横浜市福祉サービス第三者評価 評価結果総括表 (保育分野) 事業所名 京急キッズランド金沢文庫保育園 報告書作成日 平成25年12月16日 評価機関 株式会社 学研データサービス (評価に要した期間5か月) 評価方法 職員全員が自己評価を行い、それを代表者で取りまとめ、園長が仕上 げました。 (実施期間:平成25年8月16日~平25年10月15日) ①第1日目 評価調査員による評価方法 ガイダンス、施設見学、保育観察、事業者(職員)ヒアリング(園 長、主任保育士、栄養士)、書類確認 (実施日:平成25年11月18日、平成25年11月19日)②第2日目 事業者(職員)ヒアリング(園長、主任保育士、看護師)、保育観察 自己評価方法 利用者家族アンケート実施方法 送付方法・・・園を通して保護者へ配付 回収方法・・・評価機関宛に保護者より直接郵送 (実施期間:平成25年9月9日~平成25年9月20日) 利用者本人調査方法 第1日目、第2日目の午前遊び、昼食、午睡の状況などを中心に、観 察調査を実施しました。 (実施日:平成25年11月18日、平成25年11月19日) 評価結果についての講評 施設の特色、施設のよい点・改善すべき点などの総括 *施設の理念を踏まえながら、施設全体としての特徴を総合的に示すとともに、特によいと思われる点、または、よ り質の高いサービスの提供のために、工夫すべき点・改善点などについての総括 《施設の概要》 京急キッズランド金沢文庫保育園は、京急サービス株式会社により平成17年4月に設立されまし た。法人本部は現在、当園を含めて6園の保育所を運営しています。園は、京浜急行電鉄の金沢文庫駅 から徒歩2分程、駅の近くにあります。0歳児から5歳児までを受け入れ、定員は60名(平成25年 11月現在62名在籍)です。ビルの1階にあり、0歳児室、1歳児室、2・3歳児室、4・5歳児 室、多目的ルームがあり、基本的には異年齢保育を実践しています。なお、特別保育として、産休明け 保育、延長保育、障がい児保育などを行っています。 《特に優れている点》 〇1年間の保育の集大成として「生活発表会」を催しています 春の進級や新入園で、子どもたちは新しい環境での生活を開始します。夏には水遊びをたくさん経験 し、秋には運動会を節目に大きく成長し、そして、冬の年度末へと向かいます。園では、このように1 年を過ごす中で子どもたちが作った数々の作品を園内に掲示するとともに、一大イベントとして「生活 発表会」を催しています。保育士は、その発表会に向けて子どもたちの1年間の保育の記録をまとめた 冊子「生活発表会」を力を合わせて作成し、保護者一人ひとりに渡しています。 この「生活発表会」の冊子は、子どもたちの園での活動のようすや、成長のようすが視覚的にわかる ように構成されています。平成24年度の冊子を見ますと、冒頭に園長の保育への想いが述べられ、次 に、園の1年間の研究テーマが示されています。24年度の園内研究のテーマは「絵本」(25年度は エコ)でした。子どもたちにとっての絵本の大切さを、保育士たちが1年間研究してきた実践が紹介さ れています。続いて、当園に協力していただいた方々(保護者を含む)の紹介と保護者参加の行事が紹 介されています。さらに、当園こだわりのオンリーワン誕生日会(保護者と子ども一組ずつのためのセ レモニー)が写真入りで紹介されています。その後、大きな共同作品が紹介されています。絵本研究の 一環として子どもたちと保育士が作ったもので、「スイミー」の絵本を題材に保育士と子どもたちの手 形を集めてダイナミックに魚を表現しています。 このほか、各年齢の発表会や1年間の食育活動、さらには年齢別の絵画製作などが豊富な写真とコメ ントで紹介され、充実した内容になっています。 なお、発表会当日は、園内各所に掲示物や作品展示が飾られているほか、ホールでは各年齢の発表な どがあり、盛りだくさんな催しとなっています。保護者たちは当日のイベントを楽しむと同時に、冊子 を見ることで年間の活動内容を理解することができます。今年度も準備中です。このように、保育のよ うすを保護者に理解していただくための大変充実した工夫があります。今後も継続されることを期待し ます。 1 〇さまざまな角度から食育に取り組んでいます 園では食育活動に力を入れて取り組んでいます。保育課程の特記項目には食育の欄があり、年齢別に 食を営む力の基礎と到達目標について記載されています。例えば、0歳児では食を営む力の基礎として 「食べることに意欲を持つ」、到達目標として「食べる意欲、機能を引き出す」とあります。 この保育課程と連動させて「食育年間計画表」が作成されています。この年間計画表は各歳4期(0 歳児は月齢別に3期)に分けられていて、それぞれ、ねらい、内容、配慮、食材、反省の項目について 記載するようになっています。そして、各期の振り返りを行うとともに次年度に生かすようになってい ます。また、園行事と食育の具体的テーマ、旬の食材も月別に計画表の中に記載されています。この計 画のもとに実践することで、年間を通しての食の活動がわかるしくみになっています。 このほか、栄養士が作成している「食育スケッチブック」があります。これは、毎月、特徴のある給 食、例えば、ソラマメの白和え、こいのぼりランチ、たけのこごはん、雑穀ごはんなどをA3版の大き さのスケッチブックの1ページに写真や絵を組み合わせて表現したもので、裏にはレシピも記載されて います。このスケッチブックは多目的ルームの棚に、そこを通る保護者が見やすいように設置していま す。また、給食のサンプルケースの側にはA4サイズの写真で給食を毎日紹介しています。夏場、サン プルが見せられないときには特に大活躍です。保護者へは給食だよりも発行し、いろいろな角度から食 の大切さを伝えています。 〇保育士マニュアルのもとに、家庭的な雰囲気の中で保育が行われています 保育士は一人ひとり「保育士マニュアル」を持ち、そこに書かれている理念や保育方針の実現に向け て保育をしていく姿勢です。この保育士マニュアルには、業務の基本的な流れのほか、「よりよい保育 のために」という柱で、保育士に深く理解してほしい事柄(人権やジェンダーフリー、個人情報保護、 虐待など)について記載されています。保育士たちは、このマニュアルに基づいて読み合わせをした り、園長から指導を受けたりしていますので、子どもを第一に、安心・安全に保育すること、をおのず と強く意識しています。 園の玄関を入ると温かい雰囲気に包まれ、保育士たちの明るいあいさつ、子どもたちとの元気なやり とりなどが聞かれます。保育士の子どもたちに対する言葉遣いもていねいで終始穏やかです。また、保 育士同士もなごやかな雰囲気です。今回の保護者アンケートでも、「スタッフの方はいつも本当によく してくれます」、「現在の職員の方々の対応には満足しています」、「親の就労を支えてくれるといつ も感じます。発熱で呼び出しがあった時、園長先生が出てくれて、お迎えありがとうございますと言っ てくださり、こちらが恐縮してしまいます」など、園に対する感謝の声が多く寄せられています。家庭 的で穏やかな雰囲気の中、きめ細やかな保育が提供されていることがうかがえます。 《今後の取り組みに期待したい点》 〇地域交流の取組について、さらなる工夫を期待します 園の門扉近くの掲示板には、育児相談や園庭開放のお知らせのほか、催し物(「給食を食べてみませ んか」「離乳食を食べてみませんか」、「交流保育」など)のご案内を掲示して、地域の親子に参加を 呼びかけをしています。また、散歩に出かけたときには、行き先の公園で遊んでいる親子に声をかけ、 絵本や紙芝居をするなどの出前保育もしています。このように地域の方々を対象とした活動を行ってい ますが、参加者は少ないのが現状です。地域の親子への支援は大切である、と園長は考えていますの で、今後は、高齢者とのふれあいや系列園で実施している子育て支援講座(劇やクッキー作りなど)を 地域の方々にまで拡大させるなど、職員会議の議題として取り上げて、より実効性の高いものにしてい かれてはいかがでしょう。今後の取組を期待します。 〇園内の環境整備について、さらなる取組を期待します 園の玄関を入りますと温かい雰囲気が伝わってきますが、何となく物が多い印象を受けます。壁に貼 られた各種掲示物や印刷物のほか、各保育室の壁面の棚の荷物など、園内にはいろいろな物が置かれて います。また、多目的室は保育士や保護者の通り道であり、子どもたちの遊び場にもなっていますの で、給食のサンプルケース、歯ブラシの消毒機器、保護者向けの給食の写真、栄養士の作った「食育ス ケッチブック」などが置かれ、奥には遊具、おもちゃなども収納されています。 開設以来9年目になり、事務的な物品、保育用品、書類なども、年々増えています。限られた施設空 間の中を少しでもすっきり見せるためには、それなりの整理や工夫が必要です。 例えば、古くなった掲示物は処分する、書類の保管方法を工夫する、使用頻度の低い遊具や道具は処 分するなど、今一度園内の物品について点検されてはいかがでしょう。今後、環境整備のしくみを構築 されることをお勧めします。 2 評価機関による評価 3つ:高い水準にある、2つ:一定の水準にある、1つ:改善すべき点がある 評価領域Ⅰ 利用者本人(子ども本人)の尊重 評価分類 評価の理由(コメント) Ⅰ-1 園の理念は、「家庭的な雰囲気の中で『こころ』『からだ』『えがお』を 保育方針の共 通理 解と 育てる」です。保育方針は、「子どもの健やかな育成」「保護者の就労支 保育計画等の作成 援」「地域住民への相談・助言」、保育目標は、「現在を最もよく生き、望 ましい未来を創り出す力を培う」と掲げています。これらについて職員は、 年度はじめのミーティングで確認しています。保護者に対しては、園長より 進級、入園説明会のときに説明をしています。 園を含め、同法人系列園は現在6園あります。系列園の増加に伴って、各 園の園長が保育課程に対する意見を持ち寄り、おおもとの修正を行いまし た。この保育課程を各園が持ち帰り、さらに地域の特性や園独自の保育など を園長、主任が中心となって加えます。それを職員会議で職員に説明し、意 見交換を経て園の保育課程が作成されました。この保育課程は3月に再び見 直す予定です。平成25年度は、保育課程の中の食育の部分について、食育 ガイドラインをもとに、見直し、修正を行いました。なお、年度はじめの保 護者会において、園長より保護者へ保育の方針を説明をしています。 保育課程に基づいて各歳の年間指導計画をそれぞれの担任が作成していま す。この指導計画は1年を4期に分けて記載し、期ごとに評価・見直しを行 い、反省欄に記録しています。その反省は、翌期に生かしています。 0~2歳児の月間指導計画に関しては、毎月評価・反省を行い、次月の課 題を抽出しています。また、子どもたちの意見もできるだけ取り入れるよう にしています。 Ⅰ-2 子どもの発達や状況に 応じた適切な援助の実 施 入園決定者を対象とした入園説明会を、3月上旬に開催しています。説明 会後には園長、主任、栄養士、担任が保護者と面接し、保育園での生活を詳 しく説明しています。その後、ご利用申請書、生活状況表、アレルギー食材 確認書、健康診断、健康の記録、長時間利用依頼書など、必要な書類を配付 し、記入をお願いしています。そして、記入が終わる頃に予定をうかがった うえで面談を実施しています。面談では記入していただいた書類の内容を確 認するとともに、ヒアリングを行い、把握した内容を面接表に記録します。 ヒアリングや各書類から得られた子どもの状況は全職員で把握し、今後の保 育に生かしています。なお、食物アレルギーのある子どもの情報共有や、離 乳食の進行状況の確認などもていねいに行っています。 入園時の短縮保育は、保護者の就労状況を勘案して実施しています。1週 間程度を目安に行い、子どもの心理的よりどころとなるおもちゃやタオルな どの持ち込みも受け入れています。また、受け入れ当初は連 絡帳をよりてい ねいに記載し、保護者とのやり取りを綿密にして、保護者の不安を取り除く ように配慮しています。なお、進級児に関しては、必ず持ち上がりの担任を 配し、顔なじみの保育士が対応することで在園児が穏やかに過ごせるように しています。 各歳の指導計画には、いずれも反省と課題を記入できるようにして、柔軟 な対応を心がけています。また、連絡帳などを活用して保護者との連絡を密 にしています。例えば、離乳食の計画について、咀嚼力の向上した子どもに ついては離乳食のステップアップを図ったり、トイレットトレーニングにつ いても、午睡中はオムツにしてほしいという保護者の要望などの要請を受け 入れたりするなど、それぞれ個別対応を行っています。 3 Ⅰ-3 快適な施設環境の確保 全室に大きな窓があり、採光は良好です。各保育室には空気清浄器、加湿 器、温・湿度計などが設置されています。温度、湿度に関しては保育日誌に 1日4回記録しています。また、夏場には冷房の温度管理をするとともに遮 光カーテンを設置しています。 保育室以外にも多目的室があり、子どもたちの休息や遊びに活用していま す。室内の清掃は、清掃確認表に基づいて行っており、清潔に保つようにし ています。なお、子どもたちと接する保育士の声は穏やかです。音楽も必要 な時以外は使わないようにしています。保育士は、子どもたちが快適に過ご せるように常に心がけています。 0歳児の保育室には沐浴設備や温水シャワーがあります。また、1歳児と 2歳児の保育室の間や園庭脇にも温水シャワーがあります。0歳児の個人記 録には沐浴の欄があり、沐浴や外気浴の可・不可について保護者からの申告 を確認できるようにしています。シャワーや沐浴設備は清掃表に基づき、常 に清潔に保つようにしています。 0歳児の保育室には2か所ほどのコーナーを作り、子ども たちがゆったり できるスペースを確保しています。また、0歳児室に入る右側に送迎時の際 に使用するちょっとしたスペースがありますが、ここも昼間は子どもたちの 落ち着くコーナーになっています。 1、2歳児の保育室には、保育士手製の衝立があり、おもちゃで遊ぶコー ナーや絵本のコーナーなどが作られています。このように小集団で過ごすス ペースが工夫されています。なお、食事や午睡などをする場合は、できるだ け違う空間を使用するようにしています。 2、3歳児の保育室、4、5歳の保育室はそれぞれ合同になっていますの で、自然に異年齢保育が行われています。また、多目的ルームや園庭は自然 に異年齢同士で遊ぶ空間になっています。 Ⅰ-4 0~2歳児には全体の指導計画のほかに個別指導計画を作成しています。 一人ひとりの 子ど もに 月間指導計画には、予想される姿、配慮、子どもの姿、保育士の自己評価の 個別に対応する努力 項目で記述するようになっており、「予想される姿」では、養護・教育と食 育を、「配慮」では、家庭との連絡や子どもの活動への注意事項、「子ども の姿」では、子どもの成長のようす、「保育士の自己評価」では、家庭との コミュニケーションのことや子どもとの接し方についての反省などを細かく 記入しています。 3~5歳児について、特別な配慮を要する子どもに関しては、地域療育セ ンターの指導を受け、個別指導計画を作成したうえで対応していく姿勢で す。 保育園での生活の記録は、「個人成長記録」と「経過記録」がメインで す。まず、子どもに変化が見られたときは、月ごとの個人成長記録に記録 し、それをまとめて、「経過記録」に記載します。この経過記録は、5領域 (健康、人間関係、環境、言葉、表現)と食育、その他の欄があり 、年間4 期に分けて記録します。この記録が進級時に引継ぎ記録として伝達されます し、毎年、記録されますので、「保育所児童保育要録」のデーターにもなり ます。これらの書類は事務所で管理し、必要に応じて全職員が見られるよう になっています。 4 Ⅰ-5 障がいのある子どもを積極的に受け入れる方針です。受け入れにあたって 保育上、特に 配慮 を要 は、落ち着く空間を確保したり、提供するおもちゃに配慮したりと、子ども する子どもへ の取 り組 の状況に合わせた対応をしています。また、地域療育センターと連携を取る み 体制があります。職員は、障がいのある子どもの保育についての研修を受け て学習を重ねています。 虐待の早期発見に向けて、園では朝夕の送迎時の子どもや保護者のよう す、着替えやトイレでの観察などについて、全職員でポイントを把握したう えでていねいに行っています。「保育士マニュアル」の、よりよい保育を目 指して、という項目には虐待についての記述があります。この内容を勉強会 で取りあげて、職員間で理解を深めています。なお、虐待の疑いのある子ど もが見られた際、南部児童相談所や金沢区子ども家庭支援課と連携して対応 するしくみが整っています。 食物アレルギーのある子どもに関する情報は、入園時の家庭からの申告に より把握し、全職員で共有しています。特に、栄養士とはてい ねいな打ち合 わせを行い、除去食対応をしています。除去食を配膳する際には別のトレー を使うとともに目印になる子どもの写真を貼付し、ほかの子どもたちの食事 よりも先に保育士に渡すようにしています。そして、ほかの子どもたちと距 離を置いて、個別のテーブルを設置して対応しています。さらに、食後には 保育士が床面を掃除し、食べ残しが床に残らないように配慮しています。こ のように、食物アレルギーに関して細心の注意をはらっています。 外国籍の子どもに対しては、その文化の違いを尊重し、子ども同士が尊重 しながら生活できるように配慮をしています。 日本語がよくわからない保護者には、連絡帳やお知らせをひらがなで書く などの対応をしています。また、外国語のわかる保護者に通訳をお願いした り、携帯電話の翻訳ソフトを活用したりして意思疎通を図っています。 Ⅰ-6 苦情解決体制 苦情解決のしくみについて、苦情受け付け担当者(主任)、苦情解決責任 者(園長)、さらに2名の第三者委員の名まえと連絡先のほか、苦情解決の 方法について明記した案内文書を掲示しています。また、毎月発行している 園だよりとともに、「皆様の声」投稿用紙を配付し、保護者からの声をくみ 取っています。寄せられた要望や意見への回答に関しては、保護者の同意を 得たうえで園だよりに掲載しています。 園単独で解決が困難な要望については、区のケースワーカーに相談して対 応する体制があります。各保育士が所有している保育士マニュアルの中に は、クレーム対応の流れのフローチャートや考えられる保育内のクレームな どが記載されており、それをもとに職員会議で研修を行っています。 これまで寄せられた苦情として、保育士間の連携についてや、けがへの対 応などが挙げられますが、いずれもていねいに説明することで納得を得てい ます。これらの苦情は記録に残し、再発防止に努めています。 5 評価領域Ⅱ サービスの実施内容 評価分類 評価の理由(コメント) Ⅱ-1 保育内容[遊び] 保育室内のおもちゃは、子どもたちが取り出しやすいように、種類ごとに かごや箱に入れて棚にしまっています。1歳児には絵合わせ、2、3歳児に はスナップやボタンを使う手作りのおもちゃ、4、5歳児にはビーズやブ ロックアートなど、年齢に合わせて指先の発達を促すおもちゃを用意してい ます。 子どもの自由な発想を受けとめ集団遊びに取り入れる取組として、発表会 の劇では子どもたち自身が読んでいた絵本から題目を選び、配役も子どもた ちで決めて作り上げています。 園庭では子どもたちといっしょに、なす、トマト、オクラ、ピーマン、ブ ロッコリーなどの栽培を行っています。育てた野菜は収穫し、絵に描いた り、調理してもらって味わったりしています。また、5歳児は系列園の子ど もたちといっしょにさつま芋栽培を行っており、秋に収穫を体験していま す。 散歩に出かけた際には、地域の方々とあいさつを交わしています。お泊り 会の時には近所の商店街でカレーの材料を買うなど、地域との触れ 合いを大 切にしています。 クラスごとに年間計画を立て、年齢に合わせて、音楽リズム、体操遊び、 絵画制作などを行っています。また、冬には生活発表会を行っていて、子ど もたちが日頃作った作品を展示するほか、劇やダンスの発表をしています。 昨年の生活発表会では、職員と子どもたち全員の手形で大きなスイミー (魚)の絵を完成させました。 2、3歳児と4、5歳児はそれぞれ同じ保育室で過ごしており、一斉保育 の時間以外はいっしょに活動してます。自然に異年齢でのかかわりができ、 いっしょに遊ぶことでお互いを思いやる気持ちがはぐくまれています。そし て、10月頃より、4、5歳児の昼食の時間に3歳児も加わっています。訪 問時、5歳児が3歳児をいたわる姿が見られました。 近隣にはさまざまな特色を持った公園があり、活動によって行き先の公園 を選んでいます。子どもたちは思い切りかけ回ったり、ボール遊びをした り、遊具で遊んだりして体力作りをしています。 Ⅱ-1 保育内容[生活] 保育士は「がんばったね」「ピカピカだね」などと声をかけ、ほめること により、子どもの食べようとする気持ちを育てています。苦手なものは「一 口食べてみようね」などと声をかけ、少しでも食べることができたという気 持ちを大切にし、無理なく徐々に食べることができるように配慮していま す。 子どもたちが食に関心を持つ取組として、毎週1回栄養士が食材をもって 各クラスをたずねています。0~1歳児クラスでは食材の匂いをかいだり触 れたりする機会を持ち、3~5歳児クラスでは栄養についての話を聞くな ど、食への興味が深められるように働きかけています。また、調理保育とし て、クッキー作りやさつま汁作りを取り入れ、5歳児のお泊り保育ではカ レー作りを経験しています。 献立は系列園の栄養士が交代で作成しています。素材の持ち味を生かした 薄味を心がけ、旬の野菜を使った季節感のあるメニューを提供しています。 また、節分には鬼の顔を型どったハンバーグ、子どもの日にはこい のぼりラ ンチ、ひな祭りにはひし形のケーキなど、子どもが楽しめるような行事食を 提供しています。また、お誕生日には手作りケーキでお祝いし、お誕生月の 子どもには名前を書いたクッキーを添えています。 献立表と給食だよりを毎月発行しています。季節の食材についての情報の ほか、子どもたちの食育のようすについても掲載しています。また、2か月 に1回おやつだよりも発行し、人気のあるメニューを紹介しています。な お、園内には毎日給食のサンプルを展示しています。また、毎日の給食を写 真に撮り、写真の裏にレシピを貼って閲覧できるようにしています。 乳幼児突然死症候群(SIDS)の対策として、0、1歳児クラスでは午 睡時に呼吸や寝方のチェックを行っています。5歳児クラスでは、12月か ら1月にかけて、就学に向けて午睡時間を短くしたり午睡する曜日を減らし たりしています。 生活の節目でトイレに誘うようにしています。2歳児クラスでは、トイレ 確認表を用いて子どもの排泄の間隔を把握し、一人ひとりの子どものタイミ ングに合わせてトイレに誘っています。保護者の要望に応じ、帰宅時や午睡 時はオムツ、活動時はパンツにするなど、柔軟に対応しています。 6 看護師マニュアルがあり、その中に健康に関するマニュアルが記されてい Ⅱ-2 健康管理・衛生管理・ ます。マニュアルには、年間保健計画、与薬、乳幼児突然死症候群(SID S)、アレルギーや病気やけがの対応について記されています。 安全管理[健康管理] 毎日登園時に検温をし、子どものようすを確認しています。既往歴につい ては入園時の面接で把握し、その後の病歴や予防接種の状況などについて は、そのつど保護者より情報を得ています。なお、アレルギーなど子どもの 健康に関する情報は、年度はじめの職員会議で全職員に伝えています。 食後の歯磨きは0歳児から行っており、3歳児までは保育士が仕上げ磨き を行っています。 健康診断は年2回、歯科健診は年1回行っています。プール前にはぎょう ちゅう検査も実施しています。その結果は、毎月の身体測定の記録とともに 健康記録に記しています。健康記録には既往歴や予防接種についても綴って おり、在園中の健康に関する情報を一度に確認することができるようになっ ています。 登園停止基準などが記された感染症に関するマニュアルがあります。入園 時には、看護師より健康管理や与薬について説明をしています 。登園停止基 準については、入園のしおりに記載し、保護者にも伝えています。 毎月保健だよりを発行し、季節に合わせて、感染症防止、手洗いの週間、 生活リズムなどについて保護者に情報提供しています。感染症が発生した時 には、園内の掲示板にお知らせを掲示し、注意を呼びかけています。 衛生に関するマニュアルが作成されています。具体的には、消毒薬の種類 Ⅱ-2 健康管理・衛生管理・ と用途、保育室内の衛生管理、清掃、おもちゃの消毒の仕方、吐物の処理な どについて記されています。マニュアルは全職員に配付されており、年1回 安全管理[衛生管理] 園内で見直しを行い、系列園の園長や本社の担当者で協議し、改定をしてい ます。そして、年度はじめには改定したマニュアルをもとに内容確認を行っ ています。 0~2歳児の歯ブラシは毎日消毒し、3~5歳児は歯ブラシを毎日家に持 ち帰っています。 保育室内の温度・湿度は1日に4回チェックし、保育日誌に記載していま す。トイレ、手洗い場や保育室の清掃チェック表も毎日確認しています。 ノロウイルス対応の用品を各クラスに備えています。 安全に関するマニュアルが作成されています。事故対応マニュアルは、病 Ⅱ-2 健康管理・衛生管理・ 気、けが、事故、行方不明など、さまざまな場面を想定して作成されていま す。災害発生時のマニュアルには、職員の役割分担、避難方法、伝言ダイヤ 安全管理[安全管理] ルなどが記載されています。 入園時には、災害時に親以外の引き取り手が来ることを想定した災害時引 渡し確認表を提出してもらい、緊急時の連絡方法として伝言ダイヤルや緊急 掲示版システムの案内を行っています。 月1回、地震、火災を想定して避難訓練を実施し、津波訓練も行っていま す。保育室、園庭、遊具、テラス、トイレ、防災用具などについて安全点検 表を作成し、定期的に点検を行っています。 全職員が消防署の上級救命講習を受け、小児、乳幼児心肺蘇生法を取得し ています。 急な病気や事故への対応として、近隣の医院の一覧表が作成されていま す。また、事務所の電話の横には近隣の医療機関などの一覧表と救急要請の 方法について掲示しています。このほか保護者の緊急連絡簿を作成してお り、連絡先が変わる時には知らせてもらっています。 子どもがけがをしたときには小さなけがでも記録し、保護者に 伝えていま す。事故が発生したときには事故報告書を作成し、毎日のミーティングや職 員会議で改善策を話し合い、全員で情報を共有しています。さらに、事故報 告書を本部に提出し、系列園とともに改善の対策について検討しています。 園内の出入口は電子錠で施錠され、保護者・職員ともにICカードを使用 して出入りしています。不審者対策として、民間警備会社による警備システ ムを導入し、事務所と各保育室には緊急ボタンが設置されています。また、 不審者対応マニュアルも作成し、職員間で読み合わせを行っています。この ほか、年2回、不審者対応訓練を実施しています。不審者に関する情報は警 察署や市から得ています。 7 Ⅱ-3 人権の尊重 保育士は子どもに対して穏やかな口調で接しています。また、個人必携の 保育士マニュアルには、子どもに対する対応が記載されています。園長は人 権啓発については職員会議で話をし、たとえ親しい子どもたちでも呼び捨て にしたり、不適切な言動をすることのないように職員に伝えています。 園で長時間過ごす子どもたちが、落ち着けるスペースや一人になりたいと きに過ごせるスペースなどを確保するためにさまざまな工夫をしています。 例えば、保育室内に衝立を使って狭い空間を確保したり、多目的室の中にテ ントを設置したり、ウレタンマットを敷いたコーナーを設定したりしていま す。また、保育士が子どもと1対1で話し合える空間も多目的ルームの中に 仕切りを作って確保しています。 法人本部作成の「個人情報保護規程」があります。また、保育士マニュア ルの中にも「個人情報の取り扱いについて」の説明があり、定義や取り扱い の義務、第三者への提供などについて記載されています。保育士はこの保育 士マニュアルで研修を受けています。なお、写真掲示など、 子どもたちの個 人情報の取り扱いについては入園・進級説明会のときに保護者に説明し、同 意を得ています。 保育士マニュアルの中に、ジェンダーフリーについて記載があります。職 員は、夏の職員会議において、ジェンダーフリーと倫理についての研修を 行っています。こうした研修を通して、保育士は日頃から性差による区別を 自然になくしています。 Ⅱ-4 保護者との交流・連携 園の理念や方針は、園のしおりに記載し、入園式、進級式や懇談会で保護 者に説明しています。また、年度はじめの園だよりにも園の保育目標を載せ ています。 送迎時には子どものようすを保護者に伝えられるよう配慮しています。ま た、各クラスの当日の活動内容をお帰りなさいボードに記し、情報提供して います。活動や行事などのようすはスナップ写真に撮って掲示しています。 全クラスに連絡ノートを設け、保護者との情報交換に活用しています。 年度はじめには、全保護者を対象に個人面談を行っています。懇談会は年 2回、年度はじめと年度末に実施しています。 保護者からの相談に応じる時には、相談内容をほかの人に聞かれないよう 配慮しています。相談内容によっては、看護師や栄養士などの専門職の職員 が対応することもあります。相談内容は記録し、その後のフォローに役立て ています。 園だよりは毎月発行しています。園長が中心となって発行しており、毎 月、家庭と園が協力できるような目標を記載しています。また、クラスだよ りも毎月発行し、子どもの成長のようすを伝えています。このほか、画像配 信システムを導入しており、日中の子どもたちの活動の様子 をリアルタイム で、パソコンや携帯端末から見ることができます 年間行事予定表を入園式、進級式の際、保護者に配付しています。 年2回保育参加を行っています。0、1歳児クラスでは子どもの誕生日 に、2~5才児クラスではお誕生会の日に保護者を招き、いっしょにお祝い をしています。 保護者会は現在組織されていませんが、運営委員として2名の保護者を選 出し、運営委員会に出席してもらっています。運営委員会は外部の運営委員 とともに年2回開催し、行事や苦情対応などについて、園長、主任も出席し て話し合う機会となっています。 8 評価領域Ⅲ 地域支援機能 評価分類 評価の理由(コメント) Ⅲ-1 園の近くには幹線道路が通っていますが、一歩入れば昔ながらの商店街や 地域のニーズ に応 じた 閑静な住宅街、神社、仏閣があり、周辺には伝統的な文化が残っています。 子育て支援サ ービ スの 最寄駅が特急停車駅であることもあり、東京都内への通勤者が多い傾向で 提供 す。待機児童問題は近隣で民営保育園の新設が相次いだため解消されつつあ りますが、園長は、0、1歳児の保育ニーズが高い傾向にあることを把握し ています。 地域の子育て支援ニーズは、地元町内会に加盟してお祭りに参加したり、 園の子育て支援イベントの情報を町内会館に置いてもらうなど、地域住民と の日常的な交流を通して把握するよう努めています。区の保育園紹介イベン トや幼保小連携事業、公立私立合同園長会などの関係機関には、園長はじめ 主任や保育士が積極的に参加して地域の情報を収集しています。区実施の子 育て支援事業ではブロックに分かれて近隣保育所が連携し、地域の保育資源 のリスト化などを行っています。 地域子育て支援事業「保育園に遊びにきませんか」のポスタ ーを作成し、 育児相談や園庭開放、1、2歳児クラス対象の交流保育、園行事(夕涼み会 や運動会、お餅つき)への参加呼びかけなどを実施しています。年1回ずつ 開催しているイベント「離乳食をたべよう」「給食を食べよう」では、レシ ピなど食事に関する情報提供も行い、参加者からの相談にも対応していま す。子育て支援関連イベントの年間計画を立てる際には、主任と栄養士が中 心となって地域の子育てニーズについても話し合い、園が持っているノウハ ウを地域に発信、還元していくことを念頭に企画を立案しています。 Ⅲ-2 地域向け育児相談を毎週火曜日に実施しています。地域住民も見ることが 保育園の専門 性を 活か できるように園の外側には掲示板を設置して、行政からの各種ポスターや園 した相談機能 の給食だより、おやつだより、育児相談案内、子育て支援事業ポスターなど を随時掲示して情報提供しています。園イベントなどのちらしは町内会館に 置かせてもらったり、区の広報やホームページ、地域子育て支援拠点の通信 に掲載してもらったりしています。なお、園独自のホームページには毎月の 園だよりや給食献立表を掲載しています。 職員全員に配付している「保育士マニュアル」の中に関係機関一覧が明記 され、児童相談所や福祉保健センター、地域療育センター、医療機関、各種 相談機関の連絡先が網羅されています。関係機関との連携は園長が担当して います。区の福祉保健センターのケースワーカーは園ごとに担当者が決めら れており、園長はすぐに担当者に連絡、相談ができる体制になっています。 9 評価領域Ⅳ 開かれた運営 評価分類 評価の理由(コメント) Ⅳ-1 夕涼み会や運動会、お餅つきなどの園行事には、ポスターを掲示して地域 保育園の地域 開放 ・地 住民にも参加を呼び掛けています。地域で開催される芸術祭の「園児大型絵 域コミュニテ ィへ の働 画企画」に参加し、芸術祭ボランティアの方に手伝ってもらいながら大きな きかけ 布に絵を描いて海の公園に展示してもらうなど、地元のイベントにも参加し ています。小学校とは幼保小連携事業を通じて交流を持っています。中学校 の職業体験や高校のインターンシップでも毎年生徒を受け入れ、次世代育成 に協力しています。 子どもたちは図書館に出かけて好きな本を見つけて読んだり、借り出しを 体験したりしています。図書館に併設されている地区センターのプレイルー ムで遊ぶこともあります。近隣の大きな寺院に散歩にでかけ、四季折々の自 然にも触れています。 地元の昔ながらの商店街を散歩し、子どもたちから商店の方にあいさつを したり、声をかけてもらったりして交流しています。また、5歳児のお泊り 保育の際には、給食食材を納入してもらっている商店街の青 果店に子どもた ちが買物に出かけています。 5歳児は小学校を訪問して1年生といっしょにゲームをしたり、給食を食 べて交流したりしています。系列園との合同保育に加えて、近隣保育園から も活動のお誘いを受けるほか、幼稚園とドッジボール大会を企画するなど、 子どもたちは他園の子どもたちとも交流しています。保護者には子どもの作 品が展示される地元の芸術祭のお知らせなどを配付し、地域の行事に参加で きるよう配慮しています。 Ⅳ-2 保育理念や方針、園の特徴、保育時間、主な行事、職員構成、クラス編 サービス内容 等に 関す 成、施設見取図、保育園の一日などの情報を園のリーフレットに掲載し、見 る情報提供 学者に随時配付するほか、リーフレットは地域子育て支援拠点にも置いても らっています。園のホームページにはリーフレットの情報に加えて、園便り や給食献立表の最新情報を毎月掲載し、園内のようすや安全対策についても 画像でわかりやすく伝えています。区の子育て情報ホームページにも園の情 報を提供し、情報の入手しやすさにも配慮しながら、将来の利用者が必要と する内容についてわかりやすく開示しています。 園玄関に「見学随時」の掲示をしています。利用希望者からの電話での問 い合わせについては事務室で対応し、見学希望は相手の都合に合わせて、日 時を設定しています。できるだけ午睡時間は避けて、子どもの活動のようす を含めて見学してもらえるように配慮しています。土曜日や突然の来園で あっても可能な限り見学を受け入れて案内をする方針のため、園 長、主任不 在時にも職員が対応できるように、保育士マニュアルの中に「見学者の対 応」を明記して受け入れ体制を整備しています。 10 Ⅳ-3 保育士マニュアル内にボランティア受け入れのためのマニュアルが明記さ 実習・ボラン ティ アの れています。現在受け入れているのは、主に中学校の体験学習と高校生のイ 受け入れ ンターンです。受け入れ時には、本部と学校とで守秘義務などについて明記 した協定書を取り交わし、本人には自己紹介カードや健康診断書を提出して もらい、慎重な対応をとっています。保護者にはボランティア開始前に園だ よりなどでお知らせするほか、顔写真入りポスターを園内に掲示していま す。なお、受け入れと育成は、主に園長と主任が担当しています。オリエン テーションでは小さいことでも約束や秘密を守ることなど、注意事項を明記 したマニュアルを手渡して口頭でも説明しています。ボランティア期間終了 時には反省会をして感想を聞いています。また後日送付される感想文などか ら伝わる生徒の気持ちを職員間で共有し、保育士としての原点を振り返る機 会にもしています。 保育士マニュアル内に実習生受け入れのためのマニュアルが 明記されてい ます。大学・専門学校などの保育士、栄養士養成校から毎年5名程度の実習 生を受け入れています。受け入れ時には、本部と学校とで守秘義務や就業規 則などを遵守する旨を明記した協定書を取り交わし、実習生からは履歴書や 健康診断書などを提出してもらい、実習記録とともに保管しています。実習 生受け入れにあたっては保護者には園だよりで理解と協力をお願いし、顔写 真入りのポスターも園内に掲示しています。受け入れは園長と主任が担当 し、職員にはスタッフミーティングで周知しています。また、実習前オリエ ンテーションで実習生本人が来園した際には子どもたちにも紹介して回り、 期待感を持って迎え入れることができるように配慮しています。オリエン テーションでは園の方針を説明し、実習生本人の課題や実習内容の希望を確 認しています。実習プログラムは、本人希望を尊重して可能な限り実習に入 るクラスなどに配慮し、実習指導はクラス担任保 育士が行います。実習期間 終了時には振り返りの時間を持ち、感想や意見を聞いています。 11 評価領域Ⅴ 人材育成・援助技術の向上 評価分類 評価の理由(コメント) Ⅴ-1 職員の人材育成 職員の採用は本部が統括して行っています。毎年、新卒者採用のために本 部と園長とで学校訪問を行い、計画的な人材確保に努めています。 新規採用者は新任研修用に用意された「研修ノート」に沿って、まずは本 部で講義研修を受け、保育目標や勤務にあたっての注意事項などを学んでい ます。さらに園長を指導者として1か月間の現場研修を実施し、保育士マ ニュアルの内容を確認しながら業務に必要な手順や基本を一つひとつ確実に 習得していく体制になっています。 グループ企業社員としての研修計画「人材育成研修プランガイド」と、本 部保育事業部と園が管理する保育園職員のための研修の2つの研修系統があ ります。社員としての研修では、メンタルヘルスや部下指導のためのコーチ ング、クレーム対処・対応、労務管理などを職員は受講しています。保育園 職員としての専門職研修では、市や区、大学などが主催する研修案内を全職 員に回覧して参加希望を募るとともに、職員本人の今年度の目標や受講頻度 のバランスなどを勘案して主任が参加者を決めています。保育の質の向上を 目指し、本部も園長、主任も積極的に職員に研修受講を奨励しています。 研修参加者は「研修参加記録」を作成し、「研修で学んだこと」と「今回 の研修を今後どう生かしていくか」の視点でレポートをまとめ、園長、主 任、本部に提出しています。また、毎月のスタッフミーティングでは研修報 告の時間を設けて受講者が研修内容の報告をし、職員間で共有しています。 園内研修に関しては、園長、主任が年間計画を立案し、保育士マニュアル の確認や作業環境のチェック、衛生管理、防火・防災対策など毎月テーマを 定めて開催しています。 職員の勤務はシフト制をとり、担当業務の経験なども加味しながら常勤と 非常勤職員のバランスを保ったローテーションになるよう主任が工夫してい ます。非常勤職員は、スタッフミーティングや研修にも参加しています。毎 月パート会議を開催し、主任がパイプ役となって日頃の業務の中では聞き取 れない経験豊富なパート職員の気づきや意見を吸い上げて職員間のコミュニ ケーションを図り、業務改善にもつなげています。 Ⅴ-2 職員の技術の向上 職員は「職員の目標」で自らが掲げた年度目標の達成度について、上期と 下期の年2回自己評価しています。また「自己評価表」書式を用いて、子ど もの活動や状態に対する評価と保育士自身の保育や援助、環境設定に対する 評価を総合的に判断して、毎月個別に自己評価を重ね、年度末に総合的な自 己評価をするしくみがあります。 園全体の自己評価は、園長が毎月本部で開催される会議に出席して園の問 題や課題への取組状況を報告する際に取りまとめるほか、園長としての課題 や目標設定シートを本部に提出する際に行っています。 系列園合同の園長会議や主任会議、調理担当会議などを通じて工夫例や改 善例を共有しています。また園長が中心となって、家庭的な雰囲気作りのた めの手作りおもちゃや布おもちゃの製作・研究に取り組み、冊子「私たちの 工夫・こだわり」をまとめて、遊び方の工夫などについても検討を重ねてい ます。 年1回、本部主催の合同研修では外部講師を招いて「地震から子どもを守 るには」「質の高い乳幼児保育を目指す実践研究会(保護者 支援)」といっ たテーマで指導を受けています。系列園の主任や保育士が相互に訪問しあっ て、クラス見学をして意見交換をする機会も設けられています。 年間指導計画や食育指導計画には年4回、反省と今後の課題について記入 する欄があります。月間指導計画には評価と反省、保育士の自己評価欄が、 週案には気づいた点や反省を記入する欄があり、複数担任の保育士たちがク ラスミーティングで話し合いながら保育を振り返り記入しています。各計画 の振り返り記入後は主任の確認を経て園長に提出し、園長からもコメントや 助言を得ています。 クラスごとの自己評価はクラスミーティングで話し合った後、リーダー ミーティングで報告し、共有しています。第三者評価の自己評価では、それ ぞれの保育に対する思いを伝えあい、共通理解を深めながら意見を取りまと めました。そのうえで、園の課題を見出し、改善に取り組んでいます。 12 Ⅴ-3 本部の人事考課表には、業績考課や能力考課、情意考課の各項目ごとに職 職員のモチベ ーシ ョン 種や職位に応じた期待水準が明記されています。 の維持 人事考課表に基づき年2回、園長と本部課長が考課を実施し、その結果を 賞与などの待遇に反映するしくみがあります。園長と職員の面接は年2回実 施し、主任も同席しています。面接では本人の目標設定やその達成度の振り 返りに加えて、業務についての意見や要望についても尋ねています。新人職 員には入職後3か月経った際にも園長との面接を設定して仕事上の悩みなど について聞く機会をもっています。年度によっては本部部長と職員の面談も 設定して本部でも直接職員の要望や意見を集約しています。結果は園にも伝 えて現場での業務改善に生かしています。 職員の役割分担は保育園管理規定内に分掌事務として明文化されており、 園内の業務についての最終的責任者は園長であることも職員に周知していま す。子どものけがなどの緊急時に園長、主任が不在だった場合には、リー ダー保育士が代わって指示を出して対応することになっており 、その内容は 本部と園長に必ず報告しています。 13 評価領域Ⅵ 経営管理 評価分類 評価の理由(コメント) Ⅵ-1 グループ企業の全社員に「コンプライアンス指針」と「従業員行動基準」 経営における 社会 的責 を印刷したカードが貸与され、職員は携帯しています。ミーティング時には 任 「全国保育士会倫理綱領」を配付して読み上げ、保育士としての心構えを再 確認する研修も行っています。 他施設での事故や保育所関連情報は本部が積極的に収集して系列園に配信 しています。園では情報を職員に回覧して啓発に努めています。 経営や運営状況についてはグループ企業全体の財務諸表などがホームペー ジで公開されています。万一、園内で公表すべき事案が発生した場合には、 会社の公表基準に則り本部の広報を通じてプレスリリースすることになって います。 今年度のテーマとしてエコ活動に取り組んでいます。具体的には、EM菌 で生ごみを減量してその堆肥液を野菜栽培に生かしたり、同グループ電鉄会 社のキップ再生紙でできたトイレットペーパーを使用したりするほか、お餅 つきでは汁椀と箸の持参を保護者にお願いするなど、ゴミの減量化やリサイ クルのための取組を積極的に行っています。また、市資源循環 局のキャラク ター、イーオ君に来園してもらい、子どもたちはゴミの分別などを楽しく学 んでいます。園庭にトケイソウやオーシャンブルーを植えて緑のカーテンを 作ったり、園の前を通る人に楽しんでもらえるようにプランターで花を育て るなど緑化にも取り組んでいます。こうした環境への取組は、ポスターにわ かりやすくまとめて園内に掲示しています。 Ⅵ-2 園の理念や基本方針が明記された「保育士マニュアル」を全職員に配付し 施設長のリー ダー シッ ています。また、園の方針は多目的室の壁面にも掲示しています。職員採用 プ・主任の役割等 時には本部で「研修ノート」を用いて理念や基本方針について研修を行いま す。このほか、行事の際に基本方針の5つの柱を掲げたり、毎日の昼礼やス タッフミーティングにおいて、園長より理念や基本方針について職員が理解 できているかを確認したりしています。 重要な意思決定が必要な場合には、保護者代表と地域の元民生委員、園 長、主任、本部課長で構成される運営委員会に報告するほか、内容によって は臨時保護者会を開催して保護者の要望を確認しながら意見交換し、後日園 から改善案を提示しています。グループ企業の業務監査を受けた際の改善指 摘については、本部と園の専門職が集まって協働で改善策を検討するなど、 組織をあげて課題に取り組む体制があります。 主任は大学や市で開催される主任研修に積極的に参加し、指導職としての スキルアップに努めています。将来の主任を担うリーダー職員 の育成は本部 で検討しています。月1回開催される系列園合同の主任会議は、職員への指 導方法や悩みを共有し主任同士が支え合う場であるとともに、新主任へのサ ポート機能も持っています。 主任は園日誌の健康状態を記入する欄を確認して職員一人ひとりの健康状 態を把握し、体調管理のアドバイスをしています。心身が疲労している職員 については配置を変更したり、場合によってはグループ企業の診療所でカウ ンセリングや産業医の診察を受けるように勧めたりしています。経験の浅い 職員に対しては指導計画の内容を充実させるためのアドバイスをするほか、 状況によってはクラスに入って保育の援助をしています。 14 Ⅵ-3 効率的な運営 事業運営に影響のある新制度や法改正については、主に本部で情報を収 集、分析しています。市の制度説明会には本部職員と園長がいっしょに参加 してそれぞれの立場で情報を確認し合い共有しています。なお、園として全 国社会福祉協議会や市社会福祉協議会に加入し、独自に入手した情報は本部 にも報告しています。 毎月本社で開催される事業担当者会議では、各園の園長、本部事業部職員 から重要事項の報告、相談を行います。そこでの討議内容は園長が園に持ち 帰り、職員全員に周知しています。昨年度は本部の保育事業担当において 「保護者とのコミュニケーション不足による苦情をなくす」ことを改善目標 に掲げ、「品質目標管理表」を使って一年を通じて系列園で発生した事象を 収集、分析してリカバリー策を検討し改善に取り組みました。重要な改善課 題については本部と系列園合同で組織的に取り組む体制が確立されてます。 本部において事業部全体と園単体の中長期経営計画が作成されています。 保育所を運営する私鉄4社合同の会議に参加し、各社の保育事業 に関する情 報や意見を交換するとともに各社の動向を運営の参考にしています。 次代の施設運営に備えて職員の育成には力を注ぎ、特に主任格の人材を園 長にするための人材育成に取り組んでいます。 運営に関しては会計士や税理士などの専門家のアドバイスを取り入れてい ます。 15 利用者家族アンケート 結果の特徴 配付日 平成25年9月5日 提出〆切 平成25年9月19日 配付方法 園を通して保護者へ手渡し配付 回収方法 評価機関宛に保護者より直接郵送 送付数 48 回収数 41 保護者アンケートの回収率は85.4%でした。 保育園に対する総合的な感想は、「満足」が24人(58.5%)、「どちらかといえば満足」が15人(36. 6%)で、合計39人(95.1%)でした。園への満足度が大変高いようすが読み取れます。 自由記述には、「いつも子どものことをよく見てくれていて、迎えに行くとその日のようすを具体的に教えてくれ て感謝しています」「親の就労を支えてくれているといつも感じています。発熱で呼びだされたときも、迎えに行っ たとき、園長先生から、お迎えありがとうございます、と言ってくださり、こちらが恐縮してしまいます」「とても アットホームな保育園です」など、感謝の声が寄せられています。 質問別に見ますと、「入園時、お子さんの様子や生育歴などを聞く対応について」「クラスの活動や遊びについ て」「遊びを通じて友だちや保育士との関わりが十分もてているか」「給食の献立内容について」「基本的生活習慣 の自立に向けての取組について」「園だよりや掲示などによる、園の様子や行事に関する情報提供について」「あな たのお子さんが大切にされているかについて」「あなたのお子さんが保育園生活を楽しんでいるかについて」、これ らの質問に関していずれも97.6%の保護者が「満足」または「どちらかといえば満足」と回答しています。食事 や遊び、子どもへの対応について特に満足度が高いようすがうかがえます。 一方、「施設設備について」「残業などで迎えが遅くなる場合の対応について」の質問に対しては、「満足」また は「どちらかといえば満足」と回答した保護者の割合がそれぞれ、75.6%、78.0%と、ほかの質問に比べて やや低い状況です。 調査結果 ■園の基本理念や基本方針について 施設の基本理念や基本方針の認知 よく知ってい る 34.1% まあ知ってい どちらともい る えない 56.1% 4.9% あまり知らな まったく知ら い ない 4.9% 0.0% 無回答 0.0% 問1で「よく知っている」、「まあ知っている」と回答した方のうち 付問1 理念や方針への賛同 賛同できる 64.9% まあ賛同でき どちらともい る えない 32.4% 16 2.7% あまり賛同で 賛同できない きない 0.0% 0.0% 無回答 0.0% ■施設のサービス内容について 問2 入園した時の状況 満足 どちらかと いえば満足 51.2% どちらかと いえば不満 29.3% 不満 その他 無回答 0.0% 0.0% 19.5% 0.0% 見学の受け入れについては その他:見学していないので など 48.8% 34.1% 4.9% 0.0% 9.8% 2.4% 43.9% 48.8% 2.4% 0.0% 4.9% 0.0% 入園前の見学や説明など、園からの情 報提供については その他:ある程度知っていたので見学はしませんでした など 園の目標や方針についての説明には その他:説明は受けたが忘れました など 70.7% 26.8% 0.0% 0.0% 2.4% 0.0% 63.4% 24.4% 2.4% 4.9% 2.4% 2.4% 43.9% 費用やきまりに関する説明については (入園後に食い違いがなかったかを含 その他: めて) 48.8% 4.9% 0.0% 2.4% 0.0% 入園時の面接などで、お子さんの様子 や生育歴などを聞く対応については その他:よく覚えていません 保育園での1日の過ごし方についての 説明には その他:ある程度知っていました など 問3 保育園に関する年間の計画について 満足 年間の保育や行事についての説明に は 年間の保育や行事に、保護者の要望 が活かされているかについては どちらかと いえば満足 48.8% どちらかと いえば不満 不満 その他 無回答 43.9% 4.9% 0.0% 2.4% 0.0% 58.5% 2.4% 4.9% 4.9% 0.0% その他:わかりません 29.3% その他:わかりません 問4 日常の保育内容について 遊びについて 満足 どちらかと いえば不満 不満 その他 無回答 51.2% 2.4% 0.0% 0.0% 0.0% 39.0% 9.8% 2.4% 2.4% 0.0% 53.7% 41.5% 2.4% 園のおもちゃや教材については (お子さんが自由に使えるように置いて その他:教材などについてはわかりません あるか、年齢にふさわしいかなど) 0.0% 2.4% 0.0% クラスの活動や遊びについては (お子さんが満足しているかなど) 46.3% どちらかと いえば満足 その他: 46.3% 子どもが戸外遊びを十分しているかに ついては その他:まだ小さいので戸外遊びをしていない 17 31.7% 自然に触れたり地域に関わるなどの、 園外活動については 48.8% 9.8% 2.4% 7.3% 0.0% その他:まだよくわかりません など 46.3% 51.2% 0.0% 0.0% 2.4% 0.0% 39.0% 53.7% 2.4% 2.4% 2.4% 0.0% 遊びを通じて友だちや保育者との関わ りが十分もてているかについては その他: 遊びを通じたお子さんの健康づくりへの 取り組みについては その他:わかりません 生活について 満足 80.5% どちらかと いえば満足 どちらかと いえば不満 17.1% 不満 その他 無回答 0.0% 0.0% 2.4% 0.0% 0.0% 0.0% 7.3% 0.0% 63.4% 34.1% 0.0% 基本的生活習慣(衣服の着脱、手洗い など)の自立に向けての取り組みにつ その他:まだ小さいので、よくわかりません いては 0.0% 2.4% 0.0% 0.0% 4.9% 0.0% 0.0% 29.3% 0.0% 給食の献立内容については その他:まだわかりません お子さんが給食を楽しんでいるかにつ いては 70.7% 22.0% その他:まだわかりません 61.0% 29.3% 4.9% 昼寝や休憩がお子さんの状況に応じて 対応されているかなどについては その他:幼児クラスは午後の昼寝時間を短かくしても良いのではないか など 43.9% 19.5% 7.3% おむつはずしは、家庭と協力し、お子さ んの成長に合わせて柔軟に進めている その他:まだオムツはずし時期ではない など かについては 56.1% 36.6% 2.4% 4.9% 0.0% 0.0% 24.4% 7.3% 4.9% 2.4% 0.0% お子さんの体調への気配りについては その他: 61.0% 保育中にあったケガに関する保護者へ の説明やその後の対応には その他:まだけがをしたことがないのでわからない 問5 保育園の快適さや安全対策について 満足 29.3% 施設設備については どちらかと いえば満足 どちらかと いえば不満 46.3% 14.6% 不満 その他 4.9% 0.0% その他:せまい(園庭を含めて)とは思うが、どうしようもない事なので特に不満ではない など 36.6% 51.2% 0.0% 4.9% 7.3% 0.0% 41.5% 43.9% 7.3% 2.4% 4.9% 0.0% 53.7% 34.1% 4.9% 4.9% 2.4% 0.0% お子さんが落ち着いて過ごせる雰囲気 になっているかについては その他:せまいので窮屈な感じがある など 外部からの不審者侵入を防ぐ対策につ いては その他:わからないが、どの保育園をみてもこんなものかと思う など 感染症の発生状況や注意事項などの 情報提供については 4.9% 無回答 その他:まだないのでわからない 18 問6 園と保護者との連携・交流について 満足 どちらかと いえば満足 どちらかと いえば不満 不満 その他 無回答 36.6% 53.7% 2.4% 0.0% 7.3% 0.0% 53.7% 43.9% 2.4% 0.0% 0.0% 0.0% 58.5% 36.6% 0.0% 4.9% 0.0% 0.0% 46.3% 36.6% 12.2% 4.9% 0.0% 0.0% 41.5% 43.9% 12.2% 0.0% 2.4% 0.0% 46.3% 43.9% 2.4% 4.9% 2.4% 0.0% 46.3% 31.7% 2.4% 0.0% 開所時間内であれば柔軟に対応してく れるなど、残業などで迎えが遅くなる場 その他:まだ遅くなったことがないのでわかりません など 合の対応については 19.5% 0.0% 保護者懇談会や個別面談などによる話 し合いの機会については その他:まだないのでわからない など 園だよりや掲示などによる、園の様子 や行事に関する情報提供については その他: 園の行事の開催日や時間帯への配慮 については その他: 送り迎えの際、お子さんの様子に関す る情報交換については その他: お子さんに関する重要な情報の連絡体 制については その他: 保護者からの相談事への対応には その他:わかりません 問7 職員の対応について 満足 あなたのお子さんが大切にされている かについては 56.1% どちらかと いえば満足 どちらかと いえば不満 その他 0.0% 0.0% 2.4% 0.0% 65.9% 31.7% 2.4% 0.0% 0.0% 0.0% 51.2% 26.8% 0.0% 0.0% 22.0% 0.0% 51.2% 43.9% 2.4% 0.0% 2.4% 0.0% 4.9% 2.4% 0.0% その他: アレルギーのあるお子さんや障害のあ るお子さんへの配慮については その他:該当しないためわかりません など その他:先生によって差があります など 39.0% 48.8% 4.9% 意見や要望への対応については その他:まだないのでわかりません 問8 保育園の総合的評価 満足 総合満足度は 無回答 41.5% あなたのお子さんが保育園生活を楽し んでいるかについては その他: 話しやすい雰囲気、態度であるかどう かについては 不満 58.5% どちらかと いえば満足 36.6% 19 どちらかと いえば不満 2.4% 不満 2.4% 無回答 0.0% 利用者本人調査 結果の特徴 【0歳児】 お散歩から戻った子どもたちは保育士に「おかえりー、おかえりー」と声をかけられると機嫌よく笑顔で 応えています。一人の保育士が順番におむつを交換し、別の保育士がほかの子どもたちを遊ばせながら見 守っています。「○○ちゃん、お話しできるのね」「靴下じょうずに脱げたのね」「□□ちゃん、お鼻かみ ますよ」「◇◇ちゃん、眠くなってきたのかな?おんぶしましょうね」と、保育士は子どもたち一人ひとり に優しく話しかけながら対応しています。 食事の時間は、発達に応じて2つの机に分かれて座ります。調理室から一人分ずつトレイに乗った食事が 運ばれてくると、早く早くと泣き出す子どももいますが、みんなで「いただきます」「はい、召し上がれ」 をしてから食事を始めています。授乳の子どもには、保育士が抱っこして、ようすを見ながら静かにゆった りと授乳していました。担任保育士たちが、一人ひとりの子どもたちの発育に合わせて、声を掛け合いなが ら連携し、保育を行っているようすがうかがえます。 【1歳児】 食事は3~4名ずつ、3つのテーブルに分かれて座り、それぞれに保育士がついて食事を介助しています。 子どもはマイペースにゆったりと食事をしています。 栄養士がトレイに大根とかぶを乗せて「お野菜もってきましたよ」と保育室に入ってきました。栄養士が 「これはなんでしょう?」と問いかけると、「かぶ!」と子どもたち。「これは今日のミネストローネに 入ってましたよ。葉っぱも入ってました」と栄養士が説明すると、子どもたちは野菜に触ったり、匂いを嗅 いだり、持ち上げたりして興味深そうにしていました。 午後の自由遊びの場面では、車や絵本などのコーナーを保育士が設定し、それぞれ好きな遊びに参加して います。その後は、みんないっしょに机を囲んで席につき、保育士が小麦粉と水で作った粘土で遊びます。 「汽車ぽっぽつくる!」「ウィンナーパンつくる!」とそれぞれが作りたいものを言いながら、楽しそうに 取り組んでいます。保育士は子どもの発想をていねいに受けとめながら遊びを展開させていました。 【2歳児】 訪問初日は、近くの公園に散歩に出かけました。公園では落ち葉を拾ったり、走り回ったり、子どもたち は元気に遊びました。園に戻ると、それぞれ手洗い、うがいをすませてから給食です。 午睡の後には、室内を衝立で仕切り、コーナー遊びを設定していました。一つのコーナーでは絵本やブ ロック、もう一つのコーナーでは塗り絵を楽しんでいます。いずれにおいても、子どもたちは静かに過ごし ていました。 訪問2日目、子どもたちは朝から元気に園庭を走り回っていました。その後、保育室にもどると、ジグ ソーパズル遊びや塗り絵をして過ごしていました。 給食は、元気にモリモリ食べる子どもや、やや食べることに意欲的でない子どもなど、さまざまです。栄 養士が子どもたちの食事のようすを観察に来る場面も見られました。 20 【3~5歳児】 3~5歳児について、2、3歳児は同じ保育室を仕切って過ごしてします。4、5歳児は一つの保育 室で過ごしています。年度の中盤が過ぎるころからは3歳児は、4、5歳児と同じ行動をすることが多 くなってきています。自由時間は、それぞれいっしょに絵を描いたり、ブロックで遊んだりしています。 日ごろ一斉保育は、それぞれの年齢で保育を行っています。 訪問調査1日目は3~5歳児の朝の会の後、3歳児はリズム遊び、4,5歳児は合同でリトミックを 行っていました。4、5歳児はピアノに合わせて象になったりワニになったり、いろいろなポーズを とってそのものに合った動きをします。ワニは床にうつぶせになって手のひらをパーにし足の親指に力 を入れてゆっくりゆっくり前進します。全員で大きな輪を作り寝転んでピアノの音に合わせて自転車こ ぎをしたり、2人一組になりシーソーをするなどして運動神経を養います。さらに身体を時計に見立て、 12時、3時、6時などの時間も表現します。また、上向きで寝転がりゆっくり休んだかと思うと、急 に雷のような音がして瞬時におへそを隠すポーズをとり、機敏性も養っています。こうしたポーズは、 まず5歳児から始め、次に4歳児が行います。5歳児を見習って頑張る4歳児の姿が見られました。 給食は3~5歳児いっしょに食べます。毎日各クラスから一人ずつ給食の当番さんが出て配膳のお手 伝いや食事の前の「いただきます」のあいさつをしています。食事は一人ひとりが取りに行き、お盆に ご飯、おかず、汁物をのせてテーブルにもどります。一つのテーブルにさまざまな年齢の子どもたちが 座り、5歳児が3歳児のコップの位置を直してあげたり、3歳児が5歳児の食事のようすをまねたりす るなど思いやりや自立の心が育まれています。 訪問調査2日目は、3~5歳児は朝の会で数曲歌っていました。とてもきれいな声でした。その後、3 歳児は自分たちの保育室に戻り、小麦粉粘土を使ったクッキーの型抜き遊びです。その遊びに入る前に、 場面転換の息抜きとして、保育士が楽しいインターバルの遊びを導入していました。絶妙のタイミング で、子どもたちも新しい活動の取組に集中にしようとする姿が見られました。クッキーの型抜きに入る 前に、小麦粉の粘土をこねこねするうち「へびができたよ」「怪獣だ―」などこねた形を見て想像して いました。4歳児クラスではお絵かき、5才児クラスではグループに分かれて自分たちでストーリーを考 えグループごとにペープサートを作り上演していました。 21 事業者からの意見 第三者評価受審は前回の受審から5年が経過し、今回が二度目となります。 本年は開園から9年目を迎え、開園当時からの職員構成も、ほとんどが入れ替わっていて、評価機関 も前回とは異なる中での受審でした。 自己評価を含め、職員全員で取り組むにはかなり困難もありましたが、本園の“良いところ”を評価 していただこうという気持ちで受審に臨みました。 今回の受審での最大のメリットは、保育士だけでなく、栄養士、調理師、看護師、事務、どの職種の 人たちも、とても重要な役割をそれぞれが果たし、質の向上に向けて、努力できたこと。職員一人一人 が“やる気”を持ち、全職員が一丸となって“より良い保育園作り”をめざし、“一緒にがんばろう” とする意識を強く感じることができたことです。 日頃、当たり前のように流れていくことが、実は大変な努力を必要としていたり、“これってすごい ことですね”と、自分たちが気づいていないことを高く評価していただき、大変うれしく思いました。 まだまだ、評価結果からはこれからの課題も多々みられます。いただいたアドバイスを基に、課題を 自覚し、利用者の皆様に愛される保育園作りをめざして、さらに努力していきたいと思います。 最後になりましたが、評価機関の皆様に心より感謝申し上げます。 22
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