札幌清田病院だより 第2号

1.消化器病とがんの専門病院として診断から治療まで一貫した
最良の医療を提供する。
緩和ケア、在宅ケアを重視するとともに疾病の予防にも努力する。
清田病院
2009.5
医療法人
第2号
2.患者さんと家族の意思を尊重し、適切な情報提供によって患者
さんを中心としたチーム医療の実現をめざす。
3.地域の他医療機関と連携し、地域完結型の医療を志向し、地域
社会の健康増進に貢献する。
4.医療の質向上のため、職員の教育研修に努め、安全な医療
サービスの提供体制を確立する。
私たちは当院に来院される患者さんと家族の方の次の権利を尊重します。
あしりべつ川
1.基本的人権と人格を尊重される権利
2.思いやりのある、良質な医療を受ける権利
3.適切な情報提供や十分な説明を受ける権利
4.納得のもとに、検査や治療を受けるか受けないかを決定する権利
5.プライバシーを保護される権利
6.健康であるために情報を求める権利
空沼岳を源流とする豊平川最
大の支流「あしりべつ川」。
その語源はアイヌ語の「アシ
ル
(新しい)」と「ペッ
(川)」で
す。清田区の開発は、この暴
れ川沿いの田園開拓から始ま
りました。現在、河川敷はウ
ォーキングおよびパークゴル
フのコースとして親しまれて
います。川には、ウグイ、ヤ
マメ、コイ、ウナギ、ドジョ
ウ、エビなどが生息し、サケ
の遡上も確認されています。
以上の皆様の権利を守り、病気による損失を最小限にするために、
患者さんと家族の方が積極的にご自分の療養と関わるようご協力をよ
ろしくお願い致します。
清田病院
特定健診について
特定健診とは、厚生労働省により平成20年4月から実施が
義務付けられた内臓脂肪型肥満に着目した健康診査です。健
診によって発見されたメタボリックシンドローム(内臓脂肪症
候群)の該当者やその予備群に対し継続的な保健指導(特定保
健指導)
を行い、糖尿病や高血圧症、脂質異常症(高脂血症)
な
どの生活習慣病の発症や重症化を減らすことが目的です。
対象は40歳〜74歳(75歳以上の方は別途の方法で実施さ
れます)の健康保険加入者で、料金は加入されている健康保
険により異なります。
当院にて健診をご希望の方は、予約制となっておりますの
で、電話もしくは受付にお問い合わせください。なお、加入
されている健康保険によってはお受けできないことがありま
す。また、特定保健指導は実施しておりませんのでご了承く
ださい。
掲示板
フットケアについて
糖尿病で血糖値が高い状態が続くと、足に神経障害や血
流障害が出てきます。傷ができていても気づかずばい菌が
入り、化膿します。ひどくなると潰瘍になり、足が腐る壊
疽(えそ)という状態になってしまうのです。また、歩く
とふくらはぎが痛い、足先がしびれる人は血液の流れが悪
くなっている可能性があります。足に痛みやしびれを感じ
る方はぜひご相談ください。糖尿病と足は意外なほど強い
関係があります。やけどや傷ができてしまった、魚の目や
タコ、水虫がなかなか治らない、爪が厚くなっていてうま
く切れない等日頃困っていることがありましたら声をかけ
てください。足をよく見る、正しい手入れをするフットケ
アがとても重要なのです。
〒004-0831 札幌市清田区真栄1条1丁目1番1号
1 011
(883)6111 FAX011
(882)7477
http://www.kiyota-hp.or.jp
写真・コメント提供/清田まるごと博物かん
事務局長 飯田俊郎さま
院長就任
ごあいさつ
医療内容・医療体制のより一層の充実を図り
患者さんとご家族に心のこもった最善の医療を
提供できるよう全力を尽くす所存です。
院長
山内 尚文
(やまうち・なおふみ)
このたび、4月1日に、清田病院の院長に就任いたしま
した。これまで、副院長として当院で診療にあたってま
いりましたが、今後は、地域の方々によりよい医療を提
供するため、当院の一層の医療内容の充実を図るべく全
力を尽くす所存でございます。
私たちは、当院の基本理念として、個別性と継続性の
尊重を掲げています。それは、患者さん一人一人の医療
ニーズにあわせて、外来通院、入院治療、在宅医療を通
して、チーム医療による心のこもった最善の医療を提供
することであります。また、患者さんが、安心して医療
を受けられるように、医療事故防止委員会、感染防止委
員会、輸血療法委員会などを設置し、医療の安全を確保
するための万全の体制を整えております。そして患者さ
んはもとより、そのご家族の方に対しても温かい思いや
りのある医療を行っていきたいと考えています。
「清田病院だより」も 2 号目となり、今回は、前号の消化
器科に続いて、当院の消化器疾患に対する治療の一翼を
担っている外科の特集です。外科での手術となると、誰
でも心配や不安が大きいものですが、今回の特集で、そ
ういったことに対する疑問が少しでも解消していただけ
れば幸いです。また、4 月より、豊富な経験を有する内科
の常勤医が一人増えましたので、血液疾患や消化器疾患
をお持ちの方に、これまで以上に良質な医療を提供でき
るものと自負しております。
当院の医療サービスをより良いものにするために、ご
意見箱や相談コーナーにお寄せいただいた、みなさんの
ご意見やアイデアを参考にしまして、職員一同、ひとつ
ひとつ実現できることから積極的に取り組んでいきたい
と思います。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
消化器がんを中心に高度な医療体制と十分な実績
悪性の病気が発見されても、転院の心配なく
当科にて安全な手術が施行可能です
診療科紹介───2
医師・スタッフ体制
清田病院 外科部長
富山光広
(とみやま・みつひろ)
清田病院外科は平成 6 年12月に開設され
今年で15年目を迎えました。ご利用いただ
き当科をささえてくださいました清田地域
を中心とした患者様には心からお礼申し上
げます。
当科は現在3名の常勤医と1名の非常勤医
にて構成されております。常勤医のうち私
は日本外科学会指導医・日本消化器外科学
会指導医、1名は日本外科学会専門医・日本
消化器外科学会専門医、1名は日本外科学会
専門医・日本消化器外科学会専門医・日本
がん治療認定医を取得しており、特に消化
器がんを中心として高度な医療の提供が可
能な体制になっております。
悪性腫瘍手術の内訳として平成20年まで
に胃がん266例、大腸がん428例、肝・胆・膵
がん135例、乳がん42例、肺がん30例の手術
を手がけてまいりました。難しい手術とい
われている肝・胆・膵がんに関しましても
十分な実績があるため、他病院に転院する
ことなく当科にて安全に手術が施行可能で
す。悪性の病気が発見されたらどこか他の
病院に送られてしまうのではないかといっ
たご心配はありませんので安心して当院内
科・消化器科から受診していただければと
考えております。
また、身近な病気としては、胆石症619例、
虫垂炎300例、ヘルニア299例、痔185例の手
術を行ってまいりました。胆石症に関しま
してはほぼ全症例に対しまして傷の小さな
腹腔鏡下胆のう摘出術を行っております。
また虫垂炎の手術もエコーや最新型のCT
を駆使すると虫垂の根元の位置が特定でき
ますのでかなり小さな傷で手術を行うこと
ができます。ヘルニア(脱腸)にも補強材を
使った再発率の少ない新しいタイプの手術
を提供してきました。痔に関しては痛みの
ほとんどないPPH手術を平成12年と道内で
も早い時期から行っておりこれは別項にて
ご説明いたします。
今後とも皆様にご利用いただき地域に
根付いた外科環境を提供していきたいと考
えております。
清田病院の外科医師は平成20年度より常勤医3名
(富
山光広部長、山田秀久、矢野智之)
と非常勤医1名(北海
道大学腫瘍外科スタッフ)体制となっています。全員
が外科、消化器外科専門医(指導医1名)で、消化器外
科学会以外に内視鏡外科学会、肝胆膵外科学会などに
も所属しています。昨年の当科手術件数は258例で全
身麻酔症例は171例でした。胃、大腸、肛門など消化
管疾患が中心ですが、専門医3人体制となり全症例数は
前年より増加し、具体的には腹腔鏡下手術が、特に大
腸がん症例で増加しています。消化管疾患の手術以外
にも、肝臓、胆のう、膵臓などの手術についても積極
的に取り組んでおりますので、相談症例を含めご紹介
頂ければと思います。
診療の
流 れ
インフォームド・コンセント
手術室
よく説明を受け理解したうえで治療に同意すること
をインフォームド・コンセント(I.C.)といい治療方針
の決定には欠かせないものとされています。そういわ
れても医療情報は専門用語だらけでわかりづらいです
し、ましてやどんな治療法が自分に合っているかなど
とは考えも及ばないのが正直なところではないでしょ
うか。しかしそんなに難しく考えることはありません。
自分が今までどうして来たか、今病気に直面して治療
する場合としない場合の結果はどうなのか、そしてそ
の病気と向かい合ってこれからどうやって生きていき
たいか、そのような希望が表現できれば十分なのです。
自由にお話ししてみてください。そこからすべてはス
タートするはずです。
看護の目線で手術患者さんを観たら花柄のユニフォームになりました
清田病院の手術室では、花柄のユニフォームを着
た笑顔の看護師が患者さんをお出迎え致します。一
般的に外科医や麻酔科医の助手的なイメージの強い
手術室看護師ですが、清田病院ではすべての看護師
が患者さん中心の看護をこころがけております。そ
れは、手術室という特殊な環境の中でも変わること
はありません。不安とともにある患者さんに少しで
も優しく、そして温かく接していたい、そんな看護
師たちの気持ちのあらわれの一つが、花柄のユニフォームと看護師の笑顔です。そして、
手術室にはいつも患者さんが選ばれた音楽が耳に届くように流されています。
手術中、あるいは手術前後、患者さんが眼を開けると、そこにはいつも花柄のユニフ
ォームを着た笑顔の看護師がおります。手術室看護師が患者さんの横を離れることはあ
りません。われわれは、いつも24時間体制で患者さんの手術に付き添う準備をしており
ます。どうぞ、安心してわれわれに病の身体とこころを預けてください。
治 療
受 診
血管造影検査(AG)
血管造影検査
とは、カテーテ
ルと呼ばれる直
径数 mm、長さ
が50〜100cm
の管を血管内に
挿入し、そのカ
テーテルの先を
目的の血管まで
送り、特定の血管のみに造影剤を注入して撮影する検
査法です。当院では、肝臓などの腫瘤性病変の診断な
どを目的に行われていますが、診断のみではなく、腫
瘤に栄養を与える動脈を閉塞させる動脈閉塞術など、
血管造影検査の手技を利用した治療も行っています。
従来の血管造影検査では、血管以外の骨や腸の空気
などが血管と一緒に写り、診断の障害になる場合もあ
りましたが、DSA(デジタル・サブトラクション・ア
ンギオ)装置は、コンピューター処理を施し、血管以
外の骨などを差し引く(サブトラクション)ことにより
血管のみの良好な画像を得ることができる装置です。
診 察
検 査
マンモグラフィー
マンモグラフィーは、乳
がんを診断する方法のひと
つで、乳腺・乳房専用のレ
ントゲン撮影です。マンモ
グラフィー検診は、このマ
ンモグラフィーを使った乳
がん検診のことです。触っ
ても判らないような早期の
小さな乳がんは勿論、しこ
りを作らない乳がんを白い
影
(腫瘤影)や非常に細かい
石灰砂の影
(微細石灰化)
として見つけることができます。
悪性の病気だけでなく、良性のものも見つかります。
視触診も超音波検査も、乳がんを調べる大切な方法
ですが、マンモグラフィーを視触診と併せて行った乳
がん検診は、視触診だけの検診や超音波検査を併用し
た検診に比べて、2〜3倍の乳がんの発見が可能と言
われています。マンモグラフィー検診は、できれば視
触診と併せて最低2年に1度、できれば1年に1度受け
ることをおすすめします。
入 院
手 術
内視鏡外科手術
腹腔鏡手術:
小さい創が数ヶ所です。
外来治療
在宅療養
開腹手術:
従来どおりのキズです。
内視鏡外科手術は体に1cm程の小さな穴を数ヶ
所あけ、ビデオカメラと特殊な手術器具を使って
行います。術後は痛みが軽い、早期回復、傷が目
立たないなどの利点があります。働き盛りの方は
もちろん高齢な方に対して従来どおり病気を治
し、しかも体にやさしい手術方法です。胆石症、
大腸がんをはじめとする多くの消化器疾患、呼吸
器疾患などが適応となります。当院では、安全性
と確実性を第一に内視鏡外科手術を行っております。
P
P
H
当科では内痔核に対してPPH という手術を
行っております。排便後に指でもどさなけれ
ばおさまらないようなⅢ度、あるいは排便時
以外の日常生活でも痔核が脱出するⅣ度の内
痔核には最適な手術です。内痔核は一見ただ
腫れているように見えますが、実は肛門上皮
と肛門の筋肉との間が伸びきってしまいたる
んだ状態になっているのが悪さをする原因と
考えられています。PPH は、はみ出た痔核を
外から切り取るのではなく、たるんだ肛門上
皮を直腸付近で筒状に切り取る手術なのです。
傷は痛みの感じない外からは見えないところ
に出来ますから手術後の痛みがなく翌日から
楽に排便が可能です。術後便が漏れるように
なった……などといった後遺症もこれまでの
ところ全く認められておりません。痔の手術
を受けたいのだけれども痛みの噂を聞くと…
…という方には最適な方法だと思います。