２学期始業式（全日制）歴史に残る有名な演説がいくつかあります。例えば、今からちょうど１５０年前の１８６３年に「人民の、人民による、人民のための政治」という一節で有名な、リンカーンがゲティスバーグで行った演説や、１９６１年に「アメリカ国民の皆さん、あなたの国があなたのために何ができるかを問わないでほしい。あなたがあなたの国のために何ができるかを問うてほしい。」と言ったケネディの大統領就任演説などです。また、今から５０年と２日前の１９６３年８月２８日、ワシントンで黒人の人権指導者マーティン・ルーサー・キング牧師が約２０万という人を前にして行った、「ＩＨａｖｅａＤｒｅａｍ」（「私には夢がある」）と題された演説もいつまでも語り継がれる名演説と言われています。その一部を紹介します。「私は同胞達に伝えたい。今日の、そして明日の困難に直面してはいても、私にはなお夢がある。「すべての人間は平等である」というこの国の信条を真実にする日が来るという夢なのだ。私には夢がある。ジョージアの赤土の丘の上で、かつての奴隷の子孫と、かつての奴隷を所有した者の子孫が、同胞として同じテーブルにつく日が来るという夢が。」そして次が最も有名な部分です。「私には夢がある。私の四人の小さい子ども達が、肌の色ではなく内なる人格で評価される国に住める日がいつか来るという夢が。」以下省略キング牧師はその後暗殺されてしまいましたが、この演説から４５年後の２００８年には、黒人のオバマ大統領が誕生するなどキング牧師の夢は尐しずつですが、結実しつつあるのではないでしょうか。さて、キング牧師のように壮大で、世界を変えるような夢を持つ人はそう多くはないと思いますが、人は誰でも、尐なくとも幼い頃は夢があったはずです。その夢を大人になっても持ち続け、夢の実現に向けて努力している人が私は好きです。例えば野球のイチロー、水泳の北島、フィギアスケートの浅田真央。名前を挙げればきりがありませんが、中でもイチロー選手は、小学校６年生の時、次のような作文を書いています。「僕の夢は一流のプロ野球選手になることです。そのためには中学、高校と全国大会に出て活躍しなければなりません。活躍できるようになるためには練習が必要です。僕は３歳の時から練習を始めています。そして３年生からは１年３６５日のうち３６０日は厳しい練習をやっています。だから１週間で友達と遊べる時間は５、６時間です。そんなに練習をやっているんだから、必ずプロ野球の選手になれると思います。」以下省略そしてその通りプロ野球選手になって大活躍をし、もう彼は一生遊んで暮らせるだけの収入を十二分に得ているのに、それでも厳しいトレーニングを積んで、試合に出続けています。そしてつい先日、日米通算４０００本安打という、これまで野球の世界で２人しか成し遂げていないという偉業を達成しました。その時彼はインタビューでこう言いました。「今、誇れることがあるとすれば、４０００本のヒットを打つまでに８０００回の失敗と向き合ってきたことです。」と。イチローであっても３回に１回の割合でしかヒットを打てないのですから、４０００本のヒットを打つ裏で、８０００回の失敗があって、それを乗り越えてきた強い意思がイチローの素晴らしいところではないかと思います。そして、今日言いたいことは、夢に向かって頑張っている人は、そういう有名な人だけでなく、この中にもたくさんいるということです。部活動で県や東海・全国を目指している人、看護師や保育園の先生、理学療法士を目指している人、難関と言われる大学を目指している人、などなどです。そういう人にエールを送ります。夢を実現させることは簡単ではありません。順調なときもあるでしょうが、うまくいかず心が折れそうになるときが何度もあることでしょう。しかし、スラムダンクの安西先生も言っています。「諦めたらその時試合終了だよ。」と。壁が厚ければ厚いほど、ハードルが高ければ高いほど、挑戦する価値があります。諦めていたら、壁はいつまでも壁のまま立ちはだかっています。思い切ってジャンプしなければハードルは越せないのです。２学期が始まる今日は、今一度自分の夢なり目指すものを確認してみる良い機会です。そしてそれを声に出してみるとか、紙に書いてみると良いと思います。声に出すとか、紙に書くというように、心の中で思うだけでなく、具体的な行動を起こしてみると、一層決心が固まると言われています。特に３年生は来年の４月に、どこで何をしているのかが決まる重要な時期になりました。是非自分の覚悟を行動で示してください。一人ひとりの今学期の健闘を期待して始業式の言葉とします。