5:東京大学教育学部附属中等教育学校天文部

すばるの火星画像を、画像解析ソフト「マカリ」を使い画像解析をする
東京大学教育学部附属中等教育学校 4 年 雲岡 祥平 佐藤 貴裕
1.目的
すばる望遠鏡の画像を、画像解析ソフト「マカリ」を使い、氷雲の存在する場所を特定す
る。また、火星表面にあると考えられている含水鉱物の存在を画像解析で確かめる。
2.画像解析の方法
すばるで撮影された fits 形式の画像を使い、画像解析を行う。fits 形式のファイルは天文
データの交換及び蓄積のための標準フォーマットで、jpeg などの形式と違い、画像データ
の他にも情報が含まれていて、天体の写真などの場合、撮影した時の条件などもデータに
含めることが出来る。また、ピクセルごとの明るさがわかり、計算によって同じデータの
微妙な違いを知ることが出来る。
画像解析には、同じ天体を二つの違う波長域で撮影した画像を使う。片方は調べたい要
素が含まれているもの、もう片方はそれを含んでいない物を使う。
波長域によってそれぞれの特徴があり、その特徴を利用して、水分の反射率が強い波長
帯を使って撮られたものと、反射率の低い波長帯で撮られた画像を選択した。その二つの
画像を使い、ピクセルごとの明るさの減算と除算を行った。
減算では、その意味の通り、元のデータから対象のデータを引くことによって明るさ(カ
ウント値)の差が出る。それに対して、除算は元のデータを1とした対象データの値の比を
出すことが出来る。除算はうまくいくと、とてもはっきりしたデータを出すことが出来る
が、なかなか難しい。
3.実際の画像解析の手順と結果
①減算
元になるデータと対象とするデータを、観測した波長の特徴をふまえて選択した。今回
は氷雲が目的なので、氷の太陽光の反射率が高い波長を捉えたn1715 というフィルタを使
った画像(図1)から、hcont という氷の太陽光反射をあまり捉えないフィルタを使った画像
を引いた。
n1715
hcont
まず、二つの画像の氷の反射率以外の部分のカウント値(ピクセルごとの明るさ)が近い値
になるように、平均値を同じにするよう乗算をした。その上で n1715 の画像から hcont の
画像を減算処理すると、氷雲の部分が残る(図 1)。それを、見やすいようにレベル調整をし、
カウント値の大きさ別に色をつける。(図 2)
n1715
hcont
-
図1
=
図2
・減算の結果
赤、緑色(白も含む)が濃い部分が氷雲だと思われる部分で、
極冠、中央付近に現われた。極冠付近の火星の外周に明るい
部分ができたので、それはノイズなどの影響、もしくは画像
の位置合わせのズレと考えた。
②除算
画像の選択は減算の時と同じである。
除算はカウント値の比の形で結果が出るので、減算とは少し違った画像になる。
けれども、データの処理の仕方自体は減算と基本的に同じである。
減算の時と同じで、図 3 は除算直後の画像、図 4 はそれを見やすいようにレベル調整をし、
色付けしたもの。
n1715
図3
hcont
÷
=
・除算の結果
白くなってしまったが除算の結果では、極冠と左上、中心
付近に氷雲が確認された。減算と同じく火星の外周も明るく
表示されたので、これもノイズなどの影響と考えた。
図4
4.まとめ
画像解析の結果から、火星の極冠には氷雲があるというこ
とがわかった。さらに、画像を見ると中心付近にも微量に氷
雲が存在することが確認できた。けれども、減算と除算で微妙な結果の違いが出てしまい、
その原因を解明することは出来なかった。今後はその原因を解明できるように努力したい。
また、今回は氷雲の存在を確認するだけにとどまってしまったが、これから、もうひとつ
の目的である含水鉱物の存在の確認に挑戦するつもりである。
5.参考文献
FITS の手引き 第 5 版 天文情報処理研究会 2004 年 2 月