3d 遷 移 金 属 の APS ス ペ ク ト ル

3d遷
移 金 属 の
西
刻
(1976年
APSス
介 *・ 加
ペ ク トル
益*
藤
5月 31日 受 理)
Appcarance Potcntial Spectra of 3d TransitionヽIctals
Ry5suke]KoNISHI and Susumu KATO
(Received May 31,1976)
So£ tX― ray
appearance potential spectrometer has been constructed for sur―
lace studies. 再Ve have observed L― shell aPpearancc Potential spectra oこ
3d
transition metals by using the aPParatus,The L3 binding energies were measu―
red. It's values were comPared tO the values tabulated by Park and Houstan
and Bearden and Burr. The values obtained by APS result in every case 2re
lower than the ones by ESCA.
The
Ы
ndng energy of Ni(■ 2)and!Pi▼
2■
患ご眠
乱守 上〕
I
h(絲
:i撓
uded from the shape of the spectra tha
and 4s― bands are superimposed where2s with NiO these are separated in ene―
rgy.
The sampling depth of Cr― L3 SpeCtra has been measured by using the con―
structed filni thickness meter,
The Fe film on the Cr substrate was evaPorated. Cr―
been observed at about 70 A.
茎
醐
緒
La SpeCtra could not
Auger電 子及び特性 X線 を 放 出 す ることによってエネ
起 の条件 では X― iay techniqueの 表面感度 は本質的に
同じ レベルを合む電子分光に対するのと同様 である。そ
のような測定 は放 出された X線 の Sel£ ―absorptionに
ルギーは保存 され る。その電子や X線 のエネルギーを分
よる歪 もさける ことがで きる。 軟
1・
固体内の原子が励起状態か ら基底状態に減衰す るとき
光す ることに よって固体内部 の 情報 を 得 ることができ
る。今 日電子分光 の発展 は放 出電子が静電場や磁場に よ
って容易 に操作 で きることにある。しかしなが らこれ ら
の分野に対す る PhOtOn(X線 )に 無関心なのはその
X線 出現電圧分光法
(Appearancc Potential SP∝ troscopy:略 して AP
S)は そのような表面分光法である。
1)は
1954年 に篠 田,鈴 木,加 藤
入射電子 エネルギーの
escape depthが 同じエネルギ ーの電子 に対するよりも
関数 として tOtal X― ray yieldを 電気的に微分す ること
に よって bremsstrahlung backgroundを おさえるこ
大 きい値であるため表面物性 をしらべ る方法 として不適
当と考えられてきた ゝめ と思われ る。もし励起状態をつ
Park,Houston,Schreiner)は Auger電 子分光法等 で
くるのに 使用 され る電子 のエネルギーが threshOld値
近 くまで減ず るな ら Sampling depthは 電子 の mean―
もちヤヽられ てヤヽる POtential modulation technique
を使用 し excitation thresholdを 検 出した。 その後 A
tree゛ athに よって決定 され る。 それ故 threshold励
PSは 固体表面 の成分や電子構造 の研究 に対 して重要 な
*電 子工学科
とが可能であるとい うことを示 した。 そして 1970年 に
152
小西亮介・ 加藤 益
:3d遷 移金属 の APSス ペ ク トル
技術 として確立された。 この方法 は一般的には 2 KeV
以下 の領域にある検 出し得 る レベルを容易に見いだす こ
とができる。我 々は軟 X線 出現電圧分光法を固体表面物
性の研究 に応用す ることを 目的 として変調法に よる装置
を試作し実験的に測定条件 を決定 し若千 の実験例を報告
してきた。 ここではAPS法 に よって得 られた 3d遷 移
金属
(Fe,Cr,V,Ni,Ti,M■ )の L―
スペ ク トル
の結果について報告す る。
2.試
料 作 製
測定を行なった 3d遷 移金属 のバル ク試料はまずあら
さを次第に小さくしてエメ リーペーノヾ―で徐 々に仕上 げ
Fig, l schematic diagram Of experimental
apparatus.
最後に電解研磨を行ない純水 とアル コールで洗 った後素
10n
早 く真空容器に入れて真空にひ く。
試料 の処理におい て各試料に対 し電解液 の組成 と電流
cun
somple
―電圧特性が異な ってい るため きれいな鏡面 に仕上 げる
ことは意外に難かしい問題 になって くる。各試料を鏡面
に仕上 げるための 電解液 と電解条件にっい て Table l
に示 してい る。なお Vと Mnに ついては適 当な電解液
が見いだせなか ったので電解研磨は行なっていない。
装置の主要部は試料 ホルダー,熱 電子を供給するフィ
ラメント,信 号検 出部 のフ ォ トカソー ドとコレクター
,
そして試料表面をイオ ン衝撃す るためのイオ ン銃か らな
っている。装置全体 の構成 を Fig。 1に 示す。試料の表
面状態を清純に保つために約 2× 10 9tOrr.の 真空中に
セ ッ トし Ar十 衝撃 とアニー リングを繰 り返 しなが ら測
Fig. 2 Electronic system of ion gun.
Table l
省二
磨
りん 酸
無水 クロム酸
硫
酸
259
,o occ
!o occ
259
電時液
りん 酸
無水 クロム駿
Ni
iooo∝
電時液
Cr
電時液
り ん 酸 Ю 00cc
シュウ酸 409
ゼラチ ン R rl a
Fe
流
問
温
:A
2分
流
間
温
!.6A
! 30
過塩素酸 6 0cc
ブチルァルコール350cc
メチルアルコール 氏GrL…
n―
ぅo・ c
畜
温
Ti
室温
電 流
時 間
液 温
h隊
電極間距離
scm
試
料 iOxtOmf
陰 極 材 料 ステンレス板
電極問距離
5 cm
試
料 !。 xtOm
陰 極 材 料 ステンレス板
著
FHllE鷲
5枠
50∼ 60●c
陰 極 材 料 ステンレス板
0.3A
2分
電極間距離 2 7cm
試
料 iox:。 mm
陰 極 材 料 ステンレス板
室温
鳥 取 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第
定を行な った。試料表面 のスパ ッタ リングは試作 したイ
オ ン銃でなされた。 導入 ガス (Ar)を イオ ン化す るた
めの電子を供給す るフィラメ ン ト,生 成 された電子を集
める電子 コ レクター,そ してイオ ンが試料表面 に集 中す
るようにわずかに正にバ イアス された ウエネル ト円筒か
ら成 っている。その概略図 と試料表面をイオ ン衝撃す る
場合 の配線図を Fig。 2に 示す。アニー リングはフィラ
メ ン トか らの電子衝撃に よって行なわれた。アニール温
度 は白金―白金 ロジウム熱電対で 測定 しその 温度 は約
600℃ で ある。ス ィープ電源 は試作 した もので,ス ィー
プ速度 は 0・ lV/Sec.∼ 2V/sec・ まで可変できる。この両
端 の出力電圧を標準抵抗で構成 された分圧器で分圧 しX
一 Yレ コーダーのX軸 とし,ま た Y軸 は ロック・ イ ン・
ア ンプの出力端 と接続 した。また測定中のエ ミッシ ョン
電流 の変動を防 ぐために エ ミッション電流 コ ン トロー ラ
を試作 し使用した。
3.3d遷 移金属の APSス ペ ク トル
3-1
Fig。
スペ ク トルの分離
3に 3d遷 移金属 のL― スペ ク トルを 示 す。
L3'と 2ス ペ ク トルの分離 はもしこれ ら2っ のスペ ク ト
ルの形状が相似であ り相対的な大 きさのみ異な ってい る
TARGET
TARGET
7巻
153
と仮定す るな ら可能である。すなわ ち
L3,2(2)=L9(2)+L3(β
〃 β)/α
(1)
と書ける。 ここで α は L3と rr2 の相対的な強度比で
あリガβは SPin― orbit― splittingで ぁる。しか しなが ら
実際には L3に 比べ て と2の 拡が りは 二3 L2C° Ster
―Kronig遷 移 の life time効 果 か ら生ず るが この効果
ま 3d遷 移金属に対 しては小 さい と思われ る。 計算は
イ
Fig.4に 示す様な 方法 で 行 ない α と 〃β を決定 し
た。また Llピ _ク は相対的に弱 く と3と L2に 比べ て
ひろがってい る。
3-2
結合 エネルギー
・ レベル以上 の状態ま
結合 エネルギー としてフェル ミ
で与え られた レベルか ら電子を励起す るのに要求 され る
エネルギーを とる。thresholdェ ネルギーにフィラ
最河ヽ
メン トの仕事関数 および変調振幅 の ウちを加える必要が
ある。放 出された電子 の平均熱 エネルギ…の拡が りは変
調振幅以下 で大部分 thresholdの まるめ 誤差 のなかに
入 る。この方法で決定 された結合 エネルギ …は Table
2に 与え られ てい る。 得 られた結果 は
ESCAに よって
3)。
Beardenと Burrが 与えた値 よりも低 い
POTENTIAL(eV〕
写
PoTENTIAL teV〕
POTENTIAL`
V′
Fig. 3 Appearancc Potential spectra of 3d transition metals,
これ は
小西亮介・ 加藤 益
:3d遷 移金属の APSス 入 ク トル
3-3
LP,3SPECTRA
バ ン ドモデル
簡単な一電子 モデルにおいて振動子強度が一定である
と仮定す ると励起確率は初期状態 と終状態 の密度 の積 に
比例す る。初期状態は空にな るで あろうと仮定 され るコ
アー レベルである。一方終状態は 2っ の電子 (入 射電子
と励起電子)に 対 して全ての可能な位置を考慮 しなけれ
A
D︹ I I II
T
P
L
ばな らない。 2っ の電子 に対する終状態の密度は 1電 子
に対する空 の状態 密 度 N(E)の Self― convolutionに
よって与え られ る。
め 幅 h/Tを 考慮すると (こ こでは Tは コ
励起 コアーレベノ
アーホールの litetine),血 reshold以 上の遷移確率は
T(2)=∫
(β
Fig, 4 SeparatiOn Of L3 SpeCtrun■ from
appearance pOtential spectrat
Webbと
APSス
williams4)が 議 論 してい る よ う に ESCAと
ペ ク トル の 関連 を検 討 す る こ とは APSデ ー タ
Parkと HOustOn5)の APSに
よ る測定 値 も
示す。
と3と L2ス ペク トルの相対的強度は統計的重み 2j+1
によって与えられると予期される。 これは L3/L2常 2
となるはずである。しかし Fig.3の スペク トルからは
一般的にその場合でない。この統計的重みか らの偏 りは
励起確率 の異常か 2pホ _ル の放射減衰に対する j選 択
則の異常を意味する。例えば Augerの 場合 Crに 対す
るL3/ら はほとんど2と 見いだされる この場合
Crに 対 して 2p%ホ _ル は 2P%ホ _ル よ り大 きい 確
6)。
率で放射遷移に対 して減衰 していると思われ る。
Mn
=Ъ
り
ぽ
Кめ
叩
―
囲
"′
「
となる。 故 に十分長い lite timeで コァ_レ ベルを 励
起す るとい うことに限る場合励起確率 はフェル ミ。レベ
レ以上 の状態密度の Sel工 coavolutionに 比例す る。遷
ィ
移金属に対す るこの関数 の定性的考えは Fig.5に 与え
られ てい る。Fig.5(a)は 3o遷 移金属 の状態密度をあ
らわ している。非常に図式的であるけれ ども普通 これ ら
の材料 による特性を合んでい る。ブ ロー ドな 自由電子 に
4527と o7
4555± 04 4593と 05
L2
This wOrと
塾?6と 05
5124■ 14
5 12 91ol「 5 5200と 05
5740と 05
5739士 L4
05
6366■ 07
5745上 03 5827と 05
6403と 04 6491± o5
5200± 14
5839と 14
64ア 2と 07
7063と 05
7C55土 o7
7081と 09 7195と Ob
718つ と07
8509と 05
8484と 07
8541■ 04 8682土 o5
6385■
(3)
その場合 の遷移確率 は
4534と 05
r営
・……Ⅲ
(2)
イ,(2)=″ εδ(β ― rB)
Ths L3work
:身
′
'β
関数によって 耗 (2)を 与えることができる。
d
日
B階 ,評
母 ▼
9,
+βぢ― βり
車
的
Table 2
)F2/′
で与えられる。
ここで 発 は励起 コアー レベルの状 態密 度 関数 であ
る。もしコアーホールの Iifetimeが 十分長いなら δ
を説 明す るの に有 力 な根 拠 を与 え る も の と思 われ る。 ま
た 同時 に
′
〃
′×
〃
―
)К β
耗
手
岸β
8667と
07
:詔 暁許
4615± 04
5205± 03
5337士 05
6514± 04
72卜
8719±
1と
09
04
鳥 取 大 学 工 学 部 研 究 報 告
第
7巻
な った後 に得 られ た と3,2ス ペ ク トル を Fig.6に 示
す 。NiOの 亀 threShOldは Niよ り も 約 0・ 4eV高
エ ネル ギ ー側 ヘ ンフ トしてい ることがわ か る。 Niの 場
非
合 L3 スペ ク トル は正 の ピー クに対 して負 の dipヵ 式
常 に小さ く,こ れに反 して NiOの 亀 スペ ク トル は
正 の ピー クに対 して負の dipが 非常 に大 きくな ってい
る (点 線矢印 A)。 為
EF
Fig. 5 Simplified density of states represen仁
ation for 3d transition】 metal,
近 い 4Sバ ン ド上 に重畳 した シ ャープな 3dバ ン ドにそ
の特徴 が あ る。簡 単 なモデ ルではバ ン ドの型 は固定 して
・ レベルの位置 のみが漸次原子番号 Zの
考 え,フ ェル ミ
増加 とともに満 され てい くにつれ て変化す る。lbは 上式
APSテ クエ ックにおい て
(4)に 対応する。しかしなが ら
観察され るスペ ク トルは(ω に対応す るものである。 この
非常に簡単なモデルか ら3d遷 移金属の与え られた コア
ー レベルのAPSス ペ ク トルは正 の thresholdピ ー ク
を示す。その幅 は近似的に満され ていない 3dバ ン ド幅
に等 しい 。それ に続 く negat e diPは 4S状 態 の相対
的分布を反映している。
3-4 Niお
よび
スペ ク トルについ ても同様 に
,
NiOの ほ うが正の ピー クに対 して負のが diP大 きくな
ってい ることが わかる。 (点 線矢印 B)。 更 に Niの
スペ ク トルに見 られたサティライ トピー クCは NiOか
NiOの APSス ペ ク トル
Ar十 衝撃 とアニー リング (約 600℃
)を 繰 り返 し行
らのスペ ク トルには全 く見 られず,そ れ に代 って新 しい
サティライ トピー クDが 858eV付 近に出現 してきた。
と3 ピ ク とサティライ トDと の間のエネルギ ー差 は約
10.2eVで ある。結合 エネルギーは (3-3-2)で 述
べた補正を行 った結果 Niの L3は 848.4eVで ある。
A dlerと Feinleib7)に よって得 られた NiOの フェル
ミ準位付近 の電子 の状態密度 を Fig.6に 示す。 図 の
左根1の 状態は普通 の 一 電 子 モデルで示 され , 右 側 は
quasi― particleの 状態で示され ている。Niは フェル ミ
3dバ ン ドと 45バ ン ドが 重
な り合 った状態であるが酸化され て NiOに な ると 3d
バ ン ドと 4Sバ ンドが分離し, 更 に 3d8状 態 もそ の結
晶場 の影響に よって分裂する。 3d7.3d9で 示 され て
準位付近 での状態密度 は
い る状態 は 3 da状 態か ら Ni2+へ の電子 の 励起 エネノ
ッ
ギーに対応 してい る。
dバ ン ドと Sバ ン ドが重なった場合 のAPSス ペ ク ト
ルの形状 につい て Parkと HOuStOnに よって 詳細 に
5)。
そ の場合 のAPSス ペ ク トル は非対
報告 され てい る
さ くな
称 , すなわち正の ピー クに対 して負 の dipヵ 朔ヽ
る。 その特徴 は
Niか ら得 られた スペ ク トルに よく観
察 で きる。それに反 して N10か らのスペ ク トル は実際
負 の diPカ リ,常 に深 くな ってい る。 このことは Fig.7
で示 した ように事実
NiOは 3dバ ン ドと 4Sバ ン ドが
メト 一
∽ Z Ш卜 Z 一
分離 してい るとい うこ とを実証 している。
Niと NiOの スペ ク トルに 観察 されたサテ ィライ ト
ピー クの原因 はあま りよく知 られ ていない。グ ラファィ
トや 酸化物 の 酸素 の Kス ペ ク トルに 見 られ るように
あるいは COnduction電 子 のプ ラズ
single― particleか
モ ン励起 と内殻 ホールの相互作用に よるスペ ク トル形状
の異常はAPSに おいて観察 されているが, Niに おけ
るサティライ トピー クと L3ピ ク とのエネルギ ー差 は
Niの Surfaceプ ラズモ ンあるいは bulkプ ラズモ ンの
励起 エネルギーとは一致 しない。Ertlと Wandelte)は
小西亮介・ 加藤 益
:3d遷 移金属 の APSス ペ ク トル
Fig. 8 Evaporation system.
下地試料 として 3d遷 移金属 の Crを ,ま た蒸着す る
金属 として Feを 使用 した。蒸着 される試料 は回転 ホル
回転 してAPS検 出器 の方向へ 向け測定 を
行な った。そのとき下地試料 の Crの L32ス ペ ク トル
と蒸着物 Feの と3,2ス ペ ク トル を 記録す る。 そして
下地試料か らのスペ ク トルが検 出されな くな るまで蒸着
ダーで
NiO
を くり返す。 膜厚測定に際して, 水晶ヘ ッ ドが十分冷
Fig. 7 Band structures Of NiO.
NiOで 観察されたサティライ トピー クDは Niの 2p
電子が直接 3d7.3dつ で示 され る状態 へ 遷移するため
か,あ るいはご く普通 のフェル ミ
・ 準位への内殻電子 の
励起に加えて d8→ d7.d9を 含む多重励起 のために生
ず るのではないか と報告 してい る。 Niに 見 られるサテ
ィライ トピー クCは NiOに なると見 られな くなること
か ら酸化され る前 に 3dバ ン ドに重な っていた 4Sバ ン
ドが寄与 してい るのではないか と思われ る。
4. APSス ペ ク トルの Samplhg depthの
90°
測定
APSに
却 してか ら測定 を行なわなければならない。 得 られた
APSス ペ ク トルを Fig,9に その 膜厚 と の 関 係 を
Fig,10に 示す。 ピー クの 高 さは threShOldを 基準
Crに ついては蒸着前 の と3 ピ
ー ク値で nOrmaliZeし てぁ り Feに ついては L3 ピ
に して 決 めた も ので
ー クの強度が最大 の値で nOrmaliZeし てぃ る。 Fig.
11か らわかるように下地試料 の Crの と3ピ ク は約
70A付 近 で検 出で きな くなる。 それ故 Cr_L3(573.9
eV)の SamPling dePthは 70Aと ぃ ぅこ とになる。
ここで “sampling depth"は 入射電子の進入深 さか特
性 X線 の脱 出深さなのかは入射電子 と特性 X線 の固体内
よる “sampling depth"を 求める方法 とし
て下地試料 の上に徐 々に金属を蒸着 してAPSに よる下
での m ean― free― pathの 大 きさに依存 している。一般
には電子 よりもX線 の mean― free― P2thの 方 が 大 き
地試料 の ピークが得 られな くな る膜厚を求 めその時 の膜
厚をAPSス ペ ク トルの “Sampling depth"と 考える
い 。いずれ にせ よAPSの 測定 の対象 となる深さはこの
ことにする。
Cr― L3(573.9
蒸着は 0.5mullφ のタングステン線 2本 をより合わせ て
バスケ ッ トをつ くりその中へ鉄線を入れ て行 った。Fig.
8に 示す ように試料 と水 晶ヘ ッ ドを蒸着源か ら同じ距離
のところにセ ッ トし,か つ試料 と水晶ヘ ッ ドはで きるだ
け近づ けてセ ッティ ングしなければな らない。蒸着源 と
水品ヘ ッ ドは幾何学的設計 か ら 150Hul以 上 離 す の が
befferで ぁるがスペースの関係 で約
せなか った。
110alII程
度しか離
ような 方法 でしらべることがで きる。 ここで測定 した
eV)の “SamPling depth"の 値 は膜厚
の
とか蒸
計 精度
着膜 の拡散・ 脱離現象に よって影響を う
ける。膜厚計 の精度については装置の周波数変化が最大
120Hz/3時 間 とな り膜厚に換算すれば 19A/3時 間で
これは 70Aの 値に 対 しては 27%の 誤差 とな りかな り
大 きい 。今回は測定に 3時 間要 してお り測定時間を短縮
す ることと蒸着用水晶ヘ ッ ドの冷却を行 うことに よって
改善 され ると思われ る。なお蒸着表面をAPSス ペ ク ト
ルで検 出す るとき Feが 真空中に脱離,又 は内部 に拡散
(Al
O
陥ψ 吊 吊
THlCkNESS
鳥 取 大 学 工 学 部 研 究 報 告
第
7巻
するなどの影響については考察 していないので正確な値
とは言えない。
5.ま
1. 3d遷
移金 属
(Ti,V,Cr,Mn,Fe,Nl)の
ルから
PSス ペクト
A
亀結合エネルギーを決定した。そ
れ らの値はいずれ も ESCAで 得 ら浄 た値 より小 さい。
3d遷 移金属に特徴的な空の状態密度 に関す るスペ ク ト
ルが得 られ る。
2. Niと NiOの L3,2 APSス ペ ク トルにおいて
Niの 場合 L3ス ペ ク トルの負 の diPの す ぐあとにサテ
ィライ トピー クが観察 され るが,
NiOの
スペ ク トルか
らは見 られず ,そ れに代 って新 しいサティライ トピー ク
が 858eV付 近に現われ る。 NiOの サティライ トピー
クは Niの 2,電 子が直接 3d7.3d。 状態へ遷移する
ためかあるいはご く普 通の Ferni leveユ ヘの 内殻電子
57 VMし
の励起に加えて d8→ d7e d9を 合む多 重励起 のために
生ずるものと考え られ る。 また NiOの 電子構造 は 3d
バ ン ドと 4Sバ ン ドが分離 した状態にあるが,こ のこと
汁
はAPSの
L3
スペ ク トルの形状に 端的に 反映 され
,
NiOの 場合,Niに 比べ て と3ス ペ ク トルの負 の dip
の強度比が非常に増大す る。Niに 対 して NiOは L3
結合エネルギ ーにおい て約 4eV高 エネルギー 恨1ヘ シ
0・
フ トす る。
Fig. 9 Appearance potential
9し
3.2)and Fe (L3,2)°
3.試 作 した膜厚計を使用 してAPSの
Cr― L3ス
ペ
ク トル (573.9eV)の “Sampling depth''を 測定 し
た。その場合下地試料 として Crを もちい ,そ れ に Fe
を蒸着 してい く。約 で70A cr zj3 スペ ク トルは観察 さ
0 一卜 く ∝
れな くな り Cr立 3ス ペ ク トルの SanPlhg depthは
約70Aと 決定 され る。測定誤差は最大 120Hz/3時 間で
あり19Aと なる。これは27%の 誤差にな り Sampling
Xく Ш住
depthは
50∼ 90Aと なる。
Appendix水 晶式膜厚計の試作
1・
動作原理
水晶の振動には種 々の型式 のものが あるが,こ こで試
作した膜厚計に使用 してい る水晶は厚みすべ り振動を行
ってい る基本発振周波数が 6 MHzの 水晶板 である。 こ
の水晶の基本発振周波数を /と すれば
THlCKNESS
Fig. lo Peak ratio vetsus Fe fil■ n hickness.
/= 7/2ち =札/ち
7 :定 常波の伝播速度
ち
:振 動子の厚 さ
N :周 波数定数
158
小西亮介・ 加藤 益
:3d遷 移金属 の APSス ペ ク トル
純粋 の厚みすべ り振動では,共 振周波数は振動 の表面に
ごく近い層 の質量によって左右され ,そ の弾性定数に無
関係である。従 ってある範囲内では水晶振動子 の平面上
に形成 された蒸着膜により,水 品の質量に対応 した値
,
即ち見掛上の水晶振動子の厚さ ち の変化に基づ く周波
数の変化が現われる。但)式 より微分形
J/・
ち+/・ ′
ち=0
T=―
キ…
(2)
点線は基本波型に対す る変型
+/団
いま水晶の密度を も ,水 品振動子に蒸着された膜の密
度を
P厚 さを trrと すれ ば
β
ち・ 為 =力 ・ P
り 方― 寺 ・零勒
蜘よ
E:電
界
厚みすべ り振動
_LP.Fの
出力
df
シュ ミッ ト回路の出ヵ
なる関係が得 られ る。すなわち周波数 の変化 を は膜厚
の変化 力 に直線的に比例する。
この水晶板を設置した水晶ヘ ッ ドを用いた主発振器を
トリガ・パルス
基本発振周波数 /A/0で 発振 させ る。 一方局部発振器の
周波数 /sを 主発振周波数 //0と 等 しい値 デsOに セ ッ
トし蒸着 を始 めると膜厚に比例 した周波数変化が主発振
周波数に生ずる。従 ってこの 2っ の周波数を混合 して低
域 フィル ターを通す ことに よって
T=ム 0-/x
なるビー ト周波数が得 られ るこの周波数を測定すること
によって(5)式 より蒸着膜 の 厚 さ れ を知 ることがで き
る。周波数 の測定は周波数 カウンが―で行 う。それを膜
厚に換算すればよい。その場合 ビー ト周波数をメーター
で指示 した り,ペ ンレコーダで記録で きるようにす る。
その方法 は Fig.Alに 示す ように ビー ト周波数
単安定マルチバ ィブレー タの出力
メー タす
旨方く
安定マ ルチの実効値 )
(単
Fig. Al Mechanisttl of thickness meter.
発 振 回路 (lsI XTALOSC,f2SLCOSC, lsIMIXER,
B,P.F)ょ りな りそのブ ロックダイヤグラムを Fig.
A2に 示す。膜厚測定 には周波数 カウンタを使用す るな
らば,主 発振回路だけあれば十分であり,発 振回路 はこ
の装置 の心臓部である。 この装置 は主に 日本電気株式会
社 の EVM-30水 晶式膜厚計を 基 にしている。
'7の
正弦波を シュ ミッ ト回路に入れて波形整形す る。その出
力を微分整流 して単安定 マル チバ イル ー タを駆動す る
トリガパルスを得 る。単安定 マル チバ イブ レー かの出力
,
動することに よってメータには方形波 の実効値が指示 さ
れ る。 この実効値は
Tに 比例 した値であるので膜厚 に
も比例 している。
2.回 路説明
この装置の構 成 は主発振回路 (fx XTALOSC),局 部
水出
11式 膜厚計 ブロックダイヤグラム
中
叫
︲
︲
も
一
中
中
中
す
は ビー ト周波数に等 しい周波数 げ をもつ一定 の振幅
一定パ ルス幅 の方形波である。 この方形波でメータを駆
Fig. A2 B10ck diagram Of thickness meter。
鳥 取 大 学 工 学 部 研 究 報 告
第
7巻
159
2-1 :xXTAL OSC
蒸着 される 水晶板 とともに 水 晶 発 振 回 路 をなし
6 MHz∼ 5.9MHzを 発振す る。 発振回路 は コル ピッッ
,
型であ り共振回路 のコンデ ンサはスチコ ンを もちいてい
る。水晶ヘ ッ ドヘ の水晶板 , リー ド線 の取 りつけ方に よ
り回路 の接触抵抗が大 きくな ると発振が停止す ることが
ある。そのため真空中にセ ッ トす る前に発振 レベルをチ
ェックしてお く必要があ る。 この発振回路 の出力を倍電
圧整流 してその 出力 を膜厚表示用 メータで 表 わ してい
る。
2-2 fs2 LC OSC
この回路は 400KHz∼ 500KHzを 発振す る LC発 振
回路 である。回路型式はクラップ回路であ り,Lと して
lmHの ピー ク ング コイルをまた トリマ ● コ ンデ ン サ
とバ リコン以外は全てスチ コンを使用してい る。蒸着膜
がついていない時 のゼ ロ・ ビー ト操作は この回路 のバ リ
コンで行なう。
2-3
偽 IXTAL
1d′ MIXER,B,P.F.
fslと fS2の 周波数を混合 して (lsl+fs2)の 周波数
だけを取 り出す回路である。MIXERで は fsl,fs2共
ベース注入 されてい る。£
slは 直接 ベースヘ 注入 されて
いるが,f2sは Fig.A3の ようにバ イアス抵抗を 30KΩ
OSC Ist MIXER
fS2 LC OSc
tt P R
Fig.A3 ElecttOnic circuit:fis XTAL OSC,
fzs LC OSC and lst MIXER.
と 20KΩ に分割 してその分害↓
点へ 注入され てい る。
B.P.F.は 2段 の LC並 列共振回路を用いた帯域 フィル
タである。 この B.P.F.の Qを ごく大まかに測定 した
値 は約40で ぁ った。 この特性 より fsl成 分は-22dB以
下 であ り (fsl+2 fs2)成 分は
2--4
-16dB以 下であ った。
2ndヽ IIXER,L.P.F.,AMP.
£
xと (ft二 十fs2)の 周波数を混合し (Esl+fs2) fX
の周波数を取り出して増幅する回路である。(Fig.A4)
2nd MIXERで は Exは ベース注入されてお りMIXER
段で増幅された後 , コレクタ注入 されてい る。 そ の後
L.P,F.を 通 して (fsl+fs2) fX成 分が得 られ る。 こ
の L.P.F.の 速断周波数は次段 の AMP.段 も合めて
測定 した約 180KHzで ぁ った。 このAMP.段 の トラン
ジスタの コ レクタよリカウンタ用 の端子が出てお り,ビ
ー ト周波数を測定することがで きる。
2_5 MULTI― VIBRATOR
シュ ミッ ト回路で波形整形し負の トリガ・ パ ルスを取
り出し,こ のパルスで次段 の単安定 マルチバ イブ レータ
を トリガしてい る。単安定 マル チバ イル ータの出力 と
fメ
XTAL OSC
MIxER LPF A M P
TRICGER
Fig. A4 ElectrOnic circuit :fx XTAL OSC
and MIXER.
して,一 定幅 の方形波が得 られ る。 この波形をバ ッフ ァ
・ ア ンプに通 して,膜 厚表示用 メータとペ ンレコーダを
駆動するようにしてある。単安定 マル チバ イブ レータの
回路はパルス幅を 5段 階に切 り換えられ,メ ータが フル
スケールの場合 の周波数は
l KHz, 3KHz,10KHz,
30KHz, 100KHzで ぁる。
また レコーダ用端子 の出力
ま 10mVに 設定 してある。 メータは 100″ Aの 感度 で
′
ある。Fig.A5に 示す ように
T9rが OFFの
とき C42
小西亮介・ 加藤 益
:3d遷 移金属 の APSス ペ ク トル
デ =6
MHz
に電源電圧に近い電圧まで充電 され ,Tr9が ONに な っ
た瞬間,C42の 電圧が T10rの ベースーエ ミッタ間に逆
バ イアスがか ゝり B― EJunctionを 破壊 す る恐 れが あ
の範囲である。 ここで
る。Trloに は]2 SC269を 使用 してお りこの トランジス
タのベース・ エ ミッタ間逆方 向最大電圧 は 5Vな ので電
そ の誤差は 100KHzで 3%以 下 となる。 また水品はそ
の発振周波数 が温度 に依存 してお り,蒸 着 の前後 で温度
源電圧をッェナー 。ダイオー ドRD6
Aで 約 6Vに おと
してい る。
ヽ
の水晶板を使用 してい るので EF″ ,ァ =60KHzと な る。
この装置では最大測定範囲を 100KHzま でにして あ り
差 があればそれ が直接誤差 として現われ る。Fig.A6
は水晶板 の温度に姑する周波数変化を測定 した ものであ
る。これ は水晶ヘ ッドのみを恒温槽に入れて測定 した。
… …………………………r― ―――――……
、
この図 より仮 りに蒸着前 の温度が 25℃ 付近で あり蒸着
後 の温度 が 80℃ 以下であるな らば最大約 -100Hzの
誤差を生ず る。 これ は
Feを 蒸着する場合 ,約 16Aに
相 当す る。膜厚測定 は十分冷却 してか ら行なわなけれ ば
な らない。
3-2 fx XTAL OSC
この回路 の時間に対す る周波数変化 は 2時 間の測定 の
結果 ,最 大 16Hzで ぁった。 但 し測定中の周囲温濁 の
変化 は約 0・ 2℃ であった。基本周波数 は 6 MHzで あ
るので , この回路 の周波数変化 は 2.7,Pmで ある。
ONE SHOT M.V.
Fig. A5 ElectrOnic cと cuit :One shot multi―
‐
vibratOr.
2-6 SOURCE
電源回路に は東芝 の
TA7084AMと
ぃ ぅボルテージ ●
レギ ュ レー タを使 用 して安定化 してい る。 出力電 圧 は
12Vで ,各 発振 回路 はッ ェナ ーダイオー ドRD9Aで 9
Vに 下 げ,さ らに安定 化 してい る。
3.精 度 の検討
3-1水
晶
板
この膜厚計 は原 理 の項 で も述 べ た ように発振周波数 の
変化 が蒸着膜 の厚 さに比ケ1す ることを利用 した もので あ
る。しか し この比例 関係 が成 立 す るのはある限 られた 範
囲で あ り 1%以 内 の誤差で直線性 が成 りたつ のは
字
∠ 10-2
O
Fig.A6 changes of frequency versus temp―
erature oF crystal,ユ ate.
鳥 取 大 学 工 学 部 研 究 報 告
3-3 VFO
るので
この発振回路 の安定度 は主発振 回路 の安定度 と共 に こ
る。
の装 置 の性能を左右す る部分 で あ る。 この回路 の安定度
を よ くす るため ,そ の一 部 を
この
XTALOSCに
してい る。
第
7巻
LCOSCの 変動がいかに影響 してい るかがわか
3-4
ビー ト周波数
-3 Hz/0.5hr.
実際の膜厚測定 は ビー ト周波数をカウン トす ることに
よって行なわれ るので この周波数変動 を 知 る必要 が あ
る。 測定 の結果 , 周波数変動 は ±20Hz/0・ 5hr.と な
-4 Hz/1 hr・
る。 これは
-4∼ 5
る。従 って膜厚 を測定す る場合 ,蒸 着後 の水晶板 の温度
XTAL OSCの
時間 に対す る周波数変 動 は
,
Hz/2 hr.
であった。測定中の周囲温度変化は 0,4℃ である。 ま
た温度による周波数変動は 20℃ ∼33℃ で
-7.5Hz/℃
であった。次に
LC OSCの 時間に対する周波数変動は
Feを 蒸着す る 場合
±6.2A/hr.に 相当す
が十分下 が りそれ による誤差が無視出来 るな らば測定誤
差は,装 置の安定度 ±40Hz/hr・ と水晶板 の直線性 の誤
差 1%(ビ ー ト周波数 60KHzま で)を 考 慮 すれ ばよ
Feを 蒸着す る場合 ,100Aの 膜を蒸着 し測
定に 1時 間要す るな らば ±7.2%の 誤差である。 また
い。例えば
loooAの 膜を蒸着すれば ±1・ 62%の 誤差になる。
15Hz/0.5hr.
27Hz/1 hr・
References
44Hz/2 hr.
但し測定中の周囲温度変化は 0,7℃ であった。 また温
度に対する周波数変動は 23℃ ∼31℃ で
約 9。 3Hz/℃
Rev,,95o954)380.
2)R. L.Park,J.E. Houston and D.G.Schreiner
:Rev,Sci.Instr.,41(197の
である。 この回路の発振周波数を 450KHzと すれば周
波数変動は 60pPm/hr.20ppm/℃ となる。
この両方の回路を合成 した VFO全 体の 時間に 対 す る
周波数変動は
1810。
3)J.A.Bearden and A.F.Burr:Rev.Mod.
Phys,, 39 (1967)125。
4)C,webb and P,M・
ヽ平illians:Phys.Rev.
Letters 33(1974)824.
5)R.L.Park and J.E.Houston:Phys.Rev.B6
21Hz/0・ 5hr.
(1972) 1073.
39Hz/1 hT・
6)J.E.Houston and R.L.Park:Phys'Rev.B5
58Hz/2 hr.
であり,測 定中の周囲温度変化は 1,8℃ でぁった。 こ
の場合 39Hz/hr・ は
6.6PPm/hr・
である。XTAL
l)G.Shinoda,T. Suzuki and S.Kato :Phys.
OSCの
(1972) 3808.
7)D,Alder and J. Feinleib i Phys.Rev. B2
(1970Ⅲ 3112.
8)G. Ertl and K.
安定度 は 0・ 73ppm/hr・ であ
(1979479.
ア
andelt i Surface Sci, 50
ヽヽ