49 滋賀大学教育学部紀要 教育科学 No. 61, pp. 49-61, 2011 イタリアの初等教育教員向けオンライン英語研修制度 1) 中 村 秩祥子 Online In-Service Training of Teaching English for Primary School Teachers in Italy Chisako NAKAMURA 1 .日本の現状と問題点 1 .1 研修時間について 2011年度より日本の小学校にて、外国語(英語)活動が必修となった。文部科学省は、英語の指導 方法を本格的に受けたことがない多くの小学校の現職の教員に、英語活動の必修化の準備として、中 核教員による研修制度を設けた。中核教員とは、各校から代表 2 名( 2 年間で、毎年 1 名ずつ)が選 出された連続 5 日間の25時間程度の研修を受けた者を指す。その者が校長と中心になって、各校で校 内研修を 2 年間で30時間程度実施する(文部科学省 2008:10)。 さて、現在、日本の文化背景知識をもち、日本語において堪能といえる日本語母国語話者であって も、このような短期間の研修で日本語教師資格を得ることはできない。しかし、小学校の教師に関し ては、英語圏の文化背景知識もほとんどなく、英語力に自信がなくても、英語の指導者として教壇に 立つように急き立てられている。 では、その短期間の研修はどのくらい実施されているのであろうか。文部科学省(2009)が発表し た「平成21年度公立小・中学校における教育課程の編成・実施状況調査」において、全小学校21,442 校に対する調査によると、21,442校のうち、都道府県・指定都市・中核市教育委員会が主催した中核 教員(各校からの代表者)向けの外国語活動指導力向上のための研修へ参加した学校数は、2008年度 で17,300校の実績、2009年度で18,221校の参加予定とある。また、各校で主催した現職教員研修の実 施校数は、2008年度で14,284校の実績、2009年度で16,920校の予定とあり、2008年度で、中核教員が 研修を受けた校数は80.6%、また、校内研修を実施した校数は66.6%の実績であった。2009年度の実 施計画では、中核教員向け研修参加は84.9%、校内研修実施は78.9%の予定となっている。 次に、文部科学省(2010)が発表した「英語教育改善のための調査研究事業に関するアンケート調 査」の調査研究校である小学校123校のうち2009年度に行った校内研修の実施率は、118校の約96%で あった。月 1 回以上が38件の30.9%、月 1 回程度が12件の9.8%、年 2 〜 3 回程度が29件の23.6%、年 5 回程度が29件の23.6%、年 1 回が10件の8.1%であった。年 1 〜 3 回程度が、31.7%占めている状 態で、平均すると年 4 回程度となる。 さらに、 「今年度中に中学校区内の小学校あるいは中学校と合同で研修会を行いましたか」に対して、 109件の88.6%が「行った」と回答しているが、やはり全校ではない。その109校に対し、「今年度中 50 中 村 秩祥子 にどれくらい回数の合同研修会を行いましたか?」の質問があり、年 2 〜 3 回程度の35件、28.5% が最も多かった。平均でも 2 回程度となる。 文部科学省(2011)で発表した「小学校外国語活動に関する調査まとめ」では、2010年11月時の調 査で、無作為に抽出した(ただし、広島市立学校は除く)215校、それらの小学校を所管する市区町 村教育委員会197、都道府県・政令指定都市教育委員会(広島市を除く)65が調査対象となっている。 そこでは、「外国活動について、平成23年度から円滑に実施する準備が整っていると思いますか。」の 質問に対し、「とても思う」「まあまあ思う」の回答をしたのが、小学校では207校の96.3%、市区町 村教育委員会では、193の97.9%、都道府県・政令指定都市教育委員会では、64の98.4%となっている。 残りの質問は、「あまり思わない」と回答した所だけ対象となっていて、「外国語活動を円滑に実施す る上で具体的にどのようなことが必要だと思いますか。」の回答で、「小学校教員の英語力や指導力の 向上」が 1 位を占め、その選択に対する具体的記述に、「研修」の不足をあげている。 この2010年11月前の 8 月にも文部科学省は調査を実施していたと、「外国語能力の向上に関する検 討会(第 4 回)議事要旨」(2011)内にある。そこでは、「それ(調査)によると、99%の小学校で校 内研修が実施されて、ただし、時間数は61%が30時間以上やっているけれども、あとの 4 割程度はそ れに達していないという状況がわかりました。」と述べられている。 ほぼ同時期に、ベネッセ教育研究開発センター(2011)が、全国の公立小学校から無作為に8000校 抽出し、各校の教務主任及び 5 、 6 年の学級担任 1 人に回答を依頼し、教務主任2,383人の29.8%及び 5 、 6 年の学級担任2,326人の29.1%の回収率を得た調査結果をまとめている。それによると、2009年 度から2010年度の夏休みにかけて、校内研修の実施が「年に 1 回程度」は27.0%、「半年に 1 回程度」 は22.7%、「実施していない」は16.1%である。学級担任が受けた英語活動の校内研修は、平均6.8時 間であり、 0 時間という人も約 2 割いる。 また、外国語活動の授業教員の学校外での研修参加率は、「ほとんど全員が参加している」は、 20.2%、 「ほとんど全員が参加していない」は、20.6%で、 「 3 割くらいしか参加していない」が34.5% である。どこが主体となった研修であるかの質問に対して、市区町村での研修が76.7%、都道府県で の研修が48.8%とある。 以上から、研修率は年々増えてはいるが、まだ全員に徹底しているわけではなく、受けた平均の時 間数も 2 年間で30時間の目標時間数からは、かなり少ないといえる。 NPO 小学校英語指導者認定協議会(J-SHIN)の小学校英語指導者資格を得る方法の一つとして、 英会話スクール AEON が差し出しているコースでは、幼児・小学生に対する50時間以上の指導経験 とある程度以上の英語力を習得するレッスン( 1 コースにつき 1 回50分×30回 =25時間)以外に120 分× 6 回(計12時間)のセミナー講座と 2 日間(全12時間)の小学校英語指導者育成講座を受講する 必要がある。つまり、最短(英語力が十分にあり 1 コースで修了できる人)でも、実習以外に約29時 間はかかる。 東京家政大学児童英語講座(2007年~ 2010年実施)が、講座受講修了者に渡す文部科学省からの 認定書を得るときに、条件として出されたのが、120時間以上の内容であった。この講座では、15回 × 5 コマ( 5 ×90分 =112.5時間)と実習 8 時間(小学校 2 校を 2 度ずつ訪問)を行った。つまり、 公式に小学校英語指導者用の講座修了の認定を受けるときには、実習以外に約112時間の受講が必要 とされている。したがって、文部科学省の小学校英語指導者としての認定から考えれば、30時間の研 修でも少ない。 しかしながら、現状では研修時間が平均6.8時間とかなり少ない状態である。これは、2011年度か らの外国語活動必修化に向けて、研修の推進を行っていての結果であることから考えても、達成度が 低いといえる。 イタリアの初等教育教員向けオンライン英語研修制度 51 1 .2 研修内容 研修内容は、どのようなものであろうか。文部科学省(2008)が発行した外国語活動に関する研修 用のガイドブックでは、理論編と実践編と実習編に分かれて構成されている。理論編では、小学校に おける外国語活動の基本的な考え方や理念、研修の在り方、年間指導計画の立案、評価、小中連携等 の解説や第 2 言語習得論や様々な教授法の簡単な説明がある。実践編は 2 部に分かれ、I では、授業 を実際に行うときに必要な情報や授業の進め方、ティーム・ティーチングの進め方、様々な活動を行 う際の注意事項等の解説である。II では、英語を発音する際の注意点をまとめ、付属の CD に、その 英語の音声が入っている。実習編では、クラスルームイングリッシュや ALT 等との打ち合わせに必 要な基本英会話表現やスキル別向上策やなどが記載されている。特に、実践編の I は模擬授業の方法 の具体的解説となっているので、すぐに現場に応用できるものである。また、II の英語発音や英語表 現もすぐに現場で役立つものである。 文部科学省(2010)が発表した「英語教育改善のための調査研究事業」での小学校123校対象の 2009年度の調査では、118校が校内研修を実施するなかで、その校内研修の内容は、「外国語活動・外 国語科の在り方について共通理解を図った」が、99件の80.5%、 「具体的な活動について共通理解を図っ たり、体験したりした」が、97件の78.9%、「外国語活動・外国語科の研究授業を参観し、研究授業 について協議した」が、95件の77.2%、 「年間画や単元計画、指導案作成したり、検討したりした」が、 76件の61.8%である。「外国語活動・外国語科を行う際に指導者が使う外国語(英語)について発音 練習を行ったり、その使い方について理解を図ったりした」が、50件の40.7%である。 また、中学校区内の小学校あるいは中学校と合同研修を行った109校の研修内容の選択項目は校内 研修時と同じであり、割合で上位を占めるのは、「外国語活動・外国語科の研究授業を参観し、研究 授業について協議した」が、96件の78.0%、「外国語活動・外国語科の在り方について共通理解を図っ た」が、71件の57.7%、「具体的な活動について共通理解を図ったり、体験したりした」が、58件の 47.2%と、順位は変化するが、校内研修時の上位項目と一致する。また、「外国語活動・外国語科を 行う際に指導者が使う外国語(英語)について発音練習を行ったり、その使い方について理解を図っ たりした」が、18件の14.6%と、実際の英語運用能力の研修はかなり少ない。その他は、 7 件の5.7% で、主な内訳は「講演を通じて、小・中連携について研修を深めた。」「意識調査の結果をふまえ実態 に関する共通認識を図った。」とある。 ベネッセ教育研究開発センター(2011)の調査での校内研修の内容に対する回答は、 「指導法(歌、チャ ンツ、ゲームの進め方など)」74.8%、研究授業や授業研修会39.3%、英語力(クラスルームイングリッ シュなど)32.6%が上位となる。英語力の研修に関しては、学級担任が必要な研修と考えている回答 割合60.5%から見ると低い実施率である。 以上から、具体的な授業方法の研修が熱心に進められていることがわかる。しかし、その一方で、 英語運用力に関しての研修が少ない。また、英語に関する知識の発展の研修についての質問項目はな く、「その他」の項目で主な内訳としてあがっているのは、「評価について」と「模擬授業を通じて展 開の仕方や教材の使い方」とあり、教員の英語の背景知識などを伸ばす研修は見当たらない。 1 .3 授業の成立 文部科学省(2011)で発表した「小学校外国語活動に関する調査まとめ」では、1.1で述べたように、 96%以上が外国活動について、平成23年度から円滑に実施する準備が整っていると回答している。 ベネッセ教育研究開発センター(2011)でも、「貴校(あなたの学級)の外国語(英語)活動はう まくいっていると思いますか」の質問に教務主任の80.2%、学級担任の81.1%が「とても・まあうま くいっている」と回答している。しかし一方で、英語活動の指導に対する自信についての質問で「と ても自信がある」と「まあ自信がある」の回答率が約30.1%で、「あまり自信がない」が56.1%である。 校内研修を受けた時間が長くなるほど自信があるとの回答が増加している。 52 中 村 秩祥子 指導に自信はないが、クラスの英語活動がうまくいっているといえるのは、どんな場合であろうか? 例えば、古典の知識が十分でない教師が、古典をまだ学習していない小学生に百人一首のかるた遊 びをさせるようなもので、児童に古典に楽しく触れさせることはできる。独特の調子の読み方は、 CD による音声を使用したり、専門家(英語活動の場合 ALT)にお願いしたりすればよい。道具(か るた)があり、遊び方の手順を教えることができれば、古典の専門的知識がなくても授業を組み立て ることができる。 学級担任は、英語ノートの教材があり、ALT がいて、研修で授業方法の手順を学ぶことで、授業 を組み立てることができるようになったといえる。 特に問題と思えるのは、学習指導要領に「外国語の音声やリズムに慣れ親しむとともに、日本語と の違いを知り、ことばの面白さや豊かさに気付くこと。」とあるが、指導方法に自信もった教員が、 ALT のいない授業時に、自らの誤った発音やリズムを聞かせる時間になってしまう危険性を孕んで いることである。例えば、百人一首のやり方の指導に慣れて、見よう見まねで、学級担任が百人一首 を読みあげたとする。そのとき古典の知識を持っていなければ、 「ん」と発音すべき「む」の表記を「む」 と発音し、その誤りに気付かないでいるようなものである。そして、児童もその読み方に慣れてしま うかもしれないという危険性である。だからといって、教員が一切英語発音をしようとしないのも、 やはり指導上問題がある。 たとえ、正確な英語発音を自らできなくても、児童に日本語と英語の音の違いを気付かせながら教 えていくことはできる。それができるようになるには、やはり英語についての知識を指導者がもって おく必要がある。 1 .4 課 題 文部科学省(2011)による調査で、「平成23年度から円滑に実施する準備が整っているとあまり思 えない」と回答した校数が 8 校の3.7%あった。その理由として、 「小学校教員の英語力や指導力の向上」 をあげたのが 7 校の87.5%を占め、次に、「教材・教具等の開発や準備」とあげたのが 6 校の75.0%で あった。そして、小学校教員の指導力の向上について、特に課題があるとした内容は、「教員間で効 果的な指導方法の工夫について共有されていない」が、 4 校の57.1%、「モデルとなる優れた授業を 見る機会が少ない」をあげたのが 3 校の42.9%である。具体的記入において、「授業実践する機会を もてない教員が多い」があった。 また、ベネッセ教育研究開発センター(2011)の調査で「とくに課題だと感じていることは何です か」の質問項目に対して、「教材の開発や準備のための時間」57.9%、「ALT などの外部協力者との 打ち合わせの時間」39.7%、「指導する教員の英語力」33.6%の回答が上位を占め、「外国語(英語) 活動に関する教員研修」18.7%は、 7 番目となっている。 これらから、授業展開方法などは研修から学んだが、よりよい授業の開発(教員間での指導方法の 工夫についての共有や教材開発や ALT との打ち合わせ)の時間がないことや英語力が身についてい ないことが課題となっていることがわかる。また、英語についての知識を身につけていく必要もある。 他の校務や教科に関してでも忙しい教員に、英語の研修時間を増やすのは、今でも30時間に達して ない状態が 3 割あるのに無理であろう。また、英語力の育成には時間がかかる。これらの点を少しで も解消できる手段はないであろうか。 そこで、本稿で紹介するのが、イタリアの小学校教員向けオンライン研修制度である。もちろんオ ンライン研修であっても時間は必要であるが、ある程度自分の好きな時間に研修を受けることができ ることや自宅をはじめ自分の都合のよい場所で受講ができるという利点がある。 イタリアの初等教育教員向けオンライン英語研修制度 53 2 .イタリアの初等教育の英語教育事情 イタリアでは、1991年から初等教育で外国語(英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語より選択) が必修化された。当初は、 3 学年より開始されたが、2003年には、 1 学年から開始することとなり、 英語が必修となった。イタリアの初等教育は 6 歳から10歳までの 5 年制である。英語の授業は、 1 学 年では週 1 回、 2 学年では週 2 回、 3 学年以上 5 学年までは週 3 回実施されている。初等教育修了時 に CEFR 2 )の A 1 レベルに達することを目標設定されている。 1974年に、教員資格として大学卒業資格を義務づけるようになったが、従来、就学前教育や初等教 育の教員養成は、後期中等教育レベルの教員養成高校や教員養成学校で行われていたため、大学に養 成課程がなく、完全実施は1998年からとなった。1998年に、大学に就学前及び初等教育の教員養成課 程が設けられた。大学は 4 年制であったが、EU 内の他国の大学と単位交換を容易にするため、2001 年に 5 年制へ変更された。従来、イタリアの大学は卒業率が著しく低かったため、 3 年+ 2 年の 5 年 制として、 3 年次修了と 5 年次修了に分けて卒業証書を発行することを可能にした。就学前及び初等 教育の教員養成課程の学生は初めの 3 年間は共通科目を履修し、次の 2 年間は就学前か初等教育かの どちらかの専門に分かれて履修する。この 2 年間の間には教育実習も含む。 大学を卒業するのに、英語の学力として CEFR の B 1 以上 3 )が求められるので、大学で教育学部 を修了した者は特に英語の能力に関して問題にされないが、それ以前の制度で教員になった者の多く は、英語の能力や英語の指導力が不十分な状態である。そこで、必修化当初は、英語を専門に教える 者が派遣されて授業を行っていた。しかし、予算不足もあり、政府は小学校教員へ委任する政策を打 ち出した。そのため、多くの英語の能力や英語の指導力が十分でない教員に向けて、研修コースを設 けている。30、80、100の各時間と200時間以上で380時間を上限とする英語漬けの集中訓練ができるコー スと、多忙な教員のために、ある程度時間の融通がきき、場所も特定化しないで参加できるオンライ ンによる研修コースがある。もちろん、現場では、まだ、英語専門の指導者と協力して授業を行った り、彼らの監督下で授業を行ったりしているので、実習をしながら指導方法を学ぶ点は、現在の日本 の状況と酷似している。 3 .イタリアのオンライン研修制度 イタリアでは、技術進歩に伴い、Web 上で教育情報などを提供するようになっていたが、教師向 け研修、再教育、能力向上を支援する e-learning のサイトである PuntoEdu は、2002年から開設され ている。Roger C. Schank の Goal-Based-Scenarions から発展した Learning by doing の理念に基づき、 実際の Activity(授業活動)を中心としながら、オンラインによる学習(研修)を同時に行っていく Blended Method である。また、学習者は、一方的に受け身の学習体制ではなく、e-tutor と常にコン タクトをとり、他の受講生とも交流しながら受講していく。現在までに延べ65万人の利用がある。 特徴としては、開放的で柔軟性があり、永続的であることがあげられている。利用者は、イタリア の教育機関に従事する者なら誰でも所属機関長を通して申請し、社会保障番号を告げることで ID と パスワードを入手することができる。そして、インターネットによって、どこからでも接続可能であ るので、参加の場所を限定されずにすむ。受講時間などもある程度自分の都合のよい時間を選ぶこと ができるようになっている。また、学習者の興味・関心・必要性や能力に合わせてコースを選択でき、 さらにそのコースの中でも単元を自由に選択できるようになっている。コース修了後でも、その分野 に興味・関心がある者たちがいつでも集うことができるチャットルームやブログ形式などのサイトが 開設されている。また、大量のデータベースによる資料提供もあり、これらを自由に活用できる。 学習者は、学習履歴が記録され、ポートフォリオが作成される。これに従い、定められた単位が認 証されていき、コース全体を終えたとき、その課程の修了書が発行される。 54 中 村 秩祥子 現在(2011年11月現在)、登録受付中となっているコースは、次の 3 コースとなっている。 1 .Lingue(初等教育の教員向け英語教育研修コース) 2 .Cittadinanza e Costituzione(管理職教員向け市民権と憲法に関するコース) 3 .Apprendimenti di Base(中等教育の教員向け基礎学習能力(言語と数学)が不足している生徒 への指導に関するコース) 2011年 1 月の時点では 8 コース 4 )が登録受付中として開設されていたので、今回は、時期的に登 録受付中のコースが少なくなっていたと考えられる。 4 .初等教育の教員向けオンライン英語研修コース 4 .1 研修コースの概要 3 節であげた Lingue のコースは、英語力が CEFR の B 1 レベルに達していない初等教育の教員向 けに開設されている。このコースは、2004年より開始されている。1 年間で修了できるようにカリキュ ラムは組まれているが、英語の能力別によって、それより短い期間で修了することも可能である。反 対に 1 年延長することも可能である。現在のところ毎年登録募集を募っていて、大学で教員養成課程 を終えていない現職初等教員の5000人を対象としている。 参与者として、コース全体を管理する責任者(Course director)、現職教員の研修者(Trainees)、 各研修者のオンライン上の指導者(e-tutor)がいる。この指導者(e-tutor)は、 1 人が最大25名まで 受け持つ。また、研修者の学習進度をポートフォリオに記録したり、研修者同士が参加するネット上 のクラス(virtual classroom)を開催するためのコーディネートをしたりする。 サイト内には、他に研修者同士が集うことができるサイトミーティングやサイトフォーラムも開設 されている。 コースは、主として英語の能力の発展(Language Training)と英語の教授法の発展(Methodology Training)の 2 つを中心にカリキュラムが組まれている。Language Training(340時間)と Methodology Training(40時間)の両方で380時間を上限とする構成となっている。 4 .2 Language Training この分野は、研修者の英語力を CEFR の B 1 レベルまで引き上げるための英語学習となっている。 CEFR の基準に従って、レベル別に学習が始められるようになっている。学習は、オンラインによっ て文法学習などを行うことと他の研修者たちと集うヴァーチャルクラスやサイトミーティングやサイ トフォーラムに出席して、実際に英語を使用する訓練による。これらの会合は、研修者の存在する場 所は様々でも、オンラインを通して同時刻に一斉に参加することになる。 表 1 が示すように、英語力レベル別に 3 段階に分かれている。第 1 段階は、A 1 レベルまでで、文 法学習などの時間(online)が40時間とヴァーチャルクラスなどに参加して実際に英語を使用する時 間(presence)が60時間の計100時間である。第 2 段階の A 1 から A 2 レベルでも同じ割合である。 第 3 段階の A 2 から B 1 レベルでは、online の学習時間が 2 倍の80時間と増えているが、presence の時間は同じ40時間の計140時間である。 表 1 Language のレベル別学習時間 イタリアの初等教育教員向けオンライン英語研修制度 55 最後に外部での英語力の試験が課せられ、それに合格すると B 1 レベルに達したとして修了認定さ れる。 4 .3 Methodology 4 .3 .1 全体構成 Methodology の分野は、英語力が A 2 レベル以上で開始が可能となっている。Online の学習時間 が20時間、Presence の時間が20時間の計40時間である。 2007年度の Methodology の分野では、表 2 ように、まず 6 分野に大別されている。また、さらに 各 分 野 の 中 で 複 数 の Activity が あ り、 各 単 位 5 ) が 表 示 さ れ る。 例 え ば、 1 の 教 授 法 に は、11の Activity が表 3 のようにある(その他は文末資料を参照)。Activity は、全部で40ある。学習者は、 これらの中から自分の興味・関心のある Activity を選択して学習し、単位を取得していく。 各表の( )内の日本語は筆者の訳。 表 2 2007年度の Methodology の 6 分野 1 Approcci methodologici (教授法) 2 Organizzazione della didattica, tecniche, multimedialità (教育的、技術的マルチメディアの組織) 3 Lingua e cultura (言語と文化) 4 Progettazione, monitoraggio e valutazione (計画とモニターリングと評価) 5 Lingua, interazione, comunicazione (言語、インターラクション、コミュニケーション) 6 Componenti affettive, motivazionali e cognitive (情動、モティベーション、認知的要素) (PutoEdu Lingue 2007年度版より) 表 3 教授法の11の Activity *印の項目は2008年度版にはないものである。 1 Il Total Physical Response nella classe( 4 credits) (授業での TPR) 2 Percorso CLIL di Scienze per la scuola primaria: Growing( 6 credits) (小学校での理科の CLIL 法) * 3 Il CLIL e la pratica didattica( 4 credits) (CLIL 法と指導実践) * 4 L’approccio lessicale e le sue applicazioni pratiche( 6 credits) (語彙的アプローチとその実践応用) 5 Do you like tea?( 4 credits) (お茶は好き?) 6 The Enormous Tulip: Un laboratorio di storytelling( 4 credits) (『巨大なチューリップ』読み聞かせのワークショップ) 7 Union song: attività integrate sull’Unione Europea( 4 credits) (欧州連合の歌:欧州連合に関する統合された活動) 8 A topic-based approach to English: the castle( 6 credits) (英語への話題中心アプローチ:城) 9 Speaking with Mr Puck: il computer nell’approccio comunicativo( 6 credits) (パックさんと話す:コミュニカティブアプローチでのコンピューター) 10 Working in English( 4 credits) (英語で行う) 11 Se vedo, organize – le mappe concettuali nella didattica dell’inglese( 4 credits) (もしわかるなら、英語の教授法で概念地図を組織する) (PutoEdu Lingue 2007年度版より) 56 中 村 秩祥子 2008年度版では、表 4 のように、分類方法を変えて項目は 5 つに分かれている。Activity の総計は 同じ40であるが、そのうち13は異なっている。表 3 の*印をつけた番号の項目は、2008年度にはない。 特に、2008年度の 3 の「教授計画と検証」とそれに相当する2007年度の 4 の「計画とモニターリング と評価」の Activity は、ほぼすべて異なっている(表 5 と表 6 を参照)。 表 4 2008年度の Methodology の 5 分野 1 Acquisizione e apprendimento (習得と学習) 2 Didattica lingue (言語教授法) 3 Progettazione didattica e verifica (教授計画と検証) 4 Lingua e cultura (言語と文化) 5 Tecnologie e materiali (テクノロジーと教材) (PutoEdu Lingue 2008年度版より) 2007年度と2008年度の Activity が変わっている「計画と評価」に関する分野では、表 5 と表 6 の 項目から明らかなように、2007年度では、計画と記録が中心で、2008年度では CEFR に基づきなが ら計画する項目が多い。他の分野では、2007年度の 2 の「教育的、技術的マルチメディアの組織」の 分野で、フラッシュカードの項目が 3 つあったが、2008年度では、それらはなくなっている(文末資 料参照)。 表 5 2007年度の「計画とモニターリングと評価」の Activity 1 La biografia linguistica (伝記) 2 La documentazione degli apprendimenti e il profile delle competenze (学習の記録と言語能力のポートフォリオ) 3 Progettare Unità di Apprendimento partendo dall’inglese (英語から出発する学習の統一計画) 4 Progettare & documentare (計画と記録) 5 Progettare percorsi didattici con il modello ESA (ESA モデルでの教授計画) (PutoEdu Lingue 2007年度版より) 表 6 2008年度の「教授計画と検証」の Activity 1 Dal QCER alla progettazione di compiti (CEFR から課題の計画まで) 2 Learning by doing: se faccio e penso, capiso e ricordo (「しながら学ぶ」:もし私がして、考えるなら、理解して記憶する) 3 Valutazione: costruzione e uso di test (評価:テストの構成と使用) 4 Dal QCER alla progettazione di obiettivi e descrittori delle competenze (CEFR から目標の計画と言語能力の記述まで) 5 I can, you can, we can. Strumenti di autovalutazione (「私ができ、あなたができ、私たちができる」自己評価のツール) 6 Obiettivo: autovalutazione (目標:自己評価) [Attività per I’ approfondimento] (試験用の活動) 7 Condurre attività educativo-didattiche in forma laboratoriale (実習形式での教育的―教授的活動の指導) (PutoEdu Lingue 2008年度版より) イタリアの初等教育教員向けオンライン英語研修制度 57 4 .3 .2 内容構成 各 Activity は、まず、 3 項目に分かれた表示画面がある。例として、2007年度、2008年度の両方 に含まれている「授業での Total Physical Response(TPR)」をとりあげる。2007年度と2008年度では、 画面上の表示方法は異なるが、内容は、ほぼ同じである。 3 項目の 1 つめは、この項目の概略説明となっている。この TPR 教授法について読む資料のタイ トル:Il total physical response nella didattica di L 2 と単位数と113 words の TPR についての概略 説明と41words の TPR を提供する目的説明がイタリア語で簡潔に記載されている。これは、研修者 がまずこれを読んで、この項目を選択するかどうか決めるための目安にするためにある。 2 つめは、この項目を選択しようと決めた人に向けて、339 words の TPR 教授法が生み出された 背景の説明文と642 words の TPR 教授法の具体的説明文に接続する。後者では、具体的な TPR 教授 例の資料、TPR 教授の手順、TPR 関連の資料が入手できるサイトの紹介、この説明文の文献及び文 献資料のサイトが含まれている。 3 つめは、研修者がこの教授法に関してレポートを作成提出するように求められていて、どのよう にまとめるかについて指示が記載されている。それは、TPR 教授法について、目的と言語訓練の面 から定義することと TPR 教授法を適用した計画を記述することとで、その適用状況は次の与えられ た項目から選択することが求められている。 ・日常的規則的活動 ・学際的テーマに関すること ・現代の話 ・昔話 レポートを提出すると評価を受け、単位認定となる。レポートは、イタリア語で記述してよい。 説明の記述文は、先に示したように642words のイタリア語で A 4 サイズ 1 枚くらいの分量である が、レポート作成には、さらに資料を読む必要があり、紹介されている関連資料のサイト先は英文と なっている。その資料サイトは 3 つのみ記載されているが、資料サイト先にさらに参考資料を入手で きる外部のサイト紹介や資料(教授理論、具体的教授法やゲームなどの教材なども含む)があるので、 大量の資料を入手できるようになっている。しかし、これらもすべて英文なので、読むには相応の英 語力と時間が必要とされる。 表 7 英語教材資料入手先一覧 1 Sitografia (英語関連分野の教材などに役立つサイトを検索するためのサイトカタログ) 2 Valutazione Software Didattico (市販の教材ソフトでお勧めの41品をイタリア語で各々解説している) 3 Gold (イタリア国内の学校での授業実践記録や教材を15紹介している。) 4 In primo piano (英語の教授法や教材を紹介している外部の ESL 向けサイトへ接続している。) 5 SD 2 −iTD (資料や教材を検索できるサイトに接続している。) 6 Bibliografie (文献資料の検索サイト) 7 Altre risorse (役立つサイトとして、[email protected] wide へ接続している。) 8 DIA-Immagini per la dudattica (教材として役立ちそうな画像資料集へのサイトへ接続している。) 9 Il divertinglese docent Rai (教育省が作成しているサイトで23の TV 番組を教材化して紹介) (PutoEdu Lingue より) 58 中 村 秩祥子 4 .4 資料提供サイト この Language Training には、英語教材の資料サイトも設けられている。ここから、英文法の解 説や辞書、教材の資料などを得ることができる。教育省が作成に関わっている英語教材を提供するサ イト Divertirsi 以外にも、世界中から役立ちそうなサイトを紹介している。 まず表 7 にあるように、 9 つの英語のサイト先を示し、それぞれにイタリア語で短い説明が加えら れている。 政府が教材提供をしているサイトだけでなく、市販の教材や個人が開設しているサイトも参考資料 として役立つサイトは紹介している。教育省が運営しているサイトでは、番組をダウンロードして教 室で使用するには原則パスワードが必要とされるが、視聴できる一部の番組もある。その番組を使用 するときの指導案や教材なども添付されている。 5 .日本の研修への示唆 1 節で指摘したように、現在、日本の小学校教員の英語教授法の研修はほとんどが参加経験がある (99%)と文部科学省は発表する一方で、30時間以下の研修しか受けていないのも40%あると発表し ている。教員は教材研究のための時間など時間不足で困っている一方で、今後も英語力や英語の知識 を身につけていく必要や授業の指導工夫をしていくのに他の教員と交流していく場も必要であると感 じていることがアンケート調査から窺い知れる。これらの問題を解決していく研修を引き続き実施す るのが理想であるが、多忙な教員に定められた研修日や場所へ参加し続けるのは困難である。 そこで、イタリアのオンライン研修の事例を本稿で紹介した。イタリアでは、オンライン研修だけ ではなく、現場では英語を専門に教える教員が指導員となっていっしょに授業を組み立ててもいる。 現在、大学で初等教員養成課程が行われているので、将来的には、小学校の教員だけに任せていくこ とになるであろうと思われるが、大学卒でない旧課程で教員になった者が十分に英語の指導力を持つ までは、現場で英語指導員が存在するであろう。 日本の小学校では、英語は教科ではないが、必修化して教えるとなると、やはり教員に相応の英語 力・知識は必要であろう。長期間研修を実施していく方法のひとつとして、オンラインの研修制度も 検討する価値があると考える。 注 1 )本 研 究 の 調 査 に お い て, イ タ リ ア 教 育 省 PuntoEdu の Raffaella Carro(Head of the Language Teacher Training Program)と Marcello Farina(The Editor of Puntoedu Language),初等教育教員の英語指導員 Laura Rosso の各氏にお世話になった.深く感謝申し上げる. 2 )CEFR は,Common European Framework of Reference for Languages: Learning, teaching, assessment(『欧 州言語共通参照枠』の略である.一番下のレベルを A 1 として,A 2 ,B 1 ,B 2 ,C 1 ,C 2 の 6 レベルに分類して, 言語能力を測る基準を示している. A 1 レベルは,日常生活でよく使う基本的表現が理解でき,簡単な表現を使って自分のことや身の回りのこ とを述べたり,質問ができる程度である.B 1 レベルは,旅行したときによく出会う状況に対応できたり, 仕事や学校での簡単なやりとりができたり,自分がよく知っている分野のテキストが理解でき,自分の経験 や意見や希望について簡単な表現を使って説明ができる程度である. 3 )2010年度からは,大学卒業者には B 2 以上が求められることに改正された. 4 ) 8 コースのうち 3 コースが言語教育関係である.そのうちの 1 つが,初等教育の教員向け英語研修コースで, 他の 2 コースは,主として中等教育のイタリア語(母語)と外国語(英語,フランス語,ドイツ語,スペイ ン語)教員向けである. 5 ) 1 時間は 2 単位に相当する. イタリアの初等教育教員向けオンライン英語研修制度 59 附 記 本研究は,平成22年度~平成23年度科学研究費補助金(研究活動スタート支援)「イタリアの初等教育教員向け 英語教育オンラインラーニングの調査研究」(課題番号22820033)の助成を受けている. 参 考 文 献 AEON(2011)「小学校英語指導者資格取得コース」パンフレット Benesse 教育研究開発センター(2011)『第 2 回小学校英語に関する基本調査(教員調査)報告書』Benesse Burchietti, Elisabetta(2002)“A successful challenge for TESOL-Italy” In TESOL–Italy Newsletter June-July p. 4 . European Commission(2010)“National system overviews on education systems in Europe and ongoing reforms ITALY 2010 Edition”.(報告書) 文部科学省(2008)『小学校外国語活動研修ガイドブック』旺文社 文部科学省(2009)「平成21年度公立小・中学校における教育課程の編成・実施状況調査」(報告書) 文部科学省(2010)「英語教育改善のための調査研究事業に関するアンケート調査結果について」(報告書) 文部科学省(2011)「小学校外国語活動に関する調査まとめ」(報告書) 文部科学省(2011)「外国語能力の向上に関する検討会(第 4 回)議事要旨」(報告書) 中村秩祥子(2010)「イタリアの初等教育教員向け英語教育オンラインサービスに関して( 1 )」『英語英米文学論 叢 片平』第46号 英語英米文学会 片平会 pp.153-159. 中村秩祥子(2010)「イタリア-教育法は 1 日にして成らず」『EU の言語教育政策』くろしお出版 pp.71-84. 東京家政大学 (2009)「文部科学省委託・児童英語地域支援者養成講座」(報告書) Tosi di Leonardo(2006)“Learning by doing: attività e strategie didattiche in Puntoedu ATA.” Retrieved January 10, 2011. from http://www.indire.it/content/index.php?action=read&id=1356. (検索サイト) Agenzia Nazionale per lo Sviluppo dell’Autonomia Scolastica(2011)“PuntoEdu lingue” Retrieved November 3 , 2011. from http://puntoeduri.indire.it/lingue/index.php Indire(2008)“Le formazioni attivate” Retrieved November 3 , 2011. from http://www.bdp.it/galleria/expo/ 資料 1 .2007年度 Methodology の Activity 項目一覧 *印がついたものは,2008年度版にはないものである. [ 2 Organizzazione della didattica, tecniche, multimedialità(教育的,技術的マルチメディアの組織)] *⑴ Number flashcards (数のフラッシュカード) *⑵ Computer flashcards (コンピュータのおフラッシュカード) ⑶ Short stories in ppt (パワーポイントでの短編物語集) ⑷ Il Pc in classe (授業でのパーソナルコンピュータ) ⑸ The three little pigs ( 3 匹の子豚) *⑹ Alphabet flashcards (アルファベットのフラッシュカード) ⑺ Weather forecast around the world. Collegarsi a siti meteo per la ricerca di informazioni (世界の天気予報.情報を検索するための目的サイト接続) ⑻ La TV autentica (テレビ番組) ⑼ Condurre attività educativo-didattiche in forma laboratoriale (実習形式での教授法の行い) 60 中 村 秩祥子 [ 3 Lingua e cultura(言語と文化)] *⑴ La competenza plurilingue: dal parziale al trasversale, il vestiario (複言語能力:部分から横断,衣服) ⑵ La cultura inglese (英語の文化) ⑶ Rhymes, proverbs and popular culture (韻詩,格言,一般文化) ⑷ English words I know (私が知っている英単語) ⑸ Hannukà (アンヌカ) *⑹ Edutainment ovvero come animare feste & culture (パーティや文化を活気づけることに関する教育) [ 5 Lingua, interazione, comunicazione(言語,インターラクション,コミュニケーション)] *⑴ Parole in scena: teatro e apprendimento delle lingue (場面での運用言語:劇や言語学習時) ⑵ Uso del gioco nell’insegnamento della L 2 (第二言語学習でのゲーム使用) ⑶ Fantasyland: favole, poesia e teatro (ファンタジーランド:寓話,詩,劇) ⑷ Miki and Maggie: un laboratorio di Storytelling (ミキとマギー:読み聞かせの実習) ⑸ Musica nell’insegnamento della L 2 (第二言語学習での音楽) [ 6 Componenti affettive, motivazionali e cognitive(情動,モティベーション,認知的要素)] ⑴ La didattica“multisensoriale” (「複合感覚」の教授) ⑵ Il laboratorio di inglese come ambiente di apprendimento: look at my mask (環境学習での英語の学習:私のマスクを見て) ⑶ Le intelligenze multiple nell’apprendimento delle lingue (言語学習における複合知識) ⑷ Usare l’area bambini: impariamo con I living books (子供の領域の使用:実物の本で学習する) 資料 2 .2008年度 Methodology の Activity 項目一覧 *印がついたものは,2007年度版にはないものである. [ 1 Acquisizione e apprendimento(習得と学習)] ⑴ Le intelligenze multiple nell’apprendimento delle lingue ⑵ La didattica“multisensoriale” *⑶ Correzione dell’errore (まちがい訂正) [ 2 Didattica lingue(言語教授法)] ⑴ Union song: attività integrate sull’Unione Europea ⑵ Musica nell’insegnamento della L 2 ⑶ The three little pigs ⑷ Miki and Maggie: un laboratorio di Storytelling *⑸ L’approccio lessicale nella scuola primaria: esempi di attività イタリアの初等教育教員向けオンライン英語研修制度 (小学校での語彙的アプローチ:活動例) *⑹ Rhymes per sviluppare ascolto parlato (話す力と聞く力を伸ばすための韻詩) *⑺ La funzione del gioco come aspetto della pratica comunicativa (コミュニカティブな練習に関するゲームの機能) ⑻ Il Total Physical Response nella classe ⑼ Fantasyland: favole, poesia e teatro ⑽ The Enormous Tulip: Un laboratorio di storytelling ⑾ Percorso CLIL di Scienze per la scuola primaria: Growing ⑿ Working in english ⒀ A topic-based approach to English: the castle ⒁ Il laboratorio di inglese come ambiente di apprendimento: look at my mask ⒂ Uso del gioco nell’insegnamento della L 2 ⒃ Se vedo, organize – le mappe concettuali nella didattica dell’inglese [ 4 Lingua e cultura(言語と文化)] *⑴ Esperienze intercultural: A world of chocolate (異文化体験:チョコレートの世界) ⑵ Do you like tea? *⑶ Anansi the trickster spider: educare alla multiculturalità (アナンシ詐欺師の蜘蛛:多文化教育) ⑷ English words I know ⑸ Rhymes, proverbs and popular culture ⑹ Hanukkah ⑺ La cultura inglese [ 5 Tecnologie e materiali(テクノロジーと教材)] ⑴ Weather forecast around the world. Collegarsi a siti meteo per la ricerca di informazioni ⑵ Il Pc in classe ⑶ La TV autentica *⑷ Le canzone in classe (授業での歌) ⑸ Short stories in ppt ⑹ Usare l’area bambini: impariamo con I living books ⑺ Speaking with Mr Puck: il computer nell’approccio comunicativo 61
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