、「 不屈・ 清浄無垢」 。 雨の舗道花びら模様の面白き 4月9日( 金) 雨のち晴れ これまで捨てられていた規格外の野菜や、大きさが不揃いの野菜が食卓にのぼり始めている。値段 が安く、ネット通販や産直品で人気を呼んでいるのだ。中国野菜との価格競争を迫られ、農水省も手間 ひまかかる規格をなくす方向に転換した。さらに段ボールより容量があり、ある程度大きさがばらばらで も詰められるプラスチック製コンテナによる出荷で作業のスピードアップを図ることを推奨している。 山桜小さな若葉の愛らしや 4月10日( 土) 晴れ 3000年前の縄文時代の遺跡から山椒の化石が出土するなど、山椒は日本で有史以前から主に獣肉 と組み合わせて食べられていた。しかし生姜をはじめ様々な香辛料が伝来すると、その存在感は薄れ た。しかし江戸時代中期、醤油が一般に普及するとともに、鰻の蒲焼きや山椒の佃煮などで、山椒は再 び脚光を浴びる。また、味噌に山椒を混ぜて焼いた田楽など、ほかの調味料とあわせることでその独特 の香味を楽しまれるようになった。「 木の芽」 といえば山椒の芽。かつて山椒は日本中で家々の庭に植 えられ、4∼5月に葉を味噌と合わせたり、天ぷらにした。6月末には実を漬物にする。木はすりこぎに 利用された。 明るさの中でまどろむ春の朝 4月11日(日) 晴れ 米カリフォルニア州、シェラネバダ山脈の雪解け水を水源とするオーエンスレイクは、1913年、ロス アンゼルス市が水源として利用するため、上流に取水口を設置し、アクアダクトという水路を開設したた め、やがて涸れてしまった。塩の砂漠となり、周辺には砂嵐によりPM10という粒子の小さい砂がロス アンジェルス市まで飛び、ぜんそく患者が増え続けた。地元弁護士で、父、祖父とともに住民の治水訴 訟に代々取り組んできたドナルド・ オデールさんは、湖に水を戻す運動を続け、市は湖に水を戻し、自然 回復に努めるとともに、節水に努めている。 菩薩たち乗っているよな春の雲 Good News No.71 ∼ ちょっと良い話・面白いこと ∼ 4月12日( 月) 晴れ エジプトで「 トシュカプロジェクト」 と呼ばれる壮大な緑化プロジェクトが行われている。トシュカとは、古 代ヌビア語で「 よい若木の育つ地」 。3500年もの昔に使われていた運河のことだ。運河は干上がってし まったが、地下に河床があるため、少しの水で緑を育てることができる。化学肥料に頼った過去の失敗 を教訓に、ここで行われるのは化学肥料を使わない有機農法。枯れ葉に家畜の糞を混ぜて堆肥を作る。 エジプトの土から抽出された有効な微生物を加えた腐葉土は、ナイルの氾濫と同じ効果を持つ。作物を 守るため防砂林を植える。これらの方法により通常の4倍以上の収穫量が得られるようになった。今後 このプロジェクトを1500kmに延長する計画。 電車道も花大根に飾られて 4月13日( 火) 曇り 3月20日は、千葉県の潮干狩りの解禁日。潮干狩りの起源は古く、室町時代には厄除けの神事で、3 月3日の桃の節句に海に行けば、厄が洗い流せると言い伝えられていた。浅蜊の語源は「 漁る( あさ る) 」 。浅蜊に含まれるビタミンBはレバー並、カルシウムや鉄分も多く含み 、たんぱく質はたまご並と 云われるほど栄養価が高い。浅蜊の佃煮や深川飯は、江戸時代より育まれてきた食文化だ。 せり出し枝もたわわの八重桜 4月14日( 水) 曇りのち雨 稚内市内から南へ 20 キロの広大な丘陵地帯の新田さん夫妻の農場では、鶏のエサに特に気を遣っ ている。大規模に飼育する農家では一般に配合飼料が使われるが、新田さんは、スーパーで無料で分 けてもらった魚のアラや、十分食べられるのに見かけの悪さで捨ててしまう野菜や小魚など、地元で出 る食品廃棄物をエサの材料にする。集まった材料は3時間ほど煮込み煮沸消毒するし、米ぬかや小麦 を混ぜて毎日100キロのエサを作る。食べ物を粗末にせず、再利用することで成り立っていた、かつて はどの農家でも行われていた農業の原点を見つめ直し、新たな農業に挑んでいるのだ。 花咲かぬ桃の若葉に雨の降る 4月15日( 木) 晴れ 「 モーダルシフト」 とは、これまでトラックで運ばれていた貨物の輸送手段を鉄道や船に切り替えること。 輸送をトラックから船に変えると地球温暖化の原因となるCO2 の排出量を4 分の1に、鉄道に変えると8 分の1にまで削減できる。今年度から国が「 実証実験」 を本格的に開始し、コンピューターメーカーや、宅 配便などがこの「 モーダルシフト」 に取り組んでいる。鉄道輸送用のコンテナを自社の製品サイズに合わ せて作り変え、積載効率をとことん追求することで、CO2 だけでなくコスト削減にも成功したメーカーや、 顧客一件ごとに希望納期を調べ直した結果、大幅なモーダルシフトを可能にした企業もある。 窓開けて緑の風を部屋一杯 4月16日( 金) 晴れ 一坪半のプラモ屋だった海洋堂は、「 お菓子のおまけ」 でヒット商品を生み、年商30億円を上げるま でになった。生産は中国に任せ、営業部隊も持たない。人気の精密なフィギアを開発するのは、社員40 人の半数以上を占める原型師たち。宮脇社長は「 我が社の財産は、模型マニアとしてのこだわり」 と語 る。 トンネルの桜若葉もまた美し 4月17日( 土) 晴れ 志木市では、去年 8 月から、「 行政パートナー」 という制度を導入し、「 公務員でしかできない仕事」 以外 の仕事を積極的に市民に担ってもらう試みを始めた。また、公募した市民からなる「 市民委員会」 は、市 の事業案を自分たちのニーズに基づき評価し、予算の再配分を要求、実現している。 空に向け伸びる若葉の旺盛や 4月18日(日) 晴れ 春の田んぼを代表する野草であるレンゲソウは、中国原産のマメ科の2年草。花の姿が蓮に似てい るので蓮華( れんげ) と呼ばれ、一面に咲き乱れた色合いが紫色にそまった雲が連想されることから「 紫 雲英」 の字が与えられている。秋に種をまき、寒い冬を越さないと開花しない。稲刈りが終わり、しばらく したら、田んぼを耕し、1∼2mm程度の種を田んぼにまんべんなく蒔いていく。水田にわざわざレンゲ の種を播いたのは、マメ科植物の特徴である「 空中の窒素を固定する根粒菌」 の働きと、レンゲをその まますきこんで緑肥にするためだったが、最近は時間がかかると敬遠されがち。花はミツバチの蜜源と しても重要。 一面の緑世界に驚愕す Good News No.72 ∼ ちょっと良い話・面白いこと ∼ 4月19日( 月) 曇りのち雨 名古屋市の臼井さんのエコハウスには、自然の恵みを最大限活かすための様々な工夫が施されて いる。屋上に設置されているのは、風力発電のための風車と、太陽光発電をするための大きなパネル。 太陽光による発電量は最大4kw、家で使う電力のほとんどをまかなえる。また屋上に植物を植え、室内 の暑さ寒さをやわらげ、光熱費を節約。冬の暖房には、自分で組み立てた暖炉で、知り合いの業者から 譲り受ける廃材を燃やす。エコハウス作りの出発点は、雨水利用。金魚の水換えにはじまり、トイレやお 風呂へと使い道を広げ、現在では飲み水にまで利用。10年前に「 雨水利用と緑化を進める会」 を立ち上 げ、「 もったいない精神」 から始まった暮らし方が、環境に気を配る人たちに少しずつ広がっている。 足早に春通り過ぎ目眩覚ゆ 4月20日( 火) 晴れ スウェーデン語の lagom( ラーゴゥム) とは、「 ちょうどよい」 ( 量) ということ。「 必要ぎりぎり」 や「 質素」 よ りは多くてもよい。ちょっとした贅沢や快適さ、余裕が許される量が lagom だ。世界の人々に lagom の考 え方を広め、人々が大量消費の生活について考え、多すぎない量を基本に生活する世界を築くこと--これが環境活動家でミュージシャンの米国人、アラン・ アトキソンさんの夢である。 半袖に風心地よい薄暑かな 4月21日( 水) 晴れ 昆布だしなど天然調味料で国内トップクラスのシェアを占める焼津水産化学工業。社員200人ながら、 カニ殻から精製するキチン、魚の皮や骨から作るコラーゲンなど機能性素材を次々と開発、大手メーカ ーからの引き合いが絶えない。松本会長は、「 捨てているものにこだわったことで道が拓けた」 と言う。 日本中お日様マークだ夏近し 4月22日( 木) 晴れ 4月22日はアースデー( 地球の日) 。1970年4月22日、カリフォルニアの市民運動家デニス・ ヘイズ の呼びかけで、全米で2000万人が「 環境保護に地球市民として取り組む」 集会を行った。この日を契機 に地球環境保護の市民運動がスタートし、アメリカ政府や自治体の環境行政に大きな影響を与え、アメ リカに環境保護庁がつくられる契機となった。この年以来、毎年4月22日をアースデーと決め、特に20 周年にあたる90 年には、世界各国で大規模な行動が繰り広げられた。この日は日本でも、毎年、植樹、 コンサート、環境問題の展示会、ディスカッションなど、さまざまな催しが行われる。 板の間の冷たさ嬉し夏隣 4月23日( 金) 晴れのち曇り 春の代表的な味覚タケノコは、10日ほどで竹になる。竹かんむりに旬の字をつけて筍という字ができ た。タケノコ生産量世界一の中国では、いろんな種類のタケノコがあり、年間を通して食べられる。日本 には、江戸時代後期に孟宗竹が入ってきてタケノコ栽培が普及し、タケノコ料理も開発された。「 竹取物 語」 では、かぐや姫は3ヶ月で成人になる。タケノコが芽を出し3ヶ月で竹になってしまう驚異の急成長を 見て、竹には不思議な力があり神が宿ると信じられた。 風渡る木々の若葉を揺らしつつ 4月24日( 土) 晴れのち曇り 奈良県初瀬の山間の真言宗豊山派総本山の長谷寺は、「 花のみてら」 と呼ばれ、四季の花木に彩られ る。とくに牡丹は有名。山腹の本堂へ伸びる399段の登廊の両側には、150種7000株の牡丹が山肌 を緋色、白色に染め上げる。 石楠花の開き初めの色が好き 4月25日(日) 晴れ 人口約220万人の名古屋市は、1998年には1人1日当たりのごみ排出量は1251gと、日本平均を 上回っていた。それが2001年には916gと、3年間で3割近くの減量化に成功した。もともと隣の岐阜 県多治見市に廃棄物の最終処分場( 埋立地) を設けていたが、そこも98年にはあと2年でいっぱいにな ることが予想され、次の候補として計画していたのが、藤前干潟。ところが全国でも有数のシギやチドリ の飛来地であるため、埋立を中止し保全すべきだという世論が高まり、名古屋市は断念。ごみ非常事態 宣言を出し、市民向けキャンペーンを行うとともに、粗大ごみの有料化、集団資源回収の促進、指定袋 の導入、容器・ 包装ごみの分別回収など、あらゆる手段をとった結果の減量化だった。藤前干潟は 2002年にラムサール条約に登録された。 初夏の森緑の工場フル回転 Good News No.73 ∼ ちょっと良い話・面白いこと ∼ 4月26日( 月) 晴れ アフガニスタンでペシャワール会が行っている用水路の取水口周辺の工事が3月に完了し、用水路 の一部が通水された。水源のクナール河は夏と冬の水位差が3.5メートルを超える。川の水位が下が る冬季に取水口の工事を済ませないと工事が1年遅れるので、日本の16人の若者が、強烈な陽射しと 冷たい水の中で、600人の現地作業員と一緒に、汗と泥にまみれて働いた。コンクリートは水門の一部 と架橋に使われただけで、ほとんどは現地で維持可能な伝統的技術が用いられた。護岸は蛇篭を2段 重ねて水路壁とし、この上に土嚢を3段積んで、その隙間に柳を植えた。今回完成したのは2kmほどで、 予定の14kmの一部に過ぎないが、現地で入手できる素材の使い方、重機の扱い、作業員の監督術を スタッフが習熟し、土質や地形の理解も深まり、地元の人々の圧倒的支持を得て、「 工事は半分出きたと 言える」 と、中村哲医師は語る。 やはらかな山ウド若葉天ぷらにす 4月27日( 火) 嵐 世界中の海で乱獲による漁業資源の枯渇が問題になっている。秋田名物の「 はたはた」 は、最盛期に は、2万トンの水揚げがあったが、その後減少の一途をたどり、10年くらい前にはほとんど獲れなくなっ た。乱獲も大きな要因だが、ホンダワラの藻場が激減して産卵場所がなくなったのが大きな要因。5年 ほど前、危機を感じた漁師たちが2年間漁を自主的に禁止し、人工的に藻場を作り、徐々に漁獲量が回 復した。漁業資源の回復は世界でもあまり例がなく、注目されている。漁師たちは、増えたもの以上は 漁獲しないなど、資源の保護に努めている。 吹き抜けてものみな逆立て春荒れる 4月28日( 水) 曇りのち晴れ 雷 カブが日本に入ってきたのは弥生時代。日本書紀には持統天皇が五穀を補う作物として栽培を奨励 したことが記されている。京都を代表する千枚漬けは、日本で最も大きい聖護院かぶら。聖護院かぶら の起源は、江戸時代後期近江地方からカブのタネを持ち帰り聖護院の周りで栽培が始められたこと。最 初扁平だったカブは、土壌の性質により丸く、大きくなった。野沢菜もカブの葉。江戸時代に健命寺の住 職が天王寺かぶらを持ち帰り栽培したところ、あまりの寒さにカブの根が育たず、茎と葉が伸び、それを 食べたのが野沢菜。東京・ 葛飾区金町で明治の末に生まれたのは、金町小カブ。青物が乏しい春先に 取れるように品種改良された小カブで、春先に出回るカブはこの種類。 春雷や天人の世を諫めるか 4月29日( 木) みどりの日 晴れ 宮崎県の気仙沼では、豊かに育った森から流れ出る水が豊富な海の生物を育むよう、漁師と山の地 区の住民が手を携えて植林する「 森は海の恋人植樹祭」 が10年以上も続いている。この活動を始めた 畠山さんは、牡蠣の養殖に長年携わっている中で、海がおかしくなってきたことを実感し、漁師の植林運 動を始めた。十数年の活動で、流域の人の意識が変わり、海の生き物が戻ってきて、ウナギやタツノオ トシゴも取れるようになった。 みどり豆みどりの若葉みどりの日 4月30日( 金) 晴れのち曇り 丸田宗彦氏は、佐賀県武雄市黒牟田焼の窯元に生まれ、益子・ 浜田篤哉氏の元で修行の後、故郷に 戻り、古唐津を手本に作品を制作している。「 土」 にこだわり、地元を歩き回り、いろいろな土を採取する。 中には扱いの難しい土もあるが、そういう土をだましだまし使うと、思いもかけない良いものができる。 「 人間は自分の焼き方に土を合わせようとするから『 悪い土』 などと言うが、土に合わせて焼けば、はっ とするものも生まれる」 と、語る。 竹の子の味噌煮盛りつけ木の芽添え 5月1日( 土) 晴れ 日本国内のテニスボール使用量は1年間で約3,000万個。ほとんどが廃棄処分されている。この使 用済みボールに切り込みを入れて、子供たちの学校での机や椅子の脚にはめ込むことで、机や椅子を 移動する際の音がとても静かになり、子供たちの集中力やコミュニケーションが改善される。NPOのグ ローバル・ スポーツ・ アライアンス( GSA) は、4年間に全国の566校にテニスボールを提供し、今年春 には「 提供数延べ100万個!」 を達成した。この活動によって、スポーツ用品のリユーズによる環境負 荷軽減と、教育現場での学習環境の向上という2つの社会貢献ができる。 シャクヤクの無数の花弁球を成す 5月2日(日) 晴れ 映画「 エリザベス」 で数々の映画賞獲得、アカデミー主演女優賞にノミネートされたオーストラリア出身 の女優ケイト・ ブランシェットは、その美貌とともに確かな演技力で実力派女優の地位を築いている。映 画は共演者との共同作業なのだから、役柄を自分の中で作ってしまわないで、常に周りに耳を傾けるこ とが大切と考え、監督も自分と同じ考えの人でなく、むしろ正反対の人の方が、作品が小さくまとまらず、 面白い作品ができると言う。また俳優は大勢の目に曝されて批判されることも多いが、惑わされないた めには、すべきことを見極め、それにすべての情熱を注ぐことが大切だと語る。 青春の歌口ずさむ暮れの春 Good News No.74 ∼ ちょっと良い話・面白いこと ∼ 5月3日( 月) 憲法記念日 雨のち晴れ 太極拳の先生は日本滞在30年の中国人。日本人と中国人は顔かたちが似ているが、中国人がリラッ クスしているのに対して、日本人は緊張しているのですぐに区別がつくと言う。いざという時に力を出す ためには、日頃はリラックスしてなければならない。日本人は椅子式の生活に慣れ足腰が弱ってバラン スをとって立つこともできないし、体全体を有機的に組み合わせて行う複雑な動作もできないと嘆き、中 国では老人でもポーズをきめることができるのにと言う。 霧雨にツツジの匂ふ朝の道 5月4日( 火) 曇り 突風 Vegetarian Times5月号によれば、アメリカで「 アジア風ティーハウス」 が注目を集めている。落ち着い た雰囲気の中で、お茶とアジア風の小さな茶菓子を楽しむ場所で、アメリカ各地に100軒以上ある。た とえば首都ワシントン郊外にある Ching Ching Cha は、中国茶の店だが、ランチタイムには日本製の弁 当箱に入った昼食を出す。ニューヨークカーへのお勧めは、パークアベニューのオフィス街にある Franchia。韓国風ベジタリアンのティーハウス。 川の面に飛び交うはツバメ?尾の形 5月5日( 水) こどもの日 曇り 鰹といえば一本釣り。鰹は非常に身の弱い魚なので、網などで引き上げると、魚同士がぶつかり、そ れだけで身が崩れてしまうので、古くから一本釣りという漁法がとられてきたのだ。鰹はその傷み易さか ら「 毒魚」 とも呼ばれていた。江戸時代土佐で鰹の刺身による食中毒が発生し、時の領主から鰹の生食 禁止令が出た。どうしても刺身を食べたいと思った庶民が、土間で藁を焼いて表面だけあぶり焼き魚に 見せかけて食べ、鰹のタタキ( 別名「 土佐作り」 ) が生まれた。江戸っ子は初物好きで、中でも鰹の初物 は特に好まれた。 子供の日子ら巣立ちをり母訪ねる 5月6日( 木) 曇り 長岡市は人口19万人だが、10年間に人口が12%減少した。市が高齢者を対象に住まいに対する 意識調査をしたところ、5割が中心市街地やその周辺に住みたいと答えた。市では町の活性化を兼ね、 町の中心部に高齢者が集中して暮らす地区を建設中。町の中心部では医療施設や商店などの既存スト ックを利用できる。周辺の道路をバリアフリーにし、民間業者に補助金を出してバリアフリーの住宅建設 を奨励。高齢者向けハローワークや生涯学習施設も建設した。サポートセンターを2カ所設置し、高齢者 にヘルパーや看護士を派遣し、テレビ電話で相談に応じ、食事サービスを提供している。市では消費が 拡大し、町が活性化すると期待している。 カクテルといふ名の薔薇の風に揺れ 5月7日( 金) 晴れ 「 くりくりのいた夏」 をTV で見ました。舞台は1930年代のフランスの田舎。沼地で貧しく暮らすちょっ と頭の足りないリトンとその家族。そんなリトンを憎めず、何かにつけ世話する隣家の復員兵ガリス。現 在は成功して町に住むが、沼地の生活を懐かしむ老人。リトンの娘、愛くるしいクリクリの目を通して、彼 らの日常生活がたんたんと語られる。豊かな自然の中で、貧しくとも自由で心豊かな生活を営む人々。 豊かな生活が当たり前の今、一番大切なものは何か、忘れてしまったのは何か思い出させてくれる作 品。 帽子の庇の向こう五月の光 5月8日( 土) 晴れ 伊勢市の大久保和夫さんの発明した風力発電機は、わずかな風でも発電できる画期的なもの。長さ1 m、重さ1.5kgのアルミニウム製の羽が地面と水平に回るため、どんな風向きでも、またわずかな風で も作動し、騒音がほとんどない。住宅地の一般家庭で使える。大久保さんは大学卒業後電気会社に就 職、発電機など開発していたが、2年前テレビで見た竹とんぼ大会に優勝した竹とんぼの羽が飛行機の 羽に似ていたことにヒントを得て、この風力発電機の形を思いついた。物作りの原点は実験と確認と語 る大久保さんは、実験を重ね、わずかな風で動く羽の形を見つけた。現在は価格80∼100万円。節電 で元をとるには20年かかるが、災害時の利用、開発途上国の利用など、活躍が期待される。 ぬか漬けのキュウリ三本1 50円 5月9日(日) 曇り 東急不動産はシニア住宅を開業した。施設内は全てバリアフリー化され、ライフスタイルなど に応じた多彩な住居タイプとともに、健康チェックを行なう「 健康管理室」 、栄養管理されたメニュ ーを提供する「 レストラン」 、ゆったり寛げる「 大浴場」 、カラオケや麻雀などを楽しむ「 娯楽室」 な どの共用施設を備えている。そのほか、フロントサービス、家事支援サービスなどの各種サー ビスも提供していく。要介護時には提携介護施設に追加負担なく移行することができる。 ラベンダーベランダに揺らそか花の市 Good News No.75 ∼ ちょっと良い話・面白いこと ∼ 5月10日( 月) 雨 ポンピドーセンターのコンペに優勝し、現代の建築界の最先端を行く建築家として世界から注目をあ びている坂茂氏は、災害被災者、難民、ホームレスなどマイノリティ層の住宅問題について、ネットワー ク作りをするとともに、建築家として積極的に取り組んできた。ラップの芯のような、再生紙を用いて作ら れる紙管を使った「 紙の建築」 を建設し、阪神大震災やルワンダでも活躍した。紙は丈夫で、軽く、生産・ 加工が容易で、かつ美しい。材料調達や残材処分に際して環境破壊を起こす可能性も少ないなど、メリ ットが多い。 小手毬にピンクもあるか川辺道 5月11日( 火) 晴れ 対馬に生息するツシマヤマネコは、遠い昔、大陸と陸続きだった対馬が分断される際に、島に取り残さ れ貴重な生き物。60年代には、300頭生息していたが、最近激減。原因は、多くの人が島が職を求め て離島し、森が荒れ、田がすさみ、川が死にかけ、海から海藻が消えてしまったという連鎖的環境破壊 にある。ヤマネコは島の食物連鎖の頂点に位置し、野ネズミを食べ、野ネズミはドングリなど食べるが、 そのドングリが消えてしまった。こうした中、残された島民たちが、ツシマヤマネコを救うために、ドング リを植え、豊かな森を再生させる活動を進めている。そのことは、また、自分たちが従事する林業、農業、 漁業の復活にもつながる。 五月晴れとまでいかずに湿気あり 5月12日( 水) 晴れ レッドウッド国立・ 県立公園は、サンフランシスコの北430kmの海岸に沿って巾36㎞、長さ約720㎞ に及ぶ細長いベルト状の公園。この地方は多雨で霧が多く、こうした環境が、推定樹齢1500年、幹囲 20m、高さ100mに及ぶ木々を育ててきた。森に入るとカリフォルニアの砂漠地帯とはうって変わって 湿気が多く、地面は多くのシダや下草で覆われて鬱蒼としている。この森は4000年以上もの間ネイテ ィブ・ アメリカンたちによって守られてきた。しかしゴールドラッシュと共に、縮みや腐敗に強い良材であ るレッドウッドの伐採が急激に進んだ。「 レッドウッド保護連盟」 の運動により州立公園に指定されたが、 その後も破壊が進み、自然保護団体のシエラ・ クラブの訴えなどにより、1968年に国立公園が誕生。 1980年には世界遺産に登録された。 ※「レッドウッド国立公園の巨樹古木」 <http://www5e.biglobe.ne.jp/~hama -fuj/redwood.htm>で森が眺 められます。 風薫る都会の川に白鷺が 5月13日( 木) 曇りのち雨 New Sci ent i st ( 4.17号)によれば、カナダのベンチャー企業が新次元の抗体を開発した。従来の抗 体は目標とする細胞( 病原体) の外側に取り付いて、そこに免疫細胞を呼び寄せ、集中攻撃をかけさせ るのが主な役目だった。しかし新開発の超抗体は、自由自在に細胞内に入り込み、目標とする物質に取 り付き、その機能を抑えてしまう。例えば細胞の自死を促す酵素に取り付けば、心臓発作や脳梗塞など による細胞の自死を遅らせる。エイズの原因物質である HIV や発がん物質についても効果が期待でき る。この超抗体は、通常の抗体にMTS と呼ばれる特殊なタンパク質をくっつけたもの。MTS は細胞内へ の自由な出入りを許可する信号を発するタンパク質で、成長因子などに含まれる物質。ただし実用化へ のハードルは高いようだ。 独り居の夜に雨音強まれり 5月14日( 金) 曇り 香港誌Rev i ew(4.29号)によれば、インドの第2の都市カルカッタ( 正式名コルカタ) が長い眠りから 覚めつつある。英国統治時代の首都だったが、独立後は衰退の一途を辿り、1977年に共産党が州政 府を握ってからは、企業の脱出が相次ぎ、失業率が上昇し、もっぱらマザー・ テレサの慈善事業で知ら れる町になっていた。しかしここにきて州政府が現実路線に転換し、外資誘導に積極的な姿勢を示し、I BMは今年中にカルカッタのスタッフ数を倍増して4000人規模にするなど、バンガロールに次ぐハイテ ク都市に変身しつつある。 黄アヤメの水面に映る雨の池 5月15日( 土) 曇り 鰺の干物は、日本の朝食の食卓を飾る代表的なものだが、鰺は干物にすると栄養価が高まる。沼津 市では全国の鰺の干物の40%が生産される。明治から大正、昭和にかけて駿河湾で獲れる豊富な鯵 は沼津の名物になった。温暖な気候と海からそよぐ乾いた浜風が天日干しにはぴったりの条件だった。 干物のおいしい焼き方は、最初に皮の方から焼くこと。そうすれば脂の乗った旨みが身に染み込む。皮 の方を70%ぐらい焼いたら裏返して、身の方を30%ぐらい焼くのが、おいしい食べ方。 豆飯や緑匂ひて炊き上がる 5月16日(日) 曇り一時雨 相撲の人気混迷の中2002年に日本相撲協会の理事に就いた時、北の海敏光さんの決断は「 下手に 動かない」 だった。「 がっぷり四つに組んで動きが止まる時、下手に仕掛けてスキを見せることになるだ け。グッと我慢して相手が息を吐く瞬間を待つ。息を吐いた時には、力がぬけるから」 という北の海さん は、目立たないが着実な改革を実施してきた。 馬走る葵祭りの町を抜け Good News No.76 ∼ ちょっと良い話・面白いこと ∼ 5月17日( 月) 曇り 地球上の生命の40億年の歴史の8割以上の時間は微生物だった。生命が大きくなったきっかけの謎 に迫る「 全球凍結(Snowbal lEar t h)」 仮説が注目を集めている。22億年前と6億年前の2回、地球は 海も陸もすべてが凍りついたというもの。この異変は、地球全体の食物連鎖を破壊し、すべての生命を 絶滅寸前にまで追い詰めた。原因は皮肉なことに生命自身。光合成の開始が酸素を生み出し、大気中 の温室効果ガス・ メタンを激減させ、寒冷化した。ところが、この危機が進化の停滞を打ち破るきっかけ になった。全球凍結が終わったあとの地球は一転して高熱地球となり、そこで光合成生物が大繁殖して、 酸素濃度が激増し、この酸素を利用して生物は巨大化を達成した。巨大化の鍵はコラーゲン。酸素濃度 が上がると、生物はコラーゲンというタンパク質を大量生産する。これが細胞の接着剤となり大型化を可 能にした。全球凍結という大変動を経て、生物は初めて人間への進化を始めた。 地底より湧き出づるごとアマリリス 5月18日( 火) 曇り 米誌Ti me( 5.3号) によれば、建築は発展途上国でこそ栄えるもので、今の中国がまさにそれ。北京 ではレム・ クールハースが中国中央テレビの本社ビルを手がけているし、広州ではイラン人の女性建築 家ザハ・ ハデットが巨大オペラハウスを手がける。ロンドンを拠点とするハデッドは、ほとんど実現不可 能な独創的デザインで知られており、欧米では敬遠されがちだが、今の中国では斬新さが歓迎されるよ うだ。しかし急激な再開発は都市を没個性化する。クールハースは北京市内を視察した際、古い町並み の保存を強く訴えたそうだ。 千年の真柏青葉みづみづし 5月19日( 水) 曇り 北海道北見市では、下水処理の際に出るガスをエネルギーとして有効利用する取り組みを20年前か ら続けてきた。市の下水処理場に集まる5万トンもの汚水には、微生物や有機物がたくさん含まれてお り、微生物が有機物を分解する過程で燃えやすいメタンを含んだガスが発生する。人間が食べ物を消 化する様子に似ていることから「 消化ガス」 と呼ばれるこのガスは、LPG・ 液化石油ガスに混ぜられ、都 市ガスとして家庭に送られる。しかし2008年から都市ガスの規格が変わり、火力の強い天然ガスを使 うことが決まったため、熱量が低い消化ガスを再利用することができなくなる。市は地元の北見工業大 学と共同で研究を続け、二酸化炭素を取り除きメタンの量を増やせば消化ガスが天然ガスとほぼ同じ熱 量を持つことをつきとめた。また、独自の方法でメタンの濃度を100パーセントに近づけることにも成功 し、今後の再利用が期待されている。 花菱草咲き乱れる見て舟の行く 5月20日( 木) 雨 5月20日は「 森林の日」 。岐阜県の美並村など、村名の頭に美の字がつく10村が「 美し村連邦」 を建 国するにあたり、10村に関わりのある森林を再認識し、その建国を記念して制定した。森林は木が5つ で構成されるので5月。木の画数は4なので5x 4で20日。新緑の美しい5月20日とした。日本は国土の 66%が森林。ブラジルの57%、カナダの50%、アメリカの32%と比べても森林国である。 青紫岸辺に揺れるちどり草 5月21日( 金) 晴れ エンドウ豆はツタンカーメンの墓からも出土しているが、原産はメソポタミア地方。ここからヨーロッパ やアジアアへ広まった。日本への伝来は1000年前。遣唐使によってもたらされた。しかし元来乾燥した 気候を好む植物で日本の気候風土ではおいしく育たず、乾燥豆を保存食として利用する程度で、「 乃良 豆」 と呼ばれた。江戸時代の後期、砂糖の普及とともに、エンドウ豆はみつ豆や豆大福、五色豆などの 和菓子に欠かせないものになった。明治時代にはヨーロッパで改良されたサヤエンドウやグリーンピー スが伝わり、日本でもさらに品種改良され、多湿な気候でも栽培が可能になった。 緑蔭に囀り聞こゆ名は何や 5月22日( 土) 曇り 米誌Busi nesss Week( 5.10号) によれば、インターネットを販売促進や決済に利用するeビジネ ス( e−bi z ) が帰ってきた。第一波は20世紀末で、21世紀の幕開けとともに砕け散った。消費者相手の e−bi z で生き残ったのは書籍などの通販と株の売買、旅行の予約ぐらい。しかし新たに6つの分野でe −bi z が成功しそうだと同誌は言う。第1は宝石類。アメリカの宝石市場は年商450億ドル。今のところ オンライン通販は20億ドル程度だが、成長率は高く、書籍で成功したアマゾンも4月から宝石販売に乗 り出した。第2は小切手の電子化。今でもアメリカでは年間400億ドル相当の小切手が切られている。 同誌によれば、今後3年間にその4分の1が電子化されそうだ。あとは、インターネット電話、ホテルの 予約、不動産販売、ソフトウェアの配布である。 梅雨寒や熱いコーヒー所望され 5月23日(日) 曇り メガネでも十分な視力が得られない低視力者は国内で約100万人いる。これらの低視力者がメガネ のように簡単にかけられ、はっきり見られるようにする装置を、科学技術振興機構のチームが開発中。 水晶体によるピント合わせが不要になり、水晶体が機能不全でも、くっきりした画像が網膜に投影される。 すでに試作品を完成。2006年秋にはベンチャー企業を立ち上げて販売を始める予定。 曇天に十薬の花の白清し ( 1週間お休みをいただき、第77号は2週間後に発行します。) Good News No.77 ∼ ちょっと良い話・面白いこと ∼ 英国特集 5月31日( 月) 晴れ イギリス全土の面積は日本の半分、人口も半分なので、人口密度は日本とあまり変わらないはずだ が、田舎に行くと、どこまでも続く緑の田園地帯や広大な森がある。平地が多く山の少ないイギリスでは、 どこも農耕や牧畜に適しているからだ。そんなイギリスの田舎を旅行していると、なだらかな丘陵地帯 が石や灌木でいろいろな大きさに区切れているのに気づく。これは中世に全国的に起こった囲い込み 運動( Enclosure) の名残で、村の共有地を私有地化した時の境界線。この囲い込みが整然としていない のは、この囲い込みが土地の伝統や習慣、個人の判断に任されていたからだ。 新緑のなだらかな丘また丘また 6月1日( 火) 雨 イギリスの伝統料理のラムは、生後60日の仔羊の肉が最高とされている。ラムの季節は春。イギリス の国内では仔羊が生まれるのは、南の端のチャネル諸島に始まって、徐々に北上し、最後はスコットラ ンドのハイランド地方になる。何となく日本の桜前線の北上と似ている。毎年食肉業者は、生後60日の ラムを求めて、チャネル諸島からスコットランドまで、春とともに北上する。 顔黒き仔羊草食む五月の牧 6月2日( 水) 曇り ウィリアム・ モーリスは、イギリスが世界の工場になり、環境汚染され、労働者が抑圧されていたヴィ クトリア時代に、人間らしい生活の理想を求め、自然をモチーフにパターンを制作しながら、民衆による 民衆のための芸術について語った。インドから学んだ染色の技法を化学染料と機械捺染で台無しにして しまったことを嘆いたモリスは、手を藍で染めながら、美しいチンツ( 更紗) を蘇らせた。そこに染められ た植物のパターンは今もイギリスの風景を彩る季節の花々である。 霧雨や羊佇む緑の蔭 6月3日( 木) 晴れ 「 ピーターラピットのおはなし」 の作者として有名なビアトリス・ ポターは、裕福な家庭に生まれたが、休 暇で過ごす田舎の生活を愛し、美しいものを見るとスケッチした。後半生は湖水地方で過ごし、1943年 に77歳で没するまで、この地方に生息するハードウィック種の羊の改良に力を注ぎ、第一次大戦中は 男手の乏しい農場で自ら働き、自然保護の目的でこの地方の土地や農場を購入。遺言により、夫の死 後いくつもの農場と400エーカー以上の土地が、そのままの状態で保つことを条件にナショナル・ トラス トに寄付され、今も当時と同じ美しい姿を見せている。 北国の遅き夕焼け湖面染む 6月4日( 金) 晴れ パブ( Public House) は英国人の日常生活に欠かせない。現在英国内にあるパブは61,000軒。パブ 人口は2700万人。実に成人男性の10人に6人が常連だという。パブは社会の中立地帯。社交の中心 であり、友人同士で待ち合わせたり、見知らぬ物同士が知り合ったりする場所。誰でもパブへ飲みに行く。 だがそれが第一の目的ではない。飲むのは口実。ほんとうの目的は社交の潤滑油が欲しいのだ。 美しき六月のイギリス我は今 6月5日( 土) 晴れ トラファルガー広場の鳩は、エサを求めて人の手に乗ったり、頭の上に止まったりするので有名だが、 イギリスでは鳩だけでなく雀までもが人の手に乗ってエサを食べる。用心深い雀を手なづけるのは、一 朝一夕にはいかない。昔ロンドンを訪れた高浜虚子は、「 雀等も人を恐れぬ国の春」 という俳句を詠んだ。 この虚子の句は、句碑になって、今でもキュー・ ガーデンに残されている。 夏の朝スワン眠れるエイボン川 6月6日(日) 雨 梅雨の入り 英国人にとってサンデーランチは特別の意味がある。もともとサンデーランチは日曜日に教会の礼拝 から戻った家族が、みんなで昼食を取ることから始まった。今は宗教色は薄れて、礼拝に訪れる人はめ っきり減ったが、その名残で食事の習慣だけは残っている。だから日曜日はどこにも出かけずに、家族 みんなでのんびりと過ごす。英国人は家庭を大事にするので、サンデーランチの習慣も続いている。ふ だんの英国人の食事はいたって質素。しかしサンデーランチにはローストチキンやプディングが並ぶ。 温かい料理は温かいまま食卓に出す。だから英国料理には大きなオーブンが欠かせない。 青嵐イングランド旗モーターウェイ Good News No.78 ∼ ちょっと良い話・面白いこと ∼ 6月7日( 月) 雨 明治時代の鉱毒事件で知られる足尾銅山では、銅山より流れ出た鉱毒により川が汚染され、銅を精 錬する過程で発生した亜硫酸ガスにより周囲の山々が草木一本生えないはげ山に変わり果てた。この 足尾銅山では、今、奇跡的に山々の緑が回復し、多くの野生動物が戻りつつある。シカやカモシカ、サ ルが野山をかけ、日本各地で姿を消し絶滅が心配されるツキノワグマまでもが子育てするようになった。 50年前、山に緑を取り戻そうと、はげ山となった山に麓から土を運び、落ち葉が土を豊かにする広葉樹 を植えた。これにより表土が回復し、周囲の山々から他の植物も侵入し根付き始めた。山に緑が回復す ると、食べ物を求めて数多くの生き物たちが戻ってきた。こうして世界でも例がない森の自然の再生が 実現した。 ツバメ飛ぶ中低空を思うまま 6月8日( 火) 曇り ノルウェー・ ハンメルフェスト市は、真冬でも凍らない不凍港として有名で、一年を通じて安定した海流 が流れる。元船乗りのフレディリクソン氏は、巨大ダムに代わる発電のため、仲間と共に潮力発電装置 を開発し、町に近いクバルスン海峡に設置した。これまでの潮力発電は大量の水を一度に放水して生 態系に悪影響を与えるが、この発電機は、タービンを海底に取り付けるため、環境への影響が少ない。 また潮の満ち干の両方の力を利用できるので、海峡を流れる、世界の平均の6倍という速さの潮流を活 用して安定的かつ効率的に発電できる。1基3億円の発電機で、年間70万キロワット発電し、個人の電 力消費量が世界一というノルウェーで30世帯の需要に相当する電力を賄うことができる。 水音も涼しく 聞こゆ川辺道 6月9日( 水) 曇り 英誌 New Scientist(5.22)によれば、常識破りの生命体が発見された。大きさが大腸菌の1/100程度 のナノバクテリアだ。ナノバクテリアの存在が初めて指摘されたのは1988年のこと。だが多くの生物学 者は否定的だった。このほど米ミネソタ州の研究者チームが「 腎臓結石や動脈硬化に関与していると思 われるナノバクテリア」 の存在を突き止めたと発表。固くなった動脈から採取した標本を培養したところ、 普通の生物と同じように細胞分裂を行って増殖し、DNAの存在も確認できた。事実だとすれば、このナ ノバクテリアの増殖を抑えることで心臓病を予防または治療できることになる。 勤勉になれぬ時節よ汗の噴く 6月10日( 木) 曇り ダイキン工業の高橋部長は、人工透析を受けながら対中国ビジネスを続けている。小学校以来の親 友の医師が「 努力したら85%は普通の生活を送れる」 と言ってくれた。85%という数字が絶妙だった。 過剰な期待を持たせず、大きな希望を抱かせる。心境を聞かれると「 不便ですが、不幸ではありません」 と答える。「 感謝」 とか、「 人のお陰」 という言葉もごく自然に出てくる。 バラの香やじめじめ梅雨の一休み 6月11日( 金) 曇りのち雨 英誌Economi st ( 5.15) によれば、いわゆるドットコム企業の2003年の売り上げは1000億ドル弱 と推定され、今年はさらに増えて1200億ドルに達する見込みだ。今やアメリカのネット利用者は男性よ りも女性が多い。女性が増えればショッピングが増える。そうなればネット上で販売される商品はサービ スの種類も増える。今度こそオンライン通販のテイク・ オフは本物だと同誌は見る。アメリカでは自動車 のショールームを訪れる人の4分の3が事前にインターネットで車体の色やオプションの種類を選んで 知る。もちろんどの販売店が一番安いかもチェックしてから来るから、全体として販売価格が引き下げら れる。さらにインターネットは起業コストも圧縮する。目抜き通りに立派な店を構えなくても良いし、すぐ に世界中の顧客を相手にできるからだ。だが消費者の個人情報や口座番号を盗む犯罪行為も増えてい る。これらの詐欺行為を防止するシステムの開発が課題だ。 怪談の舞台になりそな夏柳 6月12日( 土) 雨のち曇り 京都市栂尾にある高山寺には日本で最も古い茶園がある。お茶の歴史は、この茶園から始まった。 およそ800年前、中国に渡り仏教を学んでいた栄西禅師は、茶の栽培に強い興味を抱き、中国から茶 の種を持ち帰り、「 喫茶養生記」 を記した。曰く、「 茶は末代養生の仙薬、人倫延齢の妙術なり」 。茶葉は 揉まず、漢方薬のようにすりつぶして飲む、抹茶に近いものだった。高価なお茶は、特権階級の飲み物 となり、やがて京都の文化と結びついて、日本独特の「 茶の湯」 が誕生する。茶道を精神文化にまで高 めたのが千利休。利休が活躍した時代、茶の生産地は、栂尾から宇治に移った。 土砂降りの雨に紫陽花大きく 揺れ 6月13日(日) 曇り 静岡県中部、大井川下流にある金谷町。川沿いに広がるのは日本最大、5000ヘクタールもの茶畑 が連なる牧の原台地。最後の将軍徳川慶喜は、大政奉還によって静岡に下ったものの、失業した大勢 の家臣をかかえて困り果てていた。そこに持ち込まれたのが、牧の原開墾計画。手始めに 200 名あまり が入植し、慣れない手つきでクワを振るった。この計画の立案には、旧幕臣の大物、勝海舟が深く関わ っていた。明治10年、500ヘクタールの茶畑開墾に成功。今に続く牧の原の基礎となった。 南天の小さき花びら積もる頃 Good News No.79 ∼ ちょっと良い話・面白いこと ∼ 6月14日( 月) 晴れ 栗山真理子さんは、ネットで「 アラジーポット」 を発足させ、アレルギーについての薬や食事のレシピな どの情報を発信している。二人の息子が喘息だった。発作の日々に、5歳の息子に「 モノだったらよかっ た。苦しくないのに」 と言われ、絶対治してみせると決心して「 こわいお母さん」 に変身。治療を根気よく続 けた甲斐があり、兄弟とも小学校3,4年の頃発作が治まった。今20代の息子たちは、すっかり元気だ。 「 わがまま病だとか、親が神経質だという誤解が当事者を苦しめる。正しい治療に加え、ちょっとした手 助けで元気に生活できることを分かってほしい」 と言う。 梅雨晴れの山麓時折湯煙立つ 6月15日( 火) 晴れ 日本は四季を通じて雨が多く、多彩な様相を見せる。氷雨、春雨、五月雨、梅雨、夕立、秋雨、霧雨、糠 雨、細雨、煙雨、小雨、微雨、涙雨、慈雨、大雨、豪雨、雷雨、暴雨、山雨、長雨、地雨、陰雨、霖雨、俄か 雨、通り雨、村雨、驟雨、白雨、村雨、天気雨、時雨など、雨を形容する言葉も多い。雨天から落ちてくる 自然の恵み。「 雨」 という字の上部は、「 天」 を表す。6月が雨の季節なのに「 水無月( 6月) 」 と呼ばれるの は、「 旧暦の6月( 7月下旬∼8月) が梅雨明け後で水不足の季節だから」 という説や、「 水の月→水な月 と変化した」 など諸説ある。 同期して光る蛍や湯の壺川 6月16日( 水) 晴れ 1977年6月、日本のプロゴルファーで初めて、樋口久子さんがメジャー大会で優勝した。優勝した全 米女子プロゴルフ選手権で、樋口さんは競技中に順位が分かるスコアボードを見ないことにした。冷静 にプレーするための作戦だ。だが偶然スコアボードを見てしまい、トップにある自分の名前を見た途端、 プレッシャーに襲われた。そこで、努めてキャディーに笑顔で話しかけた。笑いとおしゃべりは、プレッシ ャーを和らげる効果がある。そればかりか免疫力も高めてくれる。 六月の朝陽きらめく 露天風呂 6月17日( 木) 晴れ 先ごろ行われたスペイン皇太子の結婚式。花嫁はスペイン国営テレビの元職員。「 ご成婚」 はどこの 国でもめでたいことだが、英紙Weekl y Tel egr aph(6.1 号)によれば、輪をかけてめでたいことがあった。 かつての同僚が「 結婚祝い」 に贈った宝くじが、なんと8,000 ポンド( 約160 万円) の大当たりだったのだ。 空に伸ぶ芋蔓二重梅雨休み 6月18日( 金) 晴れ タマネギは中央アジア原産といわれ、古代エジプトでは強力な魔力のある活力源とされた。日本には 江戸後期、長崎の出島にもたらされ、明治期に大阪泉州で生育が開始されたが、当時はタマネギの臭 みが原因でなかなか売れなかった。明治の中頃、大阪で疫病が蔓延し多数の死者を出し、タマネギが コレラに効くとの風聞からタマネギを食べる人が増えた。14世紀ヨーロッパでペストが流行った頃、か の地にてタマネギの効用が宣伝されたからとも言われている。タマネギに含まれる成分は、硫化プロピ ルなどに変化し、殺菌作用がある。 心地よき風吹き渡る夏の夕 6月19日( 土) 晴れ アマゾン・ ドットコムの環境計画および管理部門でベストセラーになった『 カサンドラのジレンマ−地球 の危機、希望の歌』 』 ( 原題“ BELIEVING CASSANDRA” ) は、環境問題を警告する書。カサンドラは、トロ イ最後の王の美しい末娘で、アポロン神から未来を予言する力を授かるが、アポロンを愛することがで きなかったため、誰も彼女の予言を信じないという呪いをかけられる。カサンドラはトロイの人々にギリ シャ軍が攻めてくると警告したが、誰も警告を信じず、トロイは陥落してしまう。この本を執筆した米国人 アラン・ アトキソン氏は、「 人間的で持続可能な文化」 をテーマとする季刊誌I n Cont e x t の編集者を経て、 サステナブル・ シアトルを立ち上げ、コンサルティング会社At Ki sson&Associ at esを設立し、持続可能 な方法での社会発展とイノベーションをテーマに、北米・ ヨーロッパ・ オーストラリア・ アジアなどで、企業 や自治体へのコンサルティングを行いつつ、プロのミュージシャンとして3枚のCDも発表している。 花柄の裏地娘の夏帽子 6月20日(日) 曇り イカ釣り漁は数百年前からあり、小船に松明をともして漁火とし、手製の擬餌針を2つほどつけた簡単 な漁具を用い、目の前に集まったイカを釣っていた。明治時代になると松明が石油ランプやアセチレン 灯に代わり、やがて大正から昭和にかけて白熱灯が登場する。しかし基本的な方法は変わらず、年間 の漁獲量も5万トンを超えることはめったになかった。それが昭和28年、大変革が起こる。擬餌針をいく つの連結させた連結式の漁具が現れ、一度に何杯ものイカを釣り上げることが出来るようになった。す ずらん釣りだ。漁獲量は一挙に40万トンに増大した。昭和30年代になるとドラム型の手動式イカ釣り機 が登場、40年代には現在の自動イカ釣り機へと進化し、船も大型化、次第に漁場が拡大されてきた。 月下美人膨らむ蕾も女王級 Good News No.80 ∼ ちょっと良い話・面白いこと ∼ 6月21日( 月) 曇り後嵐 障害者の雇用が、今、大きく変わり始めている。障害者雇用促進法により、民間企業は、障害者を雇 用者総数の1.8%雇用することになっているが、障害者を多く雇用する特例子会社を作り、親会社と通 算して雇用率を達成することができるようになり、企業の障害者雇用が増えた。障害者を特別扱いせず、 能力の発揮や競争を求めることで、雇用を増やしつつ企業として成果を挙げるところが現れ始めたのだ。 企業の社会的責任が問われる現在、積極的に障害者雇用を推進する企業もある。障害者は社会的に自 立できることで、充実感を持てる。障害者用施設などの社会的費用も節約できる。 大空に雲の芸術夏台風 6月22日( 火) 晴れ カリスマ社長と呼ばれた創業者を引き継いで任天堂社長に就任した岩田聡氏は、以前プログラマーと して腕を振るっていたハル研究所で、経営再建を任された。経営については何も知らなかった。大きな 目標を設定し、開発部門に特化して社員を減らし、能力主義に基づく給与改革を断行。残った社員全員 に面接をし、自分の力をどこまで出し切っているか、一人ひとりに確認した。再建に際して心がけたのは、 物事に正しい優先順位をつけ、段取りを決め、人、金、時間などの資源を有効に管理すること。ゲーム 作りと同じだった。 日傘さし蔭選んで行く 炎暑かな 6月23日( 水) 晴れ 新宿の高層ビル群から北へ10キロ。団地は森を囲むように建てられている。24年前、入居した住民 が参加して4万2000本の木が植えられた。現在、成長した木々は豊かな森へと姿を変え、住民たちの 暮らしになくてはならない存在になっている。団地には森の手入れをする住民ボランティアグループが ある。およそ100人のメンバーで、樹木の間伐や剪定、土留めの修理などをする。伐採した木を使って シイタケ栽培や炭焼きも楽しんでいる。東京の真ん中につくられた団地の中の里山。森を愛し、森を守 る人たちの、豊かな暮らしがある。 子供らと探し物の夢明け易き 6月24日( 木) 晴れ 明治の開拓期、厳しい冬が続く土地の瘠せた北海道の地では作物はなかなか根付かず、短い夏の 間に育ち、大量に収穫できる作物を探し出すことが北海道開拓の鍵を握っていた。当時輸入業を営んで いた川田龍吉男爵は、寒冷地でも丈夫に育つジャガイモ品種をイギリスから北海道に持ち込み、広めた。 この品種は北海道の気候に馴染み大規模に栽培されるようになり、川田男爵にちなみ、男爵芋と名づ けられた。 緑と黄ズッキーニ煮てラタトゥーユ 6月25日( 金) 雨 世界中の選手や監督が一目置く最強のサッカー審判、ピエルルイジ・ コッリーナ氏は、もうすぐ定年退 職する。FIFA 国際サッカー連盟の審判員の定年は45歳。留任を望む声も高いが「 ルールを守るのが審 判の役目」 と語る。イタリア生まれ。名門ボローニャ大学の経済学部を首席で卒業。その前後に脱毛症 を患い現在のスキンヘッドになった。子供の頃からサッカー好き。だが選手としては芽が出ず、級友に 誘われ審判の講習会に出席し、素質を認められ、審判員に。23歳でアマチュアの全国大会レベルの審 判員に昇格した。31歳でプロ最高峰セリエAにデェビュー。1995年に FIFA の国際審判員リストに登録 され、厳しいが選手を敵に回さない冷静さで「 最優秀」 の評価を固めた。 隣家より紫陽花顔出すこの季節 6月26日( 土) 曇り 古びた銀塩写真の色調をセピア色と呼ぶが、もともとセピアとはコウイカなどのセピア属のイカやそ のイカ墨から得た有機顔料のこと。イカ墨は西洋では古くに筆記用インクとしても使われ、レンブラント やダ・ ヴィンチもイカ墨を使っていた。本来のセピア色は、イカ墨スパゲッティあるいはイカの塩辛の黒 づくりのような黒色から黒褐色。しかし、時間とともに色があせていくことから、銀塩写真の変色もセピア 色と呼ぶようになった。 ドクダミの軸残るのみ梅雨本番 6月27日(日) 曇り 日野原重明さんは、うつぶせ寝を勧める。日本人の多くは背中を下にした仰向けで寝るので、寝たき りになると床ずれになりやすい。フランス人に床ずれが少ないのに気づいて調べたところ、フランス人 はうつぶせで寝る習慣があることが判った。腹側には骨が通っていないので床ずれを起こしにくく、仰向 けより体が動かし易いので以外に体を動かし、寝たきりになる確立が減る。まずは腹這いに寝て、でき れば大型のやわらかい枕を抱き抱えるような格好で寝るとよい。慣れない人は斜め横を向いて眠ること から始めるとよい。 青紫蘇を摘つんでちぎって冷や奴 Good News No.81 ∼ ちょっと良い話・面白いこと ∼ 6月28日( 月) 曇り後嵐 車椅子ビリヤードの世界大会で2位優勝した水澤洋二さんは、中学時代にテレビでビリヤードを見て 憧れ、20歳過ぎには県のトップレベルになっていた。一方、小さいときからスポーツ好きで、スキーや バスケット、剣道など、なんでもこなした。スノーボードにものめりこみ、32歳の全日本大会で、転倒した 選手に衝突され、背中の脱臼骨折をし、下半身の感覚を失った。痛みから解放されるとリハビリの毎日。 気の遠くなる半年だった。どうやって食べていくか、そればかり考えた。勇気づけられたのは、自分より 障害の重い人たちの励まし。退院後の県大会では健常者を相手に優勝した。だが身長は178センチの 彼が車椅子に乗ると140センチ。この目線の差がとてつもなく大きかった。体に染みついた昔の感覚を 消すため、初心者のつもりで基本からやり直し、ミスを記録して、苦手の局面を繰り返し練習し、今回の 2位優勝に結びついた。 天使浮く 天井画のよう夕焼け雲 6月29日( 火) 晴れ 洗剤の代わりに塩を使う食器洗い乾燥機が売れている。洗剤を使わず使った場合と同じ洗浄力にする ため、開発チームは水圧を上げたり、高温にしたりしたが、普通の水道水ではタンパク質が固まってこ びりついてしまう。スタッフが専門書をあさって解決策を探しているとき、「 塩溶効果」 の文字を見つけた。 カルシウムイオンとマグネシウムイオンを多く含む硬水には、タンパク質を溶かす性質があるのだ。硬 水は水道水に塩を混ぜた塩水をイオン交換樹脂に通せば作れる。1回目をこの硬水で洗い、同じイオン 交換樹脂に水道水を通して作るカルシウムイオンが少ない軟水で3回すすぐことで、洗った後コップなど に残る白い水滴の跡もつきにくくなった。無洗剤という衛生面でのメリットに加え、専用の洗剤を買わなく て済む安さも受け、業界2位に迫る10%近いシェアを確保している。 梅雨晴れ間まっ赤な葵咲きそろふ 6月30日( 水) 雷雨のち晴れ 千葉県に開設されたデイサービス施設は築200年近い古民家である。冷暖房や自動ドアなどが整っ た施設が必ずしもお年寄りに心地よい訳ではない。お年寄りがかつて住んだ家の雰囲気を醸し出す古 家では、お年寄りがほっとできる。お年寄りが過ごすのは、3部屋を開け放すと32畳になるスペース。 エアコンはない。窓を増やして通風をよくして、冬は近くで集めた薪をストーブで燃やす予定。 雷に目覚めし夜明け友想ふ 7月1日( 木) 晴れ 夏の風物詩の金魚は、約1700年前に中国の南部で発見されたフナの突然変異を改良したもの。我が 国には室町時代中頃に渡来。当時は貴族・ 富豪の愛玩物だったが、明治時代に庶民のものになった。 大和郡山市における金魚養殖は、柳澤吉里公が甲斐から入部した際に始まる。水質、水利に恵まれた 溜池が数多く、溜池に発生するミジンコが餌に適していたことが幸いした。英語で金魚は” Goldfish” 、フ ランス語では” poisson rouge” ( 赤い魚) 。金魚は赤以外に、黒・ 白・ 青・ 朱・ 黄・ 茶・ 金・ 銀などある。 雷雨去り秩父の山並み近づけり 7月2日( 金) 晴れ 米誌 Business Week( 6.21) によれば、Di gi t alconvergence( デジタル技術により様々な分野の技術 や製品が融合されること) の時代がやってきた。デジタル無線通信を中心に、コンピュータ( ソフトウェア を含む) 産業と家電産業、通信業界が合体しようとしている。しかも通信はアジアやヨーロッパに有力な 企業が多く、コンピュータはアメリカ、家電は日本が強い。だからグローバルな融合になる。同誌が選ん だ「 情報技術産業トップ100」 の第1位にランクされたのは、韓国のLG電子。韓国はデジタル無線通信 のインフラ整備が進んでいるので、通信系の企業と組めば将来性はI BMやマイクロソフトも上回るだろ うというのが、同誌の予測。 ハグロトンボ飛び立ち胴の青光る 7月3日( 土) 晴れ 梅干しは平安時代の中期の書物に登場し、「 村上天皇が昆布の入った熱い茶に梅干しを入れて飲ん で病気を治された」 という記述があるが、この梅干しは白梅で、塩漬けだった。鎌倉時代になると、梅干 しは武家の酒の肴とされ、この頃から、梅干しに紫蘇を入れるようになった。戦国の世には、武士の戦 用の食料として重宝された。当時の文献に「 戦いで息が切れたら梅干を取り出して見ろ。見るだけで、呼 吸が整い、唾液が出て喉の渇きも収まり元気が回復する」 と書かれている。江戸時代には、水戸、紀州、 小田原など各地の殿様がいざという時の兵糧にするため、梅の栽培を奨励した。現在いずれの地も梅 の名産地になっている。 夏の朝アメリカンブルーの青涼し 7月4日(日) 曇り マダガスカル島西部のムルンダヴァ近くに「 バオバブ・ アベニュー」 と呼ばれる場所がある。「 神が逆 さに植えた木」 と呼ばれ、地面から突然太い幹が生え、幹の先にわずかだけ枝葉のある、樹齢600年 から800年の奇樹たちが、幻想的な空間を作り出す。バオバブが地球上に現れたのは、今から1億年 前。人々はバオバブを恐れ崇める一方で、果実や葉は食用、樹皮はロープを編んだり屋根や壁に使う など、様々な形で利用してきた。バオバブは乾燥から身を守るために幹に水分を貯め、蒸散作用を抑え るために成長とともに枝葉を落としていく。樹皮の下に豊富な葉緑素を持っており、樹皮下光合成を行 う。 夏の月都会の屋根を照らしをり Good News No.82 ∼ ちょっと良い話・面白いこと ∼ 7月5日( 月) 晴れ 南米ブエノスアイレスに住む古瀬陽子さんは、アルゼンチン・ タンゴのダンサー。この町でプロと認め られている唯一の日本人。獣医師として働いていた29歳の時、タンゴの日本公演を見て魅力に取り付 かれた。両親を説得し、2年したら帰国すると約束して1990年に単身アルゼンチンに渡った。言葉も分 からない中で必死にダンスレッスンを重ね、92年にプロデビュー。95年にエフラインとペアを組み、オ リジナルステージ「 ネオタンゴ」 で、タンゴに新風を吹き込む。そのエフラインが2000年に病死。古い街 のたたずまいに慰められ、町の外の雄大な自然に勇気づけられ、陽気で温かく自分を受け入れてくれ るアルゼンチンの人々に励まされながら、自分だけのタンゴを踊ることを目指して、新しいパートナーと 練習に励む。 夏野菜溢れ混み合う農協店 7月6日( 火) 晴れ 北海道美幌市の老人福祉施設の本棟脇に窓のない奇妙な建物がある。金庫を思わせる厚い扉を開 けると、春先に周囲からかき集めた121トンの雪が詰まっている。ここで得られる冷気を熱交換機と送 風機で循環させ、ホールなどの冷房に使う。この貯雪で420時間分の冷房ができる。夏の短い北海道 では十分だ。雪が屋内の臭いや化学物質を吸着し、衛生面の効果も期待以上。雪の冷熱利用は北海道 や東北地方の豪雪地に急速に広がっている。 どことなく 大樹もうなだれ炎天下 7月7日( 水) 七夕 晴れ 織物の先生である友人は、生徒に好きな色の糸だけを選ばず、嫌いな色の糸を入れて織るよう教え ている。嫌いな色の糸は少しだけだが、これがアクセントになって思いがけないほど素晴らしい織物に なると言う。楽しいことばかりでなく辛いこともある人生はより豊かになる。怖いことが少し入っている物 語はより面白い。色々に応用できそうである。 暑き夜涼を求めて池の端 7月8日( 木) 晴れ インドでは先の総選挙で平等志向の会議派が勝利し、政治路線が「 成長最優先」 から「 貧富の格差解 消」 へと切り替わった。この政権交代により経済改革が遅滞ないし後退するとみる向きも多い。しかし米 誌Busi ness Week( 6.28) によれば、ほとんど文字を読めない人でも使える簡単なパソコンを低価 格で売り出す会社がインドに現れた。インドには欧米企業の下請けで力をつけたソフトウェア会社が多く、 その中で欧米企業の下請けから脱却し、国内にデジタル製品やサービスに対する需要を創出しようとし たものだ。世界に40億人いる貧困層を市場にできれば、世界に残された最大の成長源ということにな る。 暑いという言葉も失せて暑さ続く 7月9日( 金) 晴れ 農業が変わりつつある。農地法改正で株式会社に農業が許され、構造改革特区では建設業者など異 業種の企業が続々と農業参入に手をあげ、企業ならではのコストダウンや競争力のある農産物作りが 始まっている。その一方既存の農家も集落ごとに一つの農業企業( 集落法人) を作り、土地と労働力を合 理的に集約して収益性の高い農業を展開し始めた。これまで構造的に収益があげがたいと言われてき た農業だが、新しい試みで変わりつつある。 黄帽子の一団元気暑さ忘る 7月10日( 土) 晴れ時々雨 アメリカ南部太平洋岸にあるチェサピーク湾の「 チョサピーク」 とは先住民の言葉で「 カキの住む偉大 な海」 という意味。100年ほど前、海中には、船が座礁するほど多くのカキがいた。世界の4分の1の水 揚げ高を誇ったこともある。しかし今、カキの水揚げは激減。最盛期の2パーセントまで落ち込んだ。湾 の対岸はアメリカ有数の工業都市。窒素やリンを多量に含む工場や家庭の排水が流れこんだ結果、海 の富栄養化がすすみ、植物プランクトンが大量発生。海水は色を変え、病気が発生し、カキは次々と死 んでいった。バージニア海洋科学研究所のスタン・ アレン博士は、4年前汚れた海でもたくましく成長す る「 スミノエガキ」 を発見した。成長が早く、病気にも強い。水中の植物プランクトンを食べて水をきれい にすることも分かった。博士はチェサピーク湾で100万個のスミノエガキを養殖する実験を開始した。水 温の上がる季節でも病気にかからず、確実に成長している。市民のボランティアも協力し、湾を蘇らせる 運動が進んでいる。 石神井川鯉うらやまし暑さかな 7月11日(日) 曇り後雨 魚介類の消費王国ニッポンの中で、一世帯あたりの年間消費量の第一位は、イカ。輸入品も含めると、 日本人は全世界のイカのおよそ半分を食べている。世界の海に棲息するイカは450種あるが、日本で 日常的に食べられているのは、スルメイカとヤリイカ。それにスミイカの名で呼ばれるコウイカ。イカの 王様の異名をとるアオリイカは、江戸前の鮨ダネでお馴染み。日本列島北から南まで、一年中どこかの 海で水揚げされているイカは、刺身から乾物まで幅広く利用されている。値段が安くて料理しやすく、頭 から足まで全部使えるため、イカは家庭料理の王様で酒の肴としても人気者。日本各地の郷土料理にも バラエティーにあふれたイカ料理が沢山ある。 世の中は持ちつ持たれつ酔芙蓉 Good News No.83 ∼ ちょっと良い話・面白いこと ∼ 7月12日( 月) 晴れ 子供服メーカー・ ミキハウスの社長木村皓一さんは、3歳の時小児マヒに襲われ右足が動かなくなっ た。小学校に送り迎えしてくれた同級生の女の子に失恋。一念発起でリハビリに励み、新聞配達で足腰 を鍛え、やがて完治。夢や目標を持って努力することの素晴らしさを自分の体が教えてくれた。17万円 の手元資金で仕入れた生地を、デザイナーの妻が子供服に仕立て、子供服のメーカーを起こしたのは 35年前。今は海外25店、国内約200店の直営店を構え、スポーツ選手を支援し、アテネ五輪に総勢 13人を送り込む。がんばる若者を応援したいというのが動機だが、トップアスリートと同じ職場で働くこ とで社員にも夢を与えている。 テッセンの紫涼し一輪挿し 7月13日( 火) 晴れ 英誌Sci ent i st ( 6.19) によれば、罪悪感や恥じらい、同情や共感、憎しみなど、人間的な感情や社 会的な感情をコントロールしているのは、大脳にある「 わずか数万個」 の特殊な細胞かもしれない。これ は紡錘細胞と呼ばれるもので、その存在は100年以上前から知られていたが、1990年代後半になっ て、それが人間と類人猿にしか存在しないことが分かった。アルツハイマー病で死亡した患者は、通常 の人の4分の1程度減っている。まだ確認されていないが、この紡錘細胞の数が「 人間らしさ」 を決めて いるらしい。 蔵内の暗闇涼し和行灯 7月14日( 水) 晴れ 1977年7月14日、日本初の静止気象衛星「 ひまわり1号」 が打ち上げられた。これを記念して、7月 14日は「 ひまわりの日」 。ひまわりの太陽を思わせる黄色い花びらは虫を引きつける飾りで、褐色の部 分に約千の小さな花が並び、外側から中心に向かって順番に咲き実を結び、約千個の種ができる。一 輪だけど千の花。ひまわりの花言葉は「 あなたは素晴らしい」 。 笹敷の鮎の塩焼き湯気の立つ 7月15日( 木) 晴れ 眠気を覚ますには咀嚼筋を動かす運動が効果的らしい。咀嚼筋は、奥歯のあたりにあり、上下のあ ごの間についている。この咀嚼筋が伸びたり縮んだりすると、脳の中で眠気を感じている部分に刺激が 送られて、目覚めの効果が表れる。まずは奥歯を強くかみ締めたり緩めたりする運動を10回。次は咀 嚼筋を手のひらでこするようにマッサージする。手の指で押せるようにマッサージしてもよい。朝起きる ときや、日中眠気を感じたときなどにこの運動を行うと、眠気が薄れる。 雷鳴に竹の葉揺れる蔵の窓 7月16日( 金) 晴れ夕立 ゴマは古くから、神秘的な力を持つ食材とされてきた。ゴマはタンパク質と脂質が豊富で、セサミン、 セサモールという抗酸化作用のある成分が含まれて、このため神秘的な力を持つとされたのだ。徳川 家康は戦の勝利を左右するのは、健康管理と考え、ゴマを常に携帯していた。家康が考え出したのは 兵糧丸というゴマを使った携帯食。材料は、黒豆、くず粉、黒砂糖、そして黒ゴマ。戦場で疲れたときこれ をかじって、栄養補給をしていた。 雨上がり即一斉の蝉時雨 7月17日( 土) 晴れ 人形作家竹原淑恵さんは半世紀以上人形を作り続けている。始めたのは43歳の時。初孫に人形をと 思ったが、売っているのは魅力がなくて、誰にも習うことなく自分で作った。昭和20年代当時は日本中 が貧乏で、無いものは自分で作ったものだった。娘さんが婦人雑誌に応募して一等賞をもらったのを手 始めに、色々の賞をもらい、たくさん売れたが、いくら儲けたかは知らない。お金に執着しなかったから、 いい人形を作ってこられたと思う。モデルは孫や曾孫。人形の着物は自分や自分の母が着ていた着物 を利用。96歳の今も、お昼ご飯を忘れて夢中で人形作りをしていることがある。若い頃は病気ばかりし ていた。60代半ばに移り住んだ八ヶ岳山麓の空気と水のおかげか、今は病気の方が寄ってこない。朝 起きると、天気がどうであれ太陽を拝み、宇宙の神様に生かしてもらっていることを感謝する。 朝採りの桃かりかりと美味きかな 7月18日(日) 晴れ 荷物の運搬は腰痛の原因になる場合が多いが、運搬法を工夫することによりかなり予防できるという。 布団運びは、布団をたたみ、腕を前後に伸ばして短い方の両端を持ち、布団を引き寄せ、持ち上げる。 こうして運ぶと腰への負担はぐっと少なくなる。新聞紙などを運ぶ時は、手の指を痛めるのを防ぐため、 ひもを十字にかけて固定した後、折り曲げた新聞紙をひもの十字の部分と新聞紙の間にはさみ、はさん だ新聞紙の下に手を入れて新聞紙を運搬する。こうすれば手の指にかかる力が分散し、手の指を痛め ない。 遠雷に喜ぶ今日の暑さかな Good News No.84 ∼ ちょっと良い話・面白いこと ∼ 7月19日( 月) 晴れ カナダの西海岸バンクーバー島中央部には世界でも希少な温帯雨林が広がる。暖かい黒潮が生み だした霧が大量の雨を降らせ、コケや地衣類に覆われた高さ100メートルにも及ぶ巨木が群生する。コ ケは木の養分になるだけでなく、水に溶け、クジラの群れを養えるほど豊かな生態系を持つ海を育む。 しかしカナダではいまだに木材の9割が原生林から切り出されている。バンクーバー島の原生林も既に 4分の3が伐採され、多くは日本へ送られている。2500年ほど前からこの地に住む先住民族・ トラキア ット族の子孫のジョーさんは、反対運動に立ち上がり、紙を大量に消費する企業に原生林を使った紙を 使用しないように呼びかけた。マイクロソフト社など50社以上の世界的企業が応じ、レインコースト・ ブッ クス社は、世界的ベストセラー「 ハリー・ ポッター」 の最新版120万部を再生紙で出版した。 昼真中一生懸命蝉の鳴く 7月20日( 火) 晴れ 米誌Busi ness Week( 7.12) は今年上半期に際だった活躍を見せた「 アジアの星」 25人を選んで いる。同誌によれば、今年のアジアで最も意外だったのはインドの総選挙と日本の経済の回復。大方の 予想をくつがえして、イタリア生まれの女性党首ソニア・ ガンジー率いる野党・ 国民会議派が勝利したこ とは、インドで民主主義が機能したことの証。だからアジアの星NO.1 はソニア・ ガンジー。首相の座を経 験豊富なマンモハン・ シンに譲った英断も高く評価されている。経済改革の推進は首相に委ね、自分は 貧困の解消に向けた各種のプログラムを後押しする。一方日本経済の復調については、元気いっぱい の経営者と一部のガイジンによるところが大きいとしている。 記録的猛暑にめげずサルスベリ 7月21日( 水) 晴れ New Scientist によれば、テロメラーゼという酵素が注目を集めている。テロメラーゼは、ガン 細胞の90%に存在しているが、普通の細胞にはない。正常な細胞でテロメラーゼを持つのは人体 を構成するあらゆる臓器のもとになる幹細胞だけだ。がん細胞と幹細胞には際限なく増殖という共 通項がある。テロメラーゼを持つ細胞は、使い古しの細胞分裂装置を再生させる働きがある。だか らテロメラーゼを持つ細胞は死なない。このテロメラーゼの働きを止められれば、がん細胞も死に 絶えるはずだが、この酵素は構造が複雑で、まだ解明できていない。 土用の陽午前五時より刺すがごと 7月22日( 木) 晴れ 中国では冬至を起点として1年を24等分し、24節気( せっき) と呼び、季節を示す目標とした。古代の 黄河中・ 下流域の農業活動で培われた経験から生まれた季節区分なので、日本の季節には合わない。 日本では江戸後期以後、起点を立春とし、太陽の軌道を24等分したものを用い、24節気を用いている。 7月22日頃は大暑( たいしょ) 。梅雨明け後でもっとも暑気の激しい頃。ある季節が去り、次の季節に移 り変わろうとする頃を「 行合( ゆきあい) 」 という。とくに夏と秋の間を言う場合が多い。「 行合の空」 という のは、暑気と涼気が渾然として共に感じられる日のこと。 片蔭を野菜抱えた人の行く 7月23日( 金) 晴れ ひまわりの原産地は北アメリカ中・ 西部の広い野原。背は高くなく、花も小型だった。古代インカ帝国 では太陽の花と尊ばれ、石造りの神殿にはひまわりの花が彫られ、司祭や太陽神につかえる聖女たち は、金細工のひまわりを身につた。16世紀にコロンブスがアメリカ大陸を発見した後、、ヨーロッパに広 まり、観賞用に栽培、改良され、ロシアでは食用として改良され、畑で栽培された。フランスのルイ14世 は「 太陽王」 の名前の通り太陽の花ひまわりを好み、自分の紋章にした。ベルサイユ宮殿の正門には今 でもひまわりが植えられている。 植木より高き雑草夏休み 7月24日( 土) 晴れ トマトの原産地は南米アンデス山脈の高地。厳しい気候でも育つ、生命力の強い植物だ。その名はア ステカ語で「 膨らむ果実」 を意味する「 トマトゥル」 に由来する。大航海時代にヨーロッパに渡ったが、当初 は観賞用とされ、毒草だと誤解されていたため、口にいれる人はいなかった。ところが17世紀、イタリア のナポリ地方が深刻な飢饉に見舞われ、飢えをしのぐためトマトは食べられ、個性豊な食材と認められ た。こうして、「 悪魔の実」 という不名誉な称号を返上したトマトはナポリを発信地に、ヨーロッパ各地に広 がり、食卓に欠かせない食材となった。今では、トマトはイタリア語でポモドロ=「 黄金のリンゴ」 と呼ば れている。 カナカナの鳴き声短め新米か 7月25日(日) 晴れ 日野原重明さんによると、ラの音、つまりA音は、振動数が1分間に442ヘルツぐらいだが、不思議に 人の耳に心地よく響く。ナースの人たちは、トレーニングする訳ではないが、自然と声音をA音に揃えて いる。他人はもちろん、家庭でも第一声をラ音で歯切れ良く、できたら1オクターブ高い音で話すことを心 がけたら、心のハーモニーがかもしだされる。 三日月や祭囃子の始まりぬ ( 来週はお休みします。再来週またどうぞよろしく!) Good News No.85 ∼ ちょっと良い話・面白いこと ∼ 8月2日( 月) 晴れ 8月1日は「水の日」 。渇水や大雨など水への関心が高まるこの時期、水の大切さを考えようと、 「水の日」から 1 週間は「水の週間」とされている。地球は「水の惑星」と呼ばれるが、地球上の 水は全部で 14 億立方キロメートル。太陽系の星でこれだけ水の豊かな星は地球だけ。水があるから こそ地球にはたくさんの生き物が生まれた。人間のからだも重さで見ると半分以上が水分。日本は よく「水の豊かな国」と言われる。確かに日本の1年間の平均降水量は 1,714 ミリメートルで、世 界の平均の2倍もあるが、水を使う人の数も多いため、1人が使える水の量は世界平均の5分の 1。 水は大切に! 雲流れ雪渓の崖現はるる 8月3日( 火) 晴れ 日本障害者ソフト代表の谷口和隆さん( 42歳) が医師から「 だんだん視野が狭まり、最後は光も感じら れなくなるかもしれない」 と宣告されたのは25歳のとき。理由も告げず会社を辞め、盲学校に通い鍼灸 師の資格を取得、開業。患者のカルテの管理をパソコンでするうちに、視聴覚障害者のためのソフトは 高価で、使い勝手が悪いのに気づいた。周囲の反対を押し切り、鍼灸院を閉じ、自分と同じ視覚障害者 のためソフト開発・ 販売する会社を設立。他社が開発したソフトを薄利を覚悟で安く売ろうとして他の代理 店の反対にあったこともあるが、大量に売った実績で周囲を押し切った。「 今だから言えるが、障害があ ったからこそ強くなれた」 と言う。 雲の峰ヘリコプターを呑まんとす 8月4日( 水) 晴れ アテネオリンピックには史上最多の女子選手が出場し、全選手の44%が女性。1980年当時女子選 手の比率は21%だった。古代オリンピックでは女性の観戦も許されていなかったし、近代オリンピック の父、クーペルタン男爵はスポーツを「 男のもの」 と考えていた。開催地アテネの市長も、大会組織委員 長も女性。 夕風や祭り太鼓も軽やかに 8月5日( 木) 晴れ 太平洋に浮かぶパラオ諸島の一つアンガウル島は第二次世界大戦の激戦地。激しい戦火により島 の自然は徹底的に破壊されたが、島の自然は再生した。焦土と化した森を蘇らせたのは、オカガニとい う小さなカニ。現在アンガウル島に約 1 千万匹が生息している。珊瑚礁が隆起してできたこの島の土は 痩せて栄養分がない。しかし、オカガニが落ち葉を食べて分解し、その糞が豊かな土を作り上げた。さら に樹木の根本に巣穴を掘るので土が耕され、木々の成長を助け、熱帯雨林が蘇ったのだ。 ジージーにミンミン加はる屋敷森 8月6日( 金) 晴れ キュウリの生まれ故郷はヒマラヤ山麓インド。原生種は激しい苦味があったが、インドでは3000年も 前から栽培されていた。日本へは10世紀頃、中国から渡ってきた。当時のキュウリは苦味が強いため 黄色く熟してから食べていた。10世紀の日本最古の薬用辞典「 本草和名」 に胡瓜が載っていることから も、野菜というより薬として使われていたことが分かる。江戸時代中頃までは、同じ瓜科の仲間であるマ クワウリやシロウリが主流で、キュウリは人気のない野菜だった。元禄時代の「 初物ブーム」 で「 初物を 食べると75日長生きする」 と、江戸っ子は競って初物を食べ、キュウリはシロウリやマクワウリより早い 時期に収穫できることから、庶民の脚光を浴びる。やがて栽培の過程で苦味の少ないキュウリが栽培さ れるようになり、糠漬けのキュウリは、おかずの少なかった時代、庶民に欠かせない野菜となった。 昼顔の花一面の屋敷跡 8月7日( 土) 曇りのち雨 2級建築士長谷穣治さんは、2度の事故で障害を負いながら、驚異的な回復力で復活してきた。1回 目は36歳の時。コンバインのチェーンに左手を挟まれ、大工を続けられなくなり、半ばやけっぱちにで 設計事務所を開設。大工時代の仲間が助けてくれ、注文が来るようになる。大工の経験が役立ち、設計 に不具合が生じてもすぐに対応できた。事務所を開設して8年目、スキーの最中に転倒して頸椎損傷。 医者から車椅子の生活を覚悟するよう言われたが、神経をイメージして「 動け」 と命じるトレーニングを 続けた。約1ヶ月半で手足が少しずつ動くようになり、退院する頃には松葉杖で歩けるようになった。握 力を失った右手も最近は鉛筆を握れるようになり、松葉杖なしでも歩けるようになった。「 苦しかったが、 捨て鉢にならなかったのがよかった」 と語る。 大夕立積もり積もった熱流す 8月8日(日) 晴れ トマトの赤にはリコピンという栄養素が含まれており、動脈硬化など様々な生活習慣病の原因となる 活性酸素を抑えるといわれている。ヨーロッパでは、「 トマトが赤くなると医者が青くなる」 という諺がある ほど。ポピュラーなスパゲッティ・ ポモドロは、トマト味で、イタリアのオフクロの味。日本でも人気の「 ピ ザ・ マルゲリータ」 はイタリアの国王とその王妃マルゲリータがナポリを訪れた時、緑色のバジル、白の モツァレラチーズ、そして赤のトマトでイタリアの国旗をイメージして作られし、王妃の名前が付けられ た。 水こそが命育む冷茶飲む Good News No.86 ∼ ちょっと良い話・面白いこと ∼ オリンピック特集 8月9日( 月) 晴れ オリンピックでマラソンに出場する土佐礼子さんは、01年世界選手権で銀メダルを獲得、02年 のロンドン・マラソンで好記録を出しながら、02年9月のスーパー陸上5000mで転倒、右足 くるぶしを痛めてしまう。それが剥離骨折だったと知ったのは2ヵ月余り経ってから。この故障で 2年間マラソンから遠ざかることを余儀なくされる。2年ぶりのマラソン、04年3月の名古屋国 際女子マラソンでは、32キロ付近でトップに離され、一時は10秒以上離されたが、驚異的な粘り で追い上げ、37キロ過ぎに逆転。2位に大差をつけてのゴールインし、アテネへの切符を手に入れた。 涼しげなすじ雲あり行合の空 8月10日( 火) 雨のち晴れ 400mハードルでオリンピックに出場する為末大さんは、100mと200mの中学チャンピョンになる など、頭角を現したのは早かったが、01年の世界陸上での見事な成績を収めるまでの陸上競技人生 は苦難の連続だった。シドニー・ オリンピックではハードルを引っかけて予選落ち。大学進学後は大スラ ンプ。しかし03年のエドモントン世界選手権で、日本人初の47秒台で銅メダルを獲得。外国の強豪ハ ードラーたちが、隆々とした筋肉をまとい、長いストライドを武器にしてハードルをまたぐ中で、170セン チ弱の小柄な体で、五輪・ 世界選手権を通じて短距離・ ハードル種目で日本人初のメダリストという快挙 を果たした。今年に入って2回の国際大会で3位入賞を果たし、オリンピックでの活躍が期待される。 高原の朝かと思ふ今朝の秋 8月11日( 水) 曇り イラク選手団は、サッカーや柔道、水泳など7競技に計29人の選手を派遣する。イラクの代表選手中、 唯一の女子選手のアラ・ ヒクマット・ ジャシムさん( 19) は陸上短距離選手。「 イラク女性を代表できること は私の誇り。スポーツを含めたあらゆる分野でイラク女性が最善を尽くせることを示したい」 と抱負を語 る。 人工の川原に大きな蒲の穂が 8月12日( 木) 晴れ 13年間勝てなかった北朝鮮を破って五輪切符を手に入れた女子サッカーチーム。不況の波に負け、 女子サッカーを支援してきた企業が次々に撤退し、社員選手というプロも姿を消してきた。代表18人の うち16人がLリーグに所属するが、プロは1人だけ。残りは親会社の社員やフリーターとして生計をたて ている。だからアテネで結果を残して、サッカー人生を変えるチャンスにしたいと抱負を語る。 川原で草引く 人の中異邦人 8月13日( 金) 晴れ 5月のアテネ五輪世界最終予選で主将として日本を2大会ぶりの五輪に導いた吉原知子さんは、激動 のバレー界で懸命に闘い、生き抜いてきた。1994年の冬、日立から大林素子さんとともに突然解雇さ れた。活躍の場を求めてイタリアに。当初は外国人選手枠の関係で試合に出られず、逆にバレーへの 愛着を確認。帰国後ダイエー、東洋紡、パイオニアでチームをVリーグ優勝に導く。バルセロナ、アトラン タ両五輪代表となるが、アトランタ後は年齢制限を理由に代表から外れ、昨年、7年ぶりに代表復帰した。 34歳のベテランにとって、アテネが最後の五輪になるだろう。 つく つく の声に急かされ家事励む 8月14日( 土) 曇り オリンピック男子体操の代表、水鳥寿思さんは、元体操競技選手の両親が体操教室を営んでおり 6歳より体操を始めたが、体が固くて苦しんでいた。親元を離れ名門高校へ進学し、大きく成長す る。1999年、全日本選手権団体総合の跳馬で右大腿骨骨折の重傷を負う。一時は体操競技をや めることも考えたが、01年にユニバーシアード代表の座をつかむ。02年にはアジア大会で日本 代表になったが、その後の全日本選手権個人総合決勝の床において左ひざ前十字じん帯損傷。2度 目のアクシデントにも自分を信じてリハビリを続け、再び表舞台に復帰。見事オリンピック代表の 座を射止めた。 高層の窓より見ゆる花火かな 8月15日(日) 雨のち晴れ オリンピックの舞台となるアテネ。その町のシンボル、パルテノン神殿は、アテネの最盛期であった紀 元前432年に当時の技術の粋を集めて造られた。ローマ帝国時代にはビザンチン教会、オスマントル コ時代にはイスラム教寺院として使われていたが、ほぼもとの姿を保っていたが、1687年に、トルコ軍 の火薬庫となっていたパルテノンにベネチア軍の砲弾が命中し、パルテノンは爆発炎上して大きな被害 を受けた。19世紀の初頭、イギリスのエルキン卿が残っていた彫刻のほとんどをイギリスに持ち去り、 現在大英博物館に展示されている。バルテノンは現在大規模な修復作業が続けられており、その過程 で「 白亜の神殿」 というイメージの強いパルテノンが、実は鮮やかに彩色されていたという痕跡も浮かび 上がった。 闇の中盆灯籠の揺れる池 Good News No.87 ∼ ちょっと良い話・面白いこと ∼ 8月16日( 月) 曇り後雨 スワーダさんは1978年に日本の文化使節としてオマーンに渡り、現地で高官と結婚してオマーンに 帰化した日本女性。旧日本名・ 森田美保子さん。砂漠の国で生活するうち、豊かな家庭で召使いに囲ま れて育つ子弟の教育の遅れに気づき、1990年に日本の学校教育のやり方を取り入れた学校を開く。 男女共学、英語とアラビア語の二カ国語での教育、障害児の積極的な受け入れなどオマーンの教育に 新風を吹き込んだ。1万5千平方メートルの敷地に近代的な校舎、体育館、プール、パソコンルームなど を備え、幼稚園児から高校生まで400人の生徒が学んでいる。今は離婚して異国で一人で暮らすスワ ーダさんは、毎朝子供たち一人一人と握手し、子供たちの良き相談相手になっている。 暑き頃集いし亡父の誕生日 8月17日( 火) 雨のち晴れ ニュージーランドの北島に広がるワイポウアの森には先住民マオリの言葉で「 タマフタ( 森の神) 」 と呼 ばれる樹齢 2000 年の巨樹が立ってる。カウリという南洋スギ科の仲間で、2億年前に地上に現れ、今で はここだけに残る生きた化石。マオリが暮らしていたニュージーランドに、ヨーロッパ人が移り住み始め た200年前より、家や船を作る木材としてカウリの木が切り倒され、この200年間にカウリの森の96% が消失した。現在、カウリの木の伐採は原則的に禁止されており、国やボランティア団体が健康状態を チェックしたり、種の採取、苗の育成を行ってる。カウリは人間がいない時代に何度か絶滅の危機に瀕し た。4万年前と15万年前、原因は不明だが、カウリが一斉に倒れ、地中に埋もれた。現存するカウリは、 絶滅寸前の状況から、再び新しく生まれたもの。 暮れる夏惜しんで鳴く か蝉時雨 8月18日( 水) 晴れ 和歌山県串本の海は日本でも有数の生き物の楽園。色鮮やかな亜熱帯の魚から黒潮に乗ってやっ てくる大型の回遊魚まで、およそ1200種類の魚が見られる。この豊かな海を支えてきたのが、世界最 北限のサンゴの森。外敵から身を隠したり、餌を採ったり、魚たちの格好の住みかになってきた。1971 年にオープンした串本海中公園にはサンゴの人工繁殖に日本で初めて成功した研究施設があり、現在 では串本に棲息するサンゴ10種類を繁殖させるまでになっている。 オリンピック熱気も加はる残暑かな 8月19日( 木) 晴れ 夏のおもちゃ花火の定番、線香花火。次第に変わるその形は、牡丹、松葉、柳、ちり菊と呼ばれてい る。原料は和紙と硝石と硫黄と松煙。火薬の量は0.06から0.08g。0.1g以上にすると玉が落ちてし まう。紙縒( こより) は線香花火の命。程良く堅く縒ることであの綺麗な松葉のような火花が飛び、火玉が なかなか落ちなくなる。紙は繊維方向が不規則で、もんでも破れない薄くて丈夫な和紙でなければなら ない。楮( こうぞ) で作ったものが最高。原料の中で一番重要な松煙は、松の木の切り株を焼いたときに 出る油煙。現在手に入らず、分子構造の似たものを合成して使っている。 暑き日の暮れれば虫のチチチチと 8月20日( 金) 晴れ 青森県は、国産ニンニクの七割もの出荷量を誇る日本一の産地。中でも田子町のニンニクは、粒が 大きく味と香りが良いと言われている。冷害をもたらす、ヤマセという冷たい風が吹く風土を逆手にとっ て、ニンニク栽培で成功した。秋に植えられたニンニクは、寒く厳しい冬を乗り越えるために、より多くの 栄養を蓄える。さらに、ヤマセにさらされてじっくり育つため、美味しいニンニクになるのだ。田子では、 お新香にもニンニクが使われ、すりおろしたニンニクと味噌を合わせたニンニク味噌は、食卓に欠かす ことができない。 熱風の向こうに見ゆる秋の空 8月21日( 土) 晴れ 洗ってもシワにならないワイシャツは昔からの夢だった。日清紡の「 ノンケア」 は、「 綿100%でアイロ ンいらず」 がうたい文句。繊維構造、糸の打ち込み本数、原綿の生産地を変えつつ繊維を試作。化学メ ーカーと協力し、アンモニアやメタノールなど様々な薬剤をビーカーで配合して新しい樹脂を作り、繊維 に加える作業を繰り返して生地を完成。さらに特殊テープを加えるなど、縫製にも工夫して完成したも の。 気が付けば蝉止み虫の朝かな 8月22日(日) 曇り 中国から仏教と共に日本に伝わったゴマは、貴重な栄養源として食事に取り入れられてきた。白ゴマ は、油の含有率が高く、皮が薄いため、ゴマだれやごま油に向いている。黒ゴマは、香りが強く、油分が 他のゴマより少ないので、ごま塩にしたり、すりゴマにして食べられる。金ゴマは、粒が小さく、色と風味 が良いため、薬味などに使われる。海のない地では、魚を食べる機会は限られており、ゴマは貴重なタ ンパク源だった。目先をつくろうことを「 ごまかす」 というが、この言葉は、どんな料理でも胡麻を加えれ ばおいしくなることから生まれた。 秋の闇迫る空の端輝けり Good News No.88 ∼ ちょっと良い話・面白いこと ∼ 8月23日( 月) 曇り 佐藤忠さんは、小さい頃兄が大切にしていた「 おはなし電気學」 という本を何度も読み返し、技術者に あこがれて、音響設備をとりつける会社を設立した。順調だったが、20代の終わり頃に発症したメニエ ール病が再発し、休みがちになり、やむなく会社を畳む。その後病気と闘いながら、技術者としての腕を 生かして補聴器の改良に取り組んできた。最初に補聴器をつけた時はキンキンと響く音にびっくりした。 まろやかな音にしたいと、工夫を重ねた。メーカーのコンサルタントとして働きながら、オリジナル機器 作りも続け、近くホームページを立ち上げ、作り方を公開する予定。 虫の音に包まれ眠る大座敷 8月24日( 火) 雨のち晴れ ストレスを抱える人が増えている。若い女性の健康雑誌 Oxygen によれば、ストレスの兆候にはいろ いろある。たとえば頭痛。ストレスで頭痛が始まることもあれば、繰り返し襲ってくる頭痛がストレスの種 になる場合もある。「 風邪をひきやすくなった」 というのもストレスが原因かもしれない。免疫力が低下し て感染症にかかりやすくなるのだ。同誌によれば、ストレスは「 知覚」 の問題だから、ストレスを感じない 体質になるのが一番。笑い、腹式呼吸、ストレッチ、ウォーキングもよい。たった5分の散歩でもストレス を和らげることができるそうだ。 芙蓉花の微かにゆがむ古硝子 8月25日( 水) 曇り 石渡正佳さんは、千葉県の産業廃棄物担当。01年に全国一の産廃銀座と言われた銚子地域の監視 班のリーダーとなると、短期間で不法投棄ゼロを達成した。夜間パトロール、ダンプの無線傍受、ゴミの 中からの証拠集め、県外施設への立ち入り、会計書類の検査など、考えられることは片っ端からやった 結果だった。「 現場の情報を持つ地方が自主的に計画を立て、カネを使った方が効率的なのは明らか だ」 と語る石渡さんは、国の地方政府への分割が必要と、道州制を主張する。 軒下で夕立見物雨宿り 8月26日( 木) 曇り ガジュマルは中国南方から東南アジアにかけて分布する木で、イチジクの仲間。曲がりくねった枝と ゴツゴツと節くれだつ幹。幹から分かれた枝は、幅30メートルを越す巨大な樹冠を形作り、その一本一 本が意志を持つかのように太陽の光を求めて伸び広がる。木材としては使いようのない無用の木だが、 その奇怪な姿のせいか、中国南方から東南アジアにかけて多くの民族の間で神霊が宿る木とされてき た。中国でも人々はこの木を「 情樹」 と呼んで、特別な思いを抱いてきた。村のはずれに植えられた大き なガジュマルの木の下で、男女が愛を告白し、結婚の披露も、子供の名付けも、亡くなった人の野辺送 りも行ってきた。 夏の夜旧友集い芭蕉読む 8月27日( 金) 曇り 木製バットの素材の7割を占めるアオダモは、モクセイ科の広葉樹。弾力があり、ささくれにくく、バット に適しているが、樹齢70年以上の成木1本から4、5本のバットしか作れない。材の安定確保のためア オダイ育成の会が作られた。高級はしを作っている木工会社「 兵左衛門」 が、この話を聞き、年数万本に 及ぶ折損バットから箸を作ることを思いついた。ほとんどが焼却処分されてきたものだ。「 かっとばし」 と 名付け、球団のロゴを入れて発売したところ、爆発的に売れた。1本のバッドからはし5、6膳しかとれな いが、残りの木屑も利用したいと考えている。 登山の灯ジグザグ模様夜の富士 8月28日( 土) 曇り 唐辛子の原産地は中南米。コロンブスが胡椒を求めてインドへ向けて旅立ち、新大陸を発見。胡椒の かわりに唐辛子を発見した。唐辛子が「 ホット・ ペッパー」 「 レッド・ ペッパー」 と呼ばれるのはそのため。 唐辛子は土地や気候が変わっても順応して育つため、瞬く間に世界に広まり、アジア各地に根付き、イ ンドのカレー、四川料理、韓国料理、日本の七味唐辛子など、様々な料理を生んでいる。 叫びつつ落ち来る蝉や夏終はる 8月29日(日) 雨のち曇り 昨年、オランダの首相公邸が全面改修され、その工事で日本人建築家・ 吉良森子さんが建物の主任 設計士を務めた。17世紀の館の原形は保ちつつ、現代の要求を満たし、機能的で居心地の良い公邸 に一新し、「 和の様式」 を巧みに取り入れ、「 光と風を空間に呼び込むマジック」 と高く評価された。歴史的 建造物と新しい建築が共存するオランダに魅力を感じ、オランダに渡って12年。今、長崎オランダ商館 医シーボルトが住んだ邸宅を記念館に改修する工事に挑んでいる。歴史を生かしながら、機能的に改 善し、歴史的に残していく。それが吉良さんのリノベーションの基本。暖かさと解放感があると定評があ る。 秋海棠草間に揺れる旧家かな Good News No.89 ∼ ちょっと良い話・面白いこと ∼ 8月30日( 月) 曇り 8月18日正午に全国でいっせいに「 打ち水大作戦2004」 が始まり、25日までの1週間全国各地で打 ち水が行われた。昨年8月に東京ではじめて実施されたこの作戦は、NPOと行政、企業が協力して、江 戸時代の生活習慣だった「 打ち水」 で都市の気温を下げようとするもの。猛暑となった東京の会場でも気 温が1度ほど下がった。合言葉は「 風をおこそう」 。その昔は、日本の都市の至る所に小さな川が流れて いた。戦後、ほとんどの川は道路で蓋をされて姿を消した。都会に「 川」 が復活すれば、恒常的に風の抜 ける道ができ、ヒートアイランド対策の解決になる。打ち水大作戦とは、みんなの手で束の間の川の道 をつくりだそうという試み。成功の鍵を握るのは、いわゆる「 呼び水人」 。呼び水人はマスメディアの場合 も一般の個人の場合もある。 カラスまでよろめき台風北上す 8月31日( 火) 曇りち晴れ 日本電気( NEC) は、熱と外力によって変形したプラスチックを元の形状に戻すことが可能な形状記憶 性を持ち、リサイクル性を有する植物原料のバイオプラスチックを、世界で初めて開発した。これは、代 表的なバイオプラスチック素材であるポリ乳酸に、高温での解離と冷却時の再結合を繰り返す熱可逆結 合機能を持たせたもの。熱と外力で変形しても、ヘアドライヤーなどで実現可能な温度( 60℃程度) で約 30秒間加熱することにより、簡単に元の形状に戻すことができる。また、使用済みのものを160℃程度 の成形温度で加熱すると、分子間の結合部が解離して溶融し、再利用が可能となる。 家揺する夜明けの嵐夢うつつ 9月1日( 水) 晴れ 米誌Ti me( 8.23) によれば、絶滅の危機に瀕しているライオンやトラ、ヤマネコたちなど肉食性の野 生の大型ネコ類のために、自由に移動できる環境を再現しようとする構想が広がっている。現在野生生 物の多くは現地政府の設けた広大な保護区に生息しているが、人間には「 広大」 に見える保護区も、野 生の大型ネコたちには狭すぎる。そこで保護区と保護区をつなぐ巨大な「 けもの道」 を作ろうというもの だ。すでにインドとネパールは、両国にあるトラの保護区をつないで一体化する計画を立てている。 新涼や野草の庭に風渡る 9月2日( 木) 晴れ 積水化成品工業は、以前から発泡スチロールのリサイクルに積極的に取り組んできたが、廃家電か ら出されるポリスチレン系リサイクル原料から発泡性ポリスチレンビ−ズを製造する技術を確立し、「 エ プスレムERX」 として実用化することに成功した。本製品を家電製品の包装材として使うと、家電製品の クローズドサイクルシステムが構築できる。すでに、廃家電処理工場に回収されたテレビのバックパネ ルを原料として再生した本製品をシャープ液晶テレビAQUOSの包装材として納入することが決定。廃家 電樹脂に含まれる素材の特性から、対衝撃特性は同社従来品のリサイクルビーズよりも優れている。 夕立の上がるを待つ間蕎麦美味し 9月3日( 金) 曇り トウモロコシが生まれたのは紀元前5000∼7000年前の中南米。実がとても小さく、ほんの数粒つ いているだけだった。古代の人々は収穫の度に、一番大きな種子を選び、毎年春になると、その種を播 いた。実に数千年に及ぶこの繰り返しを経て、粒の数は徐々に増え、現在のトウモロコシへと進化した。 新大陸を発見したコロンブスはトウモロコシをスペインに持ち帰り、わずか30年ほどで世界中に拡がっ た。どんな痩せた土地でも収穫できるため、南は灼熱の大地アフリカ、北はロシアでも人々の食を満た す救世主となったのだ。日本にトウモロコシがもたらされたのは、安土桃山時代。ポルトガル人が長崎 に持ち込んだ。 ワレモコウ小さき秋のここにあり 9月4日( 土) 曇り 9月4日は「 クラシックの日」 。日本音楽マネージャー協会などが、「 クラシック」 をと語呂合わせして提 唱。より多くの人に音楽に親しんでもらおうとして設けた。音楽の父と言われる、パッハの言葉。「 ただ勤 勉に練習しなさい。そうすれば上手くいく。君は私の指とそっくり同じの健康な 5 本の指が両手に有るん だから。」 堅実な人柄が表れた言葉。 この家も古びてきたり秋簾 9月5日(日) 曇り 大町志津子さんはイタリアで活躍する衣装デザイナー。日本の短大を卒業後、ベネチアの美術学校 に留学。ミラノで服飾デザイナーとしてのキャリアを積んでいた時に子宮がんを宣告され、1年間の闘病 生活を送った。それをきっかけに、残りの人生を燃焼し尽くそうと一念発起。オペラの舞台衣装デザイナ ーとして厳しい修業に打ち込んだ。2004年春、念願だったプッチーニのオペラ「 蝶々夫人」 の舞台衣装 を担当することになった。日本が描かれるこの作品で、日本人の色使いと伝統文化の良さを出しながら、 欧米人にも似合う着物の制作に挑んだ。 思ひがけぬ電話の声や秋の夜 Good News No.90 ∼ ちょっと良い話・面白いこと ∼ 9月6日( 月) 曇り 「 外科手術を受けた患者で窓から自然を眺められる人は、それができない人に比べて回復が早い」 と いう結果が複数の調査で確認されている。また、窓から外が見える場所で働く人の方が幸せと感じ、健 康で生産性が高いということも分かった。環境が人間の感情や行動、健康に与える影響を研究するのが、 環境心理学。我々の自己意識そのものが、都市や郊外の環境によって、いかに形作られるかが研究さ れている。 甲斐の山稲穂の黄色蕎麦の白 9月7日( 火) 晴れのち嵐 ドイツでは昨年11月、19基ある原子力発電所のうちの1基が閉鎖された。これは今後20年のうちに 全ての原子力発電所を閉鎖するという意欲的な計画の最初のもの。同国では現在エネルギーの3分の 1を原子力から得ているが、原子力発電を一掃するという政治的合意が政府と電力業界の間でまとまっ たのは2001年のこと。不足分は、ガス、風力、太陽光などの代替エネルギーにより補われる見込み。 秋雨にけぶらふ松林水墨画 9月8日( 水) 晴れ アメリカのアースポリシー研究所の発表によると、世界の風力発電の可能性は、以前の予想をはるか に上回っている。科学技術の進歩による風力発電コストの急落と、利用できる風量の増大が見込まれる ことによるものだ。風力発電は世界で最も急成長しているエネルギー源である。デンマークでは現在、 電力の 20%を風力により発電しており、風力発電の占める割合では世界第1位。ドイツの風力発電能力 は 1 万2千メガワットで世界一で、世界の風力発電能力の総計の 39%を占める。 薄の穂夕空く っきり八ヶ岳 9月9日( 木) 晴れ ファイナンシャルプランナーの友成昇さん( 65) は、2回の危機を乗り越えてきた。1度目は勤め先の 拓銀の破綻。破綻から1ヶ月後には専門学校に通い始め、宅地建物取引主任者とファイナンシャルプラ ンナーの資格を取得した。高齢者大学や市民講座で「 熟年のマネープラン」 などのテーマで講演し、好 評だった。その後体に不調を感じ検査すると、右の肺に手術できないほど進行したガンが見つかった。 身辺整理し、抗ガン剤治療を4ヶ月続けた。ガンが小さくなり、再開した講演のテーマは、「 ガンとの共 生」 など健康に関するものも多い。月に1度はCT検査で進行状況をチェック。ガンが大きくなれば入院し て抗ガン剤治療を受ける生活を続けている。1ヶ月単位で「 生」 を確認する生活は、「 闇夜にヘッドライト に照らされた範囲の明るさを見て車を運転するようなもの」 と言う。 夕焼けや台風の吹き荒れし後 9月10日( 金) 曇り ノルウェーの漁村では「 サンゴがある所には必ず魚がいる」 と伝えられていた。ここのサンゴは、水深 40∼3000メートルに分布し、光が届かないためプランクトンを栄養源にする。サンゴの回りに魚が集 まり、豊かな漁場を形成していた。ところが90年代なかば、漁場から魚が消えてしまった。一人の漁師 が国立海洋研究所に手紙を出したのをきっかけに、本格的な海底調査が始まった。深海サンゴの破壊 の主な原因は底引き網と分かり、ノルウェーでは保護海域での底引き網漁が全面禁止された。 澄む水の音を頼りに林下る 9月11日( 土) 曇り 日中、日差しを浴びて栄養を吸収したナスは、夜、気温が低くなると、養分を逃すまいと実に蓄える。 そのため昼と夜の温度差が大きくなる秋、ナスは色が濃くなり、実がきゅっとしまって、旨みや香りが増 す。「 秋ナスは嫁に食わすな」 という諺がある。なぜ美味しくて栄養もある秋ナスを、嫁に食べさせては いけないのだろうか。室町時代に中国から伝えられた書物にも「 ナスは体を冷やし、婦人は子宮を痛め る」 と記されている。「 秋ナスは嫁に食わすな」 という諺は嫁の体を気づかったもの。 吾亦紅還暦の友昔のまま 9月12日(日) 晴れ 9月の誕生石はサファイア。ルビーと同じコランダムという鉱物だが、内包物の違いにより赤色になっ たものをルビーと呼び、その他の色のものをサファイアと呼ぶ。様々な色のカラーサファイアがあるが、 サファイアの語源がラテン語の「 青」 から来ているように、紺碧色ものがこの宝石の代表。最も希少で価 値の高いのが「 矢車菊の青色」 で、カシミール産のサファイアに多く見られる。この石の落ち着いた青さ が、不変、誠実、徳望のシンボルとされたのはぺルシア時代。12世紀以降のヨーロッパでは特に聖職 者の指輪として聖なる右手にはめられた。「 王の石」 としても尊重され、11世紀の英国王エドワードが指 輪として使ったローズカットのサファイアは、その後英国の王冠にはめ込まれている。 盆地の田赤く 縁取る曼珠沙華 Good News No.91 ∼ ちょっと良い話・面白いこと ∼ 9月13日( 月) 曇り 環境省は行政機関や企業がそれぞれのホームページなどで公開しているグリーン購入の取り組み に関する情報をデータベース化し、ホームページ上で公開した( http://www.gpn.jp/) 。参考としたい団体 等のグリーン購入関連サイトへのアクセスを容易にすることで、グリーン購入活動普及のための情報源 として活用されることが期待される。 洋朝顔昼は夢見て透き通る 9月14日( 火) 曇りのち晴れ 最近マンハッタン南端部に最近竣工した27階建てのソレールビルは、米国初の環境配慮型高層マン ション。ソレールのグリーン建設コストは通常の建設コストをわずか17%上回るだけで、省エネ型電気 設備や、排水をトイレにリサイクルする廃水処理施設、エネルギーの5%を発電できるソーラーパネル が備え付けられている。「 ここに住んでいるだけで環境に良いことをしているなんて素敵」 とソレールの 居住者の一人は言う。他にもこのようなマンションが5棟が建設中。 どことなく 秋の陽射しと感じる日 9月15日( 水) 晴れ ナス紺色は、江戸時代、藍染めの技術が発展した結果生まれた色。「 勝利をナス」 にも通じる縁起の いい色とされてきた。染めの工程をおよそ千回繰り返してようやくできる深い紫色、ナス紺色は、藍染め の中でも最上級品。江戸時代中期贅沢禁止令が出され、庶民の着物が紺色だけに規制されたが、江戸 っ子達は藍の微妙な色の違いでオシャレを楽しんだ。藍染めは、江戸の町を代表する色として、浮世絵 によく使われ、いつしか海外でジャパンブルーと呼ばれるようになった。 横綱負けて釣瓶落としの闇 9月16日( 木) 晴れ 現代舞踊家・ 石井みどりさん( 91歳) は、戦前、戦中、戦後と75年もの間踊り続けてきた。視力の衰え から普通に歩くのも大変という小柄な石井さんだが、舞台のスポットライトを浴びると、背筋はすっと伸び、 手足はしなやかに動き、全身から華々しいオーラが発せられる。「 動くということは、力を入れることのよ うに思われがちだが、大切なのは力を抜くこと。力を抜くというのは、腰から下をしっかり鍛えて重心を 取り、上体の力を抜くこと」 だと言う。 鉦叩き娘(こ)は残業か今日もまた 9月17日( 金) 晴れ 清水建設は共同カイテックとともに集合住宅などのベランダに適した新緑化システム「 年中花見月」 を 開発した。灌水機能を持った特殊成型パネルを自由に組み合わることができ、水やりなどの手間を大幅 に軽減できるのが特徴。貯水タンクを底面に内蔵し、1平方メートルあたりおよそ 60 リットルの水を蓄え、 吸水体を通じて水分を上部の土壌に供給する仕組み。約2週間灌水しなくても水分を保てるため、海外 旅行などで家を長期間不在にする場合でも植物は枯れない。植栽は小灌木と宿根草を組み合わせたも ので、一年を通じて花を観賞できる。 虫の音やいつもの足音門扉開く 9月18日( 土) 曇り 秋なすの風味をそのまま味わうなら焼きナス。美味しく作るコツは、焼きすぎないこ。強火でさっと表 面を焼き、余熱で中の実を蒸らす。すぐに氷水につけて皮をむいていくと、中の実はヒスイ色に。風味や 色が引き出された焼きナス。みずみずしく、噛むと旨みが口いっぱいに広がる。 赤トンボ物置の隅小さき靴 9月19日(日) 曇り 故柳家小さん師匠の孫小林十市さん( 35) は、10歳でバレエを始め、17歳でスクール・ オブ・ アメリカ ン・ バレエに3年間留学後、1989年ベジャール・ バレエ・ ローザンヌに入団。柔軟で強靭なテクニックは、 欧米人ダンサーのなかでは比較的小柄な体をひとまわりもふたまわりも大きく見せ、のびやかな回転と 独特な肉体表現でベジャールの精神世界を具現した。「 ピラミッド」 「 中国の不思議な役人」 「 M」 「 くるみ割 り人形」 などベジャールのほとんどの新作で重要な役を演じたが、怪我で2003年夏惜しまれながら退 団。ダンサーとしてのキャリアに終止符を打つ。退団後は、パリ・ オペラ座、東京バレエ団、ミラノ・ スカラ 座において指導する一方、NHK 教育テレビ「 からだであそぼ」 に出演。就学時前の子供が身体感覚を研 ぎ澄ますきっかけを提供する番組に出演し、「 怪我をしたことで以前にも増して体を動かす楽しみが分か った」 と言う。 あまりにも儚げ青のトリカブト Good News No.92 ∼ ちょっと良い話・面白いこと ∼ 9月20日( 月) 敬老の日 曇り NPO アオザ基金の代表理事・ 飯島博さんは、95年、水質汚濁で知られる霞ヶ浦のコンクリートで固め られた岸辺に住民とアオザを植え始めた。流域の小学校に「 出前事業」 を続け、170校の児童がアオザ を種から育て岸辺に植えた。NEC と共同で3校の観察池に太陽電池で動くカメラ付きセンサー端末を設 置し、データを収集している。設置個所が増えれば流域全体の常時監視システムに発展し、NEC は応用 範囲の広い技術を実地で試せる。霞が浦の水源の里山の耕作放棄地を復元し、無農薬でコメをつくり、 地元で酒造会社で清酒にするという提案をし、NEC が社員の環境意識向上策に採用し、社員が田植え や草取りをした。国交省の植生を復元する事業では主導的役割を果たし、国が小学校の観察池に資金 を提供するアイディアを提供した。「 NPO の武器はアイディア。ばらばらな行政や企業、住民をつなぎ、 地域社会を再生するのが市民型事業」 と語る。 敬老日少し恥ずかし車椅子 9月21日( 火) 晴れ アテネではオリンピックの閉幕から19日経って、パラリンピック大会が開かれている。「 パラ」 は「 もう 一つの」 の意味。パラリンピックの旗のロゴは赤、緑、青の三色。赤はbody 、緑はmi nd、青はspi r i t を意 味する。長期の練習に耐えて出場する選手は、心身に障害があっても、強いSpi r i t ual i t y 、つまり強い情 動や精神力、強い信念を持っている。パラリンピックの新しいモットーはSpi r i ti n Mot i on。パラリンピ ック選手のすぐれたパフォーマンスと、「 人を勇気づける」 というパラリンピックムーブメントの特性を表現 している。 秋風や婆小走りに通り過ぎ 9月22日( 水) 晴れ 日野皓正さん62歳。9歳でトランペットを学び始め、13歳の頃には米軍キャンプのダンス・ バンドで 活動。67年、ALONE ALONE AND ALONE を発表。その後マスコミに「 ヒノテル」 ブームと騒がれる。75 年に渡米。多数のミュージシャンと活動を重ね、89年には、初の日本人として「 ブルーノート・ レーベル」 と契約。世界を舞台に、常に音楽界の中心での活動を続け、驚嘆すべき無尽蔵のパワーで周囲を圧倒。 2000年より大阪音楽大学教授、若手の指導やチャリティー活動こも情熱を注いでいる。「 若い子と一緒 に演奏して何かが伝わればいいと思ってる。僕たちも、何人もの偉大なミュージシャン達にそういう場を もらってきた。サッチモのトランペットを聞くと、ひとつの音を聞いただけで涙が出てくる。それは彼が包 容力の固まりだから。僕はいつも、『 ああ、いいなあ、どうしたらああなれるだろう』 って考えている。一生 かけて、目指していきたいと思っている」 と語る。 そんなこともあったね友と花野行く 9月23日( 木) 秋分の日 曇り アマモは波の穏やかな内湾などの浅瀬に自生する海草。野菜のニラのような形だが、長さは60セン チ∼1メートルになる。「 海のゆりかご」 と言われ、群生する藻場周辺は、魚の産卵場所になり、マダイや クロダイ、ハゼ、メバル、スズキなど多様な稚魚がすみつく。酸素を出すため魚にとってはすみやすい 環境になり、窒素やリンなど海の富栄養化を招く物質を吸収するため、水質浄化の効果もある。東京の 内湾では50年前に姿を消した、このアマモの試験的育成が、お台場の海で始まる。うまく育てば初夏に は60センチ以上になり、種が落ちる。一部の種は採取して再び苗を育てるが、残りは落下したままにし て自然な発芽を見守る。 おじぞうさま脇から顔出す彼岸花 9月24日( 金) 曇りのち雨 サッポロビールは、関係会社と共同で、繰り返し使用できる2種類の梱包用器具を開発した。従来の商 品輸送では、パレットに載せた段ボール入り商品に、使いきりタイプのポリエチレン製フィルムを巻きつ けて、廃棄物を大量に出していた。「 荷ロックベルト」 は、輸送品の四方にコーナーガードを立てかけて バックルを取り付け、そのバックルに通したベルトの長さを調整するだけ。「 エコバンド」 は、パレットに直 接乗せた商品全量をまとめて包み込むもので、ギフト用化粧箱保護に有効。どちらも従来のフィルム梱 包に比べ、作業が簡単で、繰り返し使え、コスト面での長期的メリットも見込める。今後他の物流関係者 への販売も計画中。 ふと見れば失せ物目の前みみず鳴く 9月25日( 土) 曇り 鯖は大衆魚の代表格。5月∼6月頃にかけて産卵した鯖は日本沿岸を回遊し、秋になると再び脂が のり、旬を迎える。日本でとれる鯖は主にマサバとゴマサバの2種類。一般によく出回っているのはマ サバ。おいしい鯖にも欠点がある。「 鯖の生き腐れ」 といわれる程いたみやすく、釣ったらすぐに氷につ けないとだめ。「 サバを読む」 という言葉も、一説には、いたみやすい鯖を一刻も早く出荷しようとして、 いい加減に数えたというのが語源だといわれてる。 五千尾の秋刀魚の煙目黒祭 9月26日(日) 雨のち曇り 明治5年、新橋・ 横浜間を結ぶ鉄道が開通。鉄道技師として来日したイギリス人カーチス氏は、鉄道の 開通に合わせて、外国人専用のホテルを鎌倉近郊に開業した。食材として豚のモモをそのまま使った 「 骨付きハム」 を製造し、「 鎌倉ハム」 の名で世間の評判となった。このハムに注目した冨岡周蔵さんは、 車内で簡単に食べられ、しかも西洋の香りのするハムのサンドイッチを大船駅で売り出した。サンドイッ チは大船名物となるが、輸入ハムは、たちまち底をついて、冨岡さんは、ハム造りに挑戦。西洋では「 柔 らかすぎる」 という理由でハムに使われないロース肉に目をつけ、大正10年ロースハムが出来上がっ た。 秋日和山手線揺られ句が三つ Good News No.93 ∼ ちょっと良い話・面白いこと ∼ 9月27日( 月) 雨 香りは、臭覚を通じて心身に働きかけるが、香りの成分が直接体の細胞に効力を示す例もある。香料 のムスクは、ヒアルロン酸合成酵素の遺伝子の働きを活発にし、表皮でヒアルロン酸合成酵素がたくさ んつくられるようになり、水分を保つ力を強め、肌の老化を抑える。ムスクはジャコウジカの雄からとれ、 女性にリラックス効果をもたらすものだが、クレオパトラが好んだという。 かえり咲く コデマリ多しいつもの道 9月28日( 火) 曇り 月の語源は、空で一番明るいのは太陽で、その「 次ぎ」 に明るいからという説、日本書紀の中で日の 神( 天照大神) の「 次」 に生まれたのが月の神( 月読尊) であったから、月に1度その光が「 尽きる」 から、 シュメール語で月の都を意味する「 イツキ」 と言う説、ウサギが餅を「 突いている」 からという説などいろ いろある。 台風の近づき赤い月昇る 9月29日( 水) 曇りのち雨 NHKの長寿番組「 ためしてガッテン」 によれば、サバに含まれるDHAを損なうことなく、おいしい味噌 煮をつくるには、1) 切り身を水、濃口しょうゆ、酒、砂糖、ニンニクと一緒に鍋に入れ、落としぶたをして 火をつけ、2) 沸騰したら味噌を加え、3) 吹きこぼれない程度の火力で6分間ほど煮込み、4) 火を止め、 蓋をしたまま10分間余熱で火を入れるとよい。新鮮なサバは、目が黒く澄んでいる。生の切り身は、身 の色が赤く澄んでいるのが新鮮。切り身を冷蔵庫に入れる前に、5倍に薄めた酢水につけて、ふき取ら ずラップに包んでそのまま冷蔵庫に保存すると、鮮度が保たれる。 小鳥等の妙に騒がし嵐の触れ 9月30日( 木) 曇りのち晴れ 福岡県工業技術センターとクラボウは、染料を使わない羊毛着色を共同で開発し、「 エコ・ トーン」 の商 品名でテスト販売している。「 天然」 「 堅牢」 「 環境」 の3つをキーワードとして開発を進めてきた。染色は 資源多消費型プロセスの上、黒やネイビーといった濃色の羊毛製品は、クロムなど合成染料を使用した 染料が多く、環境への負荷やリサイクルの面で問題があった。そこで天然から得られる動物繊維( 絹、 羊毛) に着目。動物繊維である蛋白質が持つ種々の官能基と天然由来成分をある条件下で反応させる ことによって濃い色を出すことに成功。従来の染料と比べ、環境負荷値を最大約 60%削減することに成 功した。 家中の花瓶集めてススキ生けむ 10月1日( 金) 晴れ オークは落葉樹。高さ33 メートル、胴回りは9∼12 メートルにもなる巨樹で、平均樹齢は 700 年といわ れる。「 森の王」 と呼ばれ堅く有用性が高いことから、堅実なイギリス人の象徴として愛されている。紀元 前9世紀からブリテン島に居住していたケルト民族は、森の木々、なかでもオークを崇拝するドルイド教 を信仰していた。「 ドルイド」 とは「 オークの知恵を持つ者」 の意味だとされる。しかし、大英帝国の発展と ともにオークの森は失われる。イギリス艦隊の船体の材料や製鉄の燃料として使われ、産業革命では 多くの森が切り倒された。かつて鬱蒼と茂っていた巨樹オークの森も、農地や町に生まれ変わり、最盛 期の 100 分の1にまで減ってしまった。シャーウッドの森は樹齢 600 年のオークが 900 本以上眠る貴重 な原生林。1.8 平方キロメートルの土地が、州の管理する公園になっている。 リンドウの青秋空に呼応する 10月2日( 土) 晴れ 中国では紀元前2千年には、すでに家畜として豚を飼い、以来4千年に渡って、煮る、焼く、炒める、 蒸すなど様々な方法で、様々な部位が調理され、「 鳴き声以外は全部食べる」 と言われた。沖縄では、 およそ600年前、中国と独自の交易をしていた琉球王朝の時代に、豚肉が食べられるようになった。や がて琉球王朝は滅亡するが、豚肉の食文化は絶えることなく庶民の間に受け継がれ、「 豚に始まり、豚 に終わる」 と言われる沖縄料理となった。 自然壊し自然造るか秋うらら 10月3日(日) 雨 ミュージカル『 ビッグ・リバー』 を見ました。アメリカの大作家マーク・トェインの小説『 ハックルベリー・フ ィンの冒険』 を元に85年に初演されたミュージカルで、今回の公演は、デフ・ ウェスト・ シアターによるも の。耳の不自由な人と健常者が一緒に出演し、演技の中で出演者全員が手話を使い、アメリカ式手話の 流れるような美しい動きを取り入れた振付は、ブロードウェイでも大評判になったそうです。開拓時代の アメリカで、何ものにもとらわれず生きようとする少年と、必死に自由の境涯を求める黒人の友情という ストーリーが、聾者と健常者の絶妙なコンビで演じられ、ヒューマニズムに溢れた舞台でした。会場には 耳の不自由な人も目立ちました。 明月や生きているとは美しき Good News No.94 ∼ ちょっと良い話・面白いこと ∼ 10月4日( 月) 雨 北上高地の最高峰、早池峰山は、日本でも指折りの高山植物の宝庫。およそ200種類の高山植物が 生息し、この山にしかない貴重な植物もある。植物の生育を妨げるマグネシウムが多く、栄養分が乏し い過酷な環境だからこそ、生き残ることができた植物たちだ。この貴重な植物を一目見ようと、早池峰を 訪れる登山者の数は年間2万人にのぼる。登山者の増加と共に山頂にあるトイレから垂れ流しされるし 尿が微生物によって分解され、栄養分に変わり、普通の植物が育ちやすくなり、か弱い高山植物が駆逐 されてしまうおそれが生じた。菅沼賢治さんが代表を務める岩手県内の山好きのボランティアたちは、 容器に山のトイレのし尿を詰め込んで担ぎ下ろすという活動を行い、今年は4トンを超えるし尿を運んだ。 5年前、し尿を処理できる特殊なトイレを現地に作るという提案がされたが、菅沼さんは「 携帯トイレ」 を 使用する事により、登山者の意識を高める方法を提案。2年間にも及ぶ話し合いの末、ボランティアによ るし尿の担ぎ下ろしを続けながら、携帯トイレの普及を進めることになった。 鼻く んく んきんもく せいの一週間 10月5日( 火) 雨 電動自転車が普及しているが、「 1回の充電でどれだけ走れるか」 が課題。三洋電機は「 走りながら発 電、充電する」 をウリにした電動ハイブリッド自転車を開発、発売した。ブレーキを握るとモーターが発電 機になってバッテリーに蓄える「 ブレーキ充電システム」 に、時速12キロ以上の走行時に切り替えられ る「 エコ充足モード」 を追加。高台の住宅地から駅までの1㎞の往復の場合、両方の機能を使うと、走行 可能距離は最大で2倍になる。次なる目標は「 充電の手間いらずの自転車」 。 秋霖や三日つづきの家籠もり 10月6日( 水) 晴れ イタリア・ ボローニャ市では、行政の手が回らないサービスを多くの社会的協同組合がすくいあげ、創 造性の高い福祉が実現されてきた。キーワードは、「 協同組合」 、「 古いものを大切にする」 、「 共生」 。歴 史的中心街の古い住宅を市が買い上げ、内部を改修し、庶民向けの公営住宅として再生する。建物と街 並みの保存と再生、そこに庶民が住み続けることを同時に実現する。これには地区議会が大きな役割 を果たす。高齢者グループが、昔の修道院の馬小屋の改修を市に要求し「 社会センター」 を建設した例 もある。高齢者が支え合い、ふれあう施設だ。ここの会員は700人。市から無料で建物を借り、バーや イベント等で運営費を捻出している。こんなセンターがボローニャ市には35、ボローニャ県では86あり、 会員は 40万人に及ぶ。障害者がレストランを運営し、自活している例もある。 天高し揃いのスモック響く 声 10月7日( 木) 雨 作家井上ひさしさんによれば、江戸時代には「 ご恩送り」 という言葉があった。ご恩返しは恩を受けた 人に恩を返すという二者の間の関係だが、ご恩送りは、恩を感じたら、恩を受けた人とは別の誰かに恩 を送るという、広がりのある関係だそうだ。これこそ福祉の原点と同氏は言う。 色づく 実ここにも柿のあるを知る 10月8日( 金) 晴れのち雨 ヘルシンキに在住し、世界各地の3000回を超えるコンサートで演奏してきた、館野泉さんは、2年前 フィンランドでリサイタルの最中に脳溢血で倒れ、右半身不随になる。リハビリで右手の機能は回復した が、ピアノを演奏できるまでにはならなかった。そんな時息子さんが見つけてきたのが、ブリッジ作『 左 手のための二つの小品』 。左手だけでも芸術を表現できると知って、左手のみのピアノ演奏で新しい音 楽の世界を切り開き、今年復帰コンサートを成功させた。 大嵐増水の川には生き物無し 10月9日( 土) 雨 サンマは8月から千島列島から南下を始め、冬から秋にかけて三陸沖から四国沖の太平洋で産卵す る。秋、サンマがおいしいのは、南下をする体力をつけるために脂肪を蓄えているから。日本でサンマ 漁が始まったのは紀州で刺網漁法が開発された江戸初期。熊野灘でとれるサンマは南下する間に脂の おちたサンマだった。やがて房総に漁法が伝わり、江戸の魚河岸にもサンマが入るようになったが、房 総で獲れるサンマは南下途中で脂がのったサンマなので、脂っこいのは下品だと、江戸の町でサンマ は全く人気がなかった。このサンマが食べられるようになったのは、大根おろしを添えるようになってか ら。大根には脂っぽいサンマの消化を助けてくれる酵素ジアスターゼが含まれており、さっぱり食べら れるだけでなく、消化を助ける役割も果たす。 ありがたや屋根ある暮らし野分荒れる 10月10日(日) 曇り スペイン・ カタルーニャ生まれのパブロ・ カザルスは、20世紀を代表するチェリスト。チェロの弾き方 を改良し、バッハの「 無伴奏チェロ組曲」 を発掘し蘇らせたが、終生変わらぬ平和主義者でもあった。フラ ンコ政権に反対して亡命。2度と故国の土を踏まなかった。亡命後、連合国側のフランコ黙認の態度に 反対して「 フランコを支持する国では演奏しない」 と宣言、公演をを止めてしまう。58年、友人のシュバイ ツァーと2人で米国とソ連に対し核実験の禁止と軍拡競争の中止を呼びかけ、58年と71年には国連本 部で世界平和と祖国スペインへの思いを込めて、カタルーニャ地方のクリスマスの祝い歌「 鳥の歌」 を自 ら編曲したものを演奏した。フランコ死去後の79年、カザルスの死から6年たって、プエルトリコにあっ たカザルスの遺体は故国に戻った。 やや寒や夏物重ねて縮こまる Good News No.95 ∼ ちょっと良い話・面白いこと ∼ 10月11日( 月) 雨 イクレイ(ICLEI)とは、国際環境自治体協議会のこと。1990年に開かれた国連の「 持続可能な未来の ための世界会議」 に参加した自治体を中心に設立され、カナダのトロントに本部がある。1990∼95年 の気候変動都市キャンペーンでは、20%削減、15%削減の自治体が続出し、参加した150の会員自治 体の合計で二酸化炭素の排出量を4200万トン削減することができた。これはカナダの年間排出量に 等しい。イクレイの分析によると、米国で温室効果ガスを排出しているトップ15都市が排出量を20%削 減すれば、それだけで米国は京都議定書の目標を達成することができる。自治体はとても大きな力を発 揮できる存在なのだ。自治体の制度や構造を熟知しているからこそ、各自治体に対して、エネルギー効 率化のための短期的・ 長期的な戦略を組み合わせた計画を提案することができる。 金銀のキンモクセイ散る散歩道 10月12日( 火) 曇りのち雨 新潟県三条市1400の町工場が点在する金物産業の町。7月13日の豪雨水害で約7千世帯が浸水。 夫婦二人で小さな工場を50年間守ってきた川俣さんの工場も床上1メートル以上の泥水に浸かって、 15台の機械が錆びて使い物にならなくなり、屑鉄として二束三文で売るしかなかった。廃業に追い込ま れた夫婦は、6万円の年金しか収入の途がなく、途方にくれた。力を落とした奥さんは、料理をする気力 も失せた。しかし落ち込んではいられないと、工場の隅に残った研ぎ機を修理。動き出した機械で錆び た包丁を研ぐと、見事に包丁が生き返った。包丁を研ぐ川俣さんの顔に職人の誇りが戻り、奥さんはそ の包丁で料理する気力を取り戻した。奥さんが近所で注文をとり、川俣さんが包丁を研いで生計を立て ていこうとしている。市の支援で畳も入り、奥さんの手料理を食べる夫婦に笑顔が戻った。 ミズキ染め紅葉シーズン始まりぬ 10月13日( 水) 曇り 文部科学省の体力テストによれば、子供が体力低下しているのに対し、40∼79際の中高年層はす べての年齢層で5年前のデータと比較して総合点で体力がアップしていることが確認された。また中高 年層では「 体力年齢」 が実際より若い人の割合が増えた。健康管理のための運動が、単なるブームを超 えて中高年の生活に根付き始めた結果のようだ。 柿の実を無心に食らふ熊哀れ 10月14日( 木) 曇り 酪農と林業の町、岩手県葛巻町は、新エネルギーの町でもある。30年前、陸軍の軍馬を育てる牧場 だった1,000haの土地を村民がお金を出し合い購入し、牧場を建設。今では、人口約9,000人の町 が、牛乳だけで約4万人分に当たる1日120トンを生産している。43,000haの町の85%が森林。国 の支援などで森林整備し、雇用を創出するとともに、手入れされた森に活力が生まれ、CO2の吸収も旺 盛になった。牧場には道路と電線があるという利点に目を付け、99年に風力発電の風車3基を設置。全 国でも風の強い地域であることが分かって、現在103基の風車が回っている。毎日650t も出る牛の排 泄物からメタンガスを発生させ、ガスで発電機をまわして、畜産バイオマス発電もしている。その結果、 3,000世帯のこの町で、風力、太陽光、水力、畜産バイオマスなどクリーンなエネルギーを利用して 17,000世帯分の電力を発電。さらに端材でチップを作り、木質燃料ペレットにより、1,500世帯分の 熱カロリーを供給している。 秋黴雨北国暮らしはこんなもの 10月15日( 金) 晴れ 兵庫県豊岡市では今、たくさんの農家が協力し、農薬に頼らない米作りに取り組んでいる。苗同士が 密集しないよう、種籾の量を従来の4分の1の量まで減らし、温室ではなく露地栽培した結果、1ヶ月後 には苗葉の数が4枚( 通常は3枚) の丈夫な苗が育った。化学肥料は一切使わず、ミネラル分の豊富な おからと米ヌカと混ぜ合わせて肥料とすると、がっしりとした茎に大きな穂が付いた。さらに、藻の発生 で太陽光が遮られたため雑草が抑制され、虫たちが水田に戻り、本来の生態系が復活し、かつて多く見 られたコウノトリも戻ってきた。生き物のいない水田には二酸化炭素の20倍以上の温室効果をもつメタ ンガスを主成分とした泡が多く発生していたが、様々な生き物が活発に活動することで水中が活性化さ れ、メタンガスの発生が抑制され、地球温暖化を防ぐ効果も生じた。 秋空の戻りるんるん大洗濯 10月16日( 土) 曇り シイタケ栽培の歴史は古く、江戸の頃からその記録が残されている。しかし、その栽培方法はホダ木 に鉈で刻みを入れるだけ。あとはシイタケの胞子が飛んできて、生えるのを待つという、効率の悪いも のだった。その後、栽培の工夫は重ねられるが、シイタケ栽培農家は、不安定な出来に振り回され、生 活も困窮を極めることが度々あった。昭和17年、農学者・ 森喜作氏はシイタケ菌だけを繁殖させた、くさ び形の木片「 種駒」 をホダ木に埋め込む方法を考案。50年以上たった今でも、このシイタケ栽培法の基 本は変わっていない。この発明以来、シイタケの生産量は飛躍的に伸びた。 木漏れ陽の揺れるを眺め日向ぼこ 10月17日(日) 曇り 現在日本近海に4千頭ほどいるアカウミガメの生態は、長い間謎に包まれていた。日本ウミガメ協会 がカメに発信器をつけて衛星で追跡調査をした結果、日本で生まれたアカウミガメは、海流にのって餌 の豊富なメキシコ沖まで行き、そこで成長した後、1年かけて生まれ故郷の日本に戻って、産卵後はず っと日本近海で過ごすことが分かった。つまり北太平洋での産卵地は日本だけだが、1990年代に入り、 アカウミガメの上陸が10分の1に激減した。最大の原因は、産卵に適した砂浜の減少。台風などの荒天 によって、日本の砂浜は1年間に160ヘクタール、東京ドーム34個分も浸食される。本来は流された分 の砂は、その海へ流れ込む川から運ばれる。しかし、次々と建設されたダムによって、砂は河口までい きつくことなく、ダムにたまってしまっている。こうした現象を解消するために、ダムで土砂がたまらない よう、ダムにバイパスをつくり、細かい砂を水と一緒に流す工事が行われている。 ヒヨドリの騒ぐ先にはカリンの実 Good News No.96 ∼ ちょっと良い話・面白いこと ∼ 10月18日( 月) 晴れ アイスランドは北大西洋に浮かぶ島国で、国土10万3千平方キロ、人口28万人。氷雪由来の水力と 地熱に恵まれ、電力はすべて風力、水力、地熱など自然エネルギーにより発電し、建物暖房の90%を地熱水で賄ってい る。4年前に水素社会に向けた官民一体のビッグプロジェクト を開始した。自然エネルギーにより生成された 電気で水を分解し、水素を生成し、自動車を走らせ、船を動かし、化石資源の輸入の完全ゼロ化を目指している。環 境負荷の少ない産業基盤を組み立て、世界をリードしようとするもので、世界規模の大企業も参加して いる。 三日月の空高く 見ゆ秋の暮れ 10月19日( 火) 雨 愛知県にある国立長寿医療センターでは、痴呆患者のリハビリに音楽療法を加えることで進行を抑え る試みをしている。童謡、懐メロなど、子供の頃の記憶や青春時代の思い出に結びつく音楽は、昔の記 憶を思い出させ、脳を活性化する。音楽は脳の視床という部分や大脳の基底部を刺激することが判明し た。仲間と歌うことにより、社会性を取り戻すこともできる。音楽には不思議な力がある。生き方に潤いを 与え、患者本人の直ろうとする意欲を高めるものだ。 超大型台風列島渦の中 10月20日( 水) 雨 インド東北部メガラヤ州は世界で最も雨の多い地域。バングラデシュと国境を接するカシ山地の谷間 にあるノングリアト村という小さな村には、村人たちによって作られた「 生きている橋」 がある。川岸に立 つゴムの木の幹から垂れ下がる根を対岸に渡し、橋として使っているのだ。木を植えてから根が伸びる のに30年、さらに人々が橋を渡れるようになるまでに30年。完成するまでに60年間かかる。これまで 何百回となく豪雨に襲われたこの村では、竹や木で作られた橋は全て流されてしまったが、「 生きている 橋」 だけはびくともせず、生活の糧を求め森へ行くための道を守り続け、谷間の村に住む人々の生活を 支えている。 野分去り山並み重なる西の空 10月21日( 木) 雨のち晴れ サツマイモの原産地は中南米。15世紀の末にコロンブスがヨーロッパに持ち帰って、世界に広く知ら れるようになり、その後、中国を経て沖縄に伝わった。九州では「 唐いも」 、「 琉球いも」 と呼ばれることが あるが、本州では「 薩摩いも」 。江戸時代の享保の飢饉では、餓死者が全国で100万人近くに上ったの に、サツマイモを作っていた薩摩藩では犠牲者が出なかった。荒れ地でも逞しく育つサツマイモが飢饉 を救ったのだ。その噂を聞きつけて江戸の農学者・ 青木昆陽は薩摩から苗を取り寄せ、幕府の命で研究 を重ね、関東各地に種芋を配って栽培を奨励し、これが全国に広まった。とくに、粉にすれば保存がきく ので、「 さつまだんご」 など、各地で食べ方が工夫された。 ドウダンの紅鮮やかや山の秋 10月22日( 金) 晴れのち曇り 20世紀アメリカを代表する女性画家オキーフは、商業デザイナーや美術教師として生計を立てつつ 独自の絵画表現を磨いた。当時の言葉。「 私は、自分の描きたい絵を描き、自分の言いたいこと言うべ きだ。」 20 世紀初頭アメリカでも女性の画家は極めて稀な存在だった。写真家スティーグリッツに見いだ され、自然のフォルムを大胆な構図と色彩で描き、人々に衝撃を与えた。スティーグリッツの死後ニュー メキシコに移住。自然から受けた啓示と心の声に耳を澄まし、98歳で世を去るまで、風景や動物の頭蓋 骨などを、流れるような形と鮮やかな色彩で染め上げた。晩年の言葉。「 私がどこでどんな暮らしをした かは問題ではない。大切なのは、私がやり遂げたこと。」 錦秋を眼下に望むロープウェイ 10月23( 土) 晴れ 鎌倉時代、曹洞宗の開祖・ 道元が中国大陸に渡ると、老いた僧がやってきて、日本の干しシイタケを 求めた。日本の干しシイタケはこの頃から、中国への貴重な輸出品だった。中国では、うま味と香りを上 手に閉じ込めた日本の干しシイタケを、不老長寿の高級食材として珍重してきた。中国料理独特の深み とコクは、昔から日本のシイタケよって作られてきたのだ。 硫黄煙秋空に昇る茶臼岳 10月24日(日) 晴れ 宇部市の工業高等専門学校教授の村上定瞭さんは、もともと水をきれいにする専門家だったが、全国 で年間4億トンにもなる下水汚泥の活用し、リンを取り出せば、汚泥の減量にもなり、一石二鳥になると、 研究を重ねた。汚泥の中にはリンを餌として体内に取り込んでいる微生物がおり、日本が輸入するリン 資源の2割近くをため込んでいる。不純物の発生を抑えながら微生物を分解するため、さまざまな温度 と加熱時間を組み合わせて、最適な条件を調べ続け、250℃前後で30分加熱すれば、薬品を加えるだ けで、汚泥の中のリンが白い結晶の形で現れ、リンの9割を取り出すことができることが分かった。やっ かい者だった下水汚泥が貴重な資源に生まれ変わったのだ。経済産業省からの補助金を利用して、地 元の企業と協力して、実用化に取り組んでいる。 ドングリの数多散る道嵐去る Good News No.97 ∼ ちょっと良い話・面白いこと ∼ 10月25日( 月) 曇り エクアドルはバナナ輸出量世界一を誇る大国。ここで、殺虫剤や除草剤を使わない、低農薬の循環型 農業を営む日本人がいる。田辺正裕さんの循環型バナナ栽培は、科学物質に慣れてしまったバナナや 土壌をもう一度自然の状態に近づけようとするもだが、移行がとても難しい。田辺さんが信念で続けた 結果、従来の農薬を使ったバナナ栽培よりも生産高も上がり、おいしいバナナを作ることに成功した。廃 棄処分となったバナナを粉砕し、堆肥として利用する試みも実践。その結果、土壌に力が戻り、虫が増 え、その虫をエサとする野鳥が戻り、かつての生態系が回復しつつある。ハチのように花と戯れるハチ ドリや、葉っぱを懸命に運ぶハキリアリも戻ってきた。 紅葉の渓谷ハヤと舟遊び 10月26日( 火) 曇り 次世代エネルギーとして注目を浴びている水素を、白金の触媒を使わずに生産できるかもしれない。 深海微生物に含まれる酵素「 ヒドロゲナーゼ」 を、光のエネルギーで水を分解する触媒機能を持つ二酸 化チタンと合体すれば、光を当てるだけで水を効率よく電気分解できる。陸上や浅海の微生物から採っ たヒドロゲナーゼは熱に弱く、酸素に触れると機能を失うため実用化できなかったが、深海で採取したも のは約90度でも水素を発生させる能力があり、酸素にも強い。深海底の微生物は高い水圧や海底から 噴き出す100度を超す熱水に耐えてきたので、地上の微生物にないパワーを持つものが多いのだ。 音に聞く 鳴子の錦秋今ここに 10月27日( 水) 曇り 10月27日∼11月9日は「 読書週間」 。「 朝の読書」 運動は1988年に千葉県の女子高校で提唱され たもの。「 みんなでやる」 「 毎日やる」 「 好きな本でよい」 「 ただ読むだけ」 と、評価と競争を求めない自由さ が子どもたちに受け入れられ、現在、全国の小中高校の半分近くの1万7千校以上が実施し、毎朝10分 間の読書を実践している。本来は子どもたち一人ひとりの生きる力と自ら学ぶ力をつけるための試みで あったが、導入した学校からは、「 子どもたちに落ち着きが出てきた」 「 遅刻が減少した」 「 不登校やいじ めがなくなった」 や「 学級崩壊を立て直すことができた」 などの効果も報告されている。 先々に芭蕉の足跡秋の出羽 10月28日( 木) 晴れ 焼きイモ屋が初めて江戸の町に現れたのは18世紀の終わり頃。当時は大きな竈の上の平たい土鍋 に芋を入れ、蓋をして焼いていた。町の出入り口の番をする「 番太郎」 と呼ばれた管理人が内職として焼 きイモ屋を兼ねることも多かった。当時の書物には「 いも屋は、毎日、朝の六時から夜の十時頃まで焼 く」 とあり、深夜営業もしていた。焼きイモは、手軽に食べられ、行列ができるほどの人気を呼び、江戸八 百八町、焼き芋屋のない町はないといわれる程になった。 初雪に白く 輝く 月の山 10月29日( 金) 晴れ 繭に含まれるセリシンというタンパク質が注目を浴びている。普通の蚕糸は、絹になるファイブロイン と、それを包み込んでいるセリシンという2つのタンパク質でできている。セリシンは絹糸や絹織物を作 る過程で捨てられてきた。ところが最近抗酸化性、保湿性、美白効果、アトピー性皮膚炎の抑制などの 働きが見いだされ、化粧品に配合され、自動車の座席用にセリシン被覆シートが製造され、医療分野で の利用も期待されている。生糸加工の廃液から回収されるセリシンは、薬剤などでタンパク質が部分的 に壊れてしまうこともある。そこで高純度の天然セリシンだけを吐き出す蚕が、絹を作れない蚕と他の蚕 との交雑により開発され、実用化に向け研究が進んでいる。 白鳥の落ち穂拾うや秋深し 10月30( 土) 雨 エビは移動手段によって2種類に分けられる。一つは「 泳ぐエビ」 。腹肢と呼ばれる足がヒレの代わり をして泳ぐ。車海老をはじめ、芝エビや甘エビなどが、この仲間。一方、伊勢エビやロブスターは「 歩くエ ビ」 。伊勢エビは、夜行性で、昼間は浅瀬の岩陰にじっと潜んでいるが、胸の部分に10本の足を持ち、 夜になると自由自在に海底を歩き回り、小魚や貝やウニなどを食べる。生息地は太平洋側を中心に、北 限は茨城県まで。昔は、「 鎌倉」 、「 志摩」 など獲れる場所の名で呼ばれたエビだったが、今ではどこで獲 れても伊勢エビと呼ばれている。ヒゲが長く腰が曲がっていることから、「 海の老人」 とも呼ばれ、長寿の シンボルとされている。10月と11月は伊勢エビの一番おいしい時期。 一面のブナ紅葉かな日本豊か 10月31日(日) 曇り マッキンゼー社の日本法人の経営コンサルタントから産業再生機構に転職した秋池玲子さん( 40) は、 現在九州産業交通の再生に取り組んでいる。「 どんな人でも企業でもほかにない素晴らしいところが必 ずある」 という信念を持ち、それを見つけて磨くような戦略を作り、企業や事業の潜在能力を引き出すこ とを心がけている。再生途中では個人の業績にすぐに報酬で報いるのは難しいが、本来自分が持つ良 さを引き出されるのは社員にとってもうれしいもの。「 組織の変革」 とか「 人を変える」 というのは、そうい うことの積み重ねだと語る。 4Lのラ・ フランス並ぶ山形駅 Good News No.98 ∼ ちょっと良い話・面白いこと ∼ 11月1日( 月) 曇り アメリカのニクソン大統領がガンとの戦争を宣言したのは1971年のこと。それから30年余経ったが、 いっこうにガン患者数は減らない。しかし分子レベル、遺伝子レベルの研究が進んだため、「 向こう10 年には大きな進歩が見込める」 と英誌Economist(10/16)は言う。ガン細胞の増殖をピンポイントで止める 方法が、少なくとも理論上は明らかになったからだ。問題は個々の患者に最も適した薬は汎用性を欠き、 大量に売れないので高くつくことだ。 都会にも紅葉みずきのワイン色 11月2日( 火) 曇り ペットを飼いやすい設備とサービスが備わったペット同居型マンションが好評だ。アドホックの野中英 樹さんは、メーカーと共同で動物の硬いふんでも流れるステンレス製の「 うんちダスト」 や水が下から出 る「 フットシャワー」 、上下に通気口がある「 ペット対応サッシ」 、「 ドッグフェンス付き玄関ドア」 を開発し設 置するとともに、ペットの美容や用品販売のショップを開店してマンション入居者に利用特典を用意し、 マンションへのトリミング出張やペットフード宅配サービスも始めた。賃貸料は地域の相場より20%弱 高いが、こうした工夫で空き室率が低く、建設を希望する地主が増えている。 小春日や新米運び汗にじむ 11月3日( 水) 文化の日 曇り 日本は2000年から太陽光発電の生産量と導入量で世界一になっているが、産業技術総合研究所が 今年完成させた「 つくばセンター太陽光発電設備」 は、国内最大規模となる分散型太陽光発電システム。 研究棟の屋上や、河川の堤防を模した傾斜面、駐車場の日よけやバス停の屋根などに合計約5,600 枚もの太陽光発電パネルを設置し、300世帯の年間電気使用量に相当する、年間100万kWhを発電 する。二酸化炭素の排出量を年間300トン削減できる見込みで、24万平方メートルの植林と同じCO2 削減効果が得られる。日本の最新技術を一堂に集め、単結晶シリコン型、多結晶シリコン型、ヘテロ接 合型、アモルファスシリコン型の4種類のパネルを導入し、世界に向けてアピールしている。 小春日の休日一家で庭仕事 11月4日( 木) 晴れ シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒドの分解能力が高く、酸素を通常の2倍放出するシ クラメンが開発された。農家が偶然発見した方法で、栽培途中に石を加えることにより、シクラメンが金 属イオンを出し、それが空気清浄力を高めるという。エコシクラメン( 5号鉢) 1つで3畳分の空気清浄機 能を持ち、有害物質分解能力は枯れるまで持続する。シクラメン以外の花についても開発中。 小春日やシルバーシートの座り心地 11月5日( 金) 晴れ 悪路でも走行可能で、安定性も抜群の4WDの電動車いすが開発された。大径の前輪も駆動すること で段差乗り越え能力は80mm、舗装路での登坂角度は10度を確保。左右に傾いた路面でも直進でき、 砂地や雪道での走破性も抜群。アームレスト高やバックレスト角度が調整できるなど快適性も追求され、 カラーバリエーションは5色。最高速度は6km/h、重量は100kg。1 充電での連続走行距離は30km。 すみませんの笑顔さわやか秋日和 11月6( 土) 曇り 卵は弥生時代に朝鮮半島から伝来した。夜明けと共に鳴き始める鶏は「 時告げ鳥」 と呼ばれ太陽の到 来を知らせる神聖な鳥とされ、その卵は生命誕生の象徴的なものとして口にすることは長い間タブーと されてきた。卵が食べられるようになったのは、安土桃山時代。長崎に南蛮船が入港し、カステラなどの 南蛮料理が伝わったことによる。 銀杏道黄落色の服の行く 11月7日(日) 晴れ 寒さ向かう晩秋から冬にかけて咲く山茶花は、椿とよく似ているが、花弁がばらけて散る点が椿とは違 う。日本の南西地域に自生する原種は白花だが、園芸品種には、紅、桃、ぼかしなど多彩な色で、一重、 八重、獅子咲きなどがある。江戸時代前期にはすでに多くの品種が観賞用に栽培され、江戸染井の植 木商伊藤伊兵衛が記した「 花壇地錦抄」 や「 木草花蒔絵」 には123種もの山茶花が紹介されていた。 山茶花の白咲き初むや川辺道 Good News No.99 ∼ ちょっと良い話・面白いこと ∼ 11月8日( 月) 曇り 市街地に点在する緑地を緑道や河川などで結ぶことで、住宅や商業ビルが密集する都市圏にも多様 な生物が生息する空間を作り出そうという取り組みが各地で始まっている。「 緑の回廊構想」 と呼ばれる このプロジェクトは、飛び石の拠点となる緑地や水辺の緑の「 質」 が重要となる。例えば広くても芝地で はあまり意味がなく、狭くても多様な樹木や下草が生える緑地が求められる。目標は昔あった「 農家の 庭先」 のような、生き物が身近に感じられる自然。 秋化粧図書館前の大ケヤキ 11月9日( 火) 晴れ 2004年のノーベル平和賞は、アフリカで緑化運動に取り組む女性環境活動家で、ケニアの環境副大 臣を務めるワンガリ・ マータイさんに決まった。受賞理由は「 環境、持続的な発展、民主主義、平和に対 する貢献」 。アフリカなどの途上国では、砂漠化の進行や干ばつなどの環境問題が、貧困や飢餓につな がっている。環境問題の解決により平和な社会がもたらされることが評価された。マータイさんの活動 が画期的なのは、途上国の中から自発的に生まれた植林活動であること。マータイさんは、77年に環 境保護と住民の生活向上を目的にNGO「 グリーンベルト運動」 を創設。7本の木を植えることから始まっ た運動は、ケニア国内だけでなく、アフリカ各地に広がり、3000万本以上の木が植えられた。 お日さまの匂いの布団秋日和 11月10日( 水) 晴れ クレーム対策を危機管理としてだけでなく、商品開発や工程改善のツールとして位置づける企業が増 えている。福井商工会議所は、全国から商品クレームを募集し、集まった1万件近いクレームをもとに地 元企業が商品を開発。それらを展示した「クレーム博」が開催され、話題を集めた。例えば、満員電車で も濡れない傘。オリンピックのユニフォームも製造した地元の繊維産業の高度な技術力を駆使して防水 性が非常に高い繊維を開発。これを使い、雨で濡れてもすぐに乾いてしまう傘を発売した。マイナスをプ ラスに変える、企業の戦略が広がっている。 青テント摩天楼下の秋の闇 11月11日( 木) 晴れ 近年、竹は産業的に利用される機会が減ったため増えすぎ、山を荒らす厄介者呼ばわりされている。 だが成長が速く、切ってもすぐ生えてくるので、これほどサステナブルな森林資源はない。我が国随一 のメガネ産地である鯖江市で、竹のメガネフレームが開発された。現代的な美しさを持つ、軽くてしなや かなフレームは、京都産の竹の微妙な曲面を生かすようデザインし、輪郭をレーザーで切り出したあと、 細部にわたって丁寧に仕上げている。つるから鼻あてまですべてが竹製なのでアレルギーフリーで、汗 や脂で滑らないのもうれしい。 午後4時半霜月の街静かに暮れ 11月12日( 金) 雨のち晴れ マンハッタンでほとんど唯一「 高層化」 を免れているのがグリニッチビレッジ。高いビルも、高いレスト ランもない暮らしやすい地区だ。その西半分を東西に走る通りがグリニッチアベニュー。 Ti me Out NY( 10.28) によれば、ここ1キロ足らずの道沿いは、30軒の格安食堂が並ぶ「 食い倒れ」 の街。夜の 定食コースが平均20ドル前後。いわゆる有名店の3分の1ぐらい。たいていは10年以上前から営業し ていて、店は狭くて古い。ほとんどが常連客だから気取らず、飾らない。カリブ海やアジア、中東、アフリ カなどのエスニック料理が多いのも特徴。 小夜時雨人の温もり恋しき夜 11月13( 土) 晴れのち曇り アフガニスタンで診療所を開設し医師として働きながら、「 緑の大地計画」 を推進している中村哲医師 がイートハーブ賞を受賞した。現地にとどまり、受賞式に出席できなかった中村さんが、書面で送った受 賞の弁で、中村さんは、自分の20年間は「 セロ弾くのゴーシュ」 が、「 セロの練習をしたいのに、次々と 動物たちがやってきて、仕方なく相手をしているうちに、とうとう演奏会の日になってしまって、叱られる と思ったら賞賛を受けた」 みたいなことだと語る。もともと、登山や虫などへの興味からアフガニスタンを 訪れ、ハンセン病患者や干魃にあえぐ人々の現実を突きつけられて去ることができなくなり、なんとか 対処してきた結果、20年の月日が流れた。よく考えれば、どこに居ても思い通りに事が運ぶ人生はない。 遭遇するすべての状況は天からの問いかけで、それに対する応答の連続が人生。その中で人として最 低限守るべきことは何か学ぶ。自分もそんな一人の普通の日本人だと語る。 夜半過ぎ木枯らし一号吹き荒れる 11月14日(日) 曇り 小麦は、1万年以上前から栽培されていた。皮が堅いので、粒のままでは食べにくい穀物だが、メソ ポタミアやエジプトでは、石で挽いて粉にして使われた。小麦粉は水を加えてよく練ると、タンパク質の 粒子が水を吸って膨らみ、グルテンが形成される。パンを作る時も、こねることで、生地の中にグルテン が形成され、焼くと組織が膨らんでふかふかのパンが出来上がる。この小麦粉の文明は中国に伝わり、 麺を生み出した。グルテンの効果でコシの強さが産まれる。小麦は粉にしてグルテンを利用することで、 世界に広まった。 黄金の白樺林に雪の舞う Good News No.100 ∼ ちょっと良い話・面白いこと ∼ 11月15日( 月) 雨のち晴れ 太陽光発電はクリーンエネルギー源として注目されているが、大量普及を実現するために製造プロセ スが簡単で材料費も安く低コスト型である有機太陽電池の早期実用化が期待されている。現在最も有望 なものは、太陽光を色素で増感し、太陽光発電を行う色素増感太陽電池。製造コストが大幅に削減でき、 透明なものやフレキシブルなものができる。原理自体は古くから知られており、この原理を利用して現 在変換効率最高10%程度のものが得られている。しかし電解質に揮発性の液体を使用することから、耐 久性などに問題があり、実用化はこれからの課題。 雨上がり秋の陽空気の美味きこと 11月16日( 火) 晴れ 地元で収穫された農作物を学校給食に利用する「 地産地消給食」 が徳島県のモデル校で始まった。地 場産物の活用促進をはかる一方で、児童生徒に地域の産業・ 文化などへの理解や関心、自然の恵みや 生産に携わる人々への感謝の心を育ませるのが目的。体験学習でじゃがいも掘りや稲作体験なども実 施し、児童生徒たちは、自分たちで収穫した野菜類を給食で食べることにより、地域の農業を理解し、地 元の人々との交流を深めている。 小春の陽水面にきらめく 午後の池 11月17日( 水) 晴れ 中高生を対象に、仕事の本質や喜びを伝えようという取り組みが注目されている。富山県では5年前 から、中学2年生を5日間、地域の様々な職場で大人と共に働かせる「 14 歳の挑戦」 プログラムを実施し ている。神奈川県の高校では、企業のサラリーマンに影のように寄り添い、その役割を理解する「 ジョ ブ・ シャドウ」 という取り組みを始めた。 晩秋の残照に浮かぶ富士の影 11月18日( 木) 晴れ 18日、国連安全保障理事会の特別会議が開かれたナイロビで、ロシアのデニソフ国連大使が地球温 暖化防止のための京都議定書の批准書をアナン国連事務総長に手渡した。これにより3ケ月後の来年 2月16日に、議定書が発効する運びとなった。これは11月初めにロシアのプーチン大統領が批准書に 署名したことによるもの。議定書が発効されれば、すでに批准している日本を含む先進国30カ国は、温 室効果ガスの排出量削減目標達成を法的に義務付けられる。議定書をめぐる今後の課題は、最大の温 室効果ガス排出国で議定書の枠組みから離脱している米国の復帰や、同ガス排出量が多い中国、イン ドの扱いなどである。 昏早し広重で見たよな西の空 11月19日( 金) 雨のち晴れ 太平洋のマイワシの主な漁場は日本近海、カリフォルニア沖、ペルー沖。最近になってカリフォルニ ア沖だけがマイワシの量が増えてきている。カリフォルニアでは、イワシは、卸会社が事前に取引先か ら注文を取り、漁師に事前にオーダーするシステムを採用している。漁船は需要がある分しかイワシを 獲らない。水揚げ量や単価は州政府の漁業調査局によってきちんと管理され、乱獲を防ぎ、安定した漁 ができるようになっている。1930年∼40年代にかけて、アメリカの西海岸ではトマトソースのイワシ缶 が大人気となり、イワシの需要が増え、漁師たちの生活も一気に潤った。しかし、40年代末、マイワシ が激減し、慌てた漁師たちは、漁獲高1トンにつき1ドルを寄付し、科学者に調査を依頼した。そこで分 かったイワシの生態系と気象の関係を受けて、カリフォルニア政府は、12年間にわたってマイワシを禁 漁にした。これらの努力が実ったものだ。 とりどりの紅葉自然の巧みかな 11月20( 土) 晴れ 日本では江戸時代に農家に石臼が普及し、皮が硬くて粒のままでは食べにくい小麦を粉にできるよう になった。しかし、湿度の高い日本では小麦粉はすぐ湿気てしまい、虫がわく。そのため、冠婚葬祭や、 祭など特別の日にだけ作るご馳走になった。小麦粉に水を加えてこね、足で踏んでいく。踏めば踏むほ ど美味しいうどんになる。うどんはその食感から、「 ツルツルカメカメ」 。鶴は千年、亀は万年にたとえら れ、縁起のいい食べ物とされてきた。 短日や夕闇に吠ゆる白き犬 11月21日(日) 晴れ クラシック音楽には、小川のせせらぎや小鳥の声のように心地よさを与える「 ゆらぎ効果」 があり、スト レスを和らげ、心理的開放感を与えるらしい。特に3500ヘルツ以上の高周波は効果的だという。実験 により、音楽を聴き始めて10分くらいすると、汗や涙に含まれるI gA( 免疫抗体) の分泌濃度が高まり、 唾液と血中のコルチゾール( ストレスホルモンの一種) が減少することが分かった。リンパ球の機能が高 まり、血糖値も下がり、成人病の予防にもなる。 冬ざれの池に白鷺一羽をり
© Copyright 2026 Paperzz