第121話 バブル崩壊の処方箋 その7

感H印書L【,,..月1回(1。発行)(墓守孟芸長湯誌昌) 第460号
〓〓国
う。斎藤登 ︵仮名・紳士服店︶
はこう打ち明ける。
﹁その分、身銭を切って税金を
負担することになる﹂。
税の計算では、売上の一〇五
分の五は消費税の預かり分とな
る。七万円の紳士服を五万円に
バーゲンして消費税は貰わなく
ても、五万円の一〇五分の五の
二千三百八十円は、貰ったこと
にされてしまう。それだけ店の
損となり資金繰りが苦しくなり
納税が滞ってしまう。
口 中小企業では消費税を相手
から貰えなくて、売り手がかぶ
るケースも少なくない。消費税
課税が始まり、戦後はアメリカ
の滞納が増えているのはこの辺
から導入された所得申出口制度が
の事情もある。
すっかり根付いている。
税の構造を見直すとき、消費
ロ ヨーロッパで消費税が進ん
税のあり方をもう一度考える必
だのはフランス革命の﹁自由・
要がある。
平等・博愛﹂の思想の影響が大
も と も と 消 費 税 の 創 設 を 盛 り きい。なによりも白口由を尊ぶ。
込んだ八八年の税制改革法では、
所得税は自分のふところを役人
﹁国民福祉の充実などに必要な﹂ に見透かされるので嫌われ、消
費税の方がなじみやすかった。
歳入の確保のためと考えられて
いた。
小売店の考え方も、客にあっ
た専門店を奨めるという姿勢が
それがいつの間にか財源不足
の穴埋めとなり、﹁直間比率﹂
強く、日本のようにべニペこし
ない。客の方も店側の立場を尊
をヨーロッパ並みにして、将来
は税盤Tも二桁まで上げることが、 重する。木曜日も土曜日も休み、
午後の開店は二時以降といった
店も多いが、それが普通となっ
ていて、買い物の時に客が消費
税を払うのは、当たり前の習慣
その7
となって定着している。
ロ しかし﹁消費税の母国﹂と
いわれるフランスでも、標準税
率は二〇・六%だが、食料品や
書籍は五・五%、新聞や医薬品
は二・一%の軽減税率をひいて
いる。
イギリスは標準税率一七・五%
だが、家庭用燃料や電力は五%
の軽減税率にし、食料品や新聞・
書籍などにはゼロ税率を採用し
ている。
すべてに五%をかける日本の
消費税制も再考すべきではない
か。
−つづくー
当然の流れのようになってしまっ
た。
その間、細川内閣がにわか造
りの﹁国民福祉税構想﹂を提示
して総攻撃をうけ、福祉目的税
の影が薄くなってしまった、と
いういきさつもある。
口 税金にはそれぞれのお国柄
や民族性がある。それを無視し
て、いちがいに国際化の枠をは
めることに無理がある。
日本の所得税の歴史は長い。
明治のはじめには、土地にかけ
る地租や酒税が主流を占めてい
たが、産業の発達に伴って所得
バブル崩壊の処方箋
てしまう。 ■住宅や自動車な
どの費而要が伸びない原因の一つ
に、消費税があることは確かだ。
﹁この消費税の分だけまからん
かね﹂、客の五人に一人はそう
言う。不景気と郊外大型店の影
響で売れない日が続き、つい
﹁わかりました﹂と言ってしま
川中経営所長 川 中 清 司
経営の散歩道
平成十年になって橋本内閣は
四兆円の所得減税をうちだした。
しかし景気の先行き不安から減
税分は消費支出には回らない。
総務庁の発表では四月の個人
消費は二・一%減り、連続六ケ
月の連続減少となった。
スーパーでも主婦がまとめ買
いをひかえ、パックの野せ采より
バラ売りに足をむけるなど、少
量購入で生活防衛している。
□ 減税してもゆくゆくは消費
税率の引き上げや、年金・医療
費の負担の増加にはねかえる。
国民はそう感じている。
もっとわかりやすく財政のス
リム化や、公共投資のH見直しな
どで財政赤字を減らし、増税し
ない見通しを示さない限り国民
の不安は解けない。不信感を取
り除かなければ、安心して消費
に金を回せない。
ロ 消費税が始まってから一〇
年。そろそろ国民の間に定着し
たようにみえる。しかし現場で
みる限りはそうではない。金か
さの張るものになると、五%の
税の上のせは大きい。﹁やっぱ
りやめとこう﹂と買い物を控え