開発者による開発者のためのプロセス改善

開発者による開発者のための
プロセス改善
東芝インフォメーションシステムズ(株)
開発センター
北村秀生
Copyright © 2006 Toshiba I.S. Corporation. All rights reserved.
Agenda
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
CMMI活動の経緯
CMMI効果と開発者の満足度
CMMI活動を変える
PIT活動の内容
PIT活動の成果
PIT活動のポイント
今後の改善サイクル
(*)PIT:Process Improvement Team
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1.CMMI活動の経緯
SEPG
1999/8 SW-CMMに取組む
SW-CMMレベル3
プロセス定義
プロセス評定
2003/6
2004/8
CMMIレベル4
改善要望
2001/6
トレーニング
プロセス適用
CMMIレベル5
プロジェクト
•トップダウン手法により、短期間にレベル5を達成
•プロセス改善手法としてシックスσ活動と連携
•開発支援ツールを独自開発・改良
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シックスσ
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2.CMMI効果と開発者の満足度
CMMI効果
活動に対する満足度
開
発
生
産
性
CMMI活動に対するアンケート結果
大
中
小
計
運用やサポート体制
1
開
発
単
価
総合評価
0.5
自己のスキルや意識
0
-0.5
0 4 上
0 4 下
0 5 上
0 5 下
-1
品 質
適用効果
適用状況
Web開 発
納
品
後
欠
陥
密
度
支援ツールやプロセス
組織長のマネジメント
CMMI効果は出ているが、開発者は適用効果
を実感できていない
04上
組織
04下
05上
05下
開発者
ギャップがある
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3.CMMI活動を変える
ギャップの原因:標準プロセスが現場にあっていない
課題
従来の活動
SEPG主導のトップダウン
シックスσ活動の結果を
反映
弱み:
どうしても押し付け型にな
る場合がある
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対策
今回の活動
開発者主体のボトムアップ
各PJからメンバーを招集
解決策を自ら考え、効果も
確認する
強み:
受け入れ易いプロセス改
善になる
5
/
19
ギャップを埋めるため、開発者からメンバーを選出し、2つのPIT
(Process Improvement Team)を立上げた。改善要望の収集から
改善案の検討/試行・評価、SEPGへの答申までを実施
組織
プロジェクト
PIT1
改善要望の
収集
SEPGへ
答申
改善案の
検討
改善案の
試行・評価
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PIT
PIT2
メンバー
5名
4名
事務局
3名
2名
活動期
間
2005/8~
2006/2
2005/8~
2006/1
会議
毎週2時間
毎週2時間
活動
テーマ
開発プロジェク 保守プロジェク
トのプロセス改 トのプロセス改
善
善
6
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4.PIT活動の内容
目的:
標準プロセスと現場(実態)のギャップの原因を見つけ改善する。
ギャップの原因:
計画:使われないメトリクスの計画を作成している。
実施:データ収集に工数がかかる。
監視:収集してもうまく使えない。
改善:組織に提供しても、プロジェクトで使えない。
改善対象:
管理すべきポイント、管理方法を明確にするため、プロジェクト
計画プロセスと進捗管理プロセスを改善する。
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PIT活動スケジュール
9月
10月
11月
12月
1月
2月
月末の開発品質管理会議にて進捗報告
課題の洗い出し
調査・分析
改善策の検討
トライアル適用
評価・改善策見直し
SEPG答申
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プロジェクト計画プロセス関連改善ポイント
改善対象
課題
プロジェクト計画書 お客様との合意事項が分かりにくい
改善点
お客様との合意事項を計画に折り
込みプロジェクトに徹底する。
提案書テンプレートとのリンク(概観、
目的、作業範囲、大日程・・・)
記載内容が理解できないため、サンプ
ルや過去のプロジェクト計画の内容を
そのまま踏襲している
形式的となっている項目の内容を
見直す。メトリクス計画・設定、見積
の相違、しきい値、・・・
WBSテンプレート
ブレイクダウンの詳細度が浅い。
開発標準の工程をベースにタスク
のアウトプットである作業成果物を
明確にしたWBSテンプレートにする。
体制・見積り
見積モデルより必要工数を算出するが、 「月別要員計画表」を追加する。工
数積み上げによる必要工数を算出
要員・体制との整合性はPM個人に依
し、整合性の検証を行う。
る。
プロジェクト開始
会議
プロジェクト開始会議がプロジェクト計
画書の読み合わせに終始する傾向が
見られ、プロジェクトリーダのリーダー
シップが十分発揮できていない。
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プロジェクト運営ルール( スコープ、
大日程、体制、コミュニケーション計
画、進捗管理方法・・・ )を中心とし
てプロジェクト開始会議で徹底する。
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改訂版プロジェクト計画書の評価結果
™ トライアル適用3プロジェクトの簡易アンケート結果
4段階の評価:大幅に改善 改善 変わらない 悪くなった
PM
作成日数
形式化改善
漏れ防止
他プロセス流用
PM1
5日→3日
改善
改善
PM2
5日→3日
改善
大幅に改善 大幅に改善
PM3
5日(変わら
ず)
改善
改善
™ コメント
•
•
•
•
改善
改善
全体的に書きやすく見やすい
サンプルを利用した場合にも変更箇所がわかりやすい
表現、記述方法が共通化されているのでわかりやすい
流用しやすいので、次回プロジェクトより作成日数短くなる
評価結果は良好!
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進捗管理プロセスの改訂
™ 進捗:スケジュール差異%?・・・何日遅れているの
™ コントロールしたいのは工数?・・・完了見込みは
™ 進捗を定量的に管理・・・可視化も必要
見える化
終了予定
メトリクス分析報告書(従来)
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180
160
140
120
100
80
60
40
20
11 /
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12/15
12/1
11/17
11/3
10/20
10/6
0
9/22
+
追
加
9/8
ステージ 目標値
URD
0
SRS
0
HLD
0
LLD
0
SC/UT
0
IT
0
ST
0
AT
0
スケジュール見積差異(%)
下限 上限 実績 判定
-20
25
5 OK
-10
25
10 OK
-3
20
25 NG
-10
25
-1
30
-10
20
1
20
-10
10
終了実績
プロジェクト進捗管理プロセスの改善ポイント
プロジェクトステータスの確実な把握
目的 : プロジェクトの定量的監視による納期遵守と品質確保
項目
対象工程
方法
ポイント
小日程定量化
設計、
コーディング
・小日程のグラフ化による進捗目視化
・日程管理によるアーンドバリュー管理
・タスクを2~3日まで落とす
・進捗のメンテナンス
テスト消化率
と欠陥収束
テスト
・テスト消化率、バグ発生、収束グラフ化
による進捗目視化
・欠陥、変更の記録徹底
120
4000
350
3500
300
100
小日程進捗
250
発
生
欠
陥
数
/
60
修
正
完
40 了
件
数
3000
テ
ス
ト 2500
項
目 2000
数
残
数 1500
200
150
100
80
1000
50
消化予定残数
消化実績残数
欠陥発生累計
欠陥修正累計
20
500
0
5/18
5/17
5/16
5/15
5/14
5/13
5/12
5/9
5/11
5/8
5/10
5/7
5/6
5/5
5/4
5/3
5/2
5/1
4/30
4/29
4/28
4/27
4/26
6
0
12
/2
9
12
/1
2
/1
12
/5
12
8
11
/2
1
/2
11
11
/1
4
0
改善効果
・異常の早期発見により早めの対策が打て、納期遅れがなくなった。
・完了の予測ができ、テスト不足での納品がなくなった。
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その他の改善ポイント(PIT2)
NO
改善項目
現状
答申内容
・‘PM、QR兼務’以外のガイ ・新規運用PJ、新任PL担当PJの場合、部門内他グループの経験豊かなPM/PL
ド無し。
経験者からQRをアサインする。権限と責任を持たすためにSQAが任命する。
・品質確保困難度に拘らず、
FP測定ルール、生産性メ
・品質確保困難度「中」+タイプ「機能追加」についてはFP測定を必須とし、他は任
区分「機能追加」の保守作業
トリクスの収集方法
意とする。
についてはFPを測定する。
協力会社からの開発計画 ・入手タイミングについて明
・継続する協力会社の場合、保守作業単位でなく半期単位でもOK。
書
文化されていない。
・最終顧客との合意を必須とする。
保守作業のクローズ;作業 ・作業完了確認書の代替とし
・エビデンスとして作業完了確認書またはメールを推奨する。ただし、案件管理の受
完了確認書、案件管理で て、案件管理での受入検収
入検収でも最終顧客との合意として有効な場合は可能とする。
の受入検収
可。
※最終顧客とは、リリース物件の受入に責任のある人。
・詳細設計書の承認より前にコーディングを開始する。ただし、これより先に基本設
・先行ステージが終了する
設計/プログラム結合
計ステージで作成されるドキュメントが承認されていなければならない。
迄、後続ステージを開始出
(コーディング開始)
また、詳細設計書は、単体テストより前に承認されなければならない。(コーディング
来ない。
ステージの開始基準を明確にすること)
・先行ステージが終了する
設計/プログラム結合(結
・全ての単体テストが終了する前に、結合テストを開始する。(結合テストの開始基
迄、後続ステージを開始出
合テスト開始)
準を明確にすること)
来ない。
・保守作業計画書の品質保 ・保守作業計画書の品質保証計画のインプリメント部分がグレーで記載をしないよ
インプリメント作業内容の
証計画:インプリメント部分に うになっているが、ここを記載できるようにする。
レビュー、承認
記載出来ない。
・品質確保困難度「低」であっても作業手順書を作成する。
協力会社からの開発計画 ・QRレビューが必須。
・協力会社の開発計画のQRレビューは不要とする
プロジェクトの目標の設定 ・プロジェクトにあった目標を ・プロジェクトにあった目標にすべき。いくつか例をあげる。
方法
記述していない。
事前レビューを含めた戻り回数の軽減など。
インプリメント作業内容の ・サンプルは公開されていな ・サンプルドキュメントを収集し、ヘルプ掲示板のサンプルドキュメントに掲載、ア
レビュー、承認
い。
ピール。
1 品質代議員(QR)アサイン
2
3
4
5
6
7
8
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5.PIT活動成果
標準プロセスに反映
従来
改善要求
改善要求のレビュー
承諾
否認
保留
プロセスの変更
リリース
SEPG
プロセスのリリース
答申
PIT
今回
答申内容のレビュー
適用促進
承諾
説明会
SEPG
•適用効果も確認できているので、体裁を整えてリリース
•PIT成果について説明会を開催し、SPI活動を全体に周知、適用促進
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第2回アンケート結果
運用やサポート体制
自己のスキルや意識
適用状況
組織長や部門活動
支援ツールやプロセス
総
合
適用効果
2
今回_全体(245)
前回_全体(217)
1
0
運用やサポート体制
1
-1
0.5
総合評価
-2
自己のス キルや意識
0
-0.5
1
2
3
4
5
6
7
8
9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47
-1
S
Q
A
の
サ
ポ
S
E
P
G
/
S
Q
A
に
自
担
当
P
J
で
は
C
M
M
組
織
長
は
Q
C
D
へ
の
組
織
長
の
P
J
人
員
確
組
織
長
の
C
M
M
I
適
組
織
長
は
プ
ロ
セ
ス
改
善
★
C
M
M
I
定
着
の
た
★
C
M
M
I
定
着
の
た
標
準
プ
ロ
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ス
は
ど
れ
標
準
プ
ロ
セ
ス
は
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分
Q
u
a
l
i
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ル y
の は
機 使
能
P
J
管
理
ツ
コ
ス
ト
目
標
値
に
は
納
コ
ス
ト
目
標
値
を
目
標
管
改善
適
用
効
果
は
数
値
的
に
メ
ト
リ
ク
ス
の
定
義
は
メ
ト
リ
ク
ス
の
デ
メ
ト
リ
ク
ス
の
内
容
タ は
自
従
来
に
比
べ
て
生
産
性
従
来
に
比
べ
て
品
質
の
向
C
M
M
I
適
用
成
果
は
C
M
M
I
適
用
P
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M
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5 分 J u 法
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度 M M M は は 管 a や
レ I I I 顧 プ 理 l 技
ベ 適 適 は 客 ロ ツ i 法
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法
や
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法
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C 開 C 他 他 他 S プ C
M 発 適用効果
M 部 P P E ロ M
M 等 M 門 J J P セ M
I の I と の の G ス I
プ 手 に 効 効 活 / 改 プ
ロ 法 よ 果 果 動 S 善 ロ
支援ツールやプロセ
セ
や る 的 的 事 Q 等 ス
セ
ス 技 業 な な 例 A の ス
の 法 績 適 適 を へ 手 に
定
評価ポイント -2:そう思わない –1:あまりそう思わない 0:どちらともいえない 1:まあそう思う 2:そう思う
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C
M
M
I
は
組
織
と
し
PITメンバーが得たモノ
™ 標準プロセスの理解
Š 標準プロセスを見直すことで、プロセスの理解が深まった。
Š 必要ないのでは?という意識で実施しているプロセスについて、
不要なプロセスなのか、取り組み方が誤っているのかを検討で
きた。
™ 情報交換
Š 他部門の人と意見を交換することで、問題点を共有したり、解
決策を見つけたりすることができた。
™ SPIの推進リーダの役割
Š 所属部門において、プロセス改善に関する推進リーダ的存在
になった。(部門での旗振り役)
Š 部門内でプロセス改善に関する話をする機会が増えた。
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6.PIT活動のポイント
™ メンバー選定
Š 複数プロジェクトから選出することで、効果的な改善案を収集
できる。
Š まずは、プロセス改善に意欲のある方から(モチベーション)
™ 現場との乖離を防止
Š PITの改善案が現場に役立つことを確認するため、トライアル
適用の実施が有効である。
™ 主役はPITメンバー
Š メンバーから選出したリーダを中心に活動計画を作成する。
(責任感)
Š SEPG/SQAは事務局(ファシリテータ)に徹し、会議室の確保、
資料整理などを行い、PITメンバーはプロセス改善作業に集中
できる環境を整備する。
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7.今後の改善サイクル
改善
組織の定量的な目標
適用
組織標準プロセス
組織メトリクス分析
SEPG
データ
シックスシグマの活性化
アンケート結果の分析
新技術・ツール調査
組織が主体(トップダウン)
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プロジェクト
PIT
:改善要望
開発者が主体(ボトムアップ)
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トップダウンのプロセス改善と
ボトムアップのプロセス改善が
継続するよう今後も努力します。
ご清聴ありがとうございました。
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