インタラクティブ タイヤ ・ハンド ステアリング

新しいクルマは 、
「 発 想 」が 生 み 出 す
by 国政久郎
ステアリング 機構 にロール 規制とダンピングを 追 加
SUSPENSION NAME
インタラクティブ タイヤ・ハンド ステアリング
今月のシャシーコンストラクター
コンセプト :
どんなサスペンション機構?
今回 Formula MFiに応募するにあたってコースの
攻略法について考えてみて、こんなフロントサス
ペンションを考えつきました。ステアリングを切っ
てタイヤに舵角をつけると同時に、ステアリング
ロッドも傾かせることで強制的にばねを縮ませて
ロールを減らすような機構です。タイヤからの入
力がステアリングまで直に伝わってくるような機
構にしてダイレクトなドライブフィールも得られる
といいですね。車両は1人乗りカート程度を想定。
学生時代には数学を専攻していましたが、工学に
ついては最近勉強を始めたばかり。まだまだ基
本的な知識は足りないと思いますが、徐々に改良
していきたいと思っています。
ステアリングを切 ることでロール 量を減少させる
今までになかった
発想かも!!
ステアリング舵角が増えるとロールが減る……アイデアとしては面白いね。前例はあるのかもしれな
いけれど具体例は見たことがない。ただ、ステアリングを切る大きさに応じてばねを強制的に抑える
と、舵角とロールを規制するばねの規制値が常に一定になってしまう。つまり、ゆっくり走っていて
90 度ステアリングを切った時と、ハイスピード時に90 度切った時とでは発生するGやロールは異な
る。横 Gが増えればもっとロールを規制したくなるから、Gとの兼ね合いを考えた処理が必要だね。
国政久郎 の 総評
発想力
サスペンション
発想としては非常にユニークな機構。ただ、ステアリング
系にダンパーを取り付けるのはOKだが(実際2輪にステ
アリングダンパーという例もある)
、タイヤからステアリング
までの間にばねのような弾性体を置いてはならない。これ
はサスペンション設計の基本だ。また、シャシーとの結合
方法など考えなくてはならない点も多くある。まだまだ現実
的なアイデアには至っていないが、廣田さんには新たな機
構の考案も含めて検討を重ねてほしい。
022
アイデア 募集中!
あなたもシャシーコンストラクターとなってフォーミュラカー
をデザインしてみませんか? 車両全体でもひとつのパーツだけでもOK。
今回ご応募いた
だいたアイデアの改良版でもOKです。
イラストまたは図面
に簡単な説明を添えてご応募下さい。
発想は自由!
レギュレーションなどの詳細はVol.73またはMFi公式ウェブ
サイト
(http://motorfan-i.com/)
をご覧ください。
[ 応募先 ]
<郵送>〒160-8547 東京都新宿区本塩町19
株式会社三栄書房
モーターファン・イラストレーテッド編集部 Formula MFi係
<メール>[email protected]
<MFi公式ウェブサイト>http://motorfan-i.com/
応募 のヒント
いきなり新しいアイデアを考案するということは難しいかもしれない。
まずはここから
挑戦してみよう!
ならば、
こういうのはどうだろう? アイデアを考えていく上で必要な
要素の一部をまとめてみた。
こういった基本的な素材で遊んでみることから、
徐々に発想を広げていってほしい。
PHOTO:ZF/Dave-7/住吉道仁
(Michihito SUMIYOSHI)
/Daimler/Audi
リンク 機構 は
材料 を見直してみよう
耐久性を考える必要 がなければ 、材料 はどう変 わってくる?
上下方向 のみ 考 える
ダブルウィッシュボーン
まず各パーツの材料について考えてみよう。
たとえば、
ばねを見てみると一般
的な金属以外にも様々な材料を使ったものがある。
FORMULA MFiは量産車
とは異なり、
安全性が確保できていれば10年10万kmといった耐久性は必要
ない。
そうすると、
リスト以外にも材料が思いつくのではないかな? ダン
固定
パーやジョイントも主要なタイプを挙げてみた。
何か他のタイプものが思い
揺動
ついたら是非聞かせてほしい。
スプリング
( ばね )
固定
シャシー側のジョイント
は固定し、ハブキャリア
側のジョイントはアッ
パー/ロワーともに揺動
する。学生フォーミュラ
ではこの機構を採用する
例が多いが、関節の数が
多くなるので必ずしもベ
ストアンサーとは言いが
たい…。
揺動
●
金属
●
エアスプリング
(空気ばね)
●
ラバー
(ゴムばね)
●
樹脂
●
FRP
ストラット
直動
ダンパー
●
オイル 式
(流体)
●
●
磁性流体式
●
摩擦式
エアダンパー
●
回生式ダンパー
●
電気式
(発電式)
揺動
現在の自動車で最も採用
例が多いのがストラット
式。シャシー側のジョイ
ントは固定し、揺動する
点はロワーアームの 1 点
のみ。コイルスプリング
とダンパーはスライド
(直動)する。スライディ
ングピラーの発展形だ。
固定
ジョイント
●
ラバージョイント
●
スフェリカル
ジョイント
(金属)
●
ジョイントレス
組 み 合 わせを変 えて
新 たな 発見!!
巧い 組み合 わせを見つければ 機構 はもっとシンプルに
スライディングピラー
ストラット式のルーツといえるス
ライディングピラー式。ストラッ
ト式とは異なり、ロワーアームは
固定されているので揺動せず、コ
イルスプリングとダンパーがしゅ
う動することで機構が成立。ラン
チアのラムダなどに採用された例
がある。
前後/横/回転方向の動きは止 めるように設計
ばねの材料とダンパーの種類との組み合わせを変えてみるだけでも新しい
サスペンションを設計する上での基本は、
アームの上下の動き
(1次自由度)
発想が出てくるはず。
組み合わせによっては軽量化や部品点数の削減にもつ
だけを許して、
その他の動きは止めなくてはならないということ。
設計時に、
ながる。
たとえば、
リーフスプリングの端部で発生する摩擦をダンパーとして
タイヤが倒れないように横方向の動きを止めるキャンバー剛性
(トレッド剛
も使用すれば部品点数を削減できる。
また、
規定のコースを走る上では極力
性)
や、
外から入力がある度にタイヤの位置がずれてしまわないよう前後方向
シンプルにした方がメリットは多い。
たとえばジョイントレスにしたF1のロ
のタイヤ位置を決めるトー剛性
(タイヤの進路剛性)
、
回転方向へはトラク
ワーアーム。
剛性が高く位置決めしやすいのに構造はいたってシンプルだ。
ション剛性とブレーキ
(ナックルハブ側)
剛性を持たせる必要がある。
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