数学,情報を読むために I 練習問題 4 学部 |学科 |学生証番号 |氏名 問題1.ある学校の進級制度が下図のようになっているとする. ␃Ꮫ ␃ᖺ 㐍⣭ 㸯 ヨ㦂 㐍⣭ 㸰 㐍⣭ 㸱 㸦༞ᴗ㸧 㸲 㣕ࡧ⣭ ヨ㦂 白点は各学年を表し,学年 a になった人が 1 年後に学年 b となる可能性がある時,それらを a −→ b のように矢印で結んでいる.また,各矢印にはその理由と確率を書いている.例えば,3 年生になっ た人が試験によって 1 年後に 1 年生に戻される確率は 0.2 で,卒業する確率は 0.8 となっている. (一 旦卒業すると,1 年後も確実に卒業扱いとなるので,確率 1.0 で卒業に戻ってくる矢印も存在してい る. )この図をもとにして以下の問いに答えよ: (1) 上の進級図に対して隣接行列 A と確率行列 P を答えよ. A= P = (2) 隣接行列 A と確率行列 P について,各々A4 と P 2 を計算せよ. (A4 を求めるには A を 4 回掛ける よりも,A2 を求めて,A2 · A2 を計算する方が掛算の回数が少なく済む. ) A2 = A · A = P2 = P · P = A4 = A2 · A2 = (3) 上で求めた A4 をみて,2 年生になった人が 4 年後に 1 年生になっているパターン(つまり,上の 図で矢印を 4 回通って点 2 から点 1 に到達する道順の総数)が何通りあるか答えよ. 道順の総数: 通り また,P 2 をみて,2 年生になった人が 2 年後に「1 年生となっている確率」「2 年生のままでいる確 率」「3 年生となっている確率」「4 年生となっている確率」を各々求めよ. 1 年生の確率: 2 年生の確率: 3 年生の確率: 4 年生の確率: 問題2.容器 1 と容器 2 にそれぞれ濃度不明の食塩水が 100 g 入っていたとする.これらに対して, 「それぞれの容器から,40 g の食塩水を同時に取り出して入れ替える」作業を 2 回繰り返した結果,容 器 1 の食塩水の濃度は 16 % となり,容器 2 の食塩水の濃度は 15 % となったとする.この時,それぞ れの容器の最初の濃度を求めたい. (なお,濃度 x % の食塩水とは,100 g の食塩水中に食塩が x g 含 まれていることを意味する. )以下の空欄を埋めて答えを計算せよ: 先ず,一般的に,容器 1 と容器 2 の濃度が x % と y % の時に, 「40 g の食塩水を同時に取り出して入れ 替える」作業を 1 回行うことで,濃度がどのように変化するか調べる.容器 1 は濃度 x % の食塩水が 60 g 残り,そこに濃度 y % の食塩水が 40 g 入ってくるので,食塩水全体の質量は 100g のままである が,その中の食塩の質量は x y 60 · + 40 · = 0.6 x + 0.4 y 100 100 に変化する.つまり容器 1 の塩分濃度は 0.6 x + 0.4 y % に変化するわけである.同様に,容器 2 の塩 分濃度を計算すると x+ y % となる.従って,容器 1 の濃度 x,容器 2 の濃度 y の組 ( ) x が入力として与えられた時, 「40g の食塩水を同時に取り出して入れ替える」作業を 1 回施し y ( ) 0.6 x + 0.4 y x の た後の容器 1 の濃度,容器 2 の濃度の組を出力する関数は −→ x+ y y ように線形写像となる.更に,これを行列の掛算を用いて書き直すと ( ) ( ) 0.6 0.4 x x −→ y y となる.この 2 次正方行列を A と略記することにすると, 「2 回入れ替え作業を行った結果,濃度が ) ( 16 となる」ことから 15 ( ) ( ) ( x ) 16 A A = (1) y 15 を満たす x, y を計算すれば,最初の濃度が分かる.あとは,行列の割算によって (1) を満たす x, y を 求める作業を行う. A −1 = − − であり,この A−1 を (1) の両辺に左から 2 回掛ける(A で 2 回割算する)と ( ) ( ) ( ( ( ))) ( ) x 16 A−1 A−1 A A = A−1 A−1 y 15 ( ) x となる.この左辺は, (A−1 · A が単位行列となることから)明らかに と等しい.従って, y ( ) ( ) ( x 16 ) = A−1 A−1 = y 15 である. 締切は 7 月 18 日 (金) として,毎回の講義後に提出を受け付けます.BT0712 室前の封筒に提出して も構いません.採点作業のため期限後の提出は受け付けません.また,成績管理の必要性から提出 物は全て 2 年間保管していて,その間の返却はできません.申し訳ありませんが,御了承ください. 解答例は http://www.i.hosei.ac.jp/~kurata/lecture/ に置く予定です.
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