音読による英語Ⅰの指導 -発音改善、内容理解をめざして-

Lesson 6 – Part 1
Guess what kind of creature this is.
First,
it walks but it does not fly.
Second,
it can live as long as 60 years.
Third,
it is as big as a human baby.
It weighs about three kilograms
and is about 60 centimeters tall.
The answer is not a baby monkey
but a parrot.
The bird is called “kakapo”
and it lives in an island country in the South Pacific.
音読による英語Ⅰの指導
-発音改善、内容理解をめざして-
北海道室蘭清水丘高等学校
1
及川
佳勝
はじめに
以前から音読に対する生徒の消極的な態度につい
て、何とかしたいと思っていた。また、カタカナの
発音(特に語尾が母音で終わる)を改善し、少しで
も英語らしくできないかと考えていた。
音読することで音が聞き取れない英文も理解でき
るようになると考えられる。そのための方策として
様々なアプローチによる音読の実践例を紹介する。
The name of this bird
comes from the language of the Maori,
the native people of New Zealand.
Kaka means “parrot”
and po means “night.”
As the name shows,
they are active at night.
After it gets dark,
①you can see kakapos walking around in the woods,
climbing trees,
and picking up food to eat.
When they go down from the trees,
they use their wings just like a parachute.
Look at their feathers.
Yellow, green, and other different colors
add to their beauty.
Live Interpretation Sheet
これがどんな種類の生き物か当ててごらんなさい
まず
歩くけれども飛べない
次に
60 年も生きることができる
第三に
人間の赤ん坊と同じくらいの大きさである
約 3 キロの重さがある
そして約 60 センチの背の高さである
答えは猿の赤ちゃんではない
オウムである
その鳥はカカポと呼ばれる
そしてそれは南太平洋の島国に生息している
この鳥の名前は
マオリの言語に由来している
ニュージーランドの先住民
kaka は「オウム」を意味する
そして po は「夜」を意味する
その名前が示すように
彼らは夜に活動する
暗くなると
カカポが森の中を歩きわまるのを見ることができる
木に登るのを
そして食べ物をついばむのを
彼らは木から下りるとき
ちょうどパラシュートのように翼を使う
彼らの羽を見なさない
黄色,緑,その他のさまざまな色が
彼らの美しさを増している
Before You Read(内容把握)
(内容把握)
2
3
ねらい
(1) 音読に対して積極的に取り組ませる。
(2) カタカナ発音を解消する。
(3) 音読を通して英文理解を促す。
方法
授業に入る前に「Live Transalation Sheet」を配布
し、生徒はそのレッスンで行う大まかな内容を把握
しておく。
(1) 授業の冒頭で新出単語、重要語、イディオムを
教師の後に続いて読む。(1回)
(2) 次に教師ができるだけ速く本文を読む。生徒は
目で追うだけ。
(3) ペアを作り以下の方法で読ませる。
・Word Ping Pong(1語ずつペアでできるだけ速く
順に読んでいく)
・Chank Ping Pong(Live Interpretation Sheet の1行
ずつをできるだけ速く順に読ん
でいく)
・Read and Look Up(Live Interpretation Sheet の1行
を覚え見ずに音読する)
・Shadowing(1人の生徒が音読した直後にかぶせ
るようにして、もう一人の生徒が何
も見ずに音読する)
ただし、生徒に読ませる際に、次の点に留意する。
① 生徒が読む前に必ず読みがはっきりしない単語
を聞き、教師がはっきり発音し教える。
② 目標時間を設定し、できるだけその時間内に読
み終わるように伝える。
③ 生徒を立たせ終わったら座るように指示する。
(できるだけ速く読ませるため。また教師が読み
終わったかどうか把握するため。)
1.Kakapo is a bird who can fly and swim.
2.“Kakapo” was one of the native words used by the Maori.
3.Kakapos doesn’t move when it is night time.
4.Kakapo has feathers in various colors.
T
T
T
T
or
or
or
or
F
F
F
F
Key Sentences(暗唱例文)
(暗唱例文)
1. 知覚動詞 + O +
C
〔see/hear/feel〕
〔原形不定詞 / ~ing〕
□You can see kakapos walking around in the woods,
climbing trees,and picking up food to eat.
カカポが森の中を歩き回り、木に登り、食べ物をつ
いばんでいるのを見ることができる。
資料(桐原書店 PRO-VISION ENGLISH COURSE Ⅰ)
4
成果
・音読開始当初より明らかに生徒の読む声は大きく
なり、速くなった。
・ペアで読むことで安心感と緊張感が生まれ、集中
して新出単語、重要語、イディオムを聞き取るよ
うになった。
・特に「Word Ping Pong」での読みの際、語尾に母
音をつけてしまうカタカナ読みの生徒は皆無であ
る。
・ペアで読むことで生徒間で気付きが生まれた。教
師が直接教えるより効果的な部分もある。
5
今後の課題
・Ping Pong 以外の読みでもカタカナ発音を改善し
ていきたい。
・できれば一人の生徒が日本語を読んで、もう一人
の生徒がそれを英語にする、または英語を日本語
にするところまで向上を図りたい。
実用英語の取組
北海道室蘭清水丘高等学校
野澤
秀樹
1
ねらい
実践的な場面設定をし、生徒自ら英語で自分のメ
ッセージを伝えられるようにする。
2
方法
Dialogue を使った Role Playing
(1) Dialogue を日本人教師と ALT によるデモンス
トレーション
(2) Dialogue の内容理解(Vocabulary と
Expression の意味確認)
(3) 生徒によるペアワーク
(4) 状況を変えて全員が Dialogue を作成し、発表
(5) ALT 又は日本人教師と生徒のコミュニケーシ
ョン活動
(様々な状況に対応できるよう生徒によって質問
内容をかえる。)
<今年度実施した Dialogue >
・Shopping
・At the Doctor's Office
・Customs and Immigration
・Telephone English など
<今年度使用したワークシートの1部>
Ⅰ Dollars and Cents
Currently 100円 = $0.82
$1.00 = 122円
Ⅱ Reading
1 Read and Repeat
$5.78 $73.15 $8.00
2 Listening(Write the numbers in the blanks)
(
) (
) (
)
Ⅲ Dialogue
Customer: Excuse me,do you have a minute?
Sales Clerk:What can I do for you?
Customer: I'd like to buy (
).
How much does it cost?
Sales Clerk:Let me check.We're currently
having a sale! You can buy (
)
for $ (
).
Customer: That sounds great! I'll take (
).
Sales Clerk:Ok that will be $ (
).
Customer: Here you go.
Sales Clerk:Ok. Out of $(
).
Your change is $ (
).
Please come again!
Customer: Thank you!
Ⅰ Vocabulary
A. Symptoms
Headache
Stomachache
Backache
Diarrhea
Vomiting Constipation Sore
Sore Throat Burn
Runny Nose Cough Dizziness Fever Rash
B.Remedies
Medicine
Pill Ointment Aspirin Lozenge Cough
syrup Antacid Laxative Antibiotics
C.Illnesses
Cold Flu Measles Chicken Pox Sprain
Strep Throat
Infection
Food poisoning
Ⅱ Dialogue
Doctor:What can I do for you today?
Patient:I don't feel so good.
Doctor:Oh.What are your symptoms?
Patient:Well I have (
).
Doctor:Hmmm... It sounds to me like you have
(
).
Patient:Is that serious?
Doctor:No.You should be fine. Do you have any
allergies?
Patient:I don't think so.
Doctor:Ok.Well make sure to get plenty of rest and
drink lots of water.Also,you should take
(
)(
) times a day.
Patient:Thank you.
Doctor:Make sure to call me if your condition gets
worse if you still feel sick in a week.
Patient:Ok. Thank you.
3
まとめ
覚えた表現はできるだけ使う機会を与えることに
よって、ALTとの会話に限らず、生徒同士の会話
においても英語で話す時間が大幅に増えた。授業中
にスキットをつくることにも慣れ、楽しみながら取
り組んでいる。
時事英語の取組
北海道室蘭清水丘高等学校
藤本
隆
1
ねらい
Time for kids の記事を通じよりアップデイトな
題材に触れ英語に興味をもたせ更に時事問題も考察
させる。
2 方法
・週ごとに更新されるインターネットで配信される
Time for kids の記事を吟味し生徒の関心や興味
を引く題材を選ぶ。
・あらかじめ難解な語句やイディオムにアンダーラ
インを引いておき、辞書で生徒に確認させる。
・その後音読を2回させ次に1回コーラスリーディ
ングをする。
・下線部の語句に注意させながら全体の意味を考え
させる。最初から辞書を調べないで頭の中でその
語句の意味を考えさせた後辞書を引かせる。
・調べた語句をノートに書かせ例文を書く。
・例文を応用してそれを使った文を作らせる。
・次に内容について理解させる。
・題材にある事柄や問題点について極力英語で討論
させ防止策や解決策等を見いだす。
Gloom at the Gas Pump
President Bush proposes a plan to stop soaring
gas prices
Trips to school, the mall and soccer parctice
are getting more expensive. Across the
country, the price of gasoline is going up. That
means everyone who uses gas to get around is
spending more money.
President George W.Bush is trying to find
ways to reduce demand for gas and stop rising
prices.
"These oil prices are a wake-up call," Bush
said."We're dependent on oil. We need to get
off oil."
Higher Demand, Rising Prices
Crude oil is a black, sticky liquid pumped from
deep underground. it is a limited natural
resource used to make fuel. The rising cost of
oil is what's driving up the cost of gas.
Gas prices are higher than$3 per gallon in
some area.That's more than a 60% rise from
the price at this time last year.
Demand for gasoline is also up compared to
this time last year. But gas production has
dropped in recent weeks.many oil refineries
h a v e t e m p o r a r i t y c l o s e d t o p e rf o r m
maintenance in time for summer.
The President's Plan
On thurs, Bush visited a gas station in Biloxi,
Mississippi. With approval from congress, Bush
wants to raise fuel-efficiency standardds on
automobiles.
gloom・・憂鬱
派生語 gloomy
例文の一例
She lookd gloomy today.
(彼女は今日さえない顔をしている。)
soar・・主に新聞用語・・価格が劇的に上がる
The price of vegetables is soaring.
be dependent on・・に依存している
depend on , be independet of
be compared to (with ) ・・比較される
be compared to ・・例えられる
gallon・・・何リットルか?
日本と諸外国のガソリン価格を比較させる。低燃
費を得意とする日本車と大食いのアメリカ車の比較
をしたり、ガソリン価格は比較的安い米国であるが
長距離の移動を強いられるので、日本車のシェアは
非常に高いことなどを説明し、さらにメーカーや車
種、現地での呼び名が異なることを紹介する。
a wake up call・・・何を表しているか?
目覚まし時計のベル→警鐘→次の方策を考える時
ways to reduce demand for gas and stop rising
prices について討論をさせる。
(1) 自分の周りや家庭で考えられる方法
(2) 日本における燃料政策について
(3) 高騰を続ける石油価格の日本における影響
(4) 日本におけるガソリン価格の内訳
ガソリン税は政府に納税、軽油取引税は都道府県
に納税の事情を説明し、北海道をもっと豊かにする
には・・という具合に授業を進めることにより、英
語と世界を取り巻く自然環境や諸外国の石油の利権
にからむ様々な時事問題に関心をもつ授業展開を目
指してる。
スラッシュリーディングを生かした活動
北海道浦河高等学校
佐藤
桂治
1 はじめに
本校は1、2年生で習熟度別に学級を編成してお
り(特設クラス1と総合クラス3)、さらに総合ク
ラスの英語の授業を習熟度別に3コース4展開(習
熟度の順に、Cコース1クラス、Bコース2クラス、
Aコース1クラス)で実施している。
次は、特設クラスと総合クラスのCコース(発展)
とBコース(標準)での実践例である。習熟度に応
じて授業の進め方や到達目標を設けているが、ねら
いは同じである。
2
ねらい
チャンク(ここでは「文法や意味に則して文の一
部をスラッシュで区切ったもの」と定義する)を意
識しながらの音読練習を通して、読解力とリスニン
グ力の向上を図る。
3
方法
(1) 準備・導入
① ハンドアウトの表面には、本文と新出・重要
語句、裏面にはQ&Aや練習問題等を載せる。
生徒は予習段階で表面の語句調べと、本文にス
ラッシュを記入する。
② 教師の説明等により語句の意味を確認した
後、生徒はコーラスとペアワークでの発音練習
をする。
(2) 展開・定着
③ 生徒は、予習でスラッシュを記入したハンド
アウトを見ながら、本文のリスニングを行う。
④ 教師は、音読しながらスラッシュの箇所を示
す。
生徒には、予習で記入したスラッシュの箇所
が異なっていても、訂正ではなく、追加記入さ
せる。なお、スラッシュを記入することは読解
の補助であって目的ではないため、実際の読解
の際には、スラッシュの箇所や数に制限はない
ことを、生徒に毎回指導する。
生徒が慣れてきたら、CDの音声によりリス
ニングさせ、途中で1~2秒のポーズをとり、
スラッシュを記入させる。
⑤ 教師はスラッシュの箇所の理由を口頭で説明
する。主に、文中の長い主部、主部と述語動詞、
句、節を生徒に意識させる。
⑥ 生徒はハンドアウトを見ながら、本文のリス
ニングを行う。
⑦ 生徒はペアワークで音読練習をする。まず、
スラッシュ毎に交代で読み、次にセンテンス毎
に交代で読む。どちらの場合も制限時間を設け
る。
⑧ 生徒はハンドアウトを見ながら、本文のリス
ニングを行う。
⑨ 生徒は起立して、教科書(何も記入がされて
いない)を4回読む(四方読み)。四方読みと
は、テキストの音読を終了する毎に、身体の向
きを変えるもので、生徒は廊下→後ろ→窓→黒
板の順に身体を向けることになる。4回目とな
る黒板を向いて状態で読み終わったら着席す
る。音読の苦手な生徒がずっと立ったままにな
らないよう、クラスの状況等を考慮し、制限時
間を設定する。生徒はハンドアウトに記入した
スラッシュを思い出しながら(意識しながら)
読む。
⑩ 生徒は教科書・ハンドアウトを見ずに、本文
のリスニングを行う。
⑪ リード・アンド・ルックアップをする。生徒
はペアワークで、ハンドアウトを見ずに、スラ
ッシュの箇所まで、相手を見ながら音読をする。
次のチャンクをはっきり覚えていない場合はそ
の部分を見た後、また相手を見て音読を続ける。
この活動では、制限時間を設ける。
⑫ 生徒は教科書・ハンドアウトを見ずに、本文
のリスニングを行う。
⑬ 生徒は、罫紙に本文を書き起こす。スラッシ
ュ毎に改行して書くが、思い出せない部分は空
けておく。この活動でも、制限時間を設ける。
⑭ 生徒はリスニングをしながら書き起こした本
文をチェックし、空欄はディクテーションをす
る。
(3) 確認・補強
⑮ 生徒は Q &Aと練習問題に取り組む。
① ハンドアウトの表面に、文構造を付記した本
文、裏面に日本語訳を載せたハンドアウトを使
い、教師は重要構文等を説明する。
4
学習意欲を促進するための工夫
~意欲的かつ主体的に取り組ませる
ポイントカードの活用~
北海道浦河高等学校
1
川村
啓子
はじめに
本校は、1・2年次のクラスを特設クラスと総合
クラスとしている。英語では、生徒の実態に合わせ、
総合3クラスを4展開にした習熟度別授業を行って
いる。
ここでは、特に英語に対する苦手意識が強い生徒
が、意欲的かつ主体的に授業に参加することを目指
した実践例を紹介する。
まとめ
この活動により、次の成果があった。
(1) ポイント・カードを自己管理させることで、視
覚的に達成感を得ることができた。
(2) 成果が視覚的であることから、周囲との比較が
容易になる。そのことで競争意識が芽生え、結果
として授業に意欲的な態度で臨むようになった。
(3) 発話や発言の機会が増えること、さらに競争意
識の芽生によって発話・発言に対する抵抗感が減
った。
このポイント・カードの実施により、特に自ら発
言することに対して消極的であった生徒に、大きな
変化が見受けられた。この理由としては、
(1)ポイント制の導入で周囲の授業に参加する態度
が積極的なものへと変化したこと。
(2)ポイントが観点別評価に反映されることで、い
い意味での競争意識がさらに芽生えたこと。
(3)発話することに慣れて抵抗感が減ったことなど
が挙げられる。
2 ねらい
(1) 達成感を得ることで、英語に対する苦手意識と
発話することへの抵抗感を減らす。
(2) 英語でコミュニケーションを図る意欲を養う。
(3) 繰り返し学習の成果を生徒自身に認識させる。
3
方法
生徒の集中力を持続させるため、授業(50 分)
を約 10 ~ 15 分程の活動を中心とした4つの構成
とする。
・Step 1 単語、重要語句の確認、理解
・Step 2 英文内容の理解
・Step 3 英語表現の確認
・Step 4 英語表現の理解
また、Step4 を到達目標とし、Step1 から Step 3
までを目標到達までの段階的な学習内容とする。そ
れぞれの step で生徒の理解度を確認するために、
クイズやタスクを行う。クイズやタスクは、発言や
発表の形で行い、その回答が正解あるいは適切なも
のであれば、生徒はポイントを取得することができ
る。原則として、発言や発表は一度につき1ポイン
トを取得することができるが、クイズやタスクの難
易度によってはポイント数を変更する。取得したポ
イントは、生徒自身でポイント・カード(記録帳)
に記すこととし、教科担任が管理する。授業開始時
に生徒に配布、授業終了時に回収する。また、生徒
が鉛筆などで記したポイントを確認し、教科担任の
サインや印等でポイント・カードのポイント数を確
定する。そして、一定期間内の合計ポイント数を観
点別評価の「関心・意欲」に反映させる。
5
その他
基本的にポイント・カードは発言や発話の回数を
ポイントとして記すことができれば十分であるが、
インターネット上にも無償で提供してくれるサイト
があるのでぜひ利用したい。また、ポイントがキリ
のよい数字(10, 20,・・・50,100)に達したときに(少
々幼稚かと思われたが)教員のサインや印の代わり
にシールやスタンプを用いてみたところ、生徒は予
想以上に喜んだ。
なお、関連サイトは次のとおりである。
<関連サイト>
○子供向けの英語学習サイト
“Genki English”
http://genkienglish.net/
○状況別の会話集
“Everyday English in Conversation”
リスニング可
http://www.focusenglish.com/
○ニュース
“ニュース・ニッポン”
http://www.newsonjapan.com/
“BBC”リスニング可
http://www.bbc.co.uk/worldservice/learningenglish/