Q A 最 近、リンゴ病(伝染 性 紅斑)が流行しているそうですが? リンゴ病とも呼ばれる伝染性紅斑の患者が全国で増えており、4 年ぶりに流行の兆しをみせています。 伝染性紅斑は例年夏季に報告数が増加し、第26週前後にピークとなることが多い感染症で、ほぼ 4 ∼ 6 年 ごとの周期で患者発生数の増加がみられています。 2008∼2009年の報告数は減少していましたが、2010年の報告数は前年よりも増加し、特に秋季以降 は例年よりも高い水準となり、現在まで継続しています。国立感染症研究所では「伝染性紅斑の報告数は 今後も例年よりも増加した状態が継続し、2011年の夏季の流行のピークを迎えることになると推測され る」としています。 最近のQ&Aより 伝 染 性 紅 斑 伝染性紅斑(erythema infectiosum)はエンベロープを持たないDNAウイルスであるヒトパルボウイルスB19(Human parvovirus B19)による感染症です。4 ∼ 5 歳の幼児を中心に幼児、学童に好発する感染症で、両頬がリンゴのように赤くなる ことから「リンゴ(ほっぺ)病」と呼ばれることもあります。 疾患・症状 潜伏期は発熱まで 6 ∼11日間、発疹出現までは16∼20日間とされ、小児では通常熱もないか、あっても軽度のウイルス性疾 患で、リンゴ病という名のとおり、特徴的な紅斑が頬に対称的にあらわれます。胸・腹・背中部位、手や足にまでレース様の発疹 があらわれることもあります。成人では、紅斑はありませんが、関節痛や関節炎が数日∼数カ月にわたり続くことがあります。 発疹は一週間程度で消失し特別な治療は必要としませんが、かゆみが強いときは抗ヒスタミン薬を処方したり、関節痛に対して 鎮痛剤が使われることがあります。 感染経路 呼吸器分泌物による直接または間接的感染、また母子間感染もあります。まれにウイルス血症の時期に採取された血液製剤か らの感染もあります。紅斑出現の時期には殆ど感染力がありませんが、発疹が出現する 7 ∼10日くらい前に微熱や風邪様症状が 見られる時期にウイルス排泄量が多く、他への感染源となります。 消毒剤感受性 消毒剤の感受性報告はみあたりませんが、グルタラールなどの高水準消毒剤や次亜塩素酸ナトリウムは有効であると推定され ます。また、熱では100℃ 1 分で不活化すると報告されています。 感染防止 ワクチン(予防接種)はなく、手洗いとうがいの徹底が基本となります。発疹が出る頃にはウイルス排出は終わっているため、 感染の可能性は極めて低く、患児の出席停止は必要ありません。 未罹患の妊娠中の母親が感染すると胎児水腫や流産のおそれがあるため妊婦さんなどは、伝染性紅斑が流行している時期は、 「かぜ」の症状がある人に近づかないようにします。 院内感染対策では、紅斑出現時にはすでにウイルスの排出は終わっているため、患者の隔離の必要はありません。 病棟内で流行があるときは溶血性貧血患者や免疫不全患者は二次感染の危険を考え、予防隔離を考慮します。 2011 APR No.2 17
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