ひびき No.67 ●桜内義雄貰受賞者 岩田 恵子︵埼玉県︶ た。一転、加賀屋りささんの﹁緑と茶色の融合﹂は抽 す。平らな海に浮かんだ船の正確な形に驚かされまし く海に期待を寄せて﹂も中学生とは思えない描写力で 幼少から小学校低学年くらいまではのびのびと自由 佳作が例年より多かったのも特徴です。 に描いた絵が目を引きます。教えていらっしゃる先生 て気持ちの良い空間を創出しています。皆さんは抽象 象作品です。のびやかな形と色彩が軟らかく溶け合っ 作品というとちょっと難しそうな感じがしますが、ど ことに考えをめぐらしながら、子供さんたちの空想力 んどん挑戦してみてください。面白いものが生まれれ 方は皆さん、﹁いかに教えないで描かせるか﹂という や、表現の幅を引き出す工夫をしていらっしゃるので わってきそうな豊かな感性溢れる作品です。武田地暗 豹の一家の様子を描いています。暖かな温度まで伝 ぐい稀な色感を感じさせる本当にきれいな色使いで、 す。森山幹太君の﹁思い出のグラバー園﹂は絵臭をしっ 意志が感じられます。独特の色感に強い個性を感じま を描いているのだと感じました。そこに制作者の強い 艮沙門天︵神様︶ の性格を知ったうえで表現的にそれ 高校生の岡田幸夫君の﹁尾沙門天になりたい!﹂は ばそれで良いのです。 さんの﹁かわいいラッコくん!﹂、も画面いっぱいに 最優秀賞の池田排月さんの﹁お家にもどろう﹂はた はないでしょうか。 描かれた愛らしいラッコの顔がとても印象的です。 徳田美和さんの﹁空を飛ぶシュロの木﹂、主題とな がたくさんありました。今年の審査は激戦だったと言 優秀賞に入らなかった作品の中にも素晴らしいもの かりと画面につけた重厚感と色彩の軽やかさがある作 るものを良く観察して表現しながら、豊かな想像力で と、美術の指導をしてくださった先生に心から感謝申 えます。優秀な作品をお寄せ下さった制作者の皆さん 品です。行きかう人も描かれていて画面に生命観をも 色彩豊かに表現された画面が目に留まりました。生き 小学校高学年のお子さんの作品では観察する力がつ 生きとした面白い形のシュロノ木も素敵です。葡萄原 余談になりますが、絵画展の審査員の田澤茂先生は いてきたことが良くわかります。何を描くか、という 祐也君の﹁リコーダーは楽しいな﹂、は画面いっぱい 来年九十歳になりますが、絵を描くのが大好きで、1 たらしています。 ろうあ者相談員として二十四年 に笛を吹く人を描いていますが、顔の表情や指の動き 目的のようなものが明確になってきます。 間勤務した。平成十八年四月、関 をよく観察しています。色もとてもきれいです。豊哨 障害者情報センターと変わるが、 交流センター、︵社福︶埼玉聴覚 東で初めてとなる艶者のための特別養護老人ホーム いて、その他にもたくさんの絵を描きます。皆さんも 年でー00号︵−の〇m×−uOm︶ の絵を十枚くらい描 二年間勤務した。現在は、熊谷市障害者相談支援セン ター非常勤専門援助員をはじめ、地元を中心に活動中。 きれいさも特筆すべきものです。牧結菜さんの﹁絵描 くさん描いてください。 絵が好きでしたら、負けないくらいこれからも毎日た ら画面の4割くらいを占める前景の絵馬掛所の配置が 最優秀(文部科学大臣賞)作品 掛所と拝殿﹂もパース︵遠近法︶をしっかり使いなが 中学二高校になるとだいぶ大人びた表現が入ってき 一 全国聾学校絵画展 ●全国聾学校絵画展審査員積騨 審査員 矢薄健太郎︵新制作協会会員︶ ます。島内一輝君の﹁パン職人﹂は文部科学大臣質で 大胆で効果的な表現になっています。 した。全体の応募状況を数字だけで見ると参加校が四 今年の絵画展は、例年とすこし違う傾向が見られま 校多く三十三校、点数も七十六点多い六百四十五点で の筋肉などを繊細に表現し、画面の隅々まで気を配っ す。パンを作る人の表情や、指先の力の入れ具合、腕 て描いています。兄事です!職人さんの作るパンの香 す。いつもと違うと感じたのは、数の増加ではなく、 まして高学年、特に中学・高校年齢の方の作品の充実 めての自画像﹂は極めて高い描写力で自分を描き切っ りが伝わって来るようです。松本あやめさんの﹁はじ 実際に会場に並べられた作品の質の高さと、例年にも ぶりです。応募作品の中から七十二点に絞るのも大変 ています。鉛筆の色もきれいです。浅村拓也君の﹁輝 でしたが、そこから十二点の優秀賞を選ぶのはもっと 大変でした。その中で、今年は中学・高校生に優秀賞・ し上げます。 ﹁ななふく苑﹂が開所するにあたって、施設長として に使いながら手前と奥の距離感を出しています。色の 杏奈さんの﹁校庭のジャングルジム﹂は遠近法を巧み センター、︵社福︶埼玉県障害者 玉県障害者リハビリテーション のろうあ者相談員として勤務する。その後、職場は埼 玉県の非常勤職員として、熊谷身体障害者更生相談所 東京都荒川区生まれ。大学にて社会福祉を学ぶ。埼 作文コン金賞受賞者(3名)
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