GRRM/SCC-DFTBプログラムを用いた異性化経路探索と結晶構造予測

GRRM/SCC-DFTB プログラムを用いた異性化経路探索と結晶構造予測
(和歌山大院・システム工)時子山
宏明
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筆者らは 2004 年に大野・前田により開発された超球面探索法(SHS 法)1 と分子軌道法
を結晶構造の予測に適用してきた。2 超球面探索に非常に多くの勾配計算を行うため、
ab initio 計算と組み合わせた場合は莫大な計算時間がかかってしまう。そこで、ab initio
法の代わりに半経験的方法である Self-Consistent-Charge Density-Functional Tight-Binding
(SCC-DFTB)法 3 を用いた GRRM/SCC-DFTB プログラムを開発し、計算時間が 310 倍
高速化され、C6H64 を含め様々な異性体探索及び結晶構造予測に適用した。
今回、得られた C6H6 について全 EQ に対して B3LYP/6-311G(d,p)レベルで構造最適化し2004 個
の異性体が得られた。
(下左図参照)それらを繋ぐ異性化経路が得られ、アセチレンからベ
ンゼンへの異性化経路を含む異性化経路も見つかった。5 また、本プログラムは結晶構
造予測についても適用出来、C4/unit では多くの結晶多形が見つかった。(下右図参照)
謝辞:本計算で、自然科学研究機構 岡崎共通研究施設 計算科学研究センターの電子計算機を利用しており、感謝する。
図 SCC-DFTB 計算レベルでの ReStruct 前と ReStruct 後の C6H6 の異性体のエネルギー
分散(左)と C4/unit の結晶構造予測(SCC-DFTB 法と DFT 法 2)(右)
参考文献:
1)
K. Ohno and S. Maeda, Chem. Phys. Lett., 2004, 384, 277; S. Maeda and K. Ohno, J. Phys.
Chem. A, 2005, 109, 5742; K. Ohno and S. Maeda, J. Phys. Chem. A, 2006, 110, 89334.
2)
H. Yamakado, H. Tokoyama, S. Maeda, and K. Ohno, APCTCC-4 abstracts, PP54.
3)
M. Elstner, D. Porezag, G. Jungnickel, J. Elsner, M. Haugk, Th. Frauenheim, S. Suhai and
G. Seifert, Phys. Rev. B, 1998, 58, 7260.
4)
H. Tokoyama, H. Yamakado, S. Maeda and K. Ohno, Chemistry Letters, 2014, 43, 702-704.
5)
H. Tokoyama, H. Yamakado, S. Maeda and K. Ohno, Bull. Chem. Soc. Jpn. 2015, 88(9), 1284-1290.