FP からのお便り

Office MY Financial Planner
FP からのお便り
5 月号’
2008 vol.05
HEADLINE
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
4 月の個人投資家・家計に関する情報ヘッドライン
今月の金利&商品&株価などの指標
東京都中小企業景況から
投資家への一言(涜書本から要約・引用)
コラム~★FPも疑問なこと★~
本編は皆様の生活に影響すると思うニュースをピックアップし概
要とコメントを記載しています。
○ 個人投資家マネー情報ヘッドライン
☆ 株安の影響で株式投信残高が 7 年ぶりに減少(日経朝刊
08.04.15 より)
☆ 国内株式型 全ファンド、マイナス運用(日経朝刊 08.04.16 より)
08 年3 月末までの 1 年間で、国内株式で運用する投資信託は全てマイ
ナスであったことが掲載されました。運用成績20 位までのリストでも、1
位は-5.8%で 20 位は-25.5%です。日経平均の下落率は-27.5%です
⇒2006 年も TOPIX に勝てた投信は 40%を大幅に下回っていましたが、
2007 年度はそれ以上に成績が奮わない投信が多かったことが分かり
ます。日経平均に連動するインデックス・ファンドか ETF を保有してい
れば 20 位より若干悪い成績を残せたことになります。
また、同日に外国株式型で中国、インドなどに投資した投信はプラス
の運用を確保できたことが別面に掲載されていました。極めて対象的
で、正に分散投資の必要性を同日の記事で認識できました。債券を保
有している方も、為替変動を除けばプラスの運用になっています。
☆ アイスランドなど欧州高金利国、海外マネーの流出で、通貨安
(日経朝刊 08.04.09 より)
サブプライム問題の影響で、アイスランドの通貨クローナが年初から、
ウ
対ドルで 20%、対ユーロで約 3 割りの下落、他にはルーマニアのレイ
や、ハンガリーのフォリントなども下落している主旨の記事です。
⇒サブプライムは切っ掛けに過ぎません、これら高金利国の通貨は金
利が高いことで対ドルや対ユーロで実力以上に高くなっていたので
す。購買力平価や、マクドナルド指数で考えますと、高金利国はインフ
レ率が高い国です、したがって本来的には、同じ金額で買えるものが
少なくなる、価値の減価がおきますから、その国の通貨は弱くなること
が予想されます。現在南アのランドや NZ ドルも対ドルで安くなってい
ます。ここでも、通貨の分散が必要になることが分かります。
○ 家計に関するヘッドライン
☆ 電気・ガス・ガソリン・・・光熱費上げ、家計直撃年14,000円
の試算もという記事が載りました(読売新聞 08.04.29 より)
⇒確かに厳しい値上げが続いています。このような時に、政治は
暫定税率の廃止と復活という、馬鹿げた政局闘争に民主党も与
党も大騒ぎです。正に、日本の政治が機能していない現状がさら
け出されています。前々号にも書きましたが、スタグフレーション
が来ても、我々一般投資家は、ここはムダを省くことに専念するこ
とが価値ある行動と考えます。例えば、普通預金に塩づけにする
のではなく、ネットバンクの定期預金に移し変えたり、国債や
MMF など、無リスクか低リスク商品での運用を考えて見ましょう。
たとえ少しの金利でも、長期間では大きく積上ります。
☆ 後期高齢者医療制度 <保険料に差 「主治医」制に>
(日経朝刊 08.04.16)よりとして、説明記事が載りました。
この記事では、国民所得に対する国民医療費のグラフもあり、冷
静に事態を伝えていました。例えば、厚労省の試算では、月額
66,000 円の基礎年金だけで暮している高齢者の平均保険料は月
額 1,000 円。従来比で 1,800 円安くなることや、衣料の受け方も 1
ヶ所の開業医が「主治医」となる内容も伝えています。
⇒ともすれば、高齢者=弱者として、「かわいそう」「暮していけな
い」など一方的な報道に流れていますが、政府もマスメディアに
実態を正しく伝える記事を書いてもらえる工夫が必要と感じてい
ます。特に TV では、年金から引くことが「悪いこと」、「年寄りいじ
め」のように伝えられていますが、必ず支払わなければいけない
保険料のようなものの徴収は引き去りが、前提コストの低減と未
納を無くすことに不可欠です。そして、忘れてはならないのは、年
代別の貯蓄額の一人当たり平均が最も高いのは 70 代ということ
です。既得権を振り回して、子供や孫に付けを廻すのはいい加減
止めるべきと思っています。本当に困る方だけを救済する仕組み
づくりこそ、取り上げるべきことと感じています。
発行人:Office MY FP 吉野 充巨 東京都中央区日本橋小舟町 4-10 大宮ビル 4 階
TEL:03-5623-2243 FAX:03-5695-5088 E-mail [email protected] URL http://www.officemyfp.com
2008 年 5 月 2 日発行.
◆ 金利データ&商品市況
◆ 株価&商品&為替市況
2008年5月2日作成
当月
0.75
1.875
2.10
公定歩合
短期プライムレート(都銀 最頻値)
長期プライムレート(みずほコーポレート銀)
<主要国 政策金利>
米国FFレート(誘導目標値)
2.00
EU/ECB主要政策金利
4.00
◆貯蓄
*年平均利回り
普通預金
0.200
貯蓄預金(10万円以上)
0.230
スーパー定期預金
1ヵ月
0.250
1年
0.350
三菱東京 (300万円未満)
UFJ銀行
3年
0.450
外貨定期 1年
米ドル
1.320
3.200
2000米ドル相当額以上ユーロ
6.240
3万米ドル相当額未満豪ドル
普通預金
0.300
1ヶ月
0.450
定期預金
300万円以上
1年
0.790
ソニー
1000万円未満
3年
0.890
銀行
米ドル
1.92750
外貨定期 1年
ユーロ
3.685
1万ドル~3万ドル未満
豪ドル
6.8850
通常貯金
10万円以上
0.220
ゆうちょ
銀行
定額貯金
3年以上
0.402
前月
→
→
→
0.75
1.875
2.10
↓
→
2.25
4.00
→
→
→
→
→
↑
↑
↑
→
↓
↓
↑
↑
↑
↑
↑
→
0.200
0.230
0.250
0.350
0.450
0.780
2.980
6.120
0.300
0.506
0.806
0.663
1.35563
3.481
6.5825
0.210
0.402
個人向け国債(4月)
固定・5年
・ ・
0.81
※3月募集
変動・10年
・ ・
0.57
国債
利付国債2年(267回)
0.70 ↑
0.60
利付国債5年(70回3月発行)
・ ・
0.80
◆ローン フラット35は金利に保証料相当分を含む
カードローン
無担保
11.5 →
11.5
固定型
6.875 →
6.875
教育ローン
無担保
変動型
4.875 →
4.875
(三菱東
変動型
2.875 →
2.875
京
UFJ銀
住宅ローン
固定・5年
3.40 ↑
3.25
行)
固定・10年
3.75 ↑
3.70
保証型
3.18 ↑
2.99
フラット35
買取型
3.30 ↑
2.99
2.950~3.550%
フラット35(買取型)
21年以上
◆商品市況
4月末
金小売価格 円/g
3,095
田中
貴金属HP プラチナ小売価格
6,784
◆金融商品指標
NYダウ
12,820.13
ナスダック
2,412.80
ドイツDAX
6,948.82
英国FT100種指数
6,087.30
株
日経225
13,849.99
式
東証1部時価総額
439.11
MSCI世界(ドル) ※4/27
1,500.70
東証1部株価利回り
1.73
2.06
S&P株価指数利回り 4/23
国内金地金 4/26
2,979
NY金 4/30
865.1
商
NY原油 4/30
113.46
品
シカゴとうもろこし4/26
5773
ロイタージェフリーズCRB
417.801
対ドル 5/1
103.91
対ユーロ 5/1
162.31
為
替
対ポンド 5/1
206.5
対豪ドル 5/1
98.03
日本国債新発10年
1.575
米国10年国債
3.734
金
利
米国TB3ヶ月( %)
・
ユーロ金利3ヶ月物%
・
◆MMF利回り比較
野村
MMF
大和
日興
野村
5/1
外貨
MMF
大和
4/25~
5/1
日興
4/26~
5/1
5月1日
4/25~5/1
4/25~5/1
米ドル
ユーロ
豪ドル
米ドル
ユーロ
豪ドル
米ドル
ユーロ
豪ドル
↓
↓
↑
↑
↑
↑
↑
↑
↑
↓
↓
↓
↓
↑
↑
↑
↑
↑
↑
↓
↑
↑
・
・
前月末
3,158
・
6,890
・
月末
前年同月
12,262.89
13,062.00
2,279.10
2,525.00
6,534.97
7,408.00
5,702.10
6,449.00
12,525.54
17,469.81
393.96
553.42
1,443.70
ー
1.77
ー
2.14
ー
3,142
ー
921.5 ドル/オンス
101.58 ドル/バレル
5.605 ドル/ブッシュル
394.54
ー
100.79
118.83
156.28
160.36
204.11
・
93.74
・
1.275
1.65
3.413
4.64
1.31
4.73
4.59
3.97
%
0.511
0.536
0.475
1.942
3.501
6.704
2.066
3.570
6.742
2.080
3.571
6.747
↓
↓
↓
↓
↑
↑
↓
↑
↓
↓
↑
↑
前月
0.529
0.554
0.511
2.235
3.490
6.665
2.132
3.537
6.760
2.226
3.550
6.669
● 東京都中小企業の 3 月 景況(平成 20 年 4 月調査)
業況:悪化に歯止めがかからず、4 ヶ月連続の悪化 見通し:慎重な見通し続く
3 月の都内中小企業の業況 DI は前月に比べ 3 ポイント減少の▲44 となった。19 年 11 月の▲31 から 4 ヶ月連続の悪化となりました。
一方、前年同月比売上高 DI は▲39 と横ばいであった。当月と比べた今後 3 ヶ月間(4~6 月)の業況見通し DI は当月に比べて▲30 と、
前月とほぼ同水準となりました。
⇒年初から続く不安感から、業況は益々悪化しています。我々が肌で感じているとおりです。また 3 月は年度末ですが、政治の混迷は
続き、暫定税率や新東京銀行などの問題もあり、先々に暗雲が漂う景況だったと考えています。
投資家への一言(PanRolling 社刊 ベンジャミン・グレアム&ジェイソン・ツバイク著 増沢知美 新美美菜 塩野未佳訳
新「賢明なる投資家」 割安株の見つけ方とバリュー投資を成功させる方法 から要訳・引用)の 2
この本を読んでいる途中では、世界で一番進んでいる米国の株式市場であっても非効率でゆがみがあり、私も本に書かれているよう
に、丹念にバリュー株を拾えば儲けられるのではないかという思いに囚われていました。走すればバフェット氏を初めとするグレアム門
下生と同じように大きな成功を収められるのでは・・・。しかし、読了後の感想は、一般人では、ここ迄の分析に時間が掛けられず、また
非凡な能力も無いので、もし私が儲けられるとしたら、「まぐれ」しかないだろうと納得しています。
バッフェット氏も語った、全米 2 億 2 千 5 百万人が、毎日一回ずつ行われるコイン投げゲームに参加するとする。掛金は、最初は 1 ドル
でスタートし、負けたら掛金を勝った人に渡す。勝者はそのお金を全て翌日のゲームに注ぎ込む。10 日経つと、勝ち残った人は 22 万人
になり、各人の保有する賞金は約 1000 ドルになっている。20 日目が終わった段階で、このゲームに連勝した勝者は 215 人まで減少す
るが、各人は約 105 万ドルの賞金を手にしています。この人たちは、「まぐれ」とは思わず、自分は天才の一人錯覚するというものです。
そしてバフェット氏もその一人ということもありえます。いわゆる 20 連勝に恵まれる人は必ず居るという真理です。私としては、今回もま
た、一般投資家としてのパッシブ運用の優位性を確認できた次第です。
FP も疑問に思うこと ?
一般投資家のポートフォリオに組み込める商品はとても少ない
私は、投資・運用について、オフィスでのご相談や、サイトでの投資・運用に関するご質問にお答えしています。その中、
資産配分の重要性や、投資・運用の原則・セオリーなどをお伝えしています。
また、FP になる前から投資に関する本を読み漁り、自分でも投資を実践し、現在はホームページにマイファンド・レポートを
毎月掲載しています。その過程で、原則やセオリーを知れば知るほど困ったことが起きています。それは、資産配分後のポ
ートフォリアに組み込める商品の少なさです。
ご承知の通り、現代ポートフォリオ理論では、最も効率的な投資方法は、インデックス・ファンドをなるべく安く購入して、長
期間保有し続けることとされています。あの、バリュー投資で財を成した、グレアム氏、バフェット氏も、インデックス・ファンド
がジョン・C・ボーグルによって 1970 年代後半に発明・販売された後は、「一般投資家の資産形成ではインデックス・ファンド
が適しているとして」購入を勧めています。
私は業務としている、金融資産運用設計でお客様のご相談を承っていますが、一番困ることは、ポートフォリオを組む上
で、お勧めする商品の少なさです。
(私淑する山崎元氏もこれと同じ主旨のコラムを週刊ダイヤモンドに書いていらっしゃいました)。
資産配分(アセット・アロケーション)は様々です。夫々が保有されている資産の種類や額、ライフ・プラン上の諸要件(何時、
どのような資金を必要とされているのか)、現在の収入と支出は? そしてリスクの許容度は?等々人の数だけ異なります。
資産形成を目的とした投資・運用で、お勧めできない商品は、山ほど見つかります。トップは変額年金保険(投資型)、次は多
分配型の投資信託、そしてアクティブ・ファンドが上がってきます。なぜならば、コスト(特に、保険料や信託報酬)が高すぎ、
長期的にはインデックスに勝てる見込みが極めて小さいからです。また、バランス型の投資信託は資産配分を人任せにし、
コストも高くなりますから、これもお勧めできません。
もし、投資信託を短期運用で購入するのであれば別ですが、それであれば、個別株式(保有コストは掛かりません)や債券
を直接購入することをお勧めします。コストが小さく、見込み通りにならなくても、長期保有(コストが掛からず)が可能ですか
ら勝てる確率が上がります。但し、個別株は勉強する手間と研究する時間が掛かりますし、外国債券は通貨分散と期間分
散が必要ですから、投資額が大きくなります。
外貨定期預金はコストの高さとリスクの大きさそしてリターンの低さでこれもお勧めできません。むしろ、短期金融商品で運
用しリスクが低く、利回りも殆どが定期預金より高く、為替手数料が安く、為替差益が非課税の外貨 MMF をお勧めします。
不動産投資信託 REIT もお勧めしていません。既に多くの方が持ち家に住んでいらっしゃいます。しかも日本人の資産のう
ち 60%以上は不動産で占めています。従いまして、REIT を購入することは、不動産という資産に一層集中することで、リスク
が高まり、不動産価格が上昇すればよいのですが、下落した場合には、REIT の価格も下がり保有不動産の価格も下がりま
す。従って、不動産を保有せず、定期的な分配金を必要とされている方にしかお勧めできません。
REIT は不動産を活用した配当を期待する商品で、値上がり益はおまけです。無リスク商品(国債)の利回りにプレミアムがの
らなければ対象にもなりません。リスクに対応したリターンは、REIT 導入時の狙い値 5~6%が目処とお考えください。
では、「どうしたら良いのか」とある相談者から尋ねられました。残念ながら私が FP としてお客さまにお勧めする(できる)主
な商品は極めて少なく、とても退屈なものになります。むしろ理解・納得していただくために、ご相談の時間が有ります。
1.個別株式と:現地通貨で発行される先進国の国債:上場株式の一部と、数十本の国債に留まります。
2.ETF を含むインデックス・ファンド。ETF は現在でも 100 本に満たず、インデックスもコストの高いものを除くと数十本です。
3.MMF(円、外貨)、そして円の 1 年までの定期預金(仕組みは無いもの)、
4.次善として、インデックス・ファンドで構成されたファンド オブ ファンズでノーロード、信託報酬 1%以下のもの
ただ、これだけあれば資産形成には充分な品揃えともいえます。あまり売買しないことは手数料などのコストは安くなり、そ
して譲渡益に対する税金も掛かりません。これを考えると、現代ポートフォリオで言う、「最も効率的な投資方法は、インデック
ス・ファンドをなるべく安く購入して、長期間保有し続けること」、ということもよく解ります。
文責 CFP® 吉 野 充 巨