PACS 環境において自動作成されたサブトラクションイメージの画質評価

PACS 環境において自動作成されたサブトラクションイメージの画質評価
要旨
研究の目的は、画像保管と、通信システム環境において提出されたサブトラクションイメ
ージの信頼性を評価し、そしてその画質の評価のための客観的基準を作成することであ
る。
計 117 のサブトラクション胸部イメージ ( 立位 55 画像、臥位 62 画像) は、連続した 5
日で得られた。これらの全てにおいて、我々は、オリジナルとなるイメージに経時的な変化
がないことと、び慢性の肺疾患のケースが除外されていることを確認した。
サブトラクションイメージは、 3 人の胸部放射線科医によって以下の 5 つのレベルに
分類された :5 点、excellent;4 点、good ;3 点、acceptable ;2 点、poor ;1 点、very poor
(1) 提出されたサブトラクションイメージが十分な品質であるかどうか;(2) サブトラクショ
ンイメージがワーピング、または、非ワーピングモードにおいて獲得されたかどうか ; (3)
相対的なシフト角度、相対的なシフト距離を持つ全体の主観的な画質の相互関係、及び、
サブトラクションイメージにおけるグレーレベルの標準偏差。これら 3 点についても検討を
行った。
各々臨床上容認されると判断したサブトラクションイメージは立位像が 100% 仰臥位は
66% の割合であった。臥位 62 画像の内の 16 画像 ( 26% ) は、非ワーピングモードにて作
られた、一方、全ての立位画像はワーピングモードによって作られた。相対的なシフト角度
( P < 0.05 ) 、相対的な水平のシフト距離 ( P < 0.05 ) 、及び、灰色のレベル ( P <
0.0001 ) の標準偏差において有意差がみられた。容認可能な画質を持つサブトラクション
イメージは立位画像によって得ることができた。客観的基準を定めることは、画質の評価に
とって有益であると思われた。
はじめに
既にいくらかのコンピュータ支援診断 ( CAD ) システムは市販されており、そして ( 多
くの場合 )評価は、臨床レベルで始まっている。CAD を採用する目的は、読影に掛かる時
間を減少させ、その診断精度を向上させることによって診断の効率化を達成することであ
る。CAD は、コンピューテッドラジオグラフィ ( CR ) 装置、及び、フラットパネル検出器
( FPDs ) を画像保管や通信システム(PACS)などと接続することによって未来の発展の大
きい可能性を持っている。その中でサブトラクション法は、 CAD においてもたらされる多く
のメリットののうちの 1 つであると認められる。
サブトラクションは、経時的変化をより見やすくするために以前に撮影された胸部写真
から現在の胸部写真を自動的に減算し表示する技術である。特に肋骨、大血管、心臓、
及び、横隔膜のような正常な解剖の構造とオーバーラップする病変における微かな経時
的変化を確認することは、放射線科医にとって難しいものである。これまでにいくつかのレ
ポートにおいて、肺癌、または、感染症の早期発見において一部の不鮮明な画像から強
調させてくれることでサブトラクションイメージの有用性が示されている。
2001 年 1 月以来、我々はサブトラクションイメージを照会している間に、胸部写真の
比較解釈のたのシステムを開発した。
我々の病院の市販 PACS にこのサブトラクションのためのシステムを組み込んだ。
我々は、このシステムを立位画像ばかりではなく集中治療室などにおけるポータブル胸
部臥位撮影にも適用した。臨床の場において、サブトラクションイメージが良好な品質にて
作成されることは重要である。その品質が十分ではないならば、放射線科医が真の経時的
変化と単純なアーチファクトを区別することは難しい。
これまで、サブトラクションイメージのために、画質を評価する客観的な方法がない。従
って我々は単独でそのような評価を主観的に評価する方法に依存しなければならなかっ
た。
この研究における 1 つの目的は、 PACS 環境において信頼できるサブトラクションイ
メージの提出を評価することと、そしてもう一つはオリジナルのイメージと、サブトラクション
イメージの両方を使うことによって画質の評価のために客観的基準を設けることである。
材料、及び、方法
ディジタル胸部ラジオグラフのデータ収集、及び、保管
2001 年 1 月に、我々は、サブトラクションのシステムを我々の病院の市販されている
PACS に組み込んだ。
イメージデータは、 CR ( FCR 5501D 、及び、 FCR 5000 、富士写真フィルム、東京、
日本 ) 、もしくは、 FPD ( CXDI-11 、キャノン、東京、日本、及び、胸部 FD 、シーメンス、
エルランゲン、ドイツ ) によるデジタルラジオグラフィから得られ、医用 ( DICOM ) プロト
コルにて PACS ( TOSPACS 、東芝、東京、日本 ) に記録された。各々、 CR 、及び、
FPD からのイメージデータは、 1,760 × 2,140 マトリックス、及び、 10 ビットグレイスケ
ール、及び、 2,200 × 2,675 マトリックス、及び、 12 ビットグレイスケールにて蓄えられ
た。我々の病院で獲得された全ての X 線写真は、同時にサブトラクションイメージを生じさ
せるための単独のサーバ ( Truedia X/R 、三菱 Space Software 、 Amagasaki 、日
本 ) と同じく、上で挙げた PACS サーバにも複写された。
同じ検査の同じ患者の以前の画像は、 DICOM のヘッダ情報によって選択され、そし
て、解釈の前の 2 つの単色のブラウン管 ( 2,560 × 2,048 ピクセル、 Barco 、コルトラ
イク、ベルギー ) を持つディスプレイ端末 ( TWS ‐ 2500 、東芝 ) に現在のイメージと
一緒に自動で表示される。サブトラクションイメージは、同じディスプレイ端末にそれ以降
は速やかに転送されるようにした。PACS 、病院情報システム ( HIS ) 、及び、放射線学
情報系 ( RIS ) の間のリンクは、イメージ、及び、患者に関する情報がディスプレイ端末に
自動的に転送されることを可能にしている。我々は、この技術を立位胸部写真ばかりでは
なくポータブルでの臥位胸部写真( 主として集中治療室、または、 CCU で撮影) にも適
用した。
サブトラクションイメージの作成、及び、表示
サブトラクションイメージを生じさせるためのサーバは、胸部 X 線写真を APかPAで撮
られたものか、 胸部側面、腹部、及び、骨撮影のような他の X 線写真と区別することが可
能である ( DICOM ヘッダ情報によって ) 。
更に、そのサーバは、 586 × 586 マトリックスの大きさによってサブトラクションイメー
ジを圧縮して保管しうる。このサーバは、今回および過去の 5 枚の写真から自動的にサブ
トラクションイメージを作成するように設計した。
1 つのサブトラクションイメージを生じさせるための計算処理時間は 6 秒であった ;
このように、このサーバは同じ患者で以前の写真が 5 枚 以上胸部写真があるならば、
新しい胸部写真の到着後 30 秒で 5 つのサブトラクションイメージを作成する。
胸部の描出が今回及び過去のイメージに基づいて可能であったとき、現在のシステム
は、全体的なマッチングの後でワーピング法を用いてサブトラクションイメージを作成する。
すなわち、ワーピングモードは、線のイメージシフト、及び、回転に加えて非直線ひずみ
を使うことによる表示方法である。しかしながら、ワーピングモードが可能でない場合では
全体的なマッチングのみが行われた ( 非ワーピングモード) 。
更に、胸部の描出が今回および過去のイメージに基づいて可能であったとき、相対的
シフトは、曲がり、そして現在及び以前のイメージの間の相対的なシフト距離 ( 垂直&水
平)が更に計算される。サブトラクションイメージは、 586 × 586 マトリックス、及び、 8 ビ
ットグレイスケールによって示された。不鮮明域の発生は黒において表示され、不鮮明域
の消失は白で表示された。
評価対象となった画質
検討域のうちのA(218 画像)のサブトラクションイメージは連続 した 5 日で得られた。
我々の施設内倫理委員会は、我々の研究を認め、そして、全ての研究主題からの告知
に基づく同意がえられた。これらのイメージのうちで、 FPDs と共に獲得された 76 のサブ
トラクションイメージはについて除外された。なぜならばポータブル胸部写真が CR のみ
でえられているので、信頼できる画質を持つサブトラクションイメージは、 2 つのポジショ
ンの間で比較されたものである必要があるからである。我々は、オリジナル画像を使って得
られるサブトラクションイメージの経時的変化を別にして検討した。
び慢性の肺疾患のケースは、2 人の胸部放射線科医によって今回の検討から除外さ
れた。この除外の作業により 19 画像は、経時的変化の存在のために除外され、 6 画像
は、び慢性の肺疾患のために除外した。最終的に、計 117 のサブトラクション画像( 55 の
立位像と 62 の背臥位像) を、評価した。
FCR 5501D は、立位撮影に、 FCR 5000 は臥位に使用した。3 人の胸部放射線科医
は、それと同時に主観的画質に基づく全てのサブトラクションイメージを評価するに従いス
コアリングにおいて同一のコンセンサスを得た。これらの 3 人の観察者 ( 少なくとも 1
年のサブトラクションイメージを使う胸部写真の読影経験者) は、各イメージの品質を 5
つのレベルのうち次のどれか一つとした。
5 点、excellent;
4 点、good ;
3 点、acceptable ;
2 点、poor ;
1 点 very poor.
(アーチファクトは小さいスコアになるほど顕著な傾向になります。)
全てのサブトラクションイメージは我々の病院のディスプレイ端末上で評価された。我々
は、それらがワーピングモードか、非ワーピングモードによって得られたのかどうかにも注
目して様々なポジショニングで検討するためにサブトラクションイメージを作成した 。
これらの 2 つのモードの間の主観的な画質における差異は、マン‐ホイットニー U 試
験によって統計上分析された。
客観的画質のための基準の確立
全ての 117 のサブトラクションイメージ、及び、一致するオリジナルのイメージは、クロ
ーズな環境のワークステーション内のアルゴリズムによって検討された。
まず最初に今回の画像と以前の画像の相対的角度シフトと相対的な移動距離(水平&
垂直)がすべての画像に於けるサブトラクションシステムで描出され、計算された。
胸郭の軸は、今回及び過去のイメージにおいて明確に描出され、これらの軸の間の相
対的なシフト角度が計算された。
全胸部写真における胸郭の位置は前回と今回の画像に基づいて確認され、そして、相
対的なシフト距離は、それらの間で計算された。
第二に、各サブトラクションイメージのグレイスケールの標準偏差を計算した。
最終的に、これらのパラメータの相互関係、及び、全体の主観的画質が調査された。
統計の分析は、ランク ( S.S ) による Spearman の相関係数によって外に導かれた。
結果
各々、全体の主観的画質評価の平均スコアは立位撮影で 4.2 点,臥位撮影が 2.9 点で
あった。3 点以上を獲得したサブトラクションイメージ多は、臨床使用において受け入れ可
能であると考えられた。
主観的画質評価の点から受け入れられたサブトラクションイメージのパーセンテージは、
立位において 100% ( 55/55 ) 、及び、臥位において 66% ( 41/62 ) であった。
(a)胸部写真過去画像、(b)今回の胸部写真、(c)ワーピングモードにて作成したサブトラ
クション画像。このサブトラクション画像の評価は excellent で 5point。サブトラクションイメー
ジ上は心臓の輪郭部にのみわずかなアーチファクトを認めるのみである。このサブトラクシ
ョン画像でグレースケールの標準偏差は 41,相対的移動角 0.3°、相対的垂直移動 16
pixel 、相対的水平移動 15 pixel)
臥位 62 画像のうちの 16 画像( 26% ) は、非ワーピングモードを用いて作成され、一方、
全ての立位画像は、ワーピングモードを用いて作られた。
ワ ー ピ ン グ モ ー ド に よ っ て 作 ら れ た 46 の イ メ ー ジ 、 及 び 、 非 ワ ー ピ ン グ モ ー ド
(table-1 ) によって獲得された 16 のイメージの間には主観的画質において有意な差が
認められた。table-2 は、立位そして臥位のポジションにおいて客観的画質のための各パ
ラメータの値を示す。
相対的なシフト角度の方法、及び、標準偏差、及び、直立位置における今回及び、前
回のイメージの間の距離は立位より臥位でより大きい。その上、サブトラクションイメージの
グレイスケールの標準偏差は、立位に比べ臥位では更に大きい値となった。
主観的な全体の画質、及び、各パラメータの間のランクによる Spearman の相関係数
は、次のとおりであった。
相 対 的 な シ フ ト 角 度 -0.200 、 相 対 的 な 水 平 の シ フ ト -0.211 、 相 対 的 垂 直 偏 移
-0.071 、及び、グレーレベルの標準偏差 -0.490 であった。相対的な垂直偏移距離にお
いて有意差は見られなかった。ただし、相対的なシフト角度 ( P < 0.05 ) 、相対的な水平
のシフト距離 ( P < 0.05 ) 、及び、グレーレベル ( P < 0.0001 ) の標準偏差において有意
差が認められた。
結語
画像表示方式におけるディジタル胸部写真の読影は、放射線学における PACS の急
速な発展により多くの病院で導入された。過去に行われた研究は、様々な環境によって診
断の精度に関して画面表示方式及び、フィルム画質において明らかな差異は認められて
はいない。
今回の検討では、画面表示による胸部 X 線写真の読影は臨床上十分に使用可能であ
ることが示された。PACS 環境におけるモニタ表示画像の解釈は未来の発展への大きな
可能性を持っている。なぜなら、それは、 CR 、または、 FPD のようなディジタル胸部 X
線撮影技術が CAD と連結されているからである。我々は、 PACS でサブトラクションイメ
ージを生じさせるためにサーバにソフトをインストールし、そして、このサーバによって作ら
れたイメージは、ディスプレイ端末に自動的にロードされるよう設定した。
このイメージロード法は、容易にマンモグラフィーCAD、胃腸の検査、 CT 等への CAD
システムに適用することが可能である。PACS 、及び、 CAD 系への CR 、または、 FPD
の相互リンクは科学技術の進展にとって有益である。
従来の X 線写真は、フィルムディジタイザによってサブトラクションイメージをもたらすた
めにディジタルデータに変換する必要があった。しかしながら、このプロセスでの実行には
人件費を必要とする。一方、今回我々の開発したシステムでは、 PACS のための維持コ
ストの一部のみ必要とし、そして、そのシステムは自動計算であるので、サブトラクションイメ
ージを作成するのに人件費を必要とはしない。更に、それらのイメージが患者コード、検査
時間、及び、日付によってタグ付けされたオリジナルの胸部写真と共に得られるので、ヒュ
ーマン・エラーは、このシステムを使うサブトラクションイメージの作成および表示において
減少するであろう。
我々のシステムにおいて、サブトラクションイメージは、 586 × 586 マトリックス、及び、
8 ビットグレイスケールによって示された。なぜなら、マトリックスのこれらの値、及びサブト
ラクションのグレイスケールは、前回及び今回の各画像間で経時的変化を確認する為に
十分であったからである。肺小結節のようないくつかの異常な病巣、及び、間質浸潤影を
検知する際のサブトラクションイメージの有用性については過去に報告されている。この有
用性は、信頼できる製品に基づいている。なぜならサブトラクションイメージのアーチファク
トは、しばしば放射線科医に大きい問題を引き起こすからだ。
サブトラクションイメージの品質の比較を報告した Katsuragawa らによると、臨床上受け
入れられるサブトラクションイメージがワーピング法で 97.2% ( 176/181 )、非ワーピング法で
81.2% ( 147/181 )と報告されている。それらの研究におけるオリジナルのイメージは、肺癌
検診プログラムにおける患者の立位撮影で得られたものであった。
今回の我々の検討においてもたらされた立位画像に於ける受け入れ可能な画像の提
供はワーピング法で 100%であった。
過去においての研究では、臥位における患者のサブトラクションイメージの画質は評価
されかった。我々の研究においてポータブル胸部の臥位写真の受け入れられる画質を持
つサブトラクションイメージの提供は 66% であった。この結果は臨床使用のためには不満
足である。しかし、臥位の胸部写真が撮影されている現場の状態から来る結果としては仕
方がないのかもしれない。X 線及び、検出器面は立位の胸部 X 線撮影では一致されて
いるので、 X 線の中心束は、患者の胸部正中に位置している。一方、 臥位ポータブル
撮影において放射線技師は、ほとんど X 線の中心束をフィルム中心に置くことができな
い。なぜなら、 X 線の中心束及び、フィルムは別々に設置しなければならないからであ
る。
このように、我々の現行方式のソフトウェアには、仰向きの胸部写真にて一貫した良好
な品質のサブトラクションイメージを得るという点では制限がある。通常、胸部写真の画質
を定義するために使われる客観的なパラメータは、 SN 比 ( SNR ) である。
しかしながら、 SNR はサブトラクションイメージに基づいて使われることができない。な
ぜなら、完全に真の経時的変化を除いて記録されるシグナルがないからである。現在およ
び過去の画像の間に経時的変化がないとき、完全に記録されたサブトラクションイメージ
は、単調な中間グレーを示す ;この場合、更に暗い、または更に明るいエリアは、アーチフ
ァクトによって引き起こされたものである。すなわち、真の経時的変化が信号(シグナル)で
あり、そして、アーチファクトがサブトラクションイメージにおけるノイズであるので、オリジナ
ルのイメージを参照することなしの真の経時的変化、及びアーチファクトを区別することは
困難である。このようにサブトラクションイメージが画質の客観的なパラメータを持っていな
いことは、品質保証に関しては望ましいものではない。
今回の研究において、我々は、画質の客観的なパラメータとしてサブトラクションイメー
ジのグレイスケールの標準偏差を使った。しかしながら、現在及び過去のイメージの間に
大きな変化、もしくは、び慢性変化があったときサブトラクションイメージのグレイスケールの
標準偏差を用いることはできない。一方、相対的なシフト角度、及び、今回及び前回のイメ
ージの間の垂直距離は、全体の主観的画質との弱い相互関係を示し、そして、この相互
関係は、統計上有意であることが見い出された。
相対的なシフト角度、及び、今回及び前回のイメージの間の垂直距離が客観的画質を
直接示すことができないが、それらは、それでもなお画質の客観的なパラメータとして使わ
れ得る。更に、主観的画質のポイントは、グレイスケールの標準偏差に関する予測に基づ
いた陰性の勾配を持つラインに沿っていなかった。胸部放射線科医は、胸腔内エリアの画
質を主として評価する、一方、グレイスケールの標準偏差は胸腔内・外を含む全エリアで
計算された。この相違は、ポイントが図 4d で陰性のラインに沿っていなかった理由である
かもしれない。臥位胸部写真でサブトラクションシステムによって抽出された多くの画像が
3 のスコアを与えられた。
今回の検討には、いくらかの制限があった。我々の研究における観察者にはサブトラク
ションイメージを使う胸部 X 線写真を読影するための十分な経験があったが、トータルの観
察者数は少ないものであった。我々の研究におけるケース選択は、胸部 X 線撮影に基
づいており、真の経時的変化の存在を CT では確認せず、現在の CAD システムの内部
アルゴリズムの分析は、クローズな環境のワークステーションを必要とした。これらの理由の
ために、他の調査者にとって全く同様の研究を行なうことは難しいとおもわれる。
サブトラクション法の主要な目的は、経時的変化をより発見しやすくすることである。
しかしながら、我々の研究は、過去及び今回のイメージの間で経時的変化なしのケース
のみを調査した。なぜなら、それらを検討するための研究設計は、複合的になるであろうと
思われたからである。経時的な変化を見る場合は更なる研究が必要とされる。
最終的に、我々はサブトラクションイメージの品質定格に対する個々の読影への影響を
調査しなかった。このように、更なる調査が今後必要になると思われる。
それでもなお、今回の検討結果はサブトラクション法を PACS に統合することの有益さ
を明確に示している。我々は、 PACS をサブトラクションイメージを自動的に生じさせるこ
とが可能であるシステムを市販 PACS に統合した。立位撮影の患者と共に得られた全ての
サブトラクションイメージは、臨床での使用にとって受け入れ可能な品質であった ( 更に
悪いフィルムコンディションを生み出す臥位でとられたイメージの 66% と同様に ) 。
サブトラクションイメージ、及び、相対的なシフト角度のグレイスケールの標準偏差、及び、
オリジナルのイメージの間の距離のような客観的なパラメータは、画質を評価するのに有益
である可能性が示唆された。