2020年におけるがん患者数(推計)

2020年におけるがん患者数(推計)
男性
その他
82,563
肺
90,528
腎その他
15,281
胆のう・
胆管
16,662
食道
26,033
女性
全部位
500,723
前立腺
78,468
卵巣
8,922
全部位
377,396
胆のう・胆管
10,058
直腸
32,345
肝臓
33,266
乳房
50,221
その他
77,586
結腸
52,960
胃
72,617
膵臓
10,560
肝臓
17,571
直腸
18,961 子宮
22,918
結腸
49,871
胃
37,077
肺
33,651
資料:大野ゆう子、中村 隆、他.日本のがん罹患の将来推計-ベイズ型ポワソン・コウホートモデルによる解析に基づく2020年まで
の予測:がん・統計白書-罹患/死亡/予後/-2004.大島 明ほか(編)篠原出版新社、p201-207,2004.
2020年におけるがん患者数の推計によると、男性では肺がんの新患者数が約91000人、女
性では約34000人になると予測されています。
1
2020年までの部位別年齢調整罹患率の予測
男性
500
女性
人口10万対
全部位
300
500
人口10万対
300
全部位
胃
100
100
肺
胃
乳房
結腸
肝臓
30
結腸
30
子宮
直腸
食道
肺
直腸
10
10
肝臓
リンパ組織
リンパ組織
白血病
膵臓
3
前立腺
胆のう・胆管
3
胆のう・胆管
膵臓
1
白血病
食道
1
1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020
(年)
1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020
(年)
資料:大野ゆう子、中村 隆、他.日本のがん罹患の将来推計-ベイズ型ポワソン・コウホートモデルによる解析に基づく2020年まで
の予測:がん・統計白書-罹患/死亡/予後/-2004.大島 明ほか(編)篠原出版新社、p201-207,2004.
2020年までのがんの部位別罹患率の予測は図のようになり、肺がんは男性および女性ともに
増加傾向にあります。
2
48.1%
部位別がん死亡率の推移
4.8%
7.1%
8.8%
男性
6.1%
女性
8.2%
12.6%
6.9%
6.1%
7.5%
6.0%
38.4%
350
8.9%
36.2%
9.9%
28.7%
20.2%
336.0
2.3%
2.2%
1.8%
10.6%
15.3%
1.4%
1.3%
13.7%
2.7%
食道
26.6%
1.3%
319.1
300
20.0%
291.3
その他
19.4%
18.6%
2.2%
250
2.2%
白血病
4.9%
前立腺
23.5%
気管・気管支
および肺
4.7%
2.2%
4.2%
216.4
200
17.4%
211.7
3.5%
23.0%
200.3
21.8%
181.4
2.5%
150
17.6%
132.6
110.9
100
3.0%
1.3%
15.3%
11.2%
2.9%
7.1% 0.9%
2.3% 8.7%
10.2%
2.9%
1.8%
50
0
44.2%
4.9%
33.0%
5.5%
7.0%
結腸
4.6%
18.3%
16.6%
4.9%
16.0%
胃
4.8%
57.3%
4.8%
食道
19.7%
100.7
90.2
6.8%
2.9% 5.3%
3.0% 6.7%
15.9%
14.6%
8.4% 2.7%
8.4%
2.3%
3.4%
1.6%
3.0%
12.0%
3.9%
3.5% 5.7%
1.9% 6.8%
3.5%
2.7%
38.4%
8.0%
2.1%
4.7% 6.1%
8.6%
4.1%
3.9% 6.0%
36.2%
2.3%
6.1%
乳房
13.0%
13.4%
気管・気管支
および肺
8.2%
9.0%
膵臓
8.5%
8.3%
2.2%
12.6%
6.9%
8.9%
7.4%
4.2% 4.2%
3.9%
3.8%
3.9%
8.9%
13.7%
10.5%
8.9%
28.7%
20.2%
1.8%
子宮
8.6%
7.5%
11.1%
4.9%
3.5%
直腸
卵巣
8.3%
4.5%
3.7%
2.3%
3.3%
4.2%
4.1%
2.8% 7.9%
直腸
16.5%
22.9%
4.8%
4.3%
4.4%
6.8%
13.0%
51.7%
2.4%
21.4%
115.5
14.6%
4.3%
4.2% 4.2%
4.1% 6.0%
2.6%
肝および肝内胆管
13.2%
10.4%
3.8%
22.3%
3.4%
10.8%
11.8%
4.8% 13.6%
3.8%
膵臓
139.3
5.6%
16.5%
6.6%
6.2%
5.8%
20.6%
その他
22.6%
2.8%
1.8%
15.9%
22.7%
2.6%
163.5
15.3%
1.4%
13.7%
1.3%
1.3%
1.3%
12.6%
肝および肝内胆管
直腸
結腸
胃
食道
1960 1970 1980 1990 2000 2005 2008
資料:厚生労働省大臣官房統計情報部「平成21年人口動態統計」
がんによる死亡を、その部位別にみると、男性では「肺がん(気管・気管支および肺)」が最も多く、2005年では全
体の23.0%を占めており、次いで「胃がん」16.6%、「肝臓がん(肝および肝内胆管)」11.9%の順となっています。
一方、女性では「胃がん」が最も多く、全体の13.7%を占めており、次いで「肺がん(気管・気管支および肺)」
13.0%、「結腸がん」10.6%の順となっています。
3
肺がんによる死亡率
日本における死因の第1位は、「がん」です。
また、部位別がん死亡率の第1位は、「肺がん」です。
■ 主な死因別死亡数の割合(2008年)
■ 主な部位別がん死亡率(2008年)
(人口10万対)
60
53.1
50
その他
23.8%
自殺
2.6%
30.0%
老衰
3.1%
不慮の
事故
3.3%
悪性新生物
(がん)
39.8
40
34.2
26.7
30
20.6
20
16.3
10
肺炎
10.1%
脳血管疾患
(脳卒中)
11.1%
心疾患
(心臓病)
15.9%
0
肺 *1
胃
大腸*2
肝*3
膵
前立腺*4
*1:気管、気管支および肺の悪性新生物
*2:結腸の悪性新生物、直腸S状結腸移行部および直腸の悪性新生物
*3:肝および肝内胆管の悪性新生物
*4:男子人口10万対
厚生労働省:平成21年人口動態統計
2008年の集計では、日本における死因の第1位は「がん」であり、部位別がん死亡率の第1位は
「肺がん」です。
4
肺がんによる死亡率の推移
1950年代から、肺がんは世界的に増加しています。
■ 肺がん死亡率の推移の国際比較(WHO mortality database;世界標準人口による年齢調整死亡率)
男性
女性
100
100
人口10万対
人口10万対
ハンガリー
英国
フランス
アメリカ
アメリカ
香港
スウェーデン
死亡率
死亡率
韓国
香港
10
ハンガリー
スウェーデン
10
イタリア
英国
イタリア
日本
韓国
フランス
日本
1
1
1950
1960
1970
1980
1990
2000 (年)
1950
1960
1970
1980
1990
2000 (年)
WHO mortality database, http://www.ciesin.org/IC/who/MortalityDatabase.html
肺がんによる死亡率は、1950年代から世界的に増加してきましたが、男性に関しては英国や
アメリカなど一部の国では減少傾向に転じてきています。
5
喫煙とがんの関係(男性)
■がんの部位別死亡に及ぼす毎日喫煙の寄与危険度(%)
咽頭がん(83)
肺がん(1454)
末梢血管の疾患(30)
動脈瘤(69)
食道がん(438)
95.8%
%
71.5%
%
64.7%
%
50.0%
%
47.8%
%
肺気腫、気管支拡張症(318)
胃潰瘍(455)
47.8%
%
39.2%
%
肝臓がん(788)
男性
観察人 1,709,273人
観察年 昭和41年~57年
( )内の数字は死亡数
くも膜下出血(211) 虚血性心疾患(2170)
28.3%
%
38.2%
%
膵臓がん(399)
28.3%
%
35.5%
%
胃がん(3414)
25.1%
%
がんの統計2003年度版(財団法人がん研究振興財団発行)より
資料:平山 雄著「予防がん学」-その新しい展開-、メディサイエンス社(東京)、1987年
男性におけるがんの部位別死亡に及ぼす毎日喫煙の寄与危険度を示します。これはタバコ
がなくなれば、どれだけその死亡が減るかという目安です。
喉頭がんの95.8%、肺がんの71.5%、食道がんの47.8%に毎日喫煙が寄与しています。
6
喫煙とがんの関係
─ 非喫煙者の妻に対する喫煙夫の影響 ─
■非喫煙の妻の特定死因に及ぼす夫の喫煙の寄与危険度(%)
脳腫瘍(34)
副鼻腔がん(28)
肺がん(200)
虚血性心疾患(494)
69.5%
%
36.2%
%
31.0%
%
11.6%
%
総死亡(9106)
全部位がん(2705)
11.1%
%
9.9%
%
観察人 1,709,273人
観察年 昭和41年~57年
( )内の数字は死亡数
がんの統計2003年度版(財団法人がん研究振興財団発行)より
資料:平山 雄著「予防がん学」-その新しい展開-、メディサイエンス社(東京)、1987年
非喫煙の妻の特定死因に及ぼす夫の喫煙の寄与危険度を示します。
非喫煙の妻の肺がんの31.0%に夫の喫煙が寄与しています。
7
喫煙とがんの関係(男性)
■非喫煙者群のがん罹患リスクを1とした場合の禁煙者群および喫煙者群の相対リスク
5
非喫煙者群
4.5
禁煙者群
喫煙者群
4
相対リスク
3
2.2
2
1.6
1.6
1.7
1.4
1
1.3
1
1
1
1.4
1
0
全がん
肺がん
胃がん
大腸がん
がんの統計2008年度版(財団法人がん研究振興財団発行)より
男性における非喫煙者群のがん罹患リスクを1とした場合の禁煙者群および喫煙者群の相対リ
スクを示します。
全がん、胃がん、大腸がんでは、非喫煙者群に比べ、禁煙者群および喫煙者群とも罹患リスク
は1.3から1.7倍に増加する程度ですが、肺がんでは、非喫煙者群に比べ、禁煙者群では2.2倍、
喫煙者群では4.5倍に罹患リスクが増加します。
8
喫煙とがんの関係(女性)
■非喫煙者群のがん罹患リスクを1とした場合の禁煙者群および喫煙者群の相対リスク
5
非喫煙者群
4.2
4
禁煙者群
喫煙者群
3.7
相対リスク
3
2
1.7
1.5
1.5
1.3
1
1
1
1
1.3
1.4
1
1
1.1
0.7
0
全がん
肺がん
胃がん
大腸がん
乳がん
がんの統計2008年度版(財団法人がん研究振興財団発行)より
女性における非喫煙者群のがん罹患リスクを1とした場合の禁煙者群および喫煙者群の相対リ
スクを示します。
全がん、胃がん、大腸がん、乳がんでは、非喫煙者群に比べ、禁煙者群および喫煙者群とも罹
患リスクは0.7から1.7倍程度ですが、肺がんでは、非喫煙者群に比べ、禁煙者群では3.7倍、喫
煙者群では4.2倍に罹患リスクが増加します。
9
喫煙率の推移
■ 性別・年代別喫煙率の推移
20歳代
30歳代
(%)
100
男性
40歳代
50歳代
60歳以上
90
80
70
60
50
40
女性
30
20
10
0
1965
1970
1975
1980
1985
1990
1995
2000
2005
(資料)健康ネットHP:厚生労働省の最新たばこ情報(日本専売公社、日本たばこ産業株式会社による調査より)
日本たばこ産業の「2005年全国たばこ喫煙者率調査」によると、成人男性の平均喫煙率は45.8%でした。これは、
1965年以降のピーク時と比較すると、約45%減少したことになります。2005年の喫煙率が一番高い年代は30歳
代で54.6%でした。
これに対し、成人女性の平均喫煙率は13.8%であり、この40年間、14%前後で推移しています。年代別にみると、
高齢者は減少傾向ですが、若者は増加傾向にあり、2005年の順序は40年前と逆になっています。2005年におい
て喫煙率が一番高いのは20歳代と30歳代の20.9%、一番低いのは60歳以上の5.5%です。
10
喫煙率の推移
■ 主要国の喫煙人口比率の推移
(%)
60
オランダ
デンマーク
50
英国
日本
40
アメリカ
ドイツ
30.4(韓国)
32.0
30.3
28.0
27.0
26.0
24.3
24.2(イタリア)
30
フランス
イタリア
20
スウェーデン
17.5
17.5
韓国
10
1970
1975
1980
1985
1990
1995
2000
2003
OECD HEALTH DATA 2005,October05
喫煙率は、各国とも年々減少傾向を示しています。
11
喫煙と肺がんの関係
肺がんの最大の原因は喫煙です。
人口寄与危険率
曝露群寄与危険率
人口全体の肺がんに
喫煙がどのくらい関与しているか
喫煙者において肺がんの発生に
喫煙がどのくらい関与しているか
男性
女性
男性
女性
71.6%
%
15.6%
%
77.5%
%
57.3%
%
富永祐民:癌と化学療法 25:789-796,1998
肺がんに関する正しい知識を持ち、禁煙を推し進めることが
肺がんに対して最も重要になります。
喫煙が及ぼす肺がんへの人口寄与危険率および曝露群寄与危険率を示します。
非喫煙者も含めた人口全体の肺がんのうち、男性では71.6%、女性では15.6%に喫煙が寄
与しています。
また、喫煙者における肺がんのうち、男性では77.5%、女性では57.3%に喫煙が寄与してい
ます。
12
喫煙と肺がんの関係
■ 喫煙によるがん罹患の人口寄与割合
全がん
肺がん
男性
男性
4.5倍
68%
29%
1.0倍
1.4倍
2.2倍
1.6倍
1.0倍
59%
9%
7%
22%
24.3%
23.4%
52.3%
25.0%
23.0%
52.0%
吸わない
やめた
吸う
吸わない
やめた
吸う
女性
女性
4.2倍
18%
1.5倍
3%
1.0倍
92.8%
吸わない
2%
3.7倍
2%
1.5倍
1.0倍
1%
1.4%
16%
5.9%
93.0%
やめた 吸う
吸わない
1.0%
6.0%
やめた 吸う
がんの統計2008年度版(財団法人がん研究振興財団発行)より
喫煙によるがん罹患の人口寄与割合を示します。
人口寄与割合とは、現在の喫煙者および禁煙者が、すべて非喫煙者に置き換わったとしたら、
がんになる人がどの程度減るのかを意味しています。
男性では全がんの29%、肺がんの68%、女性では全がんの3%、肺がんの18%が減ると推
定されています。
13
喫煙と肺がんの関係(男性)
■ 非喫煙者群の肺がん罹患リスクを1とした場合の禁煙者群および喫煙者群の相対リスク
7
6.4
6
4.8
5
相対リスク
4.5
4
3
3
2.7
1.8
2
1
1
1
0
非喫煙者
~9
10~19
20~
禁煙者(禁煙後年数)
~19
20~39
40~59
60~
喫煙者(喫煙量 Pack-years)
がんの統計2005年度版(財団法人がん研究振興財団発行)より
非喫煙者群の肺がん罹患リスクを1とした場合の禁煙者群および喫煙者群の相対リスクを示
します。
禁煙者では、禁煙後の年数が長いほど肺がんに罹患するリスクは低くなりますが、非喫煙者
と同じレベルになるには20年以上かかります。
喫煙者では、喫煙量が多いほど、肺がんに罹患するリスクは高くなります。
14
喫煙開始年齢別にみた肺がん標準死亡率
(男性)
(倍)
6
肺がん死亡率(
非喫煙者を
として)
1
5.7
5
4.7
4.1
4
3
2.4
2
1.4
1
1
0
19歳以下
20歳以上
24歳以下
25歳以上
29歳以下
30歳以上
34歳以下
35歳以上
非喫煙
がんの統計2003年度版(財団法人がん研究振興財団発行)より(昭和41年~57年)
男性における喫煙開始年齢別にみた肺がん標準死亡率を示します。
喫煙開始年齢が早いほど肺がん死亡率は高く、19歳以下で喫煙を開始した場合、肺がん死亡
率が非喫煙者に比べて約6倍高いと報告されています。
15
喫煙をやめてからの年数と肺がん死亡率の関係
(男性)
(倍)
5
4.5
肺がん死亡率(
非喫煙者を
4
3
2
2
として)
1.6
1
1.4
1
1
0
喫煙中
4年未満
4年以上
10年未満
禁煙後の年数
10年以上
非喫煙
がんの統計2003年度版(財団法人がん研究振興財団発行)より(昭和41年~57年)
男性における喫煙をやめてからの年数と肺がん死亡率の関係を示します。
喫煙者では、喫煙を続けた場合よりも禁煙したほうが肺がん死亡率は低くなり、禁煙後の年
数が長いほど低下しています。
16