テーマ 考える力を育てるⅡ

放送教育(全国放送教育研究会連盟) 課題別・番組別研究交流会 3
テーマ
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考える力を育てるⅡ
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講 師
発表者
制作者
記録者
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堀田
渡邉
船津
高橋
活用番組 「日本とことん見聞録」
「ど〜する?地球のあした」「理科5年ふしぎワールド」
龍也(メディア教育開発センター) 稲垣
忠(東北学院大学)
光浩(宮崎県三股町立勝岡小学校) 熊谷 久恵(宮城県気仙沼市立鹿折小学校)
貴弘(NHK学校教育番組部チーフ・プロデューサー) 司会者 佐藤
拓(川崎市立久本小学校)
馨(東京都立田園調布養護学校)
はじめに(稲垣)
用した調べ学習で理解を深められた。継続して視
考える力を伸ばす番組活用のポイントは何か。
聴することで、番組をモデルとした思考パターン
映像は豊かな「考えるタネ」を見せてくる。こう
にも慣れ、資料活用や調査方法を身につけ、問題
した映像をどう読み解いていくのか、子どもたち
解決力にも伸びが見られた。
の自身の体験、思考と深く結びつけるための手だ
ては何か。3つの番組を使った実践発表を基に、
4
まとめ
(稲垣)分断視聴で情報がたくさん集まったから
番組を通して考える力はどうやって作られるのか、
こその、自分なりの考え立て、課題の解決の材料
ワークショップを通して参会者自身で探していく、
となる。一方、丸ごと視聴での、人への思いや寄
という趣旨で進めていく。
り添うような気持ち、共感するところまでこの視
2
聴の仕方まで持っていけるのか。これからの課題
実践発表①渡邉:日本とことん見聞録(社会)
「映像による読解力(映像を読み取る力)
」を身
になるところ。また、クリップやインターネット
につけさせたいと考えた。その手だてとしてクリッ
で調べたデジタルの情報と、実際の現場での情報
プの活用から入り、番組の視聴につなげていった。
やそれに対する人の思いそういったものが、どの
指導のステップとしては、①「クリップ」を細かく止
ように深まっていくか、今後に期待したい。
めながら視聴②「クリップ」を最初から最後まで視
(堀田)社会・理科の番組を通して分科会(ワー
聴③番組をシーンごとに分断視聴④番組を丸ごと
クショップ)が、「考える力」とは何なんだ、と
視聴というように、
「映像を読み取る力」に合わせ
いう方向に行っている。「考える力」とは何なの
段階的に指導した。子どもたちは番組を視聴して、
か考えなければならない。考える力は大きなこと
・既習事項と関連づけた感想がかけるようになっ
で、一度に身につけることはできない。その一部
てきた。
分を丁寧に育てていく。それをいろんなところで
・携わる人への思いもはせるようになった。
繰り返すしか、考える力を育てる方法はない。考
・自分との関わりや、さらに調べてみたいことな
えるための練習をするということも学校教育では
ども書けるようになった。
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実践発表②熊谷:ふしぎ(理科)、地球(総合)
地域の恵まれた環境を生かし、総合的な学習の
時間に環境教育を推進している。地球規模の環境
問題への認識を高めるために、地球温暖化を取り
上げ、2つの番組を活用して授業を行った。
必要。考える内容(自分のこと、自分以外)、考
え方(見る、読み取る、比べる、話し合うetc)、
番組はこの両方に効きうる。どちらに効かせたい
か、どう取り出すかは授業者のデザイン次第。
この分科会(ワークショップ)でも、型を決め
繰り返しながら各グループ同じ手段で考えてきた
理科番組は4つに分断して視聴させた。台風の
が、考えることまで同じになってはいない。考え
進路の部分は、番組を見る前に子どもたちに調べ
方とか、話し方とかノウハウがある。そういうノ
させ、5分を3回に分けて見せた。子どもたちは課
ウハウをきちんと教えておくことは、必ずしも考
題を見つけ調べ学習につながる。調べた結果は番
えた結果が同じになることではない。大事なこと
組の交流掲示板や交流校とのテレビ会議で発表した。
は、考える力を育てるためのプロセス、考える場
番組を活用したことで、興味関心を高めながら
を与えるだけでなく、考え方を丁寧に指導してい
意欲的に学習をすることができた。番組HPを活
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視聴覚教育
2008.1
くことなのではないかと考える。