第5学年1組 道徳学習指導案 1 主題名 内容項目名 野生動物とともに生きる心 生命尊重(内容項目番号3-(1) ) (資料名「人を守るため 処分される命」 出典 NHK 道徳ドキュメント) 2 主題設定の理由 (1)価値について 本主題は、学習指導要領の第5学年及び第6学年の内容項目3-(1)生命尊重「生命 がかけがえのないものであることを知り、自他の生命を尊重する。 」を受けて設定してい る。 高学年になると、人間や動植物の生命の誕生から死に至るまでの過程を理解でき、様々 な人々との支え合いや動植物の関わりの中で自らの生命が育まれることが分かってくる 時期である。また、様々な生命のかけがえのなさを自覚し、生命誕生の喜びや死の重さ 悲しみ、共に生きることの素晴らしさなどを考えることができる重要な時期でもある。 また、他教科の学習や様々な情報から人間と自然環境との関わりを知り、人間も自然 の中で生かされていることが理解できるようになる。そこで、人間と動植物との共存の 在り方を積極的に考えようとする態度を育て、自然や動植物への畏敬の念を培い、これ からをよりよく生きようとする力を引き出すことが重要である。 (男子 14 名 女子 13 名 計 27 名) (2)児童の実態について 実態調査 1 道徳の学習は好きですか。 ◎好き 5名 (色々な考えがうかぶ。人物の気持ちを考えることが好き。など) ○まあまあ好き 11名 (話し合うことが好き。言いたいことが言える。楽しい。など) ・ふつう 10名 (発表するのが好きでない。自分の意見がはっきり言えない。 読むこと話すことに自信がない。など) □どちらかと言えば嫌い 1名 (理由なし) △嫌い 0名 2 動物は好きですか。 ◎好き 12名 (かわいい。癒される。犬を飼っていたから。かっこいい。など) ○まあまあ好き 7名 (観察することが楽しい。えさをあげたい。犬やねこが好き。など) ・ふつう 7名 (大きい動物は好きでない。嫌いな動物がいる。飼ったことがない。 ) □どちらかと言えば嫌い 1名 (かみつかれる。) 5年1組- 1 - △嫌い 0名 3 動物(ペット)を飼ったことはありますか。 ある 18名 ない 9名 4 日本に生息している野生動物のことで知っていることを書いてください。 (絶滅危惧種や外来種など) ウナギ5名 ニホンカワウソ1名 アカミミガメ1名 その他3名 分からない・未記入18名 5 人を困らせる動物がいることを知っていますか。(複数回答) 知っている 10名 カラス4名 シカ2名 タヌキ1名 ネズミ1名 知らない クマ1名 サル1名 イノシシ1名 17名 本学級の児童は、学級編成で新しいクラスとなって7カ月が経ち、お互いの性格を理 解し認め合っている。進んで気づき行動できる児童がいるので、周りの友達も見習って 行動できる雰囲気ができてきている。また、行動面でも良い事と悪い事の判断は少しず つ理解して活動できている。学習態度も良く、積極的に発言する児童が比較的多い。 実態調査から学級の7割の児童が動物を好きと答え、6割以上の児童が何かしらの動 物を飼育した経験をもっている。これまでに昆虫や動物と触れ合う機会も多かったのか、 動物に対して好意的に考えていることが分かる。 ペットショップや身近な自然で見ることができる動物に対しては関心が高く、飼育し ても飼いやすく安全であることから児童も様々な知識をもっている。だが、身近でない 野生動物には関心が低く、知らない動物に対して無意識に危険な生き物で危害を加えて くるという思考になりがちである。どんな動物も人間と同じ自然環境の中で生きており、 その中で動物も必死で生きている。人間が持ちこんで自然に放してしまった外来種や人 間が自然破壊をして住む場所を追われてしまった野生動物に着目し、これから人間と動 物が共存していく道を一人一人が考えることが重要であると考える。 (3)資料について 群馬県みなかみ町では、秋になると毎年クマの出没に悩まされている。町の人命を守 るため、役場では合沢さんを中心とするクマ対策チームを編成し、農家では電流が流れ る柵を作ったり、通学路に熊鈴を設置したりして対策をしている。また、クマが人里に おりてこないよう、 捕まって殺処分されないように、 えさとなるドングリを大量に集め、 クマが出没しそうな所にドングリをまくグループも現れた。人間の生活を守りたいと思 う合沢さんと一匹でも殺処分されないよう努力する川嵜さんの心情を考えることができ る。そして、決定的な解決策が見つからない人々の葛藤を想像し、野生動物の命を考え ることができる。以上の分析からねらいを設定すれば、人間と野生動物の命を守り、共 5年1組- 2 - 存について考えられるようになるであろう。 (4)指導観 話し合いの時間を十分に確保するために、事前に映像資料を見せておく。導入では、 誰もが知っているクマについてどのようなイメージをもっているのかを話し合わせる。 次に映像資料から、人里に下りて人々を困らせているクマについて感想を話し合わせ、 様々な意見を出させたい。そして、クマ対策チームの合沢さんや、保護活動をしている 川嵜さんからの立場から意見を出させて、児童に葛藤の場面を作りたい。どちらの立場 からも解決の糸口は見つからないのが現実であるが、人間と動物が共存するためにはど のようなことをしたらよいのか、どのような努力をしなければいけないのかを児童一人 一人に考えさせたい。 3 仮説との関連 一人一人の感じ方や考え方を表現する機会を充実させれば、自分を見つめ、自分の 考えを表し、自分のよさを伸ばそうとする児童が育つであろう。 本時では、児童に自分の考えをしっかり持たせるためにワークシートを用意する。ク マに対する考えや合沢さんと川嵜さんの立場になってワークシートに自分の意見を書 くことによって、自信がなくても発言できる機会を作りたい。そして、様々な意見を交 流させることによって児童に葛藤させる場を作り、意見が深められると考える。そして、 動物との共存という課題から一人一人が内省することができ、これからの自己の生き方 を考えるきっかけとなるようにしたい。 4 本時の指導 (1)ねらい 人間と野生動物との共存の在り方について考え、生命のかけがえのなさを自覚して自 他の生命を大切にしようとする心情を養う。 (2)展開 過 時配 学習活動と主たる発問 程 導 5 1 絶滅危惧種には、どんな動物 ・ツキノワグマは絶滅が心配さ ツ キ ノ がいるか話し合う。 れている動物であることを ワ グ マ ・ニホンウナギ 説明する。 ・ツキノワグマ ・クロメダカ 開 資料 予想される児童の反応 入 展 支援及び指導上の留意点 22 2 ・クマの好物について知らせ る。 事前に見た資料映像を振り ・クマ対策チームの合沢さんや 返る。 川嵜さんの活動を思い起こ し、再確認をする。 5年1組- 3 - の写真 3 人里におりてくるクマや殺 ・野生のクマが実際にどのよう 処分されるクマについて話 なことをしているのか理解 し合う。 できるようにする。 ○人里にクマがおりてきたら ・映像資料の小学生の気持ちに どう思いますか。 なって意見を言うように助 ・怖くて外に出られない。 言する。 ・登下校するのが不安。 ・驚いて逃げる。 ○たくさんのクマが殺処分さ ・絶滅危惧種であるツキノワグ 掲示物 れていることについてどう マが毎年多く殺されている 思いますか。 ことに着目させる。 ・人が殺されるかもしれない ・どうしてクマが人里に下りて からしょうがない。 くるのかを考えさせ、人間が ・絶滅が心配されているから やめたほうがいい。 森林を開発していることを 知らせる。 ○合沢さんと川嵜さんはどん ・町民のくらしのために、クマ ワ ー ク な思いで仕事をしているの を捕まえ殺処分しなければ シート でしょうか。 ならない心情と絶滅危惧種 掲示物 ・つらいけど、誰かがやらな ければいけない。 であるクマを1匹でも殺し たくない心情を両方考えさ ・つらいけど町の人の生活を せ、葛藤場面を作る。 守らなければならない。 ・殺処分を減らす方法を考え ないといけない。 ・山からクマがおりてこない 方法を考えないといけな い。 15 4 今日の学習で考えたことを ・クマだけでなく、サルやイノ ワ ー ク まとめ話し合う。 シシなどの野生動物につい シート ◎人間と野生動物の命を守る ために、どのようなことが大 切なのか考えましょう。 ても同様なことがあること を理解させる。 ・野生動物と共存するために、 ・山や森林にゴミを捨てない。 人間はどのような気持ちを ・家庭の生ゴミを放置しない。 もち、どのようなことをしな ければいけないかを考えさ せる。 5年1組- 4 - 終 3 5 教師の説話を聴く。 ・野生動物のために保護活動し 末 ている人々の話や野生動物 の被害を防ぐための方法に ついて聞き、動物との共存に ついて考えを深める。 (3)板書計画 う な こ と が 大 切 な の か 考 え ま し ょ う 。 ◎ 人 間 と 野 生 動 物 の 命 を 守 る た め に 、 ど の よ 川嵜さん 合沢さん の写真 の写真 動物の命 人の命 仕 事 を し て い る の で し ょ う か 。 ○ 合 沢 さ ん と 川 嵜 さ ん は ど ん な 思 い で つ い て ど う 思 い ま す か 。 ○ た く さ ん の ク マ が 殺 処 分 さ れ て い る こ と に ○ 人 里 に ク マ が お り て 来 た ら ど う 思 い ま す か 。 ツキノワ グマ 絶滅危惧種 ・ ニ ホ ン ウ ナ ギ ・ ツ キ ノ ワ グ マ 人 を 守 る た め 処 分 さ れ る 命 5 他の教育活動との関連 野生動物の生命の尊さを考える学習が自他の生命を尊重する学習へとつながる。そして、 他者を思いやる言動を心がけ、仲良く協力していじめのない生活を送ることができるよう にする。 5年1組- 5 - 〈道徳〉 ア ン ケ ー 番 ト 氏名 どれか一つに○をつけて、理由を書きましょう。 1 道徳の学習は好きですか。 すき まあまあ好き ふつう どちらかと言えばきらい きらい 理由 2 動物は好きですか。 すき まあまあ好き ふつう どちらかと言えばきらい きらい 理由 3 動物(ペット)を飼ったことはありますか。 ある ない 動物の種類の名前を書いてください。 4 日本に生息している野生の動物のことで、知っていることを書いてください。 (絶めつ危惧種や外来種など) 5 人をこまらせる動物がいることを知っていますか。 知っている 知らない どんな動物か書いてください。 5年1組- 6 -
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