スウェーデン情報 | イノベーション、科学/研究 www.sweden.se 写真:メッテ・フィエルボリ/スウェーデン宇宙公社 スウェーデン宇宙公社は1974年以降、何百もの観測用気球を大気圏に打ち上げている。欧州宇宙機関との協力により、この気球プロジェクトに はヨーロッパ各地の学生も招かれ参加している。 イノベーション、科学/研究: 明日の世界を作る 世界で最も重要な発明にはスウェーデンで生まれたものが多く、 しかも急速な技術革新のスピード はまったく衰えを見せていない。2009年から2012年までの間に、 スウェーデン政府は研究とすぐれ たアイデアに過去最大の投資を行うことにしている。 ペースメーカー、 ボールベアリング、 あたる50億スウェーデンクローナ※を割 安全マッチ、モンキーレンチ、 ジッパー、 り当てた。 テトラパック容器などはすべてスウェー デンで発明されたもので、長い科学研究 リスボン条約では、欧州連合加盟国 開発の歴史のたまものである。 は国内総生産の3%(民間部門から2%、 パック テトラ 写真: スウェーデンは、 ヨーロッパを 「2010 年までに世界で最も競争力のあるダイ ナミックな知識集約型経済にする」 と いうリスボン条約の目標達成に向け、 先頭に立って取り組んでいる。 スウェ ーデンの競争力を高めるため、政府は 2009年から2012年までの期間、研究・ 技術革新の費用として、前予算の2倍に 公共部門から1%) を研究開発に振り分 けることを目標としている。 スウェーデン 政府が50億スウェーデンクローナを投 資するということは、スウェーデンは すでにこのレベルに達したということ にほかならない。 研究予算の枠内で、 スウェーデン政府 はまず、次の3つの主要な分野に戦略的 投資を行うことにしている。 • 医学とバイオ科学 • 技術 • 気候変動 ■ 1 | スウェーデン情報 | イノベーション、科学/研究 www.sweden.se 写真:アメリカ航空宇宙局 スウェーデンのイノベーション スカイプとスポッティファイ 世界中のコンピュータユーザー はもう、 スカイプとスポッティファ イの楽しさを知っている。 この2つ のソフト・アプリケーションを使う と、ネットで無料電話をかけたり、 オンラインで音楽を楽しんだりす ることができ、 その費用は広告料 でまかなわれる。 www.skype.com www.spotify.com スウェーデン・ブレーンパワー スウェーデン・ブレーンパワーは、 アルツハイマー病などの神経疾 患を主に扱う学際的な研究プロ ジェクトである。情報技術や基礎・ 応用看護研究を活用することで、 早期に診断を下し、治療の効果を 高めることができる。 www.swedishbrainpower.se 宇宙への編隊飛行 プリズマはスウェーデンが指揮 をとっている衛星プロジェクト で、宇宙科学ミッションのため の新技術の開発に取り組んでい る。 プリズマは2010年6月に打ち 上げられ、スウェーデン国立宇 宙委員会、ルーアグ・スペース株 式会社(RUAG Space AB) 、 オム ニシス(Omnisys)、エーカップス (ECAPS)がこのプロジェクトに 参加している。 www.snsb.se www.prismasatellites.se 酸素からダイナマイトまで スウェーデン王立科学アカデミー は1739年に創設された。著名な 会員には、カール・リネウス(自 然界を図表で示すのに用いる 科学分類法を策定した)、カール・ ヴィルヘルム・シェーレ(酸素を 発見)、アンデシュ・セルシウス(摂 氏 温 度 計 を 発 明 )な ど が い る。1870年代からは、AGAストー ブ(ニルス・グスタフ・ダレーン)、 クリーム分離器(グスタフ・ド・ラ ヴァル)、ダイナマイト (アルフレッ ド・ノーベル)など、工業技術者ら が革新的技術に貢献するように なった。 www.kva.se 2 | スウェーデン初の宇宙飛行士:2006年12月、クリステル・フーグレサング宇宙飛行士は国民 的英雄となった。2009年9月には2度目の宇宙飛行ミッションを成功させている。 成長産業 スウェーデンは特にバイオテクノロ ジーを得 意としている。医 薬 品はス ウェーデンの主要な輸出品のひとつで、 画期的な医薬品としては、喘息薬のブリ カニルやプルミコート、成長ホルモン製 剤のジェノトロピン、そして世界のベスト セラー医薬品のひとつ、胃潰瘍薬の ロセックなどがある。 研究を行っているのはアストラゼネカ やファルマシア (現ファイザー)などの大 手だけではない。多くの小規模なバイオ テクノロジー企業も独自の研究を実施し ている。 医療は関心の高い分野のひと つで、撮像装置、整形外科用インプラン ト、透析装置、人工心肺、ECG装置と い った 医療機 器や医 薬品の 臨床検査 など の 市 場 写真:サンクト・ユード・メディカル が急成長を遂げ 社/イメージバンクスウェーデン ている。 ペースメーカーはスウェーデンが マイクロエレク 発明した救命機器である。 トロニクスも成長 市場である。スウェーデンはシリコンデ バイス、高速エレクトロニクス、有機エレ クトロニクス、 フォトニクス、 システムデザ インなどについて最先端の研究を行っ ている。 ■ 最も革新的な欧州連合加盟国 欧州イノベーションスコアボード (EIS) は、欧州連合加盟国、ならびに日本、 米国など他の国々のイノベーション の業績を分析評価するものである。 こ の分析は、構造条件、研究資金、革新 的企業の数、新製品や新サービスの 創造などの要素をもとに行われる。 スウェーデンは2009年にこのスコア ボードで1位に輝いたが、それはエリ クソン、ABB、アストラゼネカ、サーブ、 スカニア、ボルボなど、高度な技術を 持った多国籍企業が行った研究に 負うところが大きい。 ■ スウェーデン情報 | イノベーション、科学/研究 www.sweden.se 写真:ハーンス・ブュルリング/イメージバンクスウェーデン スウェーデンのイノベーション 二酸化炭素と気候 温室効果は1896年、 ノーベル賞を 受賞したスウェーデンの物理化学 者、スヴァンテ・アレニウスによって 初めて明らかにされた。 アレニウス は二酸化炭素と地球の温度には関 係があると発表した。 超小型IP 車のキーやクレジットカードほどの 小さな装置が通信を可能にする。 これはulPと呼ばれるインターフェー ス、すなわち超小型IPのおかげで ある。 このインターフェースを可能に したソフトを作ったのは、MITのテク ノロジー・レビュー誌に、世界の最も 優秀な若手発明家35名の一人に 選ばれている、科学者のアダム・ダン ケルスである。 www.sics.se 臓器を生み出すナノテクノロジー 欧州ユーロナノメッド・ネットワーク は、 ヨーロッパの8件のナノ医療プロ ジェクトの資金として1,700万ユーロ を割り当てた。そのひとつ、 リンショー ピン大学のプロジェクトでは、 ナノテ クノロジーを使って損傷した眼を修 復し、新しい角膜のために幹細胞を 作る方法を研究している。 www.liu.se 3点式シートベルト ニルス・ボーリンの3点式シートベル トは、1959年の発売以来、推計で6分 ごとに1人の命を救っており、 これま でに開発された自動車安全装置の 中で最も重要な部類に属する画期 的な製品とされている。 HVDC技術 高圧直流送電システムは、高架線や 海中ケーブルを用いて遠距離に電 力を送るのに利用されている。 この 技術は1930年代に、ASEA(現ABB) のためにウノ・ラムによって開発さ れた。 メトロ:スウェーデンのアイデア スウェーデンの無料朝刊紙メトロは 1995年に創刊された。現在では世 界最大の国際紙として19カ国で発 行され、毎日3,700万人以上の人々 に読まれている。 スウェーデン・イノベーション・システム庁のプログラム「ヴィンメル(VINNMER)」は女子 大学院生が博士号取得後、研究者としての資格を得るのに役立っている。 長期ネットワーク スウェーデンには、官・民の機関が学 術機関と協力する大規模なネットワー クがあり、持続可能な成長に長期的に 貢献する、新しい製品、サービス、 プロ セスを開発することを目指している。 いくつかの例: スウェーデン・イノベーション・シス テム庁(Vinnova) は、研究開発、特に 情報通信技術(ICT)、バイオテクノ ロジー、労働生活、材料、運輸、製品 生産についての研究開発に重点を 置いている。 スウェーデン経済・地域開発庁 (Tillväxtverket)は、企業の成長 をさらに拡大し、持続可能で競争力 のあるビジネスや産業を育成すること を目的とした政府機関である。 イノベーションズブロンは研究者、 垣根を越えて スウェーデンの研究者たちは学際 的なプロジェクトに携わることが増え ている。 エネルギーシステム・プログラ ムでは、スウェーデン・エネルギー庁 とリンショーピン大学、 ウプサラ大学、 シャルマシュ工科大学、王立工科大学 (KTH)の研究者たちが、持続可能か つ資源効率の高いエネルギーシステム 発明家、起業家のアイデアをビジネス チャンスに変えられるよう支援してい る。ベンチャーキャピタルが関わって くる前の早期の開発段階で支援を 提供する。 知識財団(KK-stiftelsen)は、イノ ベーションと創造性を発揮できる 環境を作り、産学の連携強化によっ て、競争力を刺激することを目指し ている。 スウェーデン戦略研究財団(SSF) は、自然科学、工学、医学の研究を 支援する独立機関である。 ■ の長期的な開発を研究している。 ストックホルム大学の学際センター の経済学者や行動科学者は、二酸化 炭素排出量を減らす最善の方法など、 気候変動に関する知識を実行に移す にはどうすればよいか検討を重ねて いる。 ■ 3 | スウェーデン情報 | イノベーション、科学/研究 www.sweden.se 写真:カイ・ニートフェルド/スカンピクス スウェーデンのイノベーション パラシュートが心臓病研究のきっかけに 映画製作会社のブルースカイは、15世紀の レオナルド・ダ・ビンチが設計したパラシ ュートを作 成し、飛 ば すの に成 功した。こ のプロジェクトはBBC、ディスカバリー・チャ ンネル、ナショナル・ジオグラフィックの取 材を受けたが、それがきっかけとなって、 サルフォード大学の新プロジェクトでは、 科学者たちがパラシュートの青写真をもと に、重い心臓病患者のために新たな心臓弁 を開発することができた。 www.bluesky.se 航空機や船舶での旅行の世界基準 全地球測位通信(Global Positioning & Communication)は、衛星のナビゲーション と無線通信を使って、航空機や船舶の相互 間のGPSによる位置、速度、方向を発信する システムである。 これを発明したのは、カラー・ コンピュータグラフィックスの図形処理装置 やコンピュータのマウスの前身を発明した ホーカン・ランスである。 www.gpc.se 月の家 スウェー デン の ロ ボットダレン(ロ ボッ ト・バレー)は、ロボット・オートメーション の先端技術で様々なソリューションを生み だす産学官 の 共 同 研 究 機 関である。その ひとつ がロボット・ルーニーで、 これはス ウェーデンの国家的シンボルのひとつ、伝 統的なスウェーデンの白い縁取りのある赤 い小屋を月面に建てるという技術だ。この アイデアはアーティストのミカエル・イェ ンベリのアート・プロジェクトから生まれ たものである。 www.robotdalen.se www.themoonhouse.com スマート繊維 ボーロスにあるスウェーデン・テキスタイル 大学と様々な企業の協力によって、繊維工 業において革新的な開発がされつつある。 その成果のひとつが「スマート繊維」で、組み 込まれた電子機器を使って、例えば患者の健 康状態のモニタリングや温室内の環境の管 理ができる。 www.smarttextiles.se 世界で最も権威のある賞:ノーベル賞 ノーベ ル 賞 は、ダイナマイトの 発 明 者であるアルフレッド・ノーベ ル の 遺 産 によっ て「人類に最も大きな貢献をした人」に贈られる賞である。1901年から毎年(第二次 世界大戦中などいくつか例外はあるが)物理学、化学、生理学または医学、文学、平和 に功績のあった人に授与されている。 www.nobelprize.org 有益なリンク www.almi.se — アルミ・ビジネスパートナー公社 www.finnupp.se — フィン・アップ(イノベーションを促進する若者向け教育方式) www.formas.se — 環境・農学・空間政策研究評議会 www.forskning.se — スウェーデン研究情報サイト www.growthanalysis.se — スウェーデン成長政策庁 www.hogskoleverket.se — スウェーデン高等教育庁 www.iva.se — スウェーデン王立理工学アカデミー www.kks.se — 知識財団 www.kth.se — 王立工科大学(KTH) www.ssc.se — スウェーデン宇宙公社 www.stockholminnovation.com — ストックホルム・イノベーション&グロース www.stratresearch.se — スウェーデン戦略研究財団(SSF) www.svensktnaringsliv.se — スウェーデン企業連盟 www.tillvaxtverket.se —スウェーデン経済・地域開発庁 www.uppfinnare.se — スウェーデン発明家協会 www.vinnova.se – スウェーデン・イノベーション・システム庁 www.vetenskapsradet.se — スウェーデン・リサーチ・カウンシル ※1SEK=12円 2010年9月現在 スウェーデン文化交流協会発行 2008年10月 JFS 4 2010年2月 更新 その他のファクトシートは www.sweden.seを参照のこと。 著作権:スウェーデン文化交流協会によってwww.sweden.se上に掲載されたものである。 全てのコンテンツはスウェーデンの著作権法で保護されている。 テキストはwww.sweden.seからの出典であることを明示し、非営利目的であれば、転記、転送、転載、放送など メディアでの使用をしてもよいが、写真とイラストの転記・転載は禁じる。 一般的な著作権と承認についてはこちらを参照のこと。 スウェーデン文化交流協会(SI)は、スウェーデンに ついての知識を海外に広めるために設立された公共 機関である。SIは、有意義な情報交換や文化、教育、 学術的な交流を通じて外国との協力と長期的な関係 を築くことを目指している。 スウェーデンに関するさらに詳しい情報: www.sweden.se あるいは自国のスウェーデン大使館または領事館、 またスウェーデン文化交流協会まで。スウェーデン 文化交流協会(Swedish Institute), Box 7434, SE-103 91 Stockholm, Sweden 電話: +46 8 453 78 00 メール: [email protected] www.si.se, www.swedenbookshop.com
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