セクション3 「実際の脳画像について①」 ・脳血管障害におけるCTとMRI

セクション3
「実際の脳画像について①」
・脳血管障害におけるCTとMRI
・スライスの仕方と画像の見え方
1
脳血管障害のCT画像
頭部X線CT(computed tomography)
頭部をX線が透過する度合いをコンピューターで合成し、写真にしたもの
撮影時間が短時間であるため、脳血管疾患の判定に第一選択されることが多い
出血性病変の診断に有用
高吸収域(High density area)=白
X線が透過しにくい部部分
X線が透過しやすい部分
脳室
出血部位、血腫
骨
低吸収域(low density area)=黒
梗塞部位
硬膜
24時間くらいは梗塞鑑別困難
その後、浮腫によってX線の透過性↑
出血病変の周囲では浮腫が生じるた
め、徐々に低吸収域として黒く映る
1か月ほど経過すると、
壊死した組織が軟化・瘢痕化して鮮明な低吸収域へ
徐々に黒っぽく
1か月ほど経過すると、
壊死した組織が軟化・瘢痕化して鮮明な低吸収域へ
*脳梗塞病変部位も低吸収域となる
2
CT画像(脳出血)
被殻出血
視床出血
3
CT画像(脳梗塞)
9月19日 MRI(DWI)
10月30日 CT
脳室と同様の低吸収域へ変化
4
CT画像(脳出血による脳室穿破)
2011.11.4
2012.1.25
松果体は石灰化
発症日:2011.11.4発症
診断名:脳室穿破、midline shiftを伴う右被殻出血
開頭血腫除去術施行
5
脳室穿破について
大 脳
モンロー
孔
側脳室
脳梁
中脳水道
3
4
小 脳
脊髄の中央には、第4脳室
の続きである中心管があり、
脳脊髄液で満たされる。
6
CT画像(クモ膜下出血)
7
CT画像(クモ膜下出血と脳梗塞)
2011.4.6
MRI(DWI)
2011.4.6
血管攣縮による
脳梗塞発症
発症日:2011.4.4発症
診断名:クモ膜下出血 SAHは正常圧水頭症へ
移行の可能性も考慮
8
脳の被膜について
脳被膜の種類
頭蓋内出血の種類
頭蓋骨
クモ膜小柱
硬膜
硬膜外出血
外クモ膜
硬膜
脳脊髄液
静脈
内クモ膜
軟膜
クモ膜
頭蓋骨骨折
クモ膜腔
頭蓋骨
硬膜
動脈
硬膜下出血
クモ膜下出
血
脳出血
動脈瘤
クモ膜下出血
脳、及び脊髄のクモ膜下腔はお互いに連絡している。
全ての血管、神経はクモ膜下腔を走行している。
脳は頭蓋内で硬膜、クモ膜などの被膜(髄膜)によっ
て被われ、かつ脳脊髄液(髄液)内にあって、衝撃か
ら守られている。脳室やクモ膜下腔は髄駅で満たさ
れて互いに交通している。
9
硬膜外水腫(血腫)と硬膜下水腫(血腫)
10
Early CT sign
頭部X線CTによる早期の脳梗塞読影
CT
2011.5.1 01:28:50
CT
2011.5.1 09:34:11
発症日:2011.4.30発症
診断名:左MCA領域の脳梗塞 11
Early CT sign
頭部X線CTによる早期の脳梗塞読影
2011.5.1
2011.5.2
経過を追って確認
発症日:2011.4.30発症
診断名:左MCA領域の脳梗塞 12
脳血管障害のMRI画像
磁気共鳴画像 MRI(magnetic resonance imaging)
強力な磁石を使用して、磁場と電波による水素原子核のスピンエコー情報をコンピューターで画像化したもの
梗塞性病変の診断に有用
T1・T2強調画像 拡散強調画像(DWI) FLAIR画像 T2*強調画像 T1強調画像
信号強度
画像
T2強調画像
脂肪(皮下脂肪、骨髄)
高い
白
水
(脳脊髄液・尿)
筋肉
脂肪(皮下組織・脂肪)
脳白質
脳灰白質
変性・浮腫
脳灰白質
変性・浮腫
脳白質
水
(脳脊髄液・尿)
低い
黒
筋肉
13
MRI画像
DWI
1~2H
T2
8H~
FLAIR
3~4H
超急性期の病変の同定
古い梗塞と新しい梗塞の鑑別
かくれ脳梗塞(ラクナ梗塞)
慢性期(古い)脳梗塞
脳室に隣接した病巣
T1
T2*
8H~
解剖学的な構造の同定
病変の抽出に有用
浮腫を伴う梗塞の判読に有用
発症日:2011.2.3発症
診断名:脳梗塞 出血性病変の検出に優れる
14
MRI画像
DWI
FLAIR
T2*
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MRI画像(脳出血と脳委縮)
CT
T2*
T1
T2
FLAIR
発症日:2012.1.19発症
診断名:右被殻出血 16
スライスの仕方と画像の見え方
~CTのスライス設定~
眼窩耳孔腺orbittomeatal line(OML:眼窩中点と外耳孔中点とを結ぶ線)
CTによく附属している骨格画像はOMlineを決めるための基準となる。
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スライスの仕方と画像の見え方
~MRIのスライス設定~
AC-PC
鹿教湯OM
正規OM
MRIは骨格画像撮影は出来ないので、脳内での基準線を決める必要がある。
CTとMRIが混同する時、CTでのスライスとなり、MRIもOmlineとなる傾向
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