平成26年度教育課程研究協議会【小学校・総合的な学習の時間部会】 1

平成26年度教育課程研究協議会【小学校・総合的な学習の時間部会】
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教育課程編成上の基本的な考え方
(1) 総合的な学習の時間の目標
学習指導要領が定める目標(『学習指導要領』 第1)
①横断的・総合的な学習や探究的な学習を通して,②自ら課題を見付け,自ら学び,自ら
考え,主体的に判断し,よりよく問題を解決する資質や能力を育成するとともに,③学び
方やものの考え方を身に付け,④問題の解決や探究活動に主体的,創造的,協同的に取り
組む態度を育て,⑤自己の生き方を考えることができるようにする。
(2) 各学校において定める目標の設定
上記第 1 の目標の5つの要素を含むように配慮して設定
【参照】『今,求められる力を高める総合的な学習の時間の展開(小学校編)』第2編 第1
章 第2節の1-P67)
(3) 育てようとする資質や能力及び態度の設定「どんな子供を育てたいか」
3つの視点〈例示〉(『学習指導要領』 第3の1の(4))に配慮して設定
①学習方法に関すること
②自分自身に関すること
③他者や社会とのかかわりに関すること
【参照】『今,求められる力を高める総合的な学習の時間の展開(小学校編)』第2編 第1
章 第2節の2-P70 図3「育てようとする資質や能力及び態度の例」)
(4) 学校において定める内容の設定「学習対象=どんな対象とかかわらせるか」「学習課題=
どんなことを学んでほしいか」
3つの課題〈例示〉(学習指導要領 第3の1の(5))を参考にして設定
①国際理解,情報,環境,福祉・健康などの横断的・総合的な課題
②児童の興味・関心に基づく課題
③地域の人々の暮らし,伝統と文化など地域や学校の特色に応じた課題
⇒さらに具体的な要素として「学習対象」「学習事項」を定める。
【参照】『今,求められる力を高める総合的な学習の時間の展開(小学校編)』第2編 第1
章 第2節の2-P72,73 図4「学習課題・学習対象・学習事項の例」)
⇒そして「『何』を『どのように』学ぶかの両者」で単元構想
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教育課程編成上の課題
(1) 今求められる力を高めるための学習指導
総合的な学習の時間の改訂の趣旨を実現する
ためには,問題解決的な活動が発展的に繰り返
される「探究的な学習」とすること,他者と協
同して課題を解決する「協同的な学習」とする
ことが重要。
①探究的な学習
右の図のような,「課題の設定」→「情報の
収集」→「整理・分析」→「まとめ・表現」と
いった問題解決的な活動が発展的に繰り返されていく一連の学習活動。
②協同的な学習
他者と協同して課題を解決しようとする学習活動を重視する。「多様な情報を活用して
協同的に学ぶ」「異なる視点から考え協同的に学ぶ」「力を合わせたり交流したりして協
同的に学ぶ」といった場面と生徒の姿が想定できる。
(2) 探究的な学習を実現するポイント
①「課題の設定」の重要性
課題設定の質が探究的な学習の質を左右する。児童の主体性と教師の指導性の相乗効果
がポイントになる。「日常生活や社会に目を向け,児童が自ら課題を設定する」ためには,
意図的な働きかけと学習対象との関わり方や出会わせ方の工夫が大切。
小・総合 1
②「整理・分析」の重要性
学習自体が探究的となり得ているか,総合的な学習の時間か否かを見極めるポイント。
「多様な方法で収集した情報を,思考する活動へと高めていく」ためには,どのように学
ぶか,教師がその方法を指導したり,児童が中身を吟味する学習活動を取り入れたりする
ことが大切。「整理・分析」の過程を意識することで,総合的な学習の時間の質は飛躍的
に上がる。単なるコピーアンドペーストになってしまうことがないようする。
インプット
アウトプット
プロセス = 思考する
 内的処理である「思考する」という見えにくいプロセスについて,具
体化する。
(例「比べて考える」
「分類して考える」
「関連付けて考える」
「多面的に考える」
「序列化して考える」
「因果関係で考える」
「統合し
て考える」「構造化して考える」など)
 具体的な学習活動を用意する。(例「思考ツール」(KJ法,クラゲチ
ャート,2次元表,ダイヤモンドランキングなど)の提示⇒児童によ
る「思考ツール」の自己選択・自在な活用)
*「思考ツール」=ノイズが多い情報を処理し,再構成し,関
係や傾向を明らかにするためのフレーム。
⇒言語活動・共同的な学習
※『小学校学習指導要領』『小学校学習指導要領解説 総合的な学習の時間偏』『今,求め
られる力を高める総合的な学習の時間の展開(小学校編)』(文部科学省)の3点セット
の活用
(3) 特別活動との関係
総合的な学習の時間における学習活動により,特別活動の学校行事に掲げる各行事の
実施と同様の成果が期待できる場合においては,総合的な学習の時間における学習活動
をもって相当する特別活動の学校行事に掲げる各行事の実施に替えることができる。
─ 小学校学習指導要領 総則 第1章第3の5 ─
林間学校や修学旅行等の活動のうち,探究的な学習に位置付く学習は,総合的な学習の
時間として位置付けてよい。ただし,林間学校でのキャンプファイヤーやフォークダンス,
修学旅行での遊園地訪問などの活動は総合的な学習に位置付けられない。
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学習評価について
~『総合的な学習の時間における評価方法等の工夫改善のための参考資料( 小学校)』
(国立教育政策研究所)~
(1) 基本的な考え方
総合的な学習の時間の評価については,指導要録への記載の在り方も含めて基本的な考え
方に変化はなく,学習指導要領に示された総合的な学習の時間の目標等を踏まえ,各学校の
具体的な目標,内容に基づいて定めた観点による,観点別学習状況の評価を基本として各種
の評価活動を進めることが求められる。
(2) 評価の観点の例示とその考え方
① 学習指導要領に示された総合的な学習の時間の目標,ないしは,それを踏まえて各学校で
定めた目標及び内容に基づいた観点
例:「よりよく問題を解決する資質や能力」「学び方やものの考え方」「主体的,創造
的,協同的に取り組む態度」「自己の生き方」等
②学習指導要領に示された「学習方法に関すること」「自分自身に関すること」「他者や社会
とのかかわりに関すること」等の視点に沿って各学校で定めた,育てようとする資質や能力
及び態度を踏まえた観点
例:「学習方法」「自分自身」「他者や社会とのかかわり」等
③各教科の評価の観点との関連を明確にした観点
例:「関心・意欲・態度」「思考・判断・表現」「技能」「知識・理解」等
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