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バ ル セ ロ ナ フ ォ ー ミ ュ ラ テス ト レ ポ ー ト
まずは、イタリアでのテストに続き、 このテストに関わってくださった全ての皆様に感謝いたしま
す。 今回も自分にとって、今後のキャリアのための素晴らしい経験となりました。 また、より一層
フォーミュラーで”レースをしたい”という気持ちが強くなりました。
以下、レポートです。
12月7日 -15°Cの極寒の国から、15°Cの国へ。
オーストリアからスペイン・バルセロナへやってきました。 空港に着き、そのままカタロニアサー
キットへ向かいました。 チームの皆さんに挨拶をして、直ぐにコースの下見をしました。 この日は
Auto GPの合同テストで、15-16台走っていました。
Auto Gpのマシンは見た目がでかくて、グリップも高そうでした。 ちなみにカタロニアサーキットで
は最高速274km/hだそうです。 その後、自分が借りるF Abarth仕様のマシンに乗り、ポジションを確認
しました。 翌8日はいよいよカタロニアサーキット初走行です。 たまらなくわくわくしました。
12月8日
エンジニアと走行前にしっかりミーティングをし、ソスピリさんの運転に同乗してコースを確認し、
走行に備えました。 自分の感覚も前回のImola Circuitから残っていて、何の問題もなく乗れました。
とにかく、今回は走行距離を稼ぐことが1番の目的だったので、 コースアウトしたり車を壊さないよ
う慎重に走っていました。 コースはさすがF1のコースということもあり、素晴らしかったです。 例え
ば想像していたよりもアップダウンが激しく、先の見えないコーナーが多く、 とてもチャレンジング
なコースです。 そのため、車の挙動をしっかり把握することが大切でした。
午前中だけで50周オーバーくらい走行することができました。 チームメイトとの比較としては、タイ
ヤのブランドが違っていましたが、 この時点でコンマ差で終えることに成功していました。 午後は
NEWタイヤを入れていきました。 最初はクムホタイヤを投入しました。 グリップ感が高くイケルと
思ったところで、 不運にもブレーキトラブルを抱えてしまいました。 そのため、タイムはほとんどあ
がることなく、このセッションは終了してしまいました。
2セット目はミシュランタイヤで行きました。 チームが来年、Formula Renaultに参戦するので、そこで
使用するタイヤを投入してデータ取りをしています。 スケジュール的には最終セッションだったの
で、エンジニアから 「感覚が良かったら、サインボードを無視して走れ! 一発タイムを出してチームメ
イトに勝とう!!」 と気合の入ったアドバイスをくれました。 このセッションは全員同じタイミングで
ミシュランNEWタイヤということで、 より気合が入りました。 しっかり、タイヤを暖めてアタック
を開始しました。 最初のほうで一発トップタイムを出し、その後はタイヤがタレた感じがあったの
で、 自分なりにいろいろなことにトライしながらクールダウンをして、 タイヤが冷えたところで再度
アタックに入りました。 サインボードはBOXでしたが、アドバイスの通り無視して走りました。 ライ
ン、走り方など一度見直すことが出来たので、 タイムはさらに上昇し、安定しました。 チームメイト
と比べ、コンマ4秒速かったです。
初めてのサーキットでしたが、じっくり走り込んだ事で、 ラインや走り方など、かなり身に付いたこ
とは良かったと思います。 しっかりエンジニアと話し合い、車を自分の乗りやすい方向へ作れたこ
と、 去年F Abarthに参戦し既にたくさんの練習を積んでいるチームメイトに勝てたことは、 とても嬉
しかったです。 チームもすごく喜んでくれて、自分は今日いい仕事が出来たのかな?と思いました。
12月9日
日曜日はオフで、バルセロナへ観光に行きました。いろんな建物を見ることができて、人生において
いい経験となりました。 その後は今回付き添ってくれたDarrellさんとしっかりトレーニングをし、明
日に備えました。
12月10日
月曜日のカタロニアサーキットはいろんなチームがテストに来ていました。
Formula Renault,Formula 3,Formula Abarth,Formula ADAC,
みんな来期に向けての練習です。 この日は気温が低く、タイヤがとても冷えて危険な状態でした。 最
初のセッションはすぐに赤旗が出ました。 コース上はけっこうな台数で危険なので、注意しなくては
なりません。 それでも徐々にタイムアップしていき、乗れば乗るほど車への理解が増え、 どんどん手
足のように使えるようになっていきました。
この日は1日4セッション、50分しかないので、とにかく走行を重ねました。
ラスト2セッションはNEWタイヤを投入するタイミングです。 コースコンディションがそれほど良く
なく、 それに毎周トラフィックでまともにタイムが出せない状況でした。 先ずはユーズドタイヤで数
周し、その後NEWを入れました。 みんな同じタイミングで装着し、予選のシュミレーションです。
エンジニアから「マキシマムプッシュ!!!!!!!!!!Go!!!」 という気合の入ったアドバイスがあり、自分もよ
りいっそう気合が入りました。
タイヤウォーマー付だったので、最初からプッシュすることができました。 既に温まっている状態だ
と3-4周目がベストだったのでそれに合わせてイメージし、 全開アタックを開始しました。 しかし、
これも不運なことに、一番良いラップでトラフィックに引っかかり、 タイヤのいいところが台無しで
した。 それでもまだまだいける感覚があったので、あきらめずにプッシュしました。 それが実り、3
周連続1’44’3という素晴らしいラップを重ねることができ、 トップタイムを叩き出しました。 勢いも
あり、短い間で変えたセッティングもあっていて、 かつて無いくらい”キテる”という感触がありまし
た。 最終周まで、コンマ1秒差くらいの安定したラップを重ねていました。 そして最終周、1コーナー
でオーバースピードし、 コースアウトして止まってしまいました。 帰ってきて、ソスピリさんに謝っ
たら、 「おめでとう!本当に良くやった!あのアタックは素晴らしかった! すこし3-4周目のトラフィック
が残念だったね」 と逆に褒めてもらいました。 エンジニアもものすごく興奮し喜んでくれました。
改めて思ったことは、乗れば乗るほど速くなっていくという感触はたまらなかったです。 ソスピリさ
んをはじめとするこのチームは素晴らしく、 全てのスタッフが僕のフィードバックやリクエストに真
に応えてくれて、 マシンのセットアップがどんどん進んで行きます。 それは自分にとっても引き出
しになるし、 データーの解析はもちろんのこと、あらゆることを学ぶことができました。
最終的にチームメイトには負けることなく終わることができたのは嬉しいことでした。 そして僕は、
来年フォーミュラで戦うための自信が深まり、とにかくレースをしたいという気持ちが更に強くなり
ました。 もっと先へ進んで行きたい!その気持ちだけです。
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来年、僕はフォーミュラルノー2.0ALPSシリーズに参戦したい希望があります。 EURO CUPと違って、
テスト走行が許されているこのシリーズは、自分のマイレージ不足を補える利点もあり、 フォーミュ
ラドライバーとしての将来を考えても、 充実したシーズンが過ごせると思います。 目標であるF1への
道のりを考えるとき、 現在はルノーシリーズが主流になりつつあるという実情もあります。 先ずはこ
のシリーズの扉を叩きたいと考えています。
レースに参戦するためには、 カートレースとは桁の違うたくさんの資金が必要になるので、 どうして
も皆さんのお力をお借りしなくてはなりません。 どうかご理解をいただければ有難いです。
また、カートレースの後輩やその親御さんたちに、 将来についての相談を受ける機会があります。 僕
が皆さんに御協力いただきながら道を拓くことができれば、 彼らに夢を与えるひとつの例になる事が
できます。 そのためにもやれることを必死に頑張って行きます。
どうかご協力を、よろしくお願いいたします!!! 読んでいただき、本当にありがとうございました。
笹原 右京