アトピーと上手につきあうには?

藤田学園第2回市民公開講座テキスト
【講座名】
「くらしと健康― アトピーと上手につきあうには?」
【講師】
○ 宇理須 厚雄(藤田保健衛生大学医学部小児科教授)
《こどものアトピー:どんな病気?どうしてなるの?治療方法は?》
○松永 佳世子(藤田保健衛生大学医学部皮膚科教授)
《おとなのアトピー:どんな病気?どうしてなるの?治療方法は?》
○土川 美香(藤田保健衛生大学病院看護部看護主任)
《アトピーの看護:皮膚の手入れは?薬の塗り方は?
日頃どんなことに気をつければいいの?》
○伊藤 夏代(藤田保健衛生大学病院食養部管理栄養士)
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《アトピーと食事:アレルギーのときの食事の工夫はどうすればいいの?
アレルギーを起こしにくくする食事はあるの?》
【日時】
平成15年5月17日(土曜日)午後2時~4時30分
【場所】
藤田保健衛生大学病院外来棟4階403講義室
学校法人藤田学園・藤田学園医学会
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プログラム
開会の挨拶
14:00〜14:05
司会 辻
船曵 孝彦
孝雄(医学部教授)
(大学学長)
セクション 1
14:05〜14:55(50分)
座長:堀口祐爾 (医学部内科学教授)
演題-1
こどものアトピー:どんな病気?どうしてなるの?
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治療方法は?
宇理須 厚雄
(医学部小児科教授)
演題-2 おとなのアトピー:どんな病気?どうしてなるの?
治療方法は?
松永
佳世子
(医学部皮膚科教授)
休憩
14:55〜15:05(10分)
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セクション 2
15:05〜15:45(40分)
座長:小島登美香(大学病院看護教育科長)
演題-3
アトピーの看護:皮膚の手入れは?薬の塗り方は?
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日頃どんなことに気をつければいいの?
土川 美香
演題-4
(大学病院看護部看護主任)
アトピーと食事:アレルギーのときの食事の工夫はどう
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すれば いいの?アレルギーを起こしにくくする食事
はあるの?
伊藤 夏代
(大学病院食養部管理栄養士)
総合討論
15:45〜 (15 分程度)
座長:堀口祐爾 (医学部整形外科学教授)
小島登美香(大学病院看護教育科長)
次回の案内と閉会の挨拶
岸川 輝彰
(大学病院長)
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《こどものアトピー:どんな病気?どうしてなるの?治療方法は?》
藤田保健衛生大学医学部小児科教授
宇理須 厚雄
アトピー性皮膚炎は乳幼児期に発症することが多い皮膚の温疹です。強いか
ゆみを特徴とし、良くなったり悪くなったりを繰り返す病気です。
病気の発症にはアレルギー体質と皮膚の過敏性など、皮膚そのものの異常が
関係しています。このような体質の患者さんに種々の刺激が加わることによっ
て発症し、悪化します。刺激としては、ダニ、食物、花粉などアレルギーを引
き起こすものがあります。また、衣服がこすれるなどの物理的刺激や洗剤・石
鹸などの化学的刺激も悪化の原因になります。痒みのために掻くことも悪くす
る原因の一つです。
アトピー性皮膚炎の患者さんの皮膚は免疫の働きが悪く、いろいろな細菌、
ウイルス、カビによる皮膚の感染にかかりやすいという特徴もあります。
治療は悪化させるものを避けることが大切です。スキンケアや軟膏(ステロ
イド軟膏、非ステロイド軟膏、保湿剤など)、かゆみ止め、抗アレルギー薬など
の薬も欠かせない治療法です。細菌やウイルスによって感染を起こした場合は、
これらを除去する薬も必要になります。
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治療のポイントは、いろいろな治療を総合的に行うトータルケアを根気よく
続けることです。トータルケアはより良い治療効果を引き出すだけでなく、個々
の治療の副作用を減らすことに役立ちます。
こどものアトピー性皮膚炎も治りにくい病気ですが、コントロールすること
はできます。また、年齢が大きくなるにつれて、よくなってしまうことも期待
できます。
がんばって下さい。
【講師プロフィール】
1974年3月、名古屋大学医学部卒業。1986年9月、藤田保健衛生大学
医学部小児科講師。2002年4月、藤田保健衛生大学医学部小児科(坂文種
報徳会病院)教授。医学博士。
アレルギーに関する情報提供を目的として設立された「アレルギーのこどもの
会」という、患者さんの友の会事務局長を務めている。
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メモ用紙
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《おとなのアトピー:どんな病気?どうしてなるの?治療法は?》
藤田保健衛生大学医学部皮膚科教授
松永 佳世子
「おとなのアトピー」は、医学用語では「成人アトピー性皮膚炎」と呼ばれ
ている皮膚の病気です。この病気は、不治の病でもなければ、治療方法のない
難病でもありません。病気を正しく理解していただき、正しいスキンケアと根
気良い治療をしていただければ、必ず快適に暮らせる病気です。
ところが、この病気は受験や就職などのストレスでも痒みがひどくなり、温
疹が悪化し、成人になってもなかなか治りにくいために、マスコミや口コミ、
アトピービジネス業界などから、さまざまな誤った情報が患者さんやご家族に
流れ、「どうして、こんなになるまで医師に相談してくれなかったの」、と外来
診療でびっくりするときが、多々あります。そこで、この市民公開講座では、
おとなのアトピーについて正しい知識を持っていただけるよう、わかりやすく
お話ししたいと思います。なんでもご質問下さい。
Q:どんな病気?
A:「成人アトピー性皮膚炎」は16歳以上の方で、①痒みがあり②慢性で再発
性、つまり、長く続く経過をたどる③典型的な皮疹、おとなでは肘のくぼみ、
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膝の裏などを中心に皮膚がざらざらと盛り上がった温疹が出るのが特徴です。
Q:どうしてなるの?
A:この病気は、皮膚バリア機能の弱い体質と、皮膚から浸入したさまざまな物
質や微生物にアレルギー反応を起こしやすい体質の二つが一緒になって起こり
ます。つまり、バリア機能が痛んだ皮膚から、さまざまな刺激物質やアレルゲ
ンが侵入し、炎症(かゆくて赤くなり、ぶつぶつが出たり、腫れたりする状態)
を起こします。
Q:治療は?
A:まず、炎症を抗炎症効果のある薬剤、たとえばステロイド外用薬やタクロリ
ムス軟膏で治します。そして、同時に刺激やアレルギーを起こしている外因を
検査し、これを除去します。常にスキンケア、つまり皮膚の手入れに心掛け、
皮膚の生理機能を高めます。
【講師プロフィール】
1976年3月、名古屋大学医学部卒業。1991年、藤田保健衛生大学医学
部皮膚科講師。2000年5月、教授。日本皮膚科学会認定専門医、日本アレ
ルギー学会認定専門医。医学博士。
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メモ用紙
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《アトピーの看護:皮膚の手入れは?薬の塗り方は?
日頃どんなことに気をつければいいの》
藤田保健衛生大学病院看護部看護主任
土川 美香
1,アトピー性皮膚炎のスキンケア
アトピー性皮膚炎の治療でもっとも大切なことは、スキンケアです。アトピ
ー性皮膚炎は自然治癒するといわれています。しかし、皮膚症状をそのままに
放置していては、自然治癒は達成できません。
皮膚症状の消失と、それに続くスキンケアを徹底することによってはじめて、
自然治癒が可能となります。
温疹病巣が存在する場合には、ステロイド外用剤による治療が不可欠となり
ますが、皮膚症状が鎮静してからの治療が大切であり、その治療法がスキンケ
アです。
生活環境の温度および湿度は、発汗あるいは皮膚の乾燥を出来することにな
ります。また、遊びや仕事による皮膚の汚れを落とすための洗浄は、皮膚の乾
燥を助長することになります。これらの気候の変化をはじめとする生活環境に
おけるスキンケアが必要となってきます。
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2,アトピー性皮膚炎の生活指導
アトピー性皮膚炎は刺激性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎などの皮膚炎と混合
して表現されます。それぞれに対する薬物療法、病因療法が大切ですが、それ
と同時に生活習慣などの改善がもっとも大切な治療法となっています。
アトピー性皮膚炎は、乳児から成人にわたって、消長を繰り返す病気ですの
で、各年齢層での日常生活の注意点が異なります。
【講師プロフィール】
1991年、藤田保健衛生大学看護専門学校卒業。1991~2000年、脳
神経外科勤務。2000年から、皮膚科、形成外科、口腔外科、理学診療科勤
務。2002年、看護主任となり現在に至る。
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メモ用紙
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《アトピーと食事:アレルギーのときの食事の工夫はどうすれば
いいの?アレルギーを起こしにくくする食事はあるの?》
藤田保健衛生大学病院食養部管理栄養士
伊藤 夏代
アトピーの原因は多様ですが、食物が原因で体に異常反応が起こる場合の食
事療法は、その原因と思われる食物を除くこと(除去食療法)が治療食の基本
になります。最初の注意事項は原因食物の正しい診断です。お母さん方のなか
には、医師に相談なく自分の判断で除去を続けられることがあります。成長期
の子供にとって、必要以上の除去は栄養の偏りを招き、十分に成長しない事態
を出来します。また、食事の楽しみを奪ってしまうことにもなります。
食物アレルギーだと判明したら必ず医師に相談し、「何を、どの程度」除去す
べきかを、確認することが大切です。アレルギーの症状には個人差があり、除
去の程度も一概には断定できません。検査値だけでは判断できないこともある
ので、自分勝手な判断で除去するのは危険です。
除去食について、実際に私が栄養指導する場合、お母さんに食事日記をつけ
てもらっています。食べたものや体の症状などを毎日記録すると、栄養のバラ
ンスや食事量がチェックしやすく、また何か症状が出た場合には原因を見つけ
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ることも容易となります。注意点は、除去する食品を代用物で補うこと、栄養
のバランスを考え、食材や調理法が偏らないようにすることです。さらに、食
事日記だけでは体の成長は分からないので、お子さんの身長と体重を定期的に
測定し、継続して観察することを推奨しています。
小さなお子さんの症状改善のためには、周囲の環境も大きく関係します。家
族の方、とくにお母さんの頑張りが必要です。なかには、お母さんが真剣でな
かったり、あるいは食べさせるのを怖がる余り、お子さんを栄養不足にしてし
まう場合もあります。除去食を全く違う食事と考えずに、家庭の普段の食事を
基本にして、食べられない食品を除き、それを代用食品で補うなどして、食事
作りを苦痛に思わないことが肝要です。
焦らず、長い目で継続していくことも大切と思います。
【講師プロフィール】
2000年3月、愛知学泉大学家政学部卒業。同年4月、藤田保健衛生大学病
院食養部に勤務、現在に至る。
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メモ用紙
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藤田学園第 3 回市民公開講座予定
講座名:「くらしと健康-リハビリテーション医
療を知ろう」
日時:平成 15 年 10 月 11 日、土曜日(午後 2 時から 4 時)
場所:藤田保健衛生大学病院新外来棟4階403講義室(入場料・無料)
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藤田学園市民公開講座実行委員会
委員長
辻 孝雄
(医学部、微生物学)
副委員長
滝田 毅
(短期大学、医学史)
企画責任者 堀口祐爾 (医学部、内科学)
委員
堤 寛
(医学部、病理学)
委員
中川研二 (医学部、整形外科学)
委員
伊藤祥輔 (学務部兼衛生学部、化学)
委員
小島登美香 (大学病院、看護部)
委員
丸野内 棣 (総医研、応用細胞学)
事務担当
真野康由 (図書館)
問い合わせ
〒470-1192
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愛知県豊明市沓掛町田楽ヶ窪 1-98
藤田保健衛生大学学務部
電話: 0562-93-2402
FAX:
0562-93-4597
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