〔科目名〕 東洋の思想 〔担当者〕 羽矢辰夫 HAYA Tatsuo 〔単位数〕 2単位 〔科目区分〕 教養科目 〔オフィス・アワー〕 時間:後日、知らせる 場所: 〔科目の概要〕 東洋の思想の代表として仏教の思想をとりあげる。われわれの日常生活にまで深く結びついていながら、意 外と知られていない仏教のオリジナルな思想を学ぶことによって、みずからの精神性を省みるよすがとしたい。 仏教にはいろいろな側面があるが、われわれにとって最も大切なものは、いわゆる宗教としての側面ではなく、 われわれ自身がいかに生き、いかに死んでいくかという、ある意味で普遍的な、われわれの人生の根本的な問 題を考えるときに重要なヒントを与えてくれる思想にある。このようなスタンスで、思想に重点をおきながら、 仏教について考えていきたい。 本年度は、インドで仏教が興るにいたった背景、仏教の開祖であるゴータマ・ブッダのオリジナルな思想、 東南アジアおよび東アジアに伝わった仏教について論じ、わが国の仏教の基礎となっている大乗仏教の思想に も多少触れながら、現代の日本人と仏教との関連について考えていく。そのなかで、ゴータマ・ブッダの思想 ならびに仏教の思想の現代的な意義が明らかになるであろう。 仏教の思想を実践的に理解するために、授業の最初15分間を瞑想の時間とする。 〔「授業科目群」・他の科目との関連付け〕・〔なぜ、学ぶ必要があるか・学んだことが、何に結びつくか〕 「宗教の哲学」において、ある程度、自分という存在が明確になった次の段階として、 「東洋の思想」は想定 されている。自分自身の内面に向かっていた眼を外側にも開き、バランスをとりながら、自己と他者、自己と 社会、自己と自然とのつながりに鋭敏になることで、自分自身および人間や自然に対する理解をより深めてい けるであろう。みずからの視野を広げ、洞察を深めて、精神面で大きく成長することが期待される.。 同じ段階におかれる「教養演習(トランスパーソナル学演習) 」が、現代の心理学の考え方やテクニックをよ りどころにする一方で、 「東洋の思想」では、古来からの伝統的な考え方やテクニックをよりどころにする。と くに仏教の考え方については、わが国の精神的な伝統そのもの、ないしそれと緊密につながっているものであ り、失われつつあるものの、実際に触れてみると、自分たちの精神の根底に流れているものであることを感じ るはずである。あらためて、みずからの存在のよりどころ、あるいは精神的な基盤、思想的な根拠に気がつく かもしれない。 経営経済学を学ぶという点では、経営経済活動は基本的に人間の営みであるので、人間に対する理解なくし ては、充分な学びとはならない。そのような意味で、 「東洋の思想」は、 「宗教の哲学」 「仏教の心理学」 「教養 演習(トランスパーソナル学演習) 」とならんで、本学での学びにおける精神的な基礎となる部分を養う科目と いうことになる。また、人間一般というのではなく、いままさに生々しい現実を生きている自分自身をひとつ のモデルとして考察をすすめるがゆえに、リアリティをともない、血の通った学びを経験的に知ることが期待 される。 瞑想は仏教の思想を理解するときに不可欠なものというだけでなく、集中力をつけたり、リラックスできた り、これからの人生のさまざまな場面で実際に役にたつものである。できるだけ習熟されたい。 〔科目の到達目標(最終目標・中間目標)〕 到達目標 ・ 仏教の根本であるゴータマ・ブッダの思想を、現代に生きるわれわれ自身との関連で理解する。 ・ 信じる宗教とは違った、目覚める宗教があることを理解する。 ・ 精神的な伝統としての仏教を理解する。 中間目標 ・ ゴータマ・ブッダのオリジナルな思想を理解する。 ・ 瞑想の仕方に慣れ、その意義を理解する。 ・ こころの動きに鋭敏になる。 〔学生の「授業評価」に基づくコメント・改善・工夫〕 おしゃべりをしている学生を注意してほしいというコメントがあった。 学生同士でも注意しあってほしいと思うが、できるだけ教室の静寂に努めたい。 〔教科書〕 羽矢辰夫『ゴータマ・ブッダ』春秋社,1999 年。 〔指定図書〕 ラーダークリシュナン『インド仏教思想史』大蔵出版,1985 年。 久米是志『無分別のすすめ』岩波書店,2002 年。 高尾利数『ブッダとは誰か』柏書房,2000 年。 羽矢辰夫『ゴータマ・ブッダの仏教』春秋社, 2003年。 羽矢辰夫『スッタニパータ』NHK出版,2007年。 〔参考書〕 適宜指示する 〔前提科目〕 な し 〔学修の課題、評価の方法〕(テスト、レポート等) 中間レポート+期末レポート=100点(内訳は、最初の授業で説明する) ・ 出席が2回確認できなかった者の成績は、1グレード下がる。 ・ 出席が3回確認できなかった者の成績は、自動的にFとなる。 〔評価の基準及びスケール〕 中間レポートと期末レポートによって、成績評価を行なう。 A:100~80 B:79~70 C:69~60 D:59~50 F:49~ 0 〔教員としてこの授業に取り組む姿勢と学生への要望〕 ・ 学生が自分で考えを深め、精神的な側面で成長するのを少しでも手助けできればと思っている。 ・ これからの人生を豊かに送るための基礎づくりのきっかけとして、まず自分自身に関心をもち、何かひと つでも自分で気づいたと感じられるように、すなおに自分と向き合っていただきたい。 ・ 瞑想には、かならず参加すること。 ・ 第1回目の授業は重要なので、かならず出席すること。 ・ 遅刻すると入室できないので、気をつけること。 第1回 授業スケジュール テーマ (何を学ぶか): イントロダクション 内 容: 現代インドにおける仏教、および瞑想について 第2回 教科書・指定図書 テーマ (何を学ぶか): 仏教以前の思想 内 容: ヴェーダの宗教、およびウパニシャッドの神秘思想 第3回 教科書・指定図書 テーマ (何を学ぶか): 原始仏教 内 容: 原始仏教の成立と原始仏教経典 第4回 教科書 『ゴータマ・ブッダ』 131-149ページ テーマ (何を学ぶか): ゴータマ・ブッダ 内 容: 仏教の開祖ゴータマ・ブッダの思想と実践 1 第5回 教科書 『ゴータマ・ブッダ』 3-129ページ テーマ (何を学ぶか): ゴータマ・ブッダ 内 容: 仏教の開祖ゴータマ・ブッダの思想と実践 2 第6回 教科書 『ゴータマ・ブッダ』 3-129ページ テーマ (何を学ぶか): ゴータマ・ブッダ 内 容: 仏教の開祖ゴータマ・ブッダの思想と実践 3 教科書 『ゴータマ・ブッダ』 151-226ページ 定期試験 第7回 テーマ (何を学ぶか): ゴータマ・ブッダの生涯 内 容: 映画『リトル・ブッダ』を観る 1 第8回 教科書・指定図書 テーマ (何を学ぶか): ゴータマ・ブッダの生涯 内 容: 映画『リトル・ブッダ』を観る 2 第9回 教科書・指定図書 テーマ (何を学ぶか): ゴータマ・ブッダ 内 容: 仏教の開祖ゴータマ・ブッダの思想と実践 4 第 10 回 教科書 『ゴータマ・ブッダ』 151-226ページ テーマ (何を学ぶか): 仏教の伝播とその受容 内 容: 現代のタイの仏教 第 11 回 教科書・指定図書 テーマ (何を学ぶか): 仏教の伝播とその受容 内 容: 現代の中国の仏教 第 12 回 教科書・指定図書 テーマ (何を学ぶか): 仏教と日本人 内 容: 現代日本における仏教の意義 教科書・指定図書 定期試験
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