【講義の概要】 金属材料の機械的性質やその他の性質は、その内部組織

3回生「金属材料学」 アウトライン 2016 年度 担当:辻 【講義の概要】 金属材料の機械的性質やその他の性質は、その内部組織・構造と密接に関係する。本講義
では、鉄鋼および非鉄金属の加工や熱処理において生じる組織変化を、凝固および相変態・
析出・再結晶などの固相反応の基礎とともに講述し、得られる組織と力学特性の関連を解説
する。
下記の関連講義で学習した、状態図、格子欠陥、固相反応(相変態・析出・再結晶)、結晶
塑性論の内容を、現実の材料のプロセス・状態図と結びつけ、金属材料におけるミクロ組織
の形成機構をより具体的に理解させる。
【関連講義】
・ 材 料 科 学 基 礎 1 (2回生後期)
固体の構造、固体中の欠陥、固体内の拡散、固体材料の変形、純金属単結晶の塑性変
形、多結晶材料の塑性変形、双晶変形とクリープ
・ 材 料 科 学 基 礎 2 (2回生後期)
金属・合金のミクロ構造、平衡状態図の基礎、二成分系状態図、状態図の熱力学的基
礎、三成分系状態図
・ 材 料 組 織 学 1 (3回生前期)(H24 までは「材 料 組 織 学 」)
状態図の基礎的概念、熱力学的知識、理想系二元合金とその状態図、不変反応を示す
二元系状態図、三元系状態図
・材 料 組 織 学 2 (3回生後期)
凝固・結晶成長過程における組織形成、熱力学、速度論
・ 構 造 物 性 学 (3回生前期)
原子の移動、拡散型相変態、無拡散型相変態、回復・再結晶
・ 結 晶 物 性 学 (3回生前期)
格子欠陥とは、点欠陥と電子的欠陥、点欠陥と電子的欠陥の関係、点欠陥の熱力学、
転位とは、転位の性質
・ 材 料 強 度 物 性 (3回生後期)
降伏現象、加工硬化・固溶体硬化・析出強化、複合材料の強度と靭性、結晶中の転位、
転位運動と熱活性化過程、結晶粒界と多結晶の結晶塑性
* 昨年度辻担当の「材料組織学1」講義資料を講義サイト(次ページ参照)からダウンロ
ードできるようにしておくので、合金の熱力学についても合わせて復習しておくこと。 【学習目標】
構造用金属材料の加工や熱処理に伴う組織変化を、与えられた平衡状態図および加工・熱
処理履歴をもとに類推でき、期待できる機械的性質を理解できるようになること。
3回生「金属材料学」 アウトライン 2016 年度 担当:辻・柴田 【教科書・参考書】
松原英一郎ら:金属材料組織学(朝倉書店)
W.D.キャリスター:材料の科学と工学1・2巻(培風館)
牧 正志:鉄鋼の組織制御 −その原理と方法(内田老鶴圃)
日本金属学会:鉄鋼材料 講座・現代の金属学 材料編4
日本金属学会:非鉄材料 講座・現代の金属学 材料編5
講義資料等を置く WEB サイト
http://www.tsujilab.mtl.kyoto-u.ac.jp/01TsujiLab/Education/StructMetalMater/ または下記の研究室 HP から【教育】→【金属材料学】へ
http://www.tsujilab.mtl.kyoto-u.ac.jp/ 【評価方法】 試験の成績を主として、総合的に評価・判定する。
講義への出席点・宿題点を与える。
【注意事項】
・ 遅刻、私語、携帯電話は厳禁
・ 演習問題はその時間内に提出。宿題は原則的に次週提出。遅れても受付けるが減点。WEB
に回答例掲示後の提出分は採点せず。
3回生「金属材料学」 アウトライン 2016 年度 担当:辻・柴田 【講義スケジュール】木曜日・第2講(10:30〜12:00)物 312 講義室
日時 10 月 6 日 講義内容 アウトライン:本講義全体を通じての目的を明確にするとともに、構
造用金属材料の典型的な生産工程(加工と熱処理の履歴)を示す。 10 月 13 日 凝固に伴う組織形成:全率固溶型合金における平衡凝固における組織
形成、非平衡凝固に伴う偏析と、共晶型、包晶型合金における凝固組
織形成について解説する。 10 月 20 日 加工と回復・再結晶・粒成長に伴う組織形成:第一義的には材料の形
10 月 27 日 を造るプロセスである塑性加工(塑性変形)に伴う材料の内部組織変
11 月 10 日 化と、それと同時あるいは以後の熱処理中に生じる回復・再結晶・粒
成長現象を解説し、それらに伴う機械的性質の変化を論述する。 11 月 17 日 海外出張(国際会議)のため自習 11 月 24 日 相変態による組織形成の基礎:鉄鋼材料とアルミニウム合金を例にと
12 月 1 日 り、標準的な熱処理に伴い生じるフェライト変態、パーライト変態、
マルテンサイト変態、ベイナイト変態、時効析出の基礎と、それに伴
う組織と機械的性質の変化を示す。また、平衡状態図との対応を示す
とともに、核生成・成長の基礎を述べ、TTT 線図、CCT 線図を理解で
きるようにする。また、加工と熱処理の組合せによる組織制御の例を
取り上げ、組織と機械的性質の変化およびその原理を明らかにする。 12 月 8 日 海外出張(インド工科大学で集中講義)のため自習 12 月 15 日 12 月 22 日 相変態による組織形成の基礎:鉄鋼材料とアルミニウム合金を例にと
1 月 5 日 り、標準的な熱処理に伴い生じるフェライト変態、パーライト変態、
1 月 12 日 マルテンサイト変態、ベイナイト変態、時効析出の基礎と、それに伴
1 月 19 日 う組織と機械的性質の変化を示す。また、平衡状態図との対応を示す
とともに、核生成・成長の基礎を述べ、TTT 線図、CCT 線図を理解で
きるようにする。また、加工と熱処理の組合せによる組織制御の例を
取り上げ、組織と機械的性質の変化およびその原理を明らかにする。 1 月 26 日 試験 or 2 月 2 日 (上記予定は、進行状況に応じて変更する可能性があります)