ダレル野生動物保護トラストでの 研修および飼育見学について About Summer Conservation Course 2007 and Keepers at Durrell Wildlife Conservation Trust(DWCT) 伊藤康世 (京都大学霊長類研究所) 動物園と 動物園とダレルDWCTの ダレル の活動について 活動について 動物園とは ①世界規模の自然保護運動の一環 として活動するもの 独自の 独自の理念をつらぬく 理念をつらぬく10ha をつらぬく10haの 10haの動物園 ②動物の繁殖を現地で行えるよう な体制作りに尽力すべき 本園は、1959年にジェラルド・ダレル氏(動物学者・採集家・作家)が設立した小さな動 物園だ。ジャージー島(図1・2)はイギリス属領だがフランスに近く、金融業および観光業 ③野生および飼育下動物をより知 るために、研究を促進させるべき が盛んな島である。観光客からは、動物が容易に観られないことへの不満の声も挙がっ ④希少動物の母国での自然保護教 ているが、 「希少動物を 希少動物を絶滅から 絶滅から救 から救うために飼育下繁殖 うために飼育下繁殖させ 飼育下繁殖させ、 させ、野生下で 野生下で減少しつつあ 減少しつつあ 育を促進させるべき る個体数を 個体数を守る」を基本理念とし、優先順位をつけている(右図)。特に鳥類獣舎の中は 本園の優先順位 どれも植物が生い茂り、来園者は熱心な探索が強いられる。世間の風潮に流されるこ ①動物の要求に応える施設の建設 となく、けれども外部からの意見も、熟考して必要と判断すれば対応することで、ダレル ②飼育者の利便性 ③来園者への配慮 氏の死後も彼の意向と独自の理念を守り続けている。 http://www.tiscali.co.uk/reference/encyclopaedia/cou ntryfacts/mauritius_map.htmlより引用 世界を 世界を拠点にする 拠点にする活動 にする活動の 活動の数々 図1 ITC&宿舎 研修プログラム 研修プログラムについて プログラムについて 今回の 今回の旅程について 旅程について 2007年7月20日から同年8月13日までの25日間、DWCT 21(土) 23(月) 2007年度 年度サマーコース スタッフ 年度サマーコース参加者 サマーコース参加者& 参加者&ITCスタッフ EEPテキストブック 図2 ・EEP年次報告書 に加盟し、EEP (European ・過去約20年間の個体数動態 Endangered Species Breeding Programmes)とESB (European StudBook)にも大きく貢献。 ・誕生、死亡、移動個体の情報 ・施設ごとの血統登録書(個体の EAZAでは現在、250種以上 種以上の動物において繁殖計画が進めら 種以上 父母、出生地や移動歴など) れており、様々な情報を共有している(右図)。そして、動物の移動 ・全個体の近交係数 や導入の希望時は、各動物種の調整者へ一報するだけで手配が ・純血種と亜種間雑種ごとの個 体数動態および由来情報 整う。情報共有により、過去 過去の 過去の反省を 反省を生かして、防衛対策を交え かして た個体管理を積極的に試みることも可能となっている。 EEP各動物種飼育指針 加盟団体との無償飼育員交換研修も盛んで、各々が独自に培っ ・個体数動態グラフ てきた国内外の技術や意見も柔軟に交換され、協力体制も確立 ・動物の基本情報(分類、形態学、 生息地と生態学、食など) していた。「 「日本ももっと 日本ももっと積極的 ももっと積極的に 積極的にアプローチしてきてほしい アプローチしてきてほしい。」 してきてほしい。」と 。」 ・各成長ステージの一般情報 の意見を非常によく耳にした。 ・飼育下での異常行動例 Jersey Zoo International Training Centre(ITC) 24(火) 英国本土から 、フランス沿岸 英国本土から160km から フランス沿岸 から20km に位置する から 位置する約 する約116km 2の島 動物園への 動物園への小 への小さな入 さな入り口 ・栄養学、繁殖学、個体管理方 法、飼育施設情報、獣医学など 園内では「血統登録書」も一般公開されていた。マダガスカル島固有種 ハイイロジェントルレムールの亜種H.g.alaotrensis(写真A)の種調整者 写真A 写真 の言葉「 「なぜ保有 なぜ保有する 保有する動物 する動物の 動物の情報を 情報を隠す必要があるのか 必要があるのか。 があるのか。ありのまま の情報を 情報を来園者と 来園者と共有し 共有し現状を 現状を理解してもらい 理解してもらい、 、 ともに悩 ともに 悩 み 、 支援や 支援 や 協 してもらい 力を得るのが最優先 るのが最優先ではないか 最優先ではないか。」 ではないか。」野生動物保護に携わる者は本来何 。」 を優先すべきか。専門学的な研究内容や飼育方法の工夫についても 「アニマルトークタイム」でわかりやすく解説され、来園者に対する園の希 H.g.alaotrensis 望が、自然と感じられる雰囲気を醸しだしていた。 「Zoological garden」 」の名に相応し 相応し い英国式庭園の 英国式庭園の雰囲気を 雰囲気を保つ園内 周辺地域との 周辺地域との協力 との協力による 協力による省 による省エネ経営 エネ経営と 経営と循環システム 循環システム システム ついて学習中のボランティア1名だから驚きである。実践学習を希望する若者と、コスト 削減を目指す動物園との相利共生 相利共生である。 相利共生 また、園内で出た生ごみや獣舎からのウッドチップや敷き藁、動物の糞尿なども、敷地 内の堆肥蓄積場(写真B)に集め、堆肥になったら農場利用する、という循環システムを 確立。「動物園」には動物の専門家だけでなく、多分野の実務経験者や専門家を取り入 れた循環システムが必要であろう。地域住民 地域住民との 地域住民との協力体制 との協力体制を通じて、よりいっそう動物 協力体制 写真B 写真 園の現状について、理解を深めてもらえるのではないか。 サマーコースの の特徴 サマーコース 25(水) 26(木) 研修参加者用の 研修参加者用の宿舎 27(金) 28(土) 29(日) 30(月) 31(火) 講義の 講義の様子 8/1(水) 2(木) 3(金) フィールド実習 フィールド実習 毎年、野生動物保護活動を長年行っている人物2名をチュー ターとして招き、プログラムが遂行される。今年はオックスフォー ド大学形質人類学教授のSimin Bearder氏 氏と、英国エセックス 州生物多様性アクションプランのコーディネーターGenevieve Broad氏 氏だった。彼らの他にも、世界各国の野生動物の調査や 環境保全活動、また現地人の研究、などさまざまな分野で活躍 している専門家たちが、1~数日の講義のためだけに訪島した。 自主的な行動や、積極的な自己表現を強いられる一方、共同 生活を通して他の参加者との協調性も求められた。 図3 園敷地内の有機農場で、無農薬野菜を自給する。しかも、農場管理者は有機農法に 本園には計6つの研修プログラムがあ る。1978年 年より実施 より実施されているが、講義 実施 施設International Training Centre (ITC)開設の1984年以降に拡大され、こ れまでに約 約120カ カ国から1500人以上 人以上の から 人以上の 卒業生を 卒業生を輩出。 輩出 私は、保護活動の講義、そして園内見 学と実習が可能なサマーコースに参加 した。今年の参加者は計14名、出身国 はベトナム ベトナム、 ベトナム、インド、 インド、コスタリカ、 コスタリカ、ベル ギー、 ギー、オーストラリア、 オーストラリア、英国、 英国、日本とさま 日本 ざまで、職業も学生、教員、野生動物保 護センター職員や国立野生動物公園の 獣医師やディレクター、動物園飼育員や 鳥類研究所の飼育員、と幅広かった(コー ス内容は日程表を参照)。 GB SB JC AH AT CC 園が保有する 保有する有機農場 する有機農場 雑誌資料館 ディスカッション いつでも、 どこでも、 とでも~ ディスカッション ~いつでも 、どこでも 、誰とでも ~ 小さな動物園 さな動物園が 動物園が発信する 発信する世界規模 する世界規模のさまざまな 世界規模のさまざまな取 のさまざまな取り組み 講師名 香港→ロンドン(ヒースロー空港) (Cathay Pacific Airway) 12時間待ち時間があったため、ロンドンZOO(ゴリラキングダム)を訪問 ロンドン(ヒースロー空港)→ジャージー(States Airport)(British Midland Airways) タクシーにて宿舎のLes Noyersまで向かう→共同生活が始まる(4人部屋) 園内の動物や施設を見学 他の参加者と共に宿舎で夕食 それぞれの自己紹介およびコースについての説明 MSP&J C JC JC 4(土) 5(日) 6(月) 7(火) 8(水) 9(木) 10(金) 11(土) 12(日) 13(月) グループ作業(同じ材料を用いてどれだけ丈夫なイスが作成できるか競争) 地球上の生物・人間と地球との関係・CBDの活動について 保護生物学者からみた保護活動における動物園の業績について 生物多様性および豊富さの算出方法について DICE(Durrell Institute of Conservation Ecology)について 班にわかれ飼育員による説明のもと、バックヤード見学と質疑応答(両生類) JC GB NLW JC NLW 熱帯雨林の不思議について SB/GB 人の野生動物に対する接し方について(話し合い) 野生動物保護のこれまでの取り組みについて ダイアグラム作成(1種についての問題点をグループで明確にしていく) ワークショップ(行動観察調査かアンケート調査を選択⇒実践的な研修) JC JC JC SB/GB 熱帯雨林の現状について なぜ保護活動に優先順位が必要なのか? 生息地か、種か、それとも人間か。優先順位とは何か? 両生類の世界規模の減少 サマーコース中に発表する各自のプロジェクトについての説明 SB JC SB GG GB/SB プロジェクトの計画 結果の分析方法について GB GB/SB プロジェクトの先行研究 園内動物の観察およびオランウータン担当飼育員への質問 自由時間(他の参加者と共にジャージー島のBay巡りへ) 園内にて自分のプロジェクトを遂行 自分の中での動物園の位置付けは?動物園の向かうべき道は? 野生への導入について 動物の権利・倫理・そして保護について 動物園の改善点について(話し合い) 遺伝子および細胞の移入について 将来的な動物の生存数について(推定方法)→VORTEXについて 動物の病気における世界的な流行について Excelの使い方について プロジェクト時間 両生類の保護における動物園でのインパクトについて ライオンタマリンの再導入より学ぶこと→Jerseyでの取り組み マダガスカルでの取り組みについて Madagascar Giant Jumping Ratについて ブッシュミートハンティングについて フィリピンでの保護活動について Conservation On Biological Diversityについて 保護活動における教育とは?/教育とは?/保護活動を伝えるとは? 【教育プログラムの体験】 ・Red squallとGray squallゲームを通して侵略動物について学ぶ ・2班に分かれてドラマ作成をし、ある動物についてより深く学ぶ 野生下の小動物の捕獲および個体数調査方法について ゴリラ担当飼育員の見学および飼育補助、質問 同上 プロジェクト時間 スマトラでのフィールドトリップについて(オランウータン) 燕雀目のtranslocating(飼育下から野生への輸送)について Nordens arkの活動について プロジェクト時間 各自のプロジェクトを発表 この島での活動から学ぶこと 島の個体数に対する集中的な動物管理について 地域社会と保護活動について 保護活動は発展途上のマサイの地を支えているのだろうか サマーコースの感想&コースに対する改善・要求点(話し合い) 参加者および数名の職員と最後の晩餐 オランウータン担当飼育員の見学および飼育補助、質問 Jersey(States Airport)→ロンドン(ヒースロー) (British Airways) ロンドン(ヒースロー)/香港 (Cathay Pacific Airway) 香港 台北経由/名古屋(中部国際空港) (Cathay Pacific Airway) Gen Broad (Biodiversity Coordinator, Essex Biodiversity Project) Prof. Simon Bearder (Professor of Anthropology, Oxford Brookes University) Jamie Copsey (Training Programmes Development, ITC) Dr. Amy Hall (Animal Registar) GG Ann Thomasson (Veterinary Biologist) Chris Clark (Department Head International Training) Dominic Wormell (Deputy Head Mammals) Dr. Gerardo Garcia GH GW Gordon Hunt (Head of Orang-utans) Gary Ward (Senior Keeper- Birds) DW 屋外ディスカッション 屋外ディスカッション プロジェクト発表 プロジェクト発表 内容 名古屋(中部国際空港)→台北経由/香港 (Cathay Pacific Airway) 本コースへの参加目的、最終目標を発表し、話し合う 自分と野生動物との関わり→自分と動物園との関わりとは? 班にわかれ飼育員による説明のもと、バックヤード見学と質疑応答(哺乳類) 研修プログラム 研修プログラムについて プログラムについて について (European Association of zoo and Aquaria) 情報公開の 優先させるべきか させるべきか~ 情報公開の大切さ 大切さ ~何を優先 させるべきか ~ ~ダレル野生動物保護 ダレル野生動物保護トラスト 野生動物保護 トラストの トラストの 敷地図~ 敷地図 ~ 日程 7/20(金) 22(日) (図3)に重点を置き、現地での環境保全、および絶滅危惧種に対する保護活動や研究 を積極的に行っている。飼育下繁殖の促進や野生への再導入だけでなく、プロジェクト 内容や研究情報の公開、教育普及活動においても、この地域の動物を優先的に取り上 ※所属団体に配布される冊子の げ、来園者の興味をひきつけていた。 掲載内容の概略 34カ 34カ国305団体 305団体と 団体と情報共有できる 情報共有できるEAZA できるEAZAの EAZAの利点 プロ ジェ ク ト実施場所 オー ガニ ッ クファーム の動物園で行われたSummer Conservation Course 2007(以下サマーコース)に参加した。 英国までは直行便で約12時間、英国本土からジャージー 島までフェリーも出航しているが、定員20名程度の飛行機も 運航されており、約1時間で訪れることができる。 現在、18の国々で78のプロジェクトを遂行中。特にマダガスカル マダガスカル島 モーリシャス島 マダガスカル島とモーリシャス モーリシャス島 EAZA 動物園入口 GY JF 各自 JC SB CC SB SB CC JL CC GG DW JC TW JF GB GB MC AH GH GW LL CJ CJ KH KH Dr. Glyn Young (Deputy Head of Birds) Dr. Jhon Fa (Director of Conservation Science) JL Javier Lopez (Head of Veterinary Department) MC Mark Chappell (Education Assistant- Visitor Serv. & Education) Dr. Mark Stanley Prince (Chief Executive) Quentin Bloxam (Director of Conservation Management) Dr. Tim Wright (Head of Lemurs) of MSP QB of TW CJ NLW KH Dr. Carl Jones MBE (International Conservation Fellow, DWCT) Prof. Nigel Leader-Williams (DICE, University of Kent) Prof. Katherine Homewood (Anthropology Dept., University College London) ①基本理念を守り、小さな自園 自園に 自園に適した動物種 した動物種に 動物種に限定して 限定して飼育展示 して飼育展示する 飼育展示する ②飼育動物や園 園の活動を 活動を公表し、研究情報やデータをも他園と交換をする 公表 堆肥化前 堆肥化後 ③研究成果を現地の保護活動に生かし、また動物園にも還元する循環 循環システム 循環システムの システムの確立 ⇒小さい動物園でありながら、世界規模の活動を展開し情報発信する、世界が注目する動物園である。 担当動物や研究、また園内での取り組みや海外研修などについて、飼育員 飼育員が 飼育員がスライド発表 スライド発表をする 発表をするランチョン をするランチョン セミナーや セミナーや夕食会が開催され、飼育員と研修参加者が、保護活動だけでなく多岐にわたるテーマについて白 夕食会 熱した議論や意見交流が盛んにおこなわれた。皆がひとつの大きな家族のようになって情報を共有しあい、 動物のためにより良くしていきたいという想いを抱いて、自らも楽しみながら挑戦しているのが伝わってきた。 プロジェクトの プロジェクトの実施について 実施について 飼育の 飼育の工夫について 工夫について DWCT飼育 飼育ゴリラ 飼育ゴリラの ゴリラの家系図 大型類人猿の 大型類人猿の飼育について 飼育について 「野生復帰させるのは 野生復帰させるのは不可能 させるのは不可能だが 不可能だが、 だが、動物園ですばらしさを 動物園ですばらしさを実感 ですばらしさを実感、 実感、 体感してもらいながら 体感してもらいながら、 してもらいながら、現地での 現地での現状 での現状を 現状を学んでもらうために飼育 んでもらうために飼育す 飼育す る」という観点から、ニシローランドゴリラとスマトラオランウータン を飼育。現地でのプロジェクトや支援のほか、園内飼育でもエンリッ チメント対策や個体管理の上で重要なトレーニングなどアイデアを 出しあい、積極的におこなっている。 Nandi F F 1959 03/04/61 Betsy F F ( 現在メル ボルン動 物園在籍) ニシローランドゴリラの ニシローランドゴリラの行動観察 in DWCT Jambo M M 17/04/61 16/09/92 Motaba M M 23/12/83 (メルボルン 動物園へ) Kishka Hlala Kahilli Ya Kwanza Ya Pili Bahasha Sakina 年に一度、職員で位置を動かす、という枯 枯れ木の大木(全長約 大木 全長約7-8m) 全長約 は、ゴリラの生活の質を向上させる道具として、大きく貢献していた。 調査の観察時間を、飼育員によるゴリラへの影響が少ないの時間に 定めるために、計3日間、飼育の手伝いや、エンリッチメントグッズの作 成などの現場を体験した。これにより、飼育下野生動物と飼育員との かかわり方を、必要範囲内で密にすることの重要性も確信できたと思 う。何かの参考になることを願って以下に報告したい。 給餌方法の 給餌方法の工夫(使い捨て編) 10月 10月 12日死亡 12日死亡 ①テーマ テーマ:「園内ゴリラの行動と屋外放飼場の利用について」 テーマ ②対象個体 対象個体:親子3個体と離れメス(=赤枠 赤枠の 対象個体 赤枠の計4個体;現在1個体死亡し計5個体を飼育) 個体 ③目的 目的:個体間の社会的行動、構築物に対するアプローチ方法、各個体が好む場所の特徴や決め手の解明 目的 2 ④方法 方法:・約1.950m の屋外放飼場を、特徴的な構築物に注目してA~Jの10エリアに分割(図4) 枯れ木の使用状況 方法 ・インターバルタイム2分のタイムサンプリング法でポイントサンプリング ・各個体につき20分を1期間とした計4期間80分⇒全個体で計320分の調査時間 当初は、本園飼育施設の以下の特徴より、日本 日本との 日本との繁殖成績 との繁殖成績の 繁殖成績の大きな差 きな差はどこからくるのか を知りたかったが、 個体の性格や調査時間の少なさより、屋内放飼場での行動観察を断念する。 ・屋内放飼場 屋内放飼場は 屋内放飼場は日本のものと 日本のものと構造 のものと構造が 構造が非常に 非常に似ている。 ている。 (親子3個体と母娘2個体で各約35m2の部屋、離れメス1個体が約6m2の部屋を使用する状況) ・ゴリラ ゴリラの の 繁殖成績がとてもよい 繁殖成績 がとてもよい。 。 (1992年死亡のJumboは14個体の、Ya Kwanzaは2個体の父親) ゴリラ がとてもよい メス1個体が7年経っても群れになじめない一方、4歳メスが群れの潤滑油となっているようだ、という飼育員 の言葉がきっかけとなり、本グループでの個体間距離にも注目した。 紙コップや、園内のゴミの段ボール箱や紙袋を利用して、エンリッチメ ントグッズを作成。ゴリラもオランウータンも熱心になって食べて遊ぶ。 園内の丸太や配水管を利用して、工夫を凝らした遊具などを作製。研 修参加者が自国で実施しているアイデアも併せて記載する(左上☆)。 ★ ★ ★ 屋外放飼場の 屋外放飼場の全体図 屋内放飼場の 部屋 屋内放飼場の1部屋 屋内放飼場の 屋内放飼場の準備風景 時間 ゴリラセクション の 飼育員のある 一日 の飼育員 08:00 自家製ミルクづくり(フルーツジュース+スキムミルク)およびケージ越しの給与 ゴリラを屋外放飼場に出し、1個体ずつに朝食給餌(リンゴとオレンジ各1個) 尿検査のためのサンプル採取 08:30 パルマワラビーの給餌および放飼場の掃除 08:45 屋内放飼場の掃除およびウッドチップと乾草の散布作業 11:00 休憩(ゴリラの昼食準備と詰所の掃除) 12:00 昼食給餌(レタス、キャベツ、トマト、キュウリ、セロリ、タマネギ、ピーマン (パプリカ、根野菜、葉物野菜、カリフラワー、ニラ) 給餌の後片付け、ゴミ捨て、エンリッチメント対策グッズの作成もしくは採集 13:30 昼食(教育普及職員による「アニマルトーク」で与えるおやつの準備) 14:00 屋外放飼場へのおやつ散布(例:自家製アイスキャンディー、グレープなど) 14:30 給餌方法の 給餌方法の工夫(長期利用編) ゴリラ飼育員 ゴリラ飼育員の 飼育員の詰所 放飼場の補修作業(枝きりや電柵修理など) 15:30 エンリッチメント対策用の枝採集(当時は柳) 16:00 暑さ対策で給水(フルーツジュース)、アイスキャンディーづくり(ジュース+生 果実) パルマワラビーへの給餌、屋内放飼場の準備(採集した枝やシリアルの散布) ゴリラを屋内放飼場へ入れ、1個体ずつケージ越しに給餌 (リンゴ、オレンジ、ナシ、パイナップル、ニンジン、オリーブオイル入りヨー グルト、自家製ミルク、フルーツジュース) 17:00 18:00 屋外放飼場の掃除、屋内放飼場の天井裏からの葉物野菜や枝の給餌 18:30 終了 ★ プロジェクトからの プロジェクトからの考察 からの考察 考察 I G E C 飼育自体の 飼育自体の工夫(餌・給餌方法・ 給餌方法・関係づくり 関係づくり) A 餌や遊具を「散布する」行為が多い。飼育個体との関係づくりに積極 的で、医療行為を最終目的としたトレーニングもおこなわれていた。 J H F D Open enclosure gorillas prefers (N=4) Behavior"Ya Kwanza" prefer in open enclosure 70 60 Time 50 40 30 24.43 20.45 22.16 20 7.39 5.11 6.82 4.55 2.84 6.25 Percentage of obsevation time (/100%) 空間利用 90 80 10 0.00 0 90 80 行動(オス 行動 オス) オス B C D 50 Time 40 30 E F G H I 20 13.64 11.36 E L 10 J 0.00 Category of enclosure (A-J) 行動(子 行動 子ども) ども 80 70 60 50 43.18 Time 40 25.00 30 18.18 13.64 10 0.00 0 E L O R Category of his behaviors (N=5) R S まずはじめに、日本大学酒井健夫教授および伊藤琢也先生、そして酪農学園大学浅川満彦教授には、推 Substrate gorillas prefer (N=4) S Percentage of observation tim e (/100%) Percentage of observation time (/100%) 謝辞 0.00 O Category of his behaviors (N=5) Behavior " Ya Pilli" pre fer in ope n enclosure 90 20 75.00 70 60 0 A 100 B 100 100 Percentage of observation time (/100%) ★空間 空間・・・空間の利用方法に明らかな性差がでる 空間 メス⇒正面エリアをよく好む(B・ ・D・ ・Fエリア エリアで の滞在時間)。 エリアで67%の 滞在時間 自分の姿をいつでも隠すことができ、自由自在に遊べる枯れ木が あれば、来園者は興味深い存在で、自ら近寄ってくる傾向にある オス⇒全エリアを訪れ、メンバーやテリトリーを監視 図4 ★行動 行動・・・各個体の要求が明らかとなる 行動 オス⇒「休息R」が最長カテゴリー(75%);全エリアを回るが、各エリアでは 長時間同じ姿勢で身動きをせず、来園者の様子を観察しているため 幼少期の 子ども⇒「運動L」が最長(43%);幼少期 幼少期の他個体との 他個体との社会的接触 との社会的接触や 社会的接触や、ロー プ プのようなスリル のようなスリルのある スリルのある遊具 のある遊具の 遊具の重要性が 重要性が明らかとなる 離れメス⇒子供との交流が大人ゴリラの中で一番多く確認される 社会的行動の欲求を示すデータが得られた ★構築物 構築物・・・「枯れ木S」が最もよく利用されている(54%) 構築物 群 群れ内の子供の 子供にとっての 子供の存在および子供 存在 子供にとっての他個体 にとっての他個体との 他個体との社会的行動 との社会的行動の 社会的行動の必 要性、 個性を 要性、そして個性 個性を生かせる利用幅 かせる利用幅の 利用幅の広い遊具の 遊具の重要性を改めて実感。 重要性 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 構築物 Time 53.98 11.36 13.07 3.41 B C G 6.25 3.41 Ro R 1.7 S Category of substrates (N=8) T 6.82 U 薦状などの必要書類準備において大変お世話になった。また、Simon Bearder教授やGen Broad氏ら講師 たち、ITCスタッフ、そして何よりR. Jhonstone-Scotte氏をはじめとするゴリラ飼育員には、色々な指導や協 力を頂き大変感謝している。最後に、松沢哲郎教授をはじめ思考言語分野の皆さん、および人類進化モデル 研究センターの皆さんのご厚意により、本研修の参加および今回の発表ができることを心から感謝する。
© Copyright 2024 Paperzz