前立腺 -No.2- 2015.06.08. 検査科 たより ◆おしっこのはなし からだの外に排泄 (はいせつ) される尿の量は、 成人で 1 日あたり約 1.5 リットルです。 通常、 成人では 1 回 300 ~ 400 ミリリットルの尿を膀胱 (ぼうこう) にためることが できますが、 150 ミリリットルほどで尿意 (にょうい) を感じはじめます。 昼間 (起きてから夜ふとんに入るまで) の排尿回数は 4 ~ 6 回がふつうです。 また、 夜間 (ふとんに入ってから朝おきるまで、 起床時は回数に含まず)の 排尿回数は 0 ~ 1 回、 多くても 2 回程度です。 1 回の排尿量が 300 ミリリットル程度 までならば、 排尿にかかる時間は 40 秒以下が正常と言われています。 ◆前立腺と前立腺肥大 前立腺は男性特有の臓器です。 膀胱のすぐ下にあり、 その出口を取り巻くように位置します。 前立腺の真ん中を、 膀胱から出た尿道が通っています。 正常な前立腺はゴルフボールの大きさで、 重さは成人男性で 15 ~ 20 グラム程度です。 前立腺では精液の一部である前立腺液がつくられていますが、 その働きについてはまだ完全にわかっていません。 前立腺は生殖器にかかわる臓器のひとつで、 本来歳をとると、 性機能の低下とともに萎縮して小さくなります。 40 歳代で肥大する方もいますが、 通常 50 歳を過ぎるあたりから、 歳とともに肥大し、 70 歳以上のほとんど は肥大症になっているといわれています。 ◆排尿障害の症状について おしっこの出具合がおかしくなることを排尿障害といいます。 前立腺肥大がすすむと症状としてあらわれます。 症状はいずれも排尿障害の自覚症状です。 ・ 夜中に何度もトイレに起きる ・ 股の間に不快感や圧迫感がある ・ おなかに力を入れないと排尿できない ・ おしっこの勢いが弱い ・ おしっこが出るまでに時間がかかる ・ おしっこに間に合わないことがある ・ 排尿後まだ残っている感じがする ・ おしっこの切れが悪い ◆排尿障害が進行すると ・ 刺激期 (第 1 期) 多くの人の場合、 夜間のおしっこが近くなることから始まります。 昼間でも不快感、 圧迫感がみられ、 頻繁に尿意をもよおすようになります (頻尿)。 ・ 残尿発生期 (第 2 期) 膀胱が刺激を受けるだけでなく、 尿道を圧迫しはじめます。 おしっこの勢いがなくなり、 時間がかかるようになります (排尿困難)。 また、 排尿してもおしっこが残っている感じがしたり、 実際に残るようになります (残尿)。 ・ 慢性尿閉期 (第 3 期) ついにはおしっこが出せなくなります (尿閉)。 尿閉は飲酒などをきっかけにして、 突然発生します。 膀胱に尿がたまっても排尿できないため、 下腹部が激しく痛んだりします。 自然に治ることはありません。 放っておくと、 しだいに自覚症状も深刻になってきます。 しかし、 多くの場合は薬だけで治療できることがほとんどです。 ウラへ続きます! ◆排尿障害の自己チェック 排尿障害の程度を自分でチェックしましょう。 1 ~ 7 点 経過観察 8 ~ 19 点 薬物療法 20 ~ 35 点 外科的 (手術) 療法 ◆排尿障害(前立腺肥大)の検査と診断 ・ 腹部エコー 、、、、、 前立腺の形、 大きさ、 残尿量などわかります。 ・ 血液検査 、、、、、 排尿障害の自覚症状を示す病気に 「前立腺がん」 があります。 早い段階で、 がんの有無を確かめることはたいへん重要です。 血液中の PSA (前立腺特異抗原) という物質の変化を定期的にみることにより、 がんの有無がわかります。 ◆排尿障害を悪化させないために 排尿障害の症状を悪化させないために、 いくつかのポイントをご紹介しましょう。 ・ ア ルコ ール を 少 し 控 え ま し ょ う 。 ・ 刺激の強い食品を避けましょう。 ・ 下半身を冷やさないようにしましょう。 ・ 尿 を がま ん し 過 ぎ な い よ う に し ま し ょ う。 ・ コ レス テロ ー ル の 多 い 脂 肪 ・ タ ン パ ク 質 をとり過ぎないようにしましょう。 ・ 軽 い 運 動 や 散 歩 な ど 、 適 度 な 運 動 を し ま しょう。 ・ 太 り すぎ な い よ う に し ま し ょ う 。 ・ 便 秘 に なら な い よ う に 注 意 し ま し ょ う 。 ・ 適度な水分補給をしましょう。 ・ 夜 間 頻 尿 が あ る 場 合 は 、 夕 方 か ら の 水 分をやや控えめにしましょう。 ・ 適 温 で ゆっ く り 入 浴 し 、 全 身 の 血 行 を よくしましょう。 ・ 長時間座ったままの姿勢を避けましょう。 ・ 肥大症の指摘をされた方は、 カゼ薬や胃薬、 精神安定剤などを服用するときは医師 ・ 薬剤師に相談しましょう。 詳しくは、 泌尿器科の診察室にておはなしします。 監修:泌尿器科 大森 圭 菊名記念病 院 臨床検査科 瀧澤 千里 〒222-0011 横浜市港北区菊名 4-4-27 URL : http://www.kmh.or.jp/
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