廃棄物管理の実務 第 28 回【 番外編 ~こんな時、どうする?どうなる?廃棄物処理法~ ~注目!廃棄物処理法等の改正について~ 】 昨年の平成 27 年 11 月と 12 月に「廃棄物処理法施行令・ 施行規則」等が改正・公布されました。 今回は、その改正内容のポイントをご紹介します。 I 水銀廃棄物の処理基準等の追加・強化 【概要】 廃水銀等を特別管理廃棄物に指定し、水銀仕様製品産業廃棄物及び水銀汚染物の処理基準 等を追加、強化することを柱とする「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令の一部を 改正する政令」が、平成 27 年 11 月 11 日に公布されました。 【施行日】 廃水銀等の特別管理廃棄物への指定及びその収集運搬基準 ➔ 水俣条約の発効日または平成 28 年 4 月 1 日のいずれか早い日 廃水銀等の硫化・固型化の基準並びに水銀使用製品産業廃棄物及び水銀汚染物の処理基準 ➔ 平成 29 年 10 月 1 日 【改正のポイント】 1 「廃水銀」と「廃水銀を処分するために処理した水銀処理物」が特別管理一般 廃棄物及び特別管理産業廃棄物として追加された。 ※ 特別管理廃棄物となる水銀の種類などは省令で定められる。 12 廃水銀及び水銀処理物の埋立処分についての基準が定められた。 3 廃水銀について、密閉容器に入れて運搬することや、硫化・固型化してから 埋立処分を行うよう求める等、処理基準が強化された。 4 水銀使用製品産業廃棄物は、 ① 破砕することのないように運搬する ② 積替保管は、その他の物と混合するおそれのないように仕切りを設置する 等の基準が定められた。 5 水銀使用製品産業廃棄物及び水銀含有ばいじん等の処分または再生を行う場合 の基準が定められた。 法改正の詳細は以下をご確認ください。 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令の一部を改正する政令の閣議決定に ついて(お知らせ)➔ http://www.env.go.jp/press/101621.html II 法改正の対象となる、水銀廃棄物を排出する特定施設 【概要】 前段で解説した「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行例の一部を改正する政令」にお いて整備された規定に基づき、 「廃棄物の処理及び清掃に関る法律施行規則」等の改正につ いて、平成 27 年 12 月 21 日に公布されました。 【施行日】 水俣条約が日本国について効力を生ずる日または平成 28 年 4 月 1 日のいずれか早い日 【改正のポイント(排出事業者様対象)】 以下の「特定施設」から排出される「廃水銀または廃水銀化合物」が法改正の対象 1 水銀もしくはその化合物が含まれている物、または水銀使用製品廃棄物から 水銀を回収するための施設 2 水銀使用製品の製造の用に供する施設 3 灯台の回転装置が備え付けられた施設 4 水銀を媒体とする測定機器(水銀使用製品を除く。)を有する施設 5 国または地方公共団体の試験研究機関 6 大学及びその附属試験研究機関 7 学術研究または製品の製造もしくは技術の改良、考案もしくは発明に係る 試験研究を行う研究所 法改正の対象範囲について、これまで多くの排出事業者の方が心配されていましたが、一 般の事業所から「蛍光灯」や「水銀灯」等が出てきても、「特別管理産業廃棄物には該当 しない」ということがひとまず確定しました。 しかし今後、水銀含有産業廃棄物に関して何かしらの規制はかかるかもしれません。 もし規制対象となった場合は、継続して情報をご提供していきます。 法改正の詳細は以下をご確認ください。 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の一部を改正する省令等の 公布について(お知らせ)➔ http://www.env.go.jp/press/101851.html III カドミウム規制の見直しで、特別管理産業廃棄物の判定基準値が変更 【概要】 平成 27 年 4 月、カドミウムに関して、最終処分場からの放流水の排水基準及び特別管理産 業廃棄物の判定基準についての検討案が出されたことに伴い、同年 12 月 25 日、 「廃棄物の 処理及び清掃に関する法律施行規則」等の一部を改正する省令が公布されました。 【施行日】 平成 28 年 3 月 15 日 ※ 施行日は上記の日付とされており法令等による経過措置等はありませんが、もし疑義が 生じた場合は各管轄自治体の廃棄物担当部署にご確認ください。 【改正のポイント】 カドミウムまたはその化合物についての特別管理産業廃棄物の判定基準 現在の基準 新基準 廃酸・廃アルカリ(処理物含む。) 1.0 mg/L 0.3 mg/L (濃度基準) 燃え殻・ばいじん・鉱さい・汚泥・処理物 0.3 mg/L 0.09 mg/L (溶出基準) 判定の基準が変更され、値がより厳しくなりました。つまり今回の改正によって、これま で産業廃棄物として判別されていたものが特別管理産業廃棄物と見なされる可能性があ ります。分析結果を見直して基準を超えるようなら、許可内容の確認及び処理委託契約書 の変更等を検討する必要があるでしょう。 法改正の詳細は以下をご確認ください。 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の一部を改正する省令等の 公布について(お知らせ)➔ http://www.env.go.jp/press/101852.html 監修:弊社顧問 尾上雅典氏(行政書士エース環境法務事務所代表)
© Copyright 2024 Paperzz