糖尿病が完治する!? すい臓を復活させる薬

NHK総合テレビ 毎週水曜日・午後8時から放送中
http://www.nhk.or.jp/gatten/
糖尿病が完治する!? すい臓を復活させる薬
2011年10月05日放送
今回の番組について
一度発症するともう治らないと言われる2型糖尿病
2型糖尿病。
2型糖尿病
食事のコントロールと運動
運動で血糖値を抑え、それでダメなら飲み薬
飲み薬。
その治療と言えば、まずは食事
食事
運動
飲み薬
それでも血糖値を抑えられず、自分のインスリンも分泌されなくなるとインスリン注射
インスリン注射で補充。
インスリン注射
こうして一生をかけて闘病して行くしかない…。
ところが!ある薬を使うと、糖尿病を発症する前の状態に戻れる
糖尿病を発症する前の状態に戻れる可能性があるんです!
糖尿病を発症する前の状態に戻れる
しかもこの薬、新薬でも珍しい薬でもなく、何十年も前から普通に使われているもの。
目からウロコの糖尿病治療法をご紹介します!
番組ディレクターのひとこと
自覚症状が無い恐ろしさ
生活習慣病の代表とも言える糖尿病。
ガッテンで取り上げるのも今回で10回目ですし、
常に注目されている病気にも関わらず、その患者数は増える一方…。
「なんで、こんなにたくさんの患者さんが?」
今回の取材ではその一因が見えました。
それは、やっぱり「自覚症状に乏しい」
「自覚症状に乏しい」。
「自覚症状に乏しい」
これが大きいんです。
高血糖になっても何も感じません。
自分が発症前の予備軍であることにも気づきません。
何ともないから食事の管理も運動にも気合いが入りません。
病院にすら行っていないこともしばしば。
健康診断などで血糖値が高めだと気がついた時に、どれだけきちんと対応するか?
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今回ご紹介する治療法は、あまり知られていませんが、
非常に大きな可能性を秘めていると思います。
血糖コントロールにお悩みの方は、選択肢の一つにいれていただければ、と思います。
ある薬で血糖値が劇的に下がった!
大阪府にお住まいのAさんは、
10年もの間、2型糖尿病
2型糖尿病に悩まされ続けてきました。
2型糖尿病
食事のコントロールや、薬でもなかなか症状は改善せず、
HbA1cは最高で11.8%にまで上がっていました。
糖尿病の指標であるHbA1cは最高で11.8%
HbA1cは最高で11.8%
正常値は4.3~5.8%ですから、非常に重症の状態です。
高血糖が続くと増えた血糖が血管を傷つけ、動脈硬化
動脈硬化を引き起こします。
動脈硬化
さらには、足のえそ、失明などの合併症も発症
足のえそ、失明などの合併症も発症します。
足のえそ、失明などの合併症も発症
そこでAさんは、別の病因へ行ってみました。
すると、勧められたのが、
それまで使用していたのとは別の「ある薬」
「ある薬」。
「ある薬」
この薬で治療を始めてみると、それまでなかなか下がらなかったHbA1cが、
なんと!たった半年で6.4%に!
たった半年で6.4%に!
しかも、血糖値そのものは完全に正常化したので、担当医は「ある薬」の使用をやめてしまいました。
長い間高血糖に悩まされていたAさんの血糖値を、短期間で劇的に下げてしまうなんて!
いったいこの薬の正体は何でしょう?
糖尿病のカギ「β細胞」
Aさんの血糖値を劇的に改善させた「薬」
「薬」。
「薬」
この薬は糖尿病の最も重要なカギとなる部分に作用します。
糖尿病のカギを握るのは、すい臓、中でも「β細胞」
「β細胞」と呼ばれる細胞です。
「β細胞」
β細胞は、血液中に血糖がやってくるとインスリンを分泌します。
ところが、暴飲暴食などで血糖が増えすぎるとβ細胞は更にがんばらねばなりません。
あまりがんばりすぎると、β細胞は疲れ果て、インスリンを出せなくなってきます
β細胞は疲れ果て、インスリンを出せなくなってきます。
β細胞は疲れ果て、インスリンを出せなくなってきます
血糖に攻撃され、β細胞は最悪の場合死んでしまいます。
さらに血糖が増え続けると、血糖に攻撃され、β細胞は最悪の場合死んでしまいます
血糖に攻撃され、β細胞は最悪の場合死んでしまいます
こうなると、インスリンは分泌されませんから、糖尿病はますます悪化してしまいます。
このとっても重要なβ細胞を助けてくれるのが、Aさんを救ったあの「薬」なんです。
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※β細胞の疲弊は、暴飲暴食による高血糖の他に体質が原因の場合もあります。
薬の正体は…!?
β細胞を助けてくれる薬の正体とは…なんとインスリン!
インスリン!
そう、注射で打つあのインスリンなんです。
インスリンを注射で補充してあげると、β細胞はその間インスリンを出さずに休むことができ、
なんと細胞が元気に復活します。
すると、またインスリンを分泌できるようになるんです!
使用するタイミングです。
このインスリンを使った治療法、今までとの違いは、使用するタイミング
使用するタイミング
今まではインスリン注射と言えば、治療の最後の最後。
その時点では、β細胞の数は、すでにもうほとんど残っていないと言われています
もうほとんど残っていないと言われています。
もうほとんど残っていないと言われています
いくらインスリン注射でも、死んでしまったβ細胞を蘇らすことはできません。
β細胞がまだたくさん生きているうちに元気に回復させることが大切なんです。
実際にインスリンを打つタイミングは、症状や医療機関によって様々。
例えば飲み薬が効かなくなってきた時、薬の量を増やしたりせず、
速やかにインスリン注射を打った方が良い場合も。
インスリン注射は、血糖値が下がれば、1か月~3か月ほどでやめらます。
インスリン注射は、血糖値が下がれば、1か月~3か月ほどでやめらます
実際の治療は、入院でも外来でも可能ですし、回数も様々なものがあります。
血糖コントロールに悩んでいる方は、一度、糖尿病専門医に相談されてみてはいかがでしょうか。
※このインスリンを使った治療は、どんな場合でも有効なわけではありません。
血糖値を上げる生活習慣とは?
食べ過ぎや運動不足が血糖値を上げてしまうことはよく知られた事実ですが、
実は、他にも血糖値を上げてしまう生活習慣があるんです。
それは寝不足
寝不足。
寝不足
実は、寝不足と血糖値に関する研究はたくさん行われていて、次のような発表もあります。
日本人1062人を対象に睡眠時間と血糖値の指標であるHbA1cとの関係を調べたところ
7~8時間睡眠の人は一番高血糖(HbA1cが6.5%以上)の人が少なく、
睡眠時間が少なくなるほど高血糖の人が多いという結果が出ました。
理由としては、起きている間はストレスホルモンが血糖値を上げて活動できる準備を
常にしているからだと考えられています。
実は、この研究では寝過ぎの人も高血糖の人が多い結果が出ています。
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睡眠障害などの病気が原因で深くて質の良い眠りができず、
知らないうちに浅く長く寝てしまっていることが原因と考えられています。
質の良い睡眠をしっかりとることも高血糖予防につながるのです。
今回のお役立ち情報
糖尿病ってどうなるの?
糖尿病には大きく分けて1型糖尿病と2型糖尿病があります。
1型は体質が主な原因。
2型は、体質の他に食べ過ぎなどの生活習慣も原因で、
今回番組で扱ったのは2型糖尿病です。
血液中の糖分が高い状態(高血糖)が長期に続くと動脈硬化を引き起こし、
さらにひどくなると失明、足のえそなどの合併症を引き起こします。
食事などをすると血糖値が高くなりますが、
健康な人は、すい臓のβ細胞が分泌するインスリンの働きで血糖値がすぐに下がります。
しかし、糖尿病になると、インスリンの量が減ったり、
インスリンの効き方が悪くなったりして高血糖状態が続いてしまいます。
そうなると血糖がすい臓のβ細胞を攻撃するため、
β細胞がダメージを受け、やがて死んでしまいます。
β細胞が死んでしまうと、インスリンを分泌できなくなります。
しかし、血糖値が高い状態がそれほど長くなければ、
まだ生きているβ細胞も多く残っている可能性があります。
β細胞が死んでおらず、弱っているだけなのであれば、
インスリン注射をすることで、元気に回復させることができるのです。
インスリン療法とは?
β細胞からのインスリン分泌量が少なくなってしまった患者さんに、
不足分をインスリン注射で補う治療法です。
今回番組でご紹介したのは、一般的な糖尿病の治療では
かなり症状が進んでから行っていたインスリン注射を、より早い段階から行うものです。
糖尿病の状態が長く続き、
β細胞が死んでしまうと、インスリンを補充してもβ細胞は回復できません。
ところが、β細胞が弱っているだけで、死滅していないのであれば、
インスリン注射でβ細胞を休ませてあげれば回復して、
またインスリンを分泌できるようになるのです。
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インスリン療法は、入院でも外来でも可能です。
一日に3~4回打つ方法もありますし、一日一回しか打たない方法もあります。
この治療は、インスリンの回数、量など様々な要素が絡むので、専門医の受診をおすすめします。
日本糖尿病学会には、専門医認定制度があります。
ホームページなどで、お近くの医療機関を探してみてください。
また、かかりつけの医師に紹介状をかいてもらうこともできます。
日本糖尿病学会ホームページ: http://www.jds.or.jp/
(NHKサイトを離れます)
(糖尿病専門医の検索ができます)
日本糖尿病協会ホームページ: http://www.nittokyo.or.jp/
(NHKサイトを離れます)
(糖尿病専門医や糖尿病治療に積極的な施設の検索ができます)
※ただし、かならずこの治療を受けられるとは限りません。
治療については医師の診断にしたがってください。
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