人材を採用して税金を減らそう!(雇用促進税制)

人材を採用して税金を減らそう!(雇用促進税制)
雇用を促進するための税金軽減処置
雇用促進税制は、その名のとおり、雇用を促進するための制度です。この制度を利用す
るためには青色申告書を提出しているほか、いくつかの要件を満たす必要はありますが、
要件を満たせば法人、個人ともに増加雇用者一人あたり40万円の税額控除が受けられる
という制度です。さらに、中小企業では要件が緩和されているので、雇用拡大を計画して
いる場合にはぜひ利用したい制度です。
※中小企業とは、資本金 1 億円以下、または、資本・出資を有しない法人のうち
常時使用する従業員数が 1,000 人以下のものをいいます。
主な要件は2つ
雇用促進税制を受けるためには、適用年度(平成26年4月1日から平成28年3月3
1日までの期間内に始まるいずれかの事業年度)において、(1)頭数増加要件と、
(2)
給与等増加要件を満たす必要があります。
(1)頭数増加要件
雇用を促進するための税制ですから、雇用者(雇用保険被保険者)の頭数を増やさなけ
ればいけません。どれだけ増やせばよいか、というのが頭数増加要件です。中小企業は2
人以上(大企業では 5 人以上)
、かつ、雇用増加割合が10%以上となっています。
雇用増加割合というのは、前期末に比べてどの程度雇用者数が増加したかの割合で、以
下の算式で計算します。
雇用増加割合(★) =
適用年度の雇用者増加数
前期末の雇用者総数
たとえば、中小企業において、前期末は10人の従業員がいて、適用年度末には12
人になっていたとします。この場合、2人増加、かつ、雇用増加割合=2人÷10人=
20%であり雇用増加割合10%以上となっていますので、頭数増加要件を満たします。
一方、同じ中小企業において、前期末50人→適用年度末54人となった場合はどう
でしょうか。2人以上の増加はありますが、雇用増加割合=4人÷50人=8%となり、
雇用増加割合が10%未満となってしまいますので、雇用促進税制を適用することはで
きません。
(2)給与等増加要件
さて、
「頭数を増やせばよい」だけであれば、
「頭数だけ増やして給与を出さないでお
こう。そうすれば、人件費を増やさずに税額控除が受けられる!」と考える人が出てき
ます。これでは、雇用促進の趣旨が達成されません。
そこで、もう一つの要件として、「給与が一定以上増えていなければ、雇用促進税制
を認めませんよ」と定めています。これが給与等増加要件です。では、どれだけ増えて
いればよいのでしょうか。次の式で判定します。
適用年度の給与等支給額 > 比較給与等支給額(※)
(※ 比較給与等支給額=前期の給与等支給額
+前期の給与等支給額×雇用増加割合(★)×30%)
たとえば、
(1)と同じ例として雇用者が10人→12人と増加し、給与等支給額が
前期 1,000 万円→適用年度 1,100 万円に増加したとしましょう。この場合、比較給与等
支給額は、1,000 万円+1,000 万円×20%(★)×30%=1,060 万円となります。適用
年度の給与等支給額は 1,100 万円であり、比較給与等支給額 1,060 万円を上回っていま
すので、雇用促進税制の適用を受けることができます。
なお、
「給与等」とは、俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有す
る給与のことです。さらに、雇用促進税制で対象となる「給与等」は使用人に対する
給与であって、役員に対して支給する給与や退職給与は除かれます。
控除される税額
前述の2要件の他、以下の要件を満たす必要があります。
①青色申告書を提出する事業主であること
②適用年度とその前年度において事業主都合による離職者がいないこと
③風俗営業等を営む事業主ではないこと
以上のすべての要件を満たせば、雇用促進税制が適用できます。雇用者増加数一人あ
たり40万円の税額控除を受けることができるようになりますが、適用年度の法人税額
(所得税額)の20%(大企業では10%)が上限となります。
雇用者増加数×40万円
法人税額×20%
いずれか小さい方
~おさらい~
さて、それでは以下の例を使って、これまでに見てきた要件のおさらいをしましょう。
(例)雇用者数:前期末10人→当期末12人
給与等支給額:前期1,000万円→当期1,100万円
当期法人税額:150万円
【頭数増加要件】
・雇用者増加数 :12人-10人=2人・・・2人以上なので要件クリア!
・雇用者増加割合:2人÷10人=20%・・・10%以上なので要件クリア!
【給与等増加要件】
・比較給与等支給額:1,000万円+1,000万円×20%(★)×30%
=1,060万円
・適用年度の給与等支給額1,100万円>1,060万円・・・要件クリア!
【控除税額】
・増加雇用者数2人×40万円=80万円
・法人税額の上限:150万円×20%=30万円
・控除税額:80万円>30万円 ・・・30万円
※
さらに、当該控除額は住民税法人税割の課税標準からも控除されますので、本ケー
スにおいては、150万円-30万円=120万円となります。
適用のための手続き
雇用促進税制を受けるためには、事業年度開始後2ヶ月以内に、納税地を管轄するハ
ローワークに雇用促進計画を提出する必要があります。まずは目標雇用者増加数等を記
した雇用促進計画を提出します。
そして、事業年度終了後2ヶ月以内に実績を雇用促進計画に追記したうえで再度ハロ
ーワークに提出し、達成状況の確認を受けます。確認印の捺印された雇用促進計画の写
しを確定申告書に添付し、税務申告を行うことで税額控除が受けられます。
2人÷0人=???
ここまで概要をみてきましたが、さまざまな疑問がわいてくるかと思います。たとえ
ば、設立1年目の会社。この会社では、雇用促進税制の適用が受けられるのかどうか??
結論からいうと、設立1年目では適用できません。あくまで前期を基準とする制度で
すので、
「前期」自体が存在しない設立1年目は対象外なのです。
その他にも、前期末における雇用者がゼロである場合も考えられます。このとき、雇
用者増加割合を計算しようとすると…
【前期末0人→当期末2人】
雇用者増加割合=増加数2人÷前期末0人=???
数学でいうところのゼロ割になってしまい、無意味な計算になってしまいます。この
ようなとき、雇用促進税制の適用が受けられるのでしょうか?
また、小規模企業では、社長一人であったり役員のみであったりするケースも多いで
しょう。
「給与等」には役員の給与は含まれませんので、前期給与がゼロとなることも
考えられます。この場合は雇用促進税制が適用できるでしょうか?
これらは疑問の一例に過ぎませんが、手続きをする際には数々の疑問が生じてくるか
と思います。石島会計では専門家ネットワークも充実しており、そうした疑問にお答え
していきますので、雇用促進税制に興味がございましたら、ぜひご相談下さい。